JP5183230B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents

荷電粒子線装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5183230B2
JP5183230B2 JP2008022240A JP2008022240A JP5183230B2 JP 5183230 B2 JP5183230 B2 JP 5183230B2 JP 2008022240 A JP2008022240 A JP 2008022240A JP 2008022240 A JP2008022240 A JP 2008022240A JP 5183230 B2 JP5183230 B2 JP 5183230B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stage
charged particle
visual field
particle beam
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008022240A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009181923A (ja
JP2009181923A5 (ja
Inventor
博文 佐藤
理 山田
直己 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi High Tech Corp
Original Assignee
Hitachi High Technologies Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi High Technologies Corp filed Critical Hitachi High Technologies Corp
Priority to JP2008022240A priority Critical patent/JP5183230B2/ja
Publication of JP2009181923A publication Critical patent/JP2009181923A/ja
Publication of JP2009181923A5 publication Critical patent/JP2009181923A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5183230B2 publication Critical patent/JP5183230B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、荷電粒子線装置に関し、特に、高倍率下で観察視野を精度良く操作できる荷電粒子線装置に関する。
走査電子顕微鏡に代表される荷電粒子線装置では、細く集束された荷電粒子線を試料上で走査して試料から所望の情報(例えば試料像)を得る。このような荷電粒子線装置は、年々高分解能化が進んでいて、高い分解能が求められる。高い分解能が求められる都合上、試料の観察視野の移動手段には、精度良く移動できて、高倍率でも操作者の操作に対して追従性良く移動できることが求められる。
一般に、試料の所望の位置の情報を取得するための、荷電粒子線装置の試料観察視野を移動する手段としては、試料を搭載するステージを移動させる試料ステージ駆動部による場合と、荷電粒子線を偏向して視野位置を移動させる電気的視野移動装置による場合がある。
熟練した操作者は、試料ステージの移動を観察視野の粗調整に使用し、高倍率条件で電気的視野移動装置を補助的に使用することで精密に観察視野を移動し、最終的に得たい観察像を取得している。しかし、初級者は試料ステージの不安定な動作と、電気的視野移動距離の制限に戸惑い、ステージコントローラによる操作と、電気的視野移動装置の操作を繰り返し行うために、観察スループットが悪くなってしまうことがある。
従来技術として、特許文献1では、試料上の電子線の走査位置と機械的視野移動と電気的視野移動におけるそれぞれの座標軸系の関係を三次元的な画像として表示することが開示されている。
しかし、機械的視野移動と電気的視野移動におけるそれぞれの座標軸系の関係が分かったとしても、試料ステージの不安定な動作や、電気的視野移動の制限の問題は初心者にとっては依然として解決されていない。
特開平5−144399号公報
