JP5172811B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子及び該樹脂粒子の製造方法、並びにスチレン系樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子及び該樹脂粒子の製造方法、並びにスチレン系樹脂発泡粒子成形体 Download PDF

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本発明は、発泡性スチレン系樹脂粒子及び該樹脂粒子の製造方法、並びに該発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡して得られるスチレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなるスチレン系樹脂発泡粒子成形体に関する。
発泡性スチレン系樹脂粒子から得られるスチレン系樹脂発泡粒子を、型内成形して得られるスチレン系樹脂発泡粒子成形体は、優れた断熱性能により住宅用断熱材や保冷箱等に使用されている。
しかしながら、スチレン樹脂の耐熱温度は70〜80℃であるため、電気温水器の温水タンクや温水配管用断熱材、屋根用断熱材、自動車部材などの耐熱性の要求される用途に対しては適用できない場合がある。
また、住宅設備等の断熱材には、自己消火性を有することが求められる。さらに、近年では、化学物質過敏症、いわゆるシックハウス症候群に対応するため、揮発性有機化合物、特に揮発性芳香族炭化水素の残存量の少ない断熱材が求められている。
特許文献1には、難燃剤として臭素系有機化合物が配合された発泡性スチレン系樹脂粒子及び、自己消火性に優れた発泡成形体が開示されている。特許文献2には、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とを含む混合樹脂を基材樹脂として、耐熱性が改善されたスチレン系樹脂発泡体が開示されている。特許文献3には、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とを含む樹脂に対して、有機溶剤と揮発性発泡剤を含有させた発泡性樹脂粒子が記載されており、得られる発泡体の機械的強度が向上したことが開示されている。また、特許文献4には、ポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂とを含む樹脂組成物の低密度粒子が、良好な熱的性質や機械的性質を有することが開示されている。
更には、特許文献5には、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂からなる熱可塑性樹脂に、自己消火性を付与するために、難燃剤としてリン酸エステルを添加した押出発泡体が開示されている。
特開2007−9018号公報 特開昭52−101268号公報 特許第3062405号公報 特開昭63−150337号公報 特開2003−327734号公報
しかし、特許文献1に記載されている発泡体は、自己消火性を有しているものの、耐熱性に課題を残すものであった。また、特許文献2ないし4に記載されている発泡体は、ポリフェニレンエーテル樹脂を配合することにより、耐熱性や強度は改善されているが、自己消火性を有するものではなかった。また、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる際に分散媒として添加した芳香族炭化水素が発泡体に残存する等の問題を有していた。特許文献5に記載されている発泡体については、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂からなる熱可塑性樹脂に、難燃剤としてリン酸エステルが添加されているが、耐熱性を保持しつつ、十分な自己消火性を得るためには、ポリフェニレンエーテル樹脂やリン酸エステルを多量に含有させなければならなかった。一方、このリン酸エステルは可塑剤としても作用するため、リン酸エステルを多量に添加すると耐熱性が低下し、耐熱性と自己消火性とを有する発泡体を得ることはできなかった。特に、耐熱性と自己消火性を有する発泡粒子成形体を得るには、樹脂粒子の発泡性だけでなく、樹脂粒子を発泡させた発泡粒子の型内成形性や、得られた発泡体の安定性などを考慮する必要があり、従来、耐熱性に優れかつ自己消火性を有するスチレン系樹脂発泡粒子成形体は得られておらず、その開発が望まれている。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、強度や耐熱性に優れると共に、JIS A 9511(2006)の燃焼試験(A法)に合格するような自己消火性を有する発泡粒子成形体を得ることができる発泡性スチレン系樹脂粒子、及びその製造方法、並びに該発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡して得られるスチレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなるスチレン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、耐熱性に優れかつ自己消火性を有するスチレン系樹脂発泡粒子成形体が得られるような発泡性スチレン系樹脂粒子を得るため、前記発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡性や、前記発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子の型内成形性などを検討した結果、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、難燃剤として特定の重量平均分子量を有する臭素化エポキシ樹脂、及び難燃助剤として酸化アンチモンをそれぞれ特定量含有する樹脂組成物からなる発泡性スチレン系樹脂粒子が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]ないし[4]を要旨とする発明である。
[1]スチレン系樹脂(A)、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)、重量平均分子量が10,000〜80,000である臭素化エポキシ樹脂(C)、及び酸化アンチモン(D)を含む樹脂組成物からなる、発泡剤が含浸された発泡性スチレン系樹脂粒子であって、前記樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)15〜50重量部と、臭素化エポキシ樹脂(C)10〜30重量部と、酸化アンチモン(D)1〜15重量部とを含有していることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
[2]前記臭素化エポキシ樹脂(C)のエポキシ当量が20,000g/eq以上であることを特徴とする前記[1]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
[3]前記[1]又は[2]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させて得られたスチレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなることを特徴とするスチレン系樹脂発泡粒子成形体。
[4]スチレン系樹脂(A)と、該スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)10〜50重量部と、重量平均分子量が10,000〜80,000である臭素化エポキシ樹脂(C)10〜30重量部と、酸化アンチモン(D)1〜15重量部とを配合して得られる樹脂組成物を、押出機内で溶融混練して押出した後、切断してスチレン系樹脂粒子を得、該スチレン系樹脂粒子を密閉容器内にて水性懸濁液中に分散させ、前記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
前記[1]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子は、該発泡性スチレン系樹脂粒子を構成する樹脂組成物が、スチレン系樹脂(A)と、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)と臭素化エポキシ樹脂(C)と酸化アンチモン(D)とを、特定量含有するものである。前記樹脂組成物からなる発泡性樹脂粒子により、耐熱性と自己消火性の両方を有するスチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
前記[2]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子は、特に、発泡性樹脂粒子の形状がより球形に近いものとなることから、前記発泡性樹脂粒子から発泡粒子を得た後、該発泡粒子を型内成形する際の成形性が良好となる。
前記[3]に記載のスチレン系樹脂発泡粒子成形体は、前記[1]又は[2]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡して得られるスチレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなるものであり、耐熱性に優れ、かつ自己消火性を有する発泡粒子成形体である。また、耐熱性と自己消火性を併せ持つことにより、従来使用することが困難であった、電気温水器の温水タンクや温水配管用断熱材、屋根用断熱材、自動車部材などの用途にも使用することができる。
前記[4]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法においては、スチレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水性懸濁液中に分散させて、発泡剤を含浸させることで、揮発性芳香族炭化水素を添加しなくても、自己消火性と耐熱性とを有する発泡性スチレン系樹脂粒子を安定的に製造することができる。
以下、本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子を単に発泡性樹脂粒子ともいうことがあり、スチレン系樹脂発泡粒子を単に発泡粒子ともいうことがあり、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を単に発泡粒子成形体または成形体ともいうことがある。
以下に本発明の〔1〕発泡性スチレン系樹脂粒子、〔2〕発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、〔3〕スチレン系樹脂発泡粒子、及び〔4〕スチレン系樹脂発泡粒子成形体について説明する。
〔1〕発泡性スチレン系樹脂粒子
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を構成する樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)と、該スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)10〜50重量部と、臭素化エポキシ樹脂(C)10〜30重量部と、酸化アンチモン(D)1〜15重量部とを含有するものである。
(1)スチレン系樹脂(A)
本発明のスチレン系樹脂(A)は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族ビニルモノマーを重合して得られたスチレン系樹脂である。スチレン系樹脂(A)は、上記芳香族ビニルモノマー単独でも、これらのモノマーを2種類以上混合して重合したものでも良く、更には前記モノマーから重合して得られた樹脂を2種類以上混合したものでも良い。
また、芳香族ビニルモノマーと共重合可能なビニルモノマーが共重合されたスチレン系樹脂を用いても良い。このようなビニルモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基を含有するビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基を含有するビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の有機酸ビニル化合物;エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン等のオレフィン化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン化合物;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド化合物などが挙げられる。
製造コストの点、前記発泡性樹脂粒子から発泡粒子を得る際の発泡性などの観点から、スチレンを主成分とするスチレン系樹脂を用いることが好ましく、前記スチレン系樹脂(A)はスチレン成分を50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むことが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂(A)の分子量は、重量平均分子量(Mw)で、150,000〜350,000の範囲にあることが好ましい。上記範囲内であれば、前記発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子の発泡性が良好で、高発泡倍率の発泡粒子成形体を得ることができ、且つ型内成形時に発泡粒子同士が融着し易く、得られる発泡粒子成形体の強度が向上する。前記重量平均分子量(Mw)は150,000〜250,000であることが好ましい。
尚、前記重量平均分子量、および、数平均分子量、Z平均分子量は、スチレン系樹脂10mgをTHF(テトラヒドロフラン)10mLに溶解させ、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法により測定し、標準ポリスチレンで校正した値である。上記GPC分析は、使用機器: 東ソー(株)製、SC−8020型、カラム:昭和電工(株)製、Shodex AC−80M 2本を直列に連結、カラム温度:40℃、流速:1.0ml/分、検出器:東ソー(株)製、紫外可視光検出機UV−8020型、を用いて測定することができる。
(2)ポリフェニレンエーテル樹脂(B)
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂(B)は、下記の一般式で表される重合体である。下記一般式中、R、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、及び炭素数が1〜4個のアルキル基を示し、これらは同一であっても異なっていてもよい。nは重合度を示す整数である。
Figure 0005172811
ポリフェニレンエーテル樹脂(B)としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルなどが挙げられる。また、芳香族ビニルモノマーがグラフト重合されたポリフェニレンエーテル樹脂を用いることもできる。重合度は通常、10〜5000のものが用いられる。
