JP5143777B2 - 合成樹脂エマルジョン粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの合成樹脂エマルジョン粉末では、後添加するPVAが低重合度PVAであるため、水中に再分散した場合も同固形分の合成樹脂エマルジョンに比較し分散液は低粘度となり、セメントモルタルなどの水硬性物質の混和剤として使用しても高粘度化するためには、増粘剤を使用しなければならない。また、再分散後の分散液を高粘度化するために、後添加PVAの重合度を高くすると、再分散性が低下し、水硬性物質への分散性も低下することから減水性が低下し、得られる水硬性物質の強度が十分には得られないなという問題点があった。
本発明の合成樹脂エマルジョン粉末を使用することにより、セメントモルタルなどの水硬性物質への分散性に優れ、セメントモルタルなどの水硬性物質へ混和した場合に減水性と増粘性を両立し、得られる水硬性物質の粘性、保水性が増大し、こてさばき、のびが改良され、モルタルの硬化時間、水引き時間が遅くなるので作業性が顕著に向上するほか、亀裂の発生も抑制される効果が得られる。また、本発明の合成樹脂エマルジョン粉末を使用することにより、接着性および耐久性に優れ、さらに機械的強度にも優れる水硬性物質用打継ぎ材が得られる。
本発明において、エマルジョン(A)の分散質は、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体からなる。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等のスチレン系単量体類、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロライド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンの4級アンモニウム塩、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミンの4級アンモニウム塩、さらにはアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の4級アンモニウム塩、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、またジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらの単量体は単独もしくは二種以上を組み合わせて使用される。
上記の単量体単位からなる重合体のうち、酢酸ビニル系重合体で代表されるビニルエステル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体で代表されるオレフィン−ビニルエステル共重合体などは、本発明の好ましい態様の一つである。
ビニルアルコール系重合体の添加方法は特に制限はなく、初期に一括して添加する方法、初期にビニルアルコール系重合体の一部を添加し、重合中に連続的に重合系へ添加する方法等がある。
また、従来公知のノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性の界面活性剤やヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子をビニルアルコール系重合体と併用してもかまわない。
連鎖移動剤の添加量は、単量体100重量部に対して5重量部以下が好ましい。連鎖移動剤の添加量が5重量部を越える場合には、合成樹脂エマルジョンの重合安定性が低下する上、分散質を形成する重合体の分子量が著しく低下し、エマルジョン物性の低下が起こる懸念がある。
式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれの(ポリ)オキシレンユニットの繰り返し単位を表し、0≦m≦10、3≦n≦20である。ここで、繰り返し単位mで表されるユニットをユニット1と呼び、繰り返し単位nで表されるユニットをユニット2と呼ぶことにする。ユニット1とユニット2の配置は、ランダム状、ブロック状のどちらの形態になっても良い。
式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。R3は水素原子または−COOM基を表し、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を意味する。R4は水素原子、メチル基または−CH2−COOM基を表し、ここでMは前記定義のとおりである。Xは−O−、−CH2−O−、−CO−、−CO−O−または−CO−NR5を表し、ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を意味する。mとnはそれぞれの(ポリ)オキシレンユニットの繰り返し単位を表し、0≦m≦10、3≦n≦20である。
例えば、一般式(II)のR1が水素原子、R2が水素原子、R3が水素原子の場合、一般式(II)で示される不飽和単量体として具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルなどが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルが好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルが特に好適に用いられる。
S(モル%)={(βのプロトン数/3n)/(αのプロトン数+(βのプロトン数/3n))}×100
nはユニット2の繰り返し単位数を表す。
ここで、POA基を有する単量体単位の含有量とは、PVAの主鎖100重量部に対するPOA基の重量部(重量分率)で表される。前述のPOA変性量Sが同等であっても、けん化度が高くなるにつれ、あるいはユニット2の繰り返し単位nが大きくなるにつれ、該単量体単位の含有量は大きくなる。
POA変性PVA(B)の添加方法としては、POA変性PVA(B)の水溶液をエマルジョン(A)に添加する方法が好適な方法であるが、POA変性PVA(B)の粉末、フレークまたはペレットをエマルジョン(A)に添加する方法も挙げられる。また、乳化重合してエマルジョン(A)を製造する際、乳化重合の後半にPOA変性PVA(B)を添加(一括または連続添加)する方法も挙げられる。
本発明の合成樹脂エマルジョン粉末は、とくに水硬性物質用混和材または水硬性物質用打継ぎ材として有用である。ここで、水硬性物質としては、例えばポルトランドセメント、アルミナセメント、スラグセメント、フライアッシュセメントなどの水硬セメント、あるいは石膏、プラスターなどのセメント以外の水硬性材料が挙げられる。
上記の水硬性物質用混和材を、例えば、セメント、骨材および水からなるセメントモルタルに配合して使用する場合、水硬性物質用混和材の配合量は、セメントに対し5〜20重量%が好適である。ここで、骨材としては、川砂、砕砂、色砂、けい砂などの細骨材、川砂利、砕石などの粗骨材が挙げられる。
また、本発明の合成樹脂エマルジョン粉末を、水硬性物質用打継ぎ材として使用する場合は、上記合成樹脂エマルジョン粉末を水で適宜再乳化し、打継ぎ材(プライマー処理材)としてコンクリートなどの水硬性物質基板に塗り付け、その後で、セメントモルタルなどの水硬性物質を塗り付けることにより施工が行われる。このような打継ぎ材を使用することにより、優れた接着性および耐久性、さらには優れた機械的強度などを付与することができる。
