JP5183909B2 - パール光沢組成物の製造法 - Google Patents

パール光沢組成物の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP5183909B2
JP5183909B2 JP2006304517A JP2006304517A JP5183909B2 JP 5183909 B2 JP5183909 B2 JP 5183909B2 JP 2006304517 A JP2006304517 A JP 2006304517A JP 2006304517 A JP2006304517 A JP 2006304517A JP 5183909 B2 JP5183909 B2 JP 5183909B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
pearly luster
glycol ester
raw material
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006304517A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007162002A (ja
Inventor
慎吾 細谷
尚材 野尻
英明 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2006304517A priority Critical patent/JP5183909B2/ja
Publication of JP2007162002A publication Critical patent/JP2007162002A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5183909B2 publication Critical patent/JP5183909B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Detergent Compositions (AREA)

Description

本発明は、パール光沢組成物の製造法に関する。更に詳しくは、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、液体洗浄剤等の付加価値を高めるのに好適に使用しうるパール光沢組成物及びその製造法に関する。
パール状の光沢を示すパール光沢剤分散液の製造法として、パール光沢剤の融点以上の温度で、ミドル相液晶状態を形成している界面活性剤水溶液にパール光沢剤を可溶化させ、そのミドル相液晶状態を維持しつつ、パール光沢剤を晶出させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法のように界面活性剤水溶液中にパール光沢剤を高濃度で可溶化させた場合には、常温で高粘度となり、流動性が低下することから適当な溶媒で予め希釈して使用する必要があるため、その希釈により、実際に使用されるパール光沢剤の濃度が低くなるという欠点がある。
また、高濃度真珠様光沢剤分散液の製造法として、結晶核として低濃度の脂肪酸グリコールエステルを含有する低濃度真珠様光沢剤分散液と高濃度真珠様光沢剤溶解液とを混合し、剪断応力下で結晶体を成長させた後、冷却する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法には、低濃度の脂肪酸グリコールエステルを含有する低濃度真珠様光沢剤分散液を調製するための工程や、低濃度真珠様光沢剤分散液と高濃度真珠様光沢剤溶解液とを混合するための工程を必要とするのみならず、更に結晶成長のための熟成時間を必要とするため、操作が煩雑で生産性が低いという欠点がある。
他の真珠様光沢剤分散液の製造法として、脂肪酸グリコールエステルと界面活性剤とを含有し、脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度に保持された水溶液を円筒状ケーシングの内壁面に析出させ、析出した脂肪酸グリコールエステルを掻き取りながら水溶液中に分散させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法によれば、得られる結晶は、針状となり、美しいあざやかな光沢を有するものの、強い光沢が得られない。
他のパール光沢組成物の製造法として、脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸モノアルキロールアミド等を含有する混合物をその融点以上の温度で混合し、得られた乳化物を平均冷却速度1〜10℃/minで晶析温度以下に冷却する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この方法によって得られたパール光沢組成物は、高濃度でありながら、低粘度で分散性がよく、結晶の粒度分布が小さい板状結晶を有するという特徴を有するが、更に結晶の厚さが薄く、強い光沢を有するパール光沢組成物が望まれている。
特開昭57−165308号公報 特開平4−45843号公報 特開平6−182173号公報 特許第3454991号明細書
本発明は、高濃度でありながら凝集物がなく、強い光沢を有するパール光沢組成物及びその製造法を提供することを課題とする。
本発明は、
(1)式(I):
COO−(AO)−COR (I)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数13〜21のアルキル基、Aは−C−基又は−C−基、kは1〜10の数を示し、R及びRの70モル%以上が同一のアルキル基である)
で表される脂肪酸グリコールエステルを含有するパール光沢用原料組成物を脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度で乳化させ、乳化させたパール光沢用原料組成物を12℃/min以上の平均冷却速度で脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度から脂肪酸グリコールエステルの晶析温度以下の温度に冷却し、脂肪酸グリコールエステルの結晶を析出させるパール光沢組成物の製造法、並びに
(2)前記製造法によって得られたパール光沢組成物であって、そのパール光沢組成物に含まれている脂肪酸グリコールエステルのX線回折における2次反射の半価幅が0.180°〜0.250°であるパール光沢組成物
に関する。
本発明のパール光沢組成物は、高濃度でありながら凝集物がなく、強い光沢を呈するという効果を奏する。また、本発明の製造法によれば、高濃度でありながら凝集物がなく、強い光沢を呈するパール光沢組成物を得ることができる。
本発明では、式(I)で表される脂肪酸グリコールエステルを含有するパール光沢用原料組成物が用いられる。
式(I)で表される脂肪酸グリコールエステルにおいて、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数13〜21のアルキル基を示す。アルキル基の炭素数は、優れた真珠光沢を発現させる観点から、13〜21、好ましくは15〜21である。なお、パール光沢用原料組成物を平均冷却速度12℃/min以上で冷却したときに良好なパール光沢が得られるようにする観点から、R及びRの70モル%以上、好ましくは80モル%以上が同一のアルキル基である。
ここで「R及びRの70モル%以上、好ましくは80モル%以上が同一のアルキル基」とは、脂肪酸グリコールエステルを構成する全ての種類のアルキル基のうち、最も多く含有されている種類のアルキル基のモル数が、全アルキル基のモル数に対して70モル%以上、好ましくは80モル%以上を占める、という意味である。