本願の目的は、試料観察視野の移動に関し、操作者の操作に対して応答性が良く、絶対精度の高い観察視野の移動制御を行うことのできる荷電粒子線装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、荷電粒子発生装置と、試料を設置するステージと、前記荷電粒子発生装置で発生した荷電粒子線を前記試料上に収束する収束装置と、前記第1の荷電粒子線を偏向する電気的視野移動装置と、前記ステージを移動するステージ駆動装置と、前記ステージ駆動装置によるステージ移動距離を入力する入力装置と、所定の時刻における前記入力装置から入力された移動距離と実際の移動距離とのずれ量を測定し、前記ずれ量を補正する前記荷電粒子線の偏向量を算出する演算部と、前記電気的視野移動装置による荷電粒子線の前記偏向量の偏向を、前記所定の時刻後に行うことを特徴とする荷電粒子線装置を提供する。
本発明によれば、従来機械的な要因で安定しなかった高倍率での観察視野の移動操作に対する追従性と、試料観察視野の移動精度が向上し、その結果、操作者の習熟度によらない観察視野の移動制御が実現し、観察スループットを向上させることができる。
以下、本発明の一実施例を説明する。図1は、本発明の一例である走査電子顕微鏡の概略構成図である。なお、本発明は走査電子顕微鏡に限られず、他の荷電粒子線装置にも用いることができる。
まず、電子発生装置(電子源)について説明する。
陰極1と第一陽極2の間には、高電圧制御用コンピュータ35で制御される高圧制御電源20により電圧が印加され、所定のエミッション電流で一次電子線4が陰極1から引き出される。陰極1と第二陽極3の間には、高電圧制御用コンピュータ35で制御される高圧制御電源20により加速電圧が印加され、陰極1から放出された一次電子線4が加速されて後段のレンズ系に進行する。
次に電子光学系について説明する。
一次電子線4は、電子光学制御用コンピュータ36で制御されるレンズ制御電源21で制御された集束レンズ5で集束され、絞り板8で一次電子線の不要な領域が除去された後に、レンズ制御電源22で制御された集束レンズ6、および対物レンズ制御電源23で制御された対物レンズ7により、試料10に微小スポットとして集束される。対物レンズ7は、インレンズ方式,アウトレンズ方式、およびシュノーケル方式(セミインレンズ方式)など、種々の形態をとることができる。また、試料に負の電圧を印加して一次電子線を減速させるリターディング方式も可能である。さらに、各々のレンズは、複数の電極で構成される静電型レンズで構成してもよい。
一次電子線4は、走査コイル制御電源24によって制御される走査コイル9で試料10上を二次元的に走査される。一次電子線の照射で試料10から発生した二次電子等の二次信号12は、対物レンズ7の上部に進行した後、二次信号分離用の直交電磁界発生装置11により、一次電子と分離されて二次信号検出器13に検出される。二次信号検出器13で検出された信号は、信号増幅器14で増幅された後、画像メモリ25に転送されて像表示装置26に試料像として表示される。
次に、試料観察視野の移動手段について説明する。
試料観察視野を移動する一つの手段として電気的視野移動装置による観察視野の移動が用いられる。
図1で、走査コイル9と同じ位置に2段の電気的視野移動装置30が配置されており、試料10上における一次電子線4の位置(観察視野)を二次元的に制御できる。電気的視野移動装置30は、入力装置31からの操作により制御される第1の電気的視野移動装置用電源28と、本発明の観察視野移動用に制御される第2の電気的視野移動装置用電源29が加算されて駆動できるようになっている。
電気的視野移動装置は電気的視野移動コイルに電流を流すように構成され、これにより発生する誘導磁界により1次電子線を偏向する。操作者の操作量を検知し相当分の電流を電気的視野移動コイルに電流を流す。偏向装置に流れる電流が目的の電流になるまでに必要な時間はコイルのインダクタンスと検出抵抗の抵抗値、および駆動回路の応答速度により決定され、その時間は操作者の入力に対して十分に速いので、その動作原理から機械的な遊びやねじれが存在しなく、数ナノオーダの距離の観察視野を滑らかに移動させることができる。電気的視野移動コイルによる観察視野の移動追従性はステージによる移動に比べて格段に良い。
しかしながら、その反面、光学的な条件や、電気的視野移動コイル自体に流せる電流の制約があり移動範囲が限られてしまうという条件がある。
次に試料ステージ駆動部による観察視野の移動について説明する。
図2は、試料ステージ駆動部の構成を示す図である。図2において試料ステージは、ステージ40,モーター41,エンコーダ42,減速ギヤ43,カップリング44,送りねじ45,メネジ46,ガイド47,リニアスケール48により構成される。
ステージ40は、試料を少なくとも一次電子線と垂直な面内の2方向(X方向,Y方向)と垂直方向(Z方向)と傾斜方向(T方向)に試料10を移動することができ、ステージ制御用コンピュータ37で制御されるステージ駆動装置34で駆動する。入力装置32からは、ユーザがステージの位置を操作することができる。
試料ステージ駆動部は、駆動源であるモーター41が回転し、モーター41の回転が最適な駆動力になるように減速ギヤ43により伝達され、カップリング44を介して送りねじ45を回転し、送りねじ45が回転することによってメネジ46に直結したステージ40をガイド47に沿って移動させる。モーター41の回転速度はエンコーダ42により検出され、ステージ制御部は、精度良く試料ステージを移動するため、モーター41の回転角をエンコーダ42により検出して、モーター41の回転速度をフィードバックしてPI制御等が行われ駆動力が最適化される。
