図1は、本実施の形態の画像形成装置100の一例を示す。画像形成装置100は、画像取得部101、偏角依存特性取得部102、操作部103、変更部104、画像生成部105、表示部106、領域検出部107、印刷画像生成部108、再現処理データ生成部109、及び印刷装置110を備える。
画像取得部101は、デジタルカメラ等の撮像装置で撮像された画像データを取得する。画像取得部101は、同一の撮像対象物が異なる方向から撮像された複数の画像データ及び該複数の画像データのそれぞれの撮像角度を取得してもよい。この撮像角度は、たとえば、撮像対象物に対して正面の撮像角度を0度としたときに、撮像対象物の画像データを撮像したときの角度のことをいう。ユーザが指定した角度を正面としてもよい。また、画像取得部101は、動いている同一の撮像対象物が連続して撮像された複数の画像データ及び該複数の画像データのそれぞれを撮像した時間を取得してもよい。画像取得部101は、取得した画像データを、偏角依存特性取得部102、画像生成部105、及び印刷画像生成部108に出力する。なお、撮像角度を、撮像対象物に対して正面を0度とするようにしたが、正面でなくてもよく、何れかの角度を0度等の所定の角度としてもよい。また、異なる角度から撮像された画像データ間の相対的な角度を取得してよく、ユーザが指定した画像データの撮像角度を0度などの所定の角度としてもよい。
偏角依存特性取得部102は、画像取得部101が取得した画像データから、該画像データの複数の領域のそれぞれの被写体の偏角依存特性データを取得する。偏角依存特性データは、異なる複数の角度から見た被写体の輝度を示す。偏角依存特性取得部102は、同一の撮像対象物が異なる方向から撮像された複数の画像データを画像取得部101が取得した場合は、同じ被写体の輝度値を複数の画像データからそれぞれ取得する。そして、それぞれの同じ被写体の複数の輝度値と、複数の画像データをそれぞれ撮像した撮像方向とから、それぞれの領域の被写体における偏角依存特性データを算出して取得してもよい。また、偏角依存特性取得部102は、動いている同一の撮像対象物が連続して撮像された複数の画像データを画像取得部101が取得した場合は、複数の画像データの同じ領域の輝度値と、複数の画像データが撮像された時間とから、異なる時間における被写体の輝度を示す時間依存特性データを、偏角依存特性データに変換して取得してもよい。キラキラ感は、左右の目の視差、又は、見る角度に起因するものに加え、水面の反射などのキラキラ感のように時間的に変化する場合もある。したがって、時間的変化の視差に起因するキラキラ感の変化を、左右の目の視差、及び見る角度に起因するキラキラ感の変化に変換させる。
偏角依存特性取得部102は、画像取得部101が取得した1枚の画像データからそれぞれの領域の偏角依存特性データを取得するようにしてもよい。例えば、画像認識処理により被写体の種類を判断して、該判断した種類の被写体の偏角依存特性データを取得するようにしてもよい。画像認識処理により被写体の種類を判断する方法として、例えば、色、形状、及び装着位置から、指輪、ティアラ、ネックレス等の宝飾品であると認識できる。また、画像から光源の位置を推定するとともに、光沢のある車体、家具の金属部等を形状より認識する。そして、推定された光源位置と認識した形状により偏角依存特性を推定することもできる。また、金糸又は光沢糸入りの光沢のある着物、又は服についても有効である。この場合は、被写体の種類に対応する偏角依存特性データを記録したテーブルを有してもよい。また、画像認識処理により被写体の材質を認識して、該判断した材質の偏角依存特性データを取得するようにしてもよい。例えば、空間周波数と空間周波数に対応した材質を記録したテーブルを有してよく、空間周波数を解析して材質を認識してもよい。この場合は、それぞれの材質に対応して偏角依存特性データを記録したテーブルを有してもよい。偏角依存特性取得部102は、CPU等の情報処理装置によって実現してもよく、電子回路又は電気回路によって実現してもよい。
また、偏角依存特性取得部102は、更に、印刷装置110の印刷性能に応じた偏角依存特性データを算出してもよい。つまり、複数の画像データから取得したそれぞれの領域の被写体の偏角依存特性データから、印刷装置110の印刷性能に応じた偏角依存特性データをそれぞれ算出して取得してもよい。偏角依存特性取得部102は、取得した偏角依存特性データを、画像生成部105、領域検出部107、印刷画像生成部108、及び再現処理データ生成部109に出力する。ユーザは、操作部103を操作することにより、偏角依存特性データの変更を指示する。変更部104は、操作部103から送られてくる操作信号に応じて、偏角依存特性取得部102が取得した偏角依存特性データを変更する。変更部104は、CPU等の情報処理装置によって実現してもよく、電子回路又は電気回路によって実現してもよい。
領域検出部107は、偏角依存特性取得部102が取得した、複数の領域のそれぞれの被写体の偏角依存特性データに基づいて、角度に対する輝度の分散値が所定値より小さい被写体の領域を、印刷対象となる画像データの中から検出する。被写体領域は、画像中の空、人物、家具さらには家具中の金具、人物が身につけているネックレスといったレベルで領域分割して、その分散値を評価するのが好ましい。また、画像中の色のつながり、空間周波数等から領域を分割して、その分散値を評価してもよい。また、同一の大きさに複数分割して、分割されたそれぞれの領域の分散値を評価してもよい。例えば、ネックレス、金具などの同一の被写体を所定の大きさに複数に分割して分散値を評価してもよい。ユーザは画像取得部101が取得した画像データの中から印刷対象となる画像データをユーザが選択してもよい。また、撮像角度が所定の角度の画像データを印刷対象となる画像データとして自動的に選択してもよい。また、画像取得部101が1枚の画像データしか取得しなかった場合は、該取得した画像データが印刷対象の画像データとなる。
画像生成部105は、偏角依存特性取得部102が取得した偏角依存特性データに基づいて、印刷対象となる画像データの複数の領域の輝度が同一の角度から見た場合の輝度となる画像データを、複数の角度毎に生成する。また、画像生成部105は、領域検出部107が検出した領域の偏角依存特性データに基づいて、該検出した領域の輝度がある角度から見た場合の輝度となる画像データを、複数の角度毎に生成してもよい。つまり、領域検出部107が検出した領域以外の画像は、印刷対象となる画像データの画像であり、検出した領域の画像は、ある角度から見た場合の輝度となる画像の画像データを、複数の角度毎に生成してもよい。
