JP5169413B2 - アンテナの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アンテナにより外部無線情報を受信可能なアンテナ内蔵式電子時計、およびアンテナ内蔵式電子時計に内蔵されるアンテナの製造方法に関する。
従来、外部から時刻情報を有する外部無線情報をアンテナにて受信し、時刻修正などの処理を実施する電波修正時計などのアンテナ内蔵式電子時計が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載のものは、内部に電波を受信するアンテナを備えた時計である。
この時計におけるアンテナは、コアケースにコアを収納し、その上からコイルが巻装される構成が採られている。
また、コアケースが設けられず、コアに直接コイルが巻装される構成も挙げられている。
特開2007−184894号公報
ところで、上記特許文献1に示されるような従来のアンテナでは、コアケースにコアを収納した上でコアケースにコイルが巻装される。このような構成では、コアとコイルとの間にコアケースが介在するため、コアとコイルとの距離がコアケースの厚み分だけ離れてしまい、アンテナ特性が悪化するという問題がある。また、コアケースが設けられず、コアに直接コイルが巻装される例も示されているが、アンテナをモジュール内に組み込む際に、コアケースがないため、アンテナの固定が困難であるという問題がある。また、コアのリード部を直接モジュールに取り付けるなどすることも考えられるが、この場合では、衝撃によりコアが破損されやすく、耐久面で悪影響が出るという問題もある。
本発明は、上記のような問題に鑑みて、良好なアンテナ特性が得られるアンテナ内蔵式電子時計、およびアンテナの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のアンテナ内蔵式電子時計は、磁性材料により形成される長手状の磁性体コア、この磁性体コアに巻装されるコイル、および前記磁性体コアを保持するアンテナ枠を有するとともに、外部無線情報を受信するアンテナと、このアンテナを内部に収納するモジュールと、を備えたアンテナ内蔵式電子時計であって、
前記磁性体コアは、長手方向における中央部に設けられる前記コイルが巻装されるコイル巻部と、このコイル巻部の両端側に突出する一対のリード部とを備え、
前記アンテナ枠は、前記磁性体コアの一対の前記リード部に対応した一対のリード保持部を備え、前記コイル巻部には、アンテナ枠が介在せず、一対の前記リード部のみが一対の前記リード保持部により保持されることを特徴とする。
この発明によれば、磁性体コアのコイル巻部には、アンテナ枠が配置されず、直接コイルが巻装されるため、磁性体コアとコイルとの間の隙間がない、または隙間寸法が小さく設定され、アンテナ特性を良好にできる。また、磁性体コアの両端部に設けられるリード部がアンテナ枠により保持されているため、このアンテナ枠をモジュールに組み込むことによりアンテナの組み込みが容易に実施できる。また、時計に衝撃が加わった際、この衝撃をアンテナ枠で受けることができるため、磁性体コアへの衝撃を緩和することができ、磁性体コアの破損を防止することができる。
また、本発明のアンテナ内蔵式電子時計では、一対の前記リード保持部は、それぞれ前記モジュールに取り付けられる固定部を備え、これらの固定部をモジュールに固定することで前記アンテナをモジュールに固定することが好ましい。
この発明によれば、アンテナ枠の固定部をモジュールに固定することでアンテナをモジュールへ固定する。ここで、固定部としては、例えばモジュールの所定位置にねじ止め可能なねじ孔が設けられる構成としてもよく、ピン部材などを設け、モジュールに係合させることでアンテナを固定する構成などとしてもよい。このような固定部を設けることで、容易にアンテナのモジュールへの組み込みが実施でき、時計組み立て作業における作業効率を向上させることができる。
さらに、本発明のアンテナ内蔵式電子時計では、前記磁性体コアは、複数の磁性箔材が積層されて形成され、前記コイル巻部には、周面に被覆部材により被覆部が形成されるとともに、この被覆部の周面上に前記コイルが巻装されることが好ましい。
この発明によれば、コイル巻部の周面に被覆部材により被覆部が形成され、この被覆部の上からコイルが巻装される。したがって、コイル巻部において、積層される磁性箔材が被覆部により押えられるため、各磁性箔材間が密着され、隙間が生じない。したがって、磁性箔材間に隙間が生じることによる反磁性の影響を無くすことができ、アンテナ特性の低下を抑えることができる。