更に、高精度でステージの位置を検出する手段として、ステージの位置座標をリニアスケール48で検出する方法が用いられ、リニアスケール48はガラス基板に刻まれた微細なスケールを光電効果でA−B相の信号を出力し、位相補間回路を介することによって式10ナノメータオーダの位置を高精度に検出することができる。
しかしながら、以下のような問題もある。
図2に示す構成のステージ駆動部において、モーター41の回転角をエンコーダ42により検出し、モーター41の回転速度をフィードバックして制御する場合、エンコーダ42切り替え点の信号変化に起因する非線形振動が生じて、サブミクロンオーダ以下の位置決めは難しいという問題がある。
また、リニアスケール48からわかるステージの位置座標をフィードバックして制御する場合、モーター41からリニアスケール48までの間のフィードバックループの中には、試料ステージ部の機械的な構成に起因する減速ギヤ43のバックラッシュやカップリング44の遊び、送りねじ45とメネジ46間の遊びやガイド47との駆動点の位置がしないことによるステージのねじれ等が含まれるので制御が不安定性になり、微小トルク,微小回転領域で精度良く円滑に制御することは難しい。
なお、図1のように、制御の中枢である高電圧制御用コンピュータ35と電子光学制御用コンピュータ36とステージ制御用コンピュータ37はユーザーインターフェースで設定される観察条件に対して各制御部を制御することができ、互いに観察条件を通信で管理できるようになっている。
図3は、図1の走査型電子顕微鏡において観察視野の移動に関係する制御構成図で、ステージ制御部50と、電子光学制御部51によって構成されている。
試料ステージ制御部50は、トラックボールやジョイスティック等の入力装置32,操作量カウンタ52,ステージ制御用コンピュータ37,パルスタイマーモジュール53,モータードライバ54,駆動パルスカウンタ55,モーター41,リニアスケール57,リニアスケール補間回路58,リニアスケール位相検知部59,リニアスケール信号カウンタ60により構成される。
ステージ制御部は、ステージ制御用コンピュータ37が入力装置32から入力された操作量からステージの移動量と移動速度を計算しパルスタイマーモジュール53にデータを設定する。設定データはステージ制御用コンピュータ37がステージ制御部の内部座標として管理する。
パルスタイマーモジュール53はステージの移動に必要なパルスを生成する。そのパルス数はステージ40の移動量に相当する。例えば、パルスタイマーモジュール53の生成したクロックの周波数が40000ppsのときステージの速度2mm/sとなるように構成すると、1パルスで50nmの移動する見積もりになる。パルスタイマーモジュール53により生成された駆動パルスはモータードライバ54に入力され、モータードライバ54はモーター41を回転させてステージ40を移動する。駆動パルスカウンタ55により駆動パルスをカウントすることによって、単位時間当たりのステージ制御用コンピュータ37の内部座標の変化を検出することができる。
一方、試料ステージにはリニアスケール57が配置され、リニアスケール57はガラス基板に刻まれた微細なスケールを光電効果で2マイクロメータピッチのA−B相出力信号を出力し、リニアスケール補間回路58は、10倍のA−B相方式の方形波に変換する。ステージ制御部のリニアスケール位相検知部59により4逓倍方向分離を行い、リニアスケール信号カウンタ60がカウントし、ステージ制御用コンピュータ37はカウンタの1LSBを50ナノメータに相当する信号として認識する。ガラス基板に刻まれたスケールの間隔が細かければ細かいほど補正に使用できる分解能を細かくすることができる。
上記モーター駆動により観察視野の移動を行う場合、図2に示した試料ステージ部の機械的な構成に起因する減速ギヤ43のバックラッシュやカップリング44の遊び,送りねじ45とメネジ46間の遊びやガイド47との駆動点の位置がしないことによるステージのねじれ等があり、その精度は1マイクロメータ程度となってしまう。モーター41の回転速度をエンコーダ42によりフィードバックして制御しても、エンコーダ42切り替え点の信号変化に起因する非線形振動が生じて、サブミクロンオーダ以下の位置決めは難しい。そこで、本実施例では、上述した試料ステージのモーター駆動中に、本来移動すべきであった単位時間当たりの移動量を随時計算し電気的視野移動装置により補正する。ステージ制御部は、パルスタイマーモジュールの出力クロック数に相当する移動距離と実際の移動距離を電子光学制御部に随時送信し、電子光学制御部51はこの情報を元にステージ40の移動に連動し補正に必要な移動量を計算し電気的視野移動装置30を操作する。本実施例では電気的視野移動装置としてコイルを使用する例を示す。
