JP5187320B2 - 冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷延鋼板の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、プレス加工等により様々な形状に成形して利用される高張力冷延鋼板の製造方法、特に、延性と伸びフランジ性とに優れた高張力冷延鋼板の製造方法に関する。
産業技術分野が高度に分業化した今日、各技術分野において用いられる材料には、特殊かつ高度な性能が要求されている。例えば、プレス成形して使用される冷延鋼板についても、プレス形状の多様化に伴い、より優れた成形性が必要とされている。また、高い強度が要求されるようになり、高張力冷延鋼板の適用が検討されている。特に、自動車用鋼板に関しては、地球環境への配慮から、車体を軽量化して燃費を向上させるために、薄肉高成形性高張力冷延鋼板の需要が著しく高まってきている。プレス成形においては、使用される鋼板の厚さが薄いほど、割れやしわが発生しやすくなるため、より延性や伸びフランジ性に優れた鋼板が必要とされる。しかし、これらのプレス成形性と鋼板の高強度化とは、背反する特性であり、これらの特性を同時に満足させることは困難である。
これまでに、高張力冷延鋼板のプレス成形性を改善する方法として、ミクロ組織の微細粒化に関する技術が多く提案されている。例えば特許文献1には、熱間圧延工程においてAr点近傍の温度域で合計圧下率80%以上の圧延を行う、極微細粒高強度熱延鋼板の製造方法が開示されており、特許文献2には、熱間圧延工程において、圧下率40%以上の圧延を連続して行う、超細粒フェライト鋼の製造方法が開示されている。
しかし、これらの技術の様に熱間圧延工程で大圧下を行う方法は、圧延機へ過度の負荷がかかるため、工業的生産に適用することは困難である。また、冷延鋼板を微細粒化する方法については何ら記載されておらず、本発明者らの検討によると、大圧下圧延によって得られた細粒熱延鋼板を母材として、冷間圧延および焼鈍を行うと結晶粒が容易に粗大化し、プレス成形性に優れた冷延鋼板を得ることが困難である。特に、Ac点以上の高温域で焼鈍することが必要な、フェライトと低温変態生成相からなる金属組織を有する二相組織冷延鋼板の製造においては、結晶粒の粗大化が顕著であり、延性に優れるという二相組織冷延鋼板の利点を享受することができない。
特許文献3には、熱間圧延工程において、動的再結晶域での圧下を5スタンド以上の圧下パスで行う、超微細粒を有する熱延鋼板の製造方法が開示されている。しかし、熱間圧延時の温度低下を極度に低減させる必要があり、通常の熱間圧延設備で実施することは困難である。また、熱間圧延後、冷間圧延および焼鈍を行った例が示されているが、引張強度と穴拡げ性のバランスが悪く、プレス成形性が不十分である。
冷延鋼板を微細粒化する方法に関しては、特許文献4に、TiまたはNbを多量に含有させ、焼鈍工程でフェライトを細粒化する技術が開示されている。微細なフェライト中にマルテンサイトやベイナイトが分散する二相組織鋼板が得られ、降伏比が低く形状凍結性が改善され、さらに、強度と延性のバランスおよび強度と伸びフランジ性のバランスのいずれかを向上させることができるとされているが、延性と伸びフランジ性の双方を同時に確保することは困難である。また、TiおよびNbの添加により製造コストが上昇するばかりか、高温で焼鈍するとオーステナイト粒が粗大化するために焼鈍の適正温度範囲が狭く、製造安定性を確保し難い。
特許文献5には、冷間圧延後にAe点以上Ae点以下の温度に加熱した後急冷する前処理を少なくとも1回施し、さらにAe点以上Ae点以下の温度に保持し急冷する焼鈍を行い、二相型高張力鋼板を微細粒化する方法が開示されており、特許文献6には、熱延鋼板に600℃以上Ac点以下の熱処理を施した後、冷延および焼鈍を行い、二相型高張力鋼板を微細粒化する方法が開示されている。これらの方法では、前処理または熱処理を行う工程が追加されるため、生産性の劣化および製造上コストの上昇が著しい。
特許文献7には、熱間圧延直後に720℃以下まで急冷し600〜720℃の温度域に2秒間以上保持し、得られた熱延鋼板に冷間圧延および焼鈍を施す、粒度分布の小さい微細粒組織を有する冷延鋼板の製造方法が開示されている。
特開昭58−123823号公報 特開昭59−229413号公報 特開平11−152544号公報 特開2004−250774号公報 特開2004−232022号公報 特開2005−213603号公報 国際公開第2007/15541号
上述の特許文献7において開示される技術は、熱間圧延終了後、オーステナイトに蓄積された加工歪みを解放させず、加工歪みを駆動力としてフェライト変態させることにより、粒径分布の小さい微細粒組織が形成され、優れた延性および熱的安定性が得られる優れた発明である。しかし、本発明者らが検討を重ねた結果、鋼の化学組成および製造条件によっては、冷間圧延および焼鈍後に、高い強度と良好な延性と良好な伸びフランジ性を同時に確保することができない場合があることが判明した。
本発明は、そのような問題点を解決するためになされたものであり、さらに具体的にはその課題は、優れた延性および伸びフランジ性を有する高張力冷延鋼板の製造方法を提供することである。
