JP5190999B2 - 樹脂封止シート - Google Patents

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Description

本発明は太陽電池素子をガラス等の透明基材とバックシート等の絶縁基材との間に固定化するための封止剤として好適に用いられる樹脂封止シートに関する。
近年、世界的な温暖化現象により環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。太陽電池発電や風力発電等の環境にやさしい再生可能なエネルギーは炭酸ガス等の温暖化を誘発するといわれているガスを排出しないため、クリーンなエネルギーとして研究開発が盛んに行われており、なかでも安全性や扱いやすさより太陽電池発電が家庭用エネルギー源だけでなく、産業用エネルギーとして注目を浴びている。資源に乏しい日本では各家庭の消費電力をまかなうため、屋根に太陽電池発電システムを乗せて電気を発電し、家庭用電力として消費し、余剰の電力を売電したりすることが、近年、盛んになってきている。なかでもドイツを中心としたヨーロッパでは家庭用のみならず、広大な敷地に太陽電池を配して大規模発電を行い、産業用電力としても、投資の対象としても注目されている。
この様に注目されている太陽電池には様々な発電方式があり、例を挙げると、結晶系シリコンセルを用いたもの、アモルファスシリコンを用いたもの、CIGSやCdTe等の化合物半導体を用いたもの等が挙げられる。最も一般的な結晶系シリコンセルを用いた太陽電池は、シリコンセルを白板ガラスとバックシートと呼ばれる裏面絶縁シートの間に、結晶系シリコンセルが2枚の樹脂封止シートによって固定化された構造を有している。
太陽電池セルを固定化する方法としては、白板ガラス、樹脂封止シート、シリコンセル、樹脂封止シート、バックシートの順序で積層させ、積層体を100℃から160℃程度まで加熱することにより樹脂封止シートを溶融させ、引き続き真空プレスを行い熱架橋する方法がとられている。この太陽電池セルの固定化工程において、樹脂封止シートの熱収縮率が大きいと、シリコンセルが位置ズレを起こしたり、外観不良の原因となるため、熱収縮率が小さいことが望まれている。
特許文献1には、カップリング剤及び有機過酸化物を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体を原料とし、Tダイやカレンダー装置にてシート状に成形加工する方式について開示されている。
特許文献2には、架橋剤及びシランカップリング剤を配合したエチレンビニルアセテート共重合体に一定のゲル分率まで放射線架橋することにより、低温度における熱収縮率を改良した発明について開示されている。
特許文献3には、溶融樹脂をフィルム状に成形した後、冷却することにより封止用熱可塑性樹脂フィルムを製造するに際して、樹脂フィルムの温度が樹脂の軟化点以下に低下する前に、樹脂フィルムをアニール処理する発明について開示されている。
特開昭58−60579号公報 特開平8−283696号公報 特開2000−84996号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載された有機過酸化物を含有する樹脂封止シートは、製膜時における有機過酸化物の開裂反応を抑制するために樹脂の成形温度を十分に上げることができず、製膜時に流動配向が発生し、結果として樹脂封止シートの熱収縮率が高くなって寸法安定性が悪化する傾向にある。また、モジュールに耐クリープ性を付与することを目的として封止シートを高度に架橋した場合、太陽電池セルの隙間埋め性が不十分となるおそれがある。
また、特許文献3に記載された樹脂封止シートの製造方法は、アニール処理に要する時間が長く、生産性に劣るという欠点がある。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、加熱時の寸法安定性及び隙間埋め性のバランスに優れた樹脂封止シート、及びその生産性に優れた製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ゲル分率及び60℃における加熱収縮率が特定範囲に調整された樹脂封止シートが、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ゲル分率が1質量%以上60質量%未満であり、且つ、60℃における加熱収縮率が5%以下である、樹脂封止シート。
[2]
有機過酸化物を実質的に含有しない、上記[1]記載の樹脂封止シート。
[3]
電離性放射線照射によって架橋処理が施されている、上記[1]又は[2]記載の樹脂封止シート。
[4]
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する、上記[1]〜[3]のいずれか記載の樹脂封止シート。
[5]
樹脂を溶融し、シート状に成形加工する工程を含む樹脂封止シートの製造方法であって、
樹脂の溶融温度が樹脂の融点+40℃以上である、製造方法。
本発明により、加熱時の寸法安定性及び隙間埋め性のバランスに優れた樹脂封止シートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の樹脂封止シートは、ゲル分率が1質量%以上60質量%未満、且つ、60℃における加熱収縮率が5%以下に調整されている。
