JP5144834B2 - 爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具、陥入爪矯正具の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性の向上方法 - Google Patents

爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具、陥入爪矯正具の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性の向上方法 Download PDF

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Description

本発明は、人体の指の爪に装着し、爪の側部に陥入部が生じた陥入爪を矯正するための、耐久性に優れる陥入爪矯正具等に関するものである。
例えば足の指の爪が巻いてしまう症状である巻き爪、足の指の爪の側部が、爪側部の皮膚に巻きこむようにして陥入する症状である陥入爪(以下、これら症状をまとめて陥入爪という)が発生する場合がある。陥入爪は、爪が湾曲することで、爪の側部が皮膚に食い込み、爪が組織に陥入するものである。
陥入爪に対しては、例えば、線状の超弾性合金の矯正作用体が複数取り付けられた支持体を、陥入爪の表面に張り付け、矯正作用体の復元力で陥入爪の湾曲を平常状態に矯正する陥入爪矯正具がある(特許文献1)。
また、冷間加工材の加工方向を長手方向として切り出した短冊状の弾性金属片を素材として、金属片の長手方向である加工方向を爪幅方向として、爪先側端部に爪先と噛み合う複数のカギツメが設けられた変形爪矯正具がある(特許文献2)。
特開平9−253111号公報 特開2007−244852号公報
しかし、特許文献1のような陥入爪矯正具では、複数の線状の矯正作用体を並列して形成するため、製造工程が複雑であり、また、各矯正作用体間に隙間が生じるため、矯正力が分散するという問題がある。また、矯正作用体同士を密着して形成すれば、多量の矯正作用体を用いる必要があるため、コスト増となる。さらに、陥入爪に装着する際に各矯正作用体を布テープで貼着する必要があることから、ワンタッチで装着できない。
これに対し、特許文献2の変形爪矯正具では、板状の弾性金属片を用いるため、強制力が分散することがなく、また、複数の部材を用いる必要もなく、ワンタッチで装着できることから、特許文献1のような問題は生じない。
ところで、前述した陥入爪矯正具等は、陥入爪に装着された状態で、使用者が日常生活を送るものである。すなわち、矯正具を装着した状態で、靴下などを履き、日常生活のために歩行を行うものである。したがって、矯正具には、例えば歩行時における指の動き等に伴う変形応力が付与される。また、矯正具は、陥入爪の矯正が完了するまで装着を継続するものであるため、数週間から数カ月にわたって連続して使用される。その使用期間は、装着する人の陥入爪の程度により異なるので、長時間の使用に耐える耐久性を有する必要がある。さらに矯正が進んでも、ほぼ一定の矯正力を作用させるか、或いは矯正が進むに連れてわずかに矯正力を低下させるに留まる。すなわち、陥入爪矯正具は、長期にわたって繰り返しの変形応力が負荷される環境下で用いられる。
例えば、特許文献2の変形爪矯正具を足の指に装着して歩行した場合には、爪との装着部であるカギツメ部に応力が集中して最も大きな変形応力が付与される。したがって、このように繰り返し応力が付与されても、爪保持が破断せずに、変形爪矯正具が確実に爪を保持することが望まれる。しかしながら、歩行に伴うこのような繰り返しの応力に対する耐久性については、これまで注目されてこなかった。そのため、装着部の耐久性向上を目的に開発された材料は存在しない。
本発明は、上述のような繰り返しの変形応力が付与される環境下での使用を考慮し、特に装着部(爪保持部)の耐久性に優れる陥入爪矯正具等を提供することを目的とする。さらには、陥入爪装着具の耐久性だけでなく、矯正具の矯正力の向上を達成することをも可能とすることも目標とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、板状の矯正具本体部と、前記矯正具本体部の長手方向の側部から延出して形成される陥入爪の先端を保持する複数の舌状片を折り込んで形成した爪保持部と、を具備し、Cu−Al−Mn系超弾性合金の冷間圧延板材を形状記憶熱処理した材料からなる陥入爪矯正具の耐久性の向上方法であって、前記爪保持部は、前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させて舌状片を陥入爪の先端を保持することが可能なように折込んで形成することで、前記爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性を向上させることを特徴とする陥入爪矯正具の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性の向上方法である。ここで、形状記憶熱処理(記憶熱処理)とは、対象となる超弾性合金に、形状記憶特性又は超弾性特性を付与するための熱処理を言うが、本発明においては超弾性特性を付与する熱処理を言う。
