JP5200656B2 - 動態撮影システム - Google Patents
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Description
被写体の胸部に対してX線を照射することにより前記被写体の動態を複数周期にわたって撮影し、各動態画像に対応する信号値を生成する撮影手段と、
前記撮影手段によって生成された前記信号値の変化から前記動態の複数の周期を認識し、認識された周期毎に前記動態が示す特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段によって算出された周期毎の特徴量に基づいて前記複数周期に係る前記動態の診断支援情報を生成する制御手段と、
を備える。
前記動態は自然呼吸であり、
前記診断支援情報は、前記被写体の肺換気機能が、正常、周期不整、閉塞性、拘束性のうちのいずれかを示す情報のうちの1つ以上の情報である。
前記撮影手段によって撮影された前記動態画像の肺野領域を複数の小領域に分割する領域分割手段を更に備え、
前記特徴量算出手段は、前記小領域毎に前記特徴量を算出する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における動態撮影システム1を示す。
図1に示すように、動態撮影システム1は、撮影装置10、撮影用コンソール20、診断用コンソール30と、画像処理装置40と、サーバ50とを備えて構成され、それぞれはネットワークNを介して接続されている。
図2に示すように、撮影装置10は、X線源11、検出器12、読取部13、サイクル検出部14を備えて構成されている。一方、撮影用コンソール20は、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成されている。診断用コンソール30も同様に、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34,通信部35を備えて構成されている。
撮影装置10は、被写体Mに対しX線を照射し、検出器12からX線画像を読み取る。撮影装置10では動態撮影が可能である。動態撮影とは撮影を連続的に行い、複数の時間位相における動態画像を得る撮影方法である。動態画像とは動態撮影により得られた撮影画像をいい、本実施形態では動態画像はX線画像である。
本実施の形態においては、撮影装置10は自然呼吸を繰り返す被写体Mの胸部を動態撮影し、複数の時間位相における複数の動態画像を取得する撮影手段として機能する。
パルスレートとは、単位時間あたりの撮影回数である。パルス幅とは、撮影1回あたりのX線照射時間である。パルス間隔とは、連続撮影においてあるX線照射開始から次の撮影でのX線照射を開始するまでの時間である。照射開始/終了タイミングとは、被写体Mに対してX線の照射を開始/終了するタイミングのことである。X線管電流とは、X線源11を構成するX線管を流れる電流であり、X線管電圧とは、X線管に加えられる電圧である。
サイクル検出部14は、検出したサイクルの情報を、撮影用コンソール20の制御部21に出力する。
撮影用コンソール20は技師の撮影操作のために用いられ、撮影条件等の入力を受け付けたり、撮影装置10のX線画像を技師が確認するために表示したりする。診断用コンソール30は、医師の操作のために用いられ、撮影用コンソール20から送信されるX線画像から診断支援情報を生成したり、医師が診断するために表示したりする。
)等により構成されている。制御部21は記憶部22に記憶されている各種プログラムをCPUにより読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムとの協働により各種演算を行ったり、各部の動作を集中制御したりして処理を実行する。
なお、制御部21はCPUクロックを利用して時間を計時するタイマ機能を有する。
表示部24はディスプレイを備え、制御部21の表示制御に従って各種操作画面や撮影により得られたX線画像等を表示する。
通信部25は、通信用のインターフェイスを備え、ネットワークNに接続された外部装置と通信を行う。
画像処理装置40とサーバ50は、撮影により得られたX線画像を提供するために用いられ、制御部等を備えて構成されている。画像処理装置40とサーバ50の構成は、撮影用コンソール20の構成と同様であるので説明を省略する。
本実施形態に係る動態撮影システム1は、胸部の動態撮影を行い、得られた複数の時間位相における動態画像を領域分割し、当該分割された領域ごとに平均信号値を算出し、時系列のデータとする。この時系列の平均信号値のデータから特徴量として振幅及び周期を算出し、当該特徴量の各周期間の変化に基づいて肺換気機能の正常/異常を判別し、表示部34に当該判別結果を表示する。