また、領域検出部107が検出した領域が複数ある場合は、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、該検出したそれぞれの領域の輝度が同一の角度から見た場合の輝度となる画像データを、複数の角度毎に生成する。つまり、領域検出部107が検出した領域以外の画像は、印刷対象となる画像データの画像であり、検出したそれぞれの領域の画像は、同一の角度から見た場合の輝度となる画像の画像データを、複数の輝度毎に生成してもよい。表示部106は、画像生成部105が生成した複数の角度毎の画像データを、角度の順に表示する。表示部106は、液晶、有機EL、プラズマなどのディスプレイと、該ディスプレイを制御する制御部とを有する。制御部は、CPU等の情報処理装置によって実現してもよい。また、領域検出部107、及び画像生成部105は、CPU等の情報処理装置によって実現してもよく、電子回路又は電気回路によって実現してもよい。
印刷画像生成部108は、印刷対象となる画像データから印刷画像データを生成する。再現処理データ生成部109は、印刷した印刷画像の中のそれぞれの領域上に、偏角依存特性データを再現させるため再現処理データを生成する。印刷画像生成部108及び再現処理データ生成部109は、CPU等の情報処理装置によって実現してもよく、電子回路又は電気回路によって実現してもよい。印刷装置110は、印刷画像生成部108が生成した印刷画像データ及び再現処理データ生成部109が生成した再現処理データに基づいて、画像を印刷するとともに偏角依存特性データを再現した質感の再現処理を行う。
図2は、偏角依存特性データを説明するための図を示す。偏角依存特性データとは、異なる複数の角度から見た被写体の輝度を示す。我々は、被写体に入射する光の入射角度が一定の場合に、被写体の明るさが見る角度によって異なることをよく経験する。被写体の法線ベクトルと検出方向とのなす角をθとすると、角度に応じて反射光の輝度は異なる。一般に、被写体の光を検出する検出方向が正反射光の方向となるとき、つまり、θが正反射光の角度となるときの輝度が最も高く、θが正反射光の角度とずれるにしたがって輝度は小さくなる。つまり、偏角依存特性データは、分布をしている。このようなことから、撮像対象物を見る角度が変わるとそれによってそれぞれの領域の明るさが変化する。ΔIは、輝度の最大差を示しており、Δθは、輝度が拡散均等面における輝度より高くなるθの幅を示している。非常に光散乱性が強く、光沢の全くない面は均等拡散面あるいはランバート面又はランベルト面とも呼ばれ、この面はどの角度から見ても輝度が等しくなる。この面との角度依存性の違いで偏角依存特性データを定量化出来る。特定角度の輝度の均等拡散面からの増加の度合いと、増加領域の巾(分散値)で偏角依存特性を定量化出来る。例えば、分散値が高くなるほど、ΔIは小さくなり、Δθは広くなる。また、分散値が低くなるほど、ΔIは高くなり、Δθは狭くなる。この分散値が低い程特定角度での画像がキラキラと光る領域となるので、領域検出部107は、分散値が所定値より小さい領域を検出する。
図3は、偏角依存特性取得部102の構成の一例を示す。偏角依存特性取得部102は、領域輝度取得部121、偏角依存特性パターン保持部122、及び算出部123を有する。領域輝度取得部121は、画像取得部101が取得した複数の画像データのそれぞれの領域の被写体の輝度を複数取得する。また、領域輝度取得部121は取得した複数の画像データを撮像した撮像角度を取得する。領域輝度取得部121は、異なる方向から撮像された複数の画像データを画像取得部101が同一の撮像対象物が取得した場合は、それぞれの画像データから、同じ被写体領域の輝度値をそれぞれ取得する。同一撮像対象物が異なる方向から撮像された複数の画像データを取得した場合は、同じ被写体が撮像素子の同じ画素で撮像されたとも限らないので、同じ画素の領域ではなく、同じ被写体領域の輝度値を複数取得する。この同じ被写体領域はブロックマッチング法などによって検出することができる。領域輝度取得部121は、それぞれの被写体領域の複数の輝度を算出部123に出力する。また、領域輝度取得部121は、異なる方向から撮像された複数の画像データの撮像角度を算出部123に出力する。
また、領域輝度取得部121は、画像取得部101が動いている同一の撮像対象物が連続して撮像された複数の画像データを取得した場合は、それぞれの画像データから同じ画素の領域の輝度値を取得する。この場合は、撮像素子が固定されており、該同一撮像対象物が湖の水などの時間的変化で動いているような被写体であることが好ましい。領域輝度取得部121は、取得したそれぞれの領域の複数の輝度を算出部123に出力する。また、領域輝度取得部121は、連続して撮像された複数の画像データの撮像時間を算出部123に出力する。
偏角依存特性パターン保持部122は、複数の偏角依存特性パターンを保持する。つまり、様々な偏角依存特性パターンを保持する。算出部123は、同一の撮像対象物が異なる方向から撮像された複数の画像データを画像取得部101が取得した場合は、領域輝度取得部121が取得したそれぞれの領域の被写体の複数の輝度とそれぞれの撮像角度とから、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データを算出する。算出部123は、それぞれの領域の被写体の複数の輝度及び撮像角度からスプライン関数を用いて、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データを算出してもよい。また、算出部123は、それぞれの領域の被写体の複数の輝度及び撮像角度と、更に正規分布であるという情報とから、偏角依存特性データを算出してもよい。また、算出部123は、偏角依存特性パターン保持部122が保持している複数の偏角依存特性パターンのうち、それぞれの領域の被写体の複数の輝度及び撮像角度と最も一致す偏角依存特性パターンを選択することにより、偏角依存特性データを算出してもよい。