本発明者らは、高張力冷延鋼板の機械特性に及ぼす化学組成および製造条件の影響について詳細な調査を行った。なお、本明細書において、化学組成における各元素の含有量における「%」とはすべて質量%を意味する。
一連の供試鋼は、質量%で、C:0.10%未満、Si:2.0%以下、Mn:1.50%以上3.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:0.10%以下、N:0.010%以下、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有するものであった。
このような化学組成を有するスラブを、1200℃に加熱した後、Ar点以上の温度範囲で板厚2.0mmまで熱間圧延し、熱間圧延後、種々の冷却条件で720℃以下の温度域まで冷却し、5〜10秒間空冷した後、90℃/s以下の冷却速度で種々の温度まで冷却してこれを巻取温度とし、同温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの冷却速度で炉冷却して巻取後の徐冷をシミュレートした。得られた熱延鋼板を酸洗し、50%の圧延率で板厚1.0mmまで冷間圧延した。連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板を種々の温度に加熱し、95秒間保持する均熱処理を施した後、種々の条件で冷却する焼鈍を施した。
上記焼鈍を施した冷延鋼板から、組織観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨した後、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置において金属組織を観察した。また、圧延方向に平行に引張試験片を採取して引張試験を行った。さらに、伸びフランジ性を穴拡げ試験により評価した。穴拡げ試験では、クリアランス12.5%で直径10mmの打ち抜き穴を開け、先端角60°の円錐ポンチで打ち抜き穴を押し拡げ、板厚を貫通する割れが発生したときの穴の拡大率を測定した。
これらの予備試験の結果、次の(A)ないし(F)のような知見を得た。
(A)熱間圧延直後に水冷により急冷するいわゆる直後急冷プロセスを経て製造された熱延鋼板、具体的には、熱間圧延完了から0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷して製造された熱延鋼板を、冷間圧延し焼鈍すると、焼鈍温度の上昇に伴い、冷延鋼板の延性および伸びフランジ性が向上するが、焼鈍温度が高すぎると、オーステナイト粒が粗大化し、冷延鋼板の延性および伸びフランジ性が急激に劣化する場合がある。
(B)直後急冷後の巻取工程において、巻取温度を上昇させると、冷間圧延後高温で焼鈍した際、オーステナイト粒の粗大化が抑制される。この理由は明らかではないが、(a)巻取温度の上昇に伴い、熱延鋼板中の鉄炭化物の析出量が増加すること、(b)鉄炭化物は、焼鈍中、フェライトからオーステナイトへの変態における核生成サイトとして機能するため、鉄炭化物の析出量が多いほど核生成頻度が上昇し、オーステナイトが細粒化すること、(c)未固溶の鉄炭化物は、オーステナイトの粒成長を抑制するため、オーステナイトが細粒化すること、に起因すると推定される。
(C)巻取温度の上昇に伴うオーステナイト粒の粗大化防止効果は、鋼中のSi含有量が多いほど強くなる。この理由は明らかではないが、(a)Si含有量の増加に伴い、鉄炭化物が微細化し数密度が増すこと、(b)これにより、フェライトからオーステナイトへの変態における核生成頻度がさらに上昇すること、(c)また、未固溶鉄炭化物による粒成長抑制が強くなること、に起因すると推定される。
(D)オーステナイト粒の粗大化を抑制しながら(Ac点−40℃)以上の温度域で均熱して冷却すると、微細なフェライトを主相とし第二相として低温変態生成相が微細に分散する金属組織が得られる。この理由は明らかではないが、(a)フェライト→オーステナイト→フェライト変態を経て生成したフェライトは、オーステナイト化以前のフェライトより微細化すること、(b)未固溶鉄炭化物は、フェライトの粒成長も抑制すること、に起因すると推定される。
(E)この様な金属組織を有する冷延鋼板は、高強度でありながら良好な延性および良好な伸びフランジ性を示す。
(F)さらに、上記均熱後の一定温度域の冷却を徐冷にすることにより、より一層良好な延性および良好な伸びフランジ性が得られる。
以上の結果から、Siを一定量以上含有させた鋼を熱間圧延した後に直後急冷し、高温でコイル状に巻取り、冷間圧延し、(Ac点−40℃)以上の温度で均熱して冷却することにより、主相がフェライトであり第二相に低温変態生成相を含む組織を備え、延性および伸びフランジ性に優れた冷延鋼板を製造することができる。
以上の知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
(1)下記工程(A)〜(C)を有することを特徴とする、主相がフェライトであり第二相に低温変態生成相を含む金属組織を備える冷延鋼板の製造方法:
