JP5138915B2 - セメント系成形体用補強短繊維 - Google Patents

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Description

本発明はセメント系成形体用の合成樹脂製補強短繊維に関するものである。さらに詳しくは土木、建築工事用などのセメント系成形体、特にコンクリートのひび割れ発生防止、及びこれにともなうコンクリート塊片の剥離、剥落を防止するために好適なセメント系成形体用補強短繊維に関するものである。
従来、モルタル、コンクリートなどのセメント系成形体用の補強繊維として鋼繊維、ビニロン、ポリプロピレンなどの有機繊維が知られている。
最近では特に錆びないこと、耐セメントアルカリ性に優れ、また合成繊維の中で最も比重が小さいため、セメント成形体への質量比混入率が最も小さくなるというコストメリットを活かしてポリプロピレン繊維が注目され、トンネルの覆工コンクリート用として使用実績が進んでいる。
しかし、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂製の補強繊維はセメントペーストとの接着性が弱く、そのままでは充分な補強効果が得られ難いという問題がある。この様な問題を克服するため、延伸による強度物性付与に引き続き、ギヤロール或いはプレス成型ロール等によって機械的に繊維表面に凹凸を付与し、セメント成形体への定着、及び引抜き時の抵抗性を付与する技術が提案されている(特許文献1参照)。
この様な技術によってセメント成形体との定着性を付与することはギヤロール或いはプレス成型ロールの使用によって連続的に機械加工が可能であり、繊維の製造工程上簡便であって、コスト的に安価に製造できる点では有利であるが、セメント成形体への定着性においては充分なものではなかった。
一方、本出願人らは、セメントペーストとの接触面積を上げる目的で、断面形状が3〜6個の突起を有する略多角形であり、かつ該突起部の先端に、該繊維の長手方向に沿って凹部或いは凸部が一対の平行柄凸凹ローラーで付形する技術を提案している(特許文献2参照)。
しかし、この技術おいては、セメントペーストとの定着性を高めることは出来るが、この様な突起部先端を有する断面繊維では、セメント成形体における補強繊維としての荷重時においては、引張応力が繊維の突起部先端から順次中心部に向かって掛かるため、応力が繊維の断面先端部に集中し易い断面形状となっていた。
さらに、この先端部には繊維の引張物性を低下せしめる、欠陥とも言うべき凸凹が機械的に付形されており、この部分を起点に繊維の破断が発生しやすいという問題があり、セメントペーストとの定着性と繊維の引張強度とを両立できず、セメント成形体用の補強繊維としては、改善の余地があった。
また、フッレシュコンクリートを代表とする各種セメント系成形体への当該補強繊維の投入は、セメント硬化時間への配慮から短時間に開繊し、かつ均一に投入しなければならない。
一般には手動による開繊、または回転羽式或いは回転ピン式などの機繊開繊機を使用し、空気流を伴って短時間にフッレシュコンクリートを代表とする各種セメント系成形体に投入される。この際、繊維表面に凸凹等を有する繊維は繊維同士の引っかかり等により開繊が不充分となり、セメント系成形体への均一分散の点において問題が発生する恐れがあった。
このように、耐アルカリ性、軽量性等において利点を有するポリオレフィン系繊維において実用上満足できるセメント系成形体用補強短繊維は、未だ得られていない。
特開平11-116297号公報 特開2005−220498号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、土木、建築工事用などのセメント系成形体用補強短繊維としてセメントペーストとの十分な定着力を有し、かつ、投入練り混ぜ時に、良好な開繊性と、コンクリート中での良好な分散性が得られるセメント系成形体用補強短繊維を提供することを目的とする。
本発明者らは、繊維を開繊させる際に、繊維同士が接触する部分には、障害となる凸凹がなく、かつセメントペーストとの定着性を確保するために繊維の表面積を大きくして、物理的結合を著しく高めることのできる形状について鋭意検討した。その結果、突起を有する略多角形の辺部又は溝底部に特定の深さ、特定の間隔でエンボスローラーによる凹部を形成せしめることにより、フッレシュコンクリートを代表とする各種セメント系構造体への投入時に、容易に開繊でき、かつセメントペーストとの強い定着性と、補強効果を有効に発現できる繊維の引張強度とを両立できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)ポリプロピレン樹脂を主成分とし、断面形状がX字状の延伸繊維からなり、繊度が2,000〜8,000dtex、繊維長が20〜60mmのセメント系成形体用補強短繊維であって、