本発明の発泡性樹脂粒子を構成する樹脂組成物中のポリフェニレンエーテル樹脂(B)の含有量は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して10〜50重量部である。前記含有量が少なすぎる場合には、前記発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子成形体が十分な耐熱性を有しないおそれがある。一方、前記含有量が多すぎる場合には、前記発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子の発泡性や成形加工性が低下するおそれがある。前記含有量は、好ましくは15〜45重量部であり、更に好ましくは20〜40重量部である。
(3)臭素化エポキシ樹脂(C)
本発明の臭素化エポキシ樹脂(C)は、エポキシ樹脂に臭素を付加させたものである。例えば、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。このうち、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、テトラブロモビスフェノールA等の臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを反応させて得られるものであり、下記一般式で表される重合体で、nは重合度を表す整数である。本発明においては、耐熱性を得るために、発泡性樹脂粒子を構成する樹脂組成物中に上記ポリフェニレンエーテル樹脂(B)を含有している。一般に、ポリフェニレンエーテル樹脂は、加工温度を高くする必要があることから、樹脂組成物を溶融混練する際には、ポリフェニレンエーテル樹脂を含まない場合よりも溶融温度が高くなる。このため、前記樹脂組成物に配合される難燃剤にも耐熱性が必要となる。さらに、上記観点の他に、発泡性樹脂粒子の発泡性や、発泡粒子の成形性などを検討し、難燃剤としては臭素化エポキシ樹脂が好適であることを見出したものである。さらには、末端のエポキシ基の一部をトリブロモフェノール等の臭素化化合物で封止処理したものも使用できる。
Figure 0005172811
前記臭素化エポキシ樹脂(C)の重量平均分子量は、10,000〜80,000である。
重量平均分子量が小さすぎる場合には、スチレン系樹脂粒子を溶融混練する際に熱分解を起こすおそれがあり、また、得られるスチレン系樹脂粒子発泡体の耐熱性や熱安定性が不十分になるおそれがある。一方、重量平均分子量が大きすぎる場合には、発泡性スチレン系樹脂粒子が造粒時の残留歪みの影響により扁平化するおそれがある。また、扁平化した発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子は型内成形時の金型への充填性や、発泡性、成形性が低下するおそれがある。前記重量平均分子量は、15,000〜60,000が好ましく、より好ましくは20,000〜50,000であり、更に好ましくは、20,000〜40,000である。
尚、上記重量平均分子量は、スチレン系樹脂(A)の重量平均分子量を測定する場合と同様に、臭素化エポキシ樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法により測定し、標準ポリスチレンで校正した値である。
前記臭素化エポキシ樹脂(C)のエポキシ当量は、20,000g/eq以上であることが好ましい。エポキシ当量が20,000g/eq以上であれば、発泡性スチレン系樹脂粒子が更に扁平化することなく、前記発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子の成形時の金型への充填性が良好となり、成形加工性がより良好となる。エポキシ当量が低すぎる場合には、発泡性樹脂粒子の製造時、押出機内で溶融混練する際に、臭素化エポキシ樹脂の末端エポキシ基とポリフェニレンエーテル樹脂の末端フェノール基が結合して高分子量のポリマーが生成し、樹脂粘度が上昇して残留歪みが大きくなるため、発泡性樹脂粒子の扁平化が起きやすくなると推定される。前記エポキシ当量は、30,000g/eq以上であることが更に好ましい。また、前記エポキシ当量の上限は、扁平化防止の観点からは特に制限されるものではないが、概ね100,000g/eqである。
尚、エポキシ当量(g/eq)は1当量のエポキシ基を含む臭素化エポキシ樹脂の質量を表し、臭素化エポキシ樹脂の末端エポキシ基が少なくなるほどエポキシ当量は大きくなる。エポキシ当量は、臭素化エポキシ樹脂の末端エポキシ基をフェノール類、アルコール類、カルボン酸類、アミン類などを用いて封止処理することにより調整することができる。
本発明の臭素化エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236(2001)に準拠して、過塩素酸−臭化テトラエチルアンモニウム滴定法により測定することができる。具体的には50ミリリットル(mL)三角フラスコ中に臭素化エポキシ樹脂約1gを、秤量精度0.1mgまで秤量し、クロロホルム20mLを加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌して溶解させる。この溶液に、酢酸2mL、臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液1mL(臭化テトラエチルアンモニウム25gを酢酸100mLに溶解させた溶液)、及び、クリスタルバイオレット指示薬溶液(クリスタルバイオレット1mgを酢酸10mLに溶解させた溶液)を2〜3滴加え、市販の0.1mol/L過塩素酸酢酸標準溶液で滴定し、滴定の終点を緑色に着色し始める時点として、次式によりエポキシ当量を計算して求めたものである。
エポキシ当量=(1000×m)/[(V−V)×(1−(t−t)/1000)×c]
上記式中の記号は、下記の通りである。
m;試料の質量(g)
;空試験における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
;試料測定における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
t;試験及び空試験時の過塩素酸酢酸溶液の温度(℃)
;標定時の過塩素酸酢酸溶液の温度(℃)
c;過塩素酸酢酸溶液の濃度(通常は0.1mol/L)
本発明の発泡性樹脂粒子を構成する樹脂組成物中の臭素化エポキシ樹脂(C)の含有量は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して10〜30重量部である。前記含有量が少なすぎる場合には、前記発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子成形体の自己消火性が不十分となるおそれがある。一方、前記含有量が多すぎる場合には、強度などの物性が不十分になるおそれがあり、製造コストが高くなり工業的メリットが得られない。
(4)酸化アンチモン(D)
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を構成する樹脂組成物は、難燃助剤として、三酸化アンチモンや五酸化アンチモンなどの酸化アンチモン(D)を含有する。酸化アンチモン(D)の発泡性樹脂粒子を構成する樹脂組成物中の含有量は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して1〜15重量部である。
