本発明に係るタイヤのマーキング装置(単に、「マーキング装置」と言うこともある。)の参考例を図1乃至図6を参照して説明する。このタイヤのマーキング装置は、図3に示すものであり、従来のものと同様に、例えばこのマーキング装置の前段に設けられているタイヤ試験機(図示せず)により測定して得られたタイヤ1の不均衡な箇所に関するデータに基づいて、その不均衡な箇所を通るタイヤ11の半径方向の線上に位置するタイヤ1のビード部1aの近傍の外側表面にマークを付すためのものである。タイヤ1の不均衡な箇所とは、重心位置と点対称の位置にある軽点位置のことである。タイヤのマーキング装置は、図3に示すように、タイヤ1の所定箇所にマークを付すためのマーキングヘッド2が設けられているマーキング機構部17を備えている。このマーキング機構部17は、角度変更機構部18に設けてある。この角度変更機構部18は、本発明の特徴とするものである。そして、この角度変更機構部18は、水平移動機構部19により支持されており、この水平移動機構部19は、回転移動機構部20により支持されている。そして、マーキング機構部17の下方には、タイヤ1を昇降させるための昇降機構部21を設けてある。更に、この昇降機構部21には、ローラコンベア22上のタイヤ1を所定の位置に位置決めするためのセンタリング装置(図示せず)を設けてある。
マーキング機構部17は、図7に示す従来のものと同様に、ホットスタンプ式のものである。マーキング機構部17は、図2に示すように、取付板23の左右の各面に1組ずつ合計2組設けてあり、どちらも同等のものであるので左側のものを説明し、右側のものの説明を省略する。左側のマーキング機構部17に設けられているマーキングヘッド2は、短円柱形であり、先端部に刻印部を形成してある。この刻印部が形成されている先端面2aは、マーキングヘッド2の中心軸線24に対して垂直となっている。このマーキングヘッド2の下部は、加熱ブロック25及びテープガイド4に穿設されている案内孔26に進退自在に挿通している。加熱ブロック25は、マーキングヘッド2を所定の温度に加熱するためのヒータ11を内部に設けてあり、下端部にテープガイド4が結合している。テープガイド4は、下面が下側に突出する円弧状に形成してあり、この円弧状の下面にマーキングテープ3を沿わせてある。この2組のマーキング機構部17は、それぞれのマーキングヘッド2、2に例えば異なるマークが形成されている刻印部を設けてあり、必要に応じて何れか一方のマーキング機構部17を作動させて使用することができる。そして、一方の使用するマーキング機構部17に設けられているマーキングヘッド2の中心軸線24、及び図3に示す回転移動機構部20の支持軸27の中心軸線は、同一の鉛直面上に位置させてあり、これにより、このマーキング機構部17が取り付けられている取付板23を角度変更機構部18により仰角方向の角度θを変更することにより、マーキングヘッド2の先端面2aとタイヤ1のマークを付す面とが互いに平行となるように調整することができる。マーキングヘッド2の上部は、第1のバネ(圧縮コイルバネ)10の内側に挿通しており、この第1のバネ10の上端部がマーキングヘッド2の上端部に形成されている鍔状部2aと当接し、第1のバネ10の下端部が加熱ブロック25の上面に当接している。
このマーキングヘッド2と同一軸線上に駆動シリンダ8を配置してあり、この駆動シリンダ8は、ブラケット28を介して取付板23に設けてある。駆動シリンダ8は、ピストンロッドの先端部に押圧ブロック9を設けてあり、伸長動作することにより押圧ブロック9がマーキングヘッド2の上端部を、第1のバネ10のバネ力に抗して斜め下方に押し下げることとなり、これによりマーキングヘッド2が案内孔26に沿って斜め下方に移動して、刻印部の先端面2aがマーキングテープ3を介してタイヤ1の所定の表面を押圧してマークを熱転写して付すことができるようになっている。そして、駆動シリンダ8が短縮動作すると、マーキングヘッド2が第1のバネ10のバネ力により図1に示す元の待機位置に戻る。
次に、マーキングテープ3(以下、単に「テープ」と言うこともある。)のテープ送り機構部29を説明する。このテープ送り機構部29は、図1に示すように、取付板23に回動自在に設けられているテープ保持軸15を備えており、このテープ保持軸15に使用前のテープ3が巻き付けられている。このテープ3は、テープガイド4の下面、及びゴム性の送りローラ30に掛けられ、その先端部がテープ巻き取り軸14に巻き付けられている。送りローラ30が固着している枢軸31、及びテープ巻き取り軸14は、取付板23に回動自在に設けてある。送りローラ30に掛けられているテープ3は、この送りローラ30とテンションローラ32により挟み込まれている。このテンションローラ32は、テンションアーム33に回動自在に設けてある。このテンションアーム33は、その上端部が枢軸34を介して取付板23に揺動自在に設けてある。図1に示す35は第3のバネ(引っ張りコイルバネ)である。第3のバネ35は、左側端部がテンションアーム33の下端部と結合しており、右側端部が取付板23と結合し、テンションローラ32を送りローラ30に押し付ける方向に付勢している。
