JP5193487B2 - 蒸着装置および蒸着方法 - Google Patents

蒸着装置および蒸着方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5193487B2
JP5193487B2 JP2007093305A JP2007093305A JP5193487B2 JP 5193487 B2 JP5193487 B2 JP 5193487B2 JP 2007093305 A JP2007093305 A JP 2007093305A JP 2007093305 A JP2007093305 A JP 2007093305A JP 5193487 B2 JP5193487 B2 JP 5193487B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vapor deposition
monitor
evaporation rate
evaporation
deposition material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007093305A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008248344A (ja
Inventor
進 相原
一也 大森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2007093305A priority Critical patent/JP5193487B2/ja
Publication of JP2008248344A publication Critical patent/JP2008248344A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5193487B2 publication Critical patent/JP5193487B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Description

本発明は、蒸発源から昇華させた蒸着用物質を被蒸着基板の表面に蒸着する蒸着方法およびそれに用いる蒸着装置に関する。
従来より、各種の電子デバイスや光学デバイスに含まれる薄膜構造を作製するにあたっては、物理的気相成長法(PVD;Physical Vapor Deposition)や化学的気相成長法(CVD;Chemical Vapor Deposition )などの薄膜形成技術が用いられている。
物理的気相成長法としては、ターゲット(蒸発源)を加熱して気化・蒸発させる真空蒸着法、不活性ガスをグロー放電や高周波によってプラズマ化してターゲットをスパッタリング状態とするスパッタリング法、基板を高電位として、イオン化したターゲットを基板に堆積させるイオンプレーティング法等がある。スパッタリング法は、微細な膜厚の調節が可能であるが、堆積速度が遅く量産化に問題がある。イオンプレーティング法では、基板の温度が上昇するので基板材料が限定され、また、マスクによる微細加工ができないという問題を有する。
真空蒸着法は、加熱方法の違いにより、抵抗加熱法、高周波誘導加熱法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法などに分類される。近年では、金属のような導電体か不導体かを問わず蒸着による成膜が可能であることや、比較的精細な膜質の堆積が可能であることなどの特質を有することから、電子ビーム蒸着法が頻繁に用いられている。この電子ビーム蒸着法は、一般に、ターゲット物質(作製される薄膜の材料となる蒸着用物質)を電子ビームで叩いて物理的に加熱して溶融し、その一部を昇華させ、それを成膜対象となる被蒸着基板の表面に堆積させることで所望の物質からなる薄膜を形成する、というものである。電子ビームの発生は、タングステン(W)を主材料としたフィラメントに電流を流して熱電子を放出させることによって行われることが多い。このような電子ビーム蒸着を行う成膜装置については、例えば特許文献1に記載されている。
特開2004−131782号公報
最近では、電子デバイスや光学デバイスの高集積化や高機能化に伴い、それらに含まれる薄膜構造における寸法および膜質の高精度化が強く求められるようになってきている。このため、上記特許文献1の成膜装置では、シャッターを閉じた状態の前処理段階において蒸着用物質の蒸発レートの制御を開始しておき、あらかじめ設定した蒸発レートにしたのちシャッターを開き、蒸着をおこなうようにしている。