そして、本発明のアンテナ内蔵式電子時計における前記アンテナの製造方法は、磁性材料により形成される長手状の磁性体コア、この磁性体コアに巻装されるコイル、および前記磁性体コアを保持するアンテナ枠を有するとともに、外部無線情報を受信するアンテナと、このアンテナを内部に収納するモジュールと、を備えたアンテナ内蔵式電子時計におけるアンテナの製造方法であって、前記磁性体コアは、長手方向における中央部に設けられる前記コイルが巻装されるコイル巻部と、このコイル巻部の両端側に突出する一対のリード部とを備え、前記アンテナ枠は、前記磁性体コアの一対の前記リード部に対応した一対のリード保持部、およびこれらのリード保持部を連結するリード連結部材を備え、前記リード連結部材により連結された一対のリード保持部に前記磁性体コアの一対のリード部を配置して固定し、前記磁性体コアが前記リード保持部に固定された状態で、前記リード連結部材を一対の前記リード保持部から切断することを特徴とする。
この発明によれば、アンテナ枠は、一対のリード保持部を連結するリード連結部材を有している。そして、リード保持部間に磁性体コアを配置して固定した後、リード連結部材を切断する。これにより、一対のリード保持部の位置関係がリード連結部材に規制された状態で、磁性体コアおよびコイルが設置される。ここで、リード連結部材は、モジュールの所定位置にアンテナを正確に設置可能となるように、一対にリード保持部を連結してその位置関係を保持する。また、磁性体コアがリード保持部に保持された後、接着などにより固定されるため、リード連結部材を切断したとしても、これらリード保持部の位置関係が保持される。したがって、モジュールにアンテナを組み込む際に、例えば一対のリード保持部のうちの一方が、モジュール内の所定固定位置からずれた位置に配置されるなどの不都合がなく、これらのリード保持部をモジュール内の所定固定位置に容易に固定することができる。
また、本発明のアンテナ内蔵式電子時計における前記アンテナの製造方法は、磁性材料により形成される長手状の磁性体コア、この磁性体コアに巻装されるコイル、および前記磁性体コアを保持するアンテナ枠を有するとともに、外部無線情報を受信するアンテナと、このアンテナを内部に収納するモジュールと、を備えたアンテナ内蔵式電子時計におけるアンテナの製造方法であって、前記磁性体コアは、長手方向における中央部に設けられる前記コイルが巻装されるコイル巻部と、このコイル巻部の両端側に突出する一対のリード部とを備え、前記アンテナ枠は、前記磁性体コアの一対の前記リード部に対応した一対のリード保持部を備え、前記アンテナ枠の一対の前記リード保持部を、所定間隔で開けて位置決めし、これらの前記リード保持部間に、前記コイル巻部を位置決めするコイル位置決め部を配置し、前記コイル位置決め部により前記磁性体コアの前記コイル巻部を位置決めするとともに、一対の前記リード保持部に前記リード部を配置して、これらの前記リード保持部に前記リード部を固定する方法であってもよい。
この発明によれば、一対のリード保持部、およびコイル位置決め部によるコイル巻部の位置を決定して位置決めする。そして、このリード保持部間に、コイル巻部がコイル位置決め部により位置決めする所定位置に配置される状態に、磁性体コアを配置し、リード保持部にリード保持部を固定する。これにより、上記発明と同様に、一対のリード保持部をモジュールに対応して正確な位置関係に保持することができる。したがって、容易にモジュールにアンテナを取り付けることができる。
[第一の実施の形態]
以下、本発明に係る第一の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態に係るアンテナ内蔵式電子時計としての電波修正時計の正面図である。
図1において、電波修正時計1は、指針11,12,13および文字板14を備えた指針式時計(アナログ時計)であり、時刻情報を有する外部無線情報としての長波標準電波を受信して、受信した時刻情報に基づいて指針11,12,13を指針位置の修正を実施可能な時計である。
この電波修正時計1は、指針11,12,13と、文字板14と、標準電波を受信するアンテナ21および指針11,12,13の駆動を制御する各種構成が組み込まれたモジュール10(図2参照)と、これらの指針11,12,13、文字板14、モジュール10などを内部に収納する外装ケース100と、を備えている。
〔モジュールの構成〕
電波修正時計1を構成するモジュール10を図2ないし図5に基づいて説明する。
図2は、前記第一の実施の形態の電波修正時計を裏蓋側からみた概略構成を示す平面図である。
図3は、前記第一の実施の形態の電波修正時計の概略構成を示すブロック図である。
図4は、前記第一の実施の形態の電波修正時計の受信回路部の構成を示すブロック図である。
図5は、前記第一の実施の形態の電波修正時計の厚み方向に断面した際の側断面図である。
