JP5147101B2 - 遠赤外線放射用複合セラミックス材料、その製造方法及び調理器具用部材並びに炊飯器 - Google Patents

遠赤外線放射用複合セラミックス材料、その製造方法及び調理器具用部材並びに炊飯器 Download PDF

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本発明は、遠赤外線放射を目的とした調理器具、寝装具及び電化製品への利用可能な遠赤外線放射用複合セラミックス材料及びその製造方法並びにその遠赤外線放射用複合セラミックス材料を利用する調理器具用部材及び炊飯器に関する。
絶対零度(−273℃)という低温でない限り、全ての物質は遠赤外線などの電磁波を放射し、温度が高ければ高いほどその放射量(エネルギー)が多くなる。同じ温度の場合でも、物質の種類やその表面状態により放射量に違いが生じる。中でもセラミックスは遠赤外線を多く放射することが分かっている。金属類は放射量が多いが、逆に反射するためヒーターの裏の反射板として採用されている。
私達の身の回りにある金属を除く多くの物質(プラスチック塗料、繊維、木材、ゴム、食物等)は、2.5μm〜30μmの波長域(遠赤外線)の電磁波をよく吸収する(近赤外線は0.78μm〜3μmである)。
セラミックスは加熱するとこの波長域の赤外線を主に吸収する。気体については、空気(N2及びO2)は、遠赤外線をあまり吸収しないが、炭酸ガス(CO2)や水、水蒸気(H2O)は、遠赤外線を吸収する。
遠赤外線の持つエネルギーは、人体の皮膚表面から約200μmの深さまでの間でほとんど吸収されてしまい、熱に変わる。吸収された熱が血液等により体の内部(芯)まで効率よく伝わり体が温まる。近赤外線は、皮膚表面から数mmの深さまで浸透する。この近赤外線の特徴を使い、指や手のひらの内部における静脈模様を近赤外線で調べることで個人を認証する方法が開発されている。
赤外線を放射する程度を表す指標として赤外線放射率が挙げられる。赤外線放射率とは、ある温度の物質の表面から放射するある波長の赤外線のエネルギー量と、同温度の黒体(放射で与えられたエネルギーを100%吸収する仮想物体)から放射するエネルギー量との比率をいう。
赤外線放射率は物質固有のもので、その物質の種類はもちろん、表面状態や波長にも依存して大きさが変化する。セラミックス(例えば金属酸化物)は、一般に遠赤外域の波長での放射率が高く(約70%〜90%)、与えたエネルギーを有効に放射伝熱できることから、遠赤外線の放射材料として広く利用されている。
従来、ガスコンロの表面や調理鍋内面のような調理器具等に、被調理物に対する遠赤外線の食味向上効果が周知の事実であることから、遠赤外線を放射する物質を調理器具等に付与することが、近年、よく行われている。遠赤外線を放射する材料としては炭素材料が知られており炊飯器の内釜などに適用されている(特許文献1)。特許文献1では、炊飯器の内釜内面に木炭や竹炭の遠赤外線を放射する微粒子を含有したフッ素樹脂コート処理を施した発明が提示されている。
しかしながら、炭素材料は遠赤外線放射能力には優れるものの、物理的特性が充分でない場合があるので、物性などの向上を目的として種々の複合材料が提案されている。
遠赤外線を放射する微粒子としては、遠赤外線セラミックスが多種利用されており、そのほとんどは組成が単一(シリカ、アルミナ、ジルコニア等)であった。
例えば、特許文献2では、調理器具等の表面の内部層に遠赤外線効果を有する物質、外部層にフッ素樹脂を含有する被膜を施す発明が提示されている。
このような複合セラミックス材料を製造する従来技術としてセラミックス粒子にカーボンを複合させる方法が開示されている(特許文献3)。
特許文献3の方法は、セラミックス粉末の表面に球状カーボン微粒子を付着させる方法である。
特開2000−287846号公報 特開2003−276129号公報 特開平7−257920号公報
しかしながら、特許文献3に記載の方法は材料の生成に2000℃以上の高温度での焼成が必要であり、製造に高いコストが必要になる。また、特許文献3に記載の方法では遠赤外線放射に適した材料を目指すものではないので、充分な遠赤外線の放射が実現されていなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、遠赤外線を効果的に吸放出する遠赤外線放射用複合セラミックス材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明では上記遠赤外線放射用複合セラミックス材料を応用した調理器具用部材及び炊飯器を提供することも解決すべき課題とする。
課題を解決するための手段及び効果
