JP5140255B2 - 蓄熱材および電力ケーブルの冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酢酸ナトリウム三水和物を主成分とする蓄熱材、および、その蓄熱材を用いた電力ケーブルの冷却方法に関する。
例えば管路内に布設される電力ケーブルでは、地下鉄との交差箇所、橋梁添架される箇所あるいは変電所のケーブル引出し口付近等において局所的に温度が上昇するヒートスポットが形成されやすく、このようなヒートスポットにおける電力ケーブルの温度上昇により、送電線路全体の送電容量が制限されるおそれがある。そのため、電力ケーブルの温度上昇を抑制する観点から電力ケーブルを冷却することが提案されており、これに関連する従来術として、例えば特許文献1に記載のトリプレックス形CVケーブルおよび特許文献2に記載の管路内電力ケーブルの冷却システムがある。
特開平10−154421号公報 特開2005−137192号公報
特許文献1には、電力ケーブルと内部に蓄熱材としてのパラフィンを充填した蓄熱パイプを撚り合わせ、蓄熱パイプ内のパラフィンの液化潜熱によって電力ケーブルの導体温度の上昇を低減化させるようにしたトリプレックス形CVケーブルが開示されている。また、特許文献2には、電力ケーブルが布設された管路内に、冷却水とその冷却水の粘度を上げるために混入される粘度上昇用充填剤としての水溶性潤滑ポリマーとからなる冷却液を、管路の両端を栓で密閉することによって管路内に封入し、封入された冷却液によって電力ケーブルの熱を吸収して管路外に放熱するようにした管路内電力ケーブルの冷却システムが開示されている。
特許文献1によれば、電力ケーブルと蓄熱パイプとが撚り合わせられたケーブルが用いられるので、電力ケーブルが既に布設されている既存の管路に適用する場合、電力ケーブルと蓄熱パイプとが撚り合わされているケーブルへの交換、交換作業に伴う電力供給の一時停止などの問題を生じ、既存の管路に容易に適用することができないという問題がある。また、特許文献2によれば、冷却液が漏洩しないように管路の両端面の密閉を完全に行う必要があり、特にケーブルの熱収縮によりケーブル端部の移動が発生する単心ケーブルが布設された管路への適用が難しいという問題がある。また、管路内に充填された冷却液により電力ケーブルに浮力が発生するため、道路上の車等の走行振動によってケーブルが一方向に移動してしまうような、ケーブルの波乗り現象が発生する箇所ではこの波乗り現象が助長されるという懸念もある。
そこで、本発明は、電力ケーブルの冷却に好適な蓄熱材を提供すると共に、この蓄熱材を用いた冷却方法であって、上述のような問題を招来することなく、電力ケーブルが既に布設されている既存の管路にも容易に適用することのできる電力ケーブルの冷却方法を提供することを目的とする。
本発明の電力ケーブル冷却パック部材においては、主成分としての酢酸ナトリウム三水和物と、前記酢酸ナトリウム三水和物がその融点以下の温度でも硬化しないように前記酢酸ナトリウム三水和物に混合されるエチレングリコールからなる液状添加物とが重量比で10:2〜10:5で混合された蓄熱に有効な成分を有してることによって、凝固時でも軟性ないし流動性を有すると共に前記酢酸ナトリウム三水和物よりも高い熱伝導性を有するように構成した蓄熱材が、塩化ビニル系材料とポリエチレン系材料の二層構造で構成され電力ケーブル布設配管内でその電力ケーブルのヒートスポットを跨いで摺動可能に接する可撓性のパック部材に封入されてており、前記パック部材の両端に、前記ヒートスポットへ引き込む紐又はロープが設けられたハトメを、有することによって、上記目的を達成する。
このような電力ケーブル冷却パック部材によれば、蓄熱材が、凝固時でも軟性ないし流動性を有するので、例えば可撓性のパック部材に封入することにより、既存の管路にも容易に適用することができ、また、トラフや洞道に布設された電力ケーブルに対しても容易に適用することができる。更に、良好な熱伝導性を有するので、その熱伝導性および/または融解潜熱によって電力ケーブル等を有効に冷却することができる。