式(I)において、Aは、-C-基又は-C-基、好ましくは-C-基である。kは、1〜10の数、好ましくは1〜5の数、より好ましくは1〜3の数である。
式(I)で表される脂肪酸グリコールエステルの中では、高温安定性の観点から、融点が50℃以上であって、結晶性を有するものが好ましい。
好適な脂肪酸グリコールエステルの具体例としては、モノステアリン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジベヘン酸エチレングリコール等のモノエチレングリコール類;モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノパルミチン酸ジエチレングリコール、モノイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジベヘン酸ジエチレングリコール等のジエチレングリコール類;モノステアリン酸トリエチレングリコール、モノパルミチン酸トリエチレングリコール、モノイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジベヘン酸トリエチレングリコール等のトリエチレングリコール類等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、脂肪酸エチレングリコールが好ましく、ジステアリン酸エチレングリコール、ジミリスチン酸エチレングリコール、ジパルミチン酸エチレングリコール及びジベヘン酸エチレングリコールがより好ましく、ジステアリン酸エチレングリコールが更に好ましい。
パール光沢用原料組成物における脂肪酸グリコールエステルの含有量は、十分なパール光沢を発現させる観点から、好ましくは15重量%以上、より好ましくは18重量%以上であり、パール光沢組成物の粘度の上昇を抑制し、流動性を高める観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。これらの観点から、パール光沢用原料組成物における脂肪酸グリコールエステルの含有量は、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%、更に好ましくは18〜25重量%である。
なお、パール光沢用原料組成物には、光沢を高める観点から、脂肪酸モノアルキロールアミドを含有させることができる。
脂肪酸モノアルキロールアミドの代表例としては、例えば、式(II):
CO−NH−ROH (II)
(式中、Rは直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭素数7〜20の炭化水素基、Rはエチレン基又はプロピレン基を示す)
で表される脂肪酸モノアルキロールアミドが挙げられる。
式(II)において、Rは、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭素数7〜20の炭化水素基、好ましくは炭素数7〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアルケニル基である。Rの好適な例としては、ウンデシル基、トリデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられる。
は、エチレン基又はプロピレン基を示す。Rの具体例としては、エチレン基、n−プロピレン基及びイソプロピレン基が挙げられる。
好適な脂肪酸モノアルキロールアミドの具体例としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸モノエタノールアミド等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド及びステアリン酸モノエタノールアミドが好ましい。
パール光沢用原料組成物における脂肪酸モノアルキロールアミドの含有量は、十分なパール光沢を発現させる観点から、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、パール光沢組成物の粘度の上昇を抑制し、流動性を高める観点から、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これらの観点から、パール光沢用原料組成物における脂肪酸モノアルキロールアミドの含有量は、好ましくは3〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。
また、パール光沢用原料組成物には、乳化を促進させる観点から、アルキル硫酸塩を含有させることができる。
アルキル硫酸塩の代表例としては、式(III):
−O−(RO)−SOM (III)
(式中、Rは直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭素数8〜20の炭化水素基、Rはエチレン基又はプロピレン基、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン又は炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル置換アンモニウムを示す。nは0〜8の数で、平均付加モル数を意味する)
で表されるポリオキシアルキレン基を有していてもよいアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
式(III)において、Rは、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭素数8〜20の炭化水素基、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基又は炭素数8〜20のアルケニル基である。Rの好適な例としては、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。
は、エチレン基又はプロピレン基を示す。Rの具体例としては、エチレン基、n−プロピレン基及びイソプロピレン基が挙げられる。
nは、0〜8の数であるが、好ましくは0〜4の数である。
好適なアルキル硫酸塩の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
パール光沢用原料組成物におけるアルキル硫酸塩の含有量は、各成分を均一に混合する観点から、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、パール光沢組成物の粘度の上昇を抑制し、流動性を高める観点から、好ましくは15重量%以下、より好ましくは13重量%以下である。これらの観点から、パール光沢用原料組成物におけるアルキル硫酸塩の含有量は、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは8〜15重量%、更に好ましくは8〜13重量%である。
また、パール光沢用原料組成物には、乳化を促進させる観点から、ノニオン界面活性剤を含有させることができる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するものが挙げられる。
ノニオン界面活性剤のHLBは、低粘度化の観点から、好ましくは15未満、より好ましくは9〜12である。なお、HLBとは、親水性−親油性のバランス(Hydrophilic-Lypophilic Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田・寺村らによる式:
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
