JP5138372B2 - 凍結乾燥血小板の調製法、凍結乾燥血小板を含む組成物、および使用法 - Google Patents

凍結乾燥血小板の調製法、凍結乾燥血小板を含む組成物、および使用法 Download PDF

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Description

関連出願に関する相互参照
本出願は、下記の特許出願の開示に依存し、該出願の登録日付の利益を主張する。なお、これら出願全ての開示全体を引用することにより本出願に含める。すなわち、2004年8月12日登録米国仮出願第60/600,838号、2004年10月20日登録米国仮出願第60/619,930号、2005年6月15日登録米国特許出願第11/152,774号、および2005年8月5日登録米国特許出願第11/197,310号である。
本発明は、血液および血液製品の分野に関する。より詳細には、本発明は、血小板および血小板組成物、特に、凍結乾燥血小板、または、再水和凍結乾燥血小板を含む組成物であって、治療(処置)、診断、および研究目的に有用な組成物に関する。
血液は、多数の成分から成る複雑な混合物である。一般に、血液は、四つの主要部分を含むと記載することが可能である。すなわち、赤血球、白血球、血小板、および血漿である。最初の3成分は、細胞または細胞様成分であり、4番目の成分(血漿)は、塩、タンパク、および、多数の生体機能のために必要な、他の因子から成る、広範な多様な混合物を含む液性成分である。血液の成分は、遠心により互いに分離することが可能である。通常、遠心によって、大容量/質量の、高密度の赤血球は、遠心管の底部に移動させられる。赤血球の上に、白血球と血小板から成る比較的薄い層が認められる。これは、その灰白色から「バフィーコート」と呼ばれる。バフィーコートの上に液性の血漿分画がある。
一般にエリスロサイトとも呼ばれる赤血球は、肺から、細胞に向かって細胞内諸過程に使用されるよう酸素を運搬し、細胞から、肺に向かって排除されるよう不要の二酸化炭素を運搬する役割を担う。赤血球は核を持たず、従って、血液における短命な細胞成分で、健康なヒトでは不断に更新される。赤血球で構成される血液容量のパーセントはヘマトクリットと呼ばれるが、この数字は、血液系の1種以上の疾患または障害、または血液系に影響を及ぼす1種以上の疾患または障害の存在を表示するのによく使用される。正常なヘマトクリット値は、女性では37%と47%の間、男性では40%と54%の間にある。赤血球は、通常、赤血球を必要とする患者、例えば、慢性貧血患者、または、傷害または外傷を負った患者、または、血液損失をもたらす手術を受けた患者に輸血される。さらに、赤血球は、任意の数の疾患または障害によって引き起こされる貧血を治療するためによく使用される。
通常ロイコサイトとも呼ばれる白血球は、生体を、外来の物質による傷害から保護する役割を担う有核細胞である。一般規則として、白血球は、病原性生物、例えば、細菌、真菌、およびウィルス、あるいは、生体に有害な可能性のある物質、例えば、タンパク毒素を撲滅するように働く。しかしながら、ある人々においては、白血球は、外見上無害な物質、例えば、花粉に対して保護反応を励起し、アレルギー反応をもたらす。実際、ある場合には、白血球は、生体自身の細胞またはタンパクに対して不適切に反応して、自己免疫疾患および生体組織の破壊をもたらし、この破壊が、ある状況下では致命的となることがある。その中で、精製白血球は、抗体療法に対して反応しない患者の治療に使用されてきた。