本実施の形態の樹脂封止シートとは、シートを構成する樹脂にエネルギーを与え、樹脂自身を発熱させることによって樹脂を軟化させ、その軟化状態を利用することで他の物質を密着させて封止するシートである。樹脂にエネルギーを与える方法は、樹脂に直接熱を与える方法の他、輻射熱等の間接熱や超音波等の振動発熱等の公知の方法を使用することができる。太陽電池セルを封止する場合、例えば、樹脂封止シート、ガラス、バックシート、シリコン系のセル等の発電部分を積層し、真空ラミネーターを用いて、内部の気泡等を排除し、加熱して樹脂を軟化させ、その後貼り合わせる。
本実施の形態の樹脂封止シートのゲル分率は1質量%以上60質量%未満、好ましくは2質量%以上55質量%未満である。ゲル分率が1質量%未満であると、太陽電池を封止した後の耐熱性に劣り、例えば、太陽電池モジュールが80℃程度まで加熱された際に樹脂が流動し、セルのズレの原因となる。ゲル分率が60質量%以上であると、樹脂の柔軟性、流動性が不足するため、太陽電池のモジュール化の際にセル割れの原因となったり、セルや配線の段差埋め(隙間埋め)不良の原因となる。なお、樹脂封止シートが後述する単層構造又は多層構造のいずれの構造を有する場合であっても、上記ゲル分率は、樹脂封止シート全体の平均のゲル分率(全層ゲル分率)の値を意味する。
樹脂封止シートのゲル分率は、沸騰p−キシレン中で試料を24時間煮沸し、不溶解部分の割合を次式により表示したものであり、樹脂封止シートの架橋度の尺度として用いることができる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
樹脂封止シートのゲル分率を上記範囲に調整する手段としては、シートに適度に架橋処理を施すことが挙げられる。その際の架橋処理方法としては、公知の方法を制限なく使用でき、例えば、有機過酸化物による架橋処理や、電離性放射線(電子線、γ線、紫外線等)の照射による架橋処理等が挙げられ、これらを組合わせて用いてもよい。
電離性放射線による架橋の場合は、照射強度(加速電圧)と照射密度によってゲル分率を調整することができる。照射強度(加速電圧)はシートの厚さ方向にどれだけ深く電子を届かせるかを示すものであり、照射密度は単位面積当たりどれだけ多くの電子を照射するかを示すものである。有機過酸化物による架橋の場合は、有機過酸化物の含有量によってゲル分率を調整することができる。また、樹脂の種類による架橋度合いの違いや、転移化剤等による架橋促進又は架橋抑制の効果を利用してもよい。
電離性放射線の照射により架橋させる場合は、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を樹脂封止シートに照射し、架橋させる方法が挙げられる。電子線等の電離性放射線の加速電圧は、樹脂封止シートの厚さにより選択すればよく、例えば、500μmの厚さの場合、樹脂封止シート全体を架橋するときには、加速電圧として300kV以上が必要である。
電子線等の電離性放射線の加速電圧は、架橋処理を施す樹脂層に応じて適宜調節が可能であり、電離性放射線の照射線量は使用される樹脂によって異なるが、一般的に3kGy未満の場合、樹脂封止シート全体を均一に架橋することが困難となる傾向にある。一方、電離性放射線の照射量が500kGyを超えると、樹脂封止シートのゲル分率が大きくなりすぎ、太陽電池セルに用いる場合に、凹凸段差や隙間の埋め込み性が確保できなくなるおそれがある。
有機過酸化物により架橋させる場合は、架橋剤として有機過酸化物を樹脂中に配合し、或いは含浸させて熱架橋を行う。この場合100〜130℃における半減期が1時間以内の有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、良好な相溶性が得られ、かつ上記半減期を有するものとして、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。これらの有機過酸化物を用いた樹脂封止シートは、架橋時間を比較的短くすることができ、かつ、キュア工程を、従来汎用されている100〜130℃における半減期が1時間以上の有機過酸化物を用いた場合と比較して半分程度に短縮することができる。
有機過酸化物の含有量は、樹脂封止シートを構成する樹脂に対して、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、実質的に含有しない(ほぼ0質量%)ことがさらに好ましい。
上述したように「架橋」には電離性放射線の照射を行う方法、及び有機過酸化物を利用する方法が挙げられるが、電離性放射線の照射によって架橋させる方法が特に好ましい。電離性放射線の照射による架橋処理は、有機過酸化物の熱分解によるガスが発生しないため、真空ポンプの腐食ダメージ及びオイルの汚れを低減できる傾向にある。また、樹脂封止シートを構成する樹脂に有機過酸化物を添加すると、樹脂の押し出し温度を有機過酸化物の開裂温度以下で行う必要があり、流動配向が発生して加熱収縮率が増大したり、生産性が低下する傾向にある。
本実施の形態の樹脂封止シートの60℃における加熱収縮率は5%以下、より好ましくは3%以下である。加熱収縮率が5%を超えると、太陽電池のモジュール化の際にシートが熱収縮を起こし、セル割れや位置ズレの原因となる。