また、送りローラ30が固着している枢軸31には、第1の歯車36を固着して設けてあり、この第1の歯車36に第2の歯車37が噛み合っている。第2の歯車37が固着している枢軸38は、取付板23に回動自在に設けてある。更に、この枢軸38に第1のプーリ39を一方クラッチ(図示せず)を介して設けてある。そして、テープ巻き取り軸14には、第2のプーリ40を固着して設けてある。この第1のプーリ39と第2のプーリ40に環状ベルト41を掛けてある。つまり、第1のプーリ39に設けられている一方向クラッチによると、第2の歯車37が時計方向に回転したときは、この第2の歯車37と共に、枢軸38がこの時計方向に回転するが、第1のプーリ39は停止したまであり、テープ巻き取り軸14がテープ3を巻き取らないようになっている。そして、これとは反対に、第2の歯車37が反時計方向に回転したときは、枢軸38、第1のプーリ39、第2のプーリ40、及びテープ巻き取り軸14がこの反時計方向に回転して、このテープ巻き取り軸14によりテープ3を所定の長さ分だけ巻き取るようになっている。
また、第2の歯車37の側面には回動自在に第2のローラ42を設けてあり、この第2のローラ42は、テープ送りレバー43の左側端部に形成されている溝に係合している。このテープ送りレバー43は、枢軸44を介して回動自在に取付板23に設けてある。図1に示す13は第2のバネ(引っ張りコイルバネ)である。第2のバネ13は、上端部がテープ送りレバー43の右側端部と結合しており、下端部が取付板23と結合し、テープ送りレバー43の枢軸44よりも右側部の下縁を第1のローラ12に押し付ける方向に付勢している。この第1のローラ12は、押圧ブロック9に回動自在に設けてある。
更に、図1に示すように、取付板23には、枢軸45を介してスイッチレバー46を回動自在に設けてある。このスイッチレバー46の右側端部は、下方に突出する円弧状に形成してあり、この円弧状の右側端部の略中央部がマーキングヘッド2の略先端面2aの少し下方に位置している。このスイッチレバー46の右側端部は、テープガイド4よりも曲率半径を少し大きくしてあり、上昇してくるタイヤ1にテープガイド4よりも先に接触するようにしてある。図1に示す47は第4のバネ(引っ張りコイルバネ)である。第4のバネ47は、下端部がスイッチレバー46の左側端部と結合しており、上端部が取付部材48と結合し、スイッチレバー46の左側端部の上縁を取付部材48に突設されているストッパー49に押し付ける方向に付勢している。スイッチレバー46の左側端部は、ストッパー49に当接する待機位置の状態で取付部材48に設けられているリミットスイッチ50の操作部を押し上げており、このリミットスイッチ50がOFFの状態となっている。そして、スイッチレバー46の右側端部が上昇してくるタイヤ1に接触して所定量だけ持ち上げられると、リミットスイッチ50がONの状態となってタイヤ1の上昇を停止させるようになっている。このタイヤ1を上昇及び下降させるのが昇降機構部21である。また、この昇降機構部21によりタイヤ1が下降すると、リミットスイッチ50は元のOFFの状態に戻る。なお、上記取付部材48は、取付板23と結合している。
このテープ送り機構部29によると、駆動シリンダ8が伸長動作することにより、押圧ブロック9と共に第1のローラ12が下降し、そして、テープ送りレバー43が第2のバネ13のバネ力により時計方向に揺動して、第2の歯車37が時計方向に回転し、更に、第1の歯車36及び送りローラ30が反時計方向に回転する。ただし、第1のプーリ39は、それに設けられている一方クラッチの働きにより停止したままである。従って、テープ巻き取り軸14も停止したままであり、テープ巻き取り軸14にはテープが巻き取られない状態である。そして、駆動シリンダ8が短縮動作することにより、押圧ブロック9と共に第1のローラ12が上昇すると、テープ送りレバー43が第1のローラ12により反時計方向に揺動して、第2の歯車37が反時計方向に回転すると共に、第1のプーリ39も一方クラッチの働きにより反時計方向に回転し、更に、第2のプーリ40及びテープ巻き取り軸14が反時計方向に所定の角度だけ回転して、テープ巻き取り軸14に使用済みテープを所定の長さだけ巻き取ることができる。この際、第1の歯車36及び送りローラ30が時計方向に回転してテープ3をテープ巻き取り軸14側に移動させるが、テープ巻き取り軸14の回転により巻き取られるテープの長さは、送りローラ30による送り量よりも長くしてあるので、テープ3は、送りローラ30を滑ってテープ巻き取り軸14側に移動する。