モジュール10は、平面視円形状で合成樹脂製のモジュール中枠101を有している。このモジュール中枠101(図5参照)の側面には、径方向に向かって外装ケース100の内周面に当接する複数の突出部(図示せず)が形成され、これらの突出部は、外装ケース100の内周面に沿って配置されている。
モジュール中枠101の側面で突出部が形成されていない部分においては、モジュール中枠101の側面の全周にわたって外装ケース100の内周面と突出部の突出寸法分の隙間が形成されている。
そして、モジュール10は、外装ケース100内に収納される際、モジュール中枠101に設けられた各突出部が外装ケース100の内面とそれぞれ当接することで位置が固定される。
また、モジュール10には、受信IC86、CPU87、基準振動子311(図2参照)などが取り付けられた回路基板80(図5参照)、駆動手段4の一部を構成するモータ411,421や輪列などが組み込まれた時計体(ムーブメント)、電力供給手段7を構成する高容量二次電源(二次電池)72などの各構成部材が組み込まれている。さらに、モジュール10には、外装ケース100に近接する位置に電波を受信する前記アンテナ21が組み込まれている。
モジュール10に組み込まれる回路基板80には、図3に示すように、受信した電波を処理する受信手段2と、駆動制御回路部3と、指針を駆動する駆動手段4と、時刻をカウントするカウンタ部6と、が各種回路構成として設けられている。
受信手段2は、電波を受信するアンテナ21と、コンデンサなどで構成されてアンテナ21で受信する電波に同調させる同調回路部22と、アンテナ21で受けた情報を処理する受信回路部23と、受信回路部23で処理された時刻データを記憶する時刻データ記憶回路部24とを備えて構成されている。
同調回路部22は、図4に示されるように、アンテナ21に対して並列に接続された2つのコンデンサ22A,22Bを備えて構成され、一方のコンデンサ22Bはスイッチ22Cを介してアンテナ21に接続されている。
そして、駆動制御回路部3から出力される周波数切替え制御信号により、前記スイッチ22Cをオンまたはオフすることで、アンテナ21で受信する電波の周波数を切り替えるように構成されている。これにより、例えば、日本国内において、送信周波数40kHzのおおたかどや山(東日本)の標準電波出力局と、送信周波数60kHzのはがね山(西日本)の標準電波出力局とから出力されている2種類の周波数の長波標準電波を切り替えて受信することができるように構成されている。
受信回路部23は、図4に示されるように、アンテナ21によって受信された長波標準電波信号を増幅する増幅回路231と、増幅された長波標準電波信号から所望の周波数成分のみを抜き出すバンドパスフィルタ232と、長波標準電波信号を平滑化し復調する復調回路233と、増幅回路231のゲインコントロールを行ない長波標準電波信号の受信レベルが一定になるように制御するAGC(Automatic Gain Control)回路234と、復調された長波標準電波信号をデコードして出力するデコード回路235とを備えて構成されている。
受信回路部23で受信され信号処理された時刻データは、図3に示すように、時刻デー
タ記憶回路部24に出力されて記憶される。
受信回路部23は、予め設定されたスケジュールや外部入力装置8による強制受信操作などによって、駆動制御回路部3から出力される受信制御信号に基づいて時刻情報の受信を開始する。
駆動制御回路部3には、図3に示されるように、パルス合成回路31からのパルス信号が入力される。パルス合成回路31は、水晶振動子などの基準振動子311からの基準パルスを分周してクロックパルスを生成し、また、基準パルスからパルス幅やタイミングの異なるパルス信号を発生させる。なお、この基準振動子311は、CPU87に接続されて、回路のクロック信号となるが、周波数が長波受信周波数に近く、アンテナ21にノイズとして信号が混入する可能性があるため、アンテナ21から離して配置されている。
駆動制御回路部3は、一秒に一回出力され秒針を駆動させる秒駆動パルス信号PS1と、一分間に一回出力され時分針を駆動させる時分駆動パルス信号PS2とを、各秒駆動回路41、時分駆動回路42に出力して、指針の駆動を制御する。すなわち、各駆動回路41,42は、各駆動回路41、42からのパルス信号によって駆動されるステッピングモータからなる秒モータ411,時分モータ421を駆動し、これにより各モータ411,421に接続された秒針と、分針および時針とを駆動する。そして、各指針、文字板、モータ411,421、駆動回路41,42によって時刻を表示する時刻表示手段が構成されている。なお、時刻表示手段としては、1つのモータで、時針、分針、秒針を駆動するものでもよい。
