JP5174733B2 - メタルコア基板、メタルプレート用導電部材及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
この種のメタルコア基板としては、例えば特許文献1から特許文献5に記載のものがある。これら特許文献に記載のメタルコア基板は、コアとなるアルミニウムや銅等のメタルプレートの表面に絶縁層が形成されるとともに、その上面に回路パターンが形成され、その回路パターンに電子部品が搭載されるようになっている。
一方、特許文献5には、表面粗度が小さい圧延銅板からなるメタルプレートを用いる場合に、絶縁層との接着性を高めるために、メタルプレートの表面をエッチングやパルス電解技術により粗化処理することが記載されている。絶縁層との接着性向上のために、メタルプレートの表面を粗化処理することは、特許文献3にも記載されている。
いずれの場合も、メタルプレートをそのまま使用することはできず、粗化処理やめっき処理の部分的な加工が必要で生産性が悪い。
この発明により上記の不具合が改良されるが、メタルコア基板用として、絶縁層との更なる接着性の向上、並びに、接続端子としての耐熱性に優れたメタルプレートが求められている。
また、(1)Ni含有量が多いとCu−Sn−Ni金属間化合物自体及び形成されためっき層全体にも悪影響を及ぼすので、金属間化合物中のNiの含有量は1〜70at%の範囲が好適である、(2)Cu−Sn−Ni金属間化合物にNiが含有しやすい最適なリフロー温度と保持時間がある、との知見を得た。
更に、樹脂密着性のためには、Cu−Sn−Ni金属間化合物層の表面の粗さは大きいほうが好ましいが、コネクタとして使用時の端子プレートとしての観点からは表面の粗さに限度があり、それらを考慮すると、樹脂密着性を最大限に引き出し、端子プレートとして高機能を発揮出来るCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面粗さは、Ra:0.1〜0.4μmであり、Rz:1.0〜3.5μmが最適である事を見出した。
この場合、金属間化合物層のSn系表面層と接する面の表面粗さが前記範囲よりも小さいと、凹凸がほとんどなくなってしまい、絶縁層との良好な接合強度を得ることができず、また、前記範囲を超えると、絶縁層との接合強度は大きくなるが、Sn系表面層の下に凹凸の大きい金属間化合物層が存在することになるから、特にコネクタ端子として使用したときの挿抜時の抵抗が大きくなるため好ましくない。
さらに、本発明のメタルコア基板は、前記メタルプレートにおける前記Cu−Sn−Ni金属間化合物層の露出部分が絶縁層により被覆されていることを特徴とする。
まず、メタルコア基板について説明すると、このメタルコア基板1は、図3に示すように、長さ方向の中央部に配置される回路基板部2と、両端部に配置されるコネクタ端子部3とを一体に形成してなるものである。回路基板部2は、コアとなるメタルプレート4の両面が絶縁層5により被覆され、この絶縁層5の上に回路導体6が形成されており、その上に電子部品7が搭載される。一方、コネクタ端子部3は、メタルプレート4の絶縁層5により被覆されていない両端部がそのままコネクタ端子部3とされ、外部のコネクタ端子8が二点鎖線で示すように嵌合状態に接続されるようになっている。
また、メタルプレート4は、以下に述べるメタルプレート用導電部材11において、コネクタ端子部3となる中央部分の最表面層の一部を除去して、内層の表面を露出することにより形成したものである。
この実施形態のメタルプレート用導電部材11は、図2に示すように、Cu系基材12の表面に、Ni系薄膜層15、Cu−Sn−Ni金属間化合物層16、Sn系表面層14がこの順に形成されている。
Cu系基材12は、Cu又はCu合金から構成された例えば板状のものである。Cu合金としては、その材質は必ずしも限定されないが、無酸素銅、タフピッチ銅、Cu−Zr系合金、Cu−Cr−Zr系合金、Cu−Fe−P系合金がプレス加工性に優れながら導電率と熱伝導率が高いため好適であり、例えば、三菱伸銅株式会社製OFC,TC,TAMAC4,C151,MZC1,ZC,TAMAC194が好適に用いられる。
算術平均粗さRaがRaで0.1〜0.4μmとしたのは、コネクタ端子部3として用いる場合には、Raが小さい方が挿抜力が低減して好ましいが、後述するようにSn系表面層14を除去したときの表面と絶縁層5との良好な接合強度を確保するためにはRaが0.1μm以上必要であり、0.4μmを超えるほどに凹凸が大きくなると、Sn系表面層14を被覆したままコネクタ端子部3として用いる際にCu−Sn−Ni金属間化合物層16の凹凸が抵抗となって挿抜力が増大して好ましくないからである。
まず、図1(a)に示すように、Cu系基材12として、Cu又はCu合金の板材を用意し、これを脱脂、酸洗等によって表面を清浄にした後、Niめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順序で順次行うことにより、図1(b)に示すように、Niめっき層21、Cuめっき層22、Snめっき層23を形成する。また、各めっき処理の間には、酸洗又は水洗処理を行う。
Snめっきの条件としては、めっき浴に硫酸(H2SO4)と硫酸第一錫(SnSO4)を主成分とした硫酸浴が用いられ、めっき温度は15〜35℃、電流密度は10〜30A/dm2とされ、めっき厚みは0.6〜2.3μmとされる。