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意研究を行った結果、以下の発明に想到した。すなわち、本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料の製造方法は、非酸化雰囲気下、1000℃以上1200℃以下の加熱条件においてカーボン微粒子を生成する材料であり気体乃至液体状であるカーボン供給材料を供給しながら、セラミックス粒子とホウ化ランタンの混合物を1000℃以上、1200℃以下で加熱処理する工程と、前記セラミック粒子は800℃になるまで冷却速度50〜100℃/分で冷却処理する工程とを有することを特徴とする。
また、上記課題を解決する本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は上記方法にて製造されるものである。
すなわち、セラミックス粒子をカーボン供給材料(1000℃以上1200℃以下の加熱条件においてカーボン微粒子を生成する材料)の存在下で加熱処理することで、セラミックス粒子の表面にカーボン供給材料から生成したカーボン微粒子を付着させる方法である。ここで、ホウ化ランタンを共存させた状態で加熱処理することで、遠赤外線を放射する性質に影響を与えずにカーボン微粒子をセラミックス粒子の表面に付着させることができる。ここで、加熱する温度条件として1000℃以上1200℃以下の範囲を設定したことで、上記構成が実現できる。つまり、従来技術のように、2000℃以上での加熱を行うと、ホウ化ランタンにより生成するカーボン微粒子と反応したり、ホウ化ランタンがセラミックス粒子に固溶したりして性質が変化するので、遠赤外線放射の観点からは充分な性能を発揮することが困難になる。
カーボンを2000℃以上で加熱すると、カーボン微粒子の結晶化が進行し、球状の微粒子が形成する。それに対して、本発明方法によると、生成するカーボンの結晶化の程度が低い、塊状カーボン微粒子とでも言うべき不定形の微粒子が生成する。
ここで、カーボンは原料や製造方法によって密度や粒子径状、粒度が大きく変化する。例えば、熱処理条件の他、添加する元素の有無・種類により様々な形態の物質に変化する。結果、炭素材料の形態としては、球状、塊状、粉状、薄膜状、繊維状等様々な形態が存在する。従来技術の2000℃以上での加熱を採用すると、生成するカーボン微粒子の粒径がμmオーダーと粒径が大きく球状になるので、遠赤外線の吸収率が低かった。
また、共存させたホウ化ランタンは、本発明方法の温度範囲とすると、カーボン微粒子とホウ化ランタンとの化学反応が進行せず、セラミックス粒子の表面にカーボン微粒子を固定する作用を発揮することができる。
製造される遠赤外線放射用複合セラミックス材料の遠赤外線放射能力の向上の観点からは、前記非酸化雰囲気中にはアルゴン、クリプトン及びキセノンからなる群から選択される1以上の希ガスを含むことが望ましい。
上記課題を解決する本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は、100nm以上、3000nm以下の平均粒径をもち、不定形且つ非晶質であり、ホウ化ランタンによりセラミックス粒子の表面に固定されたものであるカーボン微粒子と、
該カーボン微粒子に表面が被覆され且つ該カーボン微粒子より平均粒径が大きいセラミックス粒子と、を有し、
該カーボン微粒子及び該セラミックス粒子が接する部位近傍にホウ化ランタンを含有することを特徴とする。
本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は上記方法にて製造されるものの1種であり、ホウ化ランタンによりカーボン微粒子がセラミックス粒子の表面に固定(接着)されたものである。
そして、セラミックス粒子は炭化ジルコニウムであることが望ましい。特に、前記カーボン微粒子は不定形炭素から構成される。
ここで、前記カーボン微粒子と前記炭化ジルコニウム粒子との質量比は5:95〜8:92であることが望ましい。
そして、前記カーボン微粒子の平均粒径は100nm以上、3000nm以下である。また、本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は平均粒径が0.5μm以上、10μm以下が望ましい。
上記課題を解決する本発明の調理器具用部材は、基体と、上述の遠赤外線放射用複合セラミックス材料からなるセラミックス微粉末を含有し該基体を被覆する内部層とフッ素樹脂を含有し該内部層を被覆する外部層とからなる被膜と、を有することを特徴とする。
また、上記課題を解決する本発明の別の調理器具用部材は、基体と、請求項2〜8のいずれかに記載の遠赤外線放射用複合セラミックス材料からなるセラミックス微粉末と、該セラミックス微粉末を分散するフッ素樹脂とを含有し該基体を被覆する被膜と、を有することを特徴とする。
前記セラミックス微粉末は前記被膜の質量を基準として10質量%〜40質量%であることが望ましい。