また、算出部123は、画像取得部101が動いている同一の撮像対象物が連続して撮像された複数の画像データを取得した場合は、領域輝度取得部121が取得したそれぞれの領域の複数の輝度と撮像時間から、異なる時間における被写体の輝度を示す時間依存特性データを、偏角依存特性データとして算出してもよい。また、算出部123は、それぞれの領域の複数の輝度及び撮像時間からスプライン関数を用いて、それぞれの領域の被写体の時間依存特性データを、偏角依存特性データとして算出してもよい。また、算出部123は、それぞれの領域の被写体の複数の輝度及び撮像時間と、更に正規分布であるという情報とから、時間依存特性データを、偏角依存特性データに変換してもよい。また、算出部123は、それぞれの領域の複数の輝度及び撮像時間を、それぞれの領域の輝度及び角度としてみた場合に、偏角依存特性パターン保持部122が保持している複数の偏角依存特性パターンのうち、最も一致する偏角依存特性パターンを選択することにより、偏角依存特性データを算出してもよい。
図4は、算出部123が算出する偏角依存特性データの一例を示す。黒点は、実際に撮像した画像データから得られたある領域の被写体の複数の輝度値を示す。また、この黒点に示すそれぞれの輝度値は、撮像角度θaで撮像された画像データから得られた該ある領域の被写体の輝度値、撮像角度θbで撮像された画像データから得られた該ある領域の被写体の輝度値、撮像角度θcで撮像された画像データから得られた該ある領域の被写体の輝度値をそれぞれ示している。つまり、画像取得部101が取得した画像データは、同一撮像対象物を、撮像角度θa、撮像角度θb、及び撮像角度θcのそれぞれの角度で撮像された画像データということになる。算出部123は、それぞれの黒点が示す輝度値及び撮像角度からそれぞれの角度における輝度値をスプライン関数により算出することにより図4に示す偏角依存特性データを算出してもよい。また、算出部123は、偏角依存特性パターン保持部122が保持している偏角依存特性パターンのうち、黒点に示す輝度値及び撮像角度と最も一致する偏角依存特定パターンを選択することにより、図4に示す偏角依存特性データを算出してもよい。
図5は、画像生成部105の画像データの生成を説明するための図を示す。図5は、A領域、B領域、及びC領域の被写体の偏角依存特性データをそれぞれ示す。画像生成部105は、偏角依存特性取得部102が取得したそれぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、印刷対象となる画像データの複数の領域の被写体の輝度が同一の角度から見た場合の輝度となる画像データを、複数の角度毎に生成する。つまり、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、それぞれの角度から見た輝度となるような画像データをそれぞれ生成する。
ここでは、画像取得部101が取得した画像データのうち、撮像角度θ5で撮像された画像データから複数の角度毎の画像データを生成する場合について説明する。この撮像角度θ5で撮像された画像データを画像データθ5という。まず、画像取得部101は、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、画像データθ5から、撮像角度θ1から見た輝度となるような画像データを生成する。詳しくは、画像データθ5のA領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、θ1から撮像した場合のA領域の被写体の画像データを算出する。つまり、A領域の被写体の偏角依存特性データを見ると、θ1の輝度がθ5の輝度より低いので、画像データθ5におけるA領域の被写体の輝度が、撮像角度θ1におけるA領域の被写体の輝度となるように、画像データθ5のA領域の被写体の画像データの輝度を下げる。即ち、A領域の被写体の偏角依存特性データのθ5における輝度とθ1における輝度との比と、画像データθ5のA領域の被写体の画像データとから、θ1における輝度となるようにA領域の被写体の画像データを算出する。
同様に、画像データθ5のB領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、θ1から見た輝度となるようなB領域の被写体の画像データを算出する。つまり、画像データθ5のB領域の被写体の画像データの輝度が、撮像角度θ1におけるA領域の被写体の輝度となるように、画像データθ5のB領域の被写体の画像データを算出する。同様に、画像データθ5のC領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、θ1から見た輝度となるようなC領域の被写体の画像データを算出する。つまり、画像データθ5のC領域の被写体の画像データの輝度が、撮像角度θ1におけるC領域の被写体の輝度となるように、画像データθ5のC領域の被写体の画像データを算出する。このように、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、θ1の画像データを生成することができる。また、同様に、θ2、θ3・・・等のそれぞれの角度における画像データを生成することができる。なお、θ5の画像データは、元々あるので算出しなくてもよい。
なお、画像生成部105は、印刷対象となる画像データのうち、領域検出部107が検出した領域以外の領域の画像データは変えずに、該検出された領域の画像データの輝度を、該領域の偏角依存特性データに基づいて変えた画像データを角度毎に生成してもよい。つまり、領域検出部107が検出した印刷対象となる画像データの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、該検出した領域の輝度がある角度から見た場合の輝度となる画像データを、角度毎に生成してもよい。詳しくは、印刷対象となる画像データのうち、検出した領域以外の領域の画像データは変えずに、検出した領域の偏角依存特性に基づいて、該領域の画像の輝度がある角度から見た輝度となるような画像データを複数の角度毎に生成してもよい。また、領域検出部107が複数の領域を検出した場合は、画像生成部105は、該検出したそれぞれの領域の偏角依存特性データに基づいて、該検出したそれぞれの領域の輝度が同一の角度から見た場合の輝度となる画像データを角度毎に生成してもよい。
表示部106は、画像生成部105により生成された複数の画像データを角度順に表示させる。例えば、最初に角度θ1の画像データを表示させ、次に角度θ2の画像データを表示させ、次に角度θ3の画像データを表示させるというように角度順に表示させる。
図6は、印刷画像生成部108、再現処理データ生成部109、及び印刷装置110の一例を示す。印刷画像生成部108は、画像生成部131と、間引き処理部132とを有する。また、再現処理データ生成部109は、位置データ生成部133を有する。また、印刷装置110は、印刷部141と再現処理部142を有する。