カウンタ部6は、秒をカウントする秒カウンタ回路部61と、時分をカウントする時分カウンタ回路部62とを備えて構成されている。
秒カウンタ回路部61は、秒位置カウンタ611と、秒時刻カウンタ612と、一致検出回路613とを備えて構成されている。秒位置カウンタ611および秒時刻カウンタ612はともに60カウント、つまり1Hzの信号が入力された場合には60秒でループするカウンタである。秒位置カウンタ611は、駆動制御回路部3から秒駆動回路41に供給される駆動パルス信号(秒駆動パルス信号PS1)をカウントしている。つまり、秒針を駆動させる駆動パルス信号をカウントすることによって、秒針が示している秒針の位置をカウントしている。
秒時刻カウンタ612は、通常は、駆動制御回路部3から出力される1Hzの基準パルス信号(クロックパルス)をカウントする。また、受信手段2で時刻データを受信した場合には、この時刻データのうちの秒データに合わせてカウンタ値が修正される。
同様に、時分カウンタ回路部62は、時分位置カウンタ621と、時分時刻カウンタ622と、一致検出回路623とを備えて構成されている。時分位置カウンタ621および時分時刻カウンタ622はともに24時間分の信号が入力されるとループするカウンタである。時分位置カウンタ621は、駆動制御回路部3から時分駆動回路42に供給される駆動パルス信号(時分駆動パルス信号PS2)をカウントし、時針、分針が示している時分針の位置をカウントしている。
時分時刻カウンタ622は、通常は、駆動制御回路部3から出力される1Hzのクロックパルスをカウントする(正確には1Hzを60回計数したところで1カウントとする)。また、受信手段2で時刻データを受信した場合には、この時刻データのうちの時分データに合わせてカウンタ値が修正される。
各一致検出回路613,623は、各位置カウンタ611,621と各時刻カウンタ612,622とのカウント値の一致を検出し、一致しているか否かを示す検出信号を駆動制御回路部3に出力する。
駆動制御回路部3は、各一致検出回路613,623から不一致信号が入力されると、一致信号が入力されるまで各駆動パルス信号PS1,PS2を出力し続ける。このため、通常運針時は、駆動制御回路部3から1Hzの基準信号によって各時刻カウンタ612,622のカウンタ値が変化して位置カウンタ611,621と不一致となると、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力されて各指針が動くとともに、各位置カウンタ611,621が時刻カウンタ612,622と一致することになり、この動作を繰り返すことで、通常の運針制御が行われる。
また、受信した時刻データで各時刻カウンタ612,622が修正されると、そのカウンタ値に各位置カウンタ611,621のカウンタ値が一致するまで、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力され続け、指針が早送りされて正しい時刻に修正される。
電力供給手段7は、自動巻発電機や太陽電池(ソーラー発電機)などによって構成された発電手段としての発電装置71と、発電装置71で発電された電力を蓄電する高容量二次電源72とを備えて構成されている。高容量二次電源72は、リチウムイオン電池のような二次電池が利用できる。なお、電力供給手段7としては、銀電池などの一次電池を用いてもよい。また、高容量二次電源72は、ステンレス製のケースで構成されており、アンテナ特性への影響を抑えるため、図2に示すように、モジュール10内においてアンテナ21から離れた時計の3時方向の位置に配置されている。
外部入力手段としての外部入力装置8は、リュウズなどを備え、受信動作や時刻合わせなどを行うために利用される。
(アンテナの構成)
図6は、電波修正時計1におけるアンテナ21を拡大した拡大平面図である。図7は、アンテナ21のコイル212が巻装される部分を断面した断面図である。
アンテナ21は、磁性体コア211と、磁性体コア211に巻装されるコイル212と、磁性体コア211を保持するアンテナ枠213と、により構成されている。
このアンテナ21は、図2に示すように、平面形状が外装ケース100の胴部を構成するケーシング110の内周とほぼ同心円の円弧長手状に形成されており、モジュール中枠101の内側面に沿って時計の9時方向の位置に配置されている。
磁性体コア211は、アンテナ21の長手方向に沿って長手状に形成されている。この磁性体コア211は、略中心部にコイル212が巻装されるコイル巻部211Aと、コイル巻部211Aの両端側から延出するリード部211Bとを備えている。