該断面形状がX字状の少なくとも一つの相対向する溝のそれぞれに、深さ100〜200μmの凹部繊維の長手方向に沿って2〜4mmの間隔で連続して付形してなることを特徴とするセメント系成形体用補強短繊維、
を提供するものである。
本発明のセメント系成形体用補強短繊維は、繊維同士が接触する繊維表面に、繊維を開繊させる上で、障害となる凸凹がないため、フッレシュコンクリートを代表とする各種セメント系構造体への投入時に、容易に開繊でき、かつ突起を有する略多角形の特有の断面形状で、その溝底部に特定の深さと特定の間隔で凹部を付形しているので、凹凸付形による繊維の引張り物性の低下が小さい。その結果、セメント硬化後の繊維の素抜けが防止できるため、極めて優れた補強効果を発現できる。
また、合成樹脂としてポリオレフィン系樹脂、とりわけポリプロピレン樹脂とすれば、耐セメントアルカリ性に優れ、また合成繊維の中で最も比重が小さいため、セメント成形体への質量比混入率が最も小さくなり、コストの低減を図ることができる。
本発明に使用される合成樹脂原料は、特に限定されるものではないが、耐セメントアルカリ性が要求される点からポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール樹脂等が望ましい。特に好ましい樹脂として、ポリオレフィン系樹脂では、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン−1等、あるいはポリアセタール樹脂では、ポリオキシメチレン等が挙げられる。これらの樹脂は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうちで、特にポリプロピレン樹脂が好ましい。
ポリプロピレン樹脂としてはプロピレン単独重合体、エチレンなどのα−オレフィンとプロピレンとのブロックまたはランダム共重合体、またはこれらの混合物を使用することができる。
さらに、ポリプロピレン樹脂には、原料の段階でまたは紡糸押出時において、必要に応じて他のポリオレフィンを配合することもできる。ここで配合する他のポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸アルキル共重合体などのポリエチレン系樹脂、ポリブテン−1などが挙げられる。
また、樹脂のメルトフローレート(MFR)は、連続的な安定生産性と繊維強度のバランスの観点から、0.1〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分、さらに好ましくは0.3〜10g/10分が好適である。
また、合成樹脂には、本発明の効果を妨げない範囲内で、さらに酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、無機充填材、有機充填材、顔料、可塑剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明におけるセメント系成形体用補強短繊維(以下、単に「補強短繊維」ということがある。)は、合成樹脂を主成分とする延伸繊維であって、該繊維の断面形状が3個以上の突起部を有し、隣り合う該突起部間に辺部又は溝部を有する略多角形であり、かつ少なくとも一つの辺部又は該溝部に繊維の長手方向に沿って所定の間隔で凹部が付形されていることが特徴である。
断面略多角形としては、より具体的には、X形、Y形、十字形、略三角形、略四角形、星型等が挙げられる。
本発明において辺部とは、繊維断面において隣り合う突起部(角部、頂点)間を結ぶ稜線(実在線)を意味する。
より具体的に説明すると、図1は、断面略四角形の補強短繊維を模式的に示す斜面図であり、4つの突起部(角部)2と、4つの辺部Sを有し、上下2つの辺部Sに菱形の凹部4を所定ピッチで連続して形成した場合を示している。
また、本発明の補強短繊維において、溝部とは、隣り合う突起部(頂点)間を結ぶ稜線(実在線)が、隣り合う突起部間を結ぶ直線(仮想線)より、繊維断面の中心側に湾曲することによって形成される凹部分を意味し、例えば、X字状の断面では、V字状または円弧状の溝状部分であって、繊維の長手方向に連続して形成される窪みを意味する。