前記酸化アンチモン(D)が少なすぎる場合には、前記発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる発泡粒子成形体の自己消火性が不十分になるおそれがある。一方、酸化アンチモン(D)が多すぎる場合には、無機成分が多くなることから、発泡性や成形加工性が低下し、高い発泡倍率の発泡粒子成形体を得ることが可能な発泡性樹脂粒子が得られなくなるおそれがある。
本発明においては、特定量の臭素化エポキシ樹脂(C)と酸化アンチモン(D)が併用されることにより、特に、高い自己消火性を有するものとなる。
(5)他のポリマー成分
本発明の発泡性樹脂粒子を構成する樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で他のポリマー成分を押出機等の混練手段により含有させることができる。
前記の他のポリマー成分としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのポリエチレン系樹脂、或いはスチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピレン−1−ブテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴムなどのゴム、スチレン−ジエンブロック共重合体やスチレン−ジエンブロック共重合体の水添物などのスチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
これらの樹脂、ゴム、或いはエラストマーは2種以上を組合せて用いることもできる。上記他のポリマー成分の含有量は合計で、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して20重量部以下、更に10重量部以下とすることが好ましい。
(6)添加剤
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を構成する樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンワックス、タルク、シリカ、エチレンビスステアリルアミド、メタクリル酸メチル系共重合体、シリコーンなどの気泡核剤、流動パラフィン、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの可塑剤、アルキルジエタノールアミン、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸ナトリウムなどの帯電防止剤、フェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、導電性カーボンブラック、黒鉛粉、アルミニウム粉、銅亜鉛合金粉、銅粉、銀粉、金粉などの導電性フィラー、IPBC、TBZ、BCM、TPNなどの有機系抗菌剤、銀系、銅系、亜鉛系、酸化チタン系などの無機系抗菌剤などの添加剤を添加しても良い。
尚、本発明の効果を損なわない範囲内で他の難燃剤や難燃助剤として、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲンリン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、膨張性黒鉛、赤リンなどの無機系難燃剤などを添加することができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を添加することもできる。
(7)発泡剤
前記スチレン系樹脂粒子に含浸される発泡剤としては、沸点が90℃以下の有機物理発泡剤であることが好ましい。前記発泡剤としては、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素化合物、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物などである。上記沸点が90℃以下の有機物理発泡剤を1種類あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
前記発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡剤の含有量は、発泡性スチレン系樹脂粒子中に好ましくは3〜15重量%、より好ましくは5〜12重量%である。発泡剤の含有量が上記範囲内であれば、所望の発泡倍率を得ることが可能となり、特に、高発泡倍率の成形体を得ることが可能となる。また、前記発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子のセルサイズが粗大になることなく、発泡性や成形加工性が良好となる。
〔2〕発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法
(1)スチレン系樹脂粒子の製造
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)15〜50重量部、重量平均分子量が10,000〜80,000である臭素化エポキシ樹脂(C)10〜30重量部、及び酸化アンチモン(D)1〜15重量部とを配合して得られる樹脂組成物を、押出機で250〜300℃の温度で溶融混練させ、得られた溶融物を押出機先端に付設された口金の小孔より押出し、ストランドカット、ホットカット、水中カットなどによりペレットにしたり、あるいは粉砕機により粉砕して得ることができる。樹脂粒子の1個当りの重量は0.5〜5mgであることが好ましい。
(2)発泡性スチレン系樹脂粒子の製造
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造は、前記スチレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水性懸濁液中に分散させて、発泡剤を含浸させることを特徴とする。
すなわち、圧力容器などの密閉容器に前記スチレン系樹脂粒子と水性媒体を入れ、水性媒体中に前記スチレン系樹脂粒子を懸濁させて、密閉した後、密閉容器内に発泡剤を添加し、前記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。発泡剤を含浸後、室温付近まで冷却して、密閉容器から内容物を取り出し、水洗、脱水し、気流乾燥機などにより表面水分を乾燥させることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることができる。
スチレン系樹脂粒子を水性媒体に懸濁させる場合、前記スチレン系樹脂粒子同士の凝結を防ぐため、懸濁剤を用いることが好ましい。懸濁剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの親水性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩などを用いることができ、必要に応じて界面活性剤を併用しても良い。難水溶性無機塩を使用する場合は、アルキルスルホン酸ナトリウムやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤を併用することが好ましい。
懸濁剤の使用量は、スチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましい。前記の難水溶性無機塩とアニオン系界面活性剤とを併用する場合は、スチレン系樹脂粒子100重量部に対して、難水溶性無機塩を0.05〜3重量部、アニオン系界面活性剤を0.0001〜0.5重量部用いることが好ましい。