図3に示すように、まず撮影装置10において被写体Mに対して動態撮影が行われ、複数の時間位相における動態画像が生成される(ステップS101)。
ステップS101においては、具体的には以下のような処理が行われることになる。
撮影にあたっては、撮影技師が撮影用コンソール20の操作部23を介して、被写体Mに関する患者情報の入力、撮影部位の指定操作等を行う。患者情報には被写体M(患者)の氏名の他、年齢、性別、体重、身長等の患者の属性を示す情報が含まれる。
以下、撮影技師により「肺(換気)」の撮影部位が指定されたとして説明する。換気能を診断するために肺を撮影する場合、呼吸サイクルは平均0.3回/秒程度であることから、これを考慮して複数の時間位相の動態画像を少なくとも1つの呼吸位相について撮影できるように、例えば下記の撮影条件が設定される。
フレームレート(パルスレート):2フレーム/秒(つまり1秒あたり3回の撮影)
画素サイズ:150μm
画像サイズ:40cm×40cm
管電圧:120kV
管電流:50mA
撮影タイミング:吸気から呼気への変換点のタイミング(撮影開始タイミング)からフレーム間隔時間毎
以上説明したステップS101の処理により、複数の時間位相における動態画像が生成され、撮影用コンソール20に出力される。
図4に示すように、肺野領域は右上葉、左上葉、右中葉、右下葉、及び左下葉のように解剖学的構造毎に分割される。図4のように領域分割された場合は、当該解剖学的構造毎に肺換気機能を判別することが可能となる。
この場合の分割時には、ステップS102においては解剖学的構造の位置及び名称が予め定められた参照画像を用いて、当該参照画像の肺野領域と各動態画像の肺野領域とが略一致するように非線形ワーピング処理等により画像変換することにより各解剖学的構造の領域を認識し、分割すればよい。
図5に示すように、動態画像が一定画素毎に格子状に分割される。図5の例では、10×10の格子状に分割された例を示している。具体的には、上記の例では動態画像の画像サイズが40cm×40cmであるので、1つの分割領域は4cm×4cmで囲まれた領域となる。
図5のように領域分割された場合には、解剖学的構造毎に分割された場合とは異なり、格子状で囲まれた領域毎に肺換気機能を判別することが可能となる。
まず、ある動態画像を基準画像として指定する(例えば1フレーム目の動態画像を基準画像として指定する)。そして、当該基準画像から肺野領域を検出し、この肺野領域に外接するように一定の略矩形に領域分割し、ローカルマッチングにより、他の時間位相の動態画像において、この基準画像の略矩形の分割領域と対応する領域を求める。具体的には、基準画像と時間位相が隣接する動態画像を、例えば基準画像の2倍の大きさの領域に分割する。そして、この2倍の大きさを持つ分割領域の中で基準画像の対応する分割領域を移動させて、移動毎にマッチング度を算出し、マッチング度が最大となる位置を求める。マッチング度とは画像の一致性を示す度合いをいい、最小二乗法や相互相関によって求めることができる。この処理を時間位相が隣接する各動態画像間で繰り返し行うことにより、基準画像の各分割領域が他の時間位相の動態画像のどの領域に対応するのかを求めることができる。
以上の処理がステップS102において行われることにより、例えば図5に示すように基準画像を領域分割した場合に、4cm×4cmで囲まれた領域と対応する分割領域が、他の動態画像についても算出することができる。
ステップS103においては、ステップS102において分割された分割領域毎に平均信号値が算出される(ステップS103)。具体的には、診断用コンソール30が受信した全ての動態画像における各分割領域に含まれる画素の信号値の平均値が算出されることになる。
図6に、格子状に領域が分割された場合における一つの分割領域を模式的に示す。図6に示すように、一つの分割領域を構成する画素をN画素×N画素とし、水平方向にi番目、垂直方向にj番目の画素の信号値をI(i,j)とする。
図6に示した例では、一つの分割領域にN×N個の画素が含まれることになるので、ステップS103においては、分割領域毎の平均信号値は以下の式によって算出されることになる。
X線画像の信号値は被写体MのX線の透過量によって定まり、X線の透過量は被写体Mの厚みによって変わる。被写体Mの厚みが大きいほどX線は透過しづらいからである。したがって、信号値が変化しているということは肺の厚みが変化している、つまり肺の換気量が変化していると考えることができ、平均信号値の変化量は換気量と相関関係がある。
