JP5153254B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物に関する。
従来、氷雪路面走行用タイヤとして、スパイクタイヤの使用や、タイヤへのチェーンの装着などが行われてきた。しかし、粉塵公害の発生などを防止するためにスパイクタイヤの使用が禁止され、スパイクタイヤにかわる氷雪路面走行用タイヤとして、スタッドレスタイヤの普及が急速に進んでいる。
スタッドレスタイヤは主に氷雪路面で使用される。一般路面に比較し、氷雪路面では、著しく摩擦係数が低下し、滑りやすくなるので、スタッドレスタイヤにはグリップ性能などの氷雪上性能の向上が求められており、材料面および設計面での工夫がされている。そのひとつとして、氷雪路面におけるタイヤの性能を向上させるために低温特性に優れたジエン系ゴムを配合する方法が知られている。
また、スタッドレスタイヤは、使用する地域によっては、常に氷雪路面を走行しているのではなく、氷雪路面と一般(乾燥)路面の両方を走行することも多いという理由から、氷雪路面(ウェットオンアイス状態とドライオンアイス状態)でのグリップ性能の向上に加えて、一般(乾燥)路面での耐摩耗性能の向上も要求されている。
前記事情に鑑み、混練り時の加工性を向上させ、タイヤに用いた際の転がり抵抗を低減させるため、低分子量(重量平均分子量(Mw)が5000以下)の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(S−SBR)と高分子量(Mwが50万以上)のS−SBRを混合させたゴム組成物(例えば特許文献1)や超低分子量(Mwが10000以下)のブタジエンゴムと高分子量のS−SBRを混合させたゴム組成物(例えば特許文献2)を添加することが知られている。しかし、氷雪路面での摩擦性能と耐摩耗性能は二律背反の関係にあるため、これらの技術では氷雪路面での摩擦性能と耐摩耗性能との両立を達成することは困難であった。
前記低温特性に優れたジエン系ゴムとして、希土類金属化合物のメタロセン触媒および非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物および/またはアルミノキサンを含む組成物からなる触媒を用いて合成されたシス1,4−含有率の高いブタジエンゴム(ハイシスBR)が検討されている。しかし、通常のハイシスBRが含有されているゴム組成物では氷雪路面での性能の向上と乾燥路面での例えば耐摩耗性能の向上を両立させることができていないのが現状である。
特開2005−126604号公報 特開2005−126556号公報
本発明は、氷雪路面(ウェットオンアイス状態とドライオンアイス状態)でのグリップ性能の向上と一般(乾燥)路面での耐摩耗性能の向上をバランス良く両立させるゴム組成物、該ゴム組成物を用いたスタッドレスタイヤ用トレッドゴムおよび該スタッドレスタイヤ用トレッドゴムをトレッドとして有するスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴムを5〜100重量%含有するゴム成分を含むゴム組成物に関する。
前記ブタジエンゴムのシス1,4−結合含有率は、90%以上であることが好ましい。
前記ブタジエンゴムは、(A)サレン型金属錯体および(B)有機アルミニウム化合物およびアルミノキサンから選択される少なくとも1種の化合物を、それぞれ添加して合成されることが好ましい。
前記サレン型金属錯体の金属は、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、バナジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明は、前記スタッドレスタイヤ用トレッドゴムとして用いる前記ゴム組成物に関する。
また、本発明は、前記スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物を用いたトレッドを有するスタッドレスタイヤに関する。
本発明によれば、末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴムを5〜100重量%含有するゴム成分を含むゴム組成物を用いることにより、氷雪路面(ウェットオンアイス状態とドライオンアイス状態)でのグリップ性能の向上と一般(乾燥)路面での耐摩耗性能の向上をバランス良く両立させるゴム組成物、該ゴム組成物を用いたスタッドレスタイヤ用トレッドゴムおよび該スタッドレスタイヤ用トレッドゴムをトレッドとして有するスタッドレスタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴム(末端スチレンオリゴマー結合BR)を、5〜100重量%含有するゴム成分を含む。
また、前記ブタジエンゴムのシス1,4−結合含有率は、90%以上であること(末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR)が好ましい。
ゴム成分中の末端スチレンオリゴマー結合BRの含有率(重量%)は、氷雪路面でのグリップ性能を向上させることができるという理由から、5重量%以上であることが必要であり、30重量%以上であることが好ましい。また、ゴム成分中の末端スチレンオリゴマー結合BRの含有率は、耐カットチップ性能を向上させることができ加工性を良好に維持することができるという理由から、100重量%であっても良く、80重量%以下であることが好ましい。
本発明の末端スチレンオリゴマー結合BRの製造には、BRの末端にスチレンオリゴマーを付加する工程を含む。また、末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの製造には、ブタジエンを重合する際にシス1,4−結合の含有率を高めた(ハイシス化した)ブタジエンゴム(ハイシスBR)を得る工程とハイシスBRの末端にスチレンオリゴマーを付加する工程を含む。
以下に、(1)ハイシスBRおよびシスBRを得る工程および(2)末端にスチレンオリゴマーを付加する工程について説明する。
なお、本発明ではブタジエンゴム(BR)を、シスBRと記載することもある。
(1)シスBRおよびハイシスBR
まず、シスBRおよびハイシスBRについて説明する。
BRおよび末端スチレンオリゴマー結合BR、ハイシスBRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの合成方法は、基本的には同じである。BRおよび末端スチレンオリゴマー結合BRにおいては、触媒は後述する遷移金属化合物のメタロセン型錯体でもサレン型金属錯体を用いても合成をすることができる。ハイシスBRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRにおいては、シス1,4−結合の含有率を高めることができるという利点から、サレン型金属錯体を用いて合成することが好ましい。
ハイシスBRの製造には、ブタジエンを重合する際にシス1,4−結合の含有率を高めた(ハイシス化した)ブタジエンゴムを得る工程を含む。
本発明でいうハイシスBRとは、得られたゴムのブタジエン部分に対するシス1,4−結合の含有率が90%以上のブタジエンのことである。
ハイシスBRを合成する方法としては、例えば、ブタジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合する方法をあげることができる。
ブタジエンの重合方法において、重合温度および重合時間は特に限定されるものではない。重合温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。また、重合温度は、100℃以下が好ましく、80℃以下の温度がより好ましい。ハイシスBRの重合方法における重合時間は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。また、重合時間は、12時間以下好ましく、6時間以下がより好ましい。
ブタジエンの重合方法において、サレン型金属錯体およびアルミノキサンの使用量は、特に限定されるものではない。サレン型金属錯体の使用量は、ブタジエン100重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.05重量部以上がより好ましい。また、サレン型金属錯体の使用量は、ブタジエン100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。また、アルミノキサンの使用量は、ブタジエン100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましい。また、アルミノキサンの使用量は、40重量部以下、好ましくは30重量部以下使用することが好ましい。
前記重合は、ブタジエン、サレン型金属錯体およびアルミノキサンを溶解する溶媒中で行うことが好ましい。前記溶媒としては、ハロゲン系溶媒、非ハロゲン系溶媒を挙げることができ、サレン型金属錯体の溶解性が高いハロゲン系溶媒を使用することが好ましい。
前記ハロゲン系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ブロモプロパン、プロモブタン、ヨードメチルプロパン、フルオロメチルプロパンなどのアルカンのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換体;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、トリブロモベンゼン、ヨードベンゼンなどのベンゼンのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換体などを挙げることができる。これらの中でも、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルムが好適である。
前記非ハロゲン系溶蝶としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼンなどの芳香族系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルアセトアミド(DMA)などが挙げられる。
また、サレン型金属錯体の金属の種類に応じて、サレン型金属錯体、アルミノキサン、ブタジエンの添加順序を制御することによって、触媒活性を高めることができる。例えば、サレン型コバルト錯体を用いる場合には、サレン型コバルト錯体をブタジエンに添加してから、アルミノキサンで活性化することが好ましい態様であり、かかる添加順序をとすることによって、得られるポリマーの収率を高めることができる。なお、サレン型ニッケル錯体では、添加順序による影響がほとんど認められない。
本発明でいうシス1,4−結合含有率(%)は、得られたゴムの全ブタジエン単位に対するシス1,4−結合したブタジエン単位の含有率のことである。
本発明のゴム組成物に含まれるブタジエンゴムのシス1,4−結合含有率は、シス1,4−結合含有率が高い方がガラス転移温度(Tg)が低いため低温特性が良いという理由から、90%以上であることが必要であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。ここで、本発明のゴム組成物に含まれるブタジエンゴムのシス1,4−結合含有率は100%になることはないが、シス1,4−結合含有率は100%未満であればできるだけ高い方が好ましい。なお、本発明では、シス1,4−結合含有率が90%以上であるブタジエンゴムをハイシスBRとする。
ブタジエンゴム(BR)のシス1,4−結合含有率(%)は、たとえば、赤外線吸収スペクトル法の透過法などにより測定することができる。赤外線吸収スペクトル法としては、例えばパーキンエルマー社製のFT−IR spectrometerの装置を用い、透過法により、ブタジエン単位のシス1,4−結合に帰属される735cm-1の吸収強度、トランス1,4−結合に帰属される967cm-1の吸収強度、1,2−結合に帰属される911cm-1の吸収強度をそれぞれ測定し、その強度比から求めることができる。