また、水性媒体中には、必要に応じて、0.01〜0.2mol/Lの電解質を含有させても良い。電解質としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の水に可溶な無機塩類、あるいは酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム等の水に可溶なカルボン酸のアルカリ金属塩等があげられる。
尚、本発明では、前記スチレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水性懸濁液中に分散させ、発泡剤を含浸させるので、揮発性芳香族炭化水素を添加しなくても、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造することができる。
前記発泡性スチレン系樹脂粒子中の揮発性芳香族炭化水素の残存量は、好ましくは0.2重量%以下である。揮発性芳香族炭化水素の残存量を0.2重量%以下とすることにより、前記発泡性樹脂粒子から得られる発泡粒子成形体の揮発性芳香族炭化水素の放出量を減らすことができ、化学物質過敏症やシックハウス症候群に対応した発泡粒子成形体を得ることが可能となる。前記揮発性芳香族炭化水素の残存量は、0.1重量%以下であることがより好ましい。
ここで、揮発性芳香族炭化水素の残存量は、スチレン、トルエン、ベンゼン、m−キシレン、p−キシレン、o−キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼンそれぞれの含有量を合計した値で、前記発泡性スチレン系樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解させ、ガスクロマトグラフ法により求めた値である。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の長径と短径の比は、1.0〜2.5であることが好ましい。尚、上記範囲内であれば、発泡性スチレン系樹脂から得られる発泡粒子の、金型への充填性が良好となり、成形性が向上する。前記長径と短径の比は、より好ましくは1.0〜2.0であり、更に好ましくは1.0〜1.3である。
前記長径と短径の比は、スチレン系樹脂粒子を溶融混練する際に、臭素化エポキシ樹脂の重量平均分子量が大きすぎて造粒時の残留歪みが大きくなる場合や、臭素化エポキシ樹脂の末端エポキシ基とポリフェニレンエーテル樹脂の末端フェノール基が結合して高分子量のポリマーが生成し、樹脂粘度が上昇して残留歪みが大きくなることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子が扁平化してしまうと推測される。
スチレン系樹脂粒子に含浸させる発泡剤としては、上述した発泡性スチレン系樹脂粒子に含有される発泡剤と同様である。
尚、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の大きさは、平均粒子径が0.3〜2mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5mmである。平均粒子径が小さすぎると発泡効率が低下しやすく、一方、大きすぎると得られる発泡粒子が大きくなって型内成形の際、型内への充填性が低下しやすくなる。なお、発泡性スチレン系樹脂粒子は、10個以上の発泡性樹脂粒子各々の最大外形寸法をノギスにて測定し、測定された値の算術平均値を発泡性スチレン系樹脂粒子の平均粒子径とする。
〔3〕スチレン系樹脂発泡粒子
本発明のスチレン系樹脂発泡粒子は、既知の方法により、前記発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱発泡(予備発泡)させて得られる発泡粒子である。
例えば、具体的には、発泡性スチレン系樹脂粒子を、予備発泡機(撹拌装置を有し、内部にスチームを吹き込んで加熱することが可能な円筒容器)に投入し、加熱することによって、発泡性樹脂粒子を発泡(予備発泡)させ、発泡粒子を得ることができる。
上記のように得られた発泡粒子の嵩密度は、15〜200kg/m 、更には15〜100kg/mであることが好ましい。発泡粒子の嵩密度は、目的とする発泡粒子成形体の見掛け密度および型内成形条件に応じて、発泡剤含有量や予備発泡温度などを調整することにより、適宜選択される。また、発泡粒子成形体の見掛け密度は該成形体の用途、目的物性に応じて適宜選択される。発泡粒子成形体の見かけ密度が低すぎると強度が不足し、逆に該見かけ密度が高すぎると軽量性、緩衝性、断熱性などの発泡体特有の物性が十分発揮することが難しくなると共に不経済である。
発泡粒子の嵩密度(kg/m)は、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて1日放置した発泡粒子を、容量が1000cmのメスシリンダーに嵩体積が1000cmになるように1000cmの標線まで充填し、メスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W1(g)を小数点第一位まで秤量し、嵩体積1000cm当たりの発泡粒子群の重量W1(g)を単位換算する(W1/1000×1000)ことにより求められる。
〔4〕スチレン系樹脂発泡粒子成形体
本発明のスチレン系樹脂発泡粒子成形体は、前記スチレン系樹脂発泡粒子を型内成形して得られる発泡粒子成形体である。
具体的には、前記スチレン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、加熱発泡させて、スチレン系樹脂発泡粒子同士を融着させて、発泡粒子成形体とした。このようにして、得られた発泡粒子成形体の見掛け密度は、15〜200kg/mであることが好ましい。密度が低いと強度が不足し、逆に密度が高いと発泡成形体が有する断熱性や軽量性が得られなくなるおそれがある。前記発泡成形体の見掛け密度は、15〜100kg/mであることが好ましい。
発泡粒子成形体の見かけ密度(kg/m)は、前記発泡粒子成形体の重量を前記発泡成形体の体積で除することにより求められる。例えば、発泡粒子成形体の外形寸法から求められる体積VM(cm)にて発泡粒子成形体重量WM(g)を割り算して単位換算する(WM/VM× 1000)ことにより求められる。
以下に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(1)発泡性樹脂粒子の製造
表2に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)70重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))30重量部、臭素化エポキシ樹脂と酸化アンチモンのコンパウンド(臭素化エポキシ樹脂 阪本薬品工業(株)製、商品名:SR−T7040、(臭素化エポキシ樹脂60重量%/三酸化アンチモン20重量%/スチレン樹脂20重量%のコンパウンド品))30重量部を混合し、φ30mm押出機(シリンダ温度280〜290℃)にて溶融混練して、溶融状態の樹脂組成物とした。この溶融樹脂組成物を押出機に付設したφ2.0mmの小孔よりストランド状に押し出し、次いでこのストランドを約25℃の水槽に導入し、急冷固化させ、ペレタイザーにより切断して、約1.5mgの円柱状のスチレン系樹脂粒子を得た。
次に撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブ内で、脱イオン水900gにピロリン酸ナトリウム4gを溶解させ、さらに無水硫酸マグネシウム8gを投入してピロリン酸マグネシウムを合成した後、界面活性剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.45g、前記スチレン系樹脂粒子600gを投入してオートクレーブを密閉した。