前記爪保持部の形成方向を、前記冷間圧延材の圧延方向に対して略垂直な方向とする場合と比較して、前記爪保持部の37℃で90°繰り返し曲げ試験における破断回数の平均値を少なくとも2倍以上に向上させることが望ましい。
前記矯正具本体部の長手方向に対して、前記爪保持部を略垂直に形成し、矯正具本体の矯正力を作用させる方向を圧延方向に対して略垂直な方向とすることで、矯正具本体の矯正力を作用させる方向を圧延方向に対して略平行な方向とした場合と比較して、前記爪保持部の耐久性だけでなく、前記矯正具本体部の矯正力も同時に向上させることが望ましい。
前記舌状片は、舌状片先端部近傍の第1の折り込み部で180°を超える角度で折り込まれ、さらに、前記矯正具本体部との境界部近傍の第2の折り込み部で180°を超える角度で折り込まれることにより、少なくとも爪保持部の耐久性の他、爪保持部の爪保持力を向上させたものであることが望ましい。
第1の発明によれば、陥入爪に装着された状態で長時間使用しても、爪に対する装着性が維持され、耐久性に優れた陥入爪矯正具を得ることができる。耐応力腐食割れ性に関しても問題の無いものが得られる。また、陥入爪の程度がひどい場合には、前記陥入爪矯正具の本体部が陥入爪の湾曲方向の面方向に湾曲させることで、陥入爪矯正具を装着しやすくなり、使用しやすい。さらに、前記陥入爪矯正具を、耐食性向上のための表面処理を行うことにより、陥入爪矯正具の耐食性を向上させることができる。
また、爪保持部の第2の折り込み部での折り込み角度を180°以上にすることで、爪に対してより大きな保持力を得ることができる。また、爪保持部の保持力を高めることで、爪保持部に付与される応力も大きくなるが、さらに高い耐久性のため、繰り返し荷重に伴う保持力の劣化の心配がない。すなわち、実際の使用状態における長時間の耐久性を具備した陥入爪矯正具を得ることができる。
また、第の発明は、板状の矯正具本体部と、前記矯正具本体部の長手方向の側部から延出して形成される陥入爪の先端を保持する複数の舌状片を折り込んで形成した爪保持部と、を具備するCu−Al−Mn系超弾性合金の冷間圧延板材を形状記憶熱処理した材料からなり前記爪保持部は、前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させて舌状片を陥入爪の先端を保持することが可能なように折込んで形成されたもので前記舌状片は、舌状片先端部近傍の第1の折り込み部で折り込まれ、さらに、前記矯正具本体部との境界部近傍の第2の折り込み部で180°を超える角度で折り込まれることを特徴とする爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具である。
前記爪保持部の形成方向を、前記冷間圧延板材の圧延方向に対して、略垂直な方向または45°方向とした場合に対し、前記爪保持部の形成方向を、前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させることで、前記爪保持部の37℃での90°繰り返し曲げ試験における破断回数が少なくとも2倍以上優れることが望ましい。
前記爪保持部の形成方向を前記冷間圧延板材の圧延方向に対して略垂直な方向または45°の方向とした場合と、前記爪保持部の形成方向を前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させる場合とで、前記爪保持部の人工汗を用いたJIS B 7285に準拠した試験温度37°での耐応力腐食割れ性試験の結果が、ほぼ同等であることが望ましい。
前記陥入爪矯正具が耐食性向上のための表面処理を行ったものであることが望ましい。
前記矯正具本体部は、前記爪保持部の形成方向に対して略垂直な方向であって、前記矯正具本体部の面方向に湾曲していることが望ましい。
の発明によれば、長時間の使用状態に対しても耐久性に優れた陥入爪矯正具を得ることができる。
本発明によれば、繰り返しの変形応力が付与される環境下での使用を考慮した、耐久性に優れる陥入爪矯正具等を提供することができる。
陥入爪矯正具1を示す斜視図。 陥入爪矯正具1を示す裏面図。 図2のA−A線断面図。 陥入爪矯正具1の装着状態を示す図。 陥入爪矯正具1の装着状態を示す図であり、図4のB−B線断面図。 冷間加工板11に対する陥入爪矯正具素材13の地取り方向を示す図。 陥入爪矯正具1の曲げ加工方法を示す図。 加工方向に対する応力歪み曲線を示す図。 陥入爪矯正具1の曲げ耐久性試験方法を示す図。 陥入爪矯正具1の環境耐久性試験方法を示す図。 陥入爪矯正具1a、1bを示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1、図2は、陥入爪矯正具1を示す図であり、図1は裏面斜視図、図2は裏面図である。陥入爪矯正具1は、主に、平板状の矯正具本体3と、矯正具本体3の側部(長手方向側部)に形成される複数の爪保持部5から構成される。