一般にトロンボサイトとも呼ばれる血小板は、小型で、不規則な形をした、骨髄で形成される、血液の巨核球由来成分であり、凝固過程に与り、かつ、外傷または傷害によるのみならず、正常な生理的活性によっても引き起こされる過度の血液損失からの生体保護を支援する。実際、血小板は、正常な止血において必須であり、血液が、損傷血管から流出するのを防ぐ最初の防衛線を実現する。血小板は一般に、血管の内面に付着し、血漿内に存在する、あるいは、血液の他の細胞成分によって放出される凝固系の成分と相互作用を持つことによって働く。精製血小板は、異常な血小板機能(血小板無力症)、および、血小板数減少(血小板減少症)を持つ患者を治療するのに使用されている。傷害後出血、または後天的血小板機能欠損による出血、例えば、バイパス手術中に起こる出血を阻止するために濃縮血小板がよく使われる。正常な循環血小板数は、血液マイクロリットル(ul)当たり150,000と450,000の間である。
出血が傷口から突然生じた場合、血小板が傷口に集中し、凝血塊を形成することによって血流を阻止しようとする。凝血塊の形成には二種類の一般的機構がある。一方の機構では、血液が空気に暴露されると、凝血塊が形成し始める。血小板は、空気の存在を感受し、フィブリノーゲンと反応し、フィブリンの形成を開始する。このフィブリンはクモの巣状の網目を形成し、これが血球をその中に捕捉する。他方の一般的機構では、損傷血管が化学的信号を発射し、これが、傷害領域における血小板の粘度を増加させる。この粘着性血小板は、損傷領域に接着し、徐々に血小板プラグを形成する。同時に、血小板は、一連の化学的信号を発射し、これが、血液中の他の因子を促して、血小板プラグを強化するように仕向ける。血小板と補強部との間には頑丈な凝血塊が形成され、これは、損傷領域が治癒する間、パッチとして働く。
血小板ゲルの形を取る血小板は、外傷治癒を加速させるために広く使用されており、自家フィブリン糊と組み合わせた自家血小板ゲルは、手術前後の止血を改善し、かつ、上行大動脈交換手術における血液輸血の必要を減じさせたことが明らかにされている(Christenson and Kalangos, 2004)。Costasis手術止血装置(Costatis(登録商標))。フィブリノーゲンと血小板の供給源としてウシ・トロンビン、ウシ・コラーゲン、および血漿の組み合わせの利用が、ウサギ体内における出血性腎臓および脾臓モデルにおいて効果的に働くことが明らかにされている(Prior et al., 1999)。しかしながら、別の実験では、血小板ゲルは、単独で使用した場合、効果的な止血剤ではないことが示されている(Wajon et al., 2001)。血小板、および止血剤としてのその役割に関しては相矛盾する所見があるにも拘わらず、血小板微粒子の凝固先行性に関してはほとんど疑問の余地が無い。この必須成分は、しばしば見過ごされてきたけれども、次第に、インビトロおよびインビボの凝固過程における活発な関与因子であることが認識されるようになっている(Nieuwland et al., 1997)。生理的作用剤同士の組み合わせ、例えば、トロンビンとコラーゲンの組み合わせによって血小板を刺激した場合、血小板は大量の微粒子を放出する(Sims et al., 1988; Tans et al., 1991)。活性化血小板および微粒子は、アミノ・リン脂質を発現し、これが、前凝血表面を提供し、内在性、外在性、および共通経路における活性化凝固酵素の形成を支援する(Rosing et al., 1985)。
活性化血小板と比べると、微粒子は、活性化因子IX(IXa)(Hoffman et al., 1992)およびVa(Sims et al., 1988)に対する高い親和度を持つ、高密度の結合部位を含む。微粒子は、VIII因子(Gilbert et al., 1991)に対して高い親和性を持つ結合部位を連続発現し、Xa因子活性(Gilbert et al., 1991; Holme et al., 1995)およびプロトロンビナーゼ活性(Sims et al., 1989)の両方を支援する。