(A)質量%で、C:0.010%超0.10%未満、Si:0.10%超2.0%以下、Mn:1.50%以上3.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:0.10%以下およびN:0.010%以下を含有する化学組成を有するスラブに、Ar点以上の温度域で圧延を完了する熱間圧延を施して熱延鋼板となし、前記熱延鋼板を前記圧延の完了後0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却し、400℃以上の温度域で巻取る熱間圧延工程;
(B)前記熱延鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
(C)前記冷延鋼板に(Ac点−40℃)以上の温度域で均熱処理を施す焼鈍工程。
(2)前記工程(C)において、前記均熱処理の後に10℃/s未満の冷却速度で50℃以上冷却することを特徴とする上記(1)に記載の冷延鋼板の製造方法。
(3)前記化学組成が、さらに、質量%で、Ti:0.040%未満、Nb:0.030%未満およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の冷延鋼板の製造方法。
(4)前記化学組成が、さらに、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.010%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする上記(1)から上記(3)のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
(5)前記化学組成が、さらに、質量%で、Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.050%以下およびBi:0.050%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、プレス成形などの加工に適用できる十分な延性および伸びフランジ性を有する高張力冷延鋼板が得られる。本発明は自動車の車体軽量化を通じて地球環境問題の解決に寄与できるなど産業の発展に寄与するところ大である。
本発明に係る高張力冷延鋼板における金属組織、化学組成およびその鋼板を効率的、安定的かつ経済的に製造しうる製造方法における圧延、焼鈍条件等について以下に詳述する。
1.金属組織
本実施の形態の高張力冷延鋼板は、主相が微細なフェライトであり第二相に低温変態生成相を含む複合組織を有する。これは、延性を損なうことなく高強度化するのに好適であるからである。ここで、低温変態生成相とは、マルテンサイトやベイナイト等といった低温変態により生成される相および組織をいう。これら以外に、アシキュラーフェライト、ベイニティックフェライトや焼戻しマルテンサイトが例示される。この低温変態生成相は、2種以上の相および組織、例えば、マルテンサイトとベイナイトとを含んでいてもよい。なお、主相とは体積率が最大である相または組織を意味し、第二相とは主相以外の相および組織を意味する。低温変態生成相が2種以上の相および組織を含む場合は、これらの相および組織の体積率の合計を低温変態生成相の体積率とする。
延性および伸びフランジ性を向上させるために、フェライトの体積率は80.0%以上であることが好ましい。さらに好ましくは85.0%以上、特に好ましくは90.0%以上である。一方、フェライトの体積率が過剰であると引張強度が低下する。したがって、フェライトの体積率は98.0%未満であることが好ましい。さらに好ましくは95.0%未満、特に好ましくは92.0%未満である。また、延性および伸びフランジ性をさらに向上させるためには、フェライトの平均結晶粒径を5.0μm未満とすることが好ましい。さらに好ましくは4.0μm未満、特に好ましくは3.0μm未満である。
引張強度を高めるために、低温変態生成相の体積率は2.0%超であることが好ましい。さらに好ましくは4.0%超、特に好ましくは6.0%超である。一方、低温変態生成相の体積率が過剰であると延性および伸びフランジ性の低下が著しくなる。したがって、低温変態生成相の体積率は20.0%未満であることが好ましい。さらに好ましくは15.0%未満、特に好ましくは10.0%未満である。
延性および形状凍結性を向上させるために、低温変態生成相はマルテンサイトを含むことが好ましい。この場合、組織全体に占めるマルテンサイトの体積率は1.0%超とすることが好ましく、2.0%超とすることがさらに好ましく、3.0%超とすることが特に好ましい。一方、マルテンサイトの体積率が過剰になると伸びフランジ性が劣化する。このため、組織全体に占めるマルテンサイト相の体積率は15.0%未満とすることが好ましく、10.0%未満とすることがさらに好ましい。
伸びフランジ性を向上させるために、低温変態生成相はベイナイトを含むことが好ましい。この場合、組織全体に占めるベイナイトの体積率は1.0%超とすることが好ましく、2.0%超とすることがさらに好ましく、3.0%超とすることが特に好ましい。一方、ベイナイトの体積率が過剰になると延性および形状凍結性が劣化する。このため、組織全体に占めるベイナイトの体積率は15.0%未満とすることが好ましく、10.0%未満とすることがさらに好ましい。