矯正具本体3は、略矩形の板状部である。矯正具本体3は、その長手方向が陥入爪の幅方向に対応する。矯正具本体3の長手方向長さは、装着する爪のサイズにより適宜設定されるが、例えば、12〜20mm程度である。また、矯正具本体3の幅は、復元力および装着性等を考慮して、3〜5mm程度である。なお、矯正具本体3の形状は、完全な平板形状である場合が多いが、場合によっては、陥入爪の形状に合わせて、事前に矯正方向や矯正力を調整可能なように、形状を変更させても良い。例えば、陥入の程度が激しい場合には湾曲、屈曲部を形成すると、装着が容易になる場合がある。
矯正具本体3の長手方向における一方の側部には、爪保持部5が形成される。爪保持部5は、例えば、矯正具本体3の長手方向両端部近傍を含む複数箇所に形成される。
図3は図2のA−A線断面図であり、爪保持部5の形状を示す図である。爪保持部5は、矯正具本体3の一方の側部から折り込み部7bで折り込まれ、さらに折り込み部7aにより同一方向に折り込まれる。なお、爪保持部5の折り込み角度等についての詳細は後述する。
陥入爪矯正具1は、矯正具本体3および爪保持部5が一体で形成される。陥入爪矯正具1は、超弾性合金で製造されており、使用者の使用条件において、超弾性特性を有する。陥入爪矯正具1の材質としては、Cu−Al−Mn系超弾性合金が望ましい。この場合、Al:3〜10wt%、Mn:5〜20wt%、残部Cu(不可避元素含む)の三元系合金や、必要に応じて、その他のNi、Co、Fe、Ti、V、Cr、Si、Nb、Mo、W、Sn、Sb、Mg、P、Be、Zr、Zn、B、C、Ag、ミッシュメタルの一種以上を0.001〜10wt%含有させてもよい。
超弾性効果を得るための条件は、Cu−Al−Mn系合金の状態図の高温側においてβ相単相(低温側ではβ+α相二相組織)となる必要がある。Alが3wt%未満では、β相が生成されない。また、Alが10wt%を超えると、合金の脆化を招く。このため、Alは3〜10wt%であることが望ましい。
また、Mnは特に低温側におけるβ相を安定させ、また、冷間加工性を向上させる。Mnが5wt%未満では、このような効果が薄く、また、20wt%を超える過剰な添加は超弾性効果に悪影響を及ぼす。このため、Mnは5〜20wt%であることが望ましい。
また、その他の添加元素として、Ni、Co、Fe、Sn、Sb、Beはマトリックスを強化する作用を有する。TiはN、Oを固定して無害化する。W、V、Nb、Mo、Zrは、硬さや耐摩耗性を改善する。Mgは熱間加工性、靭性を向上させる。P、ミッシュメタルは脱酸剤として添加され、靭性を向上させる。Znは形状記憶温度を上昇させる。B、Cは粒界を強化して加工性、靭性を改善する。Agは、冷間加工性を向上させる。以上のように、これらの元素の少なくとも1つ以上を0.001から10wt%の範囲で加えることにより、主に、加工性や、硬さや耐摩耗性、靭性などの特性を向上させることができ、添加量は上記の範囲であれば問題はない。
次に、陥入爪矯正具1の使用方法について説明する。図4は、陥入爪矯正具1の使用状態を示す図であり、図4(a)は陥入爪9を示す平面図、図4(b)は陥入爪9に陥入爪矯正具1を装着した状態を示す平面図、図4(c)は、陥入爪9に陥入爪矯正具1を装着した状態を示す正面拡大図である。
図4(a)に示すように、両側部が皮膚に巻きこんだ陥入爪9に対して、図4(b)に示すように陥入爪矯正具1を装着する。この際、矯正具本体の長手方向が陥入爪9の幅方向に対応する。陥入爪矯正具1は、陥入爪9の上面側から被せられ、陥入爪9の先端部に爪保持部5が取り付けられる。すなわち、爪保持部5に爪先が挿入される。
図4(c)に示すように、陥入爪9は、両側部が皮膚に巻きこむように大きく湾曲している。このため、陥入爪矯正具1の矯正具本体3は、陥入爪9の形状に沿って変形する。矯正具本体3は、使用温度において超弾性特性を有するため、装着前の形状(例えば平板状)に復元しようとする。また、陥入爪矯正具1は、その両端部近傍において陥入爪9を保持する。したがって、陥入爪矯正具1の復元力により、陥入爪9の形状が、装着前の矯正具本体3の形状に矯正される。
なお、陥入爪矯正具1は、装着した状態で継続して使用される。矯正に要する期間は、陥入爪9の形状や、その他条件によって異なるが、数週間から数か月を要する場合がある。すなわち、この間は、使用者は、陥入爪矯正具1を装着した状態で、日常生活を送ることとなる。
図5は図4のB−B線断面図である。前述の通り、爪保持部5の先端は、第1の折り込み部である折り込み部7aにより折り込まれ、爪保持部5と矯正具本体3との境界部近傍は、第2の折り込み部である折り込み部7bで折り込まれる。
矯正具本体3が陥入爪9の上面に配置された状態で、陥入爪9の爪先側から爪保持部5の先端が爪の下部に差し込まれる。すなわち、爪先が、矯正具本体3と爪保持部5との間に挿入される。
この際、陥入爪矯正具1が爪先に確実に装着されるためには、爪保持部5の爪に対する保持力が重要である。すなわち、爪先が挿入された際に、爪保持部5は、爪先の挿入に伴い、矯正具本体3と爪保持部5との隙間が開く方向(図中矢印C方向)に弾性変形して爪先を保持する。したがって、より大きな保持力を得るためには、爪先に挿入するに際して、陥入爪9により大きな変形を付与することが望ましい。
一方、前述した通り、陥入爪矯正具1は、使用者が陥入爪の矯正を完了するまで長期間にわたって継続して使用されるものである。また、装着した状態で日常生活を送るため、例えば歩行時には、歩行に伴う指先の動作や靴等の形状変化に追従して、陥入爪矯正具1にも変形応力が付与される。この際、最も応力が集中しやすく、大きな変形応力を受ける部位は、特に爪保持部5の折り込み部7a、7bとなる。したがって、陥入爪矯正具1のより高い耐久性を得るためには、爪保持部5の折り込み部7a、7bの折り込み方向に対する耐久性を得る必要がある。以下、このような耐久性を得るための加工方法について説明する。
図6は、陥入爪矯正具1の素材である冷間加工板材11を示す図である。冷間加工板材11は、以下のように製造される。まず、所定成分に調整された金属を溶解し、インゴットを鋳造する。得られたインゴットは外部の酸化物等を除去するため表面を外削する。たとえば、表面を2.5mm程度外削する。
次に、700℃〜900℃で熱間鍛造を行い、500℃〜700℃において熱間圧延を施す。次に、得られた熱間圧延板を焼鈍後、数回冷間圧延する。ここで、1回の冷間圧延における圧延率は、熱間圧延直後の冷間圧延の場合と中間焼鈍後の冷間圧延の場合ともに、圧延率が60%以下範囲で設定することができる。ここで、焼鈍後の圧延率の上限を60%としたのは、これ以上の圧延率で圧延を行うと、圧延材の両端部に割れが生じる、いわゆるエッジクラックが生じ、板材の歩留まりが低下するためである。また、加工硬化により圧延性が低下するからである。たとえば本発明では、熱間圧延直後の焼鈍を行った上、冷間圧延中の中間焼鈍を繰り返して行うが、いずれの場合も、焼鈍後の圧延率はともに、40%程度として、焼鈍と冷間圧延を繰り返して施して、冷間加工板材11を得る。中間焼鈍は、通常400〜700℃で行うが、この理由は、400℃より温度が低いと、焼鈍効果がなく、700℃を超えると効果が飽和するからである。このため、この範囲で行えばほぼ十分な焼鈍効果が得られる。通常中間焼鈍の焼鈍時間は、1〜60分の範囲で行う。本発明では、600℃×10分で行った。
次に、冷間加工板をスリッタ加工することで、必要な幅の条体として、プレス加工により陥入爪矯正具を加工する。スリッタ幅は、最終製品の幅等に応じて適宜設定される。例えば、具体的には最終製品の幅の整数倍にトリミング代を加えた値に設計されるが、最終製品の幅に両側のトリミング代を加えた寸法に設定しても良い。プレスにて打ち抜きおよび成形加工後、形状記憶熱処理を施す。形状記憶熱処理は、800〜950℃×1〜30分の範囲で行ない、これに続く、時効処理は、100〜200℃×10〜60分の範囲で行われる。この理由は、800〜950℃の範囲を外れると、充分な超弾性効果が得られないためである。特に形状記憶熱処理温度が950℃を超えると、材料の結晶粒界の一部が局部溶融することもある。時効処理は、100〜200℃×10〜60分の範囲で行うことにより、変態温度を適切に制御することができる。この範囲を超えると、変態温度が適切に制御できない。本発明における形状記憶熱処理は、β単相領域である例えば900℃×10分の形状記憶熱処理(水冷)後、200℃×15分の時効処理(空冷)を施す。最後に、表面処理(バレル研磨、酸洗、必要に応じて塗装など)を施して製品が完成する。
図6(a)に示すように、前述した工程における冷間加工板材11の長手方向(圧延方向)をL、幅方向をWとする。この場合、陥入爪矯正具素材13の地取り方向は、本体部素材13a(矯正具本体3に対応)の長手方向が、幅方向(方向W)と略一致し、爪保持部素材13b(爪保持部5に対応)の形成方向が冷間加工板材の加工方向(方向L)と略一致する方向とする。すなわち、陥入爪矯正具1の矯正具本体3の長手方向が冷間加工板材11の加工方向に対して略垂直(W方向)であり、爪保持部5の形成方向が冷間加工板材11の加工方向と略一致(L方向)するように、冷間加工板材11から陥入爪矯正具素材13が一体で切り出されて加工される。
陥入爪矯正具素材13の切り出し方向を上述のように規定した理由は以下の通りである。通常、冷間加工板材は、圧延方向および幅方向で異方性を示すことが多い。金属組織の結晶方向と加工性(すべり方向)との間に相関があるためである。また、これらの材料は、材料強度、残留歪み、繰り返し曲げなど、陥入爪矯正具において必要とされるいずれの材料特性においても、圧延方向との関係で、それぞれ異なる挙動を示す。そのため、その使用目的に応じて、板材の材料特性の異方性を配慮する必要があるだけではなく、繰り返し曲げ特性については、これまで検討された事例がほとんど見受けられない。したがって、このような冷間加工板材より製品素材を切り出す際には、板材の加工方向に対する製品の材料強度、残留歪み、繰り返し曲げ特性などの材料特性の異方性との関係を考慮する必要がある。ここで、繰り返し曲げ特性は、陥入爪矯正具の装着部(爪保持部)の破断寿命と関係し、さらに材料強度は製品の矯正力と関係する重要因子である。このため、これらのバランスをどのようにするかは、陥入爪矯正具の製品開発上の最も重要な課題である。なお、ここで、前述の材料特性の方向性については、後述する。
図7は、切出された陥入爪矯正具素材13の加工工程を示す図である。なお、切出し〜最終曲げ加工までは、複数の金型によって同一プレス機で加工される。図7(a)に示すように、陥入爪矯正具素材13は、本体部素材13aと、本体部素材13aの長手方向側部に形成される爪保持部素材13bから構成される。すなわち、板状の本体部素材13aの長手方向に対して、略垂直な方向に向けて舌状片である爪保持部素材13bが複数形成される。
図7(b)および図7(c)は、図7(a)のD−D線断面図であり、爪保持部素材13bの加工工程を示す図である。まず、図7(b)に示すように、爪保持部素材13bの先端部近傍が折り込み部7aで折り込まれる(図中矢印E方向)。この際、折り込み部7aの折り込み角度は、180°を超えることが望ましい。すなわち、折り込み部7aを境にして、それぞれの爪保持部素材面同士が互いに平行(すなわち180°折曲げ)となる折り込み角度よりも、さらに角度Fだけ大きく折り込むことが望ましい。角度Fとしては、望ましくは0°より大きく〜30°程度以下である。すなわち、折り込み部7aの折り込み角度は、180°より大きく210°程度以下であることが望ましい。210°を越えて折り曲げても、加工度が大きくなるだけで、折り曲げ効果はほとんど変わらないためである。
次に、図7(c)に示すように、爪保持部素材13bと本体部素材13aとの境界部近傍が折り込み部7bで折り込まれる(図中矢印G方向)。なお、折り込み部7bは、折り込み部7aと同一方向に折り込まれる。この際、折り込み部7bの折り込み角度は、180°以上であることが望ましい。さらに、折り込み部7bを境にして、爪保持部素材13bと本体部素材13aとが互いに平行(すなわち180°折曲げ)となる折り込み角度よりも、さらに角度Hだけ大きく折り込むことが望ましい。角度Hとしては、0〜30°程度であり、望ましくは5〜25°程度である。すなわち、折り込み部7bの折り込み角度は、185〜205°程度であることが望ましい。180°を超えて例えば185°以上の折り込み角度とすることで、爪保持部の爪保持力を高めることができる。205°を超える加工は、加工度が上がり、加工が困難で、折り込み部7bの折り込み角度としては、185〜205°程度であることが望ましい。
以上により、爪保持部5が形成される。なお、爪保持部5の形成方向とは、図7(a)における爪保持部素材13bの形成方向である。爪保持部5が、折り込み部7a、7bで折込まれることにより形成され、それぞれの折り込み角度を前述のように設定することで、爪への挿入時および爪からの抜き時に、爪保持部5の先端部が爪に引っ掛かることがない。また、爪を挿入する部位の開口幅が小さくなり、爪挿入時により大きな変形が付与されるため、より強い保持力で爪を保持することができる。このため、装着時の矯正具のずれ等を抑えることができる。
なお、爪保持部をこのような形状として、爪の保持力を高めることで、装着時において、陥入爪矯正具1(爪保持部5)には、より大きな変形応力が加わることとなる。また、前述したとおり、陥入爪矯正具の装着時には、使用者の歩行などの指の動きに追従するため、爪保持部5は最も大きな繰り返し応力が付与される部位となる。したがって、前述した強い保持力を得ることで、陥入爪矯正具1(爪保持部5)は、より大きな繰り返し応力下で使用されることとなる。
しかしながら、本発明の陥入爪矯正具は、この最も大きな繰り返し応力が付与される方向、すなわち、爪保持部の形成方向を、最も耐久性の高い冷間加工板材における加工方向としたものである。したがって、爪保持部の爪挿入時の変形量を大きくし、より大きな応力下での長時間の使用に対しても、高い耐久性を得ることができる。
冷間加工の加工方向に対して、0°(加工方向と一致)、90°(加工方向に垂直)、45°(0°と90°の間)について、応力−ひずみ特性を調査した。図8は、本発明における冷間加工板材の加工方向(L)に対する角度毎の応力−ひずみ曲線を示す図である。図中、0°は、冷間加工方向に沿って切り出した試験片を、切出し方向(加工方向)に対して評価したものであり、90°は、冷間加工方向に略垂直(W方向)に切り出した試験片を、切出し方向(幅方向)に対して評価したものである。また、45°は、その中間の斜め方向の試験片による評価である。
用いた材料は、Al:8.1wt%、Mn:10wt%、残部実質的にCuよりなる。なお、各成分はJIS H 1055、JIS H 1057に準じて成分分析を行った。また、冷間圧延板材の製造条件は、まず、所定成分に調整された金属を溶解し、85φ×0.3mのインゴットを鋳造し、得られたインゴットを外削により、80φ程度とした。
次に、700℃〜900℃で熱間鍛造を行い、インゴットから15mm厚×50mm幅×1m長さの鍛造体を2本形成した。次に、500℃〜700℃において熱間圧延を施し、鍛造体を2mm厚×60mm幅×6m長さ程度の熱間圧延板を形成した。次に、得られた熱間圧延板を、加工率を40%での冷間圧延と中間焼鈍(600℃×10分)を繰り返して施した。得られた冷間圧延板としては、0.2mm厚×65mm幅×約50m長さ程度である。その後、形状記憶熱処理として、溶体化処理(900℃×5分)を施した後、時効処理(150℃×20分)を施した。
(引っ張り試験)
得られた冷間圧延板材から引っ張り試験用の試験片をそれぞれの方向に切り出した。試験片は、0.2mm厚×10mm幅×約100mm長さになるように作成した。作成した試験片は、形状記憶熱処理を施した後に引張試験を行った。また、引張試験は、上記試験片をチャック間距離が50mmになるようにチャックで把持し、速度2mm/minで引っ張った。なお、材料特性は、温度に大きく依存するため、以下の説明においては、本発明の陥入爪矯正具の使用条件を考慮して、37℃における特性について説明する。
図8に示すように、同一材料であっても、冷間圧延板材の加工方向に対して、試験片の地取り方向によって機械的性質が異なる。表1には、図8より読み取った、各方向に対する応力および残留ひずみを示す。なお、実際の陥入爪矯正具の使用態様を考慮すると、ひずみは4%以下程度が使用領域といえる。したがって、以下は、2〜4%のひずみに対して説明する。
Figure 0005144834
表1に示すように、45°における地取り方向は、応力が最も大きいが、残留ひずみが大きい。また、45°は材料歩留りや製造工程を考慮すると、製造が困難となる。90°(加工方向に垂直)は、0°(加工方向と一致)に対して、やや応力および残留ひずみが大きい。しかしながら、(4%ひずみ後の)残留ひずみは、いずれも0.4%以下であり、また、0°の試験結果と比較しても、0.14%程度の差(4%ひずみ後)でほとんど差が認められない。したがって、応力−ひずみ特性においては、0°も90°も大きな違いはないといえる。また、(8%ひずみ後の)残留ひずみは、45°方向は、1%を越えており、残留ひずみが大きいが、0°、90°方向ともに、残留ひずみは1%未満にとどまっている。
なお、90°方向の応力が0°方向の応力よりも高いため、例えば、本発明のように90°方向を矯正具本体の長手方向とすることで、同一厚さであれば、0°方向のものよりも大きな矯正力を得ることができる。また、同一矯正力であれば、より板厚を薄くすることができ、このため使用者の装着感が向上する。また、45°方向は矯正力を大きくできるが、残留ひずみが大きいため、残留ひずみの観点からは、本用途には最適な材料とはいえない。
(繰り返し曲げ試験)
次に、爪保持部の折り曲げ部の繰り返し曲げに対する耐久性確認するため、繰り返し曲げ試験を行った。ここで、繰り返し曲げ試験(曲げ耐久性試験)は、0°、45°、90°の各板取り方向に、それぞれの方向の試験片について行った。図9は曲げ耐久性試験方法を示す図である。試験片は、前述した条件(最終厚さは0.2mm)の冷間圧延板材より、それぞれの方向が長手方向となるようにサンプルを切り出した。試験片としては、冷間圧延板材より、30mm長さ、10mm幅の試験片を切り出した。作成した試験片は、形状記憶熱処理を施した後に繰り返し曲げ試験を行った。
図9(a)、図9(b)に示すように、試験片15を一対の治具17で挟み込む。治具17は鋼製であり試験片15の略中央付近までを完全に挟み込んだ。この状態で、試験片15の面方向(各治具17方向)に90°の繰り返し曲げ変形を付与した。試験片温度は、使用条件を考慮して37℃とした。なお、試験片15には、耐力以下である50MPaの張力(図面上方)を付与した状態で繰り返し曲げ試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005144834
各方向における繰り返し曲げ試験は、それぞれ5回ずつ実施した。なお、曲げ回数は、一方向への曲げを1回とし、両方向への一往復の曲げ(図9(a)の左右両方向)は2回とした。破断回数とは、曲げ部で破断するまでの曲げ回数である。
表2より、切出し方向が0°方向の試験片は、他の方向の試験片に対して約2倍以上の曲げ耐久性を有していることが分かった。すなわち、冷間圧延板材の加工方向と略一致する方向が、最も曲げ耐久性が良好であり耐久性に優れることが分かった。したがって、本発明のように、爪保持部を冷間圧延板材の加工方向と一致させることで、最も高い耐久性を得ることができる。
(応力腐食試験)
次に、使用条件を考慮して、人工汗を用いた応力腐食試験を行った。応力腐食試験の試験液は、乳酸50g、塩化ナトリウム100gを1lの水に溶かした溶液であり、JIS B 7285に規定される耐食試験用の試験液を用いた。密閉容器内に、脱脂綿を配置し、脱脂綿が完全に湿潤となるように試験液を注ぎ、応力を付与した試験片を治具を介して脱脂綿上方に設置し、試験液雰囲気中に暴露した。試験温度は約38℃とした。