印刷画像生成部108の画像生成部131は、画像取得部101が取得した印刷対象となる画像データのうち、領域検出部107が検出した領域の画像データから、該領域の右目用の画像データと左目用の画像データを生成する。レンチキュラーレンズのサイズに対応する同じ画素領域に右目用と左目用といった複数の角度の画像データを埋め込むことが必要になる。画像を間引くことにより同じ画素領域に複数の角度画像データを埋め込むことが可能となる。このための、間引き処理部132は、生成した右目用の画像データと左目用の画像データとに間引き処理を施す。右目用の画像データと左目用の画像データを間引くことにより、右目用の画像データと左目用の画像データとを合わせた画像データの解像度を、領域検出部107が検出した領域の画像データの解像度と同じにすることができる。また、間引き処理部132は、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度差の値の周波数が、閾値より高い場合には、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度の差がピークとなる位置以外の何れかの画素の画素値を間引く。
そして、印刷画像生成部108は、画像取得部101が取得した印刷対象の画像データと、間引き処理部132が間引いた右目用及び左目用の画像データとから印刷画像データを生成する。詳しくは、印刷画像生成部108は、印刷対象となる画像データの画像のうち、領域検出部107が検出した領域の画像データが、右目用の画像データの画像と左目用の画像データの画像とを交互に組み合わせた画像データとなるような印刷画像データを生成する。また、印刷画像生成部108は、右目用の画像データと左目用の画像データとが横の方向に向かって交互に組み合わせてよい。また、この領域検出部107が検出した領域にレンチキュラーレンズが付与されるので、印刷画像生成部108は、印刷装置110で印刷画像に付与されるレンチキュラーの凸レンズの半分のピッチで右目用の画像データと左目用の画像データとが交互に組み合わせる。印刷画像生成部108は、生成した印刷画像を印刷装置110の印刷部141に出力する。なお、レンチキュラーレンズは縦方向に伸びた複数の凸レンズから構成されている。また、凸レンズの長手方向の辺と凸レンズの長手方向の辺とは接触しているような構造を有している。凸レンズのピッチとは、凸レンズの短手方向の幅のことをいう。
再現処理データ生成部109の位置データ生成部133は、領域検出部107から送られてきた領域に基づいてレンチキュラーレンズを付与する領域、及びレンチキュラーレンズの方向等のレンズキュラーレンズを付与する位置を示す位置データを生成する。位置データ生成部133は、レンチキュラーレンズが凸レンズが縦方向となるような位置データを生成してもよい。この縦方向とは、印刷画像をユーザが観察する場合に、上下方向、つまり、首を縦に振る方向となるような方向のことをいう。通常、観察者が印刷物を見る場合は、上下方向ではなく、横方向に視線、観察位置が変わるからである。また、位置データ生成部133は、右目用の画像及び左目用の画像に凸レンズが合わさるようなレンチキュラーレンズの位置データを生成する。再現処理データ生成部109は、生成した位置データを印刷装置110の再現処理部142に出力する。
印刷装置110の印刷部141は、印刷画像生成部108から送られてきた印刷画像データの画像を印刷する。つまり、印刷部141は、領域検出部107が検出した領域以外に、画像取得部101が取得した印刷対象となる画像データの画像を印刷するとともに、領域検出部107が検出した領域には、右目用の画像データと左目用の画像データとを、レンチキュラーレンズの凸レンズの半分のピッチで交互に印刷する。また、印刷部141は、間引かれた右目用の画像データと左目用の画像データとを領域検出部107が検出した領域に交互に印刷する。また、印刷部141は、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度差の値の周波数が閾値より高い場合は、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度の差がピークとなる位置以外の何れかの画素値が間引かれた右目用及び左目用の画像データを交互に印刷する。印刷部141は、インクジェット方式、ドットインパクト方式、乾式電子写真方式などにより印刷してもよい。また、印刷部141は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタなどの印刷機器を有してよい。また、CPU等の情報処理装置がプログラムによって、印刷機器を印刷部141として機能させてもよい。
再現処理部142は、印刷部141が印刷した印刷画像の中の領域検出部107が検出した被写体の領域上に、該検出した領域の被写体の偏角依存特性データを擬似的に再現する処理を施す。具体的には、再現処理データ生成部109から送られてきた位置データにしたがって、レンチキュラーレンズを印刷画像の領域検出部107が検出した領域上に付与する。また、再現処理部142は、検出した領域上に印刷された右目用の画像と左目用の画像の上に、レンチキュラーレンズの凸レンズが合わさるようにレンチキュラーレンズを付与する。再現処理部142は、既に出来上がっているレンチキュラーレンズを印刷画像上に付与してもよく、光沢インクを噴出して印刷画像上にレンチキュラーレンズを形成するようにしてもよい。光沢インクを噴出して印刷画像上にレンチキュラーレンズを形成する場合は、再現処理部142は、インクジェットプリンタなどの印刷機器によって実現してもよい。また、既に出来上がっているレンチキュラーレンズを付与する場合は、レンチキュラーレンズを印刷画像上に付与する機械構造と、該機械構造を制御する情報処理装置とによって再現処理部142を実現してもよい。
図7は、画像生成部131が右目用及び左目用の画像データを生成する理由を説明するための図を示す。ここでは、説明の便宜上、カメラ201で撮像された画像205を、カメラ201と撮像対象物202の間に配置している。A領域に注目した場合に、カメラ201は、撮像対象物202のA領域の被写体の光を撮像する。具体的には、カメラ201は、A領域からの光a0を撮像する。画像上のA1が撮像されたA領域を示す。この画像上にあるA1は、観察者の左目203、右目204にはともに同じに映る。つまり、左目203、及び右目204には略同じ光Iが入射される。