血小板微粒子が止血反応において重要な成分であるという事実は別として、血小板は、血小板ゲルという形で、外科創傷の治癒応用を始め、治癒の困難な創傷の治療にも使われてきた(Mazzucco et al., 2004)。さらに、血小板の、血小板富裕血漿という形での利用は、新規応用、例えば、生体組織工学、または、自家および異種組織移植片を始め、骨組織統合および軟組織再生(Okinarinen et al., 2003)にまで拡大している。これは、血小板が、そのアルファ粒子の中に、止血および創傷治癒過程を促進するいくつかの重要な増殖因子を含んでいるからである。実験から、増殖因子、中でも例えば、血小板由来創傷治癒因子(PDWHF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、変形増殖因子(TGF)、およびインスリン増殖因子(IGF)が、創傷治癒カスケードの様々な段階において重要であり、マイトゲン性および細胞分化活性に大きな影響を及ぼすことが認められた(Pierce et al., 1989; Steed, 1997)。
これらの所見から、増殖因子交換策の開発が導かれた。例えば、Regranex(登録商標)は、担体ゲルに溶解した組み換えヒトPDGFであるが、これは、糖尿病創傷の治療に使用されており、一方、別のあるもの、例えば、TGFは、現在FDA承認を求めて試験中である。にも拘わらず、単一増殖因子は、創傷に適用されると、複数の増殖因子ほど効果的ではない。これは驚くには当たらない。なぜなら、創傷治癒は、複数のカスケードの複雑な統合であって、過程内の様々な相において種々の刺激性および抑制性機能の発現に複数の増殖因子を必要とするからである。
一般に血漿と呼ばれる、血液の液性部分は、各種のタンパクおよび塩を含む複雑な溶液である。一般的な言葉で言うと、血漿とは、赤血球、白血球、および血小板が血液から除去された際に留まる物質である。多数のタンパクが高濃度に存在するために、血漿は、室温では不安定な、麦わら色をした液体である(すなわち、血漿は、その中のタンパクが活性を失わないようにするためには室温よりもはるかに低い温度で保存しなければならない)。血漿の主要なタンパク組成分は、アルブミン、フィブリノーゲン、抗体、および、血液凝固および止血に必要な多数のタンパクである。血漿タンパクのこの簡単なリストからも見て取れるように、血漿は、十分な血圧と容量補給の維持から、血液凝固および免疫にとって必須なタンパクの補給に至るまで様々の機能を果たす。例えば、血漿から単離されるガンマグロブリンは、抗毒素を必要とする患者を治療するのに使用することが可能であり、患者が、あるウィルスまたは細菌に感染しているかどうかを示すために、いくつかの抗体の存在が定量される。さらに、血漿から単離される凝固因子VIIIは、古典的な先天性血友病の治療によく使われる。
血液の主要機能は、酸素および二酸化炭素を運搬し、免疫系の成分が素早く、かつ効果的に身体の全ての部分に達することを可能ならしめ、侵入する微生物を撲滅することである。しかしながら、血液は液体であり、生体内に保持されなければならないばかりでなく、生体内の特定領域(例えば、血管、または循環系の他の部分)に限局されなければならないのであるから、血液の重要機能は、生体内における自身の分布を監視し、血液の体内からの逸失、または、血液が保持されなければならない体内の特定領域からの逸失を許す損傷を修復することである。血液の分布を監視し、血液をその正常な境界内に維持する過程は、二つの生理的過程、一方は、血管損傷後の過度の出血を阻止する(血液凝固の形成によって)過程、他方は、血液を、凝固しない(すなわち、非凝固的)流動状態に維持することによって正常な血液循環を維持する過程とのバランスである。これら、外見上は競合する二つの過程は、多くの制御点およびフィードバックループを含む複雑なシステムの一部である。
適当な血流の維持および封じ込めのための主要過程は、止血と呼ばれる。これは、血液凝固塊の形成と最終的なその分解、および、損傷組織の修復から成る過程である。止血は四つの主要な事象から成る。すなわち、血管収縮;フィブリノーゲンによって仲介される、損傷部位における血小板の凝集、およびトロンビンによる血小板の活性化;血小板による血液凝固塊(また、血栓またはフィブリン網とも呼ばれる)の形成および、各種凝固因子の複雑な相互作用;および、最後に、凝固塊の分解および損傷組織の修復である。