第二相としては、低温変態生成相以外に残留オーステナイトを含んでいてもよい。残留オーステナイトが含まれると延性が向上する。しかしながら、残留オーステナイトの体積率が過剰になると伸びフランジ性が劣化する。このため、残留オーステナイトの体積率は、15.0%未満であることが好ましく、10.0%未満であればさらに好ましく、8.0%未満であれば特に好ましい。残留オーステナイトによる延性向上作用をより確実に得るには、残留オーステナイトの体積率を1.0%超とすることが好ましく、2.0%超とすることがさらに好ましく、3.0%超とすることが特に好ましい。
なお、本実施の形態では、冷延鋼板の場合は鋼板表面から板厚の1/4深さ位置、めっき鋼板の場合は基材である鋼板とめっき層との境界から基材である鋼板の板厚の1/4深さ位置において、上述の金属組織を規定する。
以上の金属組織上の特徴に基づいて実現されうる機械特性として、本実施の形態の鋼板は、衝撃吸収性を確保するために、引張強度(TS)は590MPa以上であることが好ましく、780MPa以上であればさらに好ましい。また、延性を確保するために、TSは1180MPa未満であることが好ましく、980MPa未満であればさらに好ましい。また、プレス成形性の観点から、鋼板の全伸びをEl、日本鉄鋼連盟規格JFST1001に準拠して測定される穴拡げ率をλとしたとき、TS×El×λの値が9.0×10MPa以上であることが好ましく、1.0×10MPa以上であることはさらに好ましく、1.1×10MPa以上であれば特に好ましい。形状凍結性の観点からは、降伏比が80%未満であることが好ましく、75%未満であることはさらに好ましく、70%未満であれば特に好ましい。
2.鋼の化学組成
C:0.010%超0.10%未満
C含有量が0.010%以下では上記の金属組織を得ることが困難となる。したがって、C含有量は0.010%超とする。好ましくは0.020%超、さらに好ましくは0.030%超、特に好ましくは0.04%超である。一方、C含有量が0.10%以上では、上記の金属組織が得られにくくなるばかりか、鋼板の伸びフランジ性が損なわれ、溶接性も劣化する。したがって、C含有量は0.10%未満とする。好ましくは0.08%未満、さらに好まくは0.06%未満、特に好ましくは0.05%未満である。
Si:0.10%超2.0%以下
Siは、焼鈍中のオーステナイト粒成長抑制を通じ、延性および伸びフランジ性を改善する作用を有する。Si含有量が0.10%以下では上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、Si含有量は0.10%超とする。好ましくは0.25%超、さらに好ましくは0.50%超、特に好ましくは0.60%超である。一方、Si含有量が2.0%超では鋼板の表面性状が劣化する。さらに、化成処理性およびめっき性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は2.0%以下とする。好ましくは1.50%以下、さらに好ましくは1.25%以下、特に好ましくは1.00%未満である。
Mn:1.50%以上3.50%以下
Mnは、鋼の焼入性を向上させる作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。Mn含有量が1.50%未満では上記の金属組織を得ることが困難となる。したがって、Mn含有量は1.50%以上とする。好ましくは2.10%超、さらに好ましくは2.20%超、特に好ましくは2.30%超である。一方、Mn含有量が3.50%超では、フェライトの体積率が過小となって延性が劣化するばかりか、Mnの偏析により曲げ性が損なわれ、さらには、素材コストの上昇を招く。したがって、Mn含有量は3.50%以下とする。好ましくは3.00%未満、さらに好ましくは2.70%未満、特に好ましくは2.50%未満である。
P:0.10%以下
Pは、不純物として鋼中に含有される元素であり、粒界に偏析して鋼を脆化させる。このため、P含有量は少ないほど好ましい。したがって、P含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.020%未満であり、さらに好ましくは0.015%未満である。
S:0.010%以下
Sは、不純物として鋼中に含有される元素であり、硫化物系介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させる。このため、S含有量は少ないほど好ましい。したがって、S含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%未満、特に好ましくは0.001%以下である。
sol.Al:0.10%以下
Alは、溶鋼を脱酸する作用を有する。本発明においては、Alと同様に脱酸作用を有するSiを含有させるため、Alは必ずしも含有させる必要はない。脱酸目的で含有させる場合には、sol.Alとして0.10%を超えて含有させても効果が飽和して不経済となるため、sol.Al含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.05%以下であり、さらに好ましくは0.02%以下である。Alによる脱酸作用による効果をより確実に得るには、sol.Al含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