次いで、350rpmで撹拌しながら、昇温を開始し、1時間半かけて120℃まで昇温した。120℃到達時に発泡剤としてペンタン(n−ペンタン80%とイソペンタン20%の混合物)90gを60分かけオートクレーブ内に圧入した。120℃到達後から10時間、120℃で保持した後、30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、水洗後、遠心分離機で脱水し、流動乾燥装置で表面に付着した水分を除去することにより、平均粒子径が1.5mmの略球状の粒子を得た。得られた粒子100重量部に対して、帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.005重量部を添加し、さらにステアリン酸亜鉛0.06重量部とグリセリンモノステアレート0.02重量部の混合物で被覆して、発泡剤が含浸された発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
(2)発泡粒子、発泡粒子成形体
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を6℃で1日熟成後、前記発泡性スチレン系樹脂粒子500gを容積が45Lの加圧バッチ発泡機に投入し、発泡機内の水蒸気圧力がゲージ圧で0.03MPaになるようにスチームを供給し、60秒間加熱した後、発泡機内で60秒間エア乾燥させて、かさ密度が30kg/mの発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子を室温で1日熟成後、型物成形機(ダイセン工業(株)製、型式:VS300)の金型に充填し、ゲージ圧0.15MPaのスチームで20秒間加熱し、水冷10秒間と真空放冷60秒間冷却後、金型から取り出し、縦300mm×横200mm×厚さ25mmの平板形状の発泡粒子成形体を得た。60℃で1日養生後、各種評価に用いた。
[実施例2]
表2に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)70重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))30重量部、臭素化エポキシ樹脂と酸化アンチモンのコンパウンド(臭素化エポキシ樹脂 阪本薬品工業(株)製、商品名:SR−T7040、(臭素化エポキシ樹脂60重量%/三酸化アンチモン20重量%/スチレン樹脂20重量%のコンパウンド品))40重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
[実施例3]
表2に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)70重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))30重量部、臭素化エポキシ樹脂と酸化アンチモンのコンパウンド(臭素化エポキシ樹脂 阪本薬品工業(株)製、商品名:SR−T7040、(臭素化エポキシ樹脂60重量%/三酸化アンチモン20重量%/スチレン樹脂20重量%のコンパウンド品))20重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
[実施例4]
表2に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)65重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))35重量部、臭素化エポキシ樹脂と酸化アンチモンのコンパウンド(臭素化エポキシ樹脂 阪本薬品工業(株)製、商品名:SR−T7040、(臭素化エポキシ樹脂60重量%/三酸化アンチモン20重量%/スチレン樹脂20重量%のコンパウンド品))30重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
[実施例5]
表2に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)70重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))30重量部、臭素化エポキシ樹脂と酸化アンチモンのコンパウンド(臭素化エポキシ樹脂 阪本薬品工業(株)製、商品名:SR−T5000、(60重量%/三酸化アンチモン20重量%/スチレン樹脂20重量%のコンパウンド品))30重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
[実施例6]
表2に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)70重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))30重量部、臭素化エポキシ樹脂と酸化アンチモンのコンパウンド(臭素化エポキシ樹脂 坂本薬品工業(株)製、SR−T20000、(臭素化エポキシ樹脂60重量%/三酸化アンチモン20重量%/スチレン樹脂20重量%のコンパウンド品)30重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
[比較例1]
表3に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)70重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))30重量部、臭素化エポキシ樹脂と酸化アンチモンのコンパウンド(臭素化エポキシ樹脂 坂本薬品工業(株)製、商品名:SR−T7040、(臭素化エポキシ樹脂60重量%/三酸化アンチモン20重量%/スチレン樹脂20重量%のコンパウンド品))12重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
比較例1では、難燃剤として臭素化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンを用いたが、スチレン系樹脂100重量部に対する臭素化エポキシ樹脂の配合量が10重量部未満と少なかったため、自己消火性が発現しなかった。
[比較例2]
表3に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)80重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品)20重量部、難燃剤として臭素化エポキシ樹脂(臭素化エポキシ樹脂 坂本薬品工業(株)製、商品名:SR−T7040)20重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
比較例2では、難燃剤として臭素化エポキシ樹脂を用いたが、三酸化アンチモンは添加しなかった。
三酸化アンチモンを配合しなかったので、自己消火性が発現しなかった。
[比較例3]
表3に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)20重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))80重量部、難燃剤としてトリフェニルホスフェート20重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
比較例3では、臭素化エポキシ樹脂の代わりに難燃剤としてトリフェニルホスフェートを用いた。