樹脂封止シートの60℃における加熱収縮率を上記範囲に調整する方法としては、特に限定されないが、好適な方法として、樹脂を溶融し、シート状に成形加工する際の樹脂の溶融混練温度を、樹脂の融点+40℃以上に設定する方法が挙げられる。樹脂の融点+40℃未満で溶融混練し、シート状に成形加工すると、樹脂の流れ方向に高分子が選択的に配向し、特に樹脂の流れ方向(MD)の熱収縮率が増大する傾向にある。また、樹脂をシート状に溶融させて冷却固化するまでの間の時間を長くして、樹脂の溶融流動配向を緩和させることも、加熱収縮率を低減する観点から好ましい方法である。ここで、樹脂の融点とは、DSC装置を使用し、10℃/分の昇温速度で測定を行ったときの、融解熱のピーク温度をいう。なお、樹脂封止シートが2種以上の樹脂から構成される場合、上記融点は、各樹脂の融点の平均値を意味する。
次に、本実施の形態の樹脂封止シートを構成する樹脂について説明する。本実施の形態の樹脂封止シートを構成する樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、接着性や封止性能の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンモノマーと酢酸ビニルとの共重合により得られる共重合体を示す。また、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体とは、エチレンモノマーと、脂肪族不飽和カルボン酸から選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合により得られる共重合体を示す。さらに、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とは、エチレンモノマーと、脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合により得られる共重合体を示す。
上記共重合は、高圧法、溶融法等の公知の方法により行うことができ、重合反応の触媒としてマルチサイト触媒やシングルサイト触媒等を用いることができる。また、上記共重合体において、各モノマーの結合形状は特に限定されず、ランダム結合、ブロック結合等の結合形状を有するポリマーを使用することができる。なお、光学特性の観点から、上記共重合体としては、高圧法を用いてランダム結合により重合した共重合体が好ましい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、光学特性、接着性、柔軟性の観点から、共重合体を構成する全モノマー中の酢酸ビニルの割合が、10〜40質量%であることが好ましく、13〜35質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが更に好ましい。また、樹脂封止シートの加工性の観点より、JIS−K−7210に準じて測定されるメルトフローレートの値(以下、「MFR」とも略記される。)(190℃、2.16kg)が0.3g/10min〜30g/10minであることが好ましく、0.5g/min〜30g/minであることがより好ましく、0.8g/min〜25g/minであることが更に好ましい。
上記エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(以下、「EAA」とも略記される。)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」とも略記される。)等が挙げられる。また、上記エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜8のアルコールとのエステルが好適に使用される。
これらの共重合体は、3成分以上のモノマーを共重合してなる多元共重合体であってもよい。上記多元共重合体としては、例えば、エチレン、脂肪族不飽和カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも3種類のモノマーを共重合してなる共重合体が挙げられる。
上記エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中の脂肪族不飽和カルボン酸の割合が、3〜35質量%であることが好ましい。また、MFR(190℃、2.16kg)は、0.3g/10min〜30g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜30g/10minであることがより好ましく、0.8g/10min〜25g/10minであることが更に好ましい。
また、樹脂封止シートを構成する樹脂中には、グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体が含まれていてもよい。グリシジルメタクリレートを含むエチレン共重合体とは、反応サイトとしてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマーを示し、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。上記化合物は、グリシジルメタクリレートの反応性が高いため安定した接着性を発揮でき、また、ガラス転移温度が低く柔軟性が良好となる傾向にある。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂が好ましい。ここでポリエチレン系樹脂とは、エチレンの単独重合体又はエチレンと他の1種若しくは2種以上のモノマーとの共重合体を示す。また、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンの単独重合体又はプロピレンと他の1種若しくは2種以上のモノマーとの共重合体を示す。