N:0.010%以下
Nは、不純物として鋼中に含有される元素であり、延性を劣化させる。このため、N含有量は少ないほど好ましい。したがって、N含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.006%以下であり、さらに好ましくは0.005%以下である。
本実施の形態に係る鋼板は、以下に列記する元素を任意元素として含有してもよい。
Ti:0.040%未満、Nb:0.030%未満およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上
Ti、NbおよびVは、炭化物または窒化物として析出し、焼鈍中のオーステナイトの粗大化を抑制し、延性および伸びフランジ性を向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。そればかりか、再結晶温度が上昇し、冷延鋼板の金属組織が不均一化し、伸びフランジ性も損なわれる。さらには、炭化物または窒化物の析出量が増し、降伏比が上昇し、形状凍結性も劣化する。したがって、Ti含有量は0.040%未満、Nb含有量は0.030%未満、V含有量は0.50%以下とする。Ti含有量は好ましくは0.025%未満、さらに好ましくは0.020%未満であり、Nb含有量は好ましくは0.020%未満、さらに好ましくは0.015%以下であり、V含有量は好ましくは0.30%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.005%以上、Nb:0.005%以上およびV:0.010%以上のいずれかを満足させることが好ましい。Tiを含有させる場合には、Ti含有量を0.010%以上とすることがさらに好ましく、Nbを含有させる場合には、Nb含有量を0.010%以上とすることがさらに好ましい。
Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.010%以下からなる群から選択された1種または2種以上
Cr、Moおよびは、鋼の焼入性を向上させる作用を有し、上記の金属組織を得るのに有効な元素である。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。したがって、Cr含有量は1.0%以下、Mo含有量は0.50%以下、B含有量は0.010%以下とする。Cr含有量は好ましくは0.50%以下であり、Mo含有量は好ましくは0.20%以下であり、B含有量は好ましくは0.0030%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、Cr:0.20%以上、Mo:0.05%以上およびB:0.0010%以上のいずれかを満足させることが好ましい。
Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.050%以下およびBi:0.050%以下からなる群から選択された1種または2種以上
Ca、MgおよびREMは介在物の形状を調整することにより、Biは凝固組織を微細化することにより、ともに伸びフランジ性を改善する作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させても上記作用による効果が飽和して不経済となる。したがって、Ca含有量は0.010%以下、Mg含有量は0.010%以下、REM含有量は0.050%以下、Bi含有量は0.050%以下とする。好ましくは、Ca含有量は0.0020%以下、Mg含有量は0.0020%以下、REM含有量は0.0020%以下、Bi含有量は0.010%以下である。上記作用をより確実に得るには、Ca:0.0005%以上、Mg:0.0005%以上、REM:0.0005%以上およびBi:0.0010%以上のいずれかを満足させることが好ましい。なお、REMとは希土類元素を意味し、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REM含有量はこれらの元素の合計含有量である。
3.製造条件
上述した化学組成を有する鋼は、公知の手段により溶製された後に、連続鋳造法により鋼塊とされるか、または、任意の鋳造法により鋼塊とした後に分塊圧延する方法等により鋼片とされる。連続鋳造工程では、介在物に起因する表面欠陥の発生を抑制するために、鋳型内にて電磁攪拌等の外部付加的な流動を溶鋼に生じさせることが好ましい。鋼塊または鋼片は、一旦冷却されたものを再加熱して熱間圧延に供してもよく、連続鋳造後の高温状態にある鋼塊または分塊圧延後の高温状態にある鋼片をそのまま、あるいは保温して、あるいは補助的な加熱を行って熱間圧延に供してもよい。本明細書では、このような鋼塊および鋼片を、熱間圧延の素材として「スラブ」と総称する。熱間圧延に供するスラブの温度は、オーステナイトの粗大化を防止するために、1250℃未満とすることが好ましく、1200℃以下とすればさらに好ましい。熱間圧延に供するスラブの温度の下限は特に限定する必要はなく、後述するように熱間圧延をAr点以上で完了することが可能な温度であればよい。