血液凝固は複雑な過程である。凝固塊形成が阻止されなければ、血管は詰まる。凝固塊が堅固でなければ、過剰な血液損失が起こる。従って、正常な止血のためには微妙なバランスが維持されなければならない。正常な止血のバランスが崩れた状況では、凝固塊形成は損なわれる。このような異常は、アスピリンの服用、または免疫系の機能不全によって引き起こされることがある。この異常は、先天性の場合があり、例えば、遺伝的疾患によって、または凝固因子欠損によって起こる場合もある。例えば、出血傷害に至る止血過程における欠損が特定されているが、そのような欠損の多くは、血液凝固に必要な活性状態カスケード、血小板の活性化および機能、または接触活性化に関与する酵素の中に認められる。このような障害に含まれるものとして、vWDおよび血友病がある。血液凝固系の他の疾患または障害は、他の疾患または障害治療の結果(すなわち、副作用)である。このような疾患および障害の治療は、通常、その副作用の原因となる薬剤の用量を減らすこと、またはその薬剤による治療を中断することを含む。
血液凝固は、数多くのフィードバックループおよび制御点を通じて緊密に制御される、酵素活性の、一連の複雑なカスケードに依存する。凝固は、血小板が、損傷血管の切り裂かれた血管壁、またはその他の傷害部位に付着した時に始まる。この過程で、血小板は、損傷部位の細胞表面のコラーゲンに付着する。これは、フォンウィルブラント因子(vWF)と呼ばれる凝固因子によって仲介される過程である。vWFは、巨核球によって生産される複雑なタンパクであり、血小板、またはいくつかの結合組織の中に貯えられる。vWFは、しばしばVIII因子と複合体を形成することが認められ、血漿におけるVIII因子の安定化に必要であることが知られている。vWFの量および機能における欠損は、通常遺伝性であり、フォンウィルブラント病(vWD)という名前の病気をもたらす。
損傷部位に対する血小板の付着は、内皮下層のコラーゲンに結合するvWfによって仲介される。可溶性タンパクとして血漿中に存在するフィブリノーゲンは、凝集または結集と呼ばれる過程において活性化血小板をまとめて橋渡しすることが可能である。フィブリノーゲンは、酵素トロンビン(活性化X因子(Xa因子)によって活性化される)によってフィブリンという不溶性の繊維に変換されるが、これも、血小板の強力な活性剤である。フィブリンは、自発的に重合し繊維になるが、血小板上の表面タンパクまたはリン脂質に結合し、血小板を網状に罠のように捕捉する。次に、このフィブリン繊維は、XIII因子からトロンビンによって形成されるXIIIa因子の活性によって架橋される。こうして形成されるフィブリン-血小板網は、フィブリンメッシュ、血栓、または血液凝固塊と呼ばれる。
X因子は、外在経路および内在経路と名づけられる二つの経路の内のどちらかによって活性化される。内在経路は、各種プロテアーゼを活性化する一連の酵素反応を含む。この過程は、XII因子の、内皮下層の成分によって供給されると考えられる陰性荷電表面に対する結合、および、高分子量キニノゲン(HMWK)によって仲介される反応における、カリクラインによるXII因子からXIIaへの活性化から始まる。次に、XIIa因子は、XI因子をXIa因子(血漿トロンボプラスチンの先行体)に変換する。カルシウムイオンの存在下、XIa因子は、IX因子を、その活性形IXa因子に変換する。IXa因子は、非酵素タンパクVIII因子(抗血友病グロブリン、またはAHG)と結合し、かつ、カルシウムイオンおよび細胞由来リン脂質の存在下に、循環因子Xを活性化しXa因子を形成する。