上記ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(「VLDPE」、「ULDPE」と称される。)等が挙げられる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体であることが好ましく、エチレンと、炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体であることがより好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を併用することができる。また、共重合体を構成する全モノマー中のα−オレフィンの割合(仕込みモノマー基準)は、6〜30質量%であることが好ましい。さらに、上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、軟質の共重合体であることが好ましく、X線法による結晶化度が30%以下であることが好ましい。
また、上記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと、プロピレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
上記ポリエチレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができ、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。また上記ポリエチレン系樹脂は、クッション性の観点から、密度が0.860〜0.920g/cm3であることが好ましく、0.870〜0.915g/cm3であることがより好ましく、0.870〜0.910g/cm3であることが更に好ましい。密度が0.920g/cm3以下であると、クッション性が良好となる傾向にある。なお、密度が0.920g/cm3を超えると透明性が悪化するおそれがある。高密度のポリエチレン系樹脂を用いる場合には、低密度のポリエチレン系樹脂を、例えば、30質量%程度の割合で添加することで透明性を改善することもできる。
上記ポリエチレン系樹脂は、樹脂封止シートの加工性の観点から、MFR(190℃、2.16kg)が0.5g/10min〜30g/10minであることが好ましく、0.8g/10min〜30g/10minであることがより好ましく、1.0g/10min〜25g/10minであることが更に好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したポリエチレン系共重合体を使用することもできる。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンとエチレンとα−オレフィンとの3元共重合体等が挙げられる。
上記プロピレン−α−オレフィン共重合体とは、プロピレンとα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体を示す。上記プロピレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種とからなる共重合体が好ましく、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種からなる共重合体がより好ましい。ここで炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を併用することができる。また、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成する全モノマー中のエチレン及び/又はα−オレフィンの含有割合(仕込みモノマー基準)は、6〜30質量%であることが好ましい。さらに、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体は、軟質の共重合体であることが好ましく、X線法による結晶化度が30%以下であることが好ましい。
上記プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレンと、エチレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種類のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
上記ポリプロピレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合することができ、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。また上記ポリプロピレン系樹脂は、クッション性の観点から、密度が0.860〜0.920g/cm3であることが好ましく、0.870〜0.915g/cm3であることがより好ましく、0.870〜0.910g/cm3であることが更に好ましい。密度が0.920g/cm3以下であると、クッション性が良好となる傾向にある。なお、密度が0.920g/cm3を超えると透明性が悪化するおそれがある。