この磁性体コア211は、例えば、磁性箔材としてのコバルト系のアモルファス箔(例;Co50wt%以上のアモルファス箔)を型で打ち抜くか、エッチングで成形したものを10〜30枚程接着して重ね合わせ、焼鈍などの熱処理を行って磁気特性を安定化させたものである。すなわち、磁性体コア211は、平面状のアモルファス箔を時計の厚み方向に積層して構成されている。なお、磁性体コア211としては、積層アモルファス箔に限定されず、フェライトを用いてもよく、この場合には、型などで成形し、熱処理して製造すればよい。
また、磁性体コア211のリード部211Bは、図6に示すように、アンテナ枠213により保持されている。このアンテナ枠213は、一対のリード部211Bに対応した一対のリード保持部214を備えている。これらのリード保持部214は、図6に示すように、磁性体コア211のリード部211Bの形状に対応した保持凹部214Aを備え、この保持凹部214Aにリード部211Bを接着固定することにより磁性体コア211を保持している。具体的には、リード保持部214は、保持凹部214A内に、凹部内壁面から所定の隙間寸法を開けてリード部211Bを配置し、この隙間に接着剤を充填して接着層214Cを形成することでリード部211Bを保持する。
また、リード保持部214の所定位置には、固定部としての固定孔214Bが形成されている。この固定孔214Bは、モジュール10の地板10Aに予め設けられる図示しないアンテナ固定孔に対向する位置にそれぞれ設けられる。そして、例えばねじをこの固定孔214Bおよびアンテナ固定孔に螺合させることで、アンテナ21がモジュール10に組み付けられる。
また、磁性体コア211は、一対のリード部211Bのみがアンテナ枠213により保持される。このコイル巻部211Aには、アンテナ枠213が設けられず、図7に示すように、外周面に沿って、例えば非磁性部材からなる被覆部材としてのテープ部材を巻きつけられた被覆部としてのテーピング部211Cが形成される。このテーピング部211Cは、コイル巻部211Aにおけるアモルファス箔の剥離を防止する。すなわち、磁性体コア211は、上記したように複数のアモルファス箔を積層することで構成されている。このため、アンテナ枠213に保持されないコイル巻部211Aでは、例えば重力や反磁性の影響などにより、これら積層アモルファス箔間が剥離するおそれがあり、テーピング部211Cは、このようなアモルファス箔間の剥離を防止している。
また、テーピング部211Cは、上記に加えて、磁性体コア211とコイル212との絶縁や、コイル巻部211Aの端部によるコイル212の断線防止の機能をも有する。
なお、このテーピング部211Cの厚み寸法は、十分に小さいものであり、テーピング部211Cの厚みによりアンテナ特性が低下することはない。
そして、磁性体コア211のコイル巻部211Aには、テーピング部211C上にコイル212が巻装される。
このコイル212は、長波標準電波(40〜77.5kHz)を受信する場合は、10mH程度のインダクタンス値が必要となる。このため、本実施形態では、コイル212として直径0.1μm程度のウレメット線を数百ターンほど巻いて構成している。
また、アンテナ21と受信IC86とは2本の配線で接続されている。すなわち、コイル212をアンテナ端部から取り出して回路基板80にはんだ付けすることにより、アンテナ21と受信IC86とは電気的に接続されている。これにより、アンテナ21で受信された標準電波が受信手段2に出力可能となる。なお、前記電気的接続は、アンテナ21にポリイミドなどからなるフレキシブル基板を取り付け、この基板を回路基板80にネジ留めすることなどで行ってもよい。
〔外装ケースの構成〕
次に、電波修正時計1の外装ケース100の構成について説明する。
外装ケース100は、図2および図5に示すように、胴部としてのケーシング110と、ケーシング110の表面側に装着された風防ガラス120と、ケーシング110の裏面(下端面)側に着脱可能に取り付けられた金属製の裏蓋140とを備えている。ケーシング110は、例えばステンレス鋼、真鍮、チタンなどの金属材で構成されている。このケーシング110は、略円筒状に形成され、内周面が平面略円形に形成されている。なお、裏蓋140やケーシング110には、アンテナ21で電波を受信することで発生する副磁路による渦電流を防止するための磁性部材が設けられる構成などとしてもよい。
〔アンテナの製造方法〕
次に、上記したアンテナ21の製造方法について説明する。
図8は、磁性体コア211が取り付けられる前のアンテナ枠213の構成を示す平面図である。図9は、図8において、リード保持部214に磁性体コア211を固定した状態を示す図である。図10は、図9において、リード連結部材215を切断した状態を示す図である。図11は、図9において、リード連結部材215を切断する際の、X−X線を断面した断面図である。
アンテナ21の製造では、図8に示すようなアンテナ枠213を用いる。このアンテナ枠213では、一対のリード保持部214がリード連結部材215により連結固定されている。ここで、リード連結部材215は、一対のリード保持部214の双方をモジュール10の地板10Aに載置した際に、地板10Aに設けられる一対のアンテナ固定孔に、リード保持部214の固定孔214Bがそれぞれ対向する状態に、一対のリード保持部214の位置関係を保持した状態でこれらのリード保持部214を連結している。また、リード保持部214とリード連結部材215との連結部には、図11に示すように、切り込み凹部215Aが形成されている。
そして、アンテナ21の製造では、アンテナ枠213に磁性体コア211を組み込む前に、先ず磁性体コア211を形成する。これには、例えば、複数のアモルファス箔を積層し、例えば接着剤が充填された槽内にこの積層アモルファス箔を浸してアモルファス箔の積層間に接着剤を浸透させる。その後、槽から積層アモルファス箔を取り出し、接着剤を固化させて磁性体コア211を形成する。
次に、この磁性体コア211をアンテナ枠213のリード保持部214に保持させる。具体的には、リード保持部214の保持凹部214Aに磁性体コア211のリード部211Bを保持させる。そして、保持凹部214Aと磁性体コア211との隙間に接着剤を充填させて接着層214Cを形成し、リード保持部214にリード部211Bを固定する。この後、図9に示すように、磁性体コア211のコイル巻部211Aにテープ部材を巻き付けてテーピング部211Cを形成し、コイル巻部211Aにおけるアモルファス箔の剥離を防止する。
この後、図11に示すように、切り込み凹部215Aに沿って、例えばカッターなどの刃を入れ、図10に示すように、リード連結部材215をリード保持部214から切断し、コイル巻部211Aにコイル212を巻装してアンテナ21を製造する。
このアンテナ21は、リード部211Bがリード保持部214に接着されているため、リード連結部材215を切断したとしてもリード保持部214の位置関係が保持されたままとなる。したがって、このアンテナ21をモジュール10の地板10A上に配置し、固定孔214Bを暗点固定孔に対してねじ止めすることでアンテナ21がモジュール10に組み込まれる。
〔電波修正時計の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態の電波修正時計1では、アンテナ21は、コイル巻部211Aおよび一対のリード部211Bを有する磁性体コア211と、コイル212と、一対のリード保持部214により構成されるアンテナ枠213とを備えている。そして、磁性体コア211のリード部211Bのみがリード保持部214により保持され、コイル巻部211Aは、アンテナ枠213により保持されず、直接コイル212が巻装されている。
このため、コイル巻部211Aとコイル212との間にアンテナ枠213が介在せず、コイル巻部211Aを通過する磁束線により、良好にコイル212の電磁誘導が実施でき、アンテナ特性を向上させることができる。また、リード部211Bがリード保持部214により保持されるため、このリード保持部214をモジュール10の所定位置に固定することで容易にアンテナ21をモジュール10に組み付けることができる。この時、磁性体コア211やコイル212がモジュール10に当接しないため、電波修正時計1に衝撃が加わった場合でも磁性体コア211やコイル212に応力が加わらず、破損を防止することができる。
また、リード保持部214は、固定孔214Bを有し、この固定孔214Bからモジュール10の地板10Aに設けられるアンテナ固定孔にねじを螺合させてアンテナ21を固定する。このため、アンテナ21の固定がねじ止めにより容易に実施できるとともに、固定孔214Bとアンテナ孔とを合わせるだけで、容易にアンテナ21の位置決め実施できる。したがって、電波修正時計1の組み立て作業効率を向上させることができる。
さらに、コイル巻部211Aにテーピング部211Cが形成されている。このため、磁性体コア211を形成する積層アモルファス箔の各アモルファス箔間の剥離を防止でき、アモルファス箔間に生じる反磁性作用を抑制できる。したがって、アンテナ21のアンテナ特性の低下をより一層抑えることができ、受信感度をより良好にできる。これに加えて、非磁性部材のテーピング211Cにより被覆することで、磁性体コア211とコイル212とを絶縁することができ、磁性体コア211の端部によりコイル212が断線される不都合をも防止することができ、良質なアンテナ特性を維持することができる。
さらに、上記のようなアンテナ21を製造する際には、一対のリード保持部214が、モジュール10の設置位置に対応した位置関係で、リード連結部材215で連結されたアンテナ枠213を用い、このアンテナ枠213のリード保持部214に磁性体コア211のリード部211Bを固定した後、リード連結部材215を切断する。
このため、リード連結部材215が切断された後も磁性体コア211により一対のリード保持部214の位置関係が保持され、アンテナ21をモジュールに組み込む際に固定作業を容易にできる。したがって、時計組み立て工程における作業効率を向上させることができる。
[第二の実施の形態]
次に、本発明の第二の実施の形態の電波修正時計について図面に基づいて説明する。
第二の実施の形態の電波修正時計は、第一の実施の形態の電波修正時計1と同一構成を有するものであり、アンテナ21の製造方法が異なる。図12は、第二の実施の形態の電波修正時計のアンテナの製造における一工程を示す図である。
すなわち、第二の実施の形態の電波修正時計1におけるアンテナでは、図12に示すようにリード保持部214を位置決めする。
具体的には、一対のリード保持部214の双方をモジュール10の地板10Aに載置した際に、地板10Aに設けられる一対のアンテナ固定孔に、リード保持部214の固定孔214Bがそれぞれ対向する位置関係の状態に、これら一対のリード保持部214がそれぞれ組立台座部216上に立設されたピン部材216Aにより位置決めされる。また、この時、磁性体コア211のコイル巻部211Aが配置される位置に、コイル位置決め部としてのピン部材216Bを立設する。つまり、一対のピン部材216Bによりコイル巻部211Aの端部を挟持可能な状態に、コイル巻部211Aの両端部に対応して、それぞれ1組ずつピン部材216Bを立設する。
そして、これらのリード保持部214間に、予めアモルファス箔を積層して形成された磁性体コア211を配置する。この時、コイル巻部211Aの両端部がそれぞれ一対のピン部材216Bにより挟持される状態に磁性体コア211を配置する。また、第一の実施の形態と同様に、リード保持部214の保持凹部214Aに磁性体コア211のリード部211Bを保持させる。そして、保持凹部214Aと磁性体コア211との隙間に接着剤を充填させて接着層214Cを形成し、リード保持部214にリード部211Bを固定する。この後、磁性体コア211のコイル巻部211Aにテープ部材を巻装させてテーピング部211Cを形成し、このテーピング部211Cの周面にコイル212を巻装させてアンテナ21を製造する。
このアンテナ21は、リード部211Bがリード保持部214に接着されているため、ピン部材216A,216Bを外した後も、リード保持部214の位置関係が保持されたままとなる。したがって、このアンテナ21をモジュール10の地板10A上に配置し、固定孔214Bを暗点固定孔に対してねじ止めすることで、アンテナ21をモジュール10に容易に取り付けることが可能となる。
〔第二の実施の形態の作用効果〕
上記第二の実施の形態では、上記第一の実施の形態の電波修正時計1と同一構成を有するため、同様の作用効果が得られ、すなわち、コイル巻部211Aにアンテナ枠213を介せず、コイル212が巻装されることによりアンテナ特性を向上させることができる。
これに加えて、上記第二の実施の形態では、アンテナ21の製造時に、リード保持部214を組立台座部216に位置決めして、磁性体コア211を設置する。したがって、リード保持部214の位置関係を保持するためのリード連結部材215が不要となり、アンテナ枠213の製作コストを下げることができる。また、第一の実施の形態と同様に、モジュール10のアンテナ21の設置位置に応じたリード保持部214の位置関係を保持することができるため、モジュール10へのアンテナ21の取付作業も容易に実施でき、作業効率を向上させることができる。
そして、ピン部材216Bにより磁性体コア211のコイル巻部211Aの配置位置をも決定することができるため、より適切に磁性体コア211をリード保持部214に保持させることができる。
[他の実施の形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、上記第二の実施の形態において、ピン部材216Bにより磁性体コア211のコイル巻部の位置を規制した状態で磁性体コア211をリード保持部214に固定する例を示したが、これに限定されない。例えば、図13に示すように、リード保持部214の保持凹部214Aにリード部211Bの位置を決定する突出部214Dを設け、この突出部214Dでリード部211Bを保持することで磁性体コア211を位置決めするものであってもよい。この場合でも、上記第一および第二の実施の形態と同様に、磁性体コア211をリード保持部214の適切な位置に保持させて固定することができるため、モジュール10へのアンテナ21の取付作業が容易になり、作業効率を向上させることができる。