電子光学制御部51は、電気的視野移動コイル制御DAC61,観察視野補正DAC62にデータを設定し、電気的視野移動コイルドライバ63により電気的視野移動コイル30を駆動する。電子光学制御用コンピュータ36はステージ制御部から受信するパルスタイマーモジュールのクロック数に相当する移動距離と実際の移動距離を比較し、補正に必要な移動量を導き、この量を移動するために必要な電気的視野移動コイル30に流す電流を計算し、観察視野補正DAC62にデータを設定する。本実施例では、機械的な要因で不安定に移動されたステージの移動を補正するために電気的視野移動装置として電気的視野移動コイルを使用し、観察視野補正DAC62の出力と、電気的視野移動コイル制御DACはドライバの前段で加算されるように構成しているので、従来の走査型電子顕微鏡のように入力装置31から入力された信号を電子光学制御用コンピュータ36が読み取り、各レンズ条件に合わせて電気的視野移動コイル30に流す電流を制御することも可能であるが、上記電気的視野移動コイル30による補正がなされることで、入力装置32により観察視野をステージにより移動する場合の精度および操作に対する追従性も向上するので、入力装置31による制御部を入力装置32に統合し、入力装置31のない装置構成とすることも可能である。
ステージの実際の移動距離は、レーザー干渉計等の測距装置やリニアスケールのエンコーダパルス等で知ることができる。
図1において、電子発生装置で生成された一次電子線4は、第1の集束レンズ5で1度クロスオーバを作ってから更に第2の集束レンズ6でクロスオーバを作り、走査コイル9により高速に偏向されるとともに対物レンズ7によって試料10に焦点を結ぶ。
図6は、第2の集束レンズ6と対物レンズ7と電気的視野移動コイル30の配置によって生じる光学条件の例を示す。試料10に焦点を結ぶ電子線は電気的視野移動コイル30によって偏向され、操作する像面位置が移動し観察視野が移動する。電気的視野移動コイルによる観察視野の移動量は、第2の集束レンズ6と対物レンズ7の配置とそれぞれのレンズに流す電流条件によって変化する。図6のような配置の走査型電子顕微鏡における電気的視野移動コイル30による観察視野移動量は(式1)(式2)(式3)(式4)の計算により求められる。ここで、対物レンズの横倍率M,電気的視野移動コイルの感度θd,感度係数η,物面での移動量ro,像面での移動量ri,物面と対物レンズとの距離a,対物レンズと像面との距離bとする。
Figure 0005183230
(数2)
θd=η×Id …(式2)
(数3)
0=θd×(a−L) …(式3)
(数4)
i=r0×M=θd×(a−L)×M=(η×Id)×(a−L)×M …(式4)
例えば電気的視野移動コイル30の感度係数が0.3mrad/A、対物レンズ7から試料10までの距離が5mm、物面までの距離が150mm、対物レンズから電気的視野移動コイルまでの距離が100mmの条件の場合、観察視野の移動量を10マイクロメータとするためには、0.1Aを電気的視野移動コイルに流す必要がある。電子光学制御用コンピュータ36は上記の計算により電気的視野移動コイル30に流し補正を行うことができる。
図4により本実施例を実現するための観察視野補正アルゴリズムについてステップS11〜S18として順次説明する。
以下、電気的視野移動装置による補正移動量Wis,電気的視野移動装置による補正移動速度vis,パルスタイマーモジュールの出力パルス周波数に相当の移動速度vst,ステージの実移動速度vst′,単位時間Δt,初期座標x0、とする。
電子光学制御部の倍率およびレンズ条件をステージ制御部に送信する(S11)。
ステージ制御部は、ジョイスティックやトラックボール等の入力装置の操作量を随時抽出する(S12)。
ステージ制御部は、電子光学制御部より受信した光学倍率条件をステージ感度係数として、入力装置から抽出された操作量に対し、単位時間当たりのステージ移動量を決定しステージを駆動する(S13)。
ステージ制御部はステージ座標をリニアスケールにより検出し、ステージの実座標位置および実移動速度を計算する(S14)。
電子光学制御部は、パルスタイマーモジュールの出力パルス数に相当する移動量とステージの実際の移動量の比較を行う。比較の結果、本来移動するはずであった移動量に比べ実際の移動量が小さく、この差があらかじめ設定した閾値より大きくなった場合には、(S16)に進み、差が閾値より小さかったときには(S12)に戻る(S15)。
上記比較の結果、本来移動するはずであった距離に対して足りない距離を電気的視野移動装置により移動する。このときの電気的視野移動装置による補正移動量Wisは(式5)になる(S16)。
(数5)
is=(vst(t)−vst′(t))×Δt=vis×Δt …(式5)
単位時間Δt秒後の観察視野の位置座標は(式6)のようになる。
(数6)
x=x0+vst′(t)×Δt+Wis …(式6)