血液凝固を起動するための一次的生理経路と広く見なされている外在経路では、因子VIIの活性形、VIIaが、一般に組織因子(TF)と呼ばれるIII因子(組織トロンボプラスチン)と連結する。カルシウムイオンの存在下に、VIIa/TF複合体は、循環するX因子を活性化してXa因子を形成する。Xa因子はまた、IXおよびXI因子によるVII因子の活性化によっても形成される。このシナリオでは、IX因子およびX因子は、TFとVIIa因子の共同活性によって活性化される。このVIIa/TF複合体は、血液凝固カスケードのもっとも強力な起動因子と認められている。前述のように、IXa因子は、カルシウム、血小板表面のリン脂質、およびVIIIa因子の存在下に、X因子をXa因子に活性化し、Xa因子は次にプロトロンビンをトロンビンに活性化する。トロンビンは、可溶性フィブリノーゲンを不溶性フィブリンに変換しメッシュを形成する。
このようにして、X因子は、内在活性化経路、外在活性化経路のいずれかによって活性化される。Xa因子は、活性化V因子と共に、カルシウムイオンおよび血小板表面のリン脂質の存在下に、プロトロンビンを活性化してトロンビンとする。トロンビンは、フィブリノーゲンからフィブリンを形成し、凝固塊の形成をもたらす。血液凝固は、いくつかの成分、例えば、フィブリノーゲン、トロンビン、VII因子、VIII因子、IX因子、X因子、XI因子、およびXII因子を含む複数成分の相互作用に基づく複雑な過程である。これらの成分の内一つが欠けると、それは必ず、ある患者にとっては致命的となりかねない血液障害の臨床症状を招く。
これまでに出血障害をもたらす、複数の止血過程の欠損症が特定されているが、そのような欠損症の多くは、血液凝固に必要な活性カスケード、血小板活性化と機能、または接触活性化に関与する酵素に認められる。このような障害に含まれるものとしてvWDおよび血友病がある。これら二つの障害に対しては様々な治療が知られているが、その多くは、前述の凝固因子の一つ以上の補給に依存する。
先天的血友病は三つの異なるグループに分類される。すなわち、古典的血友病、または血友病A(FVIII欠損症)、クリスマス病、または血友病B(FIX欠損症)、および血友病C(FXI欠損症)である。血友病とは、出血が正常な時間内に停止されない障害と認められる。すなわち、血友病患者は、より大量に、より速やかに出血し、より長期に出血する。約2万人のアメリカ人が血友病を患う。症例の圧倒的多数は、血友病AまたはBのいずれかであり、血友病Aが、全血友病症例の約80%を占める。血友病Cは稀であり、10万人のアメリカ人当たり約1名に見られる。
血友病Aは、VIII因子の欠損によって生じるX-結合障害であり、凝固因子VIIIの欠如、または正常未満レベルと定義される。血友病Aは、VIII因子の遺伝子における様々な突然変異によって生じる。血友病Aの現代の治療は、ヒトの血漿から調製した、または組み換えDNA技術によって調製した、VIII因子濃縮物、または、VIII因子とwWFの複合体の濃縮物の投与を含む。血友病Aとは違って、血友病Bは、IX因子の欠損から生じる。血友病Bの現代の治療は、血漿由来の、または組み換え技術によるIX因子濃縮物の投与を含む。最後に、血友病Cは、XI因子の欠損による。
公共的血液供給の安全性、および血液および血液製品を通じて伝播される病気の出現に関する絶えざる不安のために、VIII因子の特選供給源は、組み換え技術によって生産される形態となっている。組み換えIX因子は、ヒトへの使用が承認されたが(Benefix(登録商標)、Genetics Institute)、やがて特選供給源となると思われる。さらに、血友病の治療または治癒策として遺伝子療法が提案されている。しかしながら、今日まで、血友病患者の治療におけるトランスジェニック対処法は、凝固因子の長期の安定的発現をもたらさず、予想もしなかった致死問題に遭遇し、現在でもなお、レシピエントにおける抑制因子生産の原因となる(後述)。