また、リード保持部214のモジュール10への取付として、固定孔214Bから地板10Aのアンテナ固定孔にねじを螺合させて固定する固定方法を例示したがこれに限定されない。例えば、地板10Aにリード保持部214を嵌合させる嵌合凹部を設け、この嵌合凹部にリード保持部214を嵌合させることでアンテナ21をモジュール10に取り付ける構成としてもよい。
さらに、リード保持部214間にリード連結部材215が連結された状態でアンテナ21がモジュール10に取り付けられる構成などとしてもよい。この場合、例えば、一対のリード保持部214の互いに対向する辺に直線状のリード連結部材215を設ける構成などとすることで、アンテナ21の大型化を抑制できる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
本発明の第一の実施の形態に係るアンテナ内蔵式電子時計としての電波修正時計の正面図である。 前記第一の実施の形態の電波修正時計を裏蓋側からみた概略構成を示す平面図である。 前記第一の実施の形態の電波修正時計の概略構成を示すブロック図である。 前記第一の実施の形態の電波修正時計の受信回路部の構成を示すブロック図である。 前記第一の実施の形態の電波修正時計の厚み方向に断面した際の側断面図である。 前記第一の実施の形態の電波修正時計におけるアンテナを拡大した拡大平面図である。 前記第一の実施の形態のアンテナのコイル巻部近傍を断面した断面図である。 前記第一の実施の形態において、磁性体コアが取り付けられる前のアンテナ枠の構成を示す平面図である。 図8において、リード保持部に磁性体コアを固定した状態を示す図である。 図9において、リード連結部材を切断した状態を示す図である。 図9において、リード連結部材を切断する際の、X−X線を断面した断面図である。 第二の実施の形態の電波修正時計のアンテナの製造における一工程を示す図である。 他の実施の形態の電波修正時計のアンテナの製造における一工程を示す図である。
符号の説明
1…アンテナ内蔵式電子時計としての電波修正時計、10…モジュール、211…磁性体コア、211A…コイル巻部、211B…リード部、211C…被覆部としてのテーピング部、212…コイル、213…アンテナ枠、214…リード保持部、214B…固定部としての固定孔、215…リード連結部材、216B…コイル位置決め部としてのピン部材。

Claims (2)

  1. 磁性材料により形成される長手状の磁性体コア、この磁性体コアに巻装されるコイル、
    および前記磁性体コアを保持するアンテナ枠を有するとともに、外部無線情報を受信する
    アンテナと、このアンテナを内部に収納するモジュールと、を備えたアンテナ内蔵式電子
    時計におけるアンテナの製造方法であって、
    前記磁性体コアは、長手方向における中央部に設けられる前記コイルが巻装されるコイ
    ル巻部と、このコイル巻部の両端側に突出する一対のリード部とを備え、
    前記アンテナ枠は、前記磁性体コアの一対の前記リード部に対応した一対のリード保持
    部、およびこれらのリード保持部を連結するリード連結部材を備え、
    前記リード連結部材により連結された一対のリード保持部に前記磁性体コアの一対のリ
    ード部を配置して固定し、
    前記磁性体コアが前記リード保持部に固定された状態で、前記リード連結部材を一対の
    前記リード保持部から切断する
    ことを特徴とするアンテナの製造方法。
  2. 磁性材料により形成される長手状の磁性体コア、この磁性体コアに巻装されるコイル、
    および前記磁性体コアを保持するアンテナ枠を有するとともに、外部無線情報を受信する
    アンテナと、このアンテナを内部に収納するモジュールと、を備えたアンテナ内蔵式電子
    時計におけるアンテナの製造方法であって、
    前記磁性体コアは、長手方向における中央部に設けられる前記コイルが巻装されるコイ
    ル巻部と、このコイル巻部の両端側に突出する一対のリード部とを備え、
    前記アンテナ枠は、前記磁性体コアの一対の前記リード部に対応した一対のリード保持
    部を備え、
    前記アンテナ枠の一対の前記リード保持部を、所定間隔で開けて位置決めし、
    これらの前記リード保持部間に、前記コイル巻部を位置決めするコイル位置決め部を配
    置し、
    前記コイル位置決め部により前記磁性体コアの前記コイル巻部を位置決めするとともに
    、一対の前記リード保持部に前記リード部を配置して、これらの前記リード保持部に前記
    リード部を固定することを特徴とするアンテナの製造方法。
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