次に、角度変更機構部18を図1及び図2を参照して説明する。角度変更機構部18は、案内部51と、可動部52、52と、仰角方向駆動部53と、を備えている。案内部51は、図1に示すように、所定の長さであって上側に突出する円弧状の軌道台である。この案内部51は、取付板23の上部と対向すると共にこの上部と互いに平行する状態で支持部54に設けてある。この円弧状に形成された案内部51は、この円弧の中心点Aが、マーキングヘッド2がマークを付すためにタイヤ1の表面と接触する状態において、このマーキングヘッド2の先端面2aと対応する所定の位置となるように形成してある。可動部52は、案内部51と係合してこの案内部51に沿って移動自在に設けてあるブロック状のものであり、それぞれ同一のものを2つ設けてある。これら2つの可動部52に取付板23を固定して取り付けてある。仰角方向駆動部53はパルスモータであり、この回転軸に減速機を介してピニオンを取り付けてある。このピニオンは、直線ラック55に噛み合っている。直線ラック55は、取付板23と平行すると共に水平な状態で保持部(図には現れていない)の挿通孔に挿通している。そして、直線ラック55の右側端部は、連結部56を介して取付板23とリンク結合している。また、仰角方向駆動部53と保持部は、ブラケット57に取り付けてある。このブラケット57は、取付板23に対して垂直に取り付けられている枢軸58を介して支持部54に設けてあり、この枢軸58を中心にして回動自在である。
上記のように構成された角度変更機構部18によると、仰角方向駆動部53の回転軸が所定の回転角度だけ正転又は逆転すると、直線ラック55がその回転角度に応じた距離だけ図1の左方向又は右方向に移動する。これにより、直線ラック55と連結する取付板23に設けられている可動部52を円弧状の案内部51のこの円弧状の経路に沿って移動させることができる。その結果、取付板23が上記所定の位置Aを通る水平軸線を中心にして対応する方向に所定の角度だけ揺動し、マーキングヘッド2の先端面2aと水平面との成す角度θを、マークを付そうとしているタイヤ1の表面の水平面に対する傾斜角度θに一致させることができる。従って、マークを付そうとしているタイヤ1の表面の水平面に対する傾斜角度θが異なる複数種類の各タイヤ1に対して、マークを綺麗に付すことができる。
そして、円弧状の案内部51に沿って移動する可動部52、及びこの可動部52と結合するマーキングヘッド2の揺動の中心Aが、タイヤ1にマークを付すためにタイヤ1の表面と接触する状態のマーキングヘッド2の略先端面2aに対応する位置となっているので、マーキングヘッド2の先端面2aの水平面に対する角度θをいずれの角度に変更しても、タイヤ1の表面の予め定めた位置にマーキングヘッド2の先端面2aを接触させてマークを付すことができる。従って、マーキングヘッド2の先端面2aの水平面に対する角度θを変更した場合でも、タイヤ1にマークを付すためにタイヤ1の表面と接触する状態のマーキングヘッド2の略先端面2aの位置が水平方向及び垂直方向に変動することがなく、つまり、マーキングヘッド2の水平方向及び垂直方向の位置を修正する必要がなく、タイヤ1の表面の予め定めた位置にマークを正確に付すことができる。
例えば、図6(a)に示すように、タイヤ1のマークを付す箇所の表面が水平面に対して右上がりに傾斜しており、その傾斜角度がθ4 である場合は、マーキングヘッド2の先端面2aが水平面に対して右上がりに傾斜するようにして、その傾斜角度がθ4 となるようにすることができる。そして、図6(b)に示すように、タイヤ1のマークを付す箇所の表面が水平面に対して右下がりに傾斜しており、その傾斜角度がθ5
である場合は、マーキングヘッド2の先端面2aが水平面に対して右下がりに傾斜するようにして、その傾斜角度がθ5 となるようにすることができる。そして、このように、マーキングヘッド2の先端面2aをいずれの傾斜角度θに変更した場合でも、タイヤ1のビード部1aから所定の距離Lだけ外側に離れた箇所にマークを付すことができる。
次に、水平移動機構部19を図3及び図4を参照して説明する。水平移動機構部19は、ガイド59、60と、サドル61と、水平方向駆動部62と、を備えている。ガイド59、60は、それぞれ短円筒部材から成っている。この2本のガイド59、60は、互いに平行して水平方向に配置され、それぞれの中心軸が直線ラック55と平行している。一方のガイド59の両端部は、側板63、63に固着されて支持されている。他方のガイド60の両端部は、側板63、63に軸受64を介して回動自在に支持されている。そして、図には示さないが、このガイド60の外周面には、雄ねじ部を設けてある。また、図3に示す左右の各側板63、63は、水平に配置された支持板65の下面に設けてある。サドル61は、図4に示すように、その上面に保持突起66、66、67、67を設けてあり、このサドル61の下面に支持部54を介して角度変更機構部18を設けてある。保持突起66、66は、ガイド59が挿通し、このガイド59に沿って摺動自在である。保持突起67、67は、雌ねじ部を設けてあり、この雌ねじ部にガイド60に設けられている雄ねじ部が螺合している。水平方向駆動部62は、パルスモータであり、側板63に取り付けてある。水平方向駆動部62の回転軸には、図4に示すように、減速機を介してスプロケット68を設けてある。このスプロケット68、及びガイド60に設けられているスプロケット69に環状チェーン70を掛けてある。