熱間圧延は、圧延完了後にオーステナイトを変態させることにより熱延鋼板の組織を微細化するために、Ar点以上の温度域で完了させる。圧延完了の温度が低いと、熱延鋼板の集合組織が発達し、冷間圧延および焼鈍後における伸びフランジ性が劣化する。このため、熱間圧延は(Ar点+20℃)以上の温度で完了することが好ましい。(Ar点+30℃)以上の温度で完了することがさらに好ましい。また、熱間圧延の温度が低すぎると、圧延荷重が増大して圧延が困難となるため、熱間圧延を780℃以上で完了することが好ましく、800℃以上で完了することがさらに好ましい。
なお、熱間圧延が粗圧延と仕上圧延とからなる場合には、仕上圧延を上記温度で完了するために、粗圧延と仕上圧延との間で粗圧延材を加熱してもよい。この際、粗圧延材の後端が先端よりも高温となるように加熱することにより仕上圧延の開始時における粗圧延材の全長にわたる温度の変動を140℃以下に抑制することが望ましい。これにより、コイル内の製品特性の均一性が向上する。
粗圧延材の加熱方法は公知の手段を用いて行えばよい。例えば、粗圧延機と仕上圧延機との間にソレノイド式誘導加熱装置を設けておき、この誘導加熱装置の上流側における粗圧延材長手方向の温度分布等に基づいて加熱昇温量を制御してもよい。
熱間圧延の圧下量は、オーステナイトに導入される加工歪み量を増大し、熱延鋼板の組織微細化を促進するために、高いほど好ましい。しかし、圧下量が高くなりすぎると、圧延荷重が増大して圧延が困難となる。したがって、熱間圧延の最終1パスの圧下量を板厚減少率で15%超50%未満とすることが好ましく、20%超40%未満とするとさらに好ましい。
熱間圧延後は、圧延完了後0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷する。これは、圧延によりオーステナイトに導入された加工歪みの解放を抑制し、加工歪みを駆動力としてオーステナイトを変態させ、熱延鋼板の組織を微細化し、冷間圧延および焼鈍後における延性および伸びフランジ性を向上させるためである。好ましくは、圧延完了後0.3秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷することであり、さらに好ましくは、圧延完了後0.2秒間以内に720℃以下の温度域まで急冷することである。また、加工歪みの解放は、急冷中の平均冷却速度が速いほど抑制されるので、急冷中の平均冷却速度を400℃/s以上とすることが好ましく、これにより、熱延鋼板の組織を一層微細化することができる。急冷中の平均冷却速度を500℃/s以上とすればさらに好ましく、700℃/s以上とすれば特に好ましい。なお、圧延完了から急冷を開始するまでの時間および、その間の冷却速度は、特に規定する必要がない。
急冷を行う設備は特に規定されないが、工業的には水量密度の高い水スプレー装置を用いることが好適であり、圧延板搬送ローラーの間に水スプレーヘッダーを配置し、圧延板の上下から十分な水量密度の高圧水を噴射する方法が例示される。
急冷停止後は、鋼板を400℃以上の温度域で巻取る。これは、巻取温度が400℃を下回ると、熱延鋼板中に鉄炭化物が十分に析出せず、焼鈍工程でオーステナイトが粗大化し、冷間圧延および焼鈍後における延性および伸びフランジ性が損なわれるからである。巻取温度は500℃超であることが好ましく、550℃超であるとさらに好ましく、600℃以上であると特に好ましい。一方、巻取温度が高すぎると、スケール生成による歩留まりの低下が顕著となる。このため、巻取温度は700℃未満とすることが好ましい。
急冷停止から巻取りまでの条件は特に規定しないが、急冷停止後、720〜600℃の温度域で1秒間以上保持することが好ましい。これにより、微細なフェライトの生成が促進される。一方、保持時間が長くなりすぎると生産性が損なわれるので、720〜600℃の温度域における保持時間は10秒間以内とすることが好ましい。720〜600℃の温度域で保持した後は、生成したフェライトの粗大化を防止するために、巻取温度まで20℃/s以上の冷却速度で冷却することが好ましい。
以上のようにして製造された熱延鋼板は、微細なフェライトを主体とし鉄炭化物を含む金属組織を有する。焼鈍中のオーステナイトの粗大化をより抑制し、冷延鋼板の延性および伸びフランジ性をさらに向上させるためには、熱延鋼板におけるフェライトの平均結晶粒径を3.0μm以下とすることが好ましく、2.0μm以下とするとさらに好ましい。
熱間圧延された鋼板は、酸洗等により脱スケールされた後に、常法に従って冷間圧延される。冷間圧延は、再結晶を促進して冷延鋼板の金属組織を均一化し、伸びフランジ性を向上させるために、冷圧率を40%以上とすることが好ましい。冷圧率が高すぎると、圧延荷重が増大して圧延が困難となるため、冷圧率は70%未満とすることが好ましく、60%未満とすることはさらに好ましい。
