JP5197661B2 - 核酸検出用プローブ担体 - Google Patents
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になる。
検出対象となる一本鎖核酸の増幅産物、およびその相補的な配列を有する一本鎖核酸の増幅産物の検出のためのプローブセットが、各プローブごとに固相上の識別可能な異なる領域に固定されているプローブ担体であって、
該プローブセットは検出対象となる各一本鎖核酸のそれぞれ少なくとも1つの異なる領域を検出するためのプローブを有しており、
前記検出対象となる各一本鎖と前記各プローブとがハイブリッド体を形成したときに、ハイブリッド体がそれぞれ有する一本鎖部分のうち検出対象鎖の5'末端を含む部分の塩基数をそれぞれL1、3'末端を含む部分の塩基数をそれぞれL2と表わすと、
各ハイブリッド体がそれぞれ
L2≧L1
の関係を満たすように各プローブが構成されていることを特徴とする。
更に、本発明にかかる核酸の検出方法の他の態様は、上記構成のプローブ担体を用いて標的一本鎖核酸を検出する検出方法であって、前記標的一本鎖核酸とその相補的な配列を有する相補一本鎖核酸とを含む試料を前記プローブ担体と反応させることを特徴とする検出方法である。
L2≧L1
の関係を有する場合にハイブリッド体が安定することが明記されている。さらには、その相対比であるL2/L1の大きさが大きいほど、よりハイブリッド体が安定することがわかっている。
(第1のプローブセットについて)
第1のプローブセットは、検出対象核酸の配列において、複数箇所のプローブが望まれる場合に特に有効である。検出対象核酸とプローブから構成される、部分的に二本鎖構造を有するハイブリッド体は、二本鎖構造部の両側に一本鎖部分が存在する。このうち検出対象核酸の5’末端側に存在する部分をA鎖、反対に3’末端側に存在する部分をB鎖としたときに、A鎖とB鎖の長さの比に応じて、そのハイブリッド体の安定性は大きく異なる。A鎖の塩基数をL1、B鎖の塩基数をL2としたときに、
L2≧L1
の関係を満たすときにハイブリッド体は安定し、また、その安定性はL2/L1の値が大きいほど高まることが知られている。検出対象核酸において各プローブが結合する領域の位置を、検出対象核酸の5’末端からの塩基数Pで表したとき、Pの値が小さくなれば、すなわちL2/L1が大きくなれば、そのハイブリッド体の安定性は高まり、客観的にプローブの結合力は高くなる。
第2のプローブセットは、本発明にかかるプローブセットであり、検出対象となる一本鎖核酸、および相補的な配列を有する相補鎖のそれぞれ少なくとも1つの異なる領域を検出するためのプローブを有することを特徴とするプローブセットである。
あり、詳しくは、5’末端からの塩基数が大きくなるのに応じて高くなる関係を有するプローブ構成である。
上記の第1及び第2のプローブセットの少なくとも一方を構成する各プローブをそれぞれ個々に固相上に結合してプローブ担体を形成することができる。例えば、先に挙げたファミリー遺伝子間で共通の配列を有する領域に1つのプローブを設定し、反対にファミリー遺伝子間で異なる配列を有する固有の領域にそれぞれ1つのプローブを設定して、ファミリー遺伝子の解析を行なう場合などに好適に利用できる。従って、各プローブセットを構成するプローブの種類は分析の用途に応じて2以上の所定数となる。
(参考例1)
I.pUC118 EcoRI/BAPのPCR
(1)プライマーの設計
検査対象の配列を有する検体のモデルとして、市販のTakara社製ベクター pUC118 EcoRI/BAP( 全長3162bp) を選択し、その塩基配列中より、下記の配列を有するフォワードプライマーF1とリバースプライマーR1の計2種を設計した。なお、pUC118 EcoRI/BAPの全塩基配列情報に関しては、Takara社より提供されており、また、公開されているデータベース等からも入手可能である。
参考例1の(1)で設計した2 種のプライマーを合成した。各プライマーの合成は、それぞれの塩基配列を有するDNA鎖を定法に従ってDNA合成機で合成した。精製は、カートリッジ精製により行い、2種のプライマーを得た。得られたプライマーは、TEバッファーにて10μMの濃度に希釈した。
参考例1の(2)で合成した3種のプライマー、鋳型遺伝子DNAとするTakara社製ベクター pUC118 EcoRI/BAP、およびQIAGEN社製PCRキット HotStarTaq Master Mix を用いて、PCR増幅反応を行った。Master Mix中にはdATP、dCTP、dTTP、dGTPの4 種のデオキシヌクレオチドが含まれているが、PCR産物を蛍光標識により標識するため、アマシャムファルマシア社製のCy3dUTPを加えて、PCR産物をCy3により標識した。
(1)プローブの設計
上記、PCR産物1に対して、3種のプローブを設計した。設計はプライマーの設計と同様、各プローブが設計した部分塩基配列を特異的に認識できるように充分配慮して設計を行った。このプローブ設計においては、プローブとハイブリダイゼーションし、プローブとハイブリッド体を形成するのは、R1のプライマーから伸長したDNA鎖である。各プローブの配列はハイブリッド体の安定性に考慮し、塩基長を調整するなどして充分配慮して設計を行った。
プローブの合成およびDNAマイクロアレイの作製は、キヤノン社から開示されているDNAマイクロアレイの作製法に従って行なった。すなわち、基板プロセスに関しては、石英ガラスにシランカップリング剤処理及びEMCSを結合し、それにより表面にマレイミド基を導入した。またプローブ合成に関しては、5’末端にチオール基が導入されたプローブを合成しHPLC精製した。DNAマイクロアレイ作製にあたっては、バブルジェットプリンター(商品名:BJF−850キヤノン社製)の改造機を使用し、ガラス基板(サイズ(W×L×T):25mm×75mm×1mm)の基板上に、各プローブが16ずつスポットされたDNAマイクロアレイを作製した。
IIで作製したDNAマイクロアレイと、サンプル核酸検体としてIで作製したPCR増幅産物1 を用いて、マイクロアレイ上でのハイブリダイゼーションを行った。
BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を1重量%となるように、100mM NaCl/10mM リン酸バッファーに溶解し、この溶液にIIで作製したDNAマイクロアレイを室温で2時間浸し、ガラス基板面のブロッキングを行った。ブロッキング終了後、0.1重量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2×SSC溶液(NaCl 300mM、Sodium Citrate(trisodium citrate dihydrate,C6H5Na3・2H2O) 30mM、pH7.0)で洗浄を行った後、純水でリンスした。その後、スピン・ドライ装置でDNAマイクロアレイの水切りを行った。
各PCR産物は互いに等モルとなるよう調製したうえで、PCR増幅産物溶液2マイクロリットルを用いて最終濃度が下記の構成となるよう、ハイブリダイゼーション溶液を調製した。
6×SSPE/10% Formamide/PCR増幅産物溶液(6×SSPE: NaCl 900mM、NaH2PO4・H2O 60mM、EDTA 6 mM、pH7.4)
(3)ハイブリダイゼーション
水切りしたDNAチップを、ハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、上記組成のハイブリダイゼーション溶液を用いて、下記手順および条件でハイブリダイゼーション反応を行った。
上記ハイブリダイゼーション溶液を、65℃に加温し3分間保持したあと、さらに92℃で2分間、続いて55℃で4時間保持した。そのあと、その後、2×SSCおよび0.1%SDSを用いて、25℃で洗浄をした。さらに2×SSCを用いて20℃で洗浄を行い、必要に応じて通常のマニュアルに従い純水でリンスして、最後にスピン・ドライ装置で水切りを行い乾燥させた。
ハイブリダイゼーション反応終了後、スピン・ドライ乾燥したDNAチップについて、DNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、Genepix 4000B)を用いで、ハイブリッド体に由来する蛍光測定を行った。各プローブごとに測定した結果を下記の表7に示す。
(1)プローブの設計
参考例1で合成したPCR産物1に対して、新たに1種のプローブを設計した。新たに設計したプローブは、参考例1のP1領域に相当する部分で、F1プライマーからの伸長鎖を検出するよう設定したプローブである。プローブの設計においては、設計した部分塩基配列を特異的に認識できるように充分配慮して設計を行った。設計したプローブの塩基配列およびTm値を表8に示す。
参考例1と同様、プローブ合成、チップ作製、同一のPCR産物1を用いてのハイブリダイゼーションまで行なった。DNAマイクロアレイにはP4のほかに参考例1で設計、使用したP3もスポッティングし、他は全て参考例1と同様に行なった。
参考例1と同様に蛍光輝度を測定した結果を下記表10に示す。
(1)プローブの設計
参考例1で合成したPCR産物1に対して、新たに2種のプローブP5,P6を設計した。新たに設計したプローブは、参考例1のP1、P2領域に相当する部分で、R1プライマーからの伸長鎖を検出するよう設定したプローブである。2つのプローブはいずれもP3と同じ結合力(Tm値)を有するようにプローブを設計してある。設計したプローブの塩基配列およびTm値を表11に示す。
参考例1と同様、プローブ合成、チップ作製、同一のPCR産物1を用いてのハイブリダイゼーションまで行なった。DNAマイクロアレイにはP5、P6のほかに参考例1で設計、使用したP3もスポッティングし、他は全て参考例1と同様に行なった。
参考例1と同様に蛍光輝度を測定した結果を下記表13に示す。
Claims (8)
- 検出対象となる一本鎖核酸の増幅産物、およびその相補的な配列を有する一本鎖核酸の増幅産物の検出のためのプローブセットが、各プローブごとに固相上の識別可能な異なる領域に固定されているプローブ担体であって、
該プローブセットは検出対象となる各一本鎖核酸のそれぞれ少なくとも1つの異なる領域を検出するためのプローブを有しており、
前記検出対象となる各一本鎖と前記各プローブとがハイブリッド体を形成したときに、ハイブリッド体がそれぞれ有する一本鎖部分のうち検出対象鎖の5'末端を含む部分の塩基数をそれぞれL1、3'末端を含む部分の塩基数をそれぞれL2と表わすと、
各ハイブリッド体がそれぞれ
L2≧L1
の関係を満たすように各プローブが構成されていることを特徴とするプローブ担体。 - 前記プローブがDNAである請求項1に記載のプローブ担体。
- 前記プローブがPNAである請求項1に記載のプローブ担体。
- 前記プローブセットを構成する各プローブが、5'側の末端に導入された固定用部位を介して前記固相に固定されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のプローブ担体。
- 前記プローブセットを構成する各プローブが、3'側の末端に導入された固定用部位を介して前記固相に固定されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のプローブ担体。
- 該プローブ担体が平面状のマイクロアレイである請求項4〜5のいずれかに記載のプローブ担体。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載のプローブ担体に、検出対象となる一本鎖核酸及びその相補鎖を反応させて、該プローブ担体に固定されたプローブの上に形成された二本鎖のハイブリッド体を検出する工程を有する核酸の検出方法。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載のプローブ担体を用いて標的一本鎖核酸を検出する検出方法であって、
前記標的一本鎖核酸とその相補的な配列を有する相補一本鎖核酸とを含む試料を前記プローブ担体と反応させる
ことを特徴とする検出方法。
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