上記のように構成された水平移動機構部19によると、水平方向駆動部62の回転軸が所定の回転角度だけ正転又は逆転すると、サドル61がその回転角度に応じた距離だけ図3の左方向又は右方向に水平移動する。これにより、マーキングヘッド2の先端面2aの位置を同方向にその所定の距離だけ移動させることができる。従って、タイヤ1のビード部1aから半径方向に予め定めた距離Lだけずれた所定の箇所にマークを付すことができる。
次に、回転移動機構部20を図3及び図4を参照して説明する。回転移動機構部20は、支持軸27と、方位角方向駆動部71(図5参照)と、を備えている。支持軸27は、図3に示すように、鉛直方向に配置された状態で軸受72、72を介して回動自在に支持フレーム73に設けてある。この支持フレーム73は、架台74に取り付けてあり、架台74は床75に設置してある。この支持軸27の下端部には、フランジ76を設けてあり、このフランジ76の下面に支持板65を介して水平移動機構部19を設けてある。方位角方向駆動部71は、図3には示さないが、支持フレーム73に設けてある。この方位角方向駆動部71の回転軸には減速機を介して歯車を設けてあり、この歯車は、支持軸27に設けられている歯車77と噛み合っている。また、図3に示す78は、エンコーダである。このエンコーダ78の回動軸には歯車79を設けてあり、この歯車79は、歯車80を介して支持軸27に設けられている歯車77と噛み合っている。エンコーダ78は、支持軸27の回転角度を測定するためのものであり、図5に示すマーキング制御部81に接続している。つまり、方位角方向駆動部71が駆動して支持軸27が回転したときに、エンコーダ78がその回転角度を測定して、その測定して得られた回転角度が予め設定されている回転角度になったときに、マーキング制御部81が方位角方向駆動部71の駆動を停止させることができる。これにより、支持軸27を予め設定されている回転角度だけ回転させて停止させることができる。
上記のように構成された回転移動機構部20によると、方位角方向駆動部71の回転軸が所定の回転角度だけ正転又は逆転すると、支持軸27がその回転角度に応じた角度だけ所定の方向に回転する。これにより、マーキングヘッド2の先端面2aの位置を、支持軸27を中心にして所定の角度だけ回転させることができる。従って、タイヤ1のビード部1aから半径方向に予め定めた距離だけずれた円周表面のうち、タイヤ試験機で測定して得られた軽点と対応する所定の方位角度の箇所にマークを付すことができる。
次に、昇降機構部21を図3及び図4を参照して説明する。昇降機構部21は、水平に配置されているローラコンベア22を上昇位置(図4参照)と下降位置(図示せず)とに昇降させるための装置である。ローラコンベア22には、このローラコンベア22上のタイヤ1を、このタイヤ1の中心を支持軸27の中心に一致させるためのセンタリング装置(図示せず)を設けてある。上記のように構成された昇降機構部21によると、ローラコンベア22が下降位置にある状態で、前段に設けられている搬入コンベア82からタイヤ1がこのローラコンベア22に搬入されてきてこのマーキング装置の下方位置で停止させることができる。そして、センタリング装置によりタイヤ1の中心を支持軸27の中心に一致させることができる。
次に、図5を参照してタイヤ試験機及びマーキング装置の電気回路のブロック図を説明する。タイヤ試験機は、バランサ制御部83を備えており、このバランサ制御部83にバーコードリーダ84、測定部85、及び操作表示部86が接続している。バーコードリーダ84は、測定しようとするタイヤ1に貼着されているラベルに印刷されているバーコードを読み取り、そのタイヤ1に関する種々のデータ、例えばタイヤ1の形状及び大きさのデータを読み取るためのものである。そして、この読み取ったデータに基づいてタイヤ1がこのタイヤ試験機に装着されて、タイヤ1の不均衡な箇所とその不均衡の大きさを、測定部85により測定して得られたデータに基づいてバランサ制御部83が演算して求めることができる。この不均衡な箇所とは、タイヤ試験機により測定されたタイヤ1の重心位置と点対称となっている位置(軽点位置)である。この軽点位置は、タイヤ1の所定の基準位置に対する角度のデータで特定している。測定部85は、荷重検出器であり、タイヤ1の不均衡を測定するためのものである。操作表示部86は、例えば測定しようとするタイヤ1に関する種々のデータ、例えばタイヤ1の形状及び大きさの情報を入力したり、演算して得られたタイヤ1の不均衡な箇所とその不均衡の大きさ等を表示することができるものである。
タイヤのマーキング装置は、マーキング制御部81を備えており、このマーキング制御部81に水平方向駆動部62、仰角方向駆動部53、方位角方向駆動部71、タイヤ1の搬送駆動部及び昇降駆動部87、並びに駆動シリンダ8が接続している。タイヤ1の搬送駆動部は、ローラコンベア22を駆動するためのものである。昇降駆動部87は、ローラコンベア22を昇降駆動するためのものである。マーキング制御部81は、予め記憶部(図示せず)に記憶されている所定のプログラムに従って、バーコードリーダ84、又は操作表示部86により入力されたタイヤ1の形状及び大きさのデータ、並びに、バランサ制御部83により演算して得られたタイヤ1の不均衡な箇所とその不均衡の大きさ等のデータに基づいて、所定のタイミングで水平方向駆動部62、仰角方向駆動部53、方位角方向駆動部71、タイヤ1の搬送及び昇降駆動部87、並びに駆動シリンダ8を駆動させてタイヤ1の所定箇所にマークを付すようにするものである。