トリフェニルホスフェートを用いる場合には大量に配合しなければ、自己消火性が発現しないことが分かる。また、トリフェニルホスフェートは可塑剤としても作用し、得られる発泡粒子成形体の耐熱性が低下するため、耐熱性と自己消火性を両立させることが困難であった。
[比較例4]
表3に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)25重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))25重量部、難燃剤として芳香族縮合リン酸エステル(大八化学(株)製、商品名:PX−200、(芳香族縮合リン酸エステル20重量%/NORYL PKN4752 80重量%のコンパウンド品))50重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
比較例4では、臭素化エポキシ樹脂の代わりに難燃剤としてリン酸エステルを用いた。リン酸エステルを用いた場合、リン酸エステルを大量に配合しなければ、自己消火性が発現しないことが分かる。また、リン酸エステルは可塑剤としても作用し、得られる発泡粒子成形体の耐熱性が低下するため、耐熱性と自己消火性を両立させることが困難であった。
[比較例5]
表3に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:680、重量平均分子量170,000)80重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品))20重量部、臭素化ポリスチレンと酸化アンチモンのコンパウンド(鈴裕化学社製、商品名:PC−80G、三酸化アンチモン20%配合品)10重量部を混合し、実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を得た。
上記、スチレン系樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様に、発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
比較例5では、難燃剤として臭素化ポリスチレンを添加した。金型内に発泡粒子を充填し、スチーム加熱して型内成形したが、著しく収縮し、発泡粒子成形品を得ることができなかった。この原因は臭素化ポリスチレンを配合した場合、得られる発泡粒子の独立気泡率が56%まで低下し、成形に必要な2次発泡力が不足したためと考えられる。
[比較例6]
表3に示す樹脂組成になるように、スチレン系樹脂(PSジャパン(株)製、680、重量平均分子量170,000)80重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂のコンパウンド(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製、商品名:NORYL PKN4752、(ポリフェニレンエーテル樹脂70重量%/ポリスチレン30重量%のコンパウンド品)20重量部、難燃剤として低分子量の臭素化エポキシ化合物である2,2−ビス(4−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(鈴裕化学社製、商品名:ヒロマスター680MB−75、三酸化アンチモン25重量%配合品)5重量部を混合した。この混合物をφ30mm押出機(シリンダ温度280〜290℃)にて溶融混練した後、φ2.0mmの小孔よりストランド状に押し出したが、ストランドが途中で切れて、スチレン系樹脂粒子を得ることができなかった。
比較例6では、臭素化エポキシ樹脂の代わりに難燃剤として、低分子量の2,2−ビス(4−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパンを用いたが、熱安定性に乏しいため、スチレン系樹脂粒子を製造することが困難であった。
前記実施例、比較例で用いた臭素化エポキシ樹脂の物性を表1に示す。
Figure 0005172811
実施例、比較例における樹脂組成物の組成、発泡剤含有量、揮発性芳香族炭化水素類の含有量、発泡性樹脂粒子の長径/短径比、発泡粒子成形体の加熱寸法変化率、燃焼試験結果をまとめて表2、表3に示す。
Figure 0005172811
Figure 0005172811
(評価方法)
上記で得られた発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡剤の含有量、長径/短径比、揮発性芳香族炭化水素類の含有量、及び得られた発泡粒子成形体の加熱寸法変化率、燃焼試験は以下の方法で評価した。
(1)揮発性芳香族炭化水素類の残存量
本発明において、発泡性樹脂粒子中の上記揮発性芳香族炭化水素各々の成分の残存量は、発泡性樹脂粒子の試料をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させガスクロマトグラフにより定量することができる。
発泡性スチレン系樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解させ、ガスクロマトグラフィーにて、スチレン、トルエン、ベンゼン、m−キシレン、p−キシレン、o−キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼンそれぞれの残存量を測定し、各成分の残存量を合計して求めた。
尚、上記揮発性芳香族炭化水素の残存量は、揮発分であるため経時変化する。従って、本発明の発泡性樹脂粒子においては発泡機にて発泡させる直前の発泡性樹脂粒子中の揮発性芳香族炭化水素成分の残存量である。
ガスクロマトグラフによる定量は具体的には以下の手順にて行った。
〈1〉100mLのメスフラスコにシクロペンタノール約5gを小数点以下第3位まで精秤し(このときの重量をWiとする)、DMFを加えて全体を100mLとした。このDMF溶液をさらにDMFで100倍に希釈し内部標準溶液とした。
〈2〉測定対象となる発泡性樹脂粒子から、測定用試料約1gを小数点以下第3位まで精秤し、このときの重量をWS(g)とした。
〈3〉精秤した試料を約18mLのDMFに溶解させ、前記1で作製した内部標準溶液をホールピペットにて正確に2mL加えた。
〈4〉この溶液をマイクロシリンジにて1μL採集し、ガスクロマトグラフに導入し、クロマトグラムを得た。
得られたクロマトグラムより各芳香族炭化水素成分及び内部標準のピーク面積を求め、下式により各成分濃度を求めた。
各成分濃度(重量%)=[(Wi/10000)×2]×[An/Ai]×Fn÷WS×100
(但し、Wi:内部標準溶液を作成したときのシクロペンタノール重量(g)、WS:DMFに溶解させた試料重量(g)、An:ガスクロマトグラフ測定時の各芳香族炭化水素のピーク面積、Ai:ガスクロマトグラフ測定時の内部標準物質のピーク面積、Fn:あらかじめ作成した検量線より求めた各芳香族炭化水素成分の補正係数。)
また、上記ガスクロマトグラフ分析の条件は以下の通りとした。
使用機器 :(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC−6AM
カラム材質 :内径3mm、長さ5000mmのガラスカラム
カラム充填剤:〔液相名〕FFAP(遊離脂肪酸)、〔液相含浸率〕10重量%、〔担体名〕ガスクロマトグラフ用珪藻土Chromosorb W、〔担体粒度〕60/80メッシュ、〔担体処理方法〕AW−DMCS(水洗・焼成・酸処理・シラン処理)、〔充填量〕90mL
注入口温度 :250℃
カラム温度 :120℃
検出部温度 :250℃
キャリヤーガス:N、流量40m/min.