VIII因子の濃縮物によって血友病を治療した場合、血友病Aの患者の約15%から約30%、血友病B患者の約3%において、それぞれ、導入されたVIII因子またはIX因子に対する抗体の生産を招く。組み換えVIII因子は、血友病A患者の僅か約5%にしかこの反応を引き起こさないようであるが、それでもこの障害の治療においては重大な問題となっている。この過程およびそれによって生じる障害は、「抑制因子つき血友病」と呼ばれ、凝固因子の欠如を治療するために通常使用される輸血タンパクにたいする抗体の誘発と多くの場合記載される。一方、後天的血友病は、正常レベルの凝固タンパクを含む個人における抑制因子の発生である。従って、後天的血友病は、擬似自己免疫疾患であり、凝固に与る因子を含む製剤によって治療される、その他の点では正常な、非血友病患者において起こることがある。一般に、生成される抗体は、投与されるVIII因子と反応し、VIII因子の活性の抑制をもたらすので、内在性VIII因子を欠如する患者では治療を無効とし、もともと、不十分ではあるが、低レベルの、または低活性の内在性VIII因子を所有していた患者では、皮肉にも治療を有害なものとする。
後天性血友病、および抑制因子つき血友病を回避するために、いくつかのやり方が従来から提案され実行されている。例えば、外因性VIII因子で治療せずに、血友病Aを治療するためのもう一つの策として、外因性VIIa因子を投与し、そうすることによって止血のためのVIII因子を不要とするやり方がある。同様に、過剰量のVIII因子、および、抗イディオタイプ抗VIII因子抗体による治療が試験されている。他の対処法としては、FEIBAバイパス剤、プロトロンビン複合体濃縮物、組み換えVIIa因子、ブタのVIII因子の使用、高用量の免疫グロブリンの静注、免疫耐性療法(ITT)、および、抑制性抗体を除去するための、プロテインAの吸着付きまたは吸着無しの血漿瀉血、が挙げられる。
さらに、精製された組み換えVIIa因子による治療が一般的になっている。例えば、VIIa因子の10から15 ug/kgの用量、場合によっては150 ug/kgの高用量を投与しても、これは、約0.2から2.0 ug/ml血液のVIIa因子の循環レベルをもたらす用量範囲であるが、安全であり、かつ、ある抑制因子つき血友病A患者においては有効であることが判明した。これらの用量は、約0.005 ug/ml血液である、VIIa因子の正常な推定濃度と比べると極めて高いものである。上記方法は成功を見たものの、現在行われている方法はいずれも完全には効果的でなく、また全て極めて高価である。さらに、組み換えFVIIa治療を受けた患者の少なくとも5-10%では止血が起こらなかった。
さらに、III型、すなわち重篤なフォンウィルブラント病は、血友病Aのような臨床症状を呈することがよくある。VIII因子は、通常、vWfによって輸送されるが、血漿プロテアーゼからvWfによって保護される。循環するvWfが無い場合、内在性のVIII因子は急速に分解され、循環から除去されて、血友病Aの症状をもたらす。vWDの治療は、病気の性質および重度に応じて変化する。治療としては、注入または鼻孔経由いずれかによるDDAVP療法が挙げられる。DDAVP療法は、内皮細胞vWfを循環に放出することによって作動する。治療はまた、vWfおよび他の凝固因子の濃縮形となる血漿寒冷沈降物を含む。
従来の血友病の治療は、通常、出血症状が認められて始めて行われる。比較的最近、その時の出血状態とは無関係に、欠乏凝固因子の定期的、予防的投与が実行される治療処方が開発された。この方法は、その因子レベルを十分高く維持するので、出血、関節破壊、および、生命を脅かす出血が抑制され、ほぼ完全に回避される。非常に効果的ではあるが、この治療処方は極めて高価である。
