JP5168193B2 - 粒子状物質燃焼触媒およびその製造方法並びに排気ガス浄化用フィルター - Google Patents

粒子状物質燃焼触媒およびその製造方法並びに排気ガス浄化用フィルター Download PDF

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本発明は粒子状物質燃焼触媒およびこれを用いた排気ガス浄化用フィルターに係り、自動車用途を始めとした、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質を燃焼するための粒子状物質燃焼触媒およびその製造方法並びに排気ガス浄化用フィルターに関する。
ディーゼル機関は熱効率が高く、欧州では広く自動車用のエンジン機関として使用されている。ただし我が国において、ディーゼル機関は、その排出ガス中に含まれる粒子状物質(Particulate Matterのことである。以下、「PM」と記載する場合がある。)等の印象が悪く、広く利用されているとは言えない状況だった。
しかし、現在では排気ガスの後処理技術の進展によって、こうしたディーゼル機関のPMの排出量は、各国の排出基準を大幅に低減する迄になっている状況ではある。しかしながら、地球環境のこれ以上の破壊を食い止めるため、より厳しい排出基準が指向されるようになっており、今まで以上にPMを除去できるような浄化機構の開発が求められている。
ディーゼル排ガス中に含まれるPMを除去する浄化機構としては、後処理工程に尿素を噴霧して排ガスを浄化する方法、後処理工程にフィルターを配置してPMを除去する方法などが考えられている。しかし、尿素を噴霧する方法では、尿素を連続的に添加する機構が必要であり、機構が複雑になりすぎる上、ランニングコストも高い。
一方、フィルターを配置してPMを除去する方法においては、フィルター内に堆積したPMを除去するために、当該フィルターを加熱してPMを燃焼させることも行われている。
この場合、フィルターを加熱してPMを燃焼させる際に、フィルター内に想定以上のPMが堆積した状態で燃焼処理が行われることもある。このような燃焼がおこると、フィルターに熱がかかりすぎてしまい、フィルターそのものが溶損してしまうことがある。このようなフィルター溶損を回避するため、フィルターにかかる熱は、可能な限り低い方が好ましいとされている。そこで、フィルターに、燃焼温度を低減させる成分として燃焼補助触媒を含有させ、PMの燃焼温度を低減させる提案がなされてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2003−062432号公報 特開平10−151348号公報 特開2003−170051号公報
上述したように、フィルターに対して燃焼補助触媒を含有させることによって、フィルターに対する熱的ダメージを低減する検討が行われている。
しかしながら、本発明者らの研究によると、燃料である軽油にわずかながらも含まれる硫黄に起因して生成する含硫黄酸性ガスの影響により、当該燃焼補助触媒のPM燃焼活性は著しく低下することが判明した。さらに自動車排ガス浄化用途の触媒においては、とりわけ長寿命で周囲の環境に左右されず触媒性能を持続させることが望まれる。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ディーゼルエンジン排気ガス等に含まれる硫黄化合物の被毒による、PM燃焼活性低下が抑制され、PMを低温で燃焼させることができるPM燃焼触媒、その製造方法、並びに排気ガス浄化用フィルターを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ペロブスカイト(一般式:ABO)型構造を有する複合酸化物のAサイトと、Bサイトとに特定の群から選択される金属元素を配し、さらに銀を含有させたものをPM燃焼触媒とすることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上述の課題を解決する第1の発明は、
ペロブスカイト(ABO)型構造を有する複合酸化物に、銀が含有されている粒子状物質燃焼触媒であって、
前記複合酸化物のAサイトはMg、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも一つの元素、BサイトはCe、Zr、Prから選ばれる少なくとも一つの元素であることを特徴とする粒子状物質燃焼触媒である。
第2の発明は、
前記複合酸化物がBaCeOである、第1の発明に記載の粒子状物質燃焼触媒である。
第3の発明は、
前記Aサイトの元素の一部が三価の元素A’で置換された(A1−xA’BO)型構造を有し、xが0<x≦0.6の複合酸化物である第1の発明に記載の粒子状物質燃焼触媒である。
第4の発明は、
前記複合酸化物が、Ba1−xLaCeOである、第3の発明に記載の粒子状物質燃焼触媒である。
第5の発明は、
第1から第4のいずれかの発明に記載の粒子状物質燃焼触媒の製造方法であって、
ペロブスカイト構造を有する(ABO)型複合酸化物、または、(A1−xA’BO)型複合酸化物を形成させた後、当該複合酸化物に銀を含有させ、その後450〜950℃で熱処理する粒子状物質燃焼触媒の製造方法である。
第6の発明は、
第1から第4のいずれかの発明に記載の粒子状物質燃焼触媒が、フィルター母材に担持されている排気ガス浄化用フィルターである。
本発明に係る粒子状物質燃焼触媒、排気ガス浄化用フィルターは、PM燃焼において優れた低温燃焼活性を有すると共に、硫黄化合物に対する被毒耐性を有する。
実施例1〜3および比較例1、2に係る試料のCB(カーボンブラック)燃焼活性を示すグラフである。 実施例1〜3に係る試料のXRDパターンを示すグラフである。
本発明に係るPM燃焼触媒について詳細に説明する。
本発明に係るPM燃焼触媒の担体は、ペロブスカイト型構造(一般式:ABO)を有し、Aサイトがマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、またはバリウム(Ba)、およびこれらの任意の組合せに係るアルカリ土類金属元素であり、Bサイトがセリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)またはプラセオジム(Pr)、およびこれらの任意の組合せに係る元素である複合酸化物である。さらに、当該担体である複合酸化物粒子には銀(Ag)が含有されている。
PM燃焼触媒の担体についてさらに説明する。
上述したように、本発明に係るPM燃焼触媒の担体を構成する複合酸化物において、Aサイトを占めるアルカリ土類元素は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウム、およびこれらの任意の組合せに係るものを用いる。中でも、バリウムの単独選択、または、バリウムと他の元素組み合わせを選択するのが好ましい。
そして、本発明に係るPM燃焼触媒の担体を構成する複合酸化物において、Aサイトの一部を、三価の元素A’で置換することで、PMの燃焼開始をより低温で行うことが出来る。このとき、当該複合酸化物のペロブスカイト型構造は、一般式:A1−xA’BOで示される。但し、Aサイトの三価の元素A’による置換量xの範囲は、0<x≦0.6、好ましくは0.1≦x≦0.6である。
ここで、三価の元素A’は、La、Nd、Sm、Gd、Dy、Y、Biから選択される1種類以上の元素であることが好ましく、Laであることがさらに好ましい。
他方、本発明に係るPM燃焼触媒の担体を構成する複合酸化物において、Bサイトを占める元素としては、セリウム、ジルコニウムまたはプラセオジム、およびこれらの任意の組合せに係る元素を用いる。中でも、セリウムの単独選択、または、セリウムと他の元素組み合わせを選択するのが好ましい。
そして、前述の組み合わせの元素がAサイトにはA、A’元素が、BサイトにはB元素が、おのおの均質に含まれていることが好ましい。
上述の組成構成をとることで、本発明に係るPM燃焼触媒は、燃料中に微量に含まれる硫黄分に由来する含硫黄ガスに対して高い耐性を有するようになった。これは上述の組成構成を採用したことにより、触媒粒子上に別々に存在すると推測される硫黄分の吸着サイトと、PMの燃焼に寄与するサイトとのサイト間距離が適度なものに保たれることによると考えられる。当該サイト間距離が適度なものに保たれる結果、本発明に係るPM燃焼触媒は含硫黄ガスに対して高い耐性を有するようになり、PMの燃焼活性が低下し難くなっているものと考えられる。
さらに、ペロブスカイト型複合酸化物粒子へ銀を含有させることで、PMの着火開始温度のさらなる低減化が図られる。
これは、酸素放出能を有する本願発明に開示したペロブスカイト型構造を有する複合酸化物へ、PMの燃焼に対して高い活性を有するAgを含有させたことで、当該複合酸化物の酸素放出能を用いたPM燃焼開始温度の低温化が図れ、且つ、PMの燃焼反応に高い活性を有するAgにより、PM燃焼開始温度の低温化をより促進できたことによる。
本発明に係るPM燃焼触媒の製造方法について説明する。
Aサイトに配される元素を含む原料化合物、必要に応じて三価の元素A’ を含む原料
化合物、および、Bサイトに配される元素を含む原料化合物を準備する。このとき、これら原料化合物が、易水溶性の化合物であることが便宜上好ましい。
ねらいとするペロブスカイト型複合酸化物の組成に合わせて各原料を秤量し、純水等の適宜な溶媒に溶解させる。得られた各元素を含む溶媒を蒸発乾固した後、さらに十分に乾燥させ、600〜1400℃の温度で、5〜48時間焼成して前駆体を得る。当該焼成は空気中でも良い。
当該前駆体を、乳鉢等を用いて混合した後、800〜1400℃の温度で、5〜48時間焼成して、所望の組成を有するペロブスカイト型複合酸化物を得る。当該焼成は空気中でも良い。
得られた複合酸化物を、所定の含有量に相当する銀量を含有する銀塩水溶液(例えば、AgNO水溶液が好ましい。)に浸漬して含浸物とした。当該含浸物を、450〜950℃の温度で、1〜10時間熱処理し、銀を含有し所望の組成を有するペロブスカイト型複合酸化物を得た。当該熱処理は空気中でも良い。
ここで、熱処理温度を450℃以上とすることで、A元素の一部を、三価の元素A’元素に置換した場合の効果が顕著になる。一方、950℃以下とすることで含有された銀が飛散してしまうのを回避出来るため、銀の触媒効果が担保される。
当該銀を含有するペロブスカイト型複合酸化物は、優れた特性を有するPM燃焼触媒である。当該PM燃焼触媒を、公知の方法によりフィルター母材に担持させた排気ガス浄化用フィルターも、高いPM燃焼活性を示し、且つ、排気ガス中の硫黄成分による吸着に伴うPM燃焼活性の低下がほとんど起こらないことが判明した。
以下、担体としてBaCeO、SrCeO、BaZrO、および、Ba1−xLaCeOを用い、含有元素として銀を用いたPM燃焼触媒を例として、本発明をより具体的に説明する。尚、本発明の技術的範囲が、これらの特定の記載に限定されないことはもちろんである。
[試料の調製]
(実施例1)
バリウム源として硝酸バリウム(Ba(NO)、セリウム源として硝酸セリウム(Ce(NO)を準備し、バリウムとセリウムとのモル比が1:1となる割合をもってイオン交換水に溶解させた。得られた硝酸バリウムと硝酸セリウムの混合水溶液を蒸発乾固した後、乾燥機で一晩乾燥し、空気中にて1000℃で、2時間焼成して前駆体を得た。得られた前駆体を、乳鉢を用いて20分間混合した後、空気中にて1000℃で、6時間焼成して、バリウムとセリウムとを含む複合酸化物を得た。得られた複合酸化物に対して銀量が10質量%に相当する銀を含むAgNO水溶液へ当該複合酸化物を含浸させ、乾燥して水分を除去することで、複合酸化物に銀を付着させた。そして当該含浸物を、空気中450℃で2時間、熱処理し、銀を含有するバリウムとセリウムとの複合酸化物を得た。
(実施例2)
Sr源として硝酸ストロンチウム(Sr(NO)、セリウム源として硝酸セリウム(Ce(NO)を準備し、ストロンチウム,セリウムとのモル比が1:1となる割合をもってイオン交換水に溶解させた。以降は、実施例1と同様の操作を行って、銀を含有するストロンチウムとセリウムとの複合酸化物を得た。
(実施例3)
バリウム源として硝酸バリウム(Ba(NO)、ジルコニウム源として硝酸ジルコニウム(ZrO(NO・2HO)を準備し、バリウム,ジルコニウムとのモル比が1:1となる割合をもってイオン交換水に溶解させた。以降は、実施例1と同様の操作を行って、銀を含有するバリウムとジルコニウムとの複合酸化物を得た。
(比較例1)
Ce(NO・6HO水溶液(200g/L)へ0.1倍量のアンモニア水(28%)を滴下し、スラリーを調製した。得られたスラリーを90℃に加熱し、蒸発乾固させた。得られた乾固体を100℃でさらに乾燥させた後、空気中にて450℃で5時間焼成し、セリウム酸化物を得た。
(比較例2)
得られた比較例1のセリウム酸化物に対して銀量が10質量%に相当する銀を含むAgNO水溶液へ、当該セリウム酸化物を含浸させた。そして当該含浸物を、空気中450℃で5時間焼成し、銀を含有するセリウム酸化物を得た。
(実施例4)
バリウム源として硝酸バリウム(Ba(NO)、ランタン源として硝酸ランタン(La(NO)、セリウム源として硝酸セリウム(Ce(NO)を準備し、バリウムとランタンとセリウムとのモル比が0.9:0.1:1となる割合をもってイオン交換水に溶解させた。得られた硝酸バリウム、硝酸ランタンと硝酸セリウムの混合水溶液を蒸発乾固した後、乾燥機で一晩乾燥し、空気中にて1000℃で2時間焼成して前駆体を得た。得られた前駆体を、乳鉢を用いて20分間混合した後、空気中にて1000℃で6時間焼成して、バリウムとランタンとセリウムとを含む複合酸化物を得た。得られた複合酸化物に対して銀量が10質量%に相当する銀を含むAgNO水溶液へ、当該複合酸化物を含浸させ、乾燥して水分を除去することで、複合酸化物に銀を付着させた。そして当該含浸物を、空気中600℃で2時間、熱処理し、銀を含有するバリウムとランタンとセリウムとの複合酸化物を得た。
(実施例5)
AgNO水溶液への含浸処理後における、空気中での熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様にして、銀を含有するバリウムとセリウムとの複合酸化物を得た。
(比較例3)
銀の含有工程を省略し、空気中での熱処理温度を1000℃にした以外は、実施例4と同様にしてバリウムとランタンとセリウムとの複合酸化物を得た。
(比較例4)
銀の含有工程を省略し、空気中での熱処理温度を1000℃にした以外は、実施例5と同様にして、バリウムとセリウムとの複合酸化物を得た。
(実施例6〜9)
バリウムとランタンとの構成比を、Ba:La=0.4:0.6(実施例6)、0.6:0.4(実施例7)、0.7:0.3(実施例8)、0.8:0.2(実施例9)と変化させた以外は実施例4と同様にして、銀を含有するバリウムとランタンとセリウムとの複合酸化物を得た。
比較例5〜8
バリウムとランタンとの構成比を、Ba:La=0.4:0.6(比較例5)、0.6:0.4(比較例6)、0.7:0.3(比較例7)、0.8:0.2(比較例8)と変化させた以外は比較例3と同様にして、バリウムとランタンとセリウムとの複合酸化物を得た。
(実施例10、11)
銀含浸処理後における空気中での熱処理温度を、450℃(実施例10)、800℃(実施例11)と変化させた以外は実施例4と同様にして、銀を含有するバリウムとランタンとセリウムとの複合酸化物を得た。
(実施例12)
銀含浸処理後における空気中での熱処理温度を、800℃に変化させた以外は実施例5と同様にして、銀を含有するバリウムとセリウムとの複合酸化物を得た。
[特性評価の方法]
(1)XRD測定
実施例1〜3に係る各試料の結晶構造解析を、粉末X線回折法により行った。その際に使用した装置は、島津製作所製のX線回折装置XD−D1であり、Cu−Kα線を使用して、管電圧30kV、管電流30mAにて2θ=10〜70°の角度をスキャンスピード2°/分の速度でスキャンすることにより回折を行った。その結果を図2に示す。
(2)CB(カーボンブラック)着火温度の測定
CBを模擬PM粒子とし、TG−DTA装置を使用して、実施例に係る複合酸化物、および、比較例に係る複合酸化物とセリウム酸化物との着火温度測定を行った。TG―DTA測定装置は、リガク製TG−DTA装置(Thermoplus TG8120)を使用した。
具体的には、上記各例で得られた実施例1、4〜12に係る複合酸化物、および、比較例3〜8に係る複合酸化物と、CBとを、20:1の割合で秤量した秤量物を、メノウ乳鉢を用いて混合し、実施例1、4〜12および比較例2、3〜8に係る混合試料とした。測定の際のガス組成はO20%、Nバランスの混合ガス流通下とし、昇温速度10℃/minとなるように調整後、測定を実施した。
そして、得られたTG曲線において、重量減少が始まる前の接線と重量減少率(角度)が最大となる点での接線との交点を燃焼開始温度(Ti)として算出した。また、DTA曲線のピークが最大となる温度を、燃焼ピーク温度(Tmax)とした。さらに、Teの算出方法は、重量減少率(角度)が最大となる点での接線と、重量減少が終了した後の接線との交点の温度を、CBの燃焼終了温度(Te)として算出した。
測定結果を表1に示す。
(3)CB燃焼温度に対するSO被毒処理の影響の評価
CBを模擬PM粒子とし、PM燃焼温度に対するSO被毒の影響の評価を行った。
実施例1〜5に係る複合酸化物、比較例1、2に係るセリウム酸化物、および、比較例3に係る複合酸化物と、CBとを質量比20:1の割合で秤量した秤量物を、メノウ乳鉢を用いて混合し、実施例1〜5および比較例1〜3に係る混合試料とした。得られた各混合試料0.05gをPtプレートに載せ、赤外線昇温装置にセットした。
各混合試料のSO被毒試験は、上記昇温反応の前に、各混合試料を、SO50ppm、O10%、Nバランスの混合ガス流通下、200℃で1時間処理することで行った。(実施例1に係る試料のみ、これに加えて、SO50ppm、O10%、Nバランスの混合ガス流通下、200℃で12時間処理を行った試料を加えた。)
当該SO被毒試験後、各混合試料を室温まで冷却した。そして当該冷却後の各混合試料を用いて昇温反応を行った。そして、各混合試料の昇温反応時における出口ガス中の二酸化炭素濃度を、NDIRを用いて測定することで、各混合試料のCB燃焼活性を評価した。昇温反応時のガス組成はO10%、およびNバランスとし、昇温速度は10℃/minとした。その結果を表1に示す。
さらに、実施例1および比較例1に係る混合試料については、当該CB燃焼活性を図1に示した。図1は、横軸に温度をとり、縦軸に二酸化炭素濃度をとったグラフであり、実施例1および比較例1に係る混合試料が所定温度にあるときの出口ガスの二酸化炭素濃度をプロットしたものである。尚、実施例1に係るSO被毒処理の未処理試料を太実線、SO1時間処理試料を細実線、SO12時間処理試料を1点鎖線で、比較例1に係るSO被毒処理の未処理試料を短破線、SO1時間処理試料を長破線でプロットした。
(4)比表面積の測定
実施例1〜3および比較例1に係る各試料の比表面積の測定を、BET法により行った。その際に使用した装置は、日本ベル株式会社製のBelsorp miniを使用した。その結果を表1に示す。
(5)CB燃焼試験後の混合試料中における硫黄含有量の定量
上記(3)で説明したCB燃焼試験後における実施例1および比較例1に係る混合試料について、各混合試料中の硫黄含有量を、堀場製作所製蛍光X線分析装置MESA−500Wを使用して測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005168193
[特性評価の結果]
(1)実施例に係る酸化物の構造
図2に示すXRDパターンより、実施例1〜3に係る試料では、各元素の単酸化物のピークは認められず、ペロブスカイト型結晶粒子に特有な回折線を有していた。従って、実施例に係る酸化物は、ペロブスカイト型構造を有していることが確認できた。
(2)実施例に係る試料の触媒効果
本発明の一例である実施例で得られた試料の触媒効果は、実施例1の評価結果と比較例2の評価結果とを比較すると明らかである。実施例1はバリウムとセリウムとを含むペロブスカイト構造を有した銀を含む複合酸化物であるが、比較例2は銀を含むセリウム酸化物である。
両者のSO被毒試験結果を、Tmaxの値から比較する。すると、実施例1では被毒試験前後のTmaxの温度差△Tが−6℃であり、劣化率は−1.5%に留まっているのに対して、比較例2では△Tが−135℃であり、劣化率は−39.1%にまで達していることからみても、その差は歴然としている。
一方、SO被毒処理試験において、CB燃焼活性測定後の実施例1に係る試料は、比較例1に係る試料と同等の硫黄含有量に達していることがわかる。しかし、それにも拘わらず、実施例1に係る試料は、「硫黄による触媒活性の劣化に起因するCB燃焼温度の高温化」が抑制された結果になった。実施例1に係る試料について、SO被毒処理後においてCB燃焼温度の高温化が抑制されるメカニズムの詳細は明確ではない。しかし、実施例1に係る試料において、バリウムとセリウムとを複合化させ、ペロブスカイト型構造としたことによって、触媒表面にCB燃焼活性サイトとSO被毒サイトとが生成され、CB燃焼サイトへの硫黄被毒が抑制されたという、硫黄被毒抑制機構が推察できる。
(3)実施例に係る試料へ銀を含有させた効果
粒子状物質燃焼触媒が銀を含有した複合酸化物であることの効果は、実施例4の評価結果と比較例3の評価結果、同様に、実施例5と比較例4、実施例6と比較例5、実施例7と比較例6、実施例8と比較例7、実施例9と比較例8を比較すると明らかである。実施例4〜9はいずれも銀を含む複合酸化物である。一方、比較例3〜8は、実施例4〜9と同組成であるが銀を含まない複合酸化物である。
Ti、Tmax、Teのいずれの温度も、銀を含む複合酸化物である実施例4〜9は、銀を含まない複合酸化物である比較例3〜8より遙かに低い。因みに、Tiの温度差は63〜141℃、Tmaxの温度差は50〜137℃、Teの温度差は39〜130℃である。
当該結果より、実施例に係る試料は粒子状物質の燃焼温度を下げる銀の含有効果が歴然としている。
(4)複合酸化物のAサイトの一部を三価のA’元素に置換させたことによる効果
複合酸化物のAサイトの一部を三価のA’元素に置換させたことによる効果は、実施例4の評価結果と実施例5の評価結果、同様に、実施例11と実施例12を比較すると明らかである。実施例5、12はいずれもAサイトが2価元素であるが、実施例4、11はいずれもAサイトの一部が3価元素に置換している。
Ti、Tmax、Teのいずれの温度も、Aサイトの一部が3価元素に置換している実施例4、11は、Aサイトが2価元素である実施例5、12よりさらに低い。
当該結果より、実施例に係る試料は粒子状物質の燃焼温度を下げることに関し、複合酸化物のAサイトの一部を三価のA’元素に置換させる効果を有することが明らかである。
(5)SO被毒処理前後の結果からみた、複合酸化物がペロブスカイト構造を有することの効果
表1に示すように、SO被毒処理前後における、実施例1〜3に係る試料と比較例1、2に係る試料との、CB燃焼ピーク温度の上昇を比較する。すると、SO被毒処理を
行わない場合の実施例1の試料のCB燃焼ピーク温度は403℃であるが、SOガスを含むガスで前処理(1時間)を行った場合409℃へ上昇し、SOガスを含むガスで前処理(12時間)を行った場合433℃へ上昇した。
また、SO被毒処理を行わない場合の実施例2の試料のCB燃焼ピーク温度は420℃であるが、SOガスを含むガスで前処理を行った場合440℃へ上昇した。
さらに、SO被毒処理を行わない場合の実施例3の試料のCB燃焼ピーク温度は459℃であるが、SOガスを含むガスで前処理を行った場合480℃へ上昇した。
これに対し、SO被毒処理を行わない場合の比較例1の試料のCB燃焼ピーク温度は393℃であるが、SOガスを含むガスで前処理を行った場合493℃へ上昇した。
また、SO被毒処理を行わない場合の比較例2の試料のCB燃焼ピーク温度は345℃であるが、SO被毒処理を行った場合は480℃へ上昇した。
以上のことから、実施例1〜3に係るアルカリ土類元素、セリウム、ジルコニウムを含む複合酸化物試料のほうが、比較例1、2に係るセリウムの単酸化物に比較して、SO被毒処理によるCB燃焼ピーク温度の上昇が抑制されていることがわかる。
(6)SO被毒処理前後の結果からみた、複合酸化物のAサイトの一部を三価のA’元素に置換させたことによる効果
酸性硫黄ガスに対しては、比較例3、4に示すバリウム−セリウムの複合酸化物でも高耐性のものが得られる。しかし、上記(2)で示したCB着火温度の測定結果から比較すると、本発明に係る構成を備えた銀を表面に含有した実施例1に係るバリウム−セリウムの複合酸化物の方が、比較例3、4に示すバリウム−セリウムの複合酸化物より、高い活性を有していることは明らかである。
この効果は、酸性硫黄ガスによる被毒処理を行った後でも確認された。具体的には、比較例2に示す単にセリウムを含有させた場合に極端に劣化していた触媒性能が、実施例1、2に示すように、担体をバリウム(ストロンチウム)−セリウムの複合酸化物に変更することで、酸性硫黄ガスにさらした後でもSO被毒処理前後の燃焼開始温度を比較したときの劣化率が小さい値を示すことからわかるように、PMの燃焼に対する触媒性能が劣化することなく維持されるようになる。さらに、実施例4、11、12においては、銀の有する着火温度の低減化と、複合酸化物の有する耐硫黄性が両立した触媒性能が得られた。
以上のことより、本発明に係るPM燃焼触媒は、高いPM燃焼活性を示し、且つ、排気ガス中の硫黄成分による吸着に伴うPM燃焼活性の低下は、抑止されていることが判明した。
さらに加えて、本発明に係るPM燃焼触媒を、公知の方法によりフィルター母材に担持させた排気ガス浄化用フィルターも、高いPM燃焼活性を示し、且つ、排気ガス中の硫黄成分の吸着に伴うPM燃焼活性の低下は、抑止されていることが判明した。

Claims (6)

  1. ペロブスカイト(ABO)型構造を有する複合酸化物に、銀が含有されている粒子状物質燃焼触媒であって、
    前記複合酸化物のAサイトはSr、Baから選ばれる少なくとも一つの元素BサイトはCe、Zrから選ばれる少なくとも一つの元素であることを特徴とする粒子状物質燃焼触媒。
  2. 前記複合酸化物がBaCeOである、請求項1に記載の粒子状物質燃焼触媒。
  3. 前記Aサイトの元素の一部がLaで置換された(A1−x La BO)型構造を有し、xが0<x≦0.6の複合酸化物である請求項1に記載の粒子状物質燃焼触媒。
  4. 前記複合酸化物がBa1−xLaCeOである、請求項3に記載の粒子状物質燃焼触媒。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の粒子状物質燃焼触媒の製造方法であって、
    ペロブスカイト構造を有する(ABO)型複合酸化物、または、(A1−x La BO)型複合酸化物を形成させた後、当該複合酸化物に銀を含有させ、その後450〜950℃で熱処理する粒子状物質燃焼触媒の製造方法。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載の粒子状物質燃焼触媒が、フィルター母材に担持されていることを特徴とする排気ガス浄化用フィルター。
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