しかしながら、上記特許文献1の成膜装置では、シャッターを閉じた状態での蒸発レートが所定値に達しない場合には、蒸発源が加熱されたまま長時間保持されるので、蒸発源の損傷を招くおそれがある。そのうえ、安全性の面でも好ましくない。また、生産性の低下の原因ともなり得る。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高精度な蒸着処理が可能であり、かつ、安全性および量産性に優れた蒸着装置およびそれを用いた蒸着方法を提供することにある。
本発明の蒸着装置は、以下の(A1)〜(A5)に示した各構成要件を備えるようにしたものである。
(A1)蒸着用物質を放出する蒸発源。
(A2)被蒸着基板を保持するホルダ。
(A3)蒸発源と、ホルダに保持された被蒸着基板との間に位置し、蒸発源から被蒸着基板へ向かう蒸着用物質の通過を制御するシャッター。
(A4)シャッターによって蒸着源から遮られることのない位置に設けられ、蒸着源からの蒸着用物質の蒸発レートを観測する第1のモニタ。
(A5)第1のモニタによって観測された蒸着用物質の蒸発レートが蒸着用物質の放出開始から所定時間内に目標値に達した場合にシャッターを開状態として蒸着用物質を通過させる一方、所定時間内に目標値に達しなかった場合には蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させる機能を有する制御部。
本発明の蒸着方法は、以下の(B1)〜(B5)に示した各ステップを含むようにしたものである。
(B1)開閉可能なシャッターによって蒸発源と隔てられた位置に被蒸着基板を保持するステップ。
(B2)シャッターを閉じた状態のまま蒸発源から蒸着用物質を放出させ、第1のモニタにより蒸発源からの蒸着用物質の蒸発レートを観測するステップ。
(B3)第1のモニタにより観測された蒸発レートが蒸着用物質の放出開始から所定時間内に目標値に到達した場合にシャッタを開状態とし蒸着用物質を被蒸着基板に蒸着させる一方、所定時間内に目標値に達しなかった場合には蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させるステップ。
本発明の蒸着装置および蒸着方法では、蒸着開始前のシャッターを閉じた状態において蒸発レートが観測され、その蒸発レートが目標値に到達した場合にシャッターが開状態となり蒸着が実施されるので、蒸着開始の当初から安定した蒸着処理がなされる。ここで、蒸発レートが蒸着用物質の放出開始から所定時間内に目標値に到達しなかった場合には蒸着用物質の放出が停止されるので、蒸発用物質の過不足、または蒸発源などの装置上の不具合が早期に発見される。
本発明の蒸着装置では、制御部が、第1のモニタによる観測データに基づいて蒸着用物質の蒸発レートを制御することが望ましい。さらに、シャッターが開状態である場合に、蒸発源からの蒸着用物質の蒸発レートを観測する第2のモニタをさらに備えるようにするとよい。その場合、制御部が、第2のモニタによる観測データに基づいて蒸着用物質の蒸発レートを制御するようにし、第2のモニタによって観測された蒸着用物質の蒸発レートが所定範囲から外れた場合に蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させることが望ましい。また、制御部は、第1のモニタによって得られた蒸発レートの観測データと、第2のモニタによって得られた蒸発レートの観測データとを対応づけるためのデータ変換を行うようにするとよい。
本発明の蒸着方法では、第1のモニタにより観測された蒸発レートの制御を行うステップを含むことが望ましい。さらに、シャッターを開状態としたのち、第2のモニタにより蒸発源からの蒸着用物質の蒸発レートを観測し、その観測データに基づいて蒸発レートの制御を行うステップを含むことが望ましい。その場合、第2のモニタによって観測された蒸着用物質の蒸発レートが所定範囲から外れた場合に蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させるステップを含むようにするとよい。また、第1のモニタによって得られた蒸発レートの観測データと、第2のモニタによって得られた蒸発レートの観測データとを対応づけるためのデータ変換を行うステップを含むようにするとよい。
本発明の蒸着装置および蒸着方法によれば、蒸着開始前のシャッターを閉じた状態において蒸発レートを観測し、その蒸発レートが目標値に到達した場合にシャッターを開状態として蒸着を実施するようにしたので、処理を開始した当初から被蒸着基板の上に蒸着用物質を均質に蒸着することができる。その一方で、蒸発レートが蒸着用物質の放出開始から所定時間内に目標値に到達しなかった場合には蒸着用物質の放出を停止するようにしたので、蒸発用物質の過多または不足のほか、蒸発源などの装置上の不具合をも早期に発見することができ、装置上の損傷を回避することができるうえ、生産効率の向上を図ることもできる。