を用いて算出したときの値である。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジアルカノールアミド等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、式(IV):
−O−(RO)−H (IV)
(式中、Rは直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭素数8〜20の炭化水素基、Rはエチレン基又はプロピレン基、pは1〜10の数で、平均付加モル数を意味する)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルがより好ましい。
パール光沢用原料組成物におけるノニオン界面活性剤の含有量は、パール光沢組成物の粘度の上昇を抑制し、流動性を高める観点から、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、優れたパール感を発現させる観点から、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、パール光沢用原料組成物におけるノニオン界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜8重量%、更に好ましくは1〜5重量%である。
パール光沢用原料組成物には、前記成分のほか、例えば、pH調整剤、防腐剤、塩類、アルコール類、ポリオール類等を適宜、適量で含有させることができる。
なお、パール光沢用原料組成物の残部は、水である。パール光沢用原料組成物における水の含有量は、パール光沢組成物に適切な粘度を付与する観点から、好ましくは25〜75重量%、より好ましくは40〜75重量%、さらに好ましくは50〜75重量%である。
本発明のパール光沢組成物は、例えば、
(A)パール光沢用原料組成物を脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度で乳化する工程、
(B)工程(A)で得られた乳化されたパール光沢用原料組成物を12℃/min以上の平均冷却速度で脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度から脂肪酸グリコールエステルの晶析温度以下の温度に冷却し、脂肪酸グリコールエステルの結晶を析出させる工程
により、調製することができる。
本発明では、まず工程(A)で、パール光沢用原料組成物を脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度で乳化させる。乳化の際には、パール光沢用原料組成物を混合することが好ましい。
脂肪酸グリコールエステルの融点は、用いられる脂肪酸グリコールエステルの種類によって異なるが、例えば、50〜80℃程度である。また、脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度は、特に限定されないが、好ましくは脂肪酸グリコールエステルの融点よりも5〜30℃高い温度、より好ましくは5〜25℃高い温度である。
乳化は、例えば、攪拌機等を用いて常法により行うことができる。また、減粘剤及び結晶化剤は、この乳化の際に添加すればよい。乳化の際の各成分の配合量は、加熱によって水が蒸発することから各成分の比率が変化するが、その変化は無視し得る程度であるので、前記パール光沢用原料組成物に含まれている各成分の含有量と同様であればよい。乳化されたパール光沢用原料組成物は、バッチ式でその都度調製してもよく、あるいは各成分を連続的に混合しながら加熱することによって調製してもよい。
このようにして得られる乳化されたパール光沢用原料組成物の温度は、工程(B)の前に、いずれかの成分が析出することのないようにするために、前記脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度に保持する。その際、乳化されたパール光沢用原料組成物が分離しないようにするために、攪拌しておくことが好ましい。
工程(B)は、工程(A)で乳化されたパール光沢用原料組成物を脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度から脂肪酸グリコールエステルの晶析温度以下の温度に冷却する工程である。
パール光沢用原料組成物の平均冷却速度は、きめ細かな光沢を有するパール光沢剤に適した板状結晶を得る観点から、12℃/min以上、好ましくは12〜40℃/min、より好ましくは15〜30℃/min、さらに好ましくは18〜30℃/minである。なお、平均冷却速度は、式:
〔平均冷却速度(℃/min)〕=(t1−t2)/T
(式中、t1(℃)は工程(B)で冷却を開始する際の温度、t2(℃)は工程(B)で結晶が析出し始めるときの温度、T(min)は工程(B)でパール光沢用原料組成物の温度をt1からt2に冷却するのに要する時間を示す)
に基づいて求めることができる。
脂肪酸グリコールエステルの晶析温度は、脂肪酸グリコールエステルの種類、各成分の種類及びそれらの量等によって異なるので一概には決定することができないが、例えば、30〜60℃程度である。
通常、乳化されたパール光沢用原料組成物は、脂肪酸グリコールエステルの晶析温度よりも10〜30℃低い温度にまで冷却することが好ましい。
なお、乳化されたパール光沢用原料組成物を冷却する際には、所定の平均冷却速度を維持しつつ連続的に冷却を行うことができることから、例えば、図1に示される熱交換器を用いることが好ましい。この場合、乳化されたパール光沢用原料組成物を円筒状のケーシング2に供給し、ケーシング2をそれに外接するジャケット4により冷却することにより、乳化されたパール光沢用原料組成物を晶析温度以下の温度に所定の平均冷却速度で冷却し、ケーシング2の内壁に脂肪酸グリコールエステルを析出させ、これを掻き取り羽根3で掻き取りつつ分散させる。
また、平均冷却速度は、用いられる熱交換器の容積を考慮して、乳化物の流量、ジャケット4内の冷媒の温度等を調整することにより、調節することができる。熱交換器の具体例としては、アルファラバァル社製、商品名:コンサーム、(株)櫻製作所製、商品名:オンレーター、ボテーター等が挙げられる。なお、冷却の際には、生産性向上の観点から、熱交換器として、連続式熱交換器を用いることが好ましい。
以下、図1に示された熱交換器の一実施態様に基づいて、工程(B)をより詳細に説明する。
乳化されたパール光沢用原料組成物は、熱交換器下部入口5から供給され、ケーシング2内を通過する間にモータ1によって回転する掻き取り羽根3により攪拌される。一方、ケーシング2に外装されているジャケット4は、冷媒入口7から冷媒が供給され、冷媒出口8から取り出される。このジャケット4によって冷却されたケーシング2は、更にケーシング2の内壁にある乳化されたパール光沢用原料組成物を冷却し、該乳化されたパール光沢用原料組成物から脂肪酸グリコールエステルを析出させる。
析出した脂肪酸グリコールエステルは、回転する掻き取り羽根3によって掻き取られるので、ケーシング2の内壁に堆積することがなく、更に攪拌による乱流により、高い伝熱効果を維持することができる。これにより、冷却速度を高めることができるので、析出した脂肪酸グリコールエステルの生産性が高くなり、その結晶の形状が板状になるとともにパール光沢を向上させることができる。
掻き取り羽根の周速は0.2〜10m/secが好ましく、より好ましくは1〜5m/secである。冷却面を掻き取り更新することにより均一に冷却する観点から0.2m/sec以上が好ましく、機械的負荷の低減の観点から10m/sec以下が好ましい。ここで周速とは次式で表される。