次に、上記のように構成されたタイヤのマーキング装置を使用して、タイヤ1の所定の箇所にマークを付す手順を説明する。今、タイヤ1がタイヤ試験機にかけられる前の状態で、そのタイヤ1の形状及び大きさのデータがバーコードリーダ84により読み取られて記憶部に記憶されているとする。すると、マーキング制御部81は、そのタイヤ1の形状及び大きさのデータに基づいて、自動的に水平方向駆動部62、及び仰角方向駆動部53を駆動させて、マーキングヘッド2の先端面2aを、そのタイヤ1の形状及び大きさに応じて所定の水平位置、及び水平面に対する角度θに変更することができる。次に、タイヤ1がタイヤ試験機にかけられて、そのタイヤ1の不均衡な箇所を表すデータ(軽点位置を表す角度データ)が得られて記憶部に記憶されると、マーキング制御部81は、その軽点位置を表す角度データに基づいて、自動的に所定のタイミングで方位角方向駆動部71を駆動させて、マーキングヘッド2の先端面2aを、そのタイヤ1の軽点位置に対応する方位方向に向けることができる。そして、軽点位置が測定されたタイヤ1がローラコンベア22上の所定位置に搬送されて位置決めがされ、所定の上昇位置に上昇した後に、マーキング制御部81は、駆動シリンダ8を駆動させることによりタイヤ1の所定箇所にマークを付すことができる。これにより、タイヤ1の所定の箇所にマークを正確に、しかも綺麗に付すことができる。
次に、本発明に係るタイヤのマーキング装置の1実施形態を図9乃至図12を参照して説明する。この実施形態のタイヤのマーキング装置は、上述した参考例のマーキング装置に対して、図9及び図10に示すタイヤ支持機構部88を設けたものであり、このタイヤ支持機構部88以外は参考例と同等であるので同等部分の詳細な説明を省略する。このタイヤ支持機構部88は、マーキング制御部81が駆動シリンダ8を伸長動作させることにより、マーキングヘッド2の先端面2aをタイヤ1の軽点位置(所定箇所)に押し付けてマーク107を付す際に、この軽点位置の裏面又はその近傍に支持部89(89a、89b、89c)を自動的に当接させてこの軽点位置の近傍のビード部1aの裏面を支持することができるものである。これにより、マーキングヘッド2の押し付け力によるタイヤ1の変形を防止して、タイヤ1の軽点位置にマーク107を綺麗に付すことができる。
このタイヤ支持機構部88は、図9に示すように、揺動アーム90、90、第1の駆動部91、91、支持部89(89a、89b、89c)、第2の駆動部92を備えている。揺動アーム90、90は、図10の側面図に示すように、角度変更機構部18及びマーキング機構部17と所定の間隔を隔ててその左右両側に互いに平行する状態で配置されている細長い2つの板状体であり、この2つの揺動アーム90と90の上端部が板状の連結部材93により連結されている。そして、各揺動アーム90、90は、それぞれの上端部に軸受94、94を介して支持軸95が回動自在に挿通している。この支持軸95は、略水平であって水平移動機構部19のガイド59、60と直交するように配置され、サドル61の下面に取り付けられている保持部材96に固定して設けてある。このように、各揺動アーム90をサドル61の下面に取り付けてあるので、回転移動機構部20の方位角方向駆動部71が駆動してマーキング機構部17の方位角度を変更した時は、このマーキング機構部17に伴ってタイヤ支持機構部88を支持軸27を中心にして回動させることができ、このマーキング機構部17と同じ方位角度にタイヤ支持機構部88を自動的に向けることができる。これにより、マーキングヘッド2の先端面2aをタイヤ1の軽点位置に合わせるためにマーキング機構部17の方位角度を変更した時に、タイヤ支持機構部88に設けられている支持部89をこの軽点位置に最も近いタイヤ1のビード部1aの裏面を支持できるようにすることができ、その結果、マーキングヘッド2の押し付け力によるタイヤ1の変形を確実に防止することができる。
第1の駆動部91、91は、それぞれエアーシリンダである。各第1の駆動部91は、図9及び図10に示すように、揺動アーム90と平行し、ピストンロッドが下方に向かうようにそれぞれの揺動アーム90の外側面にブラケット97、97を介して固定して設けてある。そして、各第1の駆動部91のそれぞれのピストンロッドの先端部には、連結部98を設けてあり、各連結部98は、ピン99を介して伸縮アーム100とリンク結合している。各伸縮アーム100、100は、図10に示す各直線案内部101、101を介して対応する各揺動アーム90、90に設けてある。各直線案内部101は、案内部101aと可動部101bから成っている。各案内部101aは、所定の長さの直線状の軌道台であり、第1の駆動部91と平行する状態で揺動アーム90の外側面に設けてある。各可動部101b、101bは、対応する案内部101aと係合してその案内部101aに沿って移動自在に設けてあるブロック状のものであり、各案内部101aに対して2つずつ設けてある。各組の可動部101b、101bに対して伸縮アーム100を固定して取り付けてある。この一対の伸縮アーム100、100は、その下端部が連結部材102により連結されており、この連結部材102に3つの支持部89(89a、89b、89c)を突設してある。