以下、本発明における実施の形態について、図面を参照して各々詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態としての電子ビーム蒸着装置の概要構成を表したものである。この電子ビーム蒸着装置は、蒸着処理容器1の内部に、坩堝2、坩堝冷却系3、電子銃4、シャッター5、第1のモニタ6、第2のモニタ7、ヒータ8、基板ホルダ9、真空度計測器10およびホルダ回転機構11を備えている。但し、ホルダ回転機構11の一部は蒸着処理容器1の外部に設けられている。蒸着処理容器1の外側には、真空排気系12と、制御回路系13と、電源回路系14とが設けられている。この電子ビーム蒸着装置は、坩堝2に収容された蒸着用物質20(後出)を蒸発させ、それを基板ホルダ9に保持された被蒸着基板21(後出)の表面に堆積させるものである。
坩堝2は、蒸着用物質20を収容するものであり、例えば酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウムまたは酸化硅素などによって構成されている。坩堝2は、その周囲の一部が坩堝冷却系3によって覆われている。坩堝冷却系3は、蒸着用物質20に対する電子ビームの照射に伴う坩堝2の過度な温度上昇から守るために冷却するものであり、具体的には、例えばウォータジャケットのような水冷方式の冷却装置などが好適である。
電子銃4は、タングステン(W)を主材料としてなるフィラメント4Aと、電子放出用の穴を有すると共にフィラメント4Aを覆うように設けられたガン部材4Bとを、その主要部として備えたものである。電子銃4は、外部の電源回路系14から電力を供給されるとフィラメント4Aが赤熱して熱電子を放出するように設定されている。この電子銃4から放出された熱電子は、例えば図示しない偏向ヨーク等によって電磁気的に飛程を制御されて坩堝2に収容された蒸着用物質20へと照射される。蒸着用物質20は、電子銃4からの熱電子の照射によって加熱され、溶融したのち徐々に蒸発(気化)する。蒸着用物質20を収容した坩堝2と電子銃4とが本発明の蒸発源に相当する。
シャッター5は、坩堝2と基板ホルダ9に保持された被蒸着基板21との間に配置され、坩堝2から被蒸着基板21へ向かう蒸着用物質20の通過を制御する開閉可能な部材である。すなわち、蒸着処理中には開状態となり、坩堝2から蒸発した気体状の蒸着用物質20の通過を許可する一方、蒸着処理の前後においては、坩堝2からの気体状の蒸着用物質20の通過を遮断するものである。シャッター5は、制御回路系13と接続されており、開状態または閉状態とする指令信号が入力されることにより、駆動するようになっている。
第1および第2のモニタ6,7は、坩堝2から蒸発する蒸着用物質20の蒸発レートを観測するものであり、例えば水晶の振動数の変化を利用した水晶モニタである。第1および第2のモニタ6,7では、センサ部(図示せず)が水晶によって構成されており、その表面への蒸着用物質20の付着に伴う水晶の振動数変化に基づき蒸発レートを算出するようになっている。第1および第2のモニタ6,7は、いずれも制御回路系13と接続されており、各々の蒸発レートのデータを制御回路系13へ入力するようになっている。
第1のモニタ6は、シャッター5が閉状態であってもそれによって坩堝3から遮られることのない位置に固定されている。したがって、シャッター5の状態によらず、蒸着用物質20の蒸発レートを観測することが可能である。なお、第1のモニタ6(のセンサ部)は、坩堝2の中心位置から例えば0.2m〜0.6m(特に0.4m)の距離にあるとよい。図1では、第1のモニタ6は、シャッター5よりも下側(坩堝2に近い位置)に配置された例を示しているが、シャッター5の開閉状態によらず常に坩堝2に収容された蒸着用物質20が見える位置であればシャッター5よりも上側(坩堝2から遠く離れた位置)に配置されていてもよい。
一方、第2のモニタ7は、シャッター5が閉状態の場合にはそれによって坩堝3から遮られ、坩堝3からの気体状の蒸着用物質20が到達しない位置に固定されている。したがって、シャッター5が開状態の場合においてのみ蒸発レートの観測が可能である。なお、第2のモニタ7(のセンサ部)は、例えば坩堝2の中心位置から例えば0.6m〜3.0m(特に1.8m)の距離にあるとよい。第2のモニタ7は、可能な限り被蒸着基板21に近い位置(すなわち、坩堝2からの距離が被蒸着基板21と等しい位置)にあることが望ましい。