周速=π・N・D/60(m/sec)
π:円周率
N:掻き取り羽根の回転数(rpm)
D:掻き取り羽根の直径(m)
なお、掻き取り羽根3としては、例えば、フッ素樹脂等で構成された可撓性羽根が伝熱面に接触するものや、回転による遠心力と乳化されたパール光沢用原料組成物の液圧を受け、掻き取り羽根のエッジが伝熱面に押し付けられて可動するものを好適に用いることができる。
乳化されたパール光沢用原料組成物は、ケーシング2内を通過する間にジャケット4の冷却媒体によって冷却され、上部出口6から取り出される。上部出口6における出口温度は、脂肪酸グリコールエステルの結晶が柔らかくなって凝集が起こるのを防止し、パール様の光沢を発現させる観点から、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。また、冷却媒体の温度や乳化されたパール光沢用原料組成物の供給速度を変えることにより、あるいは熱交換器を2基以上直列に連結させて多段とし、各熱交換器に異なる温度の冷却媒体を用いることにより、冷却パターンを任意に制御することができる。この場合、熱交換器は、縦方向及び横方向のいずれの方向で連結させてもよい。
かくして、乳化されたパール光沢用原料組成物を所定の平均冷却速度で冷却し、脂肪酸グリコールエステルの結晶を析出させることにより、本発明のパール光沢組成物が得られる。
本発明のパール光沢組成物に含まれている脂肪酸グリコールエステルの結晶のX線回折における2次反射の半価幅は、パール光沢を高める観点から、0.180°〜0.250°、好ましくは0.185°〜0.250°、より好ましくは0.190°〜0.250°である。X線回折における2次反射の半価幅は、パール光沢用原料組成物を脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度から脂肪酸グリコールエステルの晶析温度以下の温度に12℃/min以上の平均冷却速度で冷却する際に、そのパール光沢用原料組成物の組成に応じて冷却速度を適宜調整することにより調節することができる。
各実施例及び各比較例で得られたパール光沢組成物の諸性質は、以下の方法によって測定した。
<パール光沢組成物の外観及び結晶の形状>
パール光沢組成物にその濃度が2重量%となるようにイオン交換水を加えて攪拌し、均一な組成とした後、得られたパール光沢組成物の希釈液の外観を目視によって観察し、以下の評価基準に従って真珠様光沢及び結晶の形状を評価した。
なお、結晶の形状については、カラーレーザー顕微鏡にて希釈液の顕微鏡写真を撮影し、その写真から脂肪酸グリコールエステルの結晶の形状を評価した。
(1)パール光沢組成物の外観の評価基準
◎:非常に強い光沢を有する。
○:強い光沢を有する。
△:弱い光沢を有する。
×:わずかな光沢を有する(エマルジョン様である)。
(2)結晶の形状の評価基準
○:目視で確認することができる結晶粒子が認められない。カラーレーザー顕微鏡写真から、結晶粒子の大きさは50μm以下である。
×:目視で確認することができる結晶粒子が認められる。カラーレーザー顕微鏡写真から、結晶粒子の大きさは100μm以上である。
<X線回折の2次反射の半価幅の測定方法>
(a)結晶分離方法
パール光沢組成物をイオン交換水で希釈し、得られた希釈液を遠心分離する。上澄み液を取り除き、残存している沈降物を水で希釈し、再び遠心分離する。これを数回繰り返し、残った沈降物を凍結乾燥し、脂肪酸グリコールエステルの結晶を分離し、回収する。
(b)X線回折の測定
分離した結晶は、軽く凝集している。この凝集物を乳鉢で崩した後に、X線粉末法にてX線回折を測定する。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
・ゴニオメータ(Goniometer):理学電気(株)製、品番:RINT2000(縦型ゴニオメータ)
・アタッチメント(Attachment):標準試料ホルダー
・モノクロメータ(Monochromater):固定モノクロメータ
・スキャンニング・モード(Scanning Mode):2theta/theta
・スキャンニング形式(Scanning Type):連続スキャンニング(Continuous Scanning)
・X線:40kV/120mA
・発散スリット:1/2°
・発散縦制限スリット:10mm
・散乱スリット:0.63mm(自動)
・受光スリット:0.15mm
・モノクロ受光スリット:なし
・スキャンスピード:1°/min
・開始角度:1.5°
・最終角度:30°