図10は、応力腐食試験の試験片への応力の付与方法を示す図である。試験片は、前述した条件(最終厚さは0.2mm)の冷間圧延板材より、それぞれの試験片の長手方向が各地取り方向となるように試験片を切り出した。開口幅が1mmになるように略平行(180°)にU字状に折曲げられた試験片に、形状記憶熱処理を施した後に応力腐食試験を行った。試験片19の開口側から、開口幅(1mm)よりもやや厚い1.5mm厚さの板状の治具21を挿入し、試験片19を強制的に拡口させた。開口角度(図中J)は25°とした。治具21により拡口させた状態で、治具21のみが試験液と接触するように治具21を保持し、2週間後、応力腐食割れの発生を目視で評価した。その結果、いずれの地取り角度においても、応力腐食割れは発見されず、地取り角度による違いは発見されなかった。なお、陥入爪矯正具に対して、耐食性向上のためのポリエステルなどの樹脂被覆などの表面処理を行うと、耐食性を向上することができる。このため、陥入爪矯正具を装着した場合にける陥入爪矯正具の素材表面の腐食による変色を防ぐことができる。また、同時に、使用する樹脂に種々の顔料を混ぜることにより、ファッション性が豊かな陥入爪矯正具を得ることができる。
以上説明したように、本発明の陥入爪矯正具によれば、陥入爪に対する矯正力を付与する矯正具本体部分が、圧延方向に対して略垂直な90°方向となる。このため、陥入爪矯正具の矯正力を高くするとともに、残留ひずみを低めに設定できる。また、最も応力のかかる爪保持部が、最も耐久性に優れた冷間圧延板材の加工方向と略一致するため、長時間の繰り返し応力下での使用において、繰り返し曲げにより破断することなく、高い耐久性を得ることができる。その結果、陥入爪矯正具を装着中に判断するなどの不具合を回避できる。
このため、爪保持部の爪保持力を強めることができ、陥入爪矯正具の耐久性が向上する。なお、このような耐久性向上効果は、実際に装着した陥入爪矯正具装着者においても確認することができた。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
たとえば、陥入爪矯正具1としては、完全にフラットな平板状の矯正具本体3を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図11に示すように、矯正具本体を、爪保持部の形成方向に対して略垂直な方向に(矯正具本体長手方向(面方向)に)湾曲するように形成してもよい。
図11(a)、(b)は、爪保持部の折曲げ方向に所定の曲率で湾曲した矯正具本体3a、3bを有する陥入爪矯正具1a、1bを示す正面図である。矯正具本体3a、3bは、装着される陥入爪9の変形方向に沿って湾曲する。すなわち、矯正具本体3a、3bは、爪装着面を下面とした場合に、爪保持部が形成される端部に対し、中央部が上方に湾曲する形状となる。矯正具本体3a、3bの曲率は、装着される陥入爪9の変形(曲率)の程度に応じて設定される。
このような場合においては、特に、陥入爪9の変形が著しく大きい場合に、矯正具に発生する矯正力が大きくなるため、矯正力を緩和して装着者の負担を緩和する必要があることから、たとえば矯正初期においては、陥入爪9を一定の曲率と仮定した場合において、陥入爪9の曲率よりもやや小さな曲率で湾曲した矯正具本体3aを有する陥入爪矯正具1aを陥入爪9に装着して使用する(図11(a))。
陥入爪9の矯正が進行すると、陥入爪矯正具1aに代えて、矯正中の陥入爪9の曲率よりもやや小さな曲率を有し、更に陥入爪矯正具1aより小さな曲率で湾曲する(図11(b))陥入爪矯正具1bを装着する。最後に、実施例で示したような、湾曲部を有さない平坦な矯正具本体3を有する陥入爪矯正具1を装着する。以上により陥入爪9の矯正を段階的に行うことができる。
このように、通常は、湾曲を有さない平坦な矯正具本体を有する陥入爪矯正具を使用することが一般的であるが、湾曲した陥入爪矯正具を用いることで、陥入爪の形状に応じた矯正力を得ることができる。したがって、例えば、矯正初期において、大きな矯正力を与えることにより生じる使用者に対する違和感や痛みの発生を、軽減するよう調整することができる。なお、湾曲部を有する陥入爪矯正具は、上述したように複数段階で使い分ける必要はなく、また、矯正終了まで湾曲部を有する陥入爪矯正具を用いてもよい。すなわち、図11(a)から図11(c)に進んでもよく、図11(b)の陥入爪矯正具1bを最初から最後まで使用してもよい。
1、1a、1b………陥入爪矯正具
3、3a、3b………矯正具本体
5………爪保持部
7a、7b………折り込み部
9………陥入爪
11………冷間加工板材
13………陥入爪矯正具素材
13a………本体部素材
13b………爪保持部素材
15………試験片
17………治具
19………試験片
21………治具

Claims (9)

  1. 板状の矯正具本体部と、
    前記矯正具本体部の長手方向の側部から延出して形成される陥入爪の先端を保持する複数の舌状片を折り込んで形成した爪保持部と、を具備し、Cu−Al−Mn系超弾性合金の冷間圧延板材を形状記憶熱処理した材料からなる陥入爪矯正具の耐久性の向上方法であって、
    前記爪保持部は、前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させて舌状片を陥入爪の先端を保持することが可能なように折込んで形成することで、前記爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性を向上させることを特徴とする陥入爪矯正具の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性の向上方法。
  2. 前記爪保持部の形成方向を、前記冷間圧延板材の圧延方向に対して略垂直な方向とする場合と比較して、前記爪保持部の37℃で90°繰り返し曲げ試験における破断回数の平均値を少なくとも2倍以上に向上させることを特徴とする請求項1記載の陥入爪矯正具の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性の向上方法。
  3. 前記矯正具本体部の長手方向に対して、前記爪保持部を略垂直に形成し、矯正具本体の矯正力を作用させる方向を圧延方向に対して略垂直な方向とすることで、矯正具本体の矯正力を作用させる方向を圧延方向に対して略平行な方向とした場合と比較して、前記爪保持部の耐久性だけでなく、前記矯正具本体部の矯正力も同時に向上させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の陥入爪矯正具の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性の向上方法。
  4. 前記舌状片は、舌状片先端部近傍の第1の折り込み部で180°を超える角度で折り込まれ、さらに、前記矯正具本体部との境界部近傍の第2の折り込み部で180°を超える角度で折り込まれることにより、少なくとも爪保持部の耐久性の他、爪保持部の爪保持力を向上させたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の陥入爪矯正具の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性の向上方法。
  5. 板状の矯正具本体部と、
    前記矯正具本体部の長手方向の側部から延出して形成される陥入爪の先端を保持する複数の舌状片を折り込んで形成した爪保持部と、
    を具備するCu−Al−Mn系超弾性合金の冷間圧延板材を形状記憶熱処理した材料からなり
    前記爪保持部は、前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させて舌状片を陥入爪の先端を保持することが可能なように折込んで形成されたもので前記舌状片は、舌状片先端部近傍の第1の折り込み部で折り込まれ、さらに、前記矯正具本体部との境界部近傍の第2の折り込み部で180°を超える角度で折り込まれることを特徴とする爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具。
  6. 前記爪保持部の形成方向を、前記冷間圧延板材の圧延方向に対して、略垂直な方向または45°方向とした場合に対し、前記爪保持部の形成方向を、前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させることで、前記爪保持部の37℃での90°繰り返し曲げ試験における破断回数が少なくとも2倍以上優れることを特徴とする請求項記載の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具。
  7. 前記爪保持部の形成方向を前記冷間圧延板材の圧延方向に対して略垂直な方向または45°の方向とした場合と、前記爪保持部の形成方向を前記冷間圧延板材の圧延方向と略一致させる場合とで、前記爪保持部の人工汗を用いたJIS B 7285に準拠した試験温度37°での耐応力腐食割れ性試験の結果が、ほぼ同等であることを特徴とする請求項または請求項に記載の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具。
  8. 前記矯正具本体部は、前記爪保持部の形成方向に対して略垂直な方向であって、前記矯正具本体部の面方向に湾曲していることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具。
  9. 前記陥入爪矯正具が耐食性向上のための表面処理を行ったものであることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載の爪保持部の繰り返しの応力付加に対する耐久性に優れる陥入爪矯正具。
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