また、本発明においては、管路内に布設された電力ケーブルの冷却方法において、蓄熱材を塩化ビニル系材料とポリエチレン系材料の二層構造で構成される可撓性のパック部材に封入し、前記蓄熱材が封入された少なくともひとつの前記パック部材を前記管路内で前記電力ケーブルのヒートスポットを跨いで摺動可能に接して配設するようにすると共に、前記管路内に配設される前記蓄熱材が、主成分としての酢酸ナトリウム三水和物と、前記酢酸ナトリウム三水和物がその融点以下の温度でも硬化しないように前記酢酸ナトリウム三水和物に混合されるエチレングリコールからなる液状添加物とが重量比で10:2〜10:5で混合された蓄熱に有効な成分を有してなることによって、凝固時でも軟性ないし流動性を有すると共に酢酸ナトリウム三水和物よりも高い熱伝導性を有するように構成され、前記パック部材の両端に設けられたハトメを介して有する紐又はロープで、前記ヒートスポットへ引き込んで固定し、前記蓄熱材が有する熱伝導性および/または潜熱によって前記電力ケーブルを冷却するようにした電力ケーブルの冷却方法によって、上記目的を達成する。
このような電力ケーブルの冷却方法によれば、上述した蓄熱材が封入された可撓性のパック部材を管路内に配設することによって管路内の電力ケーブルを冷却するようにしたので、ケーブルの交換や管路端面の密閉などを行う必要がなく、電力ケーブルが既に布設されている既存の管路にも容易に適用することができる。
前記酢酸ナトリウム三水和物と前記液状添加物とからなる前記蓄熱材が60℃程度の融点を有するように構成することができる。これにより、電力ケーブルの冷却により好適な冷却を与えることができる。
また、前記液状添加物としてエチレングリコールを用いることができる。エチレングリコールは、酢酸ナトリウム三水和物と化学反応を生じることのない安定した液体であり、酢酸ナトリウム三水和物よりも熱伝導率が良く、また、酢酸ナトリウム三水和物と比較して劣るけれども蓄熱性も有しており、更に、水との相性が良く酢酸ナトリウム三水和物と水分のやり取りが円滑にでき、凝固時でも軟性ないし流動性を与えることができる。
また、前記酢酸ナトリウム三水和物と前記エチレングリコールとは重量比で10:2〜10:5程度で混合される。これにより、可撓性のパック部材に封入することで、管路内への配設が可能な軟性ないし流動性を与えることができる。
また、前記パック部材は塩化ビニル系材料とポリエチレン系材料の二層構造で構成される。これにより、酢酸ナトリウム三水和物の融解時の水分およびエチレングリコールを透過させることなく封入することができ、蓄熱材の凝固と融解とを安定して行なわさせることができる。
更に、前記電力ケーブルを跨いで摺動可能な少なくとも2個の保持部材を有する治具であって、前記蓄熱材が封入された前記パック部材の一端部分が一方の保持部材に保持され、その他端部分が他方の保持部材に保持されるようになっていると共に、前記保持部材を引張っても前記パック部材にテンションが掛からないように前記一方および他方の保持部材が互いに連結された前記治具を使用し、前記パック部材が固定された前記治具を前記管路内に引込むことによって前記パック部材を前記管路内に配設するように構成することができる。これにより、蓄熱材が封入されたパック部材に過度な力を加えることなく管路内に配設することができ、配設の容易性の向上を図ることができ、また、張力が加わることに起因するパック部材の破損等の防止を図ることができる。
本発明の蓄熱材によれば、凝固時でも軟性ないし流動性を有する蓄熱材を提供することができるので、例えば、管路やトラフあるいは洞道に布設された電力ケーブル等の冷却手段として容易に適用することができる。また、良好な熱伝導性を有するので、その熱伝導性および/または潜熱によって電力ケーブル等の被冷却物を有効に冷却することができる。
本発明の電力ケーブルの冷却方法によれば、電力ケーブル自体の交換や管路端面の密閉などを行うことなく管路に適用することができるので、電力ケーブルが既に布設されている既存の管路に対しても容易に適用することができる。