・ステップ:0.01°
(c)X線回折の解析
マテリアルズ・データ(株)(Materials Data, Inc.)社製のソフトウェア〔Jade(Ver.5)〕を用い、得られたX線回折の2次反射のバックグランドを除去し、この半価幅を求めた。
実施例1
1.工程(A)
300mL容のセパラブルフラスコ内に、表1に示す組成のパール光沢用原料組成物150gを仕込んだ。なお、式(I)で表される脂肪酸エチレングリコールの脂肪酸基は、ステアリン酸98モル%、パルミチン酸1モル%、及びその他の脂肪酸1モル%で構成されており、式(I)におけるR基とR基とが同一である基の割合は、98モル%であった。このパール光沢用原料組成物を85℃に昇温した後、85℃で10分間攪拌して乳化されたパール光沢用原料組成物を得た。
2.工程(B)
前記セパラブルフラスコを氷水バスで82.3℃から攪拌下で冷却したところ、1.47分間経過後に52℃で結晶が析出した。結晶が析出した後、更に冷却を行ない、35℃以下の温度に到達した時点で冷却を終了することにより、パール光沢組成物を得た。
冷却開始時点から結晶析出時点までの平均冷却速度は、20.7℃/minであった。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を評価した。その結果を表2に示す。また、その結晶構造を図2の写真に示す。
実施例2
実施例1において、平均冷却速度を12.8℃/minに変更した以外は、実施例1と同様にしてパール光沢組成物を得た。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。
実施例3
実施例1において、式(I)におけるR基とR基とが同一である基の割合が87モル%である脂肪酸エチレングリコールを用い、平均冷却速度を21.1℃/minに変更した以外は、実施例1と同様にしてパール光沢組成物を得た。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。
実施例4
実施例1において、式(I)におけるR基とR基とが同一である基の割合が77モル%である脂肪酸エチレングリコールを用い、平均冷却速度を14.8℃/minに変更した以外は、実施例1と同様にしてパール光沢組成物を得た。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。
実施例5
実施例1において、脂肪酸基がベヘン酸85モル%、ステアリン酸3モル%、及びその他の脂肪酸12モル%で構成される脂肪酸エチレングリコールを用い、平均冷却速度を15.7℃/minに変更した以外は、実施例1と同様にしてパール光沢組成物を得た。式(I)におけるR基とR基とが同一である基の割合は85モル%であった。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。
比較例1
実施例1において、平均冷却速度を10.7℃/minに変更した以外は、実施例1と同様にしてパール光沢組成物を得た。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。
比較例2
実施例1において、冷却にウォーターバスを用い、平均冷却速度を0.3℃/minに変更した以外は、実施例1と同様にしてパール光沢組成物を得た。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。また、その結晶構造を図3の写真に示す。
比較例3
実施例3において、平均冷却速度を1.4℃/minに変更した以外は、実施例3と同様にしてパール光沢組成物を得た。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。
比較例4
実施例5において、平均冷却速度を0.5℃/minに変更した以外は、実施例5と同様にしてパール光沢組成物を得た。得られたパール光沢組成物の外観及び結晶の形状を調べた。その結果を表2に示す。
表2に示された結果から、各実施例で得られたパール光沢組成物は、いずれも高濃度でありながら目視で確認される結晶粒子がほとんどなく、強い光沢を有することがわかる。
本発明に用いることができる熱交換器の断面図及び平面図である。 本発明の実施例1で得られたパール光沢組成物の結晶構造を示す写真である。 比較例2で得られたパール光沢組成物の結晶構造を示す写真である。
符号の説明
1 モータ
2 ケーシング
3 掻き取り羽根
4 ジャケット
5 熱交換器下部入口
6 上部出口
7 冷媒入口
8 冷媒出口