ヒータ8は、例えば被蒸着基板21の表面に形成される薄膜の耐久性向上を目的として、被蒸着基板21を所定温度に加熱するものである。
基板ホルダ9は、蒸着用物質20を堆積させる対象となる被蒸着基板21を機械的に保持するものである。この電子ビーム蒸着装置では、基板ホルダ9が複数設けられており、それぞれに被蒸着基板21が取り付けられている。
ホルダ回転機構11は、蒸着処理の際、堆積物の位置的な偏りを回避するために基板ホルダ9を回転させるものである。ホルダ回転機構11は、基板ホルダ9を支持する支持部11Aと、電動機などの駆動力源として機能する駆動部11Cと、駆動部11Cの動力を支持部11Aへ伝達する支軸11Bとを有している。すなわち、各基板ホルダ9(および被蒸着基板21)は、支軸11Bを回転中心として公転するようになっている。
真空排気系12は、排気管12Aから吸引を行い、蒸着処理容器1の内部を所定の真空度にまで真空化するためのものである。蒸着処理容器1の内部の真空度については、真空度計測器10によって計測する。なお、蒸着処理容器1には、ガス導入口(図示せず)が設けられている。
制御回路系13は、シャッター5へ指令信号を発し、シャッター5の開閉動作の制御を行う機能と、電源回路系14へ指令信号を発し、坩堝2からの蒸着用物質20の蒸発量を制御する機能と、真空排気系12の制御を行う機能とを有している。
具体的には、制御回路系13は、蒸着処理を開始するにあたり、真空排気系12を駆動させることで蒸着処理容器1の内部を真空化したのち、電源回路系14に指令信号を発することによりフィラメント4Aへ電力を供給して熱電子を放出させ、蒸着用物質20の蒸発を開始させるように機能する。さらに、第1のモニタ6によって観測された蒸着用物質20の蒸発レートが、蒸着用物質20の放出開始(蒸発開始)から所定時間内に目標値に達した場合にシャッター5へ指令信号を発し、シャッター5を開状態とするように制御する。蒸発レートが所定時間内に目標値に達しなかった場合には、電源回路系14によってフィラメント4Aへの電力供給を停止し、蒸着用物質20の放出を中断させるように機能する。また、制御回路系13は、第1または第2のモニタ6,7からの蒸発レートのデータに基づき、電源回路系14を介してフィラメント4Aからの熱電子の放出量を調節することで、坩堝2からの蒸着用物質20の蒸発レートを制御する機能をも有している。
制御回路系13は、さらに、第1のモニタ6によって得られた蒸発レートの観測データと、第2のモニタ7によって得られた蒸発レートの観測データとを対応づけるためのデータ変換を行うデータ変換部を含むようにするとよい。すなわち、加熱された状態にある蒸着用物質20からの蒸発レートを同時に測定した場合に、第1のモニタ6の観測データと第2のモニタ7の観測データとが一致するように、制御回路系13におけるデータ変換部によって一方の観測データの読み替えを行うようになっていることが望ましい。
次に、このような構成の電子ビーム蒸着装置を用いた蒸着方法について説明する。
ここでは、図1に加えて図2および図3の流れ図を参照し、被蒸着基板21の表面に蒸着用物質20を構成元素とする薄膜を形成する場合について説明する。
まず、ガラスなどの被蒸着基板21を基板ホルダ9に取り付けたのち(ステップS101)、真空排気系12によって排気管12Aから排気を行い、蒸着処理容器1の内部の真空度が所定値(例えば10-3Pa程度)となるようにする(ステップS102)。なお、この時点では、シャッター5は閉状態となっている。
次に、シャッター5を閉じた状態のまま坩堝2に収容された蒸着用物質20を加熱し、その蒸発を開始させる(ステップS103)。具体的には、制御回路系13から電源回路系14へ指令信号を発し、電源回路系14から電子銃4のフィラメント4Aへ電力を供給する。これにより、フィラメント4Aから放出された熱電子が蒸着用物質20へと照射され、加熱された蒸着用物質20が蒸発(気化)することとなる。なお、この段階では、予めプログラムされた所定の加熱パターンに従って供給電力を経時的に変化させるようにする。すなわち、後述するような、第1のモニタ6に基づく蒸発レートのフィードバック制御を行うことなく、予め定めた条件に従って電力供給を行い、フィラメント4Aから放出される熱電子の照射量を徐々に増加させるようにする。