正常な肺換気機能であれば、平均信号値の最大値(ピーク)から次の最大値までの時間位相の間隔(以下、周期T(n)という。)がほぼ一定で平均信号値が変化する。
したがって、平均信号値の周期T(n)は自然呼吸の周期の時間を示し、周期T(n)毎の平均信号値の最大値と最小値の差(以下、単に振幅A(n)という)は、肺の換気量と比例関係があることになる。なお、周期T(n)と振幅A(n)の「n」はそれぞれn周期目の意味であり、つまり周期T(1)と振幅A(1)は、それぞれ1周期目における周期と振幅を示すことになる。
ステップS105の処理により、制御部31は特徴量算出手段として機能する。
なお、ステップS106における判断によって、肺換気機能が異常であると判断されない場合を、以下「換気振幅良性」という。
なお、ステップS107における判断によって、肺換気機能が異常であると判断されない場合を、以下「換気周期良性」という。
「正常所見」とは、肺換気機能が正常であることを示す。
「呼吸ペースが不整」とは、患者の自然呼吸の周期性が乱れていることを示す。
「閉塞性」とは、呼気状態において肺に空気が残っているため、振幅が減少するとともに、自然呼吸の周期性が乱れていることを示す。
「拘束性」とは、肺容積又は肺活量の低下により、振幅が減少するとともに呼吸サイクルの周期性が乱れていることを示す。
「閉塞性+拘束性」とは、「閉塞性」であり、かつ「拘束性」の状態であることを示す。
例えば、ステップS106において、換気振幅悪性(1)であると判断され、ステップS107において、換気周期良性であると判断された場合には、ステップS108においては、対応表G1が参照されることにより、当該患者は「閉塞性」の疑いがあると判断されることになる。
なお、ステップS106〜ステップS108における処理は、分割領域毎に行われる。
ステップS108、ステップS109における処理によって、制御部31は制御手段として機能する。
例えば、本実施の形態においては、診断用コンソール30において肺換気機能の判別の処理が行われるようにしたが、動態撮影システム1を構成する装置によって当該判別の処理が行われるようにすればよく、例えば画像処理装置40によって肺換気機能の判別の処理が行われ、当該判別の結果が診断用コンソール30に対して送信され、表示部34に当該判別の結果が表示されるようにしてもよい。
次に図9から図12を参照しつつ、本発明に係る動態撮影システム1の第2の実施の形態について説明する。なお、動態撮影システム1を構成する撮影装置1、撮影用コンソール20、診断用コンソール30、画像処理装置40、及びサーバ50の構成は、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
なお、平均信号値の振幅及び周期を特徴量として診断支援情報を作成する点については第1の実施の形態と同様である。
図9に示すように、まず撮影装置10において胸部の動態撮影が行われ、複数の時間位相における動態画像データが生成される(ステップS201)。
なお、肺血流機能を診断するためには肺野領域を変化させないために、ステップS201においては、被写体Mは息を止めて動態撮影が行われることになる。撮影装置10における具体的な処理はステップS101と同様であるので説明を省略する。
図10に示すように、肺野領域は片方の肺野の肺紋理を原点O1とし、原点O1からの距離r1と角度θ1によって肺野領域の座標r1(θ1)が決定される。他方の肺野も同様に、肺紋理を原点O2とし、原点O2からの距離r2と角度θ2によって肺野領域の座標r2(θ2)が決定される。なお、角度θ1と角度θ2はそれぞれ原点O1と原点O2を通り、動態画像に対して垂直方向の直線からの角度をいう。
ステップS202における領域分割は、原点をO1とする肺野の極座標を分割する場合、r1の一定距離毎(例えば3cmごと)及び角度θ1が一定角度毎(例えば30°ごと)等によって領域分割されることになる。
ステップS202における具体的な処理はステップS102と同様であるので説明を省略する。
次いで、ステップS204において取得された時系列データのうち、心臓の拡張から次の拡張の1組(心臓が拡張期→収縮期に変わるタイミングから次の拡張期→収縮期に変わるタイミングまでを示す)の時系列データを1つの心拍データとして、振幅及び周期が算出される(ステップS205)。第1の実施の形態におけるステップS105においては、平均信号値の変化を換気量と対応付けていたが、第2の実施の形態においては平均信号値の変化の振幅は心機能の心排出量、周期は心拍周期として評価する。つまり、平均信号値の最大値から次の最大値までを心拍周期の1周期とし、1周期の中における平均信号値の最大値と最小値の振幅を心排出量として評価する。ステップS205における処理は、ステップS105における処理と同様であるので具体的な処理は省略する。
図11(b)に、角度θ1を同じとする分割領域の一例を斜線にて示す。図11(a)に示している関係は、図11(b)に示す斜線の領域に含まれる分割領域の平均信号値の振幅と原点からの距離r1との関係を示すことになる。
図11(a)に示すように、一般的に肺紋理である原点O1に近いほど振幅A(n)が大きく、距離r1が増加するに従い振幅A(n)は小さくなる傾向がある。
ステップS206における処理は、具体的には記憶部32に記憶された正常な肺血流機能を有する正常例のデータ(図11の場合、実線で示した線をいう)と、ステップS205において算出された振幅A(n)が比較され、原点O1からの距離r1が、ある地点(以下、閉塞部位という)以降において正常例に比べて振幅A(n)が急激に減少している場合(図11の場合、破線で示した線をいう。以下、この場合を血流振幅悪性(1)という。)や、距離r1が、ある地点の周辺でのみ正常例に比べて振幅A(n)が急激に増加している場合(図11の場合、一点鎖線で示した線をいう。以下、この場合を血流振幅悪性(2)という。)等によって判断されることになる。なお、図11に示す正常例のデータは、ユーザごとや被写体Mごとに記憶部32に記憶され、当該データを読み出すことが可能である。
なお、ステップS206における判断によって、肺血流機能が異常であると判断されない場合を、以下「血流振幅良性」という。
なお、ステップS207における判断によって、肺血流機能が異常であると判断されない場合を、以下「血流周期良性」という。
図12の例では、肺血流機能は、「正常所見」、「閉塞性」、「肺がん」、「不整脈」、「閉塞性+不整脈」、「肺がん+不整脈」に分類されることになる。
「正常所見」とは、肺血流機能が正常であることを示す。
「閉塞性」とは、閉塞部位以降(以降とは、閉塞部位とθ1を同じとする領域のうち、距離r1が閉塞部位よりも大きいことを示す)の血流が減少することによって振幅が減少することを示す。
「肺がん」とは、がん細胞によって血管が新生され、血流量が増加することにより、振幅が増加していることを示す。
「不整脈」とは、心拍の周期性が乱れていることを示す。
「閉塞性+不整脈」とは、「閉塞性」であり、かつ「不整脈」の状態であることを示す。
「肺がん+不整脈」とは、「肺がん」であり、かつ「不整脈」の状態であることを示す。
例えば、ステップS206において、血流振幅悪性(1)であると判断され、ステップS207において、周期良性であると判断された場合には、ステップS208においては、対応表G2が参照されることにより、当該患者は「閉塞性」の疑いがあると判断されることになる。
例えば、第2の実施の形態においては、領域分割を極座標によって分割されるようにしたが、第1の実施の形態と同様に解剖学的構造毎や格子状に分割されるようにしてもよい。この場合においても、当該分割領域毎に算出された振幅と周期から診断支援情報が生成され、肺血流機能が正常/異常の判別を表示部34に表示させることができる。
10 撮影装置
11 X線源
12 検出器
13 読取部
14 サイクル検出部
20 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
30 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
40 画像処理装置
50 サーバ
Claims (3)
- 被写体の胸部に対してX線を照射することにより前記被写体の動態を複数周期にわたって撮影し、各動態画像に対応する信号値を生成する撮影手段と、
前記撮影手段によって生成された前記信号値の変化から前記動態の複数の周期を認識し、認識された周期毎に前記動態が示す特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段によって算出された周期毎の特徴量に基づいて前記複数周期に係る前記動態の診断支援情報を生成する制御手段と、
を備える動態撮影システム。 - 前記動態は自然呼吸であり、
前記診断支援情報は、前記被写体の肺換気機能が、正常、周期不整、閉塞性、拘束性のうちのいずれかを示す情報のうちの1つ以上の情報である請求項1に記載の動態撮影システム。 - 前記撮影手段によって撮影された前記動態画像の肺野領域を複数の小領域に分割する領域分割手段を更に備え、
前記特徴量算出手段は、前記小領域毎に前記特徴量を算出する請求項1又は2に記載の動態撮影システム。
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