観察視野の移動完了となる。以上の処理をステージが動作する単位時間毎に行うことにより、操作者が入力する入力に対して追従性良く動作する観察視野を移動することができる(S17)。
図5は、本実施例を適用した観察視野移動装置によって操作者がジョイスティックやトラックボール等の入力装置32により観察視野の移動操作を行った例である。ステージ40がパルスタイマーモジュールの出力パルス数に相当する移動距離で移動した場合の観察位置の変化と、実際のステージの移動軌跡,電気的視野移動装置による補正量,補正後の観察視野の移動軌跡が示されている。以下、時間を追って順次説明する。図5のt=0〜bでは、ステージが初期座標x0から速度vst(a),vst(b)で移動したときの軌跡を示している。t=bのときの観察視野座標は(式7)のようになる。
(数7)
b=x0+(vst(a)+vst(b))×Δt …(式7)
図5のt=b〜cの時間帯は、t=b以前までのステージがX軸のプラス方向に移動し続けていた履歴を持っているため、ステージの機械的構成に起因する減速ギヤのバックラッシュやカップリングの遊びが蓄積されていて、マイナス方向にモーターを回転してもこの蓄積を解消されるまではステージは動き出すことができない状態にあることを示している。そのため、モーターはステージを速度vst(c)で移動しようとして相当分回転したが、実際のステージの移動速度は閾値よりも小さくほぼゼロとなった。(vst′(c)=0)この結果、t=cのときの観察視野座標は(式8)のようになる。
(数8)
c=xb+(vst′(c)+vis)×Δt=xb …(式8)
図5のt=c〜dの時間帯は、t=b〜cの時間帯と同様に、モーターはステージを速度vst(d)で移動しようとして相当分回転したが、ステージの実際の移動は行われなかった状態を示している。(vst′(d)=0)図2に示したアルゴリズムにより1単位時間前のt=b〜cの時間帯でステージ速度vst′(c)が閾値以下であったので、電気的視野移動コイルによる補正移動速度visは1単位時間前のt=b〜cで本来ステージ駆動されるはずであった速度vst(c)に設定される。この結果、t=dのときの観察視野の位置座標は(式9)のようになる。
(数9)
d=xc+(vst′(d)+vis)×Δt=xc+vst(c)×Δt …(式9)
図5のt=d〜eの時間帯は、ステージは速度vst(e)で移動しようとしたが、t=b〜dの時間帯のモーターの回転により発生したステージ機構部のバックラッシュとカップリングの遊びによりステージが動き出さない状態を示している。1単位時間前のt=c〜dでステージ速度vst′が閾値以下であったので、電気的視野移動コイルによる補正移動速度visは1単位時間前のt=c〜dの時間帯で本来ステージ駆動されるはずであった速度vstになり、その結果t=eのときの観察視野の位置座標は(式10)のようになる。
(数10)
e=xd+(vst′(e)+vis)×Δt=xd+vst(d)×Δt …(式10)
図5のt=e〜fでは、入力装置からのステージの操作は停止し、1単位時間前の状態に対する補正のみが行われている状態を示す。その結果、観察視野の位置座標は(式11)のようになる。
(数11)
f=xe+(vst′(f)+vis)×Δt=xe+vst(e)×Δt …(式11)
以上のように、本実施例によれば、電気的視野移動コイルによる補正の結果、到達目標位置と実到達位置の差はなくなり、補正なしの時に比べて設定された移動軌跡に近い観察視野移動軌跡となる。より追従性の良い観察視野移動のためには上記単位時間Δtを100ms程度に設定するのが望ましいが、荷電流視線装置により操作感度は異なるのでこの限りではない。
上記では、トラックボール等の入力装置32により現在位置から相対的に観察視野を移動する例を示したが、ユーザーインターフェースGUIより座標を指定して観察視野を移動させた場合に、電気的視野移動装置により補正することで絶対精度を向上することが可能である。
観察視野の位置座標を指定してステージ駆動により移動を行う場合、ステージ制御部はステージ移動速度を高速の一定速度に設定し目標監察位置の近くまで移動させ、近傍まで移動した後減速し、低速の一定速度で目標位置に近づけることでステージを停止した後の慣性でドリフトする量を最小限に抑えるように工夫されている。
上記の動作を図3に示した観察視野の移動に関係する構成図により説明する。
ステージ制御用コンピュータ37はパルスタイマーモジュール53に移動に必要なパルス数と周波数を送信し、パルスタイマーモジュール53は、指定された周波数のパルスをドライバに出力しモーターを駆動する。目的座標に近くなった後、ステージ制御用コンピュータ37はステージを低速で移動させるためパルスタイマーモジュール53に低速移動用の周波数を送信し、パルスタイマーモジュール53は低速移動用のパルスをドライバに出力しモーターを引き続き駆動する。パルスタイマーモジュール53がコンピュータ37より指定されたパルス数を出力した後、ステージ制御部はリニアスケール57とリニアスケール補間回路58と位相検知部59による出力信号をカウンタ60でカウントし、カウント値から実際の移動距離を計算する。電子光学制御部は、パルスタイマーモジュールの出力クロック数に相当する移動距離とリニアスケールから抽出した実際の移動距離を比較し、この差分を電気的視野移動装置により加算し補正する。上記によって、座標を指定して観察視野を移動させた場合にも観察視野を精度良く移動することができる。