本発明の水硬性物質用混和材および打継ぎ材には、セメントおよびモルタルなどへの混和材としての用途では、AE剤、減水剤、流動化剤、保水剤、増粘剤、防水剤、消泡剤等が適宜使用される。
本発明の合成樹脂エマルジョン粉末は、接着剤、塗料、紙加工剤などの用途にも使用できる。これらの用途には、粘性改良剤、保水剤、粘着付与剤、増粘剤、顔料分散剤、安定剤等が適宜使用される。
製造例1(PVA1の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口および開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル400g、メタノール600g、POA基を有する不飽和単量体(単量体A)13.0gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてPOA基を有する不飽和単量体(単量体A)をメタノールに溶解して濃度20%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルと単量体Aの比率)が一定となるようにしながら、60℃で3時間重合した後冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたコモノマー溶液の総量は55mlであった。また重合停止時の固形分濃度は19.8%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、POA−ビニルエステル系共重合体(POA変性PVAc)のメタノール溶液(濃度24%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPOA変性PVAcのメタノール溶液496.5g(溶液中のPOA変性PVAc100.0g)に、3.5gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のPOA変性PVAc濃度20%、POA変性PVAc中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.0075)。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してPOA変性PVA(PVA1)を得た。PVA1の重合度は520、けん化度は89.8モル%、POA基変性量(S)は0.4モル%であった。
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、重合時に使用するPOA基を有する不飽和単量体の種類(表2)や添加量等の重合条件、けん化時におけるPOA変性PVAcの濃度、酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1および表2に示すように変更した以外は、製造例1と同様の方法により各種のPOA変性PVA(PVA2〜22)を製造した。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル700g、メタノール300gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始し、60℃で3時間重合した後冷却して重合を停止した。重合停止時の固形分濃度は17.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液(濃度30%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液496.5g(溶液中のPVAc100.0g)に、3.5gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のPVAc濃度20%、PVAc中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.0075)。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置して無変性PVA(PVA23)を得た。PVA23の重合度は1700、けん化度は89.4モル%であった。
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、けん化時におけるPVAcの濃度、酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように変更した以外は、製造例23と同様の方法により各種の無変性PVA(PVA24〜26)を製造した。
エマルジョン製造例1(EM−1の製造)
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートクレーブにPVA−217((株)クラレ製、重合度1700、けん化度88モル%)の9.5%水溶液80部を仕込み、60℃に昇温してから、窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エチレンを4.9MPaまで加圧し、0.5%過酸化水素水溶液2gおよび2%ロンガリット水溶液0.3gを圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレン放出し、エチレン圧力2.0MPaとし、3%過酸化水素水溶液0.3gを圧入し、重合を完結させた。重合中に凝集などがなく、重合安定性に優れており、固形分濃度55%、エチレン含量18重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(EM−1)が得られた。
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、撹拌機を備えたガラス製容器に、末端にメルカプト基を有するPVA(重合度550、鹸化度88.3モル%、メルカプト基含量3.3×10−5当量/g)5部とイオン交換水90部を仕込み、95℃で完全溶解させた。次いで、希硫酸によりpH=4とした後、150rpmで撹拌しながらメチルメタクリレート10部、n−ブチルアクリレート10部、n−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、窒素置換後70℃まで昇温した。1%過硫酸カリウム5部を添加し重合を開始し、さらに2時間かけてメチルメタクリレート40部、n−ブチルアクリレート40部、n−ドデシルメルカプタン0.4部を混合したものを連続的に添加した。重合開始3時間後、転化率99.5%となり重合を終了した。固形分濃度52.0%の安定なメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン(EM−2)を得た。
エマルジョン製造例1で得たエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(A)(EM−1)固形分100部とPOA変性PVA(B)(PVA−1、重合度520、けん化度89.8モル%、POA基変性量0.4モル%)の5%水溶液200部を混合したものと、エマルジョンの固形分に対して11%の炭酸カルシウム粉末(平均粒径2μm)とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥し、平均粒径6μmの合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