Claims (5)

  1. 式(I):
    COO−(AO)−COR (I)
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数13〜21のアルキル基、Aは−C−基又は−C−基、kは1〜10の数を示し、R及びRの70モル%以上が同一のアルキル基である)
    で表される脂肪酸グリコールエステルを15〜30重量%含有するパール光沢用原料組成物を脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度で乳化させ、乳化させたパール光沢用原料組成物を12〜40℃/minの平均冷却速度で脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度から脂肪酸グリコールエステルの晶析温度以下の温度に冷却し、脂肪酸グリコールエステルの結晶を析出させるパール光沢組成物の製造法であって、得られたパール光沢組成物に含まれている脂肪酸グリコールエステルのX線回折における2次反射の半価幅が0.180°〜0.250°であるパール光沢組成物の製造法
  2. 脂肪酸グリコールエステルが脂肪酸エチレングリコールである請求項1記載の製造法。
  3. 冷却に連続式熱交換器を用いる請求項1又は2記載の製造法。
  4. パール光沢用原料組成物が、さらに、脂肪酸モノアルキロールアミドを3〜15重量%及びアルキル硫酸塩を5〜15重量%含有してなる、請求項1〜3いずれか記載の製造法。
  5. パール光沢用原料組成物が、さらに、水を40〜75重量%含有してなる、請求項1〜4いずれか記載の製造法。
JP2006304517A 2005-11-16 2006-11-09 パール光沢組成物の製造法 Expired - Fee Related JP5183909B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006304517A JP5183909B2 (ja) 2005-11-16 2006-11-09 パール光沢組成物の製造法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005331622 2005-11-16
JP2005331622 2005-11-16
JP2006304517A JP5183909B2 (ja) 2005-11-16 2006-11-09 パール光沢組成物の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007162002A JP2007162002A (ja) 2007-06-28
JP5183909B2 true JP5183909B2 (ja) 2013-04-17