上記ポリプロピレン系樹脂は、樹脂封止シートの加工性の観点から、MFR(230℃、2.16kgf)が0.3g/10min〜15.0g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜12g/10minであることがより好ましく、0.8g/10min〜10g/10minであることが更に好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したポリプロピレン系共重合体を使用することもできる。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンと、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンとの共重合体、又は、プロピレンと、エチレンと、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンとの3元共重合体等が好適に使用できる。これらの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体等のいずれの形態でもよく、好ましくはプロピレンとエチレンとのランダム共重合体、又は、プロピレンとエチレンとブテンとのランダム共重合体である。
上記ポリプロピレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒のような触媒で重合された樹脂だけでなく、メタロセン系触媒等で重合された樹脂でよく、例えば、シンジオタクチックポリプロピレンや、アイソタクティックポリプロピレン等も使用できる。また、ポリプロピレン系樹脂を構成する全モノマー中のプロピレンの割合(仕込みモノマー基準)は、60〜80質量%であることが好ましい。さらに、熱収縮性が優れるという観点から、ポリプロピレン系樹脂を構成する全モノマー中のプロピレン含有割合(仕込みモノマー基準)が60〜80質量%であり、エチレン含有割合(仕込みモノマー基準)が10〜30質量%であり、ブテン含有割合(仕込みモノマー基準)が5〜20質量%である3元共重合体が好ましい。
また上記ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂の総量に対して50質量%以下の高濃度のゴム成分を均一微分散させてなる樹脂を用いることもできる。
樹脂封止シートを構成する樹脂が上記ポリプロピレン系樹脂を含有することで、硬さ、耐熱性等の特性が一層向上する傾向にある。
また、ポリブテン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が特に優れるため、樹脂封止シートの硬さや腰の調整を目的として、上記ポリプロピレン系樹脂と併用することが好ましい。上記ポリブテン系樹脂としては、結晶性であり、ブテンと、エチレン、プロピレン及び炭素数5〜8のオレフィン系化合物から選ばれる少なくとも1種からなる共重合体であり、かつ、ポリブテン系樹脂を構成する全モノマー中のブテンの含有量が70モル%以上である高分子量のポリブテン系樹脂が好適に使用できる。
上記ポリブテン系樹脂は、MFR(190℃、2.16kg)が0.1g/10min〜10g/10minであることが好ましい。また、ビカット軟化点が40〜100℃であることが好ましい。ここで、ビカット軟化点はJIS K7206−1982に従って測定される値である。
本実施の形態の樹脂封止シートは、単層構造、多層構造のいずれの構造を有していてもよい。以下、各構造について説明する。
[単層構造]
樹脂封止シートが単層構造を有する場合、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる層であることが好ましい。
[多層構造]
本実施の形態における樹脂封止シートは、表面層と、前記表面層に積層された内層とを含む少なくとも2層以上の多層構造を有していてもよい。ここで、樹脂封止シートの両表面を形成する2層を「表面層」といい、それ以外を「内層」という。
多層構成を有する場合、表面層にはガラスやバックシートへの接着性が良好な樹脂を使用し、内層にはクッション性や水蒸気バリア性等に優れる樹脂や、水及び/又はガス捕捉剤を含有した樹脂を使用すると、接着性や段差埋め込み性を損なうことなく、高機能化を達成することができる。また、内層に安価な樹脂を使用したり、封止シートのリサイクル材等の安価な原料を使用すると、コスト低減にも繋がる。
表面層としては、良好な透明性、柔軟性、被接着物の接着性や取扱性を確保する観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
被封止物と接触する表面層の層比率は、良好な接着性を確保する観点から、樹脂封止シートの全厚に対し、少なくとも5%以上の厚さを有していることが好ましい。厚さが5%以上であると、上述した単層構造の場合と同等の接着性が得られる傾向にある。
内層を構成する樹脂としては、特に限定されず、上述した表面層に含まれる樹脂に加えて、他のいかなる樹脂を用いてもよい。内層には、他の機能を付与することを目的として、樹脂材料、混合物、添加物等を適宜選定できる。例えば、新たにクッション性を付与する目的として、内層として熱可塑性樹脂を含有する層を設けてもよい。
内層として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素系エチレンポリマー系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、生分解性を有したものや植物由来原料系のもの等も含まれる。上記の中でも、結晶性ポリプロピレン系樹脂との相溶性がよく、透明性が良好な水素添加ブロック共重合体樹脂、プロピレン系共重合樹脂、エチレン系共重合体樹脂が好ましく、水素添加ブロック共重合体樹脂及びプロピレン系共重合樹脂がより好ましい。