この状態で、第1のモニタ6によって坩堝2からの蒸着用物質20の蒸発レートを観測する(ステップS104)。こののち、蒸発を開始させてから所定時間が経過した時点で、第1のモニタ6によって観測された蒸発レートが目標値に到達したか否かを判断し(ステップS105)、目標値に達していた場合には、引き続き蒸着用物質20を蒸発させながら、第1のモニタ6による観測データに基づいて蒸発レートの制御(フィードバック制御)を行う(ステップS106)。ここでの蒸発レートの制御は、第1のモニタ6による観測データに基づき、制御回路系13から電源回路系14へ指令信号を発し、フィラメント4Aへの供給電力を調整することによって行う。ここまでが、被蒸着基板21の表面に薄膜を形成するための(すなわち、蒸着処理が実行可能な状態に至るまでの)準備段階となる。
第1のモニタ6の観測データに基づく制御を開始したのち、所定時間が経過した時点でその蒸発レートが安定し、所定範囲内に収まっているか否かを判断する(ステップS107)。その結果、所定範囲内に収まっていた場合には、シャッター5を開状態とすることで被蒸着基板21への蒸着を開始する(ステップS108)。ここでは、気化した蒸着用物質20が開状態となったシャッター5を通過して被蒸着基板21へ到達することで、被蒸着基板21の表面に蒸着用物質20が堆積することとなる。なお、シャッター5を開状態とすると同時に(あるいはその直前から)、ホルダ回転機構11の駆動部11Cによって支持部材11Aに固定された基板ホルダ9を支軸11Bを中心として公転させておくことが望ましい。
被蒸着基板21への蒸着を開始した直後から、第2のモニタ7によって坩堝2からの蒸着用物質20の蒸発レートの観測を開始すると共に、その観測データに基づき、制御回路系13によってその蒸発レートの制御(フィードバック制御)を行う(ステップS109)。ここでの蒸発レートの制御についても、第2のモニタ7による蒸発レートの観測データに基づき、制御回路系13から電源回路系14へ指令信号を発し、フィラメント4Aへの供給電力を調整することによって行う。なお、第1のモニタ6から第2のモニタ7へ蒸発レートの観測を移行する際には、制御回路系13の内部にあるデータ変換部で第1のモニタ6による観測データと第2のモニタ7による観測データとの対応づけを行い、第1のモニタ6と第2のモニタ7との機差を可能な限り小さくすることが望ましい。このような対応づけを行うことで、蒸発レートの観測を第1のモニタ6から第2のモニタ7へ移行する際の、実際の蒸発レートの変動(フィラメント4Aへの供給電力の変動)を回避することができるからである。
第2のモニタ7による蒸発レートの観測を開始したのち、所定のタイミングで蒸発レートが所定の範囲内に収まっているか否かを判断する(ステップS110)。なお、この処理(ステップS110)は、1回に限らず、被蒸着基板21に形成される薄膜が所望の厚みとなるまで(薄膜の形成が終了するまで)複数回、繰り返して行うようにしてもよい。また、シャッター5を開いて第2のモニタ7による蒸発レートの観測が開始された段階で第1のモニタ6の観察用窓を専用のシャッターなどで覆うようにすれば、第1のモニタ6の観察用窓の汚れを必要最小限に抑え、長時間の使用が可能となる。第1のモニタ6は、第2のモニタ7よりも坩堝2の近くに配置され(特に水晶モニタの場合には特に近くに配置され)、単位時間当たりの蒸着量が多いことから、このような処置は有効である。
蒸発レートが所定の範囲内に収まっている場合には、蒸着を続行し、被蒸着基板21に形成される薄膜が所望の厚みとなった時点でシャッター5を閉状態とし、蒸着処理を終了する(ステップS111)。このステップS111の処理は、制御回路系13によって制御する。この結果、被蒸着基板21の表面に、蒸着用物質20を構成材料とする所定の厚みの薄膜が形成される。
なお、ステップS105において所定時間内に蒸発レートが目標値に到達しなかった場合、またはステップS107において蒸発レートが所定の範囲から外れた場合には、フィラメント4Aへの電力供給を停止させて蒸着用物質20の加熱を中断し(ステップS112)、不具合の原因調査を行う。そこで、不具合の原因を解消可能かどうか(不具合対処が可能かどうか)を判断し(ステップS113)、対処可能であればそれを実行し(ステップS114)、ステップS102からの処理を改めて開始する。対処可能な不具合とは、例えば、蒸発用物質20の過多または不足が挙げられる。一方、ステップS113において、不具合対処が不可能であると判断した場合(長時間の装置停止を伴う処置が必要な場合(例えば寿命によるフィラメントの劣化など)、または、原因が不明な場合)には、一連の蒸着処理を中止する。
また、ステップS110において蒸発レートが所定の範囲から外れた場合には、シャッター5を閉状態とすると共に蒸着用物質20の加熱を停止し、一連の蒸着処理を中止する(ステップS115)。