略多角形断面としては、3個以上、特に4個以上の頂点を有する形状のものがより好ましい。繊維の形状をこのように形成することによって、従来の丸形断面や扁平丸形断面を有する繊維に比べて、見掛けの繊維厚みが増すため、繊維の断面曲げ二次モーメントが向上する。このため、比較的小さな引張ヤング率の短繊維であっても、セメント配合時の粗骨材、細骨材などとの衝突による短繊維の屈曲が抑制され、補強に有効な形態で分散して繊維補強効果を発現することにより、大きなコンクリート物性向上効果を発揮できる。
また、本発明の補強短繊維は、当該溝部の少なくとも一つの溝部底において、繊維の長手方向に沿って、所定間隔で凹部が付形されていることを要する。
溝部底の凹部は、2〜6個の溝底に形成されていることが望ましい。
補強効果の観点から、繊維断面の溝部底に付形される凹部の深さは、50〜250μm、さらに望ましくは100μm〜200μm、長手方向への配置間隔は1〜5mm、さらに望ましくは2mm〜4mmである。
エンボスローラーによる凹部が深すぎる場合、及びその数が多すぎる場合は、セメントペーストとの定着性は向上するが、反面、繊維の引張強度が低下し、充分な補強が困難になる。また逆に浅すぎる場合及び数が少ない場合は、繊維の引張強度の低下は少ないが、セメントペーストとの定着性が低下し補強は困難となる。繊維引張強度としては、日本道路公団のトンネル施工管理要領(繊維補強覆工コンクリート編、平成15年9月)によれば、トンネル用のセメントコンクリート補強に必要な繊維強度は450N/mm2以上と規定されており、これを満足する必要があり、凹部の深さ及び配置間隔はこれらを考慮して決定される。
溝部底の凹部の形成方法は、例えば、延伸に引き続き、該延伸繊維を一対のエンボスローラー間に適切な圧力下で通して、凹部を連続的に付形する方法を挙げることができる。
前述のような深さ及び間隔の凹部を付形しても繊維の強度低下を防ぐ方法として、複数溝のエンボス加工の場合、エンボス位置を長さ方向において同じ位置とせず、ずらして付形することが望ましい。これは一対のエンボスローラーのそれぞれの付形位置をずらすことによって可能である。
この様な凹部付形をするエンボスローラーの表面形状は、公称太さ3,300dtexの繊維の場合には、円周方向に沿って直線配置した多列の凸部を彫刻したエンボスローラーであって、円周方向への凸部の間隔が1mmから5mm、ローラー巾方向の多列凸部間隔が0.7mmから0.8mm、彫刻した凸部の高さが0.5mmから1mm程度のエンボスで、凸部の先端が円形状或いは多角形状に平坦に加工され、多列の凸部先端が相互に千鳥目に配置されたエンボスローラーを使用することによって、多数本の延伸ストランド(繊維)を連続的に、当該溝部だけに凹部加工することが出来る。
すなわち、1本1本のストランドは、エンボスローラーの凸部が円周方向に直線配置されているため、繊維断面の当該溝部とエンボスローラーの凸部とが互いにカップリングして、嵌まり込み、断面溝底部のみに凹部付形が可能となる。
繊維断面の溝底凹部加工は、偶数本の溝を有する断面では、付形用のエンボスローラーを上下方向、左右方向、或いは斜め方向にそれぞれ1対づつのローラーを配置して繊維ストランドを挟み込み使用できるので、補強用繊維製造上好都合である。
特に、繊維断面がX字状であると、溝数が4であり、1対のローラーにより、相対向する2つの溝に凹部を付形することができ、安定的に生産し易い。
なお、一対のローラーの片方をフラットローラーにすることによって奇数本の溝底にエンボス凹部加工を施すこともできる。
さらに、本発明の補強用繊維としての繊維物性に悪影響を与えない範囲で、エンボスローラーを複数、多段に配置し、同一溝あるいはその他の溝に凹部付形する事も出来る。この場合、各対のエンボスローラーの凸部形状が前段のものと異なるものを使用して、1つの溝内、あるいは溝間に異なる凹部を付形して、セメントペーストとの定着性を調整することもできる。
また、補強繊維の太さを変えた場合には、エンボスローラーの横方向の多列凸部間隔及び凸部の高さを適宜調整し、例えば太い繊維の場合には横方向の多列凸部間隔を大きく、凸部高さも大きくすることによって繊維物性低下抑制とセメントペーストとの定着性のバランスを鑑みつつ、調整することが必要であるが、溝底に凹部のエンボス付形を繊維の長手方向に連続的に付形することが重要である。