水素添加ブロック共重合体樹脂としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
プロピレン系共重合体樹脂としては、プロピレンとエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。そのエチレン又は炭素原子数4〜20のα−オレフィンの含有量は6〜30質量%が好ましい。この炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。
プロピレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したプロピレン系共重合体を使用できる。
エチレン系共重合体樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒で重合されたものでもよい。また、ポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したエチレン系共重合体を使用できる。
内層の材料としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、ポリエチレン系樹脂の密度は、適度なクッション性を得る観点から、0.860〜0.920g/cm3であることが好ましく、0.870〜0.915g/cm3であることがより好ましく、0.870〜0.910g/cm3であることが更に好ましい。密度が0.920g/cm3以上の樹脂層を被封止物と接触しない層(内層)として形成した場合、透明性が悪化する傾向にある。
また、樹脂封止シートは、中央層の両面に、中央層に対して対称の配置となるように同一成分の層が1又は2以上積層された構造を有していてもよい。このような樹脂封止シートとしては、例えば、2層の表面層(以下、「スキン層」と記載する場合がある。)と3層の内層からなる樹脂封止シートであって、2層の表面層が同一成分からなり、表面層に隣接する2層の内層(以下、「ベース層」と記載する場合がある。)が同一成分からなる樹脂封止シートが挙げられる。
上記構造を有する樹脂封止シートにおいて、表面層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましく、上記ベース層の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜圧に対して50〜90%であることが好ましく、ベース層に挟まれた内層(以下、「コア層」と記載する場合がある。)の膜厚は、樹脂封止シート全体の膜厚に対して5〜40%であることが好ましい。
次に、樹脂封止シート加工性の観点について検討する。樹脂封止シートを構成する樹脂のMFR(190℃、2.16kg)は、良好な加工性を確保する観点から、0.5〜30g/10minであることが好ましく、0.8〜30g/10minであることがより好ましく、1.0〜25g/10minであることが更に好ましい。樹脂封止シートが2層以上の多層構造の場合、内層(ベース層やコア層)を構成する樹脂のMFRは、樹脂封止シート加工性の観点から、表面層のMFRより低いことが好ましい。
本実施の形態における樹脂封止シートには、特性を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、カップリング剤、防曇剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー、架橋調整剤等を添加してもよい。
樹脂封止シートには、安定した接着性を確保する目的でカップリング剤を添加してもよい。上記カップリング剤の添加量及び種類は、所望の接着性の度合いや被接着物の種類によって適宜選択できる。上記カップリング剤の添加量としては、カップリング剤を添加する樹脂層の全質量基準で、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜4質量%であることがより好ましく、0.05〜3質量%であることが更に好ましい。上記カップリング剤の種類としては、樹脂層に、太陽電池セルやガラスへの良好な接着性を付与する物質が好ましく、例えば、有機シラン化合物、有機シラン過酸化物、有機チタネート化合物等が挙げられる。また、これらのカップリング剤は、押出機内にて樹脂に注入混合する、押出機ホッパー内に混合して導入する、マスターバッチ化して混合して添加する等の公知の添加方法で添加することができる。ただし、押出機を経由する場合、押出機内の熱や圧力等によりカップリング剤の機能が阻害されることがあるため、カップリング剤の種類によっては添加量を適宜調整する必要がある。また、カップリング剤の種類は、樹脂封止シートの透明性や分散具合の観点、押出機への腐食や押出安定性の観点等を考慮して、適宜選択すればよい。好ましいカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラングリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の不飽和基やエポキシ基を有するものが挙げられる。