このように、本実施の形態の電子ビーム蒸着装置、およびそれを用いた蒸着方法によれば、蒸着開始前のシャッター5を閉じた状態において蒸着用物質20の蒸発レートの観測および制御を行い、その蒸発レートが目標値に到達した場合にシャッター5を開状態として蒸着を実施するようにしたので、処理を開始した当初から被蒸着基板21の表面に安定して蒸着用物質20を蒸着させることができ、結果として、より均質化された薄膜を得ることができる。その一方で、蒸発レートが蒸着用物質20の放出開始から所定時間内に目標値に到達しなかった場合には蒸着用物質20の放出を停止するようにしたので、蒸発用物質20の過多または不足のほか、蒸発源を構成する電子銃4などの装置上の不具合をも早期に発見することができ、装置上の損傷を回避することができるうえ、生産効率の向上を図ることもできる。
特に、第1のモニタ6の観測データに基づくフィードバック制御を開始する前の段階で、予めプログラムされた所定の加熱パターンに従い、フィラメント4Aへの供給電力を経時的に変化させるようにし、所定時間経過後の蒸発レートによって異常の有無を判断するようにしたので、その異常があった場合には、より早期に、かつ、より確実に検出することができる。
さらに、蒸着開始後は、第2のモニタ7によって観測した蒸発レートが所定の範囲内に収まっているか否かを所定のタイミングで判断するようにしたので、蒸着開始後の蒸発レートの変動を抑制することができ、より均質化された薄膜(堆積物)を得ることができる。特に、坩堝2からの距離が被蒸着基板21と等しくなるように第2のモニタ7を配置するようにしたので、より高精度な蒸発レートの観測および制御が可能となり、薄膜(堆積物)のさらなる均質化を図ることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、電子銃を用いて蒸着用物質を加熱することで熱電子を取り出すようにしているが、本発明ではこれに限定されず、抵抗加熱方式を採用することもできる。さらに、上記実施の形態では蒸着装置として電子ビーム蒸着装置を例示して説明するようにしたが、本発明はスパッタリング装置などの他の蒸着装置にも適用可能なものである。
さらに、上記実施の形態では、第1および第2のモニタをそれぞれ所定の位置に固定するようにしたが、本発明では、一のモニタを、第1のモニタとして利用すると共に第2のモニタとしても利用するようにしてもよい。すなわち、図1を参照して説明すると、蒸着処理を開始する前段階のシャッター5を閉じた状態では一のモニタを第1のモニタ6の位置に配置して使用し、シャッター5を開状態として蒸着処理を開始したのち、そのモニタを第2のモニタ7の位置に移動させて使用するようにしてもよい。なお、第1および第2のモニタは、水晶振動子を用いたものに限定されず、例えば光学式モニタなどを利用したものであってもよい。
本発明における一実施の形態としての電子ビーム蒸着装置の概略構成図である。 図1に示した電信ビーム蒸着装置による蒸着方法を説明する流れ図である。 図2に続く、電信ビーム蒸着装置による蒸着方法を説明する流れ図である。
符号の説明
1…蒸着処理容器、2…坩堝、3…坩堝冷却系、4…電子銃、4A…フィラメント、4B…ガン部材、5…シャッター、6…第1のモニタ、7…第2のモニタ、8…ヒータ、9…基板ホルダ、10…真空度計測器、11…ホルダ回転機構、12…真空排気系、13…制御回路系、14…電源回路系、20…蒸着用物質、21…被蒸着基板。


Claims (11)

  1. 蒸着用物質を放出する蒸発源と、
    被蒸着基板を保持するホルダと、
    前記蒸発源と前記ホルダに保持された前記被蒸着基板との間に位置し、前記蒸発源から前記被蒸着基板へ向かう前記蒸着用物質の通過を制御するシャッターと、
    前記シャッターによって前記蒸着源から遮られることのない位置に設けられ、前記蒸着源からの前記蒸着用物質の蒸発レートを観測する第1のモニタと、
    前記第1のモニタによって観測された前記蒸着用物質の蒸発レートが前記蒸着用物質の放出開始から所定時間内に目標値に達した場合に前記シャッターを開状態として前記蒸着用物質を通過させる一方、前記所定時間内に目標値に達しなかった場合には前記蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させる機能を有する制御部と
    を備えたことを特徴とする蒸着装置。
  2. 前記制御部は、前記第1のモニタによる観測データに基づいて前記蒸着用物質の蒸発レートを制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
  3. 前記シャッターが開状態である場合に、前記蒸発源からの前記蒸着用物質の蒸発レートを観測する第2のモニタをさらに備えた
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の蒸着装置。