血小板の機能性が、血液凝固における、もう一つの決定的に重要な成分である。機能不全血小板は、異常出血、例えば、出血または血栓をもたらす可能性がある。従って、血小板機能アッセイは、血液関連疾患の診断および監視に組み込まれた一部分となる。例えば、ほんの数例を挙げれば、後天的血小板欠損、例えば、アスピリン注射、心臓病、腎臓病、または先天性血小板欠損、例えば、ベルナール・スーリエ症候群、グランツマン血小板無力症、および、蓄積症は、血小板の正常な止血機能に影響を及ぼすことがある。最小程度でもよいから血小板機能を評価するためには、末梢血スメアによる全血カウントが、僅かではあるが基本的情報を提供する。その他の試験、例えば、出血時間、凝集計を用いる血小板機能試験で、全血または血小板富裕血漿について行われる、一連の血小板作用剤に対する血小板凝集の評価試験によって、欠損が分類される。しかしながら、このような分析は、正確ではあるが、高感度ではなく、障害の初期段階における正常凝固機能における僅かな擾乱を検出することはできない。同様に、血液凝固カスケードの厳密な欠損点の決定は、新鮮採取血による多数のアッセイを要することがある。
血小板は、凝固過程に関与し、少なくとも1種の凝固因子の供給源であることが知られるが、後天的または先天的血友病の治療のために、あるいは、正常血小板数および血小板機能を持ちながら出血障害を患う人々の治療のために、安静で、活性化され、固定され、凍結され、または解凍された血小板、または、それら血小板の組み合わせを使用することについてはこれまで全く開示されたことはなかった。Kirby & Gregoriades (1984)は、血友病の経口的治療の試みとしてVIII因子を含むリポソームを調製した。その後、Giles et al. (1988)は、Xa因子とフォスファチジルコリン-フォスファチジルセリン顆粒の組み合わせは、インビボにおいてVIII因子を迂回することを示し、一方、Hong & Giles (1992)は、血友病A(VIII因子欠乏症)のイヌにおいて、Xa因子とフォスファチジルコリン-フォスファチジルセリン顆粒の混合物の投与後、止血プラグが正常化したことを明らかにした。比較的最近、Yarovoi et al. (2003)は、トランスジェニック法を用い、血小板において場違いに発現されたVIII因子が、マウスモデルにおいて血友病Aの治療に効果を示したことを実証した。さらに、Hrachovinova et al. (2003)は、P-セレクチンとPSGL1の相互作用によって白血球由来微粒子が生成され、これが、血友病Aのマウスモデルにおいて止血を適切なものにすることを示した。しかしながら、これらの研究者のいずれも、血友病の治療のために、正常血小板または血小板誘導体を用いたこともないし、提案もしていない。
通常、血液凝固疾患または障害の検出は、血小板数、血液凝固に関与する各種マーカー、および凝固形成活性に関して患者血液を分析することを含む。かつて、凝固アッセイは、活性凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT)、血漿トロンビン時間(PTT)、および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定し、これらを用いて、内在性および外在性凝固経路を評価した。これらのアッセイは、一般に検査室で行われ、分析は、患者たちから血液の複数サンプルを抽出することを要求する。さらに、これらのアッセイの信頼度は潜在的に低い。なぜなら、これらは、結果が、インビトロにおける凝固形成時間に基づく終末点試験だからである。もう一つの限界点は、外来性の試薬、例えば、カオリン、トロンビン、カルシウム等を加えなければならないという事実に関連する。すなわち、結果は人工的なシステムに依存し、必ずしも患者の血栓形成能を反映しない。
前述したように、血液凝固システムの最重要機能は、損傷組織、例えば、創傷、手術、またはその他の外傷によって損なわれた組織からの血液損失を阻止することである。しかしながら、時として、創傷または外傷があまりにも大きく、傷を受けた人の血液系が、出血の全てを速やかに、効果的に阻止することができない場合がある。さらに、凝固機能は、大抵の人には十分な形で与えられているけれども、ある人々では凝固系は損なわれおり、そのために十分な凝固が得られず、広範な、時には致命的な出血が、損傷または外傷の結果生じることがある。以上から、人が、欠如した、あるいは不十分な凝固機能を補充するために追加の血小板を必要とする場合がしばしばある。