また、樹脂封止シートには、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等を添加することができる。特に長期に渡って透明性や接着性を維持する必要がある場合、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等を添加することが好ましい。これらの添加剤を樹脂に添加する場合、その添加量は、添加する樹脂の総量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系、アミン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系等の酸化防止剤が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤等は樹脂封止シートを構成する樹脂中に、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%を添加する。エチレン系樹脂に添加する場合、シラノール基を有する樹脂をマスターバッチ化して混合することで、さらに接着性を付与することもできる。添加方法としては、特に限定されず、液体の状態で溶融樹脂に添加する、直接対象樹脂層に練り込み添加する、シーティング後に塗布する等の方法が挙げられる。
樹脂封止シートは、厚さが50〜1500μmであることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましく、150〜800μmであることが更に好ましい。厚さが50μm未満であると、構造的にクッション性が乏しい場合や、作業性の観点で、耐久性や強度に問題が生ずる傾向にある。一方、厚さが1500μmを超えると、生産性の低下や密着性の低下を招来するという問題が生じる傾向にある。
次に、樹脂封止シートの光学特性について説明する。光学特性の指標としてはヘイズ値が用いられる。ヘイズ値が10.0%以下であると樹脂封止シートにより封止された被封止物を外観上確認できると同時に、太陽電池の封止材として用いた場合に、実用上十分な発電効率が得られるため好ましい。上記観点から、ヘイズ値は9.5%以下であることが好ましく、9.0%以下であることがより好ましい。ここで、ヘイズ値は、ASTM D−1003に準拠して測定することができる。
また、樹脂封止シートは、太陽電池の封止材として用いた場合に、実用上十分な発電効率を確保するために、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、88%以上であることが更に好ましい。ここで、全光線透過率は、ASTM D−1003に準拠して測定することができる。
本実施の形態の樹脂封止シートの製造方法としては、上述したように、樹脂封止シートの60℃における加熱収縮率を5%以下に調整する観点から、樹脂を溶融し、シート状に成形加工する際の樹脂の溶融温度を、樹脂の融点+40℃以上に設定することが好ましい。
本実施の形態の樹脂封止シートはTダイ押出し法やカレンダー法、インフレーション法等の公知の方法を用いて作製することができるが、後述の理由により、インフレーション法を用いるのが好ましい。インフレーション法とは環状のダイより樹脂を溶融押出し、冷却固化したのち1対のニップロールにて円筒形の樹脂チューブを封止し、その円筒形の樹脂チューブに空気を入れて製膜する方法であり、チューブ状にほぼ一定の厚さのシートを製膜する方法である。
また、十分に押出機の能力が高い場合、樹脂チューブの径は十分な量の溶融樹脂を環状ダイより押出し、樹脂チューブを環状ダイの径とほぼ同じ大きさ又は環状ダイの径よりも大きくすると、冷却固化されるまでの間で厚さが厚い部分が優先的に引き伸ばされるため、樹脂封止シートの膜厚精度が格段に向上し、均一な厚さの樹脂封止シートが得られる。さらに、このような環状ダイを使用した場合、設備的にはTダイを使用した製膜方法やカレンダー製膜方法に比べ、格段に設備コストを抑えることができ、安価な設備で高速に均一の樹脂封止シートを作製できるので、高いコストメリットが得られる。また、このような環状ダイを使用した製膜方法は、他の方式の製膜方法と比較して多層構成のシートを作成するのに有利であり、例えば、耐光剤、紫外線吸収剤等の添加剤等の機能材料を含有させた層、水及び/又はガス捕捉剤を含んだ捕捉層、ガスバリア層等の機能を多層化により比較的容易に達成することができる。
原反の表面には、最終的に目的とする樹脂封止シートの形態に応じてエンボス加工処理を施してもよい。例えば、両面にエンボス加工処理を行う場合には、2本の加熱エンボスロール間に、片面エンボス加工処理を行う場合には、片方のみ加熱されたエンボスロール間に、前記原反を通過させることによりエンボス加工処理を施すことができる。樹脂封止シートが多層構造の場合、多層Tダイ法、多層環状(サーキュラー)ダイ法が好適であり、その他公知のラミネート方法によって多層構造を形成してもよい。
さらに、後処理として、例えば寸法安定化のためのヒートセット、コロナ処理、プラズマ処理、他種樹脂封止シート等とのラミネーションを行ってもよい。
樹脂封止シートを構成する樹脂に対する架橋処理、すなわち電離性放射線照射処理や有機過酸化物の利用等による熱処理は、それぞれの場合に応じてエンボス加工処理の前工程又は後工程として行うか選定することができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例1〜5及び比較例1〜5においては、所定の内層を2枚の表面層で挟み込み多層構造を有する樹脂封止シートを作製した。
実施例及び比較例における各物性の測定方法及び評価方法は以下の通りである。
<密度>
JIS―K−7112に準拠して測定した。