調理器具用部材としては炊飯器の内釜への適用が挙げられる。
以下、本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料及びその製造方法について実施形態に基づき詳細に説明を行う。本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は適用する製品中に含有(練り込みなど)させたり、表面に塗布させて用いることができる。例えば、(1)炊飯器、オーブン、フライパン、鍋などの調理器具用部材や冷蔵庫、(2)暖房器具(ガス/石油/電気ストーブ、パネルヒータ、電気コタツ、床・壁面暖房、エアコン、工場/体育館/屋内プール/ゴルフ練習場の暖房、サウナ、畜舎暖房など)の発熱体、(3)繊維に練り込んで製造した遠赤外線放射繊維(被服、絨毯、カーテン、靴の中敷きなどに応用される)、寝具(マッドレス、ベッドパッド、枕など)、(4)タイル、陶磁器、風呂釜などのセラミックス製品、プラスチック製品中に含有させる、(5)産業用乾燥機(塗料、印刷物、織物の染色、陶磁器の絵付け、高度無機化学品粉末、もみ、穀類、豆類など)、(6)その他産業用(せんべいの焼成、コーヒー豆の焙煎、液晶ディスプレー用ガラス基板の加熱など)、(7)センサー・計測(赤外線センサー、放射温度計、サーモグラフィー、体温計、防犯装置、センサーライド、赤外線通信など)、()医療・バイオ(ハイパーサーミア(癌の温熱療法)、赤外線治療器、レーザーメス、眼底画像撮影など)などの用途が考えられる。本実施形態の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は非晶質のカーボン微粒子で表面が覆われており、表面への化学物質の吸着効果の発現が期待できる。従って、消臭効果を期待する消臭材料としての応用も考えられる。
(遠赤外線放射用複合セラミックス材料の製造方法)
本実施形態の遠赤外線放射用複合セラミックス材料の製造方法は、セラミックス粒子を加熱処理する工程(加熱処理工程)を有する。
加熱処理工程は、カーボン供給材料及びホウ化ランタンの存在下、セラミックス粒子を加熱することで行う工程である。本工程は非酸化雰囲気下で行う。非酸化雰囲気としては特に限定しないが、アルゴン、クリプトン、キセノン、ヘリウムなどの希ガスや、その他、窒素、水素などの非酸化性の雰囲気が実現できるガスの存在下、又は真空状態が挙げられる。特に、希ガスなどの非活性ガスの存在下とすることが望ましい。希ガスの中でもアルゴン、クリプトン及びキセノンからなる群から選択される1以上のガス乃至混合ガスを選択することで製造される遠赤外線放射用複合セラミックス材料の遠赤外線の放射能力が向上する。
本工程は1000℃以上1200℃以下の温度範囲にて処理される工程である。この温度範囲にすることで、生成するカーボン微粒子及びホウ化ランタンの性状が優れたものになる。具体的には生成するカーボン微粒子及びホウ化ランタンが前述したような遠赤外線放射に優れた形態になる。
セラミックス粒子としては特に限定しないが、金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物、例えば、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、アルミナ、シリカや、それらの複合酸化物が挙げられる。セラミックス粒子の粒径は最終的に必要になる本実施形態の遠赤外線放射用複合セラミックス材料の大きさにより適正に選択可能である。例えば、炊飯器の内釜や、繊維に練り込むなど、他の製品中に含有させて使用する場合にはその製品の大きさ(炊飯器の内釜や繊維に練り込む用途では5μm以下、3μm以下など)によって適正に選択可能である。
カーボン供給材料としては1000℃以上1200℃以下の加熱条件において炭化してカーボン微粒子を生成する材料であり気体乃至液体状である。特に、前述の加熱条件において気体化する材料であることが望ましい。例えば、ブタン、プロパン、メタンなどの炭化水素ガスや、メタノール、エタノールなどのアルコールが挙げられる。
生成するカーボン微粒子としては粒径が小さくなることが望ましい。例えば、粒径が3000nm以下、更には300nm以下、特に200nm以下とすることが望ましい。粒径を小さくする方法としては例えば最高温度から800℃付近までの冷却速度を早くする(50〜100℃/分)方法が挙げられる。
金属ホウ化物は、融点、硬度、熱伝導性、電気伝導性が高く、化学的にも安定な化合物である。その中でもLaB6やCeB6などに代表される希土類系ホウ化物は、優れた熱・電気伝導性を有する。LaB6、CeB6は、熱電子放射性(放出特性)を示すことが知られ、半導体(EuB6、V6B6)、熱伝導(VB6)、強磁性(EuB6)など電気的、磁気的特性を示すものが知られており、LaB6は特に熱電子放出特性に優れた伝導性セラミックス結合体素材である。
(遠赤外線放射用複合セラミックス材料)
本実施形態の遠赤外線放射用複合セラミックス材料はセラミックス粒子とセラミックス粒子の表面を覆うカーボン微粒子とを有する。セラミックス粒子とカーボン微粒子との間にはホウ化ランタンをもつ。ここで、セラミックス粒子、カーボン微粒子、ホウ化ランタンとしては、前述した製造方法にて説明したものと同じものが採用できるのでここでの説明を省略する。
セラミックス粒子とカーボン微粒子との存在比はセラミックス粒子の粒径や比表面積により適正値が存在する。すなわち、セラミックス粒子の表面を隙間なく覆うことができるようにカーボン微粒子をもつことが望ましい。セラミックス粒子はカーボン微粒子の粒径よりも大きい。
ホウ化ランタンの量は特に限定しないが、好ましい量としてはセラミックス粒子の比表面積に依存し、セラミックス粒子の表面にカーボン微粒子を充分に結合させることが可能な量にすることが望ましい。
以下、本発明の遠赤外線放射用複合セラミックス材料の製造方法の具体的な説明と、その遠赤外線放射用複合セラミックス材料と一般的なセラミックス材料との比較を行う。
(製造)
カーボン供給材料としてのブタンガスを供給しながら、セラミックス粒子としての炭化ジルコニウム(平均粒径1μm:100質量部)とホウ化ランタン(平均粒径1μm:15質量部以下)との混合物(予め、パワーミル(ダルトン)により混合した)をセラミックス板上に薄く付着させて加熱した。
加熱条件としては1000℃以上1200℃以下とした。混合物を水素ガス雰囲気下で加熱した後、設定温度になった後に、ブタンガスを供給し45分間処理した。
ブタンガスの供給量としては、炭化ジルコニウムに対して2質量%以上(3質量%以上4質量以下が好ましい)供給した。実際には、これらを焼結させる雰囲気炉の空間によりブタンガス濃度が異なるので、炉の空間に滞留している水素ガスが完全にブタンガスに交換されるのに相当するガスを送り続けた。
ブタンガス注入後は、雰囲気炉を急冷した。十分なブタンガスを送った時点で、炉内への空気の流入は未燃カーボンの酸化(発火)現象を誘発させるため、速やかにガス流入を停止した。
炉内の冷却速度が遅いと、カーボンの結晶化が進み、いわゆるグラファイトと呼ばれる黒鉛粒子が生成させ、遠赤外線の吸収特性を低下させてしまうからである。
従って、カーボンが再燃しない安全温度である400℃以下になるまでの冷却速度を50℃/分以上とした。この強制冷却方法には、風冷方法を採用した。冷却方法は、安全温度に急冷することができる方法であれば、風冷方法以外でも良い。
上記製造方法としては、条件を変化させることで、生成するカーボン微粒子の粒径を変化させた。カーボン微粒子の粒径が小さくなる条件としては、1200℃〜800℃の冷却速度を早くする(例えば、50〜100℃/分)である。
製造したそれぞれの試料50×50×1.5mmについて赤外線放射率を測定した。具体的には、黒体及び試料を同じ温度(140℃)にして、そこから放射されるそれぞれの遠赤外線をFT−IRで測定した。(理想黒体とは全波長を100%放射している理想的な放射体のことで、実際には存在しないため、理想黒体に近いものを用いた)そして、黒体からの放射された遠赤外線量に対する試料から放射された遠赤外線量を計算し、遠赤外線放射率とした。(社)遠赤外線協会では遠赤外線加工に対して未加工品に比べて全波長域で5%以上、特定波長域で10%以上の遠赤外線放射率差があることという基準を設けている。
図1がカーボン微粒子の粒子径が小さいもの(実施例1)、図2がカーボン微粒子の粒子径が大きいもの(実施例2)の測定結果である。そして、実施例1の試料のSEM写真を図3に示す。後述する比較例1の炭化ジルコニウムの表面と比較して、塊状のカーボン微粒子(実施例1のカーボン微粒子の方が粒径が小さい)が付着していることが明らかになった。
そして、遠赤外線放射率として、波長4.0〜14μmの遠赤外線放射率の平均値をそれぞれについて求めた。粒子径が小さいものは、遠赤外線放射率が94.5%で、大きいものが92%である。これより、両粒子径ともに黒体に近い遠赤外線放射率であり、粒子径が小さい方がより遠赤外線放射率が高いと思われる。
本発明の製造方法で試作加工した遠赤外線放射用複合セラミックス材料と比較するため、炭化ジルコニウム(比較例1)、アルミナ(比較例2)、酸化チタン(比較例3)、シリカ(比較例4)、炭化ケイ素(比較例5)、炭(比較例6)、ダイヤモンド(比較例7)及びアルミニウム(比較例8)のそれぞれの単体状態での遠赤外線放射率を測定した。測定結果のチャートが図4〜11である。そして、それぞれの遠赤外線放射率の平均値は、炭化ジルコニウムが88%、アルミナが86%、酸化チタンが58%、シリカが79%、炭化珪素が86%、炭が92%、ダイヤモンドが86%、アルミニウムが60%であった。特に比較例1における試料のSEM写真を図12に示す。
この結果から明らかなように、本実施例の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は高い遠赤外線放射能を示すことが判った。特に、カーボン微粒子の粒径が小さい実施例1の試験試料では炭を凌ぐような効果が得られた。
そして、本実施例の遠赤外線放射用複合セラミックス材料は、遠赤外線による伝熱である放射伝熱だけでなく、ホウ化ランタンの特性として伝導伝熱による伝熱効果も有する。つまり、2種類の伝熱効果による加熱効果を期待することができる。
実施例1の遠赤外線放射用複合セラミックス材料(カーボン微粒子の粒径が小さいもの)における赤外線放射率を示すIRチャートである。 実施例2の遠赤外線放射用複合セラミックス材料(カーボン微粒子の粒径が大きいもの)における赤外線放射率を示すIRチャートである。 実施例1の遠赤外線放射用複合セラミックス材料のSEM写真である。 比較例1(炭化ジルコニウム)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例2(アルミナ)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例3(酸化チタン)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例4(シリカ)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例5(炭化ケイ素)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例6(炭)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例7(ダイヤモンド)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例8(アルミニウム)の赤外線放射率を示すIRチャートである。 比較例1の遠赤外線放射用複合セラミックス材料のSEM写真である。

Claims (11)

  1. 非酸化雰囲気下、1000℃以上1200℃以下の加熱条件においてカーボン微粒子を生成する材料であり気体乃至液体状であるカーボン供給材料を供給しながら、セラミックス粒子とホウ化ランタンの混合物を1000℃以上、1200℃以下で加熱処理する工程と、前記セラミック粒子は800℃になるまで冷却速度50〜100℃/分で冷却処理する工程とを有することを特徴とする遠赤外線放射用複合セラミックス材料の製造方法。
  2. 前記非酸化雰囲気中にはアルゴン、クリプトン及びキセノンからなる群から選択される1以上の希ガスを含む請求項1に記載の遠赤外線放射用複合セラミックス材料の製造方法。
  3. 前記セラミックス粒子と該セラミックス粒子の周りを覆うカーボン微粒子とを有し、請求項1又は2に記載の製造方法にて製造される遠赤外線放射用複合セラミックス材料。
  4. 100nm以上、3000nm以下の平均粒径をもち、不定形且つ非晶質であり、ホウ化ランタンによりセラミックス粒子の表面に固定されたものであるカーボン微粒子と、
    該カーボン微粒子に表面が被覆され且つ該カーボン微粒子より平均粒径が大きいセラミックス粒子と、を有し、
    該カーボン微粒子及び該セラミックス粒子が接する部位近傍にホウ化ランタンを含有することを特徴とする遠赤外線放射用複合セラミックス材料。
  5. 前記セラミックス粒子は炭化ジルコニウムである請求項3又は4に記載の遠赤外線放射用複合セラミックス材料。
  6. 前記カーボン微粒子と前記炭化ジルコニウム粒子との質量比は5:95〜8:92である請求項5に記載の遠赤外線放射用複合セラミックス材料。
  7. 平均粒径が0.5μm以上、10μm以下である請求項のいずれかに記載の遠赤外線放射用複合セラミックス材料。
  8. 基体と、
    請求項のいずれかに記載の遠赤外線放射用複合セラミックス材料からなるセラミックス微粉末を含有し該基体を被覆する内部層とフッ素樹脂を含有し該内部層を被覆する外部層とからなる被膜と、
    を有することを特徴とする調理器具用部材。
  9. 基体と、
    請求項のいずれかに記載の遠赤外線放射用複合セラミックス材料からなるセラミックス微粉末と、
    該セラミックス微粉末を分散するフッ素樹脂とを含有し該基体を被覆する被膜と、
    を有することを特徴とする調理器具用部材。
  10. 前記セラミックス微粉末は前記被膜の質量を基準として10質量%〜40質量%である請求項又はに記載の調理器具用部材。
  11. 請求項〜1のいずれかに記載の調理器具用部材からなる内釜を有することを特徴とする炊飯器。
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