実施例1のPVA1に代えて製造例2〜26で得られたPVA2〜26を用いる以外は、実施例1と同様にして、合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
実施例1のEM−1に代えてエマルジョン製造例2で得られたEM−2を用いる以外は、実施例1と同様にして、合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
実施例1のPVA―1の比率を変更する以外は、実施例1と同様にして、合成樹脂エマルジョン粉末を得た。PVA−1の比率は表3に示す。
実施例1の炭酸カルシウムをタルクに変更する以外は、実施例1と同様にして、合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
[再分散性]
ろ過残渣:
実施例および比較例にて得られた合成樹脂エマルジョン粉末50部と水50部を混合し、再分散したエマルジョンを200メッシュのステンレス製金網でろ過し、ろ過残渣を105℃で5時間乾燥し、ろ過残渣の割合を測定した。
ろ過残渣(%)=(乾燥後のろ過残渣量/再分散に用いたエマルジョン粉末重量)×100
ろ過残渣は少なければすくないほど、エマルジョン粉末を、水硬性物質用混和材または打ち継ぎ材として用いた場合に、優れた強度を有する水硬物が得られる。本発明によれば、ろ過残渣5%以下(表3)のエマルジョン粉末を得ることができる。
再分散後の状態:
実施例および比較例にて得られた合成樹脂エマルジョン粉末50部と水50部を混合し、再分散したエマルジョンの状態を目視及び光学顕微鏡で観察し、以下の基準により判断した。
◎ 再分散液が均一で平均粒子径50μm以下。
○ 再分散液が均一で未分散物(ブツ)がない。
△ 再分散はしているが、未分散物が認められる。
× 再分散しない。
[造膜性]
実施例および比較例にて得られた合成樹脂エマルジョン粉末50部と水50部を混合し、再分散したエマルジョンを50℃のガラス板上へ流延、乾燥させ、造膜性を以下の基準により判断した。
○ 均一な皮膜となり、強靱な皮膜が得られる。
△ 皮膜にはなるがもろい。
× 均一な皮膜が得られない。
[粘度]
実施例および比較例にて得られた合成樹脂エマルジョン粉末50部と水50部を混合し、再分散したエマルジョンを液温30℃とし、B型粘度計にて20rpmで粘度を測定した。
[モルタル性能]
実施例および比較例にて得られた合成樹脂粉末エマルジョン粉末を水硬性物質用混和材および水硬性物質用打継ぎ材として使用し、物性を評価した。
(水硬性物質用混和材の性能評価)
セメントモルタル用混和材としての性能
セメントモルタルの物性試験
1)モルタル組成:
水硬性物質用混和材/セメント重量比=0.10
砂/セメント重量比=3.0、水/セメント重量比=0.7
2)スランプ値 :JIS A−1171に準じて測定
3)フロー値 :JIS R−5201に準じて測定
3)曲げ強度 :JIS R−5201に準じて測定
4)圧縮強度 :JIS R−5201に準じて測定
本発明の合成樹脂エマルジョン粉末を使用することにより、セメントモルタルなどの水硬性物質への分散性に優れ、セメントモルタルなどの水硬性物質へ混和した場合に減水性と増粘性を両立し、得られる水硬性物質の粘性、保水性が増大し、こてさばき、のびが改良され、モルタルの硬化時間、水引き時間が遅くなるので作業性が顕著に向上するほか、亀裂の発生も抑制される効果が得られる。また、本発明の合成樹脂エマルジョン粉末を使用することにより、接着性および耐久性に優れ、さらに機械的強度にも優れる水硬性物質用打継ぎ材が得られる。
Claims (7)
- ビニルアルコール系重合体を分散剤とし、エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体を分散質とするエマルジョン(A)に、下式の一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を側鎖に含有するビニルアルコール系重合体であり、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が100〜3000であり、けん化度が70.0〜99.5モル%以上であり、ポリオキシアルキレン変性量が0.1〜10モル%であるポリオキシアルキレン−ビニルアルコール系重合体(B)を配合した組成物を乾燥して得られる合成樹脂エマルジョン粉末。
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれの(ポリ)オキシレンユニットの繰り返し単位を表し、0≦m≦10、3≦n≦20である。) - ポリオキシアルキレン−ビニルアルコール系重合体(B)における一般式(I)で示すポリオキシアルキレン基の含有量が2.0〜50重量部である請求項1記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
- ポリオキシアルキレン−ビニルアルコール系重合体(B)が、下式の一般式(II)で示されるポリオキシアルキレン基を有するマクロモノマーとビニルエステルとを共重合した後、けん化することによって得られるポリオキシアルキレン−ビニルアルコール系重合体である請求項1または2に記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれの(ポリ)オキシレンユニットの繰り返し単位を表し、0≦m≦10、3≦n≦20である。R3は水素原子または−COOM基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。R4は水素原子、メチル基または−CH2−COOM基を示し、Mは前記定義どおりである。Xは−O−、−CH2−O−,−CO−,−CO−O−または−CO−NR5を表し、R5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を表す。) - エマルジョン(A)の固形分100重量部に対し、ポリオキシアルキレン−ビニルアルコール系重合体(B)を1〜50重量部配合する請求項1に記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
- エチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体から選ばれる一種あるいは二種以上の不飽和単量体単位を有する重合体が、ビニルエステル系重合体、またはオレフィン−ビニルエステル共重合体である請求項1に記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
- 乾燥が噴霧乾燥である請求項1に記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
- さらに無機粉末を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の合成樹脂エマルジョン粉末。
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