また、60℃程度の融点を有する蓄熱材を構成することができ、電力ケーブルの冷却をより有効に行うことが可能となる。
また、酢酸ナトリウム三水和物に混合される液状添加物としてエチレングリコールを用いることができ、酢酸ナトリウム三水和物自体と比較して蓄熱材の熱伝導率が向上することにより、電力ケーブルからの熱の外部への放熱をより向上させることができる。
また、酢酸ナトリウム三水和物とエチレングリコールとを重量比で10:2〜10:5程度で混合することにより、凝固時でも軟性ないし流動性を与えることができ、蓄熱材が封入されたパック部材に形状の自由度が与えられ、管路内への配設作業の容易性を図ることができる。
また、蓄熱材が封入されるパック部材が塩化ビニルとポリエチレンの二層構造で構成されることにより、水分やエチレングリコールの漏洩を生じることなく、蓄熱材の凝固と融解とを安定して行なわさせることができる。
更に、蓄熱材が封入されたパック部材にテンションが掛からないように治具を介して管路内に引き込むことにより配設するようにしたので、管路への配設の容易性の向上を図ることができると共に、張力が加わることに起因するパック部材の破損等の防止を図ることができる。
発明を実施するための最良の形態として、以下に本発明の実施例を説明する。
図1は本発明による電力ケーブルの冷却方法の一例を説明するための概略図で、地中1に設けられた管路2を示している。
管路2は、例えば硬質塩化ビニルパイプ(EIP)等で形成され、マンホール3A,3Bとの間に設けられており、管路2内に例えばトリプレックス形CVケーブル等の電力ケーブル4が布設されている。電力ケーブル4は、マンホール3A,3B内で接続部5A,5Bを介して他の電力ケーブル6A,6Bに接続されており、地中送電線路を構成している。本例において参照符号Pは地下鉄交差箇所等の局所的に温度が上昇するヒートスポット箇所を示し、このヒートスポット箇所Pに、本発明に係る蓄熱材7が可撓性のパック部材8に封入されて管路2と電力ケーブル4との間の隙間に配設されている。
蓄熱材7は、酢酸ナトリウム三水和物を主成分とし、酢酸ナトリウム三水和物がその融点(58℃)以下の温度でも硬化しないようにするために、酢酸ナトリウム三水和物と比較して熱伝導率の良い液状添加物が混合されている。これにより、蓄熱材7は、凝固時でも、軟性ないし流動性を有すると共に、酢酸ナトリウム三水和物単体と比較して良好な熱伝導性を有するように構成されている。酢酸ナトリウム三水和物に混合される液状添加物は、酢酸ナトリウム三水和物と化学反応を生じることのない安定した液体で、酢酸ナトリウム三水和物よりも熱伝導率が良く、また、酢酸ナトリウム三水和物と比較して劣るけれども蓄熱性をも有している。更に、水との相性が良く酢酸ナトリウム三水和物と水分のやり取りを円滑に行うことができ、凝固状態の酢酸ナトリウム三水和物に軟性ないし流動性を与えることができるものである。
このような性質を有する液状添加物の一例としてエチレングリコールを用いることができる。エチレングリコールは液体で、本発明者は、酢酸ナトリウム三水和物とエチレングリコールとを重量比で10:2〜10:5程度で混合させた場合に、管路2への挿入が可能な軟性ないし流動性を蓄熱材7にもたせることができることを実験的に見い出した。エチレングリコールは酢酸ナトリウム三水和物と比較して蓄熱性能が劣るので、エチレングリコールの重量比を多くすると蓄熱材7の蓄熱性能の低下を招来する。また、エチレングリコールの重量比が少ないと、蓄熱材7の軟性ないし流動性が低下する。このような観点に基づいて、本発明者は、酢酸ナトリウム三水和物とエチレングリコールとの混合比率として、重量比で10:3程度が望ましいことを見い出した。これにより、以下に述べるように、電力ケーブルの冷却に好適な60℃程度の融点を有する蓄熱材7を得ることができる。
酢酸ナトリウム三水和物とエチレングリコールとが10:3で混合された蓄熱材7と酢酸ナトリウム三水和物単体との比較結果を以下に示す。
・蓄熱材7の融点:59.5℃(酢酸ナトリウム三水和物単体:58℃)
・蓄熱材7の融解潜熱:180.8J/cm(酢酸ナトリウム三水和物単体:178J/cm
