JP5186418B2 - 樹脂造粒装置 - Google Patents
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Description
それゆえ、駆動モータによりカッタシャフトを回転させると、ハウジングに対してカッタシャフトが回転し、カッタシャフトの端部に固定されたナイフホルダ及びこのナイフホルダに取り付けられたカッタがカッタシャフトの軸心回りに回転することになる。
また、ベアリングのクリアランス以外にもベアリングの弾性変形やカッタシャフトの弾性変形によっても同様なことが起こり得る。
それゆえ、カッティングの際、何らかの理由によってカッタシャフトに対してカッタシャフトを軸心より上方に振る方向に力が加わると、自由端であるカッタシャフトのダイス側の端部が上方に振られ、カッタシャフトに垂直に取り付けられたナイフホルダがダイス面に対して傾斜することになる。そうすると、ナイフホルダの下側に取り付けられたカッタはダイス面に強く押し付けられるが、反対に上側に取り付けられたカッタはダイス面に弱く押し付けられる。
そうすると、今度はナイフホルダの左側に取り付けられたカッタナイフがダイス側に強く押し付けられ、右側に取り付けられたカッタナイフが弱く押し付けられることになる。そして、カッタとダイス面との間に生じる摩擦力がナイフホルダの左側と右側とでアンバランスになり、カッタシャフトが回転方向に沿って下方向に曲がる。すると今度は、摩擦力がナイフホルダの上側と下側とでアンバランスになり、カッタシャフトが回転方向に沿って左方向に曲がる。このようにして、カッタシャフトに振れ方向と垂直な向きに摩擦力が作用し続けることで、カッタシャフトには「すりこぎ」のような振れ回り運動が生じることになる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、カッタシャフトが異常振動を起こすことがなく、ペレットを安定して製造することができる樹脂造粒装置を提供することを
目的とする。
即ち、本発明の樹脂造粒装置は、ダイスから押し出された溶融樹脂の材料を切断するカッタと、該カッタを先端側に備えたカッタシャフトと、前記カッタシャフトを回転自在に支持するベアリングハウジングと、該ベアリングハウジングを軸心方向に移動自在に支持するドライブハウジングとを備えた樹脂造粒装置であって、
前記ベアリングハウジング及び/又はドライブハウジングが、軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるような異形断面形状に形成されていることを特徴とするものである。
なお、ベアリングハウジングやドライブハウジングを異形断面形状に形成するためには、例えば前記ドライブハウジングの内部に周方向に亘って複数の空隙を形成し、これら複数の空隙を前記ドライブハウジングの軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるように配置することができる。
また、前記ドライブハウジングの内部に前記ドライブハウジングの内周面から距離をあけて前記ベアリングハウジングを設けておき、このベアリングハウジングを前記軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるような異形断面形状に形成しても良いし、前記ドライブハウジングとベアリングハウジングとの間に当該ドライブハウジングに対してベアリングハウジングを支持する複数のリブ部を配備し、前記複数のリブ部を前記ドライブハウジングの軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるように配置しても良い。
本発明の樹脂造粒装置1は、押出機や連続混練機の下流側に設けられており、押出機や連続混練機で混練され溶融された樹脂の材料Mから樹脂のペレットを造粒する装置である。本実施形態では、押出機の下流側に設けられた樹脂造粒装置を例に挙げて、本発明の樹脂造粒装置1を説明する。
図1の模式図に示されるように、樹脂造粒装置1は、温水(冷却水)を下側の供給口2から上側の排出口3に向けて流通させる冷却室4(水室とも言う)を先端側の内部に備えている。この冷却室4内には、溶融された樹脂の材料Mを押し出すダイス5と、ダイス5から押し出された材料Mを切断するカッタナイフ6とがある。このカッタナイフ6は長尺に形成されたカッタシャフト7の先端側の端部にナイフホルダ8を介して取り付けられており、またカッタシャフト7の基端側にはベアリングハウジング9とこのベアリングハウジング9を軸心方向に移動自在に支持するドライブハウジング10と、ベアリングハウジング9を上流側(ダイス5側)に向かって押圧する押圧手段11とが設けられている。
以下、樹脂造粒装置1について詳しく説明する。
ダイス5は、カッタシャフト7の軸心回りに円板状に形成されている。ダイス5の下流側に面する表面はその一部が下流側に向かって堤状に突出形成されている。この堤状に突出形成された部分の突端にはダイス面5aが形成されている。
ダイス5に接した状態で回転するカッタナイフ6は、ナイフホルダ8に複数取り付けられている。このナイフホルダ8は、カッタシャフト7の先端側の端部に取り付けられており、カッタシャフト7と同心な円板状に形成されている。先端側を向くナイフホルダ8の表面には周方向に互いに等しい距離をあけて複数(本実施形態では16枚)のカッタナイフ6が設けられている。これらのカッタナイフ6は、いずれも軸心方向と垂直な方向に刃先を向けて取り付けられており、ダイス面5aに刃先を隙間なく接触できるようになっている。それゆえ、カッタシャフト7が軸心回りに回転すると、カッタナイフ6がカッタシャフト7と一体に回転し、水中に押し出された材料Mが切断される。そして、切断された材料Mが温水の流れに乗って搬送され、ペレットとして回収される。
ベアリングハウジング9は、軸心回りに筒状に形成された部材であり、冷却室ハウジング12の下流側に隣接して配備されている。ベアリングハウジング9の内部にはカッタシャフト7が軸心方向に沿って貫通するように配設されており、ベアリングハウジング9の内周側には軸心方向に間隔をあけて複数(本実施形態では2箇所)のベアリング14(軸受け)が設けられている。このベアリング14は、ベアリングハウジング9に対してカッタシャフト7を回転自在に且つ軸心方向に移動を規制するように支持している。
に収容されている。ドライブハウジング10の上流側には軸方向に沿ってドライブハウジング10内部を貫通する貫通孔15が形成されており、この貫通孔15にはカッタシャフト7が軸心方向に移動自在に挿通されている。貫通孔15の孔内周面にはカッタシャフト7の外周面に接して冷却室4側を水密に保持する軸シール16が設けられており、この軸シール16により冷却室4に対する水密を維持しながらカッタシャフト7の軸心方向への移動と回転とができるようになっている。
また、ベアリング14のクリアランス以外にもベアリング14の弾性変形やカッタシャフト7の弾性変形によっても同様なことが起こり得る。
通常、ナイフホルダ8には図3に示されるように周方向に複数のカッタナイフ6が取り付けられており、それぞれのカッタナイフ6にはダイス面5aとの間に略等しい摩擦力が接線方向に作用している。これらのカッタナイフ6はカッタシャフト7の軸に対して回転対称に配置されており、カッタナイフ6に加わる摩擦力のバランスをナイフホルダ8面上で保つことでカッタナイフ6に加わる摩擦力がカッタシャフト7に影響しないようになっている。
そうすると、今度はナイフホルダ8の左側に取り付けられたカッタナイフ6がダイス5側に強く押し付けられ、右側に取り付けられたカッタナイフ6が弱く押し付けられることになる。そして、カッタナイフ6とダイス面5aとの間に生じる摩擦力がナイフホルダ8の左側と右側とでアンバランスになり、カッタシャフト7が回転方向に沿って下方向(図2(b)の1の方向)に曲がる。
この振れ回り運動は、カッタシャフト7の曲げが大きくなるほど摩擦力のアンバランスも大きくなるので自励的に大きくなりやすく、ペレットを安定して製造することができなくなるような異常振動を招く虞がある。
カッタシャフト7を支持するベアリングハウジング9及び/又はドライブハウジング10を、カッタシャフト7の支持剛性が直交する2方向で異なる構造(例えば、上下方向の支持剛性が大きく、水平方向の支持剛性が小さいような構造)としているのである。
このようにすれば、例えばカッタシャフト7に対するベアリングハウジング9及び/又はドライブハウジング10の支持剛性が上下方向と水平方向とで異なることになり、カッタシャフト7が上下方向には曲がりにくいが水平方向には曲がりやすくなり、カッタシャフト7の曲がり方を上下方向と左右方向とで異ならせることができる。その結果、カッタシャフト7の上下に配置されたカッタナイフ6がダイス面5aに接触したときにカッタシャフト7に作用する摩擦力と、左右に配置されたカッタナイフ6がダイス面5aに接触したときに作用する摩擦力との大きさも異なることになる。そして、カッタシャフト7の曲がり方や摩擦力の発生が単調に繰り返される状況を回避することができ、その結果、カッタシャフト7の振れの自励的な増幅が抑制され、カッタシャフト7の異常振動を確実に防止することができる。
図4の例は、ベアリングハウジング9がカッタシャフト7の軸心回りに略長方形状の外形を備えた筒状に形成されたものである。このベアリングハウジング9の上面には上方に向かって上リブ部17が形成されており、また下面には下方に向かって下リブ部18が形成されている。上下リブ部17、18の先端は、基端側に比べて広幅に形成されており、この広幅に形成された部分はベアリングハウジング9の上側と下側とに配備されたドライブハウジング10の壁10a内にそれぞれ嵌め込まれている。
ブ部17、18)を配備し、複数のリブ部をドライブハウジング10の軸垂直方向の剛性が直交する2方向(この場合は上下方向及び水平方向)で互いに異なるように配置したものということもできる。
図5(a)に例示される樹脂造粒装置1は、ドライブハウジング10が角筒状ではなく円筒状に形成されたものであり、この円筒状に形成された壁10a内にベアリングハウジング9の上下リブ部17、18の先端が嵌め込まれている。そして、このベアリングハウジング9は、左右方向の厚みに比べて上下方向の厚みが大きい長方形状の断面に形成されている。このようにベアリングハウジング9を縦横サイズが異なる長方形状(異形断面形状)の断面に形成すれば、左右方向に沿って曲がるカッタシャフト7を支持する剛性に比べて、上下方向に沿って曲がるカッタシャフト7を支持する剛性の方を強くすることができる。
一方、ベアリングハウジング9とドライブハウジング10との間に距離を設けることが好ましくないような場合や十分な距離が確保できないような場合には、ドライブハウジングの内部をくり抜いて周方向に亘って複数の空隙20を形成し、これら複数の空隙20をドライブハウジングの軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるように配置することもできる。
ドライブハウジング10の内部は軸心方向に沿ってくり抜かれている。このくり抜き部分は軸心を挟んで互いに対称な2箇所(図例では、軸心の左側及び右側)を互いに同じ周方向長さに亘ってくり抜くことで形成されており、くり抜かれた部分の径外側に設けられた外壁21と径内側に設けられた内壁22との間は空隙20とされている。一方、軸心を挟んで上下に配置されたドライブハウジング10の壁10aは、中実に形成されており、空隙20が設けられた上下の壁10aに比べてカッタシャフト7の支持剛性が低くなっている。つまり、ドライブハウジング10は、左右方向に沿って曲がるカッタシャフト7を支持する剛性に比べて、上下方向に沿って曲がるカッタシャフト7を支持する剛性の方が強くなっている。それゆえ、カッタシャフト7が上下方向に沿って曲がる場合と水平方向に沿って曲がる場合とでは、ダイス面5aに向かってカッタナイフ6を押し付ける力やその際に生じる摩擦力が異なる。その結果、カッタシャフト7に軸垂直方向に振れが生じても、この振れが自励的に増大することがなく、カッタシャフト7が異常振動を起こすことがないため、ペレットを安定して製造することができる。
なお、上述したようにドライブハウジング10の内部をくり抜く場合には、図6(b)に示されるように、カッタシャフト7の軸心を基準として左上、右上、左下、右下の4箇
所に亘ってくり抜いて、周方向に4箇所の空隙20を形成することもできる。そして、周方向に隣り合った空隙20間に形成された上下左右の中実な部分のうち、上下の中実な部分の厚みを左右の中実な部分の厚みより厚く形成している。このようなドライブハウジング10においては、上下の中実な部分の厚みが左右の中実な部分の厚みより厚く、支持剛性も強くなっている。それゆえ、左右方向に沿って曲がるカッタシャフト7を支持する剛性に比べて、上下方向に沿って曲がるカッタシャフト7を支持する剛性の方が強くなり、図6(a)に例示される樹脂造粒装置1と同様な作用効果を発揮させることが可能となる。
例えば、上記実施形態ではベアリングハウジング9及び/又はドライブハウジング10を上下方向と左右方向との支持剛性が互いに異なるような異形断面形状に形成したものを例示したが、支持剛性を互いに変化させる方向は互いに直交する2方向であれば上下方向と左右方向とに限られない。例えば、ベアリングハウジング9及び/又はドライブハウジング10を、水平方向に対して45°傾斜した方向の支持剛性と−45°傾斜した方向の支持剛性とが互いに異なるような異形断面形状に形成しても良い。
上記実施形態ではベアリングハウジング9の外周面に複数のリブ部が形成されたものを例示したが、例えばドライブハウジング10の内周面や外周面に複数のリブ部を形成して、カッタシャフト7に対するドライブハウジング10の支持剛性を上下方向と水平方向とで変化させることもできる。
2 供給口
3 排出口
4 冷却室
5 ダイス
5aダイス面
6 カッタナイフ
7 カッタシャフト
8 ナイフホルダ
9 ベアリングハウジング
10 ドライブハウジング
10a壁
11 押圧手段
12 冷却室ハウジング
13 樹脂押出孔
14 ベアリング
15 貫通孔
16 軸シール
17 上リブ部
18 下リブ部
19 溝
20 空隙
21 外壁
22 内壁
Claims (5)
- ダイスから押し出された溶融樹脂の材料を切断するカッタと、該カッタを先端側に備えたカッタシャフトと、前記カッタシャフトを回転自在に支持するベアリングハウジングと、該ベアリングハウジングを軸心方向に移動自在に支持するドライブハウジングとを備えた樹脂造粒装置であって、
前記ベアリングハウジング及び/又はドライブハウジングが、軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるような異形断面形状に形成されていることを特徴とする樹脂造粒装置。 - 前記ベアリングハウジング及び/又はドライブハウジングは、前記カッタシャフトの軸心回りに回転対称な異形断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂造粒装置。
- 前記ドライブハウジングの内部には、周方向に亘って複数の空隙が形成されており、
前記複数の空隙は、前記ドライブハウジングの軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂造粒装置。 - 前記ドライブハウジングの内部には、前記ドライブハウジングの内周面から距離をあけて前記ベアリングハウジングが設けられており、
前記ベアリングハウジングが、前記軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるような異形断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂造粒装置。 - 前記ドライブハウジングの内部には、前記ドライブハウジングの内周面から距離をあけて前記ベアリングハウジングが設けられており、
前記ドライブハウジングとベアリングハウジングとの間には、当該ドライブハウジングに対してベアリングハウジングを支持する複数のリブ部が配備されており、
前記複数のリブ部は、前記ドライブハウジングの軸垂直方向の剛性が直交する2方向で互いに異なるように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂造粒装置。
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