なお、本発明の補強短繊維は、単層繊維だけでなく、高融点成分を芯層とし、低融点成分を鞘層とする複合繊維を使用することもできる。このような複合繊維の製造方法は、公知である。
本発明の補強短繊維の製造方法は、特に限定されず、種々の方法を採用することができる。通常、まず、合成樹脂を用いて、所望の突起形状に対応した形状のノズルから熔融押出しし、冷却、延伸を経て、繊維の長手方向に連続した角状又はフィン状の突起状物を有する単層繊維又は複合繊維を成形する。次いで、フィン状の突起状物間に存在する溝部に、凹部形状に対応した凸部を有するエンボスローラーを当接して、所定の溝に凹部を付形し、さらに界面活性剤の付着処理などを施し、最後に所望の長さに切断することにより製造することができる。以下に、補強短繊維の製造方法をより詳細に説明する。
繊維の長手方向に連続したフィン状の突起状物を有する単繊維を成形する方法としては、特に制限はなく、突起部が付設された横断面が、3個以上の突起部を有する略多角形、たとえば略三角形、略星形多角形、略複合多角形などを形成するように製造できる方法であれば、いかなる方法でもよい。たとえば、X形、Y形、十字形、略三角形、略四角形、星型又はこれらの連糸形状のノズルを用いて、ポリオレフィン樹脂をダイスから熔融押出しし、冷却固化して、連続状の未延伸合成樹脂繊維を得ることができる。
上記により得られた合成樹脂製繊維は、次に、熱延伸、及び必要に応じて熱弛緩処理を施す。この熱処理によって繊維の剛性を高めて、伸びの小さいセメント補強用として好適な繊維とすることができる。熱延伸は合成樹脂の融点以下、軟化点以上の温度下に行われる。
熱延伸法としては、熱ロール式、熱板式、赤外線照射式、熱風オーブン式、熱水式、水蒸気式などの加熱方式を採用できる。延伸操作は、1段延伸、2段延伸、多段延伸のいずれでもよい。
溝部底の凹部の形成方法は、例えば、延伸に引き続き、一対のエンボスローラー間に適切な圧力下で挿通挟持して、凹刻を連続的に付形する方法が、延伸時に付与された熱で繊維が昇温している状態で凹部の付形ができるので、効率的で経済的である。
凹部を付形しても繊維の強度低下を防ぐ方法としては、複数溝エンボス加工の場合、複数溝間のエンボス位置を長さ方向において同じ位置とせず、ずらして付形することが望ましい。これは一対のエンボスローラーのそれぞれの付形位置をずらすことによって可能である。
この様な凹部付形をするエンボスローラーの表面形状は、公称太さ3,300dtexの繊維の場合には、円周方向に沿って直線配置した多列の凸部を彫刻したエンボスローラーであって、円周方向への凸部の間隔が1mmから5mm、ローラー巾方向の多列凸部間隔が0.7mmから0.8mm、彫刻した凸部の高さが0.5mmから1mm程度のエンボスで、凸部の先端が円形状或いは多角形状に平坦に加工され、多列の凸部先端が相互に千鳥目に配置されたエンボスローラーを使用することによって、多数本の延伸ストランド(繊維)を連続的に、当該溝部だけに凹部加工することが出来る。
すなわち、1本1本のストランドは、エンボスローラーに凸部が円周方向に直線配置されているため、繊維断面の当該溝部とエンボスローラーの凸部とが互いにカップリングして、嵌まり込み、断面溝底部のみに凹部付形が可能となる。
繊維断面の溝底凹部加工は、偶数本の溝を有する断面では、付形用のエンボスローラーを上下方向、左右方向、或いは斜め方向にそれぞれ1対のローラーを配置して繊維ストランドを挟み込み使用できるので、補強用繊維製造上好都合である。
繊維断面がX字状であると、溝数が4であり、1対のローラーにより、相対向する2つの溝に凹部を付形することができ、安定的に生産し易い。
また、本発明の補強繊維において、単糸繊度は、補強効果と混入作業性、分散性、溝部への凹部の付形性等の観点から、1,000〜9,000dtexが好ましく、さらには
2,000〜8,000dtexが特に好ましい。
1,000dtex以上でれば、エンボスローラーによる溝底部への凹部の付形が可能であり、9,000dtex以下の範囲であれば、繊維のセメント混和物との接触面積が減少し、配合繊維量(容量%)との調整を行う上で、補強効果が劣るという問題も生じない。
上記補強繊維は、短繊維とするための切断前または切断後に種々の処理を施すことができる。たとえば、繊維表面を界面活性剤、分散剤、カップリング剤等で処理してもよいし、ポリオレフィン系樹脂繊維の場合またはコロナ放電処理、紫外線照射、電子線照射等により表面活性化または架橋化等の処理を行ってもよい。特に、セメント系成形体に配合する際の分散性を高める点から、界面活性剤などで表面親水化処理を行うことが好ましい。