<MFR>
JIS―K−7210に準拠して測定した。
<融点>
ティーエイインスツルメント社製のDSC装置「MDSC2920型」を使用し、10℃/分の昇温速度で測定を行い、融解熱のピーク温度を融点とした。
<VA>
JIS−K−7129に準拠して測定した。
<ゲル分率>
沸騰p−キシレン中で試料を24時間煮沸し、不溶解部分の割合から次式により算出した。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
<加熱収縮率>
JIS C2318−1997(5.3.4 寸法変化)に準じ、作製したシートから幅20mm、長さ150mmの試験片を、シートの機械方向から5枚採り、それぞれの中央部に100mmの距離をおいて標点をつけた。このサンプルを60℃に保持された熱風循環式恒温槽に垂直につるし、15分間加熱した後取り出し、室温に30分間放置してから標点間距離を測定して、収縮率を次式によって算出し、その平均を求めた。
ΔL(%)=〔(L0−L)/L0〕×100
ΔL:収縮率(%)
L0:加熱前の標点間距離(mm)
L :加熱後の標点間距離(mm)
<隙間埋め性>
太陽電池用ガラス板(AGC社製白板ガラス35cmX35cm角:厚さ3mm)/樹脂封止シート/配線済みシリコンセル(厚さ250μm、6インチセル2X2枚、セル間ピッチ10mm)/樹脂封止シート/2軸延伸PETフィルム(帝人デュポン製 厚さ250μm)の順に重ね、LM50型真空ラミネート装置(NPC社)を用いて、150℃にて5分間脱気後、10分間真空ラミネートし、セル間及び配線部分の隙間埋め状況を目視にて確認した。
〇:セル間又は配線部分の段差部分に隙間が発生している部分がない。
×:セル間又は配線部分の段差部分に隙間が発生している部分がある。
実施例及び比較例において用いた各材料は以下の通りである。
<樹脂>
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
東ソー社製 ウルトラセン751(VA=28%、MFR=5.7、融点63℃)
(2)エチレン−プロピレン共重合体
ダウ・ケミカル日本社製 バーシファイ2200 (MFR=2.0、融点135℃)
(3)線状低密度ポリエチレン
ダウ・ケミカル日本社製 アテイン4201G (MFR=1.0、融点117℃)
(4)高圧法低密度ポリエチレン
旭化成ケミカルズ社製 サンテックLD M2713(MFR=1.3、融点123℃)
<シランカップリング剤>
信越化学社製 KBM503
[実施例1]
表面層の原料としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(VA%=28%、MFR=5.7、mp=72℃)を、添加剤としてシランカップリング剤(信越化学社製、KBM503)3質量%添加したものを用い、内層の原料としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(VA%=28%、MFR=5.7、mp=72℃)を用い、2台の押出機(表面層押出機、内層押出機)を使用して温度130℃にて樹脂を溶融し、その押出機に接続された環状ダイから樹脂をチューブ状に溶融押出し、形成されたチューブを水冷リングにて急冷し、樹脂封止シートを得た。続いて、得られた樹脂シートをNHV製電子線照射装置EPS−800を用いて、500kV、20kGyの条件で電子線照射を施した。樹脂封止シートの評価結果を表1に示す。
[実施例2〜5]
用いた樹脂、樹脂押し出し温度、電子線照射条件を表1の通りに変えたこと以外は実施例1と同様の方法により樹脂封止シートを得た。樹脂封止シートの評価結果を表1に示す。
[比較例1〜5]
用いた樹脂、樹脂押し出し温度、電子線照射条件を表2の通りに変えたこと以外は実施例1と同様の方法により樹脂封止シートを得た。樹脂封止シートの評価結果を表2に示す。
Figure 0005190999
Figure 0005190999
表1の結果から明らかなように、本実施の形態の樹脂封止シート(実施例1〜5)は、60℃における加熱収縮率が5%以下であるため寸法安定性に優れ、セル間及び配線部分の隙間埋め性も良好であった。
本発明の樹脂封止シートは、太陽電池を構成する素子等の部材を保護するための封止材としての産業上利用可能性を有する。

Claims (3)

  1. ゲル分率が1質量%以上60質量%未満であり、且つ、60℃における加熱収縮率が5%以下であり、有機過酸化物を実質的に含有しない、樹脂封止シートであって、
    電離性放射線照射によって架橋処理が施されており、
    表面層と、前記表面層に積層された内層とを含む少なくとも2層以上の多層構造を有する、樹脂封止シート
  2. エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族カルボン酸エステル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する、請求項1記載の樹脂封止シート。
  3. 樹脂を溶融し、シート状に成形加工し、得られたシートを電離性放射線照射によって架橋処理する工程を含む請求項1又は2記載の樹脂封止シートの製造方法であって、
    樹脂の溶融温度が樹脂の融点+40℃以上であ
    電離性放射線の照射線量が20kGy以上80kGy以下である、製造方法。
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