3つの各支持部89a、89b、89cは、図9及び図11に示すように、上面が平らな略直方体の形状に形成したものであり、それぞれの上面が第1の駆動部91のピストンロッドの中心軸線に対して直交する同一の平面内に位置するように設けてある。そして、各支持部89a、89b、89cは、図9に示すように、それぞれの上面がタイヤ1のビード部1aの裏面に当接した状態で、それぞれの先端部がタイヤ1の外周面側に突出するように、それぞれの基端部が連結部材102の側面に結合している。また、図11に示すように、3つの支持部89a、89b、89cのうちの中央の支持部89bの突出方向の長さを両側の2つの支持部89a、89cよりも長く形成してある。これにより、3つの支持部89a、89b、89cの上面を円弧状のビード部1aの裏面に確実に当接させて支持することができる。そして、図9及び図11に示すように、この3つの支持部89a、89b、89cのうちの中央の支持部89bは、揺動アーム90が後述する対向位置F(図9参照)に揺動したときに、マーキングヘッド2の先端面2aの略真下の位置で停止するように形成してある。これにより、マーキングヘッド2の先端面2aをタイヤ1の軽点位置(所定箇所)に押し付けたときに、その軽点位置に最も近いビード部1aの裏面及びその近傍をこの3つの支持部89a、89b、89cにより支持できるようにしてある(図11参照)。
また、図9に示すように、一方の揺動アーム90の上部には、第2の駆動部92のピストンロッドの先端部に設けられている連結部103がリンク結合している。第2の駆動部92は、エアーシリンダである。この第2の駆動部92のピストンロッドの先端部に設けられている連結部103は、ピン104を介して揺動アーム90とリンク結合している。そして、第2の駆動部92の基端部は、ピン105を介して取付板106とリンク結合しており、この取付板106は、サドル61の下面に取り付けられている保持部材96に固定して設けてある。なお、ピン99、99、104、105、及び支持軸95は、それぞれ互いに平行している。
図12は、タイヤ試験機及びこの実施形態のタイヤのマーキング装置の電気回路のブロック図であり、図5に示す電気回路において、マーキング制御部81に第1の駆動部91、91と第2の駆動部92を接続したものである。マーキング制御部81は、記憶部(図示せず)に記憶されている予め定めたプログラムに従ってこの第1及び第2の駆動部91、91、92を制御するようになっている。つまり、図9に示すように、マーキングヘッド2によりタイヤ1の軽点位置(所定箇所)にマーク107(図11参照)を付す前の所定のタイミングで第1及び第2の駆動部91、91、92を作動させて、支持部89をタイヤ1のビード部1aの裏面を支持する支持位置Dに移動させることができる。そして、マーク107を付した後の所定のタイミングで作動させて、マーク107が付されたタイヤ1をローラコンベア22により送り出すことができる退避位置Aに支持部89を移動させることができる。
次に、上記のように構成されたタイヤ支持機構部88の作用を説明する。図9に示す一対の第1の駆動部91、91は、マーキング制御部81により制御されて、同期して伸縮動作するようになっており、この伸長動作させることにより、そのピストンロッドとリンク結合する伸縮アーム100、100及び支持部89をこのピストンロッドの伸長方向に沿って下降させてB、Cの位置に移動させることができる。そして、短縮動作させることにより、伸縮アーム100、100及び支持部89を上昇させてA、Dの位置に移動させることができる。そして、第2の駆動部92は、短縮動作させることにより、そのピストンロッドとリンク結合する揺動アーム90、90を支持軸95を中心に時計方向に揺動させて、支持部89をタイヤ1のビード部1aの裏面から引き離し、支持部89がタイヤ1の搬送の妨げとならない退避位置Eに揺動させることができる。そして、伸長動作させることにより、揺動アーム90、90を支持軸95を中心にして反時計方向に揺動させて、支持部89をタイヤ1のビード部1aの裏面と向かい合う対向位置Fに揺動させることができる。
