JP5205936B2 - ゴム組成物ならびにそれを用いた複合材料およびホース - Google Patents
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Description
そのため、パワーステアリングホースには、耐熱性が高いクロロスルホン化ポリエチレン(以下「CSM」ともいう。)を鉛加硫したゴム組成物が使用されてきた。しかしながら、近年、環境問題に対する意識が高まる中で、脱鉛化が要請されている。
しかしながら、135〜150℃程度の高温下でCSMから発生する塩酸によって、ホースの補強層に用いられる有機繊維が劣化する。マレイミド化合物を用いて加硫した場合、鉛を用いて加硫した場合に比べて、有機繊維の劣化が激しく、ホースの耐久性が劣るという問題が生じる。
しかしながら、加硫剤としてマレイミド化合物を使用する場合、受酸剤を多量に配合する必要がある。受酸剤の配合量を増やすと、ゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が悪化したり、圧縮永久歪みが増加するという問題がある。
また、本発明は、耐熱性および耐久性に優れる複合材料およびホースを提供することを目的とする。
(1)クロロスルホン化ポリエチレンと、酸化マグネシウムと、水酸化カルシウムと、マレイミド化合物とを含有し、メルカプト−S−トリアジン系化合物を含有せず、
前記酸化マグネシウムおよび前記水酸化カルシウムの合計の含有量が、前記クロロスルホン化ポリエチレン100質量部に対して17〜30質量部であり、
前記水酸化カルシウムと前記酸化マグネシウムとの質量比が、15/85〜45/55であるゴム組成物。
前記内管および/または前記外管が、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム組成物で構成されているホース。
また、本発明の複合材料は、耐熱性および耐久性に優れる。
また、本発明のホースは、而撚性および耐久性に優れる。
本発明のゴム組成物(以下「本発明の組成物」という。)は、クロロスルホン化ポリエチレンと、酸化マグネシウムと、水酸化カルシウムと、マレイミド化合物とを含有し、メルカプト−S−トリアジン系化合物を含有せず、上記酸化マグネシウムおよび上記水酸化カルシウムの合計の含有量が、上記クロロスルホン化ポリエチレン100質量部に対して17〜30質量部であり、上記水酸化カルシウムと上記酸化マグネシウムとの質量比が、15/85〜45/55であるゴム組成物である。
本発明においては、市販のCSMを用いることもできる。例えばデュポンパフォーマンスエラストマー社製のハイパロン(登録商標)が好適に用いられる。
有機繊維の劣化を抑制する効果(耐繊維劣化性)と加工性とのバランスが良好となる点から、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムの合計の含有量は、18〜27質量部であることが好ましく、20〜25質量部であることがより好ましい。
耐繊維劣化性と圧縮永久歪みとのバランスが良好となる点から、本発明の組成物に含有される水酸化カルシウムと酸化マグネシウムとの質量比は、18/82〜40/60であるのが好ましく、18/82〜35/55であるのがより好ましく、20/80〜30/70であるのが更に好ましい。
なお、本明細書において、圧縮永久歪みの生じ難さを「耐圧縮永久歪み性」という。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NBC)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
また、混合温度は、使用する装置により異なるため特に限定されないが、バッチ式混練機を用いた場合は、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましい。
同様に、混合時間も、使用する装置により異なるため特に限定されないが、バッチ式混練機を用いた場合は、1〜15分間程度であるのが好ましい。
したがって、本発明の組成物は、プリプレグ、有機繊維を含むホース、コンベヤベルト、防舷材、タイヤ等に好適に用いることができる。
本発明の複合材料は、上述した本発明のゴム組成物と、有機繊維とを含む複合材料である。本発明の複合材料には、未加硫のものおよび加硫したものが含まれる。
本発明の複合材料としては、具体的には、例えば、プリプレグ、後述するホース、コンベヤベルト、防舷材、タイヤ等が挙げられる。
上記有機繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリケトン繊維等が挙げられる。中でも、寸法安定性、耐熱性および耐疲労性に優れるポリエステル繊維、ポリアミド繊維であるのが好ましい。特に、ポリアミド繊維は酸により劣化しやすいが、本発明の組成物と組み合わせて用いることにより劣化が抑制されるため、好適に使用できる。
また、上記で例示した各種の繊維材料は、レゾルシン・ホルマリン/ゴムラテックス(RFL)等の処理液で接着処理を行ってもよい。
本発明のホースは、少なくとも、内管と、上記内管の外周側に隣接して配置される有機繊維を含む補強層と、上記補強層の外周側に隣接して配置される外管とを有するホースであって、上記内管および上記外管の少なくとも一方が、上述した本発明の組成物で構成されているホースである。
図1に示すように、ホース1は、内管2と、内管2の外周側に隣接して配置される補強層3と、補強層3の外周側に隣接して配置される外管4とを有する。
また、ホース端部の内外周側を圧着して取り付けた金具を介してホースを油圧の伝達回路に組み込んだ場合に、その圧着力はゴム組成物の耐圧縮永久歪み性が優れるほど持続され耐久性に優れる。そのため、本発明のホース1は、圧着力が持続され耐久性に優れる。
このように本発明の組成物を用いて内管2および外管4の一方または両方を形成することにより、耐熱性および耐久性に優れるホースとなる。
外管4の厚みは、0.2〜4.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。
具体的には、マンドレル上に、内管、補強層および外管をこの順に積層させた後に、それらの層を140〜190℃下、30〜180分の条件で、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)または温水加硫することにより加硫接着させて製造する方法等が好適に例示される。
(実施例1〜5および比較例1〜8)
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す割合(質量部)で、混合機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記の方法により、ムーニー粘度、加硫後の基本物性(破断強度、破断伸び、50%モジュラス、100%モジュラス、硬さ)、圧縮永久歪み、および有機繊維の劣化を評価した。
結果を下記第1表に示す。
JIS K6300−1−2001に準じて、未加硫のゴム組成物について、L形ロータを使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、試験温度100℃の条件で、ムー二一粘度を測定した。
なお、ムーニー粘度は100以下であることが好ましい。
JIS K6251−2004に準じて、各組成物を153℃で60分間加硫させた加硫ゴムを厚さ2mmのダンベル状(ダンベル状3号形)に切り出し試験片とし、試験温度23℃、引張速度500mm/minの条件で、破断強度、破断伸び、50%モジュラス(M50)および100%モジュラス(M100)を測定した。
JIS K6253−2006に準じて、各組成物を153℃で60分間加硫させて厚さ6mmの試験片を作製し、デュロメータ(タイプA)を用いて測定した。
JIS K6262−2006に準じて、各組成物を153℃で60分間加硫させて直径13.0mm、厚さ6.3mmの試験片を作製した。次に、得られた試験片を150℃で72時間、25%の圧縮歪みで圧縮した。圧縮をやめて30分間放置した後の試験片の厚みを測定し、圧縮永久歪みを算出した。
なお、圧縮永久歪みは、55%以下であることが好ましい。
得られたゴム組成物をロールにて厚さ1mmのシートと厚さ2mmのシート状にした。
次に、30cm×30cmの鉄板の上に上記で得られた厚さ1mmのシートを敷き、その上にポリアミド繊維(長さ40cm以上、6,6−ナイロン、旭化成社製、抗張力180N、切断伸率20.8%)を10本並べた。その上に上記で得られた厚さ2mmのシートを置いた後、154℃で90分間プレス加硫した。
その後、150℃のオーブン内に168時間放置して熱老化させた。次に、熱老化させた試験片をゴムが十分膨潤するまでトルエンに浸漬させた後、繊維を取り出した。取り出した繊維について、JIS L1017−2002(化学繊維タイヤコード試験方法)に準じて抗張力と切断伸び率を測定した。
JIS L1017−2002(化学繊維タイヤコード試験方法)に準じて測定した初期のポリアミド繊維の抗張力(180N)と切断伸び率(20.8%)をそれぞれ100%として熱老化後の各保持率を算出した。
なお、熱老化後の抗張力の保持率は50%以上であることが好ましく、熱老化後の切断伸率は65%以上であることが好ましい。