界面活性剤としては、繊維に使用される合成樹脂に応じて選定されるが、ポリオレフィン系繊維の場合は、疎水性であるポリオレフィン繊維とセメントペーストとの親和性を向上させるため、親水性の界面活性剤を使用するのが好ましい。ポリオレフィン繊維に親水性を付与することにより分散性が向上し、繊維とセメントペーストが均質に混合されることによって繊維補強効果が向上する。
親水性の界面活性剤としては、特に限定なく使用することができるが、なかでもポリエチレングリコールアルキルエステル系ノニオン界面活性剤、アルキルフォスフェート系アニオン界面活性剤、多価アルコール型アマイドノニオン系界面活性剤などを好ましく使用できる。
ポリエチレングリコールアルキルエステルとしては、水分散液の安定性、繊維付着性の点から、それを構成する長鎖脂肪族アルキル基の炭素数が6〜18、好ましくは8〜16であるものが好ましい。好ましいポリエチレングリコールアルキルエステルの具体例としては、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールオレエート、ポリエチレングリコールステアレートなどが挙げられる。
アルキルホスフェートは、平均炭素数18以下、好ましくは6〜16、より好ましくは8〜14のアルキル基を1分子中に1〜2個、好ましくは1個有するホスフェートであり、塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。好ましいアルキルフォスフェートの具体例としては、オクチルホスフェート、ラウリルホスフェート、ステアリルホスフェートのような高級アルコールの燐酸エステルのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの塩及びアミン塩が挙げられる。その中和は遊離水酸基の50%以上、特に完全中和物が好ましい。
多価アルコール型アマイドノニオンは、炭素数4〜18のアルキルアミンと、3〜13個の水酸基を持つポリグリセリンとの付加反応物が用いられ、好ましくは炭素数11〜17のアルキルアミンと、3〜6個の水酸基を持つポリグリセリンとの付加反応物が用いられる。
その他の好ましい界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルの具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルリン酸エステルなどが挙げられ、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルの具体例としては、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルなどが挙げられる。これらの界面活性剤は、一種単独又は二種以上を混合して使用することができる。
上記界面活性剤の繊維に対する付着量は特に限定されないが、セメント配合時の泡の発生抑制の観点から、総繊維に対して、通常0.05〜2質量%の範囲で用いられる。繊維に対する付着量が、総繊維に対して0.05質量%未満ではポリオレフィン繊維に親水性が十分付与されないおそれがあり、また、2質量%を超えても親水性は頭打ちになり、かえって繊維混練時のフッレシュコンクリートを代表とする各種セメント系成形体中に気泡が発生し、セメント系成形体の圧縮強度、曲げ強度などの物性値を低下させるおそれがあるので好ましくない。気泡の発生を抑制するために、繊維への界面活性剤処理時に、消泡剤を併用することもできる。
ポリオレフィン繊維に表面処理剤を付着させる方法としては、特に限定はなく、浸漬法、スプレー法、コーティング法のいずれの方法も採用することができる。繊維に表面処理剤を付与した後、必要に応じて、絞りロールなどを用いて繊維集合体の内部にまで浸透させることができる。
こうして得られた補強用合成繊維は、所定長さにカットされ、セメント補強用の短繊維として使用される。セメント系成形体のひび割れにくさ(靭性)を向上する観点からは、短繊維の太さ(繊維径D)はより細く、長さ(繊維長L)はより長いもの、すなわち、短繊維のアスペクト比(L/D)がより大きいものほど好ましいが、本発明の補強用短繊維は、従来品に比べて、アスペクト比が小さくても、すなわち短繊維径が同じであれば繊維長が短くても補強効果が大きいという特徴がある。