次に、タイヤ支持機構部88を備えるタイヤのマーキング装置を使用して、タイヤ1の所定の箇所である軽点位置にマーク107を付す手順を説明する。この第2実施形態のマーキング装置を使用してタイヤ1の軽点位置にマーク107を付す手順は、第1実施形態のマーキング装置を使用してタイヤ1の軽点位置にマーク107を付す手順に、タイヤ支持機構部88の動作手順を加えたものであり、これ以外の手順は第1実施形態と同等であり、同等の手順の部分の詳細な説明を省略する。今、第1実施形態と同様に、タイヤ1がタイヤ試験機にかけられる前の状態で、そのタイヤ1の形状及び大きさのデータがバーコードリーダ84により読み取られて記憶部に記憶されているとする。すると、マーキング制御部81は、そのタイヤ1の形状及び大きさのデータに基づいて、自動的に水平方向駆動部62、及び仰角方向駆動部53を駆動させて、マーキングヘッド2の先端面2aを、そのタイヤ1の形状及び大きさに応じて所定の水平位置、及び水平面に対する角度θに変更することができる。ただし、この時は、図9に実線で示すように、第2の駆動部92は短縮状態に駆動されて揺動アーム90、90が退避位置Eで停止しており、第1の駆動部91も短縮状態に駆動されて、支持部89は上昇位置Aにある。このように、揺動アーム90、90が退避位置Eにあるときは、タイヤ1が支持部89及び揺動アーム90、90に衝突しないようにして、タイヤ1をタイヤ試験機からローラコンベア22上に送り込むことができるし、ローラコンベア22上のタイヤ1を後段に送り出すことができる。
次に、タイヤ1がタイヤ試験機にかけられて、そのタイヤ1の不均衡な箇所を表すデータ(軽点位置を表す角度データ)が得られて記憶部に記憶されると、マーキング制御部81は、その軽点位置を表す角度データに基づいて、自動的に所定のタイミングで方位角方向駆動部71を駆動させて、マーキングヘッド2の先端面2a、及びタイヤ支持機構部88の支持部89を、そのタイヤ1の軽点位置に対応する方位方向に向けることができる。そして、軽点位置の測定されたタイヤ1がローラコンベア22上の所定位置に搬送されて位置決めがされ、所定の上昇位置に上昇した後に、タイヤ支持機構部88を動作させる。
今、図9に実線で示すように、第2の駆動部92が短縮状態であって揺動アーム90が退避位置Eにあり、第1の駆動部91も短縮状態であって支持部89が上昇位置Aにある。この状態でまず、第1の駆動部91を伸長動作させて支持部89を下降位置Bに移動させ、そして、第2の駆動部92を伸長動作させて揺動アーム90、90を反時計方向に揺動させて対向位置Fに移動させる。この時、支持部89は、タイヤ1のビード部1aの裏面と所定の間隔を隔てて向かいあう非支持位置Cに移動している。次に、第1の駆動部91を短縮動作させて支持部89を非支持位置Cから上昇させる。そして、支持部89は、その上面がタイヤ1のビード部1aの裏面に当接した時に自動的にその当接位置、即ち、支持位置Dで停止してビード部1aを裏面から支持する状態となる。この状態は、タイヤ1の軽点位置に最も近いビード部1aの裏面及びその近傍を3つの支持部89a、89b、89cにより支持している状態である。しかる後に、マーキング制御部81は、駆動シリンダ8を伸縮動作させることによりタイヤ1の軽点位置(所定箇所)にマーク107を付すことができる。そして、マーク107が付された後に、第1の駆動部91を伸長動作させて支持位置Dにある支持部89を下降させて非支持位置Cに移動させ、次に、第2の駆動部92を短縮動作させて対向位置Fにある揺動アーム90を時計方向に揺動させて退避位置Eで停止させる。そして、第1の駆動部91を短縮動作させて下降位置Bにある支持部89を上昇させて、図9の実線で示す元の上昇持位置Aに戻す。次に、ローラコンベア22を下降位置に下降させて、ローラコンベア22上のマーク107が付されたタイヤ1を後段に送り出す。これで、タイヤ1の軽点位置にマーク107を付すための作業が終了する。次のタイヤ1をタイヤ試験機にかけて所定の軽点位置にマークを付すときは、上記の手順を繰り返し行えばよい。
このタイヤ支持機構部88を備えるタイヤのマーキング装置によると、マーキングヘッド2をその軽点位置に押し付けるときに、第2実施形態の特徴部分である支持部89を当該軽点位置に近いビード部1aの裏面及びその近傍に当接する支持位置Dに移動させて、この裏面をマーキングヘッド2の押し付け力に抗する力で支持することができる。これにより、マーキングヘッド2の押し付け力によるタイヤ1の変形を防止することができる。従って、比較的柔らかいタイヤ1であっても、タイヤ1を変形させることなくその軽点位置にマーク107を確実に、しかも綺麗に付すことができる。そして、第1実施形態と同様に、マーキングヘッド2の先端面2aと水平面との成す角度θを、マーク107を付そうとしているタイヤ1の表面(軽点位置)の水平面に対する傾斜角度θに一致させることができる。これにより、第1実施形態と同様に、マーク107を付そうとしているタイヤ1の表面の水平面に対する傾斜角度θが異なる複数種類の各タイヤ1に対して、マークを綺麗に付すことができる。
また、第1の駆動部91、91を動作させるために使用される圧力空気は、図9に示す支持部89がタイヤ1のビード部1aの裏面と向かい合う対向位置Fに揺動しており、そして、このビード部1aの裏面と所定の間隔を隔てて向かい合う非支持位置Cにある状態で、この第1の駆動部91を短縮動作させた場合に、支持部89がタイヤ1のビード部1aの裏面に当接する支持位置Dに移動した時にこの支持部89の移動がタイヤ1の弾性力によりせき止められて停止するように圧力を調整してある。更に、駆動シリンダ8が伸長動作してマーキングヘッド2の先端面2aをタイヤ1の表面に押し当てた時に、このマーキングヘッド2の押し付け力により支持位置Dにある支持部89が非支持位置C側に移動しないように圧力を調整してある。第1の駆動部91に使用される圧力空気の圧力調整装置は従来公知のものであり図には示していない。