これらの各めっき条件をまとめると、以下の表1から表3に示す通りとなる。
そして、その絶縁層5の上に回路導体6を形成すると、メタルコア基板1として完成する。この回路導体6は、絶縁層5に銅箔を積層してなるもので、必要な部分をパターンエッチングするなどの方法で形成される。
Cu合金板(Cu系基材)として、厚さ0.25mmの三菱伸銅株式会社製TC材を用い、表4に示すめっき厚みにて、Ni、Cu、Snの各めっき処理を順次行った。各めっき工程間には、処理材表面からめっき液を洗い流すための水洗工程を入れた。
本実施例におけるめっき処理では、Cu合金板にめっき液を高速で噴きつけ、なおかつ酸化イリジウムを被覆したTi板の不溶性陽極を用いた。
そのめっき処理材に対してリフロー処理を行った。このリフロー処理は、最後のSnめっき処理をしてから1分後に行い、還元性雰囲気にて、加熱温度を250℃〜450℃、保持時間を5〜30秒にて行った。
して、前述しためっき皮膜剥離用エッチング液を使用してSn系表面層を除去し、露出したCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面粗さとして、算術平均粗さRaと十点平均粗さRzとを測定した。この表面粗さは、露出させたCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面に、オリンパス株式会社製の走査型共焦点赤外レーザ顕微鏡LEXT OLS−3000−IRを用い、対物レンズ100倍の条件でレーザ光を照射して、その反射光から距離を測定し、そのレーザ光をCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面に沿って直線的にスキャンしながら距離を連続的に測定することにより求めた。
以上の試験条件並びにCu−Sn−Ni金属間化合物層の表面粗さ、Sn系表面層の最小膜厚を表4にまとめた。
金属間化合物層が露出している部分にUL/ANSIグレードでFR−4のガラスエポキシ樹脂からなる絶縁層をガラス熱プレスにより厚さ0.2mmで形成した。
そして、Sn系表面層のままの状態としたコネクタ部については105℃×1000時間経過後の接触抵抗、動摩擦係数、はんだ耐熱性を測定し、絶縁層を形成した回路基板部については絶縁層の剥離強度を測定した。
接触抵抗は、試料を105℃×1000時間放置した後、山崎精機株式会社製電気接点シミュレーターを用い荷重0.49N(50gf)摺動有りの条件で測定した。
同様の条件でSnめっきを施してリフロー処理した後、JIS C 6481の規定に準拠して測定した。
はんだ耐熱性は、JIS C 6481の常態の測定方法の規定に準拠して測定し、絶縁層を形成した回路基板部に膨れ又ははがれが生じたものを×、生じなかったものを○とした。
これらの結果を表5に示す。
実施例試料としては、表4の試料1〜5の条件で製作したものの中から三つ選択し、比較例としては、従来技術としての黒化処理をメタルプレートの粗化処理として施したものを使用した。絶縁抵抗値が1MΩ以下となったものを×とした。
が不動態化するため、金属イオンが溶出し難く、このため絶縁抵抗値が低下することなく維持されるのである。
2 回路基板部
3 コネクタ部
4 メタルプレート
5 絶縁層
6 回路導体
7 電子部品
11 導電部材
12 Cu系基材
14 Sn系表面層
15 Ni薄膜層
16 Cu−Sn−Ni金属間化合物層
21 Niめっき層
22 Cuめっき層
23 Snめっき層
24 マスク
Claims (5)
- Cu系基材の表面に、Ni系薄膜層、Cu−Sn−Ni金属間化合物層、Sn系表面層がこの順に形成された導電部材であって、前記金属間化合物層の前記Sn系表面層と接する面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.1〜0.4μmであり、かつ、十点平均粗さRzで1.0〜3.5μmであることを特徴とするメタルコア基板のメタルプレート用導電部材
- 請求項1記載のメタルプレート用導電部材における一部のSn系表面層が除去され、前記金属間化合物層の表面が露出していることを特徴とするメタルコア基板用メタルプレート。
- 請求項2記載のコアメタル基板用メタルプレートにおける前記金属間化合物層の露出部分が絶縁層により被覆されていることを特徴とするメタルコア基板。
- Cu系基材の表面に、Ni又はNi合金をめっきし、次にCu又はCu合金をめっきし、その上にSn又はSn合金をめっきしてそれぞれのめっき層を形成した後、加熱してリフロー処理することにより、前記Cu系基材と最外層のSn系表面層との間に、Ni系薄膜層、Cu−Sn−Ni金属間化合物層を形成した導電部材を製造する工程と、該導電部材における前記Sn系表面層の一部を除去して、前記金属間化合物層の表面を露出する工程とを有することを特徴とするメタルコア基板用メタルプレートの製造方法。
- 請求項4記載の製造方法によってメタルプレートを製作し、露出した前記金属間化合物層の上に絶縁層を形成する工程を有するメタルコア基板の製造方法。
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