冷間圧延後の鋼板は、必要に応じて公知の方法に従って脱脂等の処理が施された後、焼鈍される。焼鈍における均熱温度は、(Ac点−40℃)以上とする。これは、冷延鋼板のフェライトを細粒化し、延性および伸びフランジ性を向上させるためである。均熱温度は(Ac点−20℃)超とすることが好ましく、Ac点超とするとさらに好ましい。しかしながら、均熱温度が高くなり過ぎると、均熱中にオーステナイトが過度に粗大化して延性および伸びフランジ性が劣化する。このため、均熱温度は(Ac点+100℃)未満とすることが好ましく、(Ac点+50℃)未満とするとさらに好ましい。
フェライトの体積率を増加させ、延性および伸びフランジ性をさらに向上させるには、均熱後、10℃/s未満の冷却速度で均熱温度から50℃以上冷却するのが良い。前記均熱後の冷却速度は、5.0℃/s未満とすることが好ましく、3.0℃/s未満とすることがさらに好ましく、2.0℃/s未満とすることが特に好ましい。
また、フェライトの体積率をさらに増加させるには、均熱後、10℃/s未満の冷却速度で均熱温度から80℃以上冷却することが好ましく、100℃以上冷却することがさらに好ましく、120℃以上冷却することが特に好ましい。
低温変態生成相を得るために、650〜450℃の温度範囲を15℃/s以上200℃/s以下の冷却速度で冷却することが好ましい。さらに好ましい冷却速度は30℃/s超150℃/s未満であり、特に好ましい冷却速度は50℃/s超130℃/s未満である。また、冷延鋼板の金属組織を調整するために、450〜200℃の温度域で60秒間以上保持しても良い。引張強度を高めるためには、保持温度は400℃以下とすることが好ましい。一方、低温変態生成相とフェライトの硬度差を小さくし、伸びフランジ性を向上させるためには、保持温度は300℃以上とすることが好ましく、350℃以上とすることはさらに好ましい。
また、焼鈍における均熱温度までの加熱速度は、700℃以上の温度域を10℃/s未満とすることが好ましい。均熱温度到達までの加熱速度が速すぎると冷延鋼板の金属組織が不均一となり、伸びフランジ性の劣化を招くおそれがある。
めっき鋼板を製造する場合には、上述した方法で製造された冷延鋼板に、常法に従って電気めっきや溶融めっきを行えばよく、めっき方法やめっき被膜の化学組成、めっき後の合金化処理の有無には限定されない。電気めっきとしては、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。溶融めっきとしては、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。
なお、溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合には、上述した方法で冷間圧延まで行い、(Ac点−40℃)以上の温度で均熱した後、10℃/s未満の冷却速度で50℃以上冷却し、ついで600〜460℃の温度域のある温度まで4℃/s以上の冷却速度で冷却し、この温度域で10秒間以上保持してから溶融亜鉛めっきを施すことが好ましい。これにより、低温変態生成相が得られやすくなる。また、塗装後の耐食性を向上させるために、溶融亜鉛めっき後再加熱して合金化処理することが好ましい。
このようにして得られた冷延鋼板およびめっき鋼板には、常法にしたがって調質圧延を行ってもよい。しかし、調質圧延の伸び率が高いと延性の劣化を招く。そこで、調質圧延の伸び率は1.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましい伸び率は0.5%以下である。
本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
実験用真空溶解炉を用いて、表1に示される化学組成を有する鋼を溶解し鋳造した。これらの鋼塊を、熱間鍛造により厚さ30mmの鋼片とした。鋼片を、電気加熱炉を用いて1200℃に加熱し60分間保持した後、表2に示される条件で熱間圧延を行った。
Figure 0005187320
具体的には、実験用熱間圧延機を用いて、Ar点以上の温度域で6パスの圧延を行い、厚さ2mmに仕上げた。最終1パスの圧下率は、板厚減少率で22%とした。熱間圧延後、水スプレーを使用して種々の冷却条件で650〜680℃まで冷却し、6〜10秒間放冷した後、60℃/sの冷却速度で種々の温度まで冷却してこれを巻取温度とし、同温度に保持された電気加熱炉中に装入して30分間保持した後、20℃/hの冷却速度で室温まで炉冷却して巻取後の徐冷をシミュレートした。
得られた鋼板を酸洗して冷間圧延母材とし、圧下率50%で冷間圧延を施し、厚さ1.0mmの冷延鋼板を得た。連続焼鈍シミュレーターを用いて、得られた冷延鋼板を、10℃/sの加熱速度で550℃まで加熱した後、2℃/sの加熱速度で表2に示される種々の温度まで加熱して95秒間保持する均熱処理を施し、その後、表2に示される種々の温度まで一次冷却し、さらに700℃からの平均冷却速度を60℃/sとして表2に示される種々の温度まで二次冷却し、その温度に330秒間保持した後、室温まで冷却する焼鈍を施した。
Figure 0005187320
得られた熱延鋼板から、SEM観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨した後、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における金属組織を観察し、画像処理により、フェライトの平均結晶粒径を測定した。