ところが実際は、左目203には、A領域からの光a1が入射され、右目204には、B領域からの光a2が入射される。つまり、観察者は、左目203と右目204とで見る光が違うことになる。また、同一の領域の被写体からの、右目204に入る光の輝度と左目203に入る光の輝度との差が大きいほど、観察者には該同一の領域の被写体がキラキラと光っているように見える。例えば、左目203に入射する光a1の輝度が高く、右目204に入射する光a2の輝度が小さい場合は、観察者にはA領域がキラキラ光っている領域に見える。しかし、カメラ201で撮像するとA領域の画像つまり、A1領域はキラキラ光っているように見えなくなってしまう。したがって、A1領域の画像データから左目用のA1領域の画像データと右目用のA1領域の画像データを生成する。この生成は、A1領域の偏角依存特性データに基づいて左目用及び右目用のA1領域の画像データを生成する。つまり、領域Aの被写体の偏角依存特性データを用いて、A1領域の画像データの輝度が、a0とa1とのなす角θx分ずれた輝度となるような画像データを生成することによりA1領域の左目用の画像データを生成する。また、同様に、領域Aの被写体の偏角依存特性データを用いて、A1領域の画像データの輝度が、a0とa2とのなす角θy分ずれた輝度となるような画像データを算出することによりA1領域の右目用の画像データを生成する。このように、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データを用いて、それぞれの領域の右目用及び左目用の画像データを生成する。
図8は、右目用の画像データと左目用の画像データの輝度差と画素位置との関係の一例を示す。横軸は画素の位置を示しており、縦軸は輝度差を示す。右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度差は、それぞれ同じ画素同士の輝度の差のことをいう。つまり、右目用及び左目用の画像データは、領域検出部107が検出した領域の画像データから生成されたものであり、該検出した領域の画像データのそれぞれの画素値から生成された右目用の画素値と左目用の画素値との輝度の差分をとった値となる。なお、画素は2次元に配列されているので、それぞれの画素における輝度差の空間周波数が得られるが、図8では、説明の便宜上、あるラインにおける輝度差と画素の位置との関係を示している。
波211は、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度差の値の周波数が高く、波212は、右目用の画像データと左目用の画像データの輝度差の値の周波数が波211より低い。波211のように、輝度差の周波数が高い場合に、間引き処理部132が所定間隔又はランダムに画素値を間引いてしまうと、キラキラが低減された画像となる虞がある。つまり、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度の差が大きいほど、人間にはキラキラと光っているように見える。しかし、間引き処理部132が所定間隔又はランダムに間引いてしまうと、輝度差がピークとなる右目用及び左目用の画像データの画素値を間引いてしまう虞がある。そこで、間引き処理部132は、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度差の周波数が閾値より高い場合は、輝度差がピークとなる右目用及び左目用の画像データの画素値を間引かずに、輝度差がピークとならない画素値を間引く。波211の中の黒点は、輝度差がピークとなる輝度差の値を示している。したがって、間引き処理部132は、黒点がある位置以外の右目用及び左目用の画像データの何れかの画素値を間引く。つまり、間引き処理部132は、黒点がある画素の位置の右目用及び左目用の画像データの画素値以外の何れかの右目用及び左目用の画像データの画素値を間引く。
波212のように、輝度差の値の周波数が低い場合は、所定間隔に間引いても画像のキラキラ感は、輝度差の値の周波数が閾値より高い場合に比べ然程低減されない。したがって、間引き処理部132は、右目用の画像データと左目用の画像データの輝度差の値の周波数が閾値以下の場合は、間引き処理部132は、所定間隔に右目用及び左目用の画像データの画素値を間引く。なお、この場合は、間引き処理部132は、所定間隔に間引きかなくてもよく、一定の規則にしたがって、又は、ランダムに間引くようにしてもよい。
偏角依存性を印刷として表現する方法として、レンチキュラーレンズを用いる方法を今まで述べたが、偏角依存特性を持つ他の方法を適用することもできる。例えば光の波長オーダの干渉縞パターンを画像の特定領域に設け光の反射を角度方向に制御することができる。また、透明なインクでミクロな凹凸を設け、反射特性が角度依存性を持たせてもよい。透明インクの凹凸の右斜面と、左斜面により角度依存性を実現する。またミクロな反射角度依存性を持つものを分散したインクを使用することもできる。インク中に微細な金属泊、雲母のような層構造を持つ物質を画像表面に設けるとこれら物質の性質により反射光が角度依存性を持つことが出来る。干渉パターンを生成する方法について以下述べる。
図9は、印刷画像生成部108、再現処理データ生成部109、及び印刷装置110の別の一例を示す。再現処理データ生成部109は、位置データ生成部151と、干渉パターン取得部152とを有する。また、印刷装置110は、印刷部161と、フィルム付与部162とを有する。
印刷画像生成部108は、画像取得部101が取得した印刷対象となる画像データを印刷画像データとして、そのまま印刷装置110の印刷部161に出力する。再現処理データ生成部109の位置データ生成部151は、領域検出部107が検出した領域に基づいて、干渉縞を有する光沢フィルムを付与する領域の位置を示す位置データを生成する。また、領域検出部107が複数の領域を検出した場合は、位置データ生成部151は、領域検出部107が検出したそれぞれの領域及び該それぞれの領域の偏角依存特性データに基づいて、異なる干渉縞をそれぞれ有する光沢フィルムを付与するそれぞれの領域の位置を示す位置データを生成する。位置データ生成部151は、偏角依存特性取得部102が取得したそれぞれの領域の偏角依存特性データに基づいて、異なる干渉縞を有する光沢フィルムを付与するそれぞれの領域の位置を示す位置データを生成してもよい。