従って、エアーシリンダである第1の駆動部91に使用される圧力空気の圧力を所定の圧力に調整することにより、第1の駆動部91を短縮動作させて非支持位置Cにある支持部89を支持位置D側に移動させた場合に、支持部89がタイヤ1のビード部1aの裏面に当接する支持位置Dに移動した時にこの支持部89の移動が自動的に停止する。従って、ローラコンベア22上のタイヤ1を支持する所定の基準面からタイヤ1の当該裏面までの高さがタイヤ1の種類によって相違している場合でも、タイヤ1を殆ど変形させることなく支持部89を当該裏面に確実に当接させてこの裏面を予め設定されている所定の力(圧力空気の圧力に基づく力)で支持することができる。そして、マーキングヘッド2の先端面2aをタイヤ1の軽点位置(所定箇所)に押し付けたときに、この押し付け力により支持位置Dにある支持部89が非支持位置C側に移動しないように停止させておくことができる。これにより、比較的柔らかいタイヤ1であってもその押し付け力によりタイヤ1が変形しないので、マーク107を軽点位置に確実に綺麗に付すことができる。なお、駆動シリンダ8に使用される圧力空気の圧力を所望の圧力に調整する圧力調整装置も設けてある。
また、第2の駆動部92を動作させるために使用される圧力空気は、図9に実線で示すように、揺動アーム90、90が退避位置Eにあり、そして、支持部89が下降位置Bにある状態で、この第2の駆動部92を伸長動作させた場合に、揺動アーム90、90が反時計方向に揺動して対向位置F側に移動して、図11に示すように、伸縮アーム100の縁部がタイヤ1のビード部1aの内縁と当接した時にこの揺動アーム90の揺動がタイヤ1の弾性力によりせき止められて停止するように圧力を調整してある。第2の駆動部92に使用される圧力空気の圧力調整装置は従来公知のものであり図には示していない。
従って、エアーシリンダである第2の駆動部92に使用される圧力空気の圧力を所定の圧力に調整することにより、第2の駆動部92を伸長動作させて退避位置Eにある揺動アーム90を対向位置F側に移動させた場合に、伸縮アーム100がタイヤ1のビード部1aの内縁に当接する対向位置Fに移動した時にこの揺動アーム90の揺動(この揺動角度θ6 は、タイヤの内縁の直径によって相違する。)が自動的に停止する。従って、タイヤ1のビード部1aの内縁の直径がタイヤ1の種類によって相違している場合でも、タイヤ1を変形させることなく伸縮アーム100をタイヤ1のビード部1aの内縁に確実に当接させて、支持部89をビード部1aの裏面と向かい合う所定の対向位置F(非支持位置C)に移動させることができる。これにより、支持部89をビード部1aの裏面に確実に当接させてこのビード部1aを支持させることができるので、マーク107を軽点位置に確実に綺麗に付すことができる。そして、第2の駆動部92を伸縮動作させることにより、揺動アーム90に設けられている支持部89を、タイヤ1のビード部1aの裏面と向かい合う対向位置Fと、ローラコンベア22によるタイヤ1の搬送の妨げとならない退避位置Eと、に揺動させることができる。従って、タイヤ1をそれにマークを付すためのローラコンベア22上の所定の位置に送り込むとき、及びその所定の位置からタイヤ1を送り出すときに、タイヤ1が支持部89に衝突しないようにタイヤ1を搬送することができる。これにより、ローラコンベア22上へのタイヤ1の送り込み、及びタイヤ1の送り出しを簡単に行うことができる。
ただし、上記実施形態では、マーキングヘッド2の先端面2aをマーキングテープ3を介してタイヤ1の表面に押し当てることにより、所定のマークを付すことができるホットスタンプ式のものを使用したが、これに代えて、例えばマーキングヘッド2の先端面2aに塗料を塗布して、この塗料が塗布された先端面2aをタイヤ1の表面に押し付けることによりマークを付す方式としてもよい。そして、上記第1及び第2実施形態では、2組のマーキング機構部17を設けた構成としたが、これに代えて、1組又は3組以上のマーキング機構部17を設けた構成としてもよい。また、上記第2実施形態では、第1及び第2の駆動部91、91、92としてそれぞれエアーシリンダを使用したが、これに代えて、これ以外の駆動装置、例えば電気モータを使用してもよい。なお、電気モータを使用した場合、支持部89がタイヤ1のビード部1aの裏面と当接したときに、支持部89が支持位置Dに移動したことを検出してモータを自動的に停止させるための第1の検出装置、及び伸縮アーム100がビード部1aの内縁と当接したときに、揺動アーム(伸縮アーム)90、90が対向位置Fに移動したことを検出してモータを自動的に停止させるための第2の検出装置を設けるとよい。