・クロロスルホン化ポリエチレン1:ハイパロン(登録商標)40、デュポンパフォーマンスエラストマー社製、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)56、塩素含有量35質量%
・クロロスルホン化ポリエチレン2:ハイパロン(登録商標》45、デュポンパフォーマンスエラストマー社製、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)37、塩素含有量24質量%
・酸化マグネシウム:キョーワマグ150、協和化学社製
・水酸化カルシウム:消石灰、入交産業社製
・FEFカーボンブラック:HTC #100、新日化カーボン社製
・FTFカーボンブラック:アサヒサーマル、旭カーボン社製
・ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル:ノクラックNBC、大内新興化学社製
・トリ(2−エチルヘキシル)トリメリット酸:アデカサイザー C−8、ADEKA社製
・6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン:ノクラックAW、大内新興化学社製
・N,N′−m−フェニレンジマレイミド:バルノックPM−P、大内新興化学社製
圧縮永久歪みが大きかった。比較例8は、有機繊維の劣化が大きかった。
一方、実施例1〜5は、ムーニー粘度と圧縮永久歪みが小さく、繊維の劣化も少なかっ
た。
上記で得られた各ゴム組成物を用いて、パワーステアリングホースの製造を行った。
予め離型剤を塗布した外径10mmのマンドレル上に、第2表の内管の欄に示す上記で得られたゴム組成物を押出し、厚さ2mmの内管を形成した。この内管の外側に、ポリアミド繊維(6,6−ナイロン、旭化成社製)をブレード編みし、その外側に第2表の外管の欄に示すゴム組成物を押出して、厚さ1.5mmの外管を形成した。次に、154℃で90分加熱して加硫させた後、マンドレルを引き抜いて、パワーステアリングホースを得た。
得られた各パワーステアリングホースについて以下の試験を行った。
結果を第2表に示す。
得られたパワーステアリングホースを、150℃下、1.17Hzの周期で3.43MPaの圧力を繰返し加えるホースインパルス試験に供し、耐久性を評価した。ホースインパルス試験において50万回以上稼動するホースを耐久性に優れるものとして「○」とし、50万回未満しか稼動しないホースを耐久性が劣るものとして「×」とした。
得られたパワーステアリングホース内に油(ダフニースーパーハイドロ、出光社製)を封入して150℃で240時間オーブン内に放置した後取り出し、常温にて3MPaの圧力をかけ、金具部からの油漏れの有無を目視で確認した。
オイル漏れが無かったものを「○」、オイル滲みがあったものまたはオイル漏れがあったものを「×」とした。
2 内管
3 補強層
4 外管
Claims (8)
- クロロスルホン化ポリエチレンと、酸化マグネシウムと、水酸化カルシウムと、マレイミド化合物とを含有し、メルカプト−S−トリアジン系化合物を含有せず、
前記酸化マグネシウムおよび前記水酸化カルシウムの合計の含有量が、前記クロロスルホン化ポリエチレン100質量部に対して17〜30質量部であり、
前記水酸化カルシウムと前記酸化マグネシウムとの質量比が、15/85〜45/55であるゴム組成物。 - 前記酸化マグネシウムおよび前記水酸化カルシウムの合計の含有量が、前記クロロスルホン化ポリエチレン100質量部に対して20〜30質量部である請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記水酸化カルシウムと前記酸化マグネシウムとの質量比が、18/82〜40/60である請求項1または2に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物と、有機繊維とを含む複合材料。
- 前記有機繊維がポリアミド繊維である請求項4に記載の複合材料。
- 少なくとも、内管と、前記内管の外周側に隣接して配置される有機繊維を含む補強層と、前記補強層の外周側に隣接して配置される外管とを有するホースであって、
前記内管および/または前記外管が、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物で構成されているホース。 - 少なくとも前記外管が、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物で構成されている請求項6に記載のホース。
- 前記有機繊維が、ポリアミド繊維である請求項6または7に記載のホース。
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