また、入力装置32による観察視野移動の場合には、入力装置32により設定される移動速度は随時変化するため単位時間当たりの駆動量のずれを計算し補正を行うことで入力に対する追従性が向上させるように工夫しているが、座標を指定して観察視野を移動させる場合には上記のように一定速度でステージを移動させるので、ステージの駆動が停止してから電気的視野移動装置により補正を加えることで電子光学制御部の制御コンピュータに加わる負荷を低減させることも可能である。
また、上記では、観察視野の移動が入力されたときの動作について説明しているが、補正アルゴリズムにより、ステージ位置停止後のステージの機械的なドリフトを補正することも可能である。
操作者がステージ操作を行わないときにステージのドリフトが発生したときのドリフト補正の動作をアルゴリズムにより以下説明する。(S12)により入力装置による操作量が抽出され、(S13)によりステージの移動速度はゼロと設定される。(S14)によりステージがドリフトした距離が検出される。この結果、ステージの移動しようとする移動量と移動後の移動量においてずれが生じる。(S15)この結果、電気的視野移動装置による移動補正による補正が行われる。以上の動作の結果、ステージ停止時のステージのドリフト補正を行うことができる。
観察視野補正制御部の出力を電気的視野移動コイルに加算した場合、入力装置による操作によって電気的視野移動コイルに流した電流をId、補正のために電気的視野移動コイルに流した電流をId′とすると、電気的視野移動コイルによる観察視野の移動量は、入力装置による移動量と補正による移動量の和になるので、上記実施例による観察視野の補正量が加算されていくと、操作者が電気的視野移動コイルにより移動できる移動量が小さくなってしまうことがある。そこで、ステージが高速に移動される工程で、電気的視野移動コイル制御用データをステージの移動速度以下の速さで視野が移動する速度で中点に戻し、ステージの高速移動が終了するまでに電気的視野移動コイルに流す電流の制御DACの値が中点にあるように制御する。こうすることよって、操作者に違和感なく観察視野補正用の電流幅を確保することが可能となる。
実施例1では、観察視野の補正量が蓄積されてしまった電気的視野移動コイルに流す電流の制御DACの値を操作者に違和感なく中点に戻すように制御しているが、図7に示すように従来の観察視野移動手段である電気的視野移動コイル64とは別に、第2の電気的視野移動コイル65を電子光学制御部に追加し観察視野補正用の手段として制御することにより、従来の電気的視野移動コイルによる動作範囲に影響を与えずに観察視野補正を行うことが可能である。
実施例1において、観察視野の位置補正のために必要な単位時間の設定,補正速度,電気的視野移動コイル電流振幅の微調整,補正を行うか行わないかを決定する閾値を調整画面で設定可能にすることもできる。
本発明による走査型電子顕微鏡の概略図。 本発明による試料ステージの構成図。 本発明による観察視野の位置補正制御の構成例。 本発明による観察視野の位置移動補正の流れを示したフローチャート。 観察視野の移動補正を行った場合の操作者による入力に対する観察視野の軌跡。 電気的視野移動の移動距離の計算方法を示す図。 本発明による走査型電子顕微鏡の概略図。
符号の説明
1 陰極
2 第一陽極
3 第二陽極
4 一次電子線
5,6 集束レンズ
7 対物レンズ
8 絞り板
9 走査コイル
10 試料
11 直交電磁界発生装置
12 二次信号
13 二次信号検出器
14 信号増幅器
20 高圧制御電源
21,22 レンズ制御電源
23 対物レンズ制御電源
24 走査コイル制御電源
25 画像メモリ
26 像表示装置
28 第1の電気的視野移動装置用電源
29 第2の電気的視野移動装置用電源
30 電気的視野移動装置
31,32 入力装置
34 ステージ駆動装置
35 高電圧制御用コンピュータ
36 電子光学制御用コンピュータ
37 ステージ制御用コンピュータ
40 ステージ
41 モーター
42 エンコーダ
43 減速ギヤ
44 カップリング
45 送りねじ
46 メネジ
47 ガイド
48,57 リニアスケール
50 ステージ制御部
51 電子光学制御部
52 操作量カウンタ
53 パルスタイマーモジュール
54 モータードライバ
55 駆動パルスカウンタ
58 リニアスケール補間回路
59 リニアスケール位相検知部
60 リニアスケール信号カウンタ