Family

ID=38245268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006304517A Expired - Fee Related JP5183909B2 (ja) 2005-11-16 2006-11-09 パール光沢組成物の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5183909B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102159699B (zh) * 2008-09-17 2014-01-08 花王株式会社 珠光组合物的制造方法
JP2013067712A (ja) * 2011-09-21 2013-04-18 Kao Corp パール光沢組成物の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2678716B2 (ja) * 1992-12-24 1997-11-17 花王株式会社 真珠様光沢剤分散液の製造方法
JPH10182343A (ja) * 1996-12-25 1998-07-07 Kao Corp パール光沢組成物およびその製造法
JP2003155214A (ja) * 2001-09-10 2003-05-27 Lion Corp 真珠様光沢剤分散液及びその製造方法
JP2005119985A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Lion Corp 乳濁化剤分散液及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007162002A (ja) 2007-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101566535B1 (ko) 진주광택 농축물 및 그 제조방법
JPH0635593B2 (ja) 非イオン系の,流動性の,真珠光沢を付与するための真珠光沢分散体
JPS58216728A (ja) 真珠光沢剤分散液の製造方法
JP5188219B2 (ja) パール光沢組成物
KR101260099B1 (ko) 펄 광택 조성물
JPH0653880B2 (ja) 低い界面活性剤割合を有する流動性真珠光沢付与分散液
JP5183909B2 (ja) パール光沢組成物の製造法
JP5311875B2 (ja) パール光沢組成物
JP2007186463A (ja) 化粧料用金属石鹸およびその製造方法
JP5264096B2 (ja) パール光沢組成物の製造方法
KR101285911B1 (ko) 펄 광택 조성물의 제조 방법
JP3454991B2 (ja) パール光沢組成物及びその製造方法
JP5294754B2 (ja) 洗浄剤組成物
JP2008013581A (ja) パール光沢組成物
JP2010155903A (ja) パール光沢組成物の製造方法
KR100854787B1 (ko) 진주색 광택제 분산액 및 그 제조 방법
JP2678716B2 (ja) 真珠様光沢剤分散液の製造方法
JPH01176445A (ja) 真珠光沢剤分散液
JPH10182343A (ja) パール光沢組成物およびその製造法
JP2018520183A (ja) 小粒子狭域分布の脂肪アシルイセチオナートの油中組成物を製造するためのインサイチュー・プロセス
JP2013067712A (ja) パール光沢組成物の製造方法
JP2684213B2 (ja) 真珠光沢剤分散液
JP2005119985A (ja) 乳濁化剤分散液及びその製造方法
JP2013067578A (ja) パール光沢組成物
JP2006028133A (ja) リン酸モノエステルとリン酸モノエステル塩の複合体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090911

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120323

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130116

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5183909

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160125

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees