JP5147814B2 - ステロイド由来抗生物質 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は新規ステロイド誘導体およびその塩、ならびにそれらを調製する方法および中間体に関する。
グラム陰性菌の外膜に強く会合する幾つかの化合物は、外膜を破壊して、透過性を増加させることが知られている。透過性の増加は、細胞を直接死に至らしめうる、またはグラム陰性菌の他の抗生物質に対する感受性を増加させうる。このタイプの化合物で最も研究が進んでいるのがポリミキシン抗生物質である。グラム陰性菌の外膜の主要な構成成分(リピドA)に対するポリミキシンBの結合を調べる試験の例は、D.C.モリソン&ヤコブス(D.C. Morrison and D. M. Jacobs)、「細菌のリポ多糖類の一部である脂質に対するポリミキシンBの結合(Binding of Polymixin B to The Lipid a Portion of Bacterial Lipopolysaccharides)」、Immunochemistry 1976、13巻、813〜819(非特許文献1)を参照のこと。グラム陰性菌に対するポリミキシン誘導体の結合を含む試験の例に関しては、M. バアラ&P. ビルヤネン(M. Vaara and P. Viljanen)、「グラム陰性菌に対するポリミキシンBノナペプチドの結合(Binding of Polymyxin B Nonapeptide to Gram-negative Bacteria)」、Antimicrobial Agents and Chemotherapy、1985、27巻、548〜554(非特許文献2)を参照のこと。
グラム陰性菌の膜は、細菌細胞内の標的に対する抗生物質および宿主防御分子のアクセスを制限する半透過性の分子「ふるい」である。このように、自己促進性の取り込みシステムにアクセスする陽イオンおよびポリ陽イオンは、外膜の透過性バリアと相互作用してそれを分解することができるために、抗生物質および宿主防御分子に対するグラム陰性病原菌の感受性を増加させることができる。ハンコック&ワン(Hancock and Wong)は、広範囲のペプチドが透過性バリアを透過することができることを証明し、それらを記述するために「透過剤」という名称を作り出した(ハンコック&ワン(Hancock and Wong)、Antimicrob. Agents Chemother. 26:48、1984(非特許文献3))。
D.C.モリソン&ヤコブス(D.C. Morrison and D. M. Jacobs)、「細菌のリポ多糖類の一部である脂質に対するポリミキシンBの結合(Binding of Polymixin B to The Lipid a Portion of Bacterial Lipopolysaccharides)」、Immunochemistry 1976、13巻、813〜819 M. バアラ&P. ビルヤネン(M. Vaara and P. Viljanen)、「グラム陰性菌に対するポリミキシンBノナペプチドの結合(Binding of Polymyxin B Nonapeptide to Gram-negative Bacteria)」、Antimicrobial Agents and Chemotherapy、1985、27巻、548〜554 ハンコック&ワン(Hancock and Wong)、Antimicrob. Agents Chemother. 26:48、1984
本発明は式Iの化合物を特徴とする。
〔化16〕
Figure 0005147814
式中、縮合環A、B、CおよびDは独立して飽和または完全もしくは部分的に不飽和であり;および
R1〜R4、R6、R7、R11、R12、R15、R16、およびR17はそれぞれ、水素、ヒドロキシル、置換もしくは非置換(C1-C10)アルキル、(C1-C10)ヒドロキシアルキル、(C1-C10)アルキルオキシ(C1-C10)アルキル、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキル、置換もしくは非置換アリール、C1-C10ハロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、オキソ、第二のステロイドに結合した結合基、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルオキシ、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルカルボキシ、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルアミノカルボニル、H2N-HC(Q5)-C(O)-O-、H2N-HC(Q5)-C(O)-N(H)-、(C1-C10)アジドアルキルオキシ、(C1-C10)シアノアルキルオキシ、P. G. -HN-C(Q5)-C(O)-O-、(C1-C10)グアニジノアルキルオキシ、および(C1-C10)グアニジノアルキルカルボキシからなる群より独立して選択され、式中Q5は任意のアミノ酸の側鎖であり、P. G. はアミノ保護基である、および
R5、R8、R9、R10、R13、およびR14はそれぞれ独立して:
縮合環A、B、CもしくはDの一つが、その部位での炭素原子の原子価を完全にするために不飽和である場合、欠失している、または
水素、ヒドロキシル、置換もしくは非置換(C1-C10)アルキル、(C1-C10)ヒドロキシアルキル、(C1-C10)アルキルオキシ-(C1-C10)アルキル、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキル、置換もしくは非置換アリール、C1-C10ハロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、オキソ、第二のステロイドに結合した結合基、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルオキシ、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルカルボキシ、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルアミノカルボニル、H2N-HC(Q5)-C(O)-O-、H2N-HC(Q5)-C(O)-N(H)-、(C1-C10)アジドアルキルオキシ、(C1-C10)シアノアルキルオキシ、P. G.-HN-C(Q5)-C(O)-O-、(C1-C10)グアニジノアルキルオキシ、および(C1-C10)グアニジノアルキルカルボキシからなる群より選択され、式中Q5は、任意のアミノ酸の側鎖であり、P. G.はアミノ保護基である、および
R1〜R14の少なくとも2つが、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルオキシ、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルカルボキシ、置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルアミノカルボニル、H2N-HC-(Q5)-C(O)-O-、H2N-HC(Q5)-C(O)-N(H)-、(C1-C10)アジドアルキルオキシ、(C1-C10)シアノアルキルオキシ、P. G. -HN-C(Q5)-C(O)-O-、(C1-C10)シアノアルキルオキシ、P. G. -HN-C(Q5)-C(O)-O-、(C1-C10)グアニジノアルキルオキシ、および(C1-C10)グアニジノアルキルカルボキシからなる群より選択される;またはその薬学的に許容される塩である。
本明細書において用いられる「縮合環」という用語は、好ましくは複素環、または炭素環となりうる。
本明細書において用いる「飽和」という用語は、縮合環におけるそれぞれの原子がそれぞれの原子の原子価が満たされるように、水素であるか、または置換されている式Iの縮合環を指す。
本明細書において用いられる「不飽和」という用語は、縮合環のそれぞれの原子の原子価が水素または他の置換基で満たされていない式Iの縮合環を指す。例えば、縮合環において隣接する炭素原子は、互いに二重結合することができる。不飽和はまた、以下の対の少なくとも1つを欠失すること、および環状炭素原子の原子価をこれらの欠失位で二重結合によって完全にすることを含むことができる;R5とR9;R8とR10;およびR13とR14など。
本明細書において用いられる「非置換」という用語は、それぞれの原子の原子価が満たされているようにそれぞれの原子が水素化されている部分を指す。
本明細書において用いられる「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素のようなハロゲン原子を指す。
アミノ酸側鎖の例には、H(グリシン)、メチル(アラニン)、-(CH2-(C=O)-NH2(アスパラギン)、-CH2-SH(システイン)、および-CH(OH)CH3(トレオニン)が含まれるがこれらに限定しない。
アルキル基は、置換もしくは非置換であってもよい分岐または非分岐炭化水素である。分岐アルキル基の例には、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシルが含まれる。置換アルキル基は1、2、3またはそれ以上の置換基を有してもよく、それらは同じまたは異なっていてもよく、それぞれが水素原子を置換する。置換基はハロゲン(例えば、F、Cl、Br、およびI)、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノ、保護されたアミノ、カルボキシ、保護されたカルボキシ、シアノ、メチルスルホニルアミノ、アルコキシ、アシルオキシ、ニトロ、および低級ハロアルキルである。
本明細書において用いられる「置換された」という用語は、同じまたは異なっていてもよくそれぞれが水素原子を置換する、1、2、3個またはそれ以上の置換基を有する部分を指す。置換基の例には、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、およびI)、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノ、保護されたアミノ、カルボキシ、保護されたカルボキシ、シアノ、メチルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルキル、アクリル、アシルオキシ、ニトロ、および低級ハロアルキルが含まれるがこれらに限定しない。
アリール基は、環が炭素原子(例えば、C6-14、C6-10アリール基)で構成される、C6-20芳香環である。ハロアルキルの例には、フルオロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル、および2,2-ジブロモエチルが含まれる。
結合基はもう一つのステロイド、例えば式Iの第二の化合物と式の化合物とを結合させるために用いられる二価部分である。結合基の例は(C1-C10)アルキルオキシ-(C1-C10)アルキルである。
数多くのアミノ保護基が当技術分野で周知である。一般的に、保護基の種類は、それが化合物のその他の位置で何らかのその後の反応条件に対して安定であって、分子の残りに対して有害な影響を及ぼすことなく適当な時点で取り除くことができる限り、重要ではない。さらに、保護基は、実質的な合成的変換が終了した後に別の基に置換してもよい。明らかに、ある化合物が、開示の化合物の1つまたはそれ以上の保護基が異なる保護基に置換されている、という点に限って開示の化合物と異なる場合、その化合物は本発明に含まれる。さらなる実施例および条件は、T. W. グリーン(T. W. Greene)、「有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」、(第1版、1981、第二版1991)に示される。
本発明はまた、R1〜R14の少なくとも2つが、独立して置換もしくは非置換(C1-C10)アミノアルキルオキシからなる群より選択される場合、式Iの化合物を合成する方法を含む。本方法は、式IVの化合物を接触させる段階を含む:
〔化17〕
Figure 0005147814
式中、R1〜R14の少なくとも2つはヒドロキシルであり、縮合環A、B、C、およびD上の残りの部分は式Iに定義し、求電子剤は式IVのアルキルエーテル化合物を生じ、式中R1〜R14の少なくとも2つは(C1-C10)アルキルオキシである。アルキルエーテル化合物は、R1〜R14の少なくとも2つが独立して(C1-C10)アジドアルキルオキシおよび(C1-C10)シアノアルキルオキシからなる群より選択されるアミノ前駆化合物に変換され、アミノ前駆化合物が還元されて式Iの化合物を形成する。
本方法において用いた求電子剤には、2-(2-ブロモエチル)-1,3-ジオキソラン、2-ヨードアセトアミド、2-クロロアセトアミド、N-(2-ブロモエチル)フタルイミド、N-(3-ブロモプロピル)フタルイミド、およびアリルブロミドが含まれるがこれらに限定しない。好ましい求電子剤はアリルブロミドである。
本発明はまた、R1〜R14の少なくとも2つが(C1-C10)グアニドアルキルオキシである、式Iの化合物を製造する方法を含む。本方法は、R1〜R14の少なくとも2つがヒドロキシルである、式IVの化合物を、求電子剤に接触させて、R1〜R14の少なくとも2つが(C1-C10)アルキルオキシである式IVのアルキルエーテル化合物を生じることを含む。アリルエーテル化合物は、R1〜R14の少なくとも2つが(C1-C10)アジドアルキルオキシおよび(C1-C10)シアノアルキルオキシからなる群より独立して選択される、アミノ前駆化合物に変換される。アミノ前駆化合物は還元されて、R1〜R14の少なくとも2つが(C1-C10)アミノアルキルオキシである、アミノアルキルエーテル化合物を生じる。アミノアルキルエーテル化合物をグアニジノ生成求電子剤と接触させると、式Iの化合物を生成する。
本明細書において用いられる「グアニジノ生成求電子剤」という用語は、式Iのグアニジノ化合物を生成するために用いられる求電子剤を指す。グアニジノ生成求電子剤の例はHSO3-C(NH)-NH2である。
本発明はまた、R1〜R14の少なくとも2つがH2N-HC(Q5)-C(O)-O-であり、Q5が任意のアミノ酸の側鎖である式Iの化合物を製造する方法を含む。方法は、R1〜R14の少なくとも2つがヒドロキシルである式IVの化合物を、保護されたアミノ酸と接触させて、R1〜R14の少なくとも2つがP. G. -HN-HC(Q5)-C(O)-O- であり、Q5が任意のアミノ酸の側鎖であり、P. G. がアミノ保護基である、式IVの保護されたアミノ酸化合物を生じる段階を含む。保護されたアミノ酸化合物の保護基が外れると、式Iの化合物を生じる。
本発明はまた、抗菌剤、他の抗生物質に対する細菌の感作剤および細菌膜の破壊剤として有用な重要な薬学的組成物を含む。薬学的組成物は細菌感染症を有するヒトおよび動物を治療するために用いることができる。薬学的組成物はステロイド誘導体の有効量を単独または他の抗菌剤と組み合わせて含むことができる。
特定の理論に制限されることを望まないが、ステロイド誘導体は、細菌細胞の外膜に結合することによって、静菌剤および殺菌剤として作用する。ステロイド誘導体と細菌膜の相互作用によって細胞膜の整合性は破壊され、その結果細菌細胞の死が起こる。さらに、本発明の化合物はまた、その他の抗生物質に対して細菌を感作するように作用する。対応する最小静菌濃度以下のステロイド誘導体の濃度では、誘導体は、細菌外膜の透過性を増加させることによって他の抗生物質に対して細菌をより感受性にする。細菌に及ぼすステロイド誘導体の作用を定量するために用いられる測定には:最小生育阻止濃度(MIC)の測定、最小殺菌濃度(MBC)の測定、およびステロイド誘導体が他の抗生物質、例えば、エリスロマイシンおよびノボビオシンのMICを引き下げる能力が含まれる。
当業者は、本明細書に記述の化合物が、ステロイドにおいて認められる特定の立体化学および電子的特徴を保持していることを理解すると思われる。本明細書において用いられる「同一の立体配置」という用語は、同じ立体化学的方向性を有する縮合ステロイド上の置換基を指す。例えば、置換基R3、R7、およびR12は全てβ置換またはα置換されている。C3、C7、およびC12で置換した部分R3、R7、およびR13の立体配置は細胞膜との相互作用にとって重要となる可能性がある。
もう一つの局面において、本発明は上記化合物を用いた幾つかの方法を特徴とする。例えば、微生物感染症を治療するために、そのような化合物を含む抗菌組成物の有効量を宿主(ヒト宿主を含む)に投与する。化合物そのものが抗微生物作用を提供してもよく、その場合、投与される化合物の量は抗微生物作用を示すために十分である。または、微生物細胞に輸送すべきさらなる抗微生物性物質(例えば抗生物質)を抗微生物性組成物に含める。標的細胞への輸送を容易にすることによって、化合物はさらなる抗微生物性物質の有効性を増強することができる。場合によっては、増強は実質的であってもよい。特に重要な標的微生物は、細菌(例えば、グラム陰性細菌全般または外膜において実質的な量(>40%)のリピドAまたはリピドA様物質を有する細菌)である。真菌、ウイルス、および酵母を含む他の微生物もまた、標的微生物であってもよい。
本化合物はまた、細胞、特に上記の細菌細胞に異なる多くの種類の物質を導入するために細胞の透過性を増強させるという他の意味において投与することができる。抗微生物性物質を導入することのほかに、本発明は巨大分子(例えば、ベクターを持たないDNA)のような他の物質を導入するために用いてもよい。さらに、本発明の化合物は精細胞を透過性にするために用いることができる。
本発明はまた、上記化合物の1つを含む抗微生物性組成物(例えば、消毒剤、抗敗血症剤、抗生物質等)を製造するために用いることができる。これらの組成物は、医薬品に限定されず、それらは微生物(特に細菌)の増殖を制御するために局所的に、または非治療的な意味において用いてもよい。例えば、それらは、接触時に微生物を殺すまたは制御する応用において用いてもよい。
さらにもう一つの局面において、本発明は一般的に、候補化合物および本発明の化合物を投与することによって微生物に対して有効な化合物を同定し、候補化合物が微生物に対して静菌的または毒性作用(例えば抗敗血症、殺菌作用、消毒作用、または抗生物質作用)を有するか否かを決定する方法を特徴とする。この場合も、上記のような細菌が好ましい。本発明の局面によって、幾つかの意味において抗微生物作用を有することが知られているが、上記の細菌のような微生物の特定のクラスに対して何らかの作用を有することが示されていない、極めて広い範囲の候補抗微生物剤を有用に試験することが可能となる。下記に詳細に記述するように、本発明のこの局面により、現在、グラム陰性菌またはリピドA様含有細菌に対して無効であると考えられてきた広範囲の抗生物質の試験が可能となる。
さらにもう一つの局面において、本発明は、先により詳細に記述した抗菌物質のような、細胞に導入すべき物質と上記化合物の一つとを組合わせて含む組成物を特徴とする。化合物およびさらなる物質を薬学的に許容される担体と混合してもよい。
本発明のその他の特徴または利点は、幾つかの態様に関する以下の詳細な説明、ならびに添付の特許請求の範囲から明らかとなると思われる。
本発明は、本明細書に記述の合成経路によって作製することができるステロイド誘導体、および本明細書に開示の化合物を含む薬学的組成物の有効量を被験者に投与することによって細菌感染症によって媒介される疾患を有する被験者を治療する方法を含む。
好ましい態様に関する説明
一般的に、本発明は、上記の式Iの化合物を提供する。式Iの化合物の調製方法ならびにMICおよびMBCについて記述する。細胞膜透過性もまた、測定して記述する。下記に示すように本発明において有用な化合物は、静菌、殺菌、および細菌感作特性を示す新規ステロイド誘導体を含む。当業者は、本発明が添付の特許請求の範囲に記載の式に含まれ、記載の特徴を有するその他の化合物にも及ぶことを理解すると思われる。これらの特徴は、下記の、および文献に記載されているアッセイ法を用いてそれぞれの試験化合物に関して決定することができる。
本発明に従って用いられる既知の化合物および本発明の新規化合物の前駆体は例えば、シグマケミカル社、セントルイス;アルドリッチ社、ミルウォーキー;ステロロイズ&リサーチプラス社から購入することができる。本発明のその他の化合物は、一般に入手可能な前駆体を用いて既知の方法および下記の方法に従って合成することができる。
本発明の化合物は、ステロイド骨格、すなわちコール酸に共有結合したアミンまたはグアニジン基を含むが、これらに限定しない。骨格はステロイドの一つの表面上にアミンまたはグアニジン基を向けるために用いることができる。その他のステロイド骨格、例えば5員環縮合環も同様に用いることができる。
化合物の生物活性は、それによって所定の期間吸光度(OD)に変化が認められない最低濃度がMICとして記録される、本実施例に記載の「最小生育阻止濃度(MIC)」アッセイ法のような、当業者に既知の標準的な方法によって決定することができる。化合物単体を、化合物を欠損する対照に対して試験すると、化合物単体での抗微生物作用が決定される。
または「分画阻止濃度(FIC)」はまた、本発明の化合物間または化合物を既知の抗生物質と組み合わせた場合の相乗作用を決定するためにも有用である。FICはマイクロタイタープレートの一つの次元において化合物のチェッカーボード力価測定を行い、もう一つの次元において抗生物質のチェッカーボード力価測定を行うことによって決定することができる。FICは、もう一方のMICに及ぼす一つの抗生物質の影響およびその逆を調べることによって計算される。FICが1であれば化合物の影響が付加的であることを示し、そしてFICが1未満であれば相乗作用を示す。好ましくは、相乗作用について0.5未満のFICが得られる。本明細書において用いられるように、FICは以下のように決定することができる:
〔式〕
Figure 0005147814
本法によって、化合物の他の化合物との相乗作用を決定することができる。例えば、一般的に安全な用量で特定の細菌に対して十分に有効ではない物質は、本発明の化合物によってより有効にすることができ、このように物質を新規部類の感染症に対して用いることができるようにする。特に、既存の多くの抗生物質は幾つかのグラム陽性細菌に対して有効であるが、現在グラム陰性細菌感染症の治療には適応されていない。幾つかの場合において、抗生物質は、それが細胞に入ることができないために、グラム陰性菌に対して無効となる可能性がある。本発明の化合物は、抗生物質がグラム陰性菌に対して有効となるように透過性を増加させる可能性がある。
さらに、分画阻止濃度はまた、本発明の化合物と未知の抗菌活性を有する他の化合物と併用して、またはその他の化合物、例えば試験して抗菌活性を示す化合物と併用した場合の相乗作用を決定するために有用である。例えば、本発明の化合物は、抗細菌活性を欠損する化合物を菌に対して有効にするために透過性を増加させる可能性がある。FICはまた、本発明の透過性増強化合物によって細胞に導入される、これまで認識されていない物質の他のタイプの活性について調べるために用いることができる。
本発明者らは何らかの単一の特定の理論に拘束されることを意図しておらず、そのような理論は本発明の実践にとって必要ではないが、一つの作用機序は、生理的条件下で陽性荷電である、例えばグアニジノまたはアミノ部分である、多数(通常3つ)の部分のリピドA相互作用である。これらの部分は分子の残りの一般的平面から離れて伸び、このようにポリミキシン構造の特定の局面を模倣する。この点において、本発明の化合物は、一般的にポリミキシンが有用であるように有用となる。その上、全身投与に関しては、当業者は、微生物の透過性を増強する用量で毒性を示さない化合物を選択することができる、適当な毒性スクリーニングを理解すると思われる。
記載のように、本発明はまた、その中で化合物が治療すべき表面と接触する、局所のみならず非治療的(抗敗血症、殺菌または消毒)施用も含む。「接触する」という用語は、好ましくは、化合物が細菌を有効に阻害、殺菌する、または溶解することができるように、エンドトキシン(LPS)を結合することができるように、またはグラム陰性細菌外膜を透過性にすることができるように、細菌を化合物に暴露することを指す。接触は、化合物に対する細菌の感受性を試験するために、例えば化合物を培養細菌に加えることによってインビトロで行ってもよい。接触はまた、インビボ、例えば敗血症ショックのような細菌障害を有する被験者に化合物を投与することであってもよい。「阻害」または「有効量を阻害する」とは、静菌または殺菌作用を生じるために必要な化合物の量を指す。阻害される可能性がある細菌の例には、大腸菌、緑膿菌(P. aeruginosa)、エンテロバクター・クロアカエ(E. cloacae)、ネズミチフス菌(S. typhimurium)、ヒト結核菌(M. Tuberculosis)、および黄色ブドウ球菌(S. aureus)が含まれる。
細菌の増殖を阻害する方法は、併用または相乗的療法のために抗生物質の添加をさらに含んでもよい。投与される適当な抗生物質は典型的に、細菌がグラム陰性またはグラム陽性であるか否かのような、細菌の感受性に依存し、当業者によって容易に識別されると思われる。本発明の化合物(上記のように)との相乗的療法に関して試験される抗生物質の特定のクラスの例には、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシン)、ペニシリン(例えば、ピペラシリン)、セファロスポリン(例えば、セフタジジム)、フルオロキノロン(例えば、シプロフロキサシン)、カルバペネム(例えば、イミペネム)、テトラサイクリンおよびマクロライド(例えば、エリスロマイシンおよびクラリスロマイシン)が含まれる。細菌の増殖を阻害する方法はさらに、併用または相乗的療法のために抗生物質を加えることを含んでもよい。投与される適当な抗生物質は、典型的に細菌がグラム陰性であるかまたはグラム陽性であるか否かのような、細菌の感受性に依存し、当業者によって容易に識別されると思われる。上記の抗生物質のほかに、典型的な抗生物質には、例えば、アミノグリコシド系(アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルミシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシン・エストレート/エチルスクシネート/グルセプテート/ラクトバイオネート/ステアレート)、ペニシリン類のようなβ-ラクタム系(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、およびピペラシリン)、またはセファロスポリン系(例えば、セファロチン、セファゾリン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメット、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、およびセフスロジン)が含まれる。抗生物質のその他のクラスには、例えば、カルバペネム系(例えば、イミペネム)、モノバクタム系(例えば、アズトレオナム)、キノロン系(例えば、フレロキサシン、ナリジクス酸、ノフルロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、およびシノキサシン)、テトラサイクリン系(例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、およびグリコペプチド系(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン)が含まれる。その他の抗生物質には、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、およびムピロシンが含まれる。
投与
化合物は、ヒトまたはヒト以外の動物を含む任意の宿主に、細菌の増殖のみならず、ウイルスまたは真菌の増殖を阻害する有効量を投与してもよい。これらの化合物は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、殺菌剤、および抗真菌剤として有用である。化合物は、ヒトまたはヒト以外の動物を含む任意の宿主に、細菌の増殖のみならず、ウイルスまたは真菌の増殖を阻害する有効量を投与してもよい。これらの化合物は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、および抗真菌剤として有用である。
本発明の化合物は、注射または時間をかけた持続的注入によって非経口的に投与することができる。化合物は局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、または経皮的に投与することができる。化合物の好ましい輸送法には、ミクロスフェアへまたはプロテノイドの封入による経口投与、肺へのエアロゾル輸送、イオントフォレーシスまたは経皮的電気穿孔による経皮的投与が含まれる。その他の投与法は当業者に周知である。
本発明の化合物の非経口投与の調製物には、滅菌の水性または非水性溶液、懸濁液、および乳液が含まれる。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、オレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。水性担体には、生理食塩液および緩衝培地を含む、水、アルコール/水性溶液、乳液または懸濁液が含まれる。 非経口溶媒には塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース塩化ナトリウム、乳酸付加(lactated)リンゲル溶液、または固定油が含まれる。静脈内溶媒には、液体および栄養補助剤、電解質補助剤(リンゲルデキストロースに基づく溶液のような)等が含まれる。例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガス等のような保存剤およびその他の添加剤もまた、存在してもよい。
本発明は、敗血症の症状を示す、または敗血症を発症するリスクを有する被験者に、本発明の化合物の治療的有効量を投与することを含む、エンドトキシン血症、敗血症ショック(敗血症)関連障害、または敗血症の1つまたは複数の症状を治療または緩和する方法を提供する。「緩和する」という用語は治療すべき障害の症状を減少させる、または軽減することを指す。緩和されるそのような症状には、発熱、血圧低下、好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症、播種性血管内凝固症、成人呼吸窮迫症候群、ショックおよび多臓器不全のような、TNFの血中濃度の一過性の増加に関連した症状が含まれる。そのような治療を必要とする患者には、例えば、グラム陰性細菌感染症が原因で起こるエンドトキシン血症のような毒血症、ヘビ毒中毒、または肝不全のリスクを有する、またはそれらに罹患している患者が含まれる。さらに、グラム陽性細菌、ウイルスまたは真菌感染症を有する患者は、敗血症の症状を示す可能性があり、本明細書に記述の治療方法によって恩典が得られる可能性がある。本発明の方法によって特により恩典が得られる患者は、大腸菌、B型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae B)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、連鎖球菌(staphylococci)、または肺炎球菌(pneumococci)による感染症に罹患している患者である。敗血症のリスクがある患者には、銃損傷、腎または肝不全、外傷、火傷、免疫無防備状態(HIV)、造血新生物、多発性骨髄腫、カストルマン病、または心粘液腫を有する患者が含まれる。
さらに、化合物は持続的な放出を可能にする生体分解性のポリマーに組み入れてもよく、ポリマーを、輸送されることが望ましい場所の近傍、例えば細菌感染部位に埋め込んでもよい。生体分解性ポリマーおよびその使用は、ブレム(Brem)ら、J. Neurosurg. 74:441〜446(1991)に詳細に記述されている。
上記のように、本発明は、細菌感染症を有する患者を治療するために式Iの化合物の有効量を有する薬学的製剤を提供する。本明細書において用いられるように、化合物の有効量は、患者に投与した場合に、細菌の増殖を阻害し、細菌細胞を殺菌する、その他の抗生物質に対して細菌を感作する、または治療した患者において完全に細菌感染症を消失させる、化合物の量として定義される。組成物の用量は、治療すべき疾患、用いる特定の誘導体、ならびに患者の体重および疾患、ならびに化合物の投与経路のようなその他の臨床的要因に依存すると考えられる。しかし、ヒトへの経口投与の場合、0.01〜100 mg/kg/日の用量、好ましくは0.01〜1 mg/kg/日で一般的に十分である。有効な用量はまた、当業者によって認識されるように、投与経路、賦形剤の使用、およびその他の抗菌剤を含む他の治療的治療の併用の可能性に応じて変化すると考えられる。
例えば、本明細書においてエンドトキシン血症の治療のために用いられる「治療的有効量」という用語は、被験者のLPSに対する反応を減少させ、敗血症の症状を減少させるために十分な量である。したがって、「治療的有効」という用語は、TNFの血漿濃度の臨床的に有意な増加を予防する、好ましくは少なくとも50%減少させる、より好ましくは90%減少させるために十分な量を含む。化合物を投与する場合の用量範囲は、所望の作用を生じるために十分に大きい量である。一般的に用量は、年齢、状態、性別、および患者における細菌または上記のその他の物質による感染症の程度によって変化し、当業者によって決定されるであろう。用量は、何らかの禁忌があった場合には個々の医師が調節することができる。いずれの事象においても、治療の有効性は、患者におけるLPSとTNFのレベルをモニターすることによって決定することができる。LPSおよびTNFの血清濃度の減少は、患者の回復と相関するはずである。
さらに、敗血症のリスクがある、またはその症状を示す患者は、化合物の治療的投与と、TNFの阻害剤、抗生物質、またはその双方を実質的に同時に投与することをさらに含む、上記の方法によって、治療することができる。例えば、抗TNF抗体および/またはTNF拮抗剤を使用することによって、直接または間接的に、敗血症におけるTNFの役割に介入すれば、敗血症の症状を予防または緩和することができる。特に好ましいのは、トラセイ(Tracey)ら(Nature 330:662、1987)によって記述されるように、TNF特異性を有するモノクローナル抗体のような抗TNF抗体を活性成分として使用することである。
敗血症の症状を示す患者は、化合物による治療のほかに抗生物質で治療してもよい。典型的な抗生物質には、ゲンタマイシンのようなアミノグリコシド、またはペニシリンのようなβ-ラクタム、またはセファロスポリン、またはこれまで記載した抗生物質が含まれる。したがって、本発明の好ましい治療方法は、陽イオン化合物の治療的有効量を抗生物質の殺菌量の投与と実質的に同時に投与することを含む。好ましくは、化合物の投与は約48時間以内に起こり、好ましくは約2〜8時間以内、最も好ましくは抗生物質の投与と実質的に同時に起こる。
本明細書において「殺菌量」という用語は、治療を受ける患者において殺細菌血中濃度に達するために十分な量を指す。ヒトに投与して一般に安全であると認識される抗生物質の殺菌量は、当技術分野で周知であり、当技術分野で既知であるように、特異的抗生物質および治療される細菌感染症のタイプに応じて変化する。
化合物の抗生物質、抗菌剤、および抗ウイルス特性のために、それらはまた、微生物またはウイルス汚染を受けやすい材料の保存剤または滅菌剤として用いてもよい。本発明の化合物は、様々な特異的施用に対して向けられる広域スペクトルの抗菌剤として利用することができる。そのような施用は、サルモネラ(Salmonella)、エルシニア(Yersinia)、シゲラ(Shigella)を含む微生物に対して単体またはライソザイムのような抗菌食品添加物と併用して有効であると確認された場合に、加工食品における保存剤として;局所剤として(シュードモナス(Pseudomonas)、連鎖球菌(Streptococcus))および異臭生成微生物(ミクロコッカス(Micrococci))を殺菌するために化合物を使用することができる。記述した施用に関する本発明の化合物の相対的有効性は、化合物の一つに対する微生物の感受性を決定することによって当業者によって容易に決定することができる。
本発明は、その外套が実質的な量のリピドAを含む古典的なグラム陰性染色細菌を主に標的としているが、疎水性の外套を有するその他の微生物に対しても有効となる可能性がある。例えば、マイコバクテリウム(mycobacterium)属は、ロウ状の保護的な外側のコーティングを有し、本発明の化合物を抗生物質と併用すると、結核を含むマイコバクテリウム(mycobacterium)感染症に対して有効性が増強される可能性がある。その場合、化合物は幾つかの既知の技術のいずれかによって鼻孔に投与することができる(吸引)。
抗微生物作用とは別に、化合物によって提供される透過性によって、非常に多様な物質の微生物への導入が増強される可能性がある。例えば、化合物はDNAまたはRNAのような巨大分子の微生物、特にグラム陰性菌への導入を増強するために用いてもよい。その場合、微生物をトランスフェクトする場合に核酸をパッケージングするために従来のベクター(例えば、ファージ)を用いる必要がない可能性がある。本発明の化合物を用いてそのような巨大分子を微生物に微生物に導入する条件および技術は、ほとんどの場合ルーチンであると思われる。
製剤には経口、直腸、鼻孔、局所(経頬、および舌下)、膣内、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、眼内、気管内、および硬膜内)投与のために適した製剤が含まれる。製剤は、簡便に単位投与剤形であってもよく、従来の薬学的技術によって調製してもよい。そのような技術は、活性成分と薬学的担体または賦形剤とを会合させる段階を含む。一般的に、製剤は、活性成分を均一および十分に液体担体または微粉固体担体またはその双方と会合させ、次に必要であれば製品に成型することによって調製する。
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが既定量の活性成分を含むカプセル剤、トローチ剤もしくは錠剤のような個別単位;粉剤もしくは顆粒剤;水性液体もしくは非水性液体中での溶液または懸濁液;または水中油型液体乳液、または油中水型乳液およびボーラス等であってもよい。
錠剤は、選択的に1つまたは複数の補助成分と共に圧縮または成型によって作製してもよい。圧縮錠剤は、適した機械において、粉末または顆粒剤のような自由流動型の活性成分を、選択的に結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、表面活性または分散剤と混合して、圧縮することによって調製してもよい。成型錠剤は、適した機械において不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成型することによって作製してもよい。錠剤は選択的にコーティングまたは刻み目をいれてもよく、活性成分の遅いまたは持続的な放出が得られるように製剤化してもよい。
口内での局所投与に適した製剤には、芳香基剤、通常蔗糖およびアカシアまたはトラガカント中に成分を含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンのような不活性基剤、または蔗糖およびアカシア中に活性成分を含む香錠;および適した液体担体中で投与される成分を含む口内洗浄液が含まれる。
皮膚への局所投与に適した製剤は、薬学的に許容される担体において投与される成分を含む、軟膏、クリーム、ゲル、およびペーストであってもよい。好ましい局所輸送システムは、投与すべき成分を含む経皮パッチである。
直腸投与のための製剤は例えば、ココアバターまたはサリチル酸塩を含む、適した基剤による坐剤として示してもよい。
担体が固体である鼻腔内投与に適した製剤には、粒子径が例えば20〜500ミクロンの範囲である粗粉末が含まれ、これをその中で鼻吸入が行われるように、すなわち鼻の近くに保持した粉末容器から鼻孔を通じて迅速に吸入されるように投与する。担体が、例えば鼻スプレー、エアロゾル、または点鼻液として投与するための液体である、適した製剤には、活性成分の水溶液または油性溶液が含まれる。
膣内投与に適した製剤は、活性成分に加えて当技術分野で適当であることが知られている担体のような含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤であってもよい。
非経口投与に適した製剤には、予定しているレシピエントの血液と製剤を等張にする抗酸化剤、緩衝剤、またはその他の静菌剤および溶質を含んでもよい水性および非水性滅菌注射液;ならびに懸濁化剤および濃厚剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液を含む。製剤は単位用量、または多用量容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルの形であってもよく、使用直前に注射のために液体担体、例えば水を加えるのみであるフリーズドライ(凍結乾燥した)状態で保存してもよい。即時調合注射剤溶液および懸濁液は、先に記述した種類の滅菌粉末、顆粒剤および錠剤から調製してもよい。
好ましい単位投与製剤は、本明細書において先に引用した、投与した成分の1日量または単位、1日分割用量、またはその適当な分画を含む製剤である。
成分、特に上記の成分に加えて、本発明の製剤は、該製剤のタイプに関して、当技術分野で慣例的なその他の物質を含んでもよく、例えば、経口投与に適した製剤は着香料を含んでもよい。
薬学的組成物における担体は、製剤の活性成分と適合性である(そして好ましくは、それを安定化することができる)という意味において「許容可能」でなければならず、治療すべき被験者に対して有害でないものでなければならない。
さらなる努力を行うことなく、先の説明は、本発明を適切に可能にすると考えられる。したがって、以下の特定の態様は単なる説明であって、本開示の残りをいずれにせよ制限すると解釈されない。本明細書に引用した、特許を含む全ての刊行物は、参照として本明細書に組み入れられる。
実施例1〜6は、スキーム1〜7に例示するように化合物1〜48の典型的な合成を示す。実施例7はMICおよびMCB試験を表す。実施例8は式Iの化合物が他の抗生物質のMICを低下させることができることを表す。実施例9は、既知の開始材料および本明細書に記述と類似の反応スキームを用いて合成することができる式Iの他の化合物を表す。例えば、コール酸のヒドロキシル基は、シー(Hsieh)らの「胆汁酸に由来するC3-、C12-、およびC24-置換アミノステロイドの合成とDNA結合特性(Synthesis and DNA Binding Properties of C3-, C12-, and C24- substituted Amino-Steroids Derived from Bile Acids)」、Biorganic and Medical Chemistry, 1995、6巻、823〜838に記載の方法によってアミンに変換することができる。
〔化18〕
スキーム1.化合物1、2、4および5の調製
Figure 0005147814
試薬(反応収率を括弧内に示す):a) LiAlH4(98%)。b) トリチルクロライド、Et3N、DMF(70%)。c) 臭化アリル、NaH、THF(96%)。d) O3、CH2Cl2、MeOH:Me2S:NaBH4(95%)。e) 9-BBN、THF:H2O2、NaOH(80%)。f) MsCl、CH2Cl2、Et3N(78%、82%)。g) NaN3、DMSO(20に関して66%、19は直接23に運ばれる)。h) TsOH、MeOH(94%、19から全体で94%)。i) MsCl、CH2Cl2、Et3N(99%、97%)。j) N-ベンジルメチルアミン(95%、96%)。k) LiAlH4、THF(95%、99%)。l) NH2(CH)SO3、MeOH(91%、89%)。
〔化19〕
スキーム2.化合物3の調製
Figure 0005147814
試薬(反応収率は括弧内に示す):a) KCN、DMSO;MeOH、TsOH(92%)。(b)MsCl、Et3N、CH2Cl2;BnMeNH(88%)。c) LiAlH4、AlCl3、THF(50%)。
〔化20〕
スキーム3.6および7の調製
Figure 0005147814
試薬(反応収率を括弧内に示す):a) ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-ヒドロキシスクシニミド、メチルフェニルアミン、CH2Cl2、MeOH(85%)。b) LiAlH4、THF(82%)。c) ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジメチルアミノピリジン、Boc-グリシン、CH2Cl2(68%)。d) ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジメチルアミノピリジン、Boc-βアラニン、CH2Cl2(72%)。e) HCl、ジオキサン(〜100%、〜100%)。
〔化21〕
スキーム4.化合物8の合成
Figure 0005147814
試薬(反応収率を括弧内に示す):a) DIAD、Ph3P、p-ニトロ安息香酸、THF(85%);NaOH、MeOH(85%)。b) 臭化アリル、NaH、THF(79%)。c) O3、CH2Cl2、MeOH;Me2S:NaBH4(65%)。d) MsCl、CH2Cl2、Et3N(86%)。e) NaN3、DMSO(80%)。f) TsOH、MeOH(94%)。g) MsCl2、CH2Cl2、Et3N:N-ベンジルメチルアミン(93%)。g) LiAlH4、THF(94%)。
〔化22〕
スキーム5.化合物9および10の合成
Figure 0005147814
試薬(反応収率を括弧内に示す):a) NaH、臭化オクリル、DMF(80%);LiAlH4、THF(60%)。b) LiAlH4、THF(60%)。
〔化23〕
スキーム6.化合物11の合成
Figure 0005147814
試薬(反応収率を括弧内に示す):a) エチレングリコール、p-トルエンスルホン酸、ベンゼン;NaOH、MeOH(96%)。b) 臭化アリル、NaH、THF(90%)。c) 9-BBN、THF;MaOH、H2O2、H2O(54%)。d) p-トルエンスルホン酸ピリジニウム、MeOH(98%)。c) 塩化メタンスルホニル、Et3N、CH2Cl2;NaN3、DMSO(88%)。f) LiAlH4、THF(69%)。
〔化24〕
スキーム7.化合物12の合成
Figure 0005147814
試薬(反応収率を括弧内に示す):a) 塩化メタンスルホニル、Et3N、CH2Cl2;NaBr、DMF(97%)。b) 23、NaH、DMF(52%)。c) LiAlH4、THF(76%)。
化合物1〜48の合成
全般
1Hおよび13C NMRスペクトルをバリアンジェミニ2000(200 MHz)またはバリアンユニティ300(300 MHz)分光光度計上で記録し、CHCl3(1H)またはCDCl3(13C)を基準とした。IRスペクトルをパーキンエルマー1600 FTIR機器で記録した。マススペクトルデータはJOEL SX 102A分光光度計上で得た。使用前にTHFをNa゜/ベンゾフェノン上で乾燥させ、CH2Cl2をCaH2上で乾燥させた。その他の試薬および溶媒は購入して原液のまま使用した。
実施例1
化合物13:
1リットルの丸底フラスコに、無水THF(600mL)を溶媒とするコール酸メチル(30.67g, 72.7mmol)およびLiAlH4(4.13g, 109mmol)を添加した。48時間還流した後、Na2SO4の飽和水溶液(100mL)をゆっくり注入し、得られた沈殿をろ過し、熱THF及びMeOHで洗浄した。MeOHで再結晶し、無色の結晶13(28.0g, 収率98%)を得た。融点236.5〜238℃;IR(KBr) 3375, 2934, 1373, 1081 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 417.2992(55.3%);計算値417.2981
化合物14:
丸底フラスコに、DMF(300mL)を溶媒とする化合物13(28.2g, 71.7mmol)、Et3N(20mL, 143.4mmol)、塩化トリチル(25.98g, 93.2mmol)およびDMAP(0.13g, 1.07mmol)を添加した。この混合物をN2下50℃で30時間攪拌し、引き続き水(1000mL)を注入し、EtOAcで抽出した(5x200mL)。一緒にした抽出液を、水およびブラインで洗浄し、その後MgSO4上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去した後、残渣をSiO2クロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液:CH2Cl2、Et2OおよびMeOH)、淡黄色固形物14を得た(31.9g、収率70%)。融点:187℃(分解);
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 659.4069(100%);計算値659.4076。
化合物15:
丸底フラスコに、無水THF(600mL)を溶媒とする化合物14(20.0g, 31.4mmol)およびNaH(鉱油中60%、6.3g, 157.2mmol)を添加した。この混合物をN2下で30分間還流し、引き続き臭化アリル(27mL, 314mmol)を添加した。60時間還流した後、NaH(3当量)および臭化アリル(4当量)を添加した。引き続き更に50時間還流し、水(20mL)をゆっくり注入し、引き続き1%HClを水相が中性になるまで添加した。その後この混合物を、エーテルで抽出し(3x100mL)、一緒にした抽出液を、水(100mL)およびブライン(2x100mL)で洗浄した。このエーテル溶液を、無水Na2SO4上で乾燥し、溶媒を除去した後、残渣をSiO2クロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液:ヘキサンおよびEtOAc/ヘキサン、1:8)、淡黄色ガラス状化合物15を得た(22.76g、収率96%)。IR(実測値)2930, 1448, 1087 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 779.5013(86.1%);計算値779.5015。
化合物16:
三首丸底フラスコに、CH2Cl2(200mL)を溶媒とする化合物15(3.34g, 4.4mmol)およびメタノール(100mL)を添加した。冷した溶液(−78℃)オゾンを通して、青色が持続するようになるまで泡立てた。過剰量のオゾンを酸素フローにより除去した。この混合物を、ドライアイス−アセトン浴中に1時間静置した。硫化メチル(2.4mL)を添加し、かつ15分後、この混合物を5%NaOH水溶液(10mL)/メタノール(10mL)を溶媒とするNaBH4(1.21g, 32mmol)で処理し、室温まで温めた。この混合物を、ブラインで洗浄し(3x50mL)、かつ一緒にしたブライン洗浄液を、CH2Cl2で抽出した(2x50mL)。この有機相をMgSO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(CH2Cl2中MeOH(5%))の後、油状の化合物16を単離した(3.30g、収率95%)。IR(実測値)3358, 2934, 1448, 1070 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 791.4860(100%);計算値791.4863。
化合物17:
丸底フラスコに、氷浴中N2下で無水THF(30mL)を溶媒とする化合物16(1.17g, 1.55mmol)を添加し、引き続き9-BBN/THF溶液(0.5M, 10.2mL, 5.51mmol)を添加した。この混合物を室温で12時間攪拌した。NaOH水溶液(20%)(2mL)および過酸化水素水(30%)(2mL)を順次添加した。この混合物を1時間還流した後、ブライン(60mL)を添加し、かつEtOAcで抽出した(4x30mL)。一緒にした抽出物を、無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(CH2Cl2中の5%MeOH)の後、無色の油状物として生成物を得た(1.01g, 収率80%)。IR(実測値)3396, 2936, 1448, 1365, 1089 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 833.5331(100%);計算値833.5332。
化合物18:
丸底フラスコに、CH2Cl2(150mL)を溶媒とする化合物16(3.30g, 4.29mmol)およびNEt3(2.09mL, 15.01mmol)を添加した。この混合物を、氷浴中N2下に置き、引き続き塩化メシル(1.01mL, 14.16mmol)を添加した。30分後、水(30mL)およびブライン(200mL)を添加した。CH2Cl2相を、ブラインで洗浄し(2x50mL)、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。一緒にした水性混合物を、EtOAcで抽出した(3x100mL)。一緒にした抽出液を、ブラインで洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:1)の後、所望の生成物を淡黄色油状物として単離した(3.35g, 収率78%)。IR(実測値)2937, 1448, 1352, 1174, 1120, 924 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 1205.4176(81.5%);計算値1205.4189。
化合物19:
丸底フラスコに、CH2Cl2(50mL)を溶媒とする化合物17(1.01g, 1.25mmol)およびNEt3(0.608mL, 4.36mmol)を添加した。この混合物を、氷浴中N2下に置き、引き続き塩化メシル(0.318mL, 4.11mmol)を添加した。30分後、水(10mL)を、その後ブライン(80mL)を添加した。CH2Cl2相を、ブラインで洗浄し(2x20mL)、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。一緒にした水性混合物を、EtOAcで抽出した(3x40mL)。一緒にした抽出液を、ブラインで洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:1)の後、所望の生成物を淡黄色油状物として単離した(1.07g, 収率82%)。IR(実測値)2938, 1356, 1176, 1112 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 1067.4672(100%);計算値1067.4659。
化合物20:
丸底フラスコに、無水DMSO(20mL)を溶媒とする化合物18(1.50g, 1.50mmol)およびNaN3(0.976g, 15mmol)を添加した。この混合物を、80℃に加熱し、N2下で一晩攪拌し、その後水(100mL)で希釈した。得られた水性混合物を、EtOAcで抽出し(3x50mL)、一緒にした抽出液を、ブラインで洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:5)の後、所望の生成物を透明なガラス状物として単離した(0.83g, 収率66%)。IR(実測値)2935, 2106, 1448, 1302, 1114 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 866.5040(100%);計算値866.5057。
化合物22:
丸底フラスコに、MeOH(30mL)を溶媒とする化合物20(830mg, 0.984mmol)およびCH2Cl2(30mL)およびp-トルエンスルホン酸(9.35mg, 0.0492mmol)を添加した。この溶液を、室温で2.5時間攪拌し、その後NaHCO3飽和水溶液(10mL)を注入した。ブライン(30mL)を添加し、混合物をEtOAcで抽出した(4x20mL)。一緒にした抽出液を、無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)の後、所望の生成物を淡黄色油状物として単離した(0.564g, 収率95%)。IR(実測値)3410, 2934, 2106, 1301, 1112 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 624.3965(100%);計算値624.3962。
化合物23:
丸底フラスコに、化合物19(1.07g, 1.025mmol)およびNaN3(0.666g, 10.25mmol)を添加し、その後無水DMSO(15mL)を注入した。この混合物を、N2下で一晩最高80℃で加熱した。H2O(100mL)添加後、この混合物をEtOAcで抽出し(4x40mL)、かつ一緒にした抽出液を、無水Na2SO4上で乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をMeOH(15mL)およびCH2Cl2(15mL)中溶解し、引き続き触媒量のp-トルエンスルホン酸(9.75mg, 0.051mmol)を添加した。この溶液を室温で2.5時間攪拌し、その後飽和NaHCO3溶液(15mL)を添加した。ブライン(60mL)を添加した後、この混合物をEtOAcで抽出した(5x30mL)。一緒にした抽出液にブライン(150mL)を添加し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)の後、所望の生成物を黄色がかった油状物として得た(0.617g, 2段階の収率94%)。IR(実測値)3426, 2928, 2094, 1456, 1263, 1107 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 666.4415(100%);計算値666.4431。
化合物24:
丸底フラスコに、CH2Cl2(30mL)を溶媒とする化合物22(0.564g, 0.938mmol)およびNEt3(0.20mL, 1.40mmol)を添加した。この混合物を、N2下で氷浴に入れ、引き続き塩化メシル(0.087mL, 1.13mL)を添加した。30分後、水(20mL)およびブライン(100mL)を添加した。CH2Cl2相を、ブライン(2x20mL)で洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。一緒にした水性混合物を、EtOAcで抽出した(3x30mL)。一緒にした抽出液を、ブラインで洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)の後、所望の生成物を黄色がかった油状物として得た(0.634g, 収率99%)。IR(実測値)2935, 2106, 1356, 1175, 1113 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 702.3741(100%);計算値702.3737。
化合物25:
丸底フラスコに、CH2Cl2(30mL)中に化合物23(0.617g, 0.96mmol)およびNEt3(0.20mL, 1.44mmol)を添加した。この混合物を、N2下で氷浴に入れ、引き続き塩化メシル(0.089mL, 1.15mmol)を添加した。30分後、水(20mL)およびブライン(120mL)を添加した。CH2Cl2相を、ブラインで洗浄し(2x20mL)、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。一緒にした水性混合物を、EtOAcで抽出した(3x30mL)。一緒にした抽出液を、ブラインで洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。溶媒を除去した後、所望の生成物を淡黄色がかった油状物として得た(0.676g, 収率97%)。IR(実測値)2934, 2094, 1454, 1360, 1174, 1112 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロールマトリックス) m/e:([M+H]+) 722.4385(22.1%);計算値722.4387。
化合物26:
50mLの丸底フラスコに、化合物24(0.634g, 0.936mmol)およびN-ベンジルメチルアミン(2mL)を添加した。この混合物を、N2下で一晩80℃で加熱した。過剰なN-ベンジルメチルアミンを減圧下で除去し、および残渣を、SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)にかけた。所望の生成物を淡黄色油状物として単離した(0.6236g, 収率95%)。IR(実測値)2935, 2106, 1452, 1302, 1116 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M-H]+) 703.4748(90.2%);計算値703.4772;([M+H]+) 705.4911(100%);計算値705.4928;([M+Na]+) 727.4767(1.5%);計算値727.4748。
化合物27:
50mLの丸底フラスコに、化合物25(0.676g, 0.937mmol)およびN-ベンジルメチルアミン(2mL)を添加した。この混合物を、N2下一晩80℃で加熱した。過剰なN-ベンジルメチルアミンを減圧下で除去し、および残渣を、SiO2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)にかけた。所望の生成物を淡黄色油状物として単離した(0.672g, 収率96%)。IR(実測値)2934, 2096, 1452, 1283, 1107 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロールマトリックス) m/e:([M+H]+) 747.5406(77.2%);計算値747.5398。
化合物1:
丸底フラスコに、無水THF(30mL)を溶媒とする化合物26(0.684g, 0.971mmol)およびLiAlH4(113.7mg, 3.0mmol)を、N2下で添加した。この混合物を、室温で12時間攪拌し、その後Na2SO4・10H2O粉末(10g)を、ゆっくり添加した。灰色が消失した後、この混合物をセライトを通してろ過し、かつ無水THFで洗浄した。生成物を無色のガラス状物として得た(0.581g、収率95%)。IR(実測値)3372, 2937, 1558, 1455, 1362, 1102 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロールマトリックス) m/e:([M+H]+) 627.5211(100%);計算値627.5213。
化合物1のHCl塩
化合物1を、最低量のCH2Cl2中に溶解し、エーテルを溶媒とするHCl過剰量を添加した。溶媒および過剰量のHClを、減圧下で除去し、非晶質の白色粉末を得た。
Figure 0005147814
化合物2:
丸底フラスコに、無水THF(150mL)を溶媒とする化合物27(0.82g, 1.10mmol)およびLiAlH4(125mg, 3.30mmol)を、N2下で添加した。この混合物を、室温で12時間攪拌し、その後Na2SO4・10H2O粉末(10g)を、ゆっくり添加した。灰色が消失した後、この混合物を綿栓を通してろ過し、かつ無水THFで洗浄した。THFを減圧下で除去し、かつ残渣をCH2Cl2(50mL)中に溶解した。ろ過後、無色ガラス状の所望の生成物を得た(0.73g、収率99%)。IR(実測値)3362, 2936, 2862, 2786, 1576, 1466, 1363, 1103 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 691.5504(38.5%);計算値691.5502。
化合物2のHCl塩
化合物2を、最低量のCH2Cl2中に溶解し、エーテルを溶媒とするHCl過剰量を添加した。溶媒および過剰量のHClを除去し、非晶質の白色粉末を得た。
Figure 0005147814
化合物4:
メタノールおよびクロロホルムを溶媒とする化合物1(79.1mg, 0.126mmol)およびアミノイミノメタンスルホン酸(50.15mg, 0.404mmol)の懸濁液を、室温で24時間攪拌したところ、懸濁液が透明になった。HCl(1M, 1mL)のエーテル溶液を添加し、引き続き溶媒をN2フローにより除去した。残渣を、H2O(5mL)に溶解し、その後20%NaOH水溶液(0.5mL)を添加した。得られた曇った混合物を、CH2Cl2で抽出した(4x5mL)。一緒にした抽出液を、無水Na2SO4上で乾燥した。溶媒を除去し、所望の生成物を白色粉末として得た(90mg、収率95%)。融点111〜112℃。IR(実測値)3316, 2937, 1667, 1650, 1556, 1454, 1348, 1102 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+H]+) 753.5858(100%);計算値753.5867。
化合物4のHCl塩
化合物4を、最小量のCH2Cl2およびMeOH中に溶解し、引き続きエーテルを溶媒とするHCl過剰量を添加した。溶媒をN2フローにより除去し、残渣を、一晩高減圧状態に置いた。非晶質白色粉末として、所望の生成物を得た。
Figure 0005147814
化合物5:
メタノールおよびクロロホルムを溶媒とする化合物2(113mg, 0.169mmol)およびアミノイミノメタンスルホン酸(67.1mg, 0.541mmol)の懸濁液を、室温で24時間攪拌した。エーテルを溶媒とするHCl(1M, 1mL)を添加し、引き続きN2フローにより溶媒を除去した。残渣を、一晩高減圧状態に置き、かつH2O(5mL)に溶解し、その後20%NaOH水溶液(1.0mL)を添加した。得られた混合物を、CH2Cl2で抽出した(5x5mL)。一緒にした抽出液を、無水Na2SO4上で乾燥した。溶媒を除去し、所望の生成物を白色固形物として得た(90mg、収率95%)。融点102〜104℃。IR(実測値)3332, 3155, 2939, 2863, 1667, 1651, 1558, 1456, 1350, 1100 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+H]+) 795.6356(84.3%);計算値795.6337。
化合物5のHCl塩
化合物5を、最小量のCH2Cl2およびMeOH中に溶解し、引き続きエーテルを溶媒とするHCl過剰量を添加した。溶媒および過剰なHClをN2フローにより除去し、残渣を、一晩高減圧状態に置いた。非晶質白色粉末として、所望の生成物を得た。
Figure 0005147814
実施例2
化合物28:
無水DMSO(5mL)を溶媒とする化合物19(0.641g, 0.614mmol)およびKC(0.40g, 6.14mmol)の懸濁液を、80℃でN2下で一晩攪拌した後、H2O(50mL)を添加した。水性混合物は、EtOAcで抽出した(4x20mL)。一緒にした抽出液をブラインで一回洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、かつ減圧下で濃縮した。残渣を、CH2Cl2(3mL)に溶解し、MeOH(3mL)および触媒量のp-トルエンスルホン酸(5.84mg, 0.03mmol)を添加した。この溶液を室温で3時間攪拌し、その後NaHCO3飽和溶液(10mL)を注入した。ブライン(60mL)を添加した後、混合物をEtOAcで抽出した(4x30mL)。一緒にした抽出液をブラインで一回洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、かつ濃縮した。残渣は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、2:1)の後、所望の生成物を、淡黄色がかった油状物として得た(0.342g、収率92%)。IR(実測値)3479, 2936, 2864, 2249, 1456, 1445, 1366, 1348, 1108 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 618.4247(67.8%);計算値618.4247。
化合物29:
無水CH2Cl2(15mL)を溶媒とする化合物28(0.34g, 0.57mmol)溶液に0℃N2下で、NEt3(119.μL, 0.857mmol)を添加し、引き続き、塩化メシル(53.1μL, 0.686mmol)を添加した。混合物を、0℃で30分間攪拌し、その後H2O(6mL)を添加した。ブライン(60mL)を注入した後、水性混合物をEtOAcで抽出した(4x20mL)。一緒にした抽出液をブラインで一回洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、かつ濃縮した。残渣に、N-ベンジルメチルアミン(0.5mL)を添加し、混合物を80℃N2下で一晩攪拌した。過剰なN-ベンジルメチルアミンを減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにかけ(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、2:1、次にEtOAc)の後、生成物を淡黄色油状物として得た(0.35g、収率88%)。IR(実測値)2940, 2863, 2785, 2249, 1469, 1453, 1366, 1348, 1108 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+H]+) 699.5226(100%);計算値699.5213。
化合物3:
無水THF(10mL)を溶媒とする化合物29(0.074g, 0.106mmol)溶液を、無水THF(10mL)を溶媒とするAlCl3(0.1414g, 1.06mmol)およびLiAlH4(0.041g, 1.06mmol)の混合物に滴下した。この懸濁液を24時間攪拌し、その後20%NaOH水溶液(2mL)を氷浴温度で添加した。この水性スラリーに、無水Na2SO4を添加した。溶液をろ過し、沈殿をTHFで2回洗浄した。溶媒を除去した後、残渣をカラムクロマトグラフィーにかけ(シリカゲル、MeOH/CH2Cl2、1:1、次にMeOH/CH2Cl2/NH3・H2O、4:4:1)、所望の生成物を、透明な油状物として得た(0.038g、収率50%)。IR(実測値)3362, 2935, 2863, 2782, 1651, 1574, 1568, 1557, 1471, 1455, 1103 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+H]+) 711.6139(100%);計算値711.6152;([M+Na]+)733.5974(46.1%);計算値733.5972。
実施例3
化合物30:
コール酸(3.0g, 7.3mmol)を、CH2Cl2(50mL)およびメタノール(5mL)中に溶解した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.8g, 8.8mmol)を添加し、その後N-ヒドロキシスクシンイミド(〜100mg)およびベンジルメチルアミン(1.1g, 8.8mmol)を添加した。この混合物を2時間攪拌し、その後ろ過した。ろ液を濃縮し、かつクロマトグラフィーにかけ(SiO2、CH2Cl2を溶媒とする3%MeOH)、白色固形物3.0gを得た(収率81%)。融点184〜186℃;IR(実測値)3325, 2984, 1678 cm-1
Figure 0005147814
FAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+H]+) 512(100%);計算値512。
化合物31:
化合物30(2.4g, 4.7mmol)を、THF(50mL)を溶媒とするLiAlH4(0.18g, 4.7mmol)懸濁液に添加した。この混合物を24時間還流し、その後0℃に冷却した。Na2SO4水溶液を、混合物の灰色が消えるまで、慎重に添加した。得られた塩をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、白色固形物2.1g(88%)を得た。この生成物は、以後の反応に十分な純度を有することが証明された。融点70〜73℃;IR(実測値)3380, 2983, 1502 cm-1
Figure 0005147814
FAB-MS(チオグリセロールマトリックス) m/e:([M+H]+) 498(100%);計算値498。
化合物32:
化合物31(0.36g, 0.72mmol)を、CH2Cl2(15mL)に溶解し、かつBoc-グリシン(0.51g, 2.89mmol)、DCC(0.67g, 3.24mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)(〜100mg)を添加した。この混合物を、N2下で4時間攪拌し、その後ろ過した。濃縮およびクロマトグラフィー(SiO2、CH2Cl2を溶媒とする5%MeOH)後、透明なガラス状の生成物0.47gを得た(68%)。
Figure 0005147814
FAB-MS(チオグリセロールマトリックス) m/e:([M+H]+) 970(100%);計算値970。
化合物33:
化合物31(0.39g, 0.79mmol)を、CH2Cl2(15mL)に溶解し、かつBoc-β-アラニン(0.60g, 3.17mmol)、DCC(0.73g, 3.56mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)(〜100mg)を添加した。この混合物を、N2下で6時間攪拌し、その後ろ過した。濃縮およびクロマトグラフィー(SiO2、CH2Cl2を溶媒とする5%MeOH)後、透明なガラス状の生成物0.58gを得た(72%)。IR(実測値) 3400, 2980, 1705, 1510 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+H]+) 1011.6619(100%);計算値1011.6634。
化合物6:
化合物32(0.15g, 0.15mmol)を、ジオキサン中の4N HClの過剰量と共に40分間攪拌した。ジオキサンおよびHClを減圧下で除去したところ、透明なガラス状の生成物0.12gが残留した(〜100%)。
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M-4Cl-3H]+) 669.4576(100%);計算値669.4591。
化合物7:
化合物33(0.20g, 0.20mmol)を、ジオキサン中の4N HClの過剰量と共に40分間攪拌した。ジオキサンおよびHClを減圧下で除去したところ、透明なガラス状の生成物0.12gが残留した(〜100%)。
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M-4Cl-3H]+) 711.5069(43%);計算値711.5061。
実施例4
化合物34:
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(1.20mL, 6.08mmol)を、THF(100mL)を溶媒とするトリフェニルホスフィン(1.60g, 6.08mmol)に0℃で添加し、かつ30分間攪拌し、その間に黄色溶液はペースト状となった。化合物14(2.58g, 4.06mmol)およびp-ニトロ安息香酸(0.81g, 4.87mmol)を、THF(50mL)に溶解し、ペーストに添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩攪拌した。水(100mL)を添加し、この混合物を、NaHCO3溶液を添加することによってわずかに塩基性とし、その後EtOAcで抽出した(3x50mL)。一緒にした抽出液を、ブラインで一回洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(Et2O/ヘキサン、1:2)後、白色粉末として所望の生成物を得た(2.72g、収率85%)。融点207〜209℃;IR(KBr) 3434, 3056, 2940, 2868, 1722, 1608, 1529, 1489, 1448, 1345 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 808.4203(53.8%);計算値808.4189。ニトロ安息香酸(2.75g, 3.5mmol)を、CH2Cl2(40mL)中に溶解し、かつMeOH(20mL)および20%NaOH水溶液(5mL)を添加した。混合物を最高60℃で24時間加熱した。水(100mL)を注入し、かつEtOAcで抽出した。一緒にした抽出液を、ブラインで洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(溶離液CH2Cl2を溶媒とする3%MeOH)の後、白色固形物の所望の生成物を得た(1.89g、収率85%)。融点105〜106℃;IR(KBr) 3429, 3057, 2936, 1596, 1489, 1447, 1376, 1265, 1034, 704 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 659.4064(100%);計算値659.4076。
化合物35:
丸底フラスコに化合物34(2.0g, 3.14mmol)、NaH(鉱油中60%、3.8g, 31.4mmol)およびTHF(150mL)を添加した。この懸濁液を2時間還流し、その後臭化アリル(2.72mL, 31.4mmol)を添加した。28時間還流した後、更に10当量のNaHおよび臭化アリルを添加した。72時間後、更に10当量のNaHおよび臭化アリルを添加した。115時間後、TLCの結果は、出発材料および中間体がほとんど存在しないことを示した。この懸濁液に、水(100mL)を慎重に添加し、引き続きEtOAcで抽出した(5x50mL)。一緒にした抽出液を、ブラインで洗浄し、かつ無水Na2SO4上で乾燥した。SiO2クロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)の後、黄色がかったガラス状の所望の生成物を得た(1.81g、収率79%)。IR(実測値) 3060, 3020, 2938, 2865, 1645, 1596, 1490, 1448, 1376, 1076, 705 cm-1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Na+マトリックス) m/e:([M+Na]+) 757.5185(12.9%);計算値757.5196。
化合物36:
CHCl(40mL)及びMeOH(20mL)に35(0.551g、0.729mmol)を入れた溶液に、-78℃でその溶液が深い青色に変わるまでオゾンを気泡注入した。過剰量のオゾンは酸素とともに吹き飛んだ。メチルスルファイド(1mL)を添加し、続いて5%のNaOH溶液とメタノールに入れたNaBH(0.22g、5.80mmol)を添加した。得られた混合液を室温で一晩攪拌し、塩水で洗浄した。次にその塩水をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥した。目的の生成物(0.36g、収率65%)がSiO クロマトグラフィー(5%のMeOH/CHCl)を行った後で無色のガラス質として得られた。IR(実測値)3396、3056、2927、1596、1492、1462、1448、1379、1347、1264、1071cm−1
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )791.4844 (96.4%)、計算値791.4863。
化合物37:
NEt(0.23mL、1.66mmol)を36(0.364g、0.47mmol)の乾燥CHCl(30mL)溶液に0℃でN気流下で添加し、続いてメシルクロライド(0.12mL、1.56mmol)を導入した。この混合液を10分間攪拌し、HO(10mL)を加えてその反応を止めてからEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、無水のNaSO上で乾燥した。SiOクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:1)を行って目的の生成物(0.411g、収率86%)が白色のガラス質として得られた。IR(実測値)3058、3029、2939、2868、1491、1461、1448、1349、1175、1109、1019cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )1025.4207 (100%)、計算値1025.4189。
化合物38:
乾燥DMSO(5mL)中に37(0.227g、0.227mmol)とNaN(0.147g、2.27mmol)を入れた懸濁液を一晩80℃で攪拌し、HO(50mL)で希釈してからEtOAc(3×20mL)で抽出した。その抽出物を塩水で洗浄し、無水のNaSO上で乾燥した。SiOクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:8)を行って目的の生成物(0.153g、収率80%)が黄色のオイルとして得られた。IR(実測値)2929、2866、2105、1490、1466、1448、1107、705cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )866.5049 (96.9%)、計算値866.5057。
化合物39:
p-トルエンスルホン酸(1.72mg)を、CHCl(5mL)とMeOH(5mL)に38(0.153g、0.18mmol)を入れた溶液に添加し、その混合液を2.5時間攪拌した。飽和NaHCO溶液(5mL)を導入してから塩水(30mL)を注入した。その水性混合液をEtOAcを用いて抽出し、合わせた抽出物を塩水で洗浄してからNaSO上で乾燥した。SiOクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:3)を行って、目的の生成物(0.10g、収率92%)が淡黄色のオイルとして得られた。IR(実測値)3426、2926、2104、1467、1441、1347、1107cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )624.3966 (54.9%)、計算値624.3962。
化合物40:
39(0.10g、0.166mmol)のCHCl(8mL)溶液に0℃でN気流下、NEt(34.8μL、0.25mmol)を添加し、続いてメシルクロライド(15.5μL、0.199mmol)を導入した。この混合液を15分間攪拌した。HO(3mL)と塩水(20mL)を加え、それからEtOAc(4×10mL)で抽出した。合わせた抽出物を塩水で一度洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒を除去してからその残渣をN-ベンジルメチルアミン(0.5mL)と混合し、N気流下一晩80℃で加熱した。過剰のN-ベンジルメチルアミンを減圧下で除去し、その残渣をSiOクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:4)にかけることによって生成物(0.109g、収率93%)が黄色のオイルとして得られた。IR(実測値)2936、2784、2103、1467、1442、1346、1302、1106、1027cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+H] )705.4929 (100%)、計算値705.4928。
化合物8:
THF(20mL)中に40(0.109g、0.155mmol)とLiAlH(23.5mg、0.62mmol)を入れた懸濁液を、N気流下で一晩攪拌した。NaSO・10HOを注意深く添加し、灰色がなくなるのが持続するまで攪拌した。無水Na2SO4を添加して白色沈殿物を濾過し乾燥THFですすいだ。溶媒を除去してからその残渣を最小量のCHClに溶解し、濾過した。溶媒を除去すると、目的の生成物(0.091g、収率94%)が無色のオイルとして得られた。IR(実測値)3371、3290、3027、2938、2862、2785、1586、1493、1453、1377、1347、1098cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+H] )627.5199 (23.3%)、計算値627.5213。
化合物9:
23(0.18g、0.28mmol)の乾燥DMF(4mL)溶液に、NaH(0.224g、ミネラルオイル中60%、5.60mmol)と1−ブロモオクタン(0.48mL、2.80mmol)を添加した。この懸濁液をN気流下65℃で一晩攪拌し、続いてHO(60mL)を導入してエーテル(4×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。SiOクロマトグラフィー(ヘキサンと5%のEtOAcを含むヘキサン)を行って目的の生成物(0.169g、収率80%)が淡い黄色がかったオイルとして得られた。IR(実測値)2927、2865、2099、1478、1462、1451、1350、1264、1105cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )778.5685 (22.1%)、計算値778.5683。トリアジド(0.169g、0.224mmol)とLiAlH(0.025g、0.67mmol)を無水のTHF(10mL)に懸濁し、N気流下、室温で一晩攪拌してからNaSO水和物を注意深く添加した。灰色がなくなった後、無水のNaSOを添加して攪拌した。白色の沈澱物を濾過して除去し、THFで洗浄した。溶媒を除去してからその残渣を1Mの塩酸に溶解し、その水性溶液をエーテル(5mL)を用いて1回抽出した。続いてその水性溶液を20%の水性NaOH溶液を添加することによって塩基性にし、EtO(4×5mL)で抽出した。合わせた抽出物を洗浄し、乾燥を行って濃縮した。それから残渣をSiOクロマトグラフィー(MeOH/CHCl (1:1)、続いてMeOH/CHCl/NH・HO (4:4:1))にかけて目的の生成物(0.091g、収率60%)を無色のオイルとして得た。IR(実測値)3361、2927、2855、1576、1465、1351、1105cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロールマトリックス)m/e:([M+H] )678.6133 (100%)、計算値678.6149。
化合物10:
THF(40mL)中に23(0.126g、0.196mmol)とLiAlH(0.037g、0.98mmol)を入れた懸濁液をN気流下で一晩、室温にて攪拌し、続いてNaSO・10HOを注意深く添加した。その懸濁液の灰色が消失した後で無水のNaSOを添加して有機層が透明になるまで攪拌した。白色沈澱物を濾過して除去してからTHFを用いて2回洗浄した。THFを減圧下で除去し、残渣をSiOクロマトグラフィー(MeOH/CHCl/NH・HO (4:4:1))にかけて目的の生成物(0.066g、収率60%)を無色のオイルとして得た。IR(実測値)3365、2933、2865、1651、1471、1455、1339、1103cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+H] )566.4889 (8.9%)、計算値566.4897。
実施例5
化合物42:
化合物41は、D. H. R. Barton, J. Wozniak, S. Z. Zard, A Short And Efficient Degredation of The Bile Acid Side Chain. Some Novel Reactions of Sulphines And A-ketoesters, Tetrahedron 1989, vol.45, 3741-3754によって報告された方法に従って調製した。41(1.00g、2.10mmol)、エチレングリコール(3.52mL、63mmol)及びp-TsOH(20mg、0.105mmol)の混合物を、N気流下で16時間、ベンゼン中で還流した。この反応の間に形成される水はディーン−スターク(Dean-Stark)水分トラップによって除去した。冷却した混合物をNaHCO溶液(50mL)で洗浄し、EtO(50mL、2×30mL)を用いて抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、無水のNaSO上で乾燥した。溶媒を除去すると生成物(1.09g、100%)が白色のガラス質として得られた。IR(実測値)2939、2876、1735、1447、1377、1247、1074、1057、1039cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+H] )521.3106 (38.6%)、計算値521.3114。このトリアセテート(1.09g、2.10mmol)をMeOH(50mL)に溶解した。NaOH(0.84g、21mmol)をその溶液に添加した。この懸濁液を続いてN気流下で24時間還流した。次にMeOHを減圧して除去し、残渣をEtO(100mL)に溶解してからH0、塩水で洗浄した後で無水のNaSO上で乾燥した。溶媒を除去すると目的の生成物(0.80g、収率96%)が白色固体として得られた。融点199〜200℃、IR(実測値)3396、2932、1462、1446、1371、1265、1078、1055cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )417.2622 (87.3%)、計算値417.2617。
化合物43:
丸底フラスコに42(0.80g、2.03mmol)と乾燥THF(100mL)を添加してからNaH(ミネラルオイル中60%、0.81g、20.3mmol)を添加した。この懸濁液をN気流下で30分間還流し、アリルブロマイド(1.75mL、20.3mmol)を添加した。48時間還流した後、さらに10当量のNaHとアリルブロマイドを添加した。さらに48時間たった後、TLCは何も中間体が形成されていないことを示した。冷却水(50mL)をその冷却懸濁液に添加した。得られた混合液をEtO(60mL、2×30mL)を用いて抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、無水のNaSO上で乾燥した。SiOカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中6%のEtOAc)を行うと、目的とする生成物(0.94g、収率90%)が淡い黄色のオイルとして得られた。IR(実測値)3076、2933、2866、1645、1446、1423、1408、1368、1289、1252、1226、1206、1130、1080、1057cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )537.3549 (100%)、計算値537.3556。
化合物44:
乾燥THF(50mL)中に43(0.94g、1.83mmol)を入れた溶液に9-BBN(0.5MのTHF溶液、14.7mL、7.34mmol)を添加し、その混合液をN気流下室温にて12時間攪拌し、20%のNaOH溶液(4mL)と30%のHO溶液(4mL)を添加した。次に得られた混合液を1時間還流し、続いて塩水(100mL)を添加してからEtOAc(4×30mL)を用いて抽出した。合わせた抽出物を無水のNaSO上で乾燥した。溶媒を除去してからその残渣をSiOクロマトグラフィー(EtOAc、その後CHCl中10%のMeOH)で精製することによって、生成物(0.559g、収率54%)が無色のオイルとして得られた。IR(実測値)3410、2933、2872、1471、1446、1367、1252、1086cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )591.3881 (100%)、計算値591.3873。
化合物45:
アセトン(40mL)と水(4mL)中に50(0.559g、0.98mmol)を入れた溶液にPPTS(0.124g、0.49mmol)を加え、その溶液をN気流下16時間還流した。溶媒を減圧下で除去した。続いて水(40mL)をその残渣に加え、その混合液をEtOAc(40mL、2×20mL)を用いて抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄、乾燥してからエバポレートして乾燥した。その残渣をSiOカラムクロマトグラフィー(CHCl中8%のMeOH)を行うと、目的とする生成物(0.509g、収率98%)が透明なオイルとして得られた。IR(実測値)3382、2941、2876、1699、1449、1366、1099cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )547.3624 (100%)、計算値547.3611。
化合物46:
45(0.18g、0.344mmol)の乾燥CHCl(10mL)溶液に、0℃でEtN(0.168mL、1.20mmol)を添加し、続いてメシルクロライド(0.088mL、1.13mmol)を添加した。10分後、HO(3mL)と塩水(30mL)を加えた。この混合液をEtOAc(30mL、2×10mL)で抽出し、その抽出物を塩水で洗浄、次に無水のNaSO上で乾燥した。溶媒を除去してからその残渣をDMSO(5mL)とNaN(0.233g、3.44mmol)に溶解した。その懸濁液をN気流下で12時間、50℃まで加熱した。HO(50mL)をその冷却した懸濁液に添加し、得られる混合液をEtOAc(30mL、2×10mL)を用いて抽出してからその抽出物を塩水で洗浄、無水のNaSO上で乾燥した。SiOカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:5)にかけることによって生成物(0.191g、二工程の収率88%)が淡い黄色のオイルとして得られた。IR(実測値)2933、2872、2096、1702、1451、1363、1263、1102cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+Na] )622.3820 (100%)、計算値622.3805。
化合物11:
化合物46(0.191g、0.319mmol)を乾燥THF(20mL)に溶解し、続いてLiAlH(60.4mg、1.59mmol)を添加した。灰色の懸濁液を、N気流下、室温にて12時間攪拌した。NaSO・10HO粉末を注意深く添加した。その懸濁液の灰色が消失してから無水のNaSOを添加し、沈澱物を濾過して取り除いた。溶媒を除去してからその残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH/CHCl/28%NH・H0 3:3:1)によって精製した。集めたフラクションからほどんどの溶媒を除去した後、5%のHCl溶液(2mL)を添加してその乳状の残渣を溶解した。得られた透明な溶液を続いてEtO(2×10mL)を用いて抽出した。次に20%のNaOH溶液を、その溶液が強い塩基性になるまで添加した。CHCl(20mL、2×10mL)を用いてその塩基性の溶液を抽出した。合わせた抽出物を無水のNaSO上で乾燥し、溶媒を除去すると、目的とする生成物(0.115g、収率69%)が無色のオイルとして得られた。H NMRよりこの化合物が、C20で約9:1の混合比率の二つの立体異性体からなる混合物であることが明らかである。これらの立体異性体は分離しなかったが、再収して用いた。量の多い方の異性体のスペクトルは、IR(実測値)3353、2926、2858、1574、1470、1366、1102cm−1; 主要な異性体について
Figure 0005147814
;HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+H] )524.4431 (64.2%)、計算値524.4427。
実施例6
化合物47:
23(0.15g、0.233mmol)の乾燥CHCl(15mL)溶液に、0℃でEtN(48.8μL、0.35mmol)を添加し、続いてCHSOCl(21.7μL、0.28mmol)を添加した。この混合液を15分間攪拌し、HO(3mL)を加えた。次に飽和NaCl溶液(20mL)を添加し、その混合液をEtOAc(40mL、2×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、無水のNaSO上で乾燥した。溶媒をエバポレート除去してからその残渣にNaBr(0.12g、1.17mmol)とDMF(10mL)を加えた。この懸濁液をN気流下で2時間、80℃まで加熱した。DMFを減圧して除去してからその残渣をシリカ上でクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:10)にかけることによって目的とする生成物(0.191g、収率97%)が淡い黄色のオイルとして得られた。
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M-H] )706.3609 (63.1%)、計算値706.3591;704.3616(52.8%)、計算値704.3611。
化合物48:
化合物47(0.191g、0.269mmol)と23(0.295g、0.459mmol)をDMF(3mL、使用する前に6mmHgにてBaO上で蒸留した)に溶解し、続いてNaH(0.054g、ミネラルオイル中60%)を添加した。その懸濁液を、N気流下、室温にて24時間攪拌した。HO(100mL)を添加して過剰のNaHをクエンチし、次にその混合液をEtO(40mL、3×20mL)を用いて抽出を行ってから合わせた抽出物を塩水で洗浄し、無水のNaSO上で乾燥した。SiO上でクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:6、続いて1:2)にかけることによって目的とする生成物(0.177g、化合物23に基づく収率52%)が淡い黄色のオイルとして得られた。IR(実測値)2940、2862、2095、1472、1456、1362、1263、1113cm−1
Figure 0005147814
化合物12:
化合物48(0.219g、0.173mmol)を乾燥THF(10mL)に溶解し、続いてLiAlH(65mg、1.73mmol)を添加した。灰色の懸濁液を、N気流下、室温にて12時間攪拌した。NaSO・10HO粉末を注意深く添加した。その懸濁液の灰色が消失してから無水のNaSOを添加し、沈澱物を濾過して取り除いた。溶媒を除去してからその残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH/CHCl/28%NH・H0 2.5:2.5:1)によって精製した。集めたフラクションからほどんどの溶媒をロートベーター除去(rotavapped off)した後、5%のHCl溶液(2mL)を添加してその乳状の残渣を溶解した。得られた透明な溶液を続いてEtO(2×10mL)を用いて抽出した。次に20%のNaOH溶液を、その溶液が強い塩基性になるまで添加した。CHCl(20mL、2×10mL)を用いてその塩基性の溶液を抽出した。合わせた抽出物を無水のNaSO上で乾燥し、溶媒を除去すると、目的とする生成物(0.147g、収率76%)が白色のガラス質として得られた。IR(実測値)3364、3287、2934、2861、1596、1464、1363、1105cm−1;
Figure 0005147814
HRFAB-MS(チオグリセロール+Naマトリックス)m/e:([M+H] )1113.9625 (68.8%)、計算値1113.9610。
実施例7
グラム陰性細菌を用いる化合物のテスト
MIC及びMBCの測定
全般:
トリプシン分解大豆汁(TBS)は、1リットルの脱イオン水にデキストロース非含有トリプシン分解大豆汁(DIFCO Laboratories)を27.5グラム溶解し、15分間121℃で滅菌処理して作成した。固形寒天(TSA)プレートは、6.4グラムのトリプシン分解大豆汁と12グラムの寒天(精製したグレードのもの、Fischer Scientific)を800mLの脱イオン水に溶解し、121℃で20分間滅菌処置して作成した。次にその均質溶液のアリコート(20mL)を、滅菌済みプラスチック製ペトリ皿(100×15mm、Fisher Scientific)に注入した。化合物1-12の溶液は、それぞれのHCl塩を適当な量の脱イオン化した滅菌水に溶解し限外濾過して作成した。
MICとMBCを測定する代表的方法
評価
TSB中37℃で24時間インキュベートした培養物から、〜10CFU(コロニー形成ユニット)/mLの大腸菌(ATCC 10798)を含む懸濁液を調製した。この懸濁液のアリコート1mLを、1mLのTSBと段々増加するように濃度を変えた1-12、および/またはエリスロマイシンもしくはノボビオシンを含む試験管に添加した。この感受性実験では、エリスロマイシンまたはノボビオシンは1-12より15分後に添加した。このサンプルを37℃で24時間、静止培養を行った。サンプルの濁度を760nmでの吸光度を測定(HP 8453 UV-Visible Chemstation, Hewett Packard)することによって決定した。さらに測定できるほどの濁度のない各サンプルから得られるアリコートは、TSAプレート上で二次培養した(アリコートは300CFU以下になるように希釈された)。一晩インキュベートした後、二次培養物で増殖したコロニーを計数し、サンプルに含まれるCFU/mLの数を算出した。算出した値は最初の接種物のCFU/mLの数と比較した。MIC値は、24時間インキュベートした後でCFU/mLの数が一定のままかまたは減少したかをその調べた化合物の濃度として決定した。MBC値は、調べた化合物の、当初の細菌懸濁液の0.1%以下しか生存できない最も低い濃度として決定した。
結果
ステロイド骨格の立体化学の違いによって、コリン酸誘導体の活性の違い(2及び8、表1、2、6及び7を比較せよ)が生じる。ステロイドに結合したグアニジン基は、アミン基を含む化合物よりもMIC値が低くなる(1、2、4及び5を比較、表1−8を比較せよ)。アミン基またはグアニジン基とステロイド骨格の間の鎖の長さも活性に影響を与える(1〜3、表1、2、6及び7を比較せよ)。アミン基とステロイド骨格との間のエステルの鎖は、エーテルの鎖を含む対応する化合物よりも高いMIC値を有する(1、2、6及び7、表1及び2を比較せよ)。骨格のC−20またはC−24に結合した基もコリン酸誘導体の活性に影響を与える。C−24でエーテル結合を介してステロイドに長い炭素鎖が結合していると、C−24に水酸基を結合している化合物に比較してその化合物のMICは小さくなる(2、9及び10、表1、2、6及び7を比較せよ)。C−20に炭素または酸素の短い鎖が結合していると、コリン酸誘導体のMIC値が小さくなる(10及び11、表1及び2を比較せよ)。共有結合しているコリン酸誘導体はその化合物の活性を増加させる(10及び12、表1及び2を比較せよ)。
〔表1〕 大腸菌(ATCC 10798)を用いた1−12のMIC及びMBCの値の測定
Figure 0005147814
〔表2〕 大腸菌(ATCC 10798)を用いて70μg/mLから1μg/mLのエリスロマイシンのMICを低めるのに必要とされる1−12の濃度の測定
Figure 0005147814
〔表3〕 大腸菌(ATCC 10798)を用いて>500μg/mLから1μg/mLのノボビオシンのMICを低めるのに必要とされる1、2、4及び5の濃度の測定
Figure 0005147814
〔表4〕 大腸菌(ATCC 25922)を用いて1、2、4及び5のMIC及びMBCの値の測定
Figure 0005147814
〔表5〕 大腸菌(ATCC 25922)を用いて60μg/mLから1μg/mLのエリスロマイシンのMICを低めるのに必要とされる1、2、4及び5の濃度の測定
Figure 0005147814
〔表6〕 P. aureginosa(ATCC 27853)を用いて1−5、8−12のMIC及びMBCの値の測定
Figure 0005147814
〔表7〕 P. aureginosa(ATCC 27853)を用いて240μg/mLから5μg/mLのエリスロマイシンのMICを低めるのに必要とされる1−5、8−12の濃度の測定
Figure 0005147814
〔表8〕 P. aureginosa(ATCC 27853)を用いて>500μg/mLから1μg/mLのノボビオシンのMICを低めるのに必要とされる1、2、4及び5の濃度の測定
Figure 0005147814
実施例8
コリン酸誘導体の膜不通過性の証明
J. M. Shupp, S. E. Travis, L. B. Price, R. F. Shand, P. Keim, Rabid Bacterial Permeabilization Reagent Useful For Enzyme Assays, Biotechniques, 1995, vol. 19, 18-20に記載された手法を用いて本発明者らは、コリン酸誘導体がグラム陰性細菌の外膜の透過性を増大させることを明らかにした。最大発光の半分の値(ルシフェリンが細胞に入るのを許容する外膜の透過性を示す)は、2については7μg/mL、10については33μg/mLである。これらの値は、2及び10について測定したMICに対応する。
実施例9
〔化25〕
Figure 0005147814
他の態様
本明細書に開示した全ての特徴は、任意の組み合せに組み合わせることができる。本明細書で開示したそれぞれの特徴は、同一、等価物、または類似の目的を果たす別の特徴と置き換えてもよい。このように特に別記して述べない限り、開示されたそれぞれの特徴は、一般的な一連の等価な特徴または類似の特徴のなかのほんの一例である。
上記の説明から当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認でき、そしてその精神及び範囲を逸脱することなく種々の使用法及び条件に本発明が適合するように本発明の種々の変形及び修飾を行うことが可能である。例えば本明細書に開示した新規なステロイド化合物の塩、エステル、エーテル及びアミドが本発明の範囲に含まれる。このように他の態様も本特許請求の範囲に含まれる。

Claims (33)

  1. 下記の式Iで表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩:
    Figure 0005147814
    式中:
    縮合環A、B、C、及びDが、完全に飽和であり;かつ
    R 1 、R 2 、R 4 -R 6 、R 8 、R 10 -R 11 、R 14 -R 16 は、水素を示し;
    R9およびR13はそれぞれメチル基を示し;
    R3、R7、及びR12が、それぞれ独立に、(C1-C10)アミノアルキルオキシおよびH 2 N-CH 2 -C(O)-O-からなる群から選ばれ
    R17が、-CH(CH3)-(CH2)3-X(式中、Xは-OH;-O(CH2)7CH3;または-N(CH3)-ベンジル)、もしくは、-CH(CH3)OH、または、R17は、第2のステロイドのR17と一緒になって、第2のステロイドに結合する-CH(CH3)-(CH2)3-O-(CH2)3-CH(CH3)-結合基であって、前記第2のステロイドは式Iの化合物である。
  2. 下記の式で表される化合物。
    Figure 0005147814
  3. 下記の式で表される化合物。
    Figure 0005147814
  4. 下記の式で表される化合物。
    Figure 0005147814
  5. 下記の式で表される化合物。
    Figure 0005147814
  6. 下記の式で表される化合物。
    Figure 0005147814
  7. R 3 、R 7 、及びR 12 が、P.G.-HN-CH(Q5)-C(O)-O-(ここで、Q5はHであり、かつP.G.はアミノ保護基である)である下記の式IVの保護されたアミノ酸化合物を生成させるため、式IVの化合物を保護されたアミノ酸と接触させる段階
    Figure 0005147814
    [式中、R 3 、R 7 、及びR 12 は水酸基であり、縮合環A、B、C、及びD上の残りの部分は、請求項1に記載の式Iの定義の通りである];および
    式Iの化合物を形成するため、保護されたアミノ酸化合物の保護基を除去する段階を含む請求項1に記載の式Iで表される化合物(ただし、R 3 、R 7 、及びR 12 がH 2 N-CH 2 -C(O)-O-である)を調製する方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物の有効量を含む、薬学的組成物。
  9. 付加的な抗生物質を含む、請求項8に記載の薬学的組成物。
  10. 宿主の微生物感染を治療するための薬剤の製造のための、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物の使用。
  11. 宿主がヒトである、請求項10に記載の使用。
  12. 前記化合物が、微生物細胞に輸送される第二の抗微生物性物質をさらに含む抗微生物性組成物に含まれる、請求項10または11に記載の使用。
  13. 第二の抗微生物性物質が抗生物質である、請求項12記載の使用。
  14. 感染が細菌感染である、請求項10〜13のいずれかに記載の使用。
  15. 感染がグラム陰性菌感染である、請求項14記載の使用。
  16. 細菌感染が、実質的な割合のリピドAを含む外膜により特徴付けられる細菌による感染である、請求項14記載の使用。
  17. 細胞へ導入される抗微生物性物質の細胞への細胞透過性を増強する薬剤の製造のための、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物の使用。
  18. 前記化合物が、細胞へ導入される物質とともに用いられる、請求項17記載の使用。
  19. 細胞が細菌である、請求項18記載の使用。
  20. 細菌がグラム陰性菌である、請求項19記載の使用。
  21. 細菌が、実質的な割合のリピドAを含む外膜により特徴付けられる、請求項19記載の使用。
  22. 細胞が精細胞であり、化合物が殺***組成物の一部である、請求項17記載の使用。
  23. 候補化合物と請求項1〜6のいずれかに記載の化合物とを微生物に投与する段階、並びに候補化合物が微生物に対して静菌的又は毒性作用を有するか否かを決定する段階を含む、微生物に対して有効な化合物を同定する方法。
  24. 微生物が細菌である、請求項23記載の方法。
  25. 細菌がグラム陰性菌である、請求項24記載の方法。
  26. 細菌が、実質的な割合のリピドAを含む外膜により特徴付けられる、請求項24記載の方法。
  27. 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物を含む有効量の抗微生物性組成物と、微生物、インビトロで接触させる段階を含む、微生物増殖調節の方法。
  28. 抗微生物性組成物が、抗微生物性物質をさらに含む、請求項27記載の方法。
  29. 物質が消毒剤、抗生物質、消毒剤である、請求項28記載の方法。
  30. 細胞へ導入される物質と組み合わせられた請求項1〜6のいずれかに記載の化合物を含む材料の薬学的組成物。
  31. 細胞へ導入される物質が抗微生物性物質である、請求項30記載の薬学的組成物。
  32. 化合物及び物質が薬学的に許容される担体と混合される、請求項30記載の薬学的組成物。
  33. 抗微生物性物質が抗生物質である、請求項31記載の薬学的組成物。
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