検出器 :FID(水素炎イオン化検出器)
検出限界 :20重量ppm
尚、本発明において、揮発性芳香族炭化水素の各成分の発泡性樹脂粒子または発泡粒子成形体中の残存量が、上記検出限界を下回る場合は、その成分の残存量は0重量%とみなした。
(2)発泡剤の含有量
発泡性スチレン系樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解させ、上記(1)におけるガスクロマトグラフによる測定と同様にして、添加した発泡剤(実施例1の場合、n−ペンタン、i−ペンタン)それぞれの含有量を測定し、各成分の含有量を合計して求めた。
(3)発泡性樹脂粒子の長径/短径比
任意に採取した発泡性スチレン系樹脂粒子10個について、発泡性スチレン系樹脂粒子の外形寸法の最大値を長径として、最小値を短径として、ノギスにより0.1mmまで計測し、長径/短径比を計算し、求めた長径/短径比を算術平均して求めた。
(4)発泡粒子の成形性評価
発泡粒子の型内成形性において、下記の基準で評価した。
◎:発泡粒子成形体表面が平滑で、発泡粒子間の間隙が少ない。
○:発泡粒子の型内への充填性が低下する傾向にあり、発泡粒子間の間隙が見られる。
×:成形不可
(5)加熱寸法変化率
試験温度を95℃、100℃、105℃に変更した以外は、JIS K 6767の高温時の寸法安定性(B法)に準拠して加熱寸法変化率を測定した。上記、加熱寸法変化率は、発泡粒子成形体の耐熱性を示すものであり、加熱寸法変化率の値の絶対値が小さいほど、優れた耐熱性を示す。
具体的には、発泡粒子成形体を切断して、縦150mm×横150mm×厚さ25mmの試験片を作製し、縦及び横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるように記入し、記入した線の長さを測定し、その平均値を求め、加熱前の寸法とした。試験温度を95℃,100℃、及び105℃に調整したそれぞれの熱風循環式乾燥機内に試験片を水平になるように入れ、22時間保持した後、取り出して23℃の恒温室内で1時間放置し、加熱前と同様に寸法を求め、これを加熱後の寸法として、次式により加熱寸法変化率を求めた。
加熱寸法変化率(%)=(l−l)/l×100
ここで、l:加熱前の寸法(mm)、l:加熱後の寸法(mm)である。
(6)燃焼試験(自己消火性)
本発明において、自己消火性とはJIS A 9511(2006)の燃焼試験(A法)に合格することをいう。具体的には、発泡粒子成形体を成形後40℃で24時間の養生を行った後、成形体から厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片5個を切り出し、着火限界指示線および燃焼限界指示線を付ける。約45度の角度で火源用ろうそくを試験片の端に立て、約5秒間かけて着火限界指示線まで着火させた後、ろうそくをすばやく後退させ、その瞬間から炎が消えるまでの時間を計測した。試験片5個の消炎時間の平均が3秒以内であり、且つ残塵がなく、燃焼限界線を越えて燃焼が継続しない場合に自己消火性を有するとした。

Claims (4)

  1. スチレン系樹脂(A)、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)、重量平均分子量が10,000〜80,000である臭素化エポキシ樹脂(C)、及び酸化アンチモン(D)を含む樹脂組成物からなる、発泡剤が含浸された発泡性スチレン系樹脂粒子であって、前記樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)15〜50重量部と、臭素化エポキシ樹脂(C)10〜30重量部と、酸化アンチモン(D)1〜15重量部とを含有していることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. 前記臭素化エポキシ樹脂(C)のエポキシ当量が20,000g/eq以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させて得られたスチレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなることを特徴とするスチレン系樹脂発泡粒子成形体。
  4. スチレン系樹脂(A)と、該スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)10〜50重量部と、重量平均分子量が10,000〜80,000である臭素化エポキシ樹脂(C)10〜30重量部と、酸化アンチモン(D)1〜15重量部とを配合して得られる樹脂組成物を、押出機内で溶融混練して押出した後、切断してスチレン系樹脂粒子を得、該スチレン系樹脂粒子を密閉容器内にて水性懸濁液中に分散させ、前記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
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