61 電気的視野移動コイル制御DAC
62 観察視野補正DAC
63 電気的視野移動コイルドライバ
64 電気的視野移動コイル
65 第2の電気的視野移動コイル

Claims (7)

  1. 荷電粒子発生装置と、
    試料を設置するステージと、
    前記荷電粒子発生装置で発生した荷電粒子線を前記試料上に収束する収束装置と、
    前記荷電粒子線を偏向する電気的視野移動装置と、
    前記ステージを移動するステージ駆動装置と、
    前記ステージ駆動装置によるステージ移動距離を入力する入力装置と、
    前記ステージの位置を検知することで前記ステージの実際の移動距離を測定する手段と、所定の時刻における前記入力装置から入力された移動距離と前記実際の移動距離とのずれ量から、前記ずれ量を補正する前記荷電粒子線の偏向量を求める演算部と、を備え、
    前記電気的視野移動装置による荷電粒子線の前記偏向量の偏向を、前記所定の時刻後に行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記入力装置から入力された移動距離と実際の移動距離とのずれ量の測定を、所定の時間間隔ごとに行い、前記電気的視野移動装置による荷電粒子線の前記偏向量の偏向を、前記ずれ量の測定を行った時刻から前記時間間隔内に行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記入力装置から入力された移動距離と実際の移動距離とのずれ量の測定を前記荷電粒子線装置の特性および操作者の操作速度に応じた時間間隔ごとに行い、
    前記電気的視野移動装置による前記荷電粒子線の偏向を前記ずれ量の測定を行った時刻から前記時間間隔内に行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項1又は2に記載の荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子線装置は第2の入力装置を備え、
    当該第2の入力装置からの入力量を前記電気的視野移動装置により移動することを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の荷電粒子線装置において、
    前記試料ステージ駆動装置によるステージ移動の際に、電気的視野移動装置制御用データを中点に戻し、前記電気的視野移動装置による前記荷電粒子線の偏向量を前記ステージ駆動装置によるステージ移動により補正することを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子線装置は、前記電気的視野移動装置とは別に第2の電気的視野移動装置を有し、それぞれ独立して観察視野の移動補正を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 入力装置の操作量を抽出する工程と、
    前記操作量に対するステージの移動量を計算し前記ステージを駆動する工程と、
    前記ステージの単位時間あたりの駆動量に相当する移動量を計算する工程と、
    測距装置により実際のステージ位置座標を検出する工程と、
    前記駆動量に相当する移動量と前記ステージ位置座標を比較し位置ずれを検出する工程と、
    前記位置ずれを電気的視野移動装置で補正するために必要な移動量を計算し、前記電気的視野移動装置で前記移動量分の視野を移動する工程とを備える視野移動方法。
JP2008022240A 2008-02-01 2008-02-01 荷電粒子線装置 Expired - Fee Related JP5183230B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008022240A JP5183230B2 (ja) 2008-02-01 2008-02-01 荷電粒子線装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008022240A JP5183230B2 (ja) 2008-02-01 2008-02-01 荷電粒子線装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009181923A JP2009181923A (ja) 2009-08-13
JP2009181923A5 JP2009181923A5 (ja) 2010-09-16
JP5183230B2 true JP5183230B2 (ja) 2013-04-17

Family

ID=41035707