  4. 前記制御部は、前記第2のモニタによる観測データに基づいて前記蒸着用物質の蒸発レートを制御する
    ことを特徴とする請求項3記載の蒸着装置。
  5. 前記制御部は、前記第2のモニタによって観測された前記蒸着用物質の蒸発レートが所定範囲から外れた場合に前記蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させる
    ことを特徴とする請求項4記載の蒸着装置。
  6. 前記制御部は、前記第1のモニタによって得られた前記蒸発レートの観測データと、前記第2のモニタによって得られた前記蒸発レートの観測データとを対応づけるためのデータ変換を行う
    ことを特徴とする請求項4または請求項5記載の蒸着装置。
  7. 開閉可能なシャッターによって蒸発源と隔てられた位置に被蒸着基板を保持するステップと、
    前記シャッターを閉じた状態のまま前記蒸発源から蒸着用物質を放出させ、第1のモニタにより前記蒸発源からの前記蒸着用物質の蒸発レートを観測するステップと、
    前記第1のモニタにより観測された前記蒸発レートが前記蒸着用物質の放出開始から所定時間内に目標値に到達した場合には前記シャッタを開状態とし前記蒸着用物質を前記被蒸着基板に蒸着させる一方、前記所定時間内に目標値に達しなかった場合には前記蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させるステップと
    を含むことを特徴とする蒸着方法。
  8. 前記第1のモニタによる観測データに基づいて前記蒸発レートの制御を行うステップをさらに含む
    ことを特徴とする請求項7記載の蒸着方法。
  9. 前記シャッターを開状態としたのち、第2のモニタにより前記蒸発源からの前記蒸着用物質の蒸発レートを観測し、その観測データに基づいて蒸発レートの制御を行うステップをさらに含む
    ことを特徴とする請求項7または請求項8記載の蒸着方法。
  10. 前記第2のモニタによって観測された前記蒸着用物質の蒸発レートが所定範囲から外れた場合に前記蒸発源からの蒸着用物質の放出を停止させるステップをさらに含む
    ことを特徴とする請求項9記載の蒸着方法。
  11. 前記第1のモニタによって得られた前記蒸発レートの観測データと、前記第2のモニタによって得られた前記蒸発レートの観測データとを対応づけるためのデータ変換を行うステップを含む
    ことを特徴とする請求項9または請求項10記載の蒸着方法。
JP2007093305A 2007-03-30 2007-03-30 蒸着装置および蒸着方法 Active JP5193487B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007093305A JP5193487B2 (ja) 2007-03-30 2007-03-30 蒸着装置および蒸着方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007093305A JP5193487B2 (ja) 2007-03-30 2007-03-30 蒸着装置および蒸着方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008248344A JP2008248344A (ja) 2008-10-16
JP5193487B2 true JP5193487B2 (ja) 2013-05-08

Family

ID=39973632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007093305A Active JP5193487B2 (ja) 2007-03-30 2007-03-30 蒸着装置および蒸着方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5193487B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101365224B1 (ko) * 2012-04-30 2014-02-19 부경대학교 산학협력단 박막의 미세성장제어장치 및 제어방법
KR102170662B1 (ko) * 2017-12-18 2020-10-27 주식회사 엘지화학 유기막 증착 장치 및 방법
EP3749796B1 (en) * 2018-02-05 2022-06-08 Applied Materials, Inc. Deposition apparatus for depositing evaporated material and methods therefor

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003328115A (ja) * 2002-05-08 2003-11-19 Nec Kansai Ltd 蒸着装置及び方法
JP2004131782A (ja) * 2002-10-09 2004-04-30 Furukawa Electric Co Ltd:The 成膜装置、成膜方法および光学素子の製造方法
JP2006045581A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Nec Kansai Ltd 真空蒸着装置およびその装置を用いた真空蒸着方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008248344A (ja) 2008-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6639580B2 (ja) 蒸発器、堆積アレンジメント、堆積装置及びこれらを操作する方法
JP5384002B2 (ja) 成膜装置及び成膜方法
WO2005111259A1 (ja) 有機材料用蒸発源及び有機蒸着装置
WO2008050670A1 (en) Method of controlling electron beam focusing of pierce type electron gun and control device therefor
KR102137181B1 (ko) 증착 배열체, 증착 장치 및 그의 동작 방법들
JP5193487B2 (ja) 蒸着装置および蒸着方法
TWI433954B (zh) 高速濺鍍裝置及方法
JP4859720B2 (ja) プラズマ成膜装置
US9885107B2 (en) Method for continuously forming noble metal film and method for continuously manufacturing electronic component
JP6267442B2 (ja) 蒸発材料を用いてコーティングするための装置及び方法
JP4445497B2 (ja) 薄膜蒸着装置及びこれを利用した薄膜蒸着方法
JP4003851B2 (ja) 薄膜作成装置およびそのプラズマ源
CN106191779A (zh) 一种聚合物真空电子束蒸发镀膜机
KR20090032609A (ko) 박막 증착 장치
JP2009149919A (ja) 膜厚モニタ装置及びこれを備える成膜装置
JPH11335820A (ja) 蒸着方法及び蒸着装置
JP2018016836A (ja) 間接加熱蒸着源
JP2008144192A (ja) 真空蒸着装置及びその制御方法
JP5049632B2 (ja) フィラメント固定機構、発熱機構および蒸着装置
JP2015209559A (ja) 蒸着装置
JP2017088976A (ja) 多元系被膜形成装置および多元系被膜形成方法
JP4902123B2 (ja) 有機材料用蒸発源及び有機蒸着装置
CN112703269A (zh) 预处理用于测量沉积速率的振荡晶体的预处理方法、沉积速率测量装置、蒸发源和沉积设备
EP2182087A1 (en) A vacuum vapor coating device for coating a substrate
JP4161711B2 (ja) 成膜方法及び成膜装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091210

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110526

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20111216

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120914

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20121004

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5193487

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160208

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250