本発明においては、シス1,4−結合含有率が90%以上であるブタジエンゴム(ハイシスBR)が重合できればどのような反応系でも良いが、具体的には次のような反応系が良いと考えられる。
本発明のゴム組成物に含まれるハイシスBRは、シス1,4−結合含有率が高くかつ分子量が高くて分子量分布の狭いブタジエンゴムが得られるという理由から、(A)サレン型金属錯体および(B)有機アルミニウム化合物およびアルミノキサンから選択される少なくとも1種の化合物を添加して合成(重合)されることが好ましい。
サレン型金属錯体の金属としては、特に限定されないが、重合活性が高いという理由から、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、バナジウムが好ましく、コバルトが特に好ましい。
前記サレン型金属錯体とは、例えば、下記化学式(1)または(2)によって表されるものであり、サレン配位子[N,N’−bis(salicyldene)ethylenediamine]またはその誘導体と金属とからなる錯体である。
Figure 0005153254
Figure 0005153254
式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一あるいは異なってもよく、炭素数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基)若しくはその水素の一部がハロゲンで置換されたもの、または、水素である。より好ましくは、R1、若しくは、R1とR3の両方が、炭素数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基)であって、R2およびR4が水素である。R5は、炭素数が1〜10のアルキル基若しくはその水素の一部がハロゲンで置換されたもの、フェニル基若しくはその水素の一部がハロゲンで置換されたもの、または、水素であり、さらに、隣接する2つのR5が、ベンゼン環またはシクロヘキシル環を形成していても良い。Mは金属であり、Xは陰イオンである。
前記サレン配位子は、相当するサリチルアルデヒドとエチレンジアミンの誘導体の脱水縮合反応によって合成されるものである。
前記相当するサリチルアルデヒドとしては、例えば、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチルベンズアルデヒド、5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。
エチレンジアミンの誘導体としては、例えば、1,2−エタンジアミン、1,2−ベンゼンジアミン、(1R,2S)−1,2−シクロヘキサンジアミン、(1S,2S)−1,2−シクロヘキサンジアミン、(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミン、またはトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンなどが挙げられる。
前記サレン型金属錯体の金属(M)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、バナジウムなどを例示することができ、特に好ましくは、コバルトである。
前記サレン型金属錯体の陰イオン(X)としては、例えば、水酸化物イオン(OH-);塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、フッ化物イオン(F-)などのハロニウム;酢酸イオン(CH3COO-);硝酸イオン(NO3 -);硫酸イオン(SO4 2-)、シュウ酸イオン(C24 2-);リン酸イオン(PO4 -);ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF6 -)などの陰イオンを挙げることができる。なお、本発明では、式(2)で表わされるように、陰イオン(X)が存在しないサレン型金属錯体も使用できる。
前記サレン型金属錯体として、特に好ましいのは、N,N’−bis(3−tert−butylsalicylidene)ethylenediaminato Cobalt(II)(式(3))、N,N’−bis(3−tert−butyl−5−methylsalicylidene)ethylenediaminato Cobalt(II)(式(4))、N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)ethylenediaminato Cobalt(II)(式(5))、N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)1,2−diphenylethylenediaminato Cobalt(II)(式(6))などを挙げることができる。
Figure 0005153254
Figure 0005153254
Figure 0005153254
Figure 0005153254
前記アルミノキサンとしては、例えば有機アルミニウム化合物(好ましくはトリメチルアルミニウム)と縮合剤(好ましくは水)とを接触させることによって得られるものを用いることができ、より具体的には、下記式(7)で表わされる構造を有するものである。
Figure 0005153254
式中、Rは、炭素数が1〜10(好ましくは炭素数が1〜4)の炭化水素基であり、隣接する構成単位において、それぞれ同一あるいは異なっていてもよく、好ましくは同一である。前記炭化水素基は、ハロゲン原子および/またはアルコキシ基で置換されていてもよい。nは重合度を表わし、4〜20の整数である。前記Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基などがあげられるが、メチル基が好ましい。
アルミノキサンの原料として使用される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などを挙げることができ、好ましくは、トリメチルアルミニウムである。また、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料としたアルミノキサンも使用することができる。本発明では、式(7)中、すべての構成単位のRがメチル基であるメチルアルミノキサンを使用することが特に好適である。
また、本発明のゴム組成物に含まれるシスBRは、シス1,4−結合含有率が80%程度と低いが、分子量が高くて分子量分布が狭いという理由から、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、(B)有機アルミニウム化合物およびアルミノキサンから選択される少なくとも1種の化合物を添加して合成(重合)することもできる。
(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、周期表第4〜8族遷移金属化合物の公知のメタロセン型錯体を使用できる。具体的には、チタン、ジルコニウムなどの周期表第4族遷移金属のメタロセン型錯体(例えば、CpTiCl3など);ジルコニウム、ニオブ、タンタルなどの周期表第5族遷移金属のメタロセン型錯体(例えば、CpZrCl2など);クロムなどの第6族遷移金属メタロセン型錯体;コバルト、ニッケルなどの第8族遷移金属のメタロセン型錯体が挙げられる。
本発明で使用するシスBRおよびハイシスBRの重量平均分子量(Mw)は、重量平均分子量が高い方が燃費性能や耐摩耗性能が良いという理由から、10,000以上好ましく、100,000以上がより好ましい。また、ハイシスBRの重量平均分子量(Mw)は、合成手法上、上限はないがタイヤ製造上、加工性が悪くなるという理由から、3,000,000以下好ましく、2,000,000以下がより好ましい。
なお、本発明で使用するシスBRおよびハイシスBRのMwは、たとえば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いてポリスチレン換算で算出する方法、などにより測定することができる。GPCとしては、例えば東ソー(株)製のGPC−8000シリーズの装置を用い、検知器として示差屈折計を用いて測定し、標準ポリスチレンにより校正することにより行うことができる。
(2)末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR
次に、末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRについて説明する。
末端スチレンオリゴマー結合BRまたは末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの製造には、BRまたはハイシスBRの末端にスチレンオリゴマーを付加する工程から得られたハイシスBRを含む。
本発明でいう末端スチレンオリゴマー結合BRは、ブタジエンゴムの両末端もしくは片末端にスチレンオリゴマーが結合したものである。また、本発明でいう末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRは、ブタジエン部分に対するシス1,4−結合含有率が90%以上のブタジエンゴムの両末端もしくは片末端にスチレンオリゴマーが結合したものである。
本発明においては、BRまたはハイシスBRの末端にスチレンオリゴマーを結合できればどのような反応系でも良いが、具体的には次のような反応系が良いと考えられる。
BRまたはハイシスBRの末端にスチレンオリゴマーを結合する方法としては、BRまたはハイシスBRと同様に合成を行い、BRの重合反応を停止せず、スチレンを添加して再び重合を行うものである。スチレン添加後の重合温度としては、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。また、重合温度は、100℃以下が好ましく、80℃以下の温度がより好ましい。ハイシスBRの重合方法における重合時間は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。また、重合時間は、12時間以下好ましく、6時間以下がより好ましい。
本発明でBRまたはハイシスBRの末端に結合されるスチレンオリゴマーとして、重量平均分子量(Mw)が100〜20,000程度のポリスチレンを好適に用いることができる。
本発明でいうBRまたはハイシスBRの末端とは、10個以上のブタジエン単位から構成されるブタジエンゴム(またはポリブタジエン)における、他の分子あるいは官能基等と結合していない末端のブタジエン単位のことである。よって、ブタジエンゴム(またはポリブタジエン)が主鎖(直鎖)のみから構成される場合は、末端を2箇に所有することになる。また、ブタジエンゴム(またはポリブタジエン)が主鎖(直鎖)および側鎖(分岐鎖)から構成される場合は、主鎖(直鎖)の両末端および側鎖(分岐鎖)の数に応じて末端を有することになる。
BRまたはハイシスBRの末端に結合されるスチレンオリゴマーの重量平均分子量(Mw)、分子量が大きい方が乾燥路面での摩擦性能を向上させることができるという理由から、100以上好ましく、500以上がより好ましい。また、スチレンオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、分子量が小さい方が氷雪路面での低温特性を向上させることができるという理由から、20,000以下好ましく、10,000以下がより好ましい。
本発明でいうBRまたはハイシスBRの末端に結合されるスチレンオリゴマーの含有率(mol%)とは、得られたゴム全体に対する結合したスチレンオリゴマーの含有率(mol%)のことである。
BRまたはハイシスBRの末端に結合されるスチレンオリゴマーの含有率(mol%)は、含有率が多い方が乾燥路面での耐摩耗性能を向上させることができるという理由から、末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR中に、1mol%以上好ましく、2mol%以上がより好ましい。また、スチレンオリゴマーの含有率は、含有率が少ない方が、氷雪路面での低温特性を向上させることができるという理由から、15mol%以下好ましく、10mol%以下がより好ましい。
なお、BRまたはハイシスBRの末端に結合されるスチレンオリゴマーの含有率(mol%)は、たとえば、1H−NMRを用いて、5.0ppm付近の1,2−結合のピークと5.4ppm付近のシス1,4−結合およびトランス1,4−結合のピーク、および6.00〜7.00ppm付近のスチレンのピークの積分比から算出することにより測定することができる。1H−NMRとしては、例えばBRUKER製のUltrashield400を用い、測定することができる。
本発明の末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの重量平均分子量(Mw)は、重量平均分子量が高い方が燃費性能や耐摩耗性能を向上させることができるという理由から、10,000以上好ましく、100,000以上がより好ましい。また、末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの重量平均分子量(Mw)は、合成手法上、特に上限はないが、タイヤ製造上加工性を良好に維持できるという理由から、3,000,000以下好ましく、2,000,000以下がより好ましい。
なお、末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRのMwは、たとえば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いてポリスチレン換算で算出する方法、などにより測定することができる。GPCとしては、例えば東ソー(株)製のGPC−8000シリーズの装置を用い、検知器として示差屈折計を用いて測定し、標準ポリスチレンにより校正することにより行うことができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの他にも、その他のゴム成分、補強剤(充填剤)、シランカップリング剤、各種オイル、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤などのタイヤ用または一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。
以下に、末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR以外で、本発明のタイヤ用ゴム組成物に配合することができる各成分について説明する。
本発明で用いることができる末端スチレンオリゴマー結合BRまたは末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR以外のゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、イソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物などがあげられ、これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。なかでも、氷雪路面での性能、耐摩耗性および燃費性能のバランス良く向上させることができるという理由から、NR、IR、BR、SBRが好ましく、NR、SBRがより好ましい。
NRとしては、とくに制限はなく、RSS♯3、TSR20などの通常ゴム工業で使用されるものを使用することができる。
ゴム成分中のNRの含有率は、ゴム成分中に末端スチレンオリゴマー結合BRはたは末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRを5〜100重量%含有する条件下であれば特に制限はないが、耐カットチップ性能を向上させることができ加工性を良好に維持することができるという理由から、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。また、ゴム成分中のNRの含有率は、氷雪路面でのグリップ性能を向上させることができるという理由から、60重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。
補強剤(充填剤)としては、通常ゴム工業で使用されるシリカおよび/または一般式(1)で表わされる無機充填剤が用いることができる。
mM・xSiOy・zH2O (1)
(Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれる金属、該金属の酸化物および水酸化物、および、それらの水和物、ならびに、該金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも1種であり、m、x、yおよびzは定数である。)
無機充填剤の配合量は、得られるゴム組成物の強度を向上させることができるという理由から、ゴム成分100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、15重量部以上であることがより好ましい。また、無機充填剤の配合量は、ゴム組成物を加工する上で加工性を良好に保つことができるという理由から、ゴム成分100重量部に対して、150重量部以下であることが好ましく、100重量部以下であることがより好ましい。
シリカを配合する場合、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
本発明では、シリカを使用する場合、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
シランカップリング剤としては、とくに制限はなく、従来からシリカと併用されるシランカップリング剤を使用することができ、具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられ、これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、未加硫ゴム組成物の粘度を適度に低く維持することができ、無機充填剤を良好に分散することができるという理由から、シリカ100重量部に対して、1重量部以上であることが好ましく、2重量部以上であることがより好ましい。また、シランカップリング剤の配合量は、シリカとゴムのカップリング効率を高く維持し、試薬コストを抑えることができるという理由から、シリカ100重量部に対して、20重量部以下である好ましく、15重量部以下であることがより好ましい。
また、補強剤(充填剤)としては、カーボンブラックを用いることができる。
カーボンブラックとしては、とくに制限はなく、従来からゴム工業で使用されるS−SAF、SAF、ISAF、HAF、FEFなどのグレードを使用することができる。
カーボンブラックの配合量は、得られるゴム組成物に充分な補強性を与えることができ、耐摩耗性を向上させることができるという理由から、ゴム成分100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましい。また、カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物を加工する上で加工性を良好に保つことができ、得られるゴム組成物の硬度を適度に低く維持でき、氷上摩擦性能を向上させることができるという理由から、ゴム成分100重量部に対して、150重量部以下であることが好ましく、100重量部以下であることがより好ましい。
オイルとしては、ナフテンオイル、パラフィンオイルまたはプロセスオイルなど通常ゴム工業で使用される一般的なものが用いられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
オイルの配合量は、得られるゴム組成物の硬度を適度に低く維持でき、氷上摩擦性能を向上させることができるという理由から、ゴム成分100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましい。また、オイルの配合量は、耐摩耗性を向上させることができるという理由から、ゴム成分100重量部に対して、150重量部以下であることが好ましく、100重量部以下であることがより好ましい。
加硫剤としては、硫黄など通常ゴム工業で使用される一般的なものが用いられる。
加硫剤の配合量は、得られるゴム組成物の架橋密度を適度に高くでき、強度を向上させることができるという理由から、ジエン系ゴム100重量部に対して、0.2重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましい。また、加硫剤の配合量は、得られるゴム組成物の架橋密度が高くなりすぎず、硬度を適度に低く維持でき、氷上摩擦性能を向上させることができるという理由から、ジエン系ゴム100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、4重量部以下であることがより好ましい。
加硫促進剤としては、とくに限定はないが、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、ジベンゾチアゾリルジスルファイドなど、通常ゴム工業で使用される一般的なものがあげられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
加硫促進剤の配合量は、加硫速度を速くすることができ生産性を高めることができるという理由から、ジエン系ゴム100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、1重量部以上であることがより好ましい。また、加硫促進剤の配合量は、ゴム焼けを防止でき、強度の低下を防止することができるという理由から、ジエン系ゴム100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、前記末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR、その他のゴム成分、シリカやカーボンブラックなどの補強剤(充填剤)、シランカップリング剤、各種オイル、硫黄などの加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤の他に、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、などのタイヤ用または一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで、末端スチレンオリゴマー結合BRまたは末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRを含有するゴム成分、酸化亜鉛および必要に応じて前記配合剤を混練りし、その後加硫することにより、本発明のゴム組成物を製造することができる。
本発明の末端スチレンオリゴマー結合BRまたは末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRを含有するゴム成分を含むゴム組成物は、氷雪路面および一般(乾燥)路面での、グリップ性能の向上と耐摩耗性能の向上をバランス良く両立させることができるという理由から、タイヤ部材のなかでもスタッドレスタイヤ用トレッドゴムとして使用することが好ましい。そして、該スタッドレスタイヤ用トレッドゴムをトレッドとして有するスタッドレスタイヤとして使用することが好ましい。
本発明のゴム組成物を、例えばスタッドレスタイヤ用トレッドゴムとして用いてスタッドレスタイヤを製造する場合、通常の方法により製造することができる。すなわち、必要に応じて前記配合剤を配合した本発明のゴム組成物を未加硫の状態でスタッドレスタイヤ用トレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明のスタッドレスタイヤを製造することができる。
実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品および試験方法をまとめて説明する。
なお、本発明で用いたシス1,4−結合含有率が95%以上であるブタジエンゴム(ハイシスBR)(サンプルA)、ハイシスBRの末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴム(末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR)(サンプルBおよびC)、BRの末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴム(末端スチレンオリゴマー結合BR)(サンプルD)については以下の合成の項目で説明する。
天然ゴム(NR):RSS♯3
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のUBEPOL−BR150L
スチレン−ブタジエンゴム(SBR):JSR(株)製のSL574
カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウワブラックN220
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
ワックス:大内新興化学工業(株)のサンノックワックス
オイル:出光興産(株)製のダイナプロセスオイル
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
老化防止剤:大内新興化学工業(株)のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(サレン型錯体の合成)
3,5−ジ−tert−ブチルサリチルアルデヒド(3,5−di−tert−butylsalicylaldehyde)30mmolを250mLのメタノールに溶解し、エチレンジアミン15mmolを加えて、室温で2時間撹拝した。得られた反応物を濾過、精製し、N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)ethylenediamineが得られた。次に、得られたN,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)ethylenediamine 4mmolをメタノールに溶解し、酢酸コバルト・4水和物を4mmolを加えて、2時間還流した。得られた反応物を濾過、精製し、サレン型錯体:N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)ethylenediaminato Cobalt(II)を得た。
(ハイシスBRの合成)
撹拌機付き1L容量のオートクレーブを窒素置換し、溶剤としてジクロロエタンを500mL入れ、そこに30mlのブタジエンを仕込み、合成して得られたサレン錯体0.285mmolをジクロロエタン10mLに溶解したものとメチルアルミノキサン(MAO:75mmol)をアルムニウムとコバルトのモル比が500:1となるように添加し、室温で0.5〜1時間重合を行い重合物(ハイシスブタジエンゴム(BR))(サンプルA)を得た。
(末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの合成)
前記ハイシスBRの合成で得られたハイシスBRに対して、表1に示すスチレンを添加し、さらに室温で2時間重合を行った。表1では、添加したスチレン量をスチレン仕込み量(ml)と示す。重合終了後、メタノールを添加して重合を停止し、さらに2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を添加した大量のメタノールで得られた重合体を分離乾燥を行い重合物(末端スチレンオリゴマー結合ハイシスブタジエンゴム(BR))(サンプルBおよびC)を得た。
(末端スチレンオリゴマー結合BRの合成)
撹拌機付き1L容量のオートクレーブを窒素置換し、溶剤としてジクロロエタンを500mL入れ、そこに30mlのブタジエンを仕込み、シクロペンタジエニルチタントリクロライド(CpTiCl3)1.5mmolとメチルアルミノキサン(MAO)150mmol、クロラニール1.5mmolをそれぞれ添加し、60℃にて1時間重合を行い、その後、表1に示すスチレンを添加し、さらに60℃で2時間重合を行った。重合終了後、メタノールを添加して重合を停止し、さらにBHTを添加した大量のメタノールで得られた重合体を分離乾燥を行い重合物(末端スチレンオリゴマー結合BR)(サンプルD)を得た。
(合成したハイシスBR、末端スチレンオリゴマー結合BRおよび末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRの評価)
(分子量の測定)
重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製のGPC−8000シリーズの装置を用い、検知器として示差屈折計を用いて測定し、標準ポリスチレンにより校正した。
(ミクロ構造)
シス1,4−結合分率、1,2−結合分率は、赤外線吸収スペクトル法により測定した。測定にはパーキンエルマー社製のFT−IR spectrometerを使用した。測定は、透過法により行った。結果は、ブタジエン単位のシス1,4−結合に帰属される735cm-1の吸収強度、トランス1,4−結合に帰属される967cm-1の吸収強度、1,2−結合に帰属される911cm-1の吸収強度をそれぞれ測定し、その強度比から求めた。
(スチレン含量)
スチレン含有率(スチレンオリゴマーの含有率)(mol%)は1H−NMRから求めた。5.0ppm付近の1,2−結合のピークと5.4ppm付近のシス1,4−結合およびトランス1,4−結合のピーク、および6.00〜7.00ppm付近のスチレンのピークの積分比から算出した。
合成したサンプルの評価結果を表1に示した。
Figure 0005153254
サンプルAは、重量平均分子量(Mw)が292,000で、シス1,4−結合含有率が97.5%のハイシスBRが合成されていることが確認できた。
サンプルBは、重量平均分子量(Mw)が228,000で、シス1,4−結合含有率が97.3%で、スチレン含有率が2.9mol%である末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRが合成されていることが確認できた。
サンプルCは、重量平均分子量(Mw)が219,000で、シス1,4−結合含有率が97.0%で、スチレン含有率が4.5mol%である末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRが合成されていることが確認できた。
サンプルDは、重量平均分子量(Mw)が285,000で、シス1,4−結合含有率が68.3%で、スチレン含有率が4.3mol%である末端スチレンオリゴマー結合BRが合成されていることが確認できた。
実施例1〜3、比較例1〜3
(ゴム組成物の作製)
実施例1〜3:
表2に示す配合処方にしたがい、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて3〜5分間混練りし、温度150℃以上に達した時点で配合ゴムを排出し、ベース練りゴムとした。次に、ベース練りゴムと硫黄および加硫促進剤をオープンロールで混練りし、170℃で15分間プレス加硫して、実施例1〜3の加硫物(ゴム組成物)を得た。
比較例1〜3:
実施例1および2の末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBRまたは実施例3の末端スチレンオリゴマー結合BRの代わりに、BR(比較例1)、サンプルA(ハイシスBR)(比較例2)、SBR(比較例3)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。
得られた各加硫物を以下に示す各特性の試験を行なった。
(氷上摩擦試験)
温度制御可能な室内に設けられた氷路面上にゴム試験片を錘を用いて垂直抗力が5kgf/cm2となるよう押し付けるとともに、該錘を800mm/minの押出し速度で水平に押し出し、停止するまでの制動距離を測定した。評価は、比較例1の制動距離を100とする指数で表示しており、数値が大きいほど制動距離が短く好適であることを示している。なお室内の温度は、0℃(氷路面上に約0.3mmの水膜が存在したウェットオンアイス状態)(表2では氷上性能(ウェット)と表す)、−5℃(氷路面上に実質的な水膜が存在しないドライオンアイス状態)(表2では氷上性能(ドライ)と表す)の2条件で実験を行った。
(耐摩耗性)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%および試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。さらに、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)
=(比較例1の容積損失量)÷(各配合の容積損失量)×100
実施例1および2は末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴム(末端スチレンオリゴマー結合ハイシスBR)を用いることで、比較例1の通常市販のブタジエンゴムを用いた配合に比べて氷上性能を低下させることなく摩耗性能を向上させることができた。
比較例2は今回用いた反応系で合成したシス1,4−結合含有率が95%以上であるブタジエンゴム(ハイシスBR)を用いたものである。比較例2の氷上性能、摩耗性能の評価結果は、通常市販のブタジエンゴムを用いた比較例1の評価結果とほとんど差がないことがわかる。つまり、実施例1および2の結果は、合成方法の違いが原因ではなく、ハイシスBRの末端にスチレンオリゴマーを結合させたことが性能向上の原因であることが確認できた。
前記評価結果を表2に示す。
Figure 0005153254

Claims (6)

  1. 末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴムを5〜100重量%含有するゴム成分を含むゴム組成物であり、
    前記ブタジエンゴムのシス1,4−結合含有率が90%以上であり、
    前記ブタジエンゴムが、(A)サレン型金属錯体、ならびに(B)有機アルミニウム化合物およびアルミノキサンから選択される少なくとも1種の化合物を、それぞれ添加して合成されたブタジエンゴムであるゴム組成物
  2. 前記サレン型金属錯体の金属が、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、バナジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のゴム組成物。
  3. 前記末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴムの重量平均分子量が100,000〜3,000,000(ただし、100,000を除く)である請求項1または2記載のゴム組成物
  4. 前記末端にスチレンオリゴマーが結合したブタジエンゴムの重量平均分子量が219,000〜3,000,000である請求項1または2記載のゴム組成物。
  5. スタッドレスタイヤ用トレッドゴムとして用いる請求項1、2、3または4記載のゴム組成物。
  6. 請求項5記載のスタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物を用いたトレッドを有するスタッドレスタイヤ。
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