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008022240A Expired - Fee Related JP5183230B2 (ja) 2008-02-01 2008-02-01 荷電粒子線装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5183230B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5248553B2 (ja) * 2010-06-25 2013-07-31 株式会社日立ハイテクノロジーズ 試料ステージ装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6056343A (ja) * 1983-09-07 1985-04-01 Jeol Ltd 荷電粒子線装置
JPH03257750A (ja) * 1990-03-07 1991-11-18 Hitachi Ltd 走査電子顕微鏡
JPH05343017A (ja) * 1992-06-05 1993-12-24 Nikon Corp 試料像の移動制御装置
JPH10172486A (ja) * 1996-12-04 1998-06-26 Nikon Corp 荷電粒子ビーム顕微鏡のビームシフト制御方法
JP4006946B2 (ja) * 2000-01-25 2007-11-14 株式会社日立製作所 走査電子顕微鏡

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009181923A (ja) 2009-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5323003A (en) Scanning probe microscope and method of observing sample by using such a microscope
JP3932894B2 (ja) 電子線装置
US20060197453A1 (en) Electron beam writing system and electron beam writing method
JP4616180B2 (ja) 走査電子顕微鏡
US6507034B1 (en) Charge beam exposure apparatus, charge beam exposure method, and charge beam exposure mask
JP6210931B2 (ja) 荷電粒子線装置
US9689892B2 (en) Scanning probe microscope
US5773824A (en) Method for improving measurement accuracy using active lateral scanning control of a probe
EP2388801A1 (en) Multi-column electron beam lithography system and electron beam orbit adjusting method thereof
JP5183230B2 (ja) 荷電粒子線装置
US8785878B2 (en) Charged particle beam apparatus
JP4365579B2 (ja) 電子ビーム露光装置及び電子ビーム露光方法
JP2013021215A (ja) ビーム計測装置、描画装置、および物品の製造方法
JP2009192216A (ja) 走査型プローブ顕微鏡及びその探針相対位置測定方法
JP6075306B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射装置及び荷電粒子ビーム軸調整方法
US8225418B2 (en) Method for processing output of scanning type probe microscope, and scanning type probe microscope
JP2016012649A (ja) 指令データの作成方法、位置決め装置、リソグラフィ装置、物品の製造方法
JPH08329870A (ja) 走査電子顕微鏡
US11257658B2 (en) Charged particle beam apparatus
CN110082566B (zh) 扫描探针显微镜
JP4790411B2 (ja) 非点収差補正方法および電子ビーム描画装置
JP2009182269A (ja) 荷電ビーム露光装置及び露光方法
JP2022062843A (ja) 荷電粒子線装置、及び制御方法
CN112394199A (zh) 原子力显微镜及其测量方法
JP6719264B2 (ja) レーザ加工装置および状態検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100707

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160125

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees