JP5179903B2 - 発泡成形体の反応射出成形方法および発泡成形体 - Google Patents
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Description
このような反応射出成形方法として、例えば、二酸化炭素をイソシアネート成分に予備混合装置および高圧加熱ヒータによって連続的に溶解させるとともに、二酸化炭素をポリオール成分に予備混合装置および高圧加熱ヒータによって連続的に溶解させて、これらを混合して高圧で射出し、反応させながら金型に注入して、マイクロセルラーポリウレタンフォームを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、RIM法では、混合成分が、その射出と同時に、キャビティ内に注入されながら、反応および発泡するため、目的に応じて、射出、注入、反応および発泡の各条件を決定する必要がある。しかし、これら各条件は、実際には、試行錯誤によって個別具体的に決定されている。そのため、スキン層を有する発泡成形体を簡易に成形することは困難である。
また、本発明の発泡成形体の反応射出成形方法では、前記発泡成形体を成形する工程において、2分割して射出し、第1回目の射出量を、全射出量の10〜70%に設定し、第2回目の射出量を、全射出量の30〜90%に設定することが好適である。
また、本発明の発泡成形体の反応射出成形方法では、前記発泡成形体を成形する工程において、少なくとも、第1回目の射出前から前記金型のキャビティを減圧させることが好適である。
また、本発明の発泡成形体は、上記した発泡成形体の反応射出成形方法により得られることを特徴としている。
また、本発明の発泡成形体では、混合物を分割して射出する発泡成形体の反応射出成形方法により得られるので、スキン層を確実に形成することができる。
図1において、この反応射出成形装置1は、発泡成形体としてのマイクロセルラーポリウレタンフォームを成形する反応射出成形方法(RIM法)に用いられるRIM成形装置であって、第1原料としてのイソシアネート成分を供給するためのイソシアネート供給ユニット2、イソシアネート成分と反応する第2原料としてのポリオール成分を供給するためのポリオール供給ユニット3、混合ヘッド4および金型5と、図示しないCPUとを備えている。
イソシアネートポンプ8およびポリオールポンプ9は、イソシアネートタンク6およびポリオールタンク7の下流側にそれぞれ接続されている。また、イソシアネートポンプ8およびポリオールポンプ9には、図示しないCPUがそれぞれ接続されている。そして、イソシアネートポンプ8およびポリオールポンプ9は、イソシアネート成分およびポリオール成分を、所定量、所定圧力およびCPUの制御による所定時間で、第1予備混合ユニット14および第2予備混合ユニット15にそれぞれ輸送するように構成されている。
第1高圧加熱ヒータ16は、第1予備混合ユニット14において予備混合されたイソシアネート成分および第1不活性流体(イソシアネート混合物)中において、イソシアネート成分に第1不活性流体を連続的に溶解させるように構成されている。より具体的には、第1高圧加熱ヒータ16は、耐圧配管の周りにヒータが設けられており、イソシアネート混合物を、耐圧配管中に通過させて、そのまま加圧(保圧)しながら必要によりヒータで加熱することにより、イソシアネート成分に第1不活性流体を連続的に溶解させるように構成されている。
図示しないCPUは、イソシアネートポンプ8およびポリオールポンプ9と、第1不活性流体ポンプ12および第2不活性流体ポンプ13と、混合ヘッド4と、射出弁20とに接続されている。このCPUは、RIM成形の前に予め設定された制御プログラムにより、イソシアネートポンプ8およびポリオールポンプ9と、第1不活性流体ポンプ12および第2不活性流体ポンプ13との供給時間を制御している。また、CPUは、RIM成形の前に予め設定された制御プログラムにより、混合ヘッド4の射出時間と、射出弁20の開閉のタイミングとを制御している。
まず、イソシアネート供給ユニット2における工程について説明する。イソシアネート供給ユニット2では、まず、イソシアネートタンク6に貯蔵されているイソシアネート成分を、イソシアネートポンプ8から、例えば、10〜30MPaの供給圧力で、第1予備混合ユニット14に供給する。これと同時に、イソシアネート供給ユニット2では、第1不活性流体タンク10に貯蔵されている第1不活性流体を、第1不活性流体ポンプ12から、例えば、10〜30MPaの供給圧力で第1予備混合ユニット14に供給する。これによって、イソシアネート成分および第1不活性流体が高圧で第1予備混合ユニット14に供給されるので、これらが良好に衝突混合される。第1不活性流体の供給量は、後述するポリオール成分に供給する第2不活性流体の供給量との合計において、イソシアネート成分およびポリオール成分の全量に対して、例えば、0.01〜20重量%となるように調整される。また、第1予備混合ユニット14における混合圧は、例えば、10〜30MPaとなるように調整される。
この工程では、第1高圧加熱ヒータ16において第1不活性流体が溶解されたイソシアネート成分(イソシアネート混合物)、および、第2高圧加熱ヒータ17において第2不活性流体が溶解されたポリオール成分(ポリオール混合物)を、混合ヘッド4において混合する。次いで、CPUの制御に基づいて射出弁20が開動作されることにより、混合ヘッド4が、混合物を高圧で射出し、混合物を反応させながら金型5に注入する。これにより、混合物が反応されながら発泡され、発泡成形体が成形される。
そして、この方法における発泡成形体の成形では、金型5のキャビティ19の全容量V0に対応する全射出量I0を分割して射出している。より具体的には、全容量V0に対応する全射出量I0を、例えば、2分割〜10分割、好ましくは、2分割または3分割、さらに好ましくは、2分割して射出している。上記した分割数を超えると、スキン層を形成できない場合がある。
全射出量I0を2分割して射出するには、まず、全射出量I0が2分割された射出量、すなわち、第1回目の射出量I1で、混合物を射出する。
また、少なくとも第1回目の射出前、具体的には、第1回目の射出前、または、第1回目の射出前および第1回目の射出中において、好ましくは、金型5のキャビティ19を、図示しない減圧ポンプによって、66.7〜100.0kPa(500〜750Torr)の減圧状態にする。このようにキャビティ19を減圧状態にすることによって、より一層綺麗なスキン層を形成することができる。
なお、金型5のキャビティ19の全容量V0が、例えば、200〜10000cm3であり、混合物の発泡倍率Frが、例えば、1.2〜10倍、好ましくは、1.2〜3倍である場合には、第1回目の射出(先の射出)において、第1回目の射出速度Ir1を、例えば、50〜500cm3/秒、好ましくは、200〜300cm3/秒に設定し、第1回目の射出時間It1を、例えば、1〜10秒、好ましくは、1〜2秒に設定する。
射出の停止時間、すなわち、先の射出である第1回目の射出と、後の射出である第2回目の射出との間の間隔(より具体的には、第1回目の射出の停止時と、第2回目の射出の再開時との間の間隔)は、RIM成形の前に予めCPUに入力されており、例えば、0.1〜60秒、好ましくは、5〜40秒、さらに好ましくは、10〜30秒に設定されている。停止時間が上記範囲を超えると、反応の進行により第2回目の射出ができなくなる場合があり、一方、停止時間が上記範囲に満たないと、スキン層を形成できない場合がある。
射出の再開(第2回目の射出)は、CPUによって、停止時間が検知され、次いで、CPUの制御により、イソシアネートポンプ8の供給、ポリオールポンプ9の供給、第1不活性流体ポンプ12の供給および第2不活性流体ポンプ13の供給を再開させる。また、これと同時に、CPUの制御に基づく射出弁20の開動作により、混合ヘッド4の射出を再開させる。
この第2回目の射出(後の射出)において、第2回目の射出量I2を、例えば、全射出量I0の30〜90%、好ましくは、50〜70%に設定する。
これにより、全射出量I0を2分割して射出する。
なお、3分割以上で分割して射出する場合には、上記した第2回目の射出の再開の後に、さらに、射出の停止および再開を分割数に応じて繰り返す。
そして、反応終了後、金型5を常温まで戻し、型開きすることによって、マイクロセルラーポリウレタンフォームを得ることができる。このようにして得られるマイクロセルラーポリウレタンフォームは、表面にスキン層が形成され、内部に微細な気泡(空隙)が形成されている。このスキン層により、ポリウレタンフォームの表面の耐摩耗性を、無発泡のポリウレタンの耐摩耗性と同等に確保することができ、さらに、表面の綺麗さ(美観)を向上させることもできる。
また、マイクロセルラーポリウレタンフォームは、その平均気泡径が、例えば、5〜100μm、好ましく、20〜50μmである。なお、平均気泡径は、走査型電子顕微鏡によって、測定される。
そして、このマイクロセルラーポリウレタンフォームを成形する方法によれば、混合物を分割して射出する。そのため、射出の条件や混合物の配合割合などに影響されず、分割して射出するのみの簡易な方法によって、スキン層が形成されるマイクロセルラーポリウレタンフォームを確実に成形することができる。
また、この方法に用いられる反応射出成形装置1においては、イソシアネート供給ユニット2およびポリオール供給ユニット3を、大略同一の装置構成として、その両方に、イソシアネートポンプ8およびポリオールポンプ9、第1不活性流体ポンプ12および第2不活性流体ポンプ13、第1予備混合ユニット14および第2予備混合ユニット15、第1高圧加熱ヒータ16および第2高圧加熱ヒータ17を設けたが、その目的および用途によっては、イソシアネート供給ユニット2およびポリオール供給ユニット3のいずれか片方のみに、不活性流体ポンプ(第1不活性流体ポンプ12および第2不活性流体ポンプ13のいずれか一方)、予備混合ユニット(第1予備混合ユニット14および第2予備混合ユニット15のいずれか一方)、高圧加熱ヒータ(第1高圧加熱ヒータ16および第2高圧加熱ヒータ17のいずれか一方)を設けるように構成してもよい。
さらに、上記の説明では、本発明の発泡成形体の反応射出成形方法を、マイクロセルラーポリウレタンフォームの成形方法として例示したが、本発明の発泡成形体の反応射出成形方法は、これに限らず、2成分を反応させて得ることができる発泡成形体の成形方法であれば、広く適用することができ、例えば、ポリアミド樹脂発泡成形体、ジシクロペンタジエン樹脂発泡成形体、不飽和ポリエステル樹脂発泡成形体、アクリラメイト樹脂発泡成形体、エポキシ樹脂発泡成形体などの成形方法にも適用することができる。
実施例1
上記した図1に示すRIM装置を用意した。
このRIM装置において、金型のキャビティの全容量は600cm3であった。
ポリオール供給ユニットでは、まず、ポリオールタンクに貯蔵されているポリオール化合物(ポリエーテルポリオール、数平均分子量5000)を、ポリオールポンプから、15MPaの供給圧力で、第2予備混合ユニットに供給した。これと同時に、第2不活性流体タンクに貯蔵されている二酸化炭素を、第2不活性流体ポンプから、18MPaの供給圧力で、第2予備混合ユニットに供給した。これによって、ポリオール化合物および二酸化炭素が高圧で第2予備混合ユニットに供給されて、これらを良好に衝突混合させた。二酸化炭素の供給量を、イソシアネート化合物およびポリオール化合物の全量に対して、0.1重量%となるように調整し、混合圧を、15MPaとなるように調整した。
そして、イソシアネート混合物およびポリオール混合物を、混合ヘッドにおいて混合した。次いで、CPUの制御に基づいて射出弁が開動作されることにより、混合ヘッドが混合物を高圧で射出し、混合物が反応しながら金型に注入された。なお、金型は、50℃で恒温した。
全射出量を2分割して射出するには、まず、CPUの制御により、第1回目の射出時間で、混合物を射出した。
この第1回目の射出では、第1回目の射出量を全射出量の50%に設定した。また、第1回目の射出速度を200cm3/秒に設定し、第1回目の射出時間を1秒に設定した。
その後、CPUの制御により、射出を再開させて、混合物を射出した。
この第2回目の射出において、第2回目の射出量を全射出量の50%に設定した。また、第2回目の射出速度を200cm3/秒に設定し、第2回目の射出時間を1秒に設定した。 これにより、全射出量を2分割して射出した。
得られたポリウレタンフォームのスキン層の厚さは1000μmであり、平均気泡径が50μmであり、空隙率が50%であり、混合物の発泡倍率は2倍であった。
実施例1と同様のRIM装置を用いて、下記で説明する反応射出条件以外は、実施例1と同様にしてポリウレタンフォームを得た。
すなわち、イソシアネート供給ユニットおよびポリオール供給ユニットでは、イソシアネート化合物およびポリオール化合物と衝突混合する二酸化炭素の供給量を、イソシアネート化合物およびポリオール化合物の全量に対して、0.5重量%となるように調整した。
その後、CPUの制御に基づいて射出弁が開動作されることにより、混合ヘッドが混合物を高圧で射出し、混合物が反応しながら、減圧された金型に注入された。
第2回目の射出では、第2回目の射出量を全射出量の70%に設定した。
得られたポリウレタンフォームは、表面にスキン層が形成され、内部に微細な気泡(空隙)が形成されていた。このスキン層は、第1回目の射出前にキャビティ内を減圧状態にしたことから、表面の綺麗さ(美観)がより一層向上されていた。
19 キャビティ
Claims (6)
- 第1原料および前記第1原料と反応する第2原料をそれぞれ供給する工程と、
不活性流体を少なくとも前記第1原料および前記第2原料のいずれか一方に供給して予備混合する工程と、
前記第1原料および前記第2原料を混合して、前記第1原料および前記第2原料の混合物を金型に射出することにより、前記混合物を反応させながら発泡させて、発泡成形体を成形する工程とを備え、
前記発泡成形体を成形する工程において、金型のキャビティの全容量に対応する全射出量を分割して射出し、
前記発泡成形体を成形する工程において、少なくとも、第1回目の射出前から前記金型のキャビティを減圧させることを特徴とする、発泡成形体の反応射出成形方法。 - 前記発泡成形体を成形する工程において、2分割〜10分割して射出することを特徴とする、請求項1に記載の発泡成形体の反応射出成形方法。
- 前記発泡成形体を成形する工程において、2分割して射出し、
第1回目の射出量を、全射出量の10〜70%に設定し、
第2回目の射出量を、全射出量の30〜90%に設定することを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡成形体の反応射出成形方法。 - 前記発泡成形体を成形する工程において、先の射出と後の射出との間の間隔を0.1〜60秒に設定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形体の反応射出成形方法。
- 得られる発泡成形体では、スキン層が形成され、かつ、平均気泡径が5〜100μmであり、空隙率が10〜90%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡成形体の反応射出成形方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の発泡成形体の反応射出成形方法により得られることを特徴とする、発泡成形体。
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