本発明の補強用短繊維は、短繊維の繊維長(見かけ長さ)が10〜80mm、好ましくは15〜70mm、さらに好ましくは20〜60mmである。繊維長が10mm以上であれば、セメントからの抜けが生じ難く、80mm以内であれば、分散性が不良となることがない。
次に、本発明の補強用短繊維は、強化繊維材として、セメント、細骨材、粗骨材、水及び適量のコンクリート混和剤、又はセメント、細骨材、水及び適量のモルタル混和剤に配合して用いられ、コンクリート、モルタル等のセメント系成形体とすることができる。ここで、セメントとしては、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント等の水硬性セメント又は石膏、石灰等の気硬性セメント等のセメント類を使用することができる。細骨材としては、川砂、海砂、山砂、珪砂、ガラス砂、鉄砂、灰砂、その他人工砂などが挙げられ、粗骨材としては、レキ、砂利、砕石、スラグ、各種人工軽量骨材などが挙げられる。混和剤としては、空気連行剤(AE剤)、流動化剤、減水剤、増粘剤、保水剤、撥水剤、膨張剤などを混合使用することができる。
セメントに対する補強用短繊維の配合量は、セメント系成形体の体積に対して、通常、0.05〜2容積%である。セメント配合時の繊維の均一分散性、配合セメントの流動性、施工性、セメント系成形体の物性向上効果の点から、補強用短繊維の配合量は、好ましくは0.1〜1.5容積%、さらに好ましくは0.3〜1容積%の範囲である。
本発明の補強用短繊維は、セメント系成形体の製造に用いる場合、補強短繊維をセメント系粉体、セメント系フラッシュ又はスラリー中に分散してセメント系混合物とし、これを湿式抄造成形法、押出成形または注型成形法によって所定形状に成形した後、自然養生、蒸気養生、オートクレーブ養生などによって、各種のセメント系成形体を製造することができる。
より具体的には、セメント、細骨材、粗骨材、水等よりなるコンクリート混合物をベースコンクリートとし、このベースコンクリートを混練後に、続けて補強用短繊維を投入し混練を行なうことが好ましい。混練時間は1回当たりの混合量により異なるが、一般的には、ベースコンクリートの混練は45〜90秒、補強用短繊維を投入後の混練についても45〜90秒の範囲が適当である。
このようにして得られたセメント系成形体は、特に、土木、建築工事用のコンクリート成形体として好適である。たとえば、コンクリート道路舗装分野では、繊維補強による曲げ強度向上のため鉄筋量の減少が可能となり、かつコンクリート板の厚さの減少させることができ、工期の短縮、原材料の節減などに有効である。さらにトンネルの内壁の吹き付け工法に採用すると、繊維が柔軟で弾性があること、親水性が高く軽いことから、吹き付け時の骨材や繊維のハネ返りも少なく、コンクリートの落下も少なく、収率安全面で有効である。
コンクリート製品としては、型枠成型による矢板、中空円筒形製品のコンクリートパルプ、パイル、ポール等にも用いることができる。道路用コンクリートとしては、歩道用コンクリート平板、鉄筋コンクリートU形、コンクリートガードレール等に用いることができる。その他、左官用モルタル、建築関係部材として外装材料や屋根材、内装材として壁材、レリーフ、床材、天井材等に利用することもできる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
孔数が16、孔形がX型のノズルを備えた1軸溶融押出し機を使用し、MFR=2g/10分のアイソタクチックポリプロピレン樹脂(WF464N;住友化学製)を押出し温度255℃で溶融押出しし、押出された樹脂を冷却水槽中に投入して固化させながら5本の平行延伸ローラーで、定速で引き取った。引き取った繊維ストランドをそのまま連続して、95℃の温水加熱延伸槽に投入し、第二延伸ローラーで6.9倍延伸した。さらにこれに連続して120℃の蒸気加熱延伸槽に投入し、第三延伸ローラーで1.74倍延伸し、合わせて12倍の2段延伸を行った。
次いでこの延伸ストランドを上下1対のヤスリ目エンボスローラー(φ101mm、巾160mm、円周方向の凸部間隔が2.93mm、巾方向の凸部間隔が1.33mm、凸部の高さが0.9mm、凸部の先端形状が、短対角線長0.35mm×長対角線長0.625mmの菱形状で、上下1対ローラーの凸部先端クリアランスを0.2mmに調整し、表面速度をストランドの速度と同速度で順回転させ、X断面の上下2つの溝底に凹形状を付形した。
この後、水で希釈したアルキルフォスフェートアミン塩系界面活性剤(竹本油脂製)をスプレーにて約0.05質量%相当になるようにストランドに付着させ、ファン型カッターで40mm定長にカットしてポリプロピレン製短繊維を得た。
得られたポリプロピレンによる補強用短繊維1の形状は、図1(C)にその繊維断面を模式的に示すように、4つの突起部2の間にある4つの溝部3のうち、上面及び下面の2列の溝部に菱形状凹部4が付形されており、図1(A)に示すようにその間隔xは2.9mm、エンボスされた凹部の最大深さは、平均150μmであった。
なお、図2の平面写真に示すように、フィン状の突起部2も凹部4に対応する繊維の幅方向において膨れている傾向が認められた。
表1に示すように、物性は、繊度3,305dtex、引張強度509N/mm2、繊維長40mmであった。
比較例
延伸ストランドのエンボスローラーを上下1対のストランドの走行方向に直交する平行柄凸凹ギヤローラー(φ100mm、巾160mm、ギヤ先端半径0.5mm、ギヤ先端間隔2.90mm、ギヤ先端の高さが0.9mm)を用い、上下1対のギヤ先端クリアランスを0.5mmに調整し、繊維X断面の突起先端部のみに凸凹付形した以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン短繊維を得た。
このポリプロピレン製短繊維の形状はX断面で、エンボス凹部は4つの断面突起先端部のみに付形され、繊維方向の凹部間隔は2.9mmであり、また物性は、繊度3,310dtex、引張強度487N/mm2、繊維長40mmであった。
〔繊維物性試験方法〕
・繊維の繊度の測定、引張試験はJIS−L−1013に従い実施した。
・溝底エンボス・凹部の深さ測定:表面粗さ測定器(東京精密(株)製:Surfcom E-MD-S138A型)を使用し、測定範囲6mm〜8mmにおける繊維長手方向の凹部深さを測定し、さらにカット繊維50本を同様に測定し、その平均値を凹部深さとした。
・エンボス凹部の間隔:カット繊維長あたりの凹部数を測定し、繊維長/凹部数を算出すした。これをカット繊維100本で同様に測定し、その平均値をエンボス間隔とした。
・繊維長:カット繊維100本の繊維長を測定し、その平均値を繊維長とした。
セメントとの定着性試験
次に実施例1及び比較例1の補強用短繊維を用いて、セメントペーストとの定着性を表す尺度として埋設繊維の引抜き試験(引抜き抵抗値測定)、及び繊維配合コンクリートの圧縮試験、曲げ試験(曲げ強度、曲げ靭性係数測定)を行った。
〔繊維の引抜き抵抗値〕
管内径53mm、深さ20mmのポリ塩化ビニルパイプに充填したセメントモルタルに繊維1本を約15mm埋設し、28日常温で養生後、テンシロンにて2mm/分の速度で繊維をセメントから引抜き、その際の応力(引抜き抵抗値)を測定した。セメントは普通ポルトラントセメント(太平洋セメント社製)を使用し、砂は陸砂を使用した。水/セメント比は57%とした。
具体的な配合比は下記の通りである。
セメント:359g、砂:831g、水:205(全量1395g)を2Lステンレスバットに採取し、電動回転羽根を挿入し、1分間練り混ぜたモルタルを使用した。
繊維間の引抜き抵抗値を比較する上で、各繊維測定サンプルの実測埋設長を測定し、これを15mmあたりの埋設長さに比例換算し、引抜き抵抗値とした。(表1参照)
〔繊維配合コンクルートの圧縮、曲げ物性試験〕
(コンクリート試験供試体の製造)
50L強制2軸型ミキサーを使用し、全量40Lになるように、セメント350kg/m3、細骨材870kg/m3、粗骨材901kg/m3、水175kg/m3、高性能AE減水剤2.8kg/m3の配合比率で予め90秒間練り混ぜた。次いで実施例1及び比較例1の繊維をそれぞれ2.73kg/m3の配合比率で添加し、45秒間さらに練り混ぜた。
得られたフレッシュコンクリートを使用し、日本道路公団トンネル施工管理要領(繊維補強覆工コンクリート編;平成15年9月)に従い、曲げ試験用の供試体を作製した。
なお供試体は常温型養生を24時間行った後、離型し、6日間水中養生した。その後材齢28日まで大気中にて常温養生したものを供試体とした。
使用した材料:
・セメント:普通ポルトラントセメント(比重:3.16、太平洋セメント製)
・細骨材:陸砂、表乾比重2.60(最大粒度5mm)
・粗骨材:砕石、表乾比重2.67(最大粒度20mm)
・水:市水
・高性能AE減水剤:SP8SV(エヌエムビー社製)
(コンクリート物性試験方法)
・曲げ強度、曲げ靭性試験は維補強覆工コンクリートの曲げ靭性試験方法(JHS 730―2003)に従った。
・圧縮強度:JHS−G551−1999に従った。
・スランプ試験:JIS A 1101に従った。
・空気量試験:JIS A 1128に従った。
〔繊維の開繊性試験〕
アジテータ車への繊維投入機の投入ホッパーに設置した繊維開繊用格子(外寸法:490mm×700mm;格子角目間隔:75mm一定、格子素材:φ2.5SUS棒)を使用し、人が手動で、繊維3kgを通過させる時間を各5回測定した。
・実施例の繊維:44、36、43、40、35秒(平均:40秒)
・比較例の繊維:56、47、50、49、51秒(平均:51秒)
この結果、実施例の繊維の方が、短時間で繊維塊を容易に開繊(1本1本をバラバラに)することができた。これは実施工時における繊維投入のための時間によるフッレシュコンクリート硬化を最小限に抑制することができ、比較例の繊維より優れていた。以降のコンクリート打設における作業性(ワーカビリティー)の向上に寄与する。
〔繊維のコンクリート分散性試験〕
フレッシュコンクリート4.5m3を積載したアジテータ車に実施例の繊維12.7kg(0.3vol%相当)を、上記φ75mm開繊格子を備えた投入機を使用して約3分で投入。その後2分間混練した。このフレッシュコンクリートの繊維分散性をJSCE−F554−1999(鋼繊維補強コンクリートの鋼繊維混入率試験方法)に準じ、アジテータ車からのコンクリート出始め、中間、最後についてそれぞれ7Lに計測したフレッシュコンクリートを採取し、水洗いすることによって分離してくる(水に浮く)本発明のPP繊維を分別採取し、乾燥質量を測定した。
・出始め:19.0g、中間:19.3g、最終:19.0g
・理論値(0.3vol%):19.1g
この結果、繊維投入からコンクリート混練までの開繊性、分散性は良好であることが確認できた。
以上の測定結果をまとめて表1に示す。
Figure 0005138915
表1から明らかな通り、本発明の実施例1の補強用短繊維は比較例1の繊維より、引張強度が高く、引抜き抵抗値が約1.8倍も大きく、セメントペーストとの定着性に極めて優れていた。
また、本発明の実施例1の補強短繊維は、アジテータ車への繊維投入作業性及びコンクリート中での分散性にも比較例の補強短繊維よりも優れていた。
そして、実施例の繊維を使用したコンクリート成形物は、比較例の繊維を使用したコンクリートより曲げ靭性係数が大きく、補強効果において優れていた。
本発明のセメント系成形体用補強短繊維は、繊維同士が接触する繊維表面に、繊維を開繊させる上で、障害となる凸凹がないため、フッレシュコンクリートを代表とする各種セメント系構造体への投入時に、容易に開繊でき、かつ突起を有する略多角形の特有の断面形状の溝底部に特定の深さと特定の間隔で凹部を付形しているので、凹凸付形による繊維の引張り物性の低下が小さく、かつ高いセメントとの引き抜き抵抗性を有している。その結果、セメント硬化後のコンクリート成形物において極めて優れた補強効果を発現できる。
また、合成樹脂としてポリオレフィン系樹脂、とりわけポリプロピレン樹脂とすれば、ポリプロピレン短繊維の比重が軽いために運搬、コンクリートに配合する場合の投入作業、及び施工性に優れた補強用短繊維を提供できる。
以上、本発明のセメント系成形体用補強短繊維は、コンクリートに配合する場合の投入作業、施工性に優れ、高い繊維補強効果を有しているので、セメント成形体用補強短繊維として有効に利用できる。
本発明のセメント系成形体用補強短繊維の一実施形態の斜視図である。 本発明のセメント系成形体用補強短繊維の他の実施形態の模式図である。(A)平面模式図、(B)Y−Y矢視断面図、(C)Z−Z矢視側面図 実施例1で得られた本発明のセメント系成形体用補強短繊維の上面写真である。
符号の説明
1 補強用短繊維
2 突起部
S 辺部
3 溝部
4、4' 凹部

Claims (1)

  1. ポリプロピレン樹脂を主成分とし、断面形状がX字状の延伸繊維からなり、繊度が2,000〜8,000dtex、繊維長が20〜60mmのセメント系成形体用補強短繊維であって、
    該断面形状がX字状の少なくとも一つの相対向する溝のそれぞれに、深さ100〜200μmの凹部繊維の長手方向に沿って2〜4mmの間隔で連続して付形してなることを特徴とするセメント系成形体用補強短繊維。
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