このような蓄熱材7は、凝固時すなわち59.5℃以下でも軟性ないし流動性を有し、また、凝固時でも酢酸ナトリウム三水和物単体と比較して高い熱伝導率を有することが、本発明者によって確認されている。
図2は蓄熱材7が封入されたパック部材8の一例を示す平面図であり、図3は図2のA−A断面図である。
パック部材8は、形状の自由度に富む可撓性の例えばプラスチックからなる袋部材で、酢酸ナトリウム三水和物の融解時に発生する水分および液状添加物であるエチレングリコールを外部に漏洩することがなく、また、例えばCVケーブルの場合、短時間許容温度が105℃であることから、これ以上の温度である例えば120℃以上の耐熱性能を有するように構成されている。更に、管路2への挿入時に破れるおそれのない十分な強度を備え、また、電力ケーブル4と接することとなるので電気的トラブルを招来することがないように絶縁体で形成されることが望ましい。
パック部材8は、本例では、塩化ビニル系材料からなる層8aとポリエチレン系材料からなる層8bとの二層構造を有し、酢酸ナトリウム三水和物の融解時の水分およびエチレングリコールを透過させることなく蓄熱材7を封入することができ、また、十分な耐熱性、強度、可撓性を有するものとなっている。塩化ビニル系材料はエチレングリコールは透過しないが水分を透過し、ポリエチレン系材料は水分は透過しないがエチレングリコールを透過する性質を有しているが、二層構造となっているため両者を透過させることなく封入することができ、蓄熱材7の凝固と融解とを安定して行なわさせることができる。
パック部材8の幅Wは管路2の内径等に基づいて適宜選定され、また、長さLはマンホール3A,3B内での作業性等に基づいて適宜選定され、例えば、幅Wが150mm、長さLが1200mmに選定される。パック部材8の両端部分10は例えば熱溶着等によって夫々密閉され、蓄熱材7が外部に漏洩しないようになっている。これら両端部分10には、後述する治具に固定するためのハトメ11が夫々設けられている。このようなパック部材8は、図4、図5および図6で説明する治具を用いることにより、管路2内に配設される。
図4は治具の一例を示す斜視図、図5は図4における保持部材を示す斜視図、図6は図4の治具の展開図である。本例では、治具15が3個の保持部材16A,16B,16Cを有し、図6に示すように蓄熱材7が封入された6個のパック部材8が保持部材16A〜16Cに固定保持されるようになっている。
保持部材16A〜16Cは、電力ケーブル4と接することとなるので電気的トラブルを招来することのないように絶縁体で構成されることが望ましく、本例では塩化ビニルで形成されている。保持部材16A〜16Cは、その形状が本例では略C字状で、電力ケーブル4を跨いで摺動可能となるように構成されている。このような保持部材16A〜16Cには、本例では、複数の連結孔17および複数の保持孔18が形成されている。連結孔17は、保持部材16Aと16Bおよび保持部材16Bと16Cとを互いに連結するため、および、保持部材16A,16Cを引込み用ロープ19に連結するためのものであり、また、保持孔18は6個のパック部材8を固定保持するためのものである。
保持部材16Aと16Bおよび保持部材16Bと16Cとは、蓄熱材7が封入されたパック部材8が保持部材16A〜16Cに固定保持された状態下で保持部材16Aと16Cとを互いに逆方向に引張っても各パック部材8にテンションが掛からないように、且つ、パック部材8が過度に弛むことのないように、連結孔17を介して連結ロープ20により連結されている。例として一つのパック部材8の保持部材16A,16Bへの固定を説明すれば、パック部材8の両端部分10の一方に設けられたハトメ11を介してパック部材8の一端部分が保持部材16Aの保持孔18に紐あるいはロープで固定され、パック部材8の両端部分10の他方に設けられたハトメ11を介してパック部材8の他端部分が保持部材16Bの対応する保持孔18に同様に紐あるいはロープで固定される。他のパック部材8も同様に保持部材16Aと16Bおよび保持部材16Bと16Cに固定保持される。本例では各パック部材8が保持部材16A〜16Cの上側に固定保持されるようになっているが、これに限定されるものではなく、保持部材16A〜16Cの下側に固定保持されるようにしてもよい。このような治具15の保持部材16Aと16Cには引込み用ロープ19が連結され、管路2内に通された引込み用ロープ19を引張ることによって、パック部材8が固定保持された治具15が管路2内に引張り込まれることとなる。
図7は蓄熱材が封入されたパック部材の管路内への配設方法を説明するための図であり、図8は図7のB−B断面を示す図である。
蓄熱材7が封入された各パック部材8は、上述したように治具15の保持部材16A〜16Cに固定保持され、管路2内に通された引込み用ロープ19で治具15を例えば矢印aで示される方向(図7の右方向)に引張ることにより、管路2内に挿入される。引込み用ロープ19は、例えば、発条のような特徴をもつプラスチックからなる図示しないメッセンジャーワイヤに連結され、このメッセンジャーワイヤの一端を管路2の内面を摺動させて管路2を貫通させることによって、管路2内に通される。パック部材8が固定保持された治具15を管路2内に引張り込む前に、例えば、管路2内に滑剤を滲みこませた布部材を通過させて管路2の内面および電力ケーブル4の外表面に滑剤を塗布しておくと共に、パック部材8および治具15にも滑剤を塗布しておき、治具15の管路2内への引込みの容易性が図られる。
治具15は、引込み用ロープ19が引張られることで、図8に示すように電力ケーブル4を跨ぐように摺動し、所望のヒートスポット箇所Pに引込まれ、蓄熱材7が封入されたパック部材8が当該ヒートスポット箇所Pに配設される。治具15の引込み途中で電力ケーブル4と管路2の内面とが狭くなっている側部分Nにパック部材8が落ち込むと、治具15の引込みに支障が生ずるおそれがあるので、パック部材8がそのような側部分Nに落ち込まないように、保持部材16Aに連結されている引込み用ロープ19を方向aとは逆の矢印bで示される方向(図7の左方向)に引張り、常時バックテンションをかけながら管路2内に引張り込まれる。蓄熱材7が封入されたパック部材8がヒートスポット箇所Pに配設された後も、治具15はパック部材8と共に残される。そのため、例えば、何らかの理由でパック部材8の交換等が必要とされれば、引込み用ロープ19を介して管路2から抜き出すことができる。このように治具15は電力ケーブル4と接するような場所におかれるので、絶縁体で構成することが望まれる。
一般に、送電線負荷は昼間と夜間とで変化し、夜間では送電線負荷が小になると共に周囲温度も低下するるので電力ケーブル4の発熱量が低下し、昼間では逆に送電線負荷が大になると共に周囲温度が上昇するので発熱量が増大することとなる。この場合に蓄熱材7が封入されたパック部材8が上述したように配設されていると、夜間の冷気を蓄熱し、昼間の発熱量が大のときに電力ケーブル4を冷却することによって、発熱に起因する送電容量の低減を防止することができる。蓄熱材7は、前述したように、60℃程度の低い融点を有しているので電力ケーブル4を有効に冷却することができる。また、この融点以下の温度下でも軟性ないし流動性を有していると共に良好な熱伝導率を有しているので、蓄熱材7の融点以下でも、空気等と比較して熱伝導性が高く、電力ケーブル4からの熱が有効に外部に放熱されることとなる。
本発明者は、電力ケーブルとして250mm33KVのトリプレックス形CVケーブルを布設した内径が150mmΦの管路を試験管路として使用し、本発明に係る蓄熱材を管路に配設した場合と配設しない場合とにおける電力ケーブルの導体温度を測定した。蓄熱材としては、酢酸ナトリウム三水和物とエチレングリコールとが重量比10:3で混合されたものを使用し、この蓄熱材を幅150mmで長さ1200mmのパック部材に封入し、このようなパック部材を21個(重量:約52.5Kg)管路内に配設した。試験条件としては、以下に述べるように、蓄熱材が無い状態下で電力ケーブルの導体温度が90℃(常時使用最高温度)と105℃(短時間許容温度)とになるように通電するヒートサイクルで行った。
図9は、蓄熱材が無い状態下において電力ケーブルの導体温度として90℃と105℃とを与えるためのヒートサイクルを示す図である。図9に示されるように、蓄熱材が無い場合に電力ケーブルの導体温度が90℃となるように保持電流(560A)を9時間通電し、次に15時間の間通電をオフした後、蓄熱材が無い場合に導体温度が105℃となるように保持電流(620A)を9時間通電した。その結果、電力ケーブルの導体温度が90℃と105℃との夫々において、蓄熱材が有る場合と無い場合とで図10および図11に示される測定結果が得られた。
図10は、電力ケーブルの導体温度として90℃を与える通電時における蓄熱材の有無に対応する電力ケーブルの導体温度の測定結果を示している。図10において、測定結果Aは蓄熱材が無い場合の電力ケーブルの導体温度を示し、測定結果Bは蓄熱材が有る場合の導体温度を示し、また、測定結果Cは蓄熱材の表面温度を示している。図10から明らかなように、蓄熱材が有る場合の電力ケーブルの導体温度Bは、蓄熱材が無い場合の導体温度Aと比較して14〜20℃程度の温度低下が確認された。この時の蓄熱材の表面温度は45℃程度であるが、蓄熱材の良好な熱伝導性によって大きな冷却効果が得られていることがわかる。
図11は、電力ケーブルの導体温度として105℃を与える通電時における蓄熱材の有無に対応する電力ケーブルの導体温度の測定結果を示している。図11において、測定結果Dは蓄熱材が無い場合の電力ケーブルの導体温度を示し、測定結果Eは蓄熱材が有る場合の導体温度を示し、また、測定結果Fは蓄熱材の表面温度を示している。図11から明らかなように、蓄熱材が有る場合の導体温度Eは、蓄熱材が無い場合の導体温度Dと比較して15〜20℃程度の温度低下が確認された。蓄熱材が有る場合の電力ケーブルの導体温度Eは蓄熱材が無い場合の図10に示される導体温度Aよりも若干低くなっており、蓄熱材を配設することで送電容量の増大を図ることのできることがわかる。すなわち、図10の測定結果Aの場合の保持電流は560Aであり、図11の測定結果Eの場合の保持電流は620Aであるので、蓄熱材を用いることによって電力ケーブルの導体温度が同じ又はそれ以下の状態下で620A/560A=1.1倍の電流を流すことができる。蓄熱材の表面温度Fは最大53℃程度となり、また、通電のオフで蓄熱材は凝固方向へ推移するので、良好な熱伝導性と潜熱との両者によって冷却効果が得られていることがわかる。
本発明は、電力ケーブルが既に布設されている管路ばかりでなく、新設の管路へも適用できることは勿論である。また、トリプレックス形CVケーブルを例として説明したが、これに限定されるものではなく、単心の電力ケーブル等に対しても有効に適用できることは勿論である。
本発明に係る蓄熱材は電力ケーブルの冷却ばかりでなくその他の被冷却物にも利用可能であり、また、管路内電力ケーブルの冷却ばかりでなく、温度差の生ずるトラフや洞道等に布設された電力ケーブルに対しても利用することができる。
図1は本発明による電力ケーブルの冷却方法の一例を説明するための概略図である。 図2は蓄熱材が封入されたパック部材の一例を示す平面図である。 図3は図2のA−A断面図である。 図4は治具の一例を示す斜視図である。 図5は図4における保持部材を示す斜視図である。 図6は図4の治具の展開図である。 図7は蓄熱材が封入されたパック部材の管路内への配設方法を説明するための図である。 図8は図7のB−B断面を示す図である。 図9は、蓄熱材が無い状態下において電力ケーブルの導体温度として90℃と105℃とを与えるためのヒートサイクルを示す図である。 図10は電力ケーブルの導体温度として90℃を与える通電時における蓄熱材の有無に対応する電力ケーブルの導体温度の測定結果を示す図である。 図11は、電力ケーブルの導体温度として105℃を与える通電時における蓄熱材の有無に対応する電力ケーブルの導体温度の測定結果を示す図である。
符号の説明
2 管路
4 電力ケーブル
7 蓄熱材
8 パック部材
15 治具
16A,16B,16C 保持部材
19 引込み用ロープ
20 連結ロープ

Claims (9)

  1. 主成分としての酢酸ナトリウム三水和物と、前記酢酸ナトリウム三水和物がその融点以下の温度でも硬化しないように前記酢酸ナトリウム三水和物に混合されるエチレングリコールからなる液状添加物とが重量比で10:2〜10:5で混合された蓄熱に有効な成分を有してなることによって、凝固時でも軟性ないし流動性を有すると共に前記酢酸ナトリウム三水和物よりも高い熱伝導性を有するように構成した蓄熱材が、塩化ビニル系材料とポリエチレン系材料の二層構造で構成され電力ケーブル布設配管内でその電力ケーブルのヒートスポットを跨いで摺動可能に接する可撓性のパック部材に封入されており、前記パック部材の両端に、前記ヒートスポットへ引き込む紐又はロープが設けられたハトメを、有することを特徴とする電力ケーブル冷却パック部材
  2. 前記酢酸ナトリウム三水和物と前記エチレングリコールからなる前記液状添加物とからなる前記蓄熱材が60℃の融点を有することを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル冷却パック部材
  3. 前記パック部材が複数保持されていることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の電力ケーブル冷却パック部材。
  4. 前記パック部材の複数が、前記電力ケーブルを跨いで摺動可能な保持部材を有する治具で、保持されていることを特徴とする請求項3に記載の電力ケーブル冷却パック部材。
  5. 管路内に布設された電力ケーブルの冷却方法において、蓄熱材を塩化ビニル系材料とポリエチレン系材料の二層構造で構成される可撓性のパック部材に封入し、前記蓄熱材が封入された少なくともひとつの前記パック部材を前記管路内で前記電力ケーブルのヒートスポットを跨いで摺動可能に接して配設するようにすると共に、
    前記管路内に配設される前記蓄熱材が、主成分としての酢酸ナトリウム三水和物と、前記酢酸ナトリウム三水和物がその融点以下の温度でも硬化しないように前記酢酸ナトリウム三水和物に混合されるエチレングリコールからなる液状添加物とが重量比で10:2〜10:5で混合された蓄熱に有効な成分を有してなることによって、凝固時でも軟性ないし流動性を有すると共に酢酸ナトリウム三水和物よりも高い熱伝導性を有するように構成され、
    前記パック部材の両端に設けられたハトメを介して有する紐又はロープで、前記ヒートスポットへ引き込んで固定し、
    前記蓄熱材が有する熱伝導性および/または潜熱によって前記電力ケーブルを冷却するようにしたことを特徴とする電力ケーブルの冷却方法。
  6. 前記酢酸ナトリウム三水和物と前記エチレングリコールからなる前記液状添加物とからなる前記蓄熱材が60℃の融点を有することを特徴とする請求項5に記載の電力ケーブルの冷却方法。
  7. 前記電力ケーブルを跨いで摺動可能な少なくとも2個の保持部材を有する治具であって、前記蓄熱材が封入された前記パック部材の一端部分が一方の保持部材に保持され、その他端部分が他方の保持部材に保持されるようになっていると共に、前記保持部材を前記紐又はロープで前記ヒートスポットへ引き込んで引張っても前記パック部材にテンションが掛からないように前記一方および他方の保持部材が互いに連結された前記治具を使用し、
    前記パック部材が固定された前記治具を前記管路内に引込むことによって前記パック部材を前記管路内に配設するようにしたことを特徴とする請求項5又は6に記載の電力ケーブルの冷却方法。
  8. 前記治具の一端と他端とに、前記紐又はロープで互いに相反する方向に延びる引込み手段を夫々設け、一方の引込み手段を引張ると同時に、他方の引込み手段を、前記一方の引き込み手段の引張り方向とは相反する方向に引張りながら、前記パック部材ごと前記治具を前記管路に引張り込むことを特徴とする請求項7に記載の電力ケーブルの冷却方法。
  9. 複数の前記パック部材が保持されていることを特徴とする請求項7〜8の何れかに記載の電力ケーブルの冷却方法。
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