干渉パターン取得部152は、領域検出部107が検出した領域の被写体の偏角依存特性データに対応する干渉パターンを取得する。つまり、干渉パターン取得部152は、領域検出部107が検出した領域の被写体の偏角依存特性データを擬似的に表す干渉パターンを取得する。また、領域検出部107が複数の領域を検出した場合は、干渉パターン取得部152は、該検出したそれぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに対応した干渉パターンをそれぞれ取得する。干渉パターン取得部152は、それぞれの偏角依存特性データに対応した干渉パターンを記録したテーブルを有してよく、干渉パターン取得部152は、該テーブルから領域検出部107が検出した領域の被写体の偏角依存特性データに応じた干渉パターンを該テーブルから取得するようにしてもよい。また、干渉パターン取得部152は、計算により領域検出部107が検出した領域の被写体の偏角依存特性データに応じた干渉パターンを算出するようにしてもよい。また、干渉パターン取得部152は、偏角依存特性取得部102が取得したそれぞれの領域の偏角依存特性データに対応した干渉パターンをそれぞれ取得してもよい。再現処理データ生成部109は、位置データ生成部151が生成した位置データと、干渉パターン取得部152が取得した干渉パターンとを印刷装置110のフィルム付与部162に出力する。
印刷装置110の印刷部161は、印刷画像生成部108から送られてきた印刷画像データの画像を印刷する。印刷部161は、インクジェット方式、ドットインパクト方式、乾式電子写真方式などにより印刷してもよい。また、印刷部161は、レーザープリンタ、インクジェットプリンタなどの印刷機器を有してよい。また、CPU等の情報処理装置がプログラムによって、印刷機器を印刷部161として機能させてもよい。
フィルム付与部162は、印刷部141が印刷した印刷画像の中の領域検出部107が検出した領域上に、該領域の被写体の偏角依存特性データに対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを付与する。また、領域検出部107が複数の領域を検出した場合は、フィルム付与部162は、印刷画像の中の該検出したそれぞれの領域上に、該それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データにそれぞれ対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムをそれぞれ付与する。具体的には、フィルム付与部162は、再現処理データ生成部109から送られてきたそれぞれの領域の位置データ及び干渉パターンにしたがって、印刷部141が印刷した印刷画像の中の領域検出部107が検出した領域上に、該領域に対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを付与する。
この光沢フィルムの付与は、印刷画像上に紫外線インクを塗布して、該紫外線インク上で紫外線光を干渉させることにより、干渉縞を有する光沢フィルムを印刷画像に付与してもよい。つまり、印刷画像上に塗布された紫外線インクが光沢フィルムとなる。また、フィルム付与部162は、既に出来上がっている干渉縞を有する光沢フィルムを印刷画像に付与してもよい。
また、フィルム付与部162は、印刷部141が印刷した印刷画像の中のそれぞれの領域上に、該それぞれの領域の偏角依存特性データに対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを付与してよい。具体的には、フィルム付与部162は、再現処理データ生成部109から送られてきたそれぞれの領域の位置データ及び干渉パターンにしたがって、印刷部141が印刷した印刷画像の中のそれぞれの領域上に、該それぞれの領域の対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを付与する。この光沢フィルムの付与は、印刷画像上に紫外線インクを塗布して、該紫外線インク上で紫外線の光を干渉させることにより、干渉縞を有する光沢フィルムを印刷画像に付与してもよい。また、フィルム付与部162は、既に出来上がっている干渉縞を有する光沢フィルムを印刷画像に付与してもよい。
図10は、フィルム付与部162の構成の一例を示す。特に、図10は、紫外線インク221上で紫外線光を干渉させることにより、干渉縞を有する光沢フィルムを付与するフィルム付与部162の構成の一例を示す。フィルム付与部162は、照射部171、ハーフミラー172、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)173、及びDMD制御部174を有する。照射部171は、紫外線光をハーフミラー172に照射する。なお、照射部171は、紫外線光以外の光を照射してもよい。ハーフミラー172は、照射された光を2つの光束に分割する。ハーフミラー172は、照射された紫外線光の1部を透過して、残りの紫外線光を反射することにより2つの光束に分割する。ハーフミラー172は、透過する紫外線光の強さと反射する紫外線光の強さとがほぼ1対1となるように分割することが好ましい。ハーフミラー172を反射した紫外線光はデジタルマイクロミラーデバイスに入射される。また、ハーフミラー172を透過した紫外線光は、印刷画像上に塗布された紫外線インク221に入射する。なお、紫外線インクではなく、光沢インクなどの他のインクを印刷画像上に塗布してもよい。
デジタルマイクロミラーデバイス173は 、2次元的に配列された微小なミラーから構成された多数の画素を有する。この複数の画素のそれぞれの傾きを制御することにより、反射光の反射角度を画素毎に変化させることによって、ON/OFF状態を画素毎につくる。ON状態の画素は、反射した紫外線光を紫外線インク221に入射させる。また、OFF状態の画素は、反射した紫外線光は紫外線インク221に入射させない。DMD制御部174は、再現処理データ生成部109から送られてきた干渉パターンをデジタルマイクロミラーデバイス173の反射面上に生成する。詳しくは、DMD制御部174は、再現処理データ生成部109から送られてきた干渉パターンとなるように、デジタルマイクロミラーデバイス173のそれぞれの画素のON/OFF状態を制御する。また、DMD制御部174は、再現処理データ生成部109から送られてきた位置データに基づいてそれぞれの画素のON/OFF状態を制御する。つまり、DMD制御部174は、再現処理データ生成部109から送られてきたそれぞれの位置データに基づく領域にそれぞれの干渉パターンが発生するようにそれぞれの画素のON/OFF状態を制御する。また、DMD制御部174は照射部171を制御してもよい。このDMD制御部174は、CPU等の情報処理装置によって実現してよい。
ハーフミラー172を透過した紫外線光と、デジタルマイクロミラーデバイス173を反射した光とを、紫外線インク221上で干渉させることにより、再現処理データ生成部109から送られてきた干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを印刷画像上に付与する。つまり、紫外線インク221が光沢フィルムとなる、この紫外線インク221は、印刷部161が印刷画像上に紫外線インク221を塗布してもよく、フィルム付与部162が印刷画像上に紫外線インク221を塗布してもよい。また、紫外線インク221は、領域検出部107が検出した領域に対応する印刷画像上の領域に塗布してもよく、印刷画像上の全領域に塗布してもよい。なお、紫外線インク221を予め印刷画像上に塗布するのではなく、紫外線インク221上に紫外線光を干渉させて光沢フィルムを生成した後に、印刷画像上に該生成した光沢フィルムを付与してもよい。また、フィルム付与部162は、それぞれ異なる干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを複数有しており、再現処理データ生成部109から送られてきた干渉パターンに対応する光沢フィルムを付与するようにしてもよい。出来上がった光沢フィルムを印刷画像上に付与する場合は、光沢フィルムを印刷画像上に付与する機械構造と、該機械構造を制御する情報処理装置とによってフィルム付与部162を実現してもよい。
なお、図6及び図9で、印刷画像生成部108、再現処理データ生成部109、及び印刷装置110の構成を示したが、印刷画像生成部108及び再現処理データ生成部109は、印刷装置110の種類に応じて、その機能を変えるようにしてもよい。つまり、図6に示したような印刷装置110で印刷する場合は、印刷画像生成部108及び再現処理データ生成部109は、図6で示したような機能で動作する。また、図9に示したような印刷装置110で印刷する場合は、印刷画像生成部108及び再現処理データ生成部109は、図9で示したような機能で動作する。
次に、画像形成装置100の動作について説明する。画像取得部101は画像データを取得すると、該取得した画像データを偏角依存特性取得部102に出力する。偏角依存特性取得部102は、取得した画像データから、該画像データの複数の領域のそれぞれの被写体の偏角依存特性データを取得する。ここで、偏角依存特性取得部102は、印刷装置110の印刷性能に応じて、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データを算出して取得してもよい。つまり、画像データからそのまま取得した偏角依存特性データを印刷装置110ではそのまま再現できない場合もあるので、印刷装置110で再現できる偏角依存特性データに変更する。なお、ユーザは画像を印刷する印刷装置110の種類を選択することができてよく、偏角依存特性取得部102は、該選択した印刷装置110の性能に応じて、偏角依存特性データを算出してもよい。印刷性能の具体的な例としてレンチキュラーレンズ方式の場合を説明する。1つのレンチキュラーレンズの下に配置する画像数を増やし右目・左目だけでなくその中間の角度画像を配置した方が自然な画像になることが知られている。しかし何種類の角度データを配置出来るかは、プリンタの解像度と、使用するレンチキュラーレンズのサイズといった印刷システムの能力に依存する。
そして、画像生成部105は、偏角依存特性取得部102が取得したそれぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、画像取得部101が取得した印刷対象となる画像データの複数の領域の輝度が同一の角度からみた場合の輝度となる画像データを、複数の角度毎に生成する。つまり、それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、それぞれの角度から見た輝度となるような画像データを複数生成する。そして、表示部106は、該画像生成部105が生成した角度毎の画像データを、角度の順に表示する。これにより、それぞれの角度から見た輝度で印刷対象となる画像データが表示され、印刷する前に、印刷する画像が実際どのように見えるのかを前もって確認することができる。なお、画像生成部105は、領域検出部107が検出した領域の偏角依存特性データに基づいて、該検出した領域の輝度がある角度から見た場合の輝度となる画像データを、複数の角度毎に生成してもよい。これにより、印刷する画像を異なる角度からみた画像を精度よく再現した画像データを生成することができる。つまり、印刷された画像は、領域検出部107が検出した領域に、該領域の偏角依存特性データが再現されているので、該検出した領域の偏角依存特性データに基づいて、角度毎に該領域の輝度を変えた画像データを生成することで、実際に印刷される画像の再現できる。
ユーザは、表示部106により順次表示された角度毎の画像データを見ながら、適切な偏角依存特性データが再現されているか否かを確認する。ユーザは、適切な偏角依存特性データが再現されていないと判断すると、操作部103を操作することにより、それぞれの領域の偏角依存特性データの変更を指示することができ、変更部104が該指示にしたがって、それぞれの領域の偏角依存特性データを変更する。この変更の方法としては、例えば、偏角依存特性データの、角度に対する輝度の分散値を高くしたり、小さくする。そして、画像生成部105は、変更後のそれぞれの領域の偏角依存特性データに基づいて、角度毎の画像データを生成する。そして、表示部106は、該生成された複数の画像データを角度の順に表示する。このように、表示された画像を見ることにより、適切な偏角依存特性データに変更することができる。
領域検出部107は、偏角依存特性取得部102が取得したそれぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、角度に対する輝度の分散値が所定値より小さい被写体の領域を検出する。ここで、領域検出部107は、変更部104により偏角依存特性データが変更された場合は、変更後のそれぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに基づいて、角度に対する輝度の分散値が所定値より小さい被写体の領域を検出してもよい。
そして、印刷画像生成部108は、画像取得部101が取得した印刷対象となる画像データから印刷画像データを生成する。また、再現処理データ生成部109は、印刷した印刷画像の中のそれぞれの領域上に、偏角依存特性データを再現させるため再現処理データを生成する。印刷装置110は、印刷画像生成部108が生成した印刷画像データ及び再現処理データ生成部109が生成した再現処理データに基づいて、画像を印刷するとともに偏角依存特性データを再現した質感処理を行う。
ここで、図6に示す印刷装置110で画像を印刷する場合の、印刷画像生成部108、再現処理データ生成部109、及び印刷装置110の動作について説明する。印刷画像生成部108の画像生成部131は、領域検出部107が検出した領域の画像データから、右目用の画像データと左目用の画像データを生成する。そして、間引き処理部132は、生成した右目用の画像データと左目用の画像データとに間引き処理を施す。このとき、間引き処理部132は、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度差の値の周波数が閾値より高い場合は、右目用の画像データと左目用の画像データとの輝度差がピークとなる位置以外の何れかの画素の画素値を間引く。そして、印刷画像生成部108は、画像取得部101が取得した印刷対象の画像データと、間引き処理部132が間引いた右目用の画像データ及び左目用の画像データとから印刷画像データを生成する。つまり、印刷対象となる画像データのうち、領域検出部107が検出した領域の画像データが、右目用の画像データと左目用の画像データとが交互に組み合わされた画像データとなるような印刷画像データを生成する。
再現処理データ生成部109の位置データ生成部133は、領域検出部107から送られてきた領域に基づいてレンチキュラーレンズを付与する領域、及びレンチキュラーレンズの方向等のレンズキュラーレンズを付与する位置を示す位置データを生成する。また、位置データ生成部133は、右目用の画像及び左目用の画像に凸レンズのピッチが合わさるようなレンチキュラーレンズの位置データを再現処理データとして生成する。
そして、印刷装置110の印刷部141は、印刷画像生成部108から送られてきた印刷画像データの画像を印刷する。再現処理部142は、印刷部141が印刷した印刷画像の中の領域検出部107が検出した被写体の領域上に、該検出した領域の被写体の偏角依存特性データを擬似的に再現する処理を施す。具体的には、再現処理部142は、再現処理データ生成部109から送られてきた位置データにしたがって、レンチキュラーレンズを印刷画像の領域検出部107が検出した領域上に付与する。これにより、再現処理部142は、検出した領域上に印刷された右目用の画像と左目用の画像の上に、レンチキュラーレンズの凸レンズが合わさるようにレンチキュラーレンズを付与することができる。また、右目用の画像を観察者の右目に、左目用の画像を観察者の左目にそれぞれ見せることができ、偏角依存特性データを再現することができる。したがって、見る角度によってキラキラと光る領域が変わる画像を形成することができる。
また、レンチキュラーレンズを印刷画像の一部の領域に対して付与するので、画質の低下を防ぐことができる。印刷画像のすべての領域にレンチキュラーを設ける場合は、全範囲に亘って右目用の画像と左目用の画像を交互に印刷することになり、解像度及び画質の低下につながる。しかし、キラキラと光る領域に対してのみレンチキュラーレンズを設けるので、画質を不必要に低下させることがない。
ここで、図9に示す印刷装置110で画像を印刷する場合の、印刷画像生成部108、再現処理データ生成部109、及び印刷装置110の動作について説明する。印刷画像生成部108は、画像取得部101が取得した印刷対象となる画像データを印刷画像データとして、そのまま印刷装置110の印刷部161に出力する。再現処理データ生成部109の位置データ生成部151は、領域検出部107が検出領域に基づいて、干渉縞を有する光沢フィルムを付与する領域の位置を示す位置データを生成する。また、再現処理データ生成部109の干渉パターン取得部152は、領域検出部107が検出した領域の被写体の偏角依存特性データに対応する干渉パターンを取得する。また、領域検出部107が複数の領域を検出した場合は、該それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データに対応する干渉パターンを取得する。再現処理データ生成部109は、位置データ生成部151が生成した位置データ、及び干渉パターン取得部152が取得した干渉パターンを再現処理データとしてフィルム付与部162に出力する。
印刷装置110の印刷部161は、印刷画像生成部108から送られてきた印刷画像データを印刷する。フィルム付与部162は、印刷部141が印刷した印刷画像の中の領域検出部107が検出した領域上に、該領域の被写体の偏角依存特性データに対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを付与する。また、領域検出部107が複数の領域を検出した場合は、フィルム付与部162は、印刷画像の中の該検出したそれぞれの領域上に、該それぞれの領域の被写体の偏角依存特性データにそれぞれ対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムをそれぞれ付与する。具体的には、フィルム付与部162は、再現処理データ生成部109から送られてきたそれぞれの領域の位置データ及び干渉パターンにしたがって、印刷部141が印刷した印刷画像の中の領域検出部107が検出した領域上に、該領域の偏角依存特性データに対応する干渉パターンの干渉縞を有する光沢フィルムを付与する。これにより、領域毎に偏角依存特性データを再現することができ、見る角度によってキラキラと光る領域が変わる画像を形成することができる。なお、また、所定のプログラムを読み込んだCPU等の情報処理装置が、画像形成装置100として機能してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多用な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。その用な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。