また、上記焼鈍を施した冷延鋼板から、SEM観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な縦断面を研磨した後、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における金属組織を観察し、画像処理により、フェライトと低温変態生成相の体積分率および、フェライトの平均結晶粒径を測定した。また、X線回折用試験片を採取し、X線回折により、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における残留オーステナイト量を測定した。
降伏応力(YS)、引張強度(TS)および全伸び(El)は、上記焼鈍を施した冷延鋼板から、圧延方向に沿ってJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行うことにより求めた。
伸びフランジ性は、以下の方法で穴拡げ率(λ)を測定することにより評価した。上記焼鈍を施した冷延鋼板から100mm角の正方形素板を採取し、クリアランス12.5%で直径10mmの打ち抜き穴を開け、先端角60°の円錐ポンチでダレ側から打ち抜き穴を押し拡げ、板厚を貫通する割れが発生したときの穴の拡大率を測定し、これを穴拡げ率とした。
表3に冷延鋼板の金属組織観察結果および性能評価結果を示す。
Figure 0005187320
本発明が規定する範囲内の鋼板についての試験結果(試番1、2、5、8、9、11〜15)は、いずれも、TS×El×λの値が8.7×10MPa以上であり、良好な延性および伸びフランジ性を示した。均熱後に10℃未満の冷却速度で50℃以上冷却した試験結果(試番1、5、8、9、13〜15)は、いずれも、TS×El×λの値が9.5×10MPa以上であり、特に良好な延性および伸びフランジ性を示した。
鋼組成または製造方法が、本発明の規定する範囲から外れる鋼板についての試験結果(試番3、4、6、7、10)は、いずれも、TS×El×λの値が6.8×10MPa以下であり、延性および伸びフランジ性が劣っていた。
具体的には、鋼Aを用いた試験(試番3)および鋼Bを用いた試験(試番6)は、熱間圧延完了から急冷停止までの時間が長すぎるために、冷延鋼板のフェライトが粗大であり、延性および伸びフランジ性が悪い。鋼Aを用いた試験(試番4)は、焼鈍中の均熱温度が低すぎるために、冷延鋼板のフェライトが粗大であり、延性および伸びフランジ性が悪い。鋼Bを用いた試験(試番7)は、巻取温度が低すぎるために、冷延鋼板のフェライトが粗大であり、延性および伸びフランジ性が悪い。鋼Eを用いた試験(試番10)は、鋼中のSi含有量が少ないために、冷延鋼板のフェライトが粗大であり、延性および伸びフランジ性が悪い。

Claims (5)

  1. 下記工程(A)〜(C)を有することを特徴とする、主相がフェライトであり第二相に低温変態生成相を含む金属組織を備える冷延鋼板の製造方法:
    (A)質量%で、C:0.010%超0.10%未満、Si:0.10%超2.0%以下、Mn:1.50%以上3.50%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:0.10%以下およびN:0.010%以下を含有する化学組成を有するスラブに、Ar点以上の温度域で圧延を完了する熱間圧延を施して熱延鋼板となし、前記熱延鋼板を前記圧延の完了後0.4秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却し、400℃以上の温度域で巻取る熱間圧延工程;
    (B)前記熱延鋼板に冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
    (C)前記冷延鋼板に(Ac点−40℃)以上の温度域で均熱処理を施す焼鈍工程。
  2. 前記工程(C)において、前記均熱処理の後に10℃/s未満の冷却速度で50℃以上冷却することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板の製造方法。
  3. 前記化学組成が、さらに、質量%で、Ti:0.040%未満、Nb:0.030%未満およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷延鋼板の製造方法。
  4. 前記化学組成が、さらに、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:0.50%以下およびB:0.010%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
  5. 前記化学組成が、さらに、質量%で、Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.050%以下およびBi:0.050%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
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