必要な人に血液凝固機能を補充するために、血小板を「そのままの形で」使用することに加えて、血小板は、その性質を明らかにし、血液凝固カスケードにおけるその正確な役割を理解するために、実験室において広範に研究されている。血小板に関する研究によって、血小板や、血小板と相互作用を持ち、凝固および創傷治癒を促進する因子、および、血小板を活性化したり、またはその他のやり方で血小板を損傷部位に引き付け、該部位に保持する因子に関する情報が得られる。
血小板の治療的使用および研究的使用のいずれも、血小板が生物学的に活性な形で利用可能であることを要求する。近年、治療用血小板(例えば、創傷治癒投与用)は、通常、5日未満という、新たに単離された製品の形で供給される。直ちに気が付くように、必要な患者に使用されるよう新鮮な血小板の十分な供給を維持することは高価であり、かつ、使用前の期限切れのために大量の供給分の損失を招く。さらに、新鮮血小板は、治療使用のために極めて重要なものであるから、そのような血小板を研究目的のために入手することは困難でもあり、高価でもある。以上から、治療および研究のための新鮮血小板の代替品に対しては従来技術において需要がある。
Livesey et al.に付与された米国特許第5,622,867号は、保存用に血小板を寒冷保護するためのシステムを開示する。このシステムは、新鮮血小板を、第2メッセンジャーエフェクターを含む抑制因子システムによって処理する。下記の経路の内の1種以上の抑制因子が加えられる。すなわち、cAMP、ナトリウムチャンネル、cGMP、シクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、フォスフォリパーゼ、カルシウム、プロテイナーゼとプロテイナーゼ、および膜修飾である。寒冷保護剤、例えば、DMSO、マルトデキストラン、デキストラン、ヒドロキシエチルでん粉、およびグルコースが、血小板が低温で維持される場所に加えられる。使用時、血小板は洗浄され、抑制因子および寒冷保護剤が除去される。
Iijima et al.に付与された米国特許第5,656,498号は、凍結乾燥血小板、およびその製造法を開示する。方法は、血漿中の血小板をあらかじめ、サッカライド、生体高分子、酸、酸塩を含む溶液で処理し、処理血漿を顆粒化し、この顆粒を急冷し、顆粒を凍結乾燥することを含む。
Spargo et al.に対する米国特許第5,736,313号は、凍結乾燥血小板およびその製造工程を開示する。凍結乾燥血小板の製造工程は、血小板を、リン酸・クエン酸バッファー、またはリン酸・リン酸・クエン酸バッファー中であらかじめインキュベートすることを含む。上記バッファーはいずれも炭水化物(例えば、グルコース)を含む。先行インキュベーション後、血小板には炭水化物が負荷され、次に、基質形成ポリマーおよび炭水化物を含む凍結乾燥バッファーに懸濁される。次に、血小板は、圧が真空状態にまで低下した状態で、約-50℃にゆっくりと冷却される。
いずれもGoodrich et al.に付与された米国特許第5,958,670および5,800,978号も、凍結乾燥血小板およびその製造法を開示する。これらの特許に開示される発明は、約-60℃を上回るガラス転移温度を持つ組成物の使用に依存する。この組成物は、一般に、血小板に対して透過性を持つ成分(例えば、糖のような炭水化物)、および血小板に対して不透過な成分(例えば、ゼラチン、PEG)を含む。凍結乾燥血小板を創成するために、組成物の温度は、その組成物のガラス転移温度以下の点に下げられ、液体を、組成物から、真空蒸発または昇華させる。同じくGoodrich et al.に付与された、さらに以前の特許、米国特許第5,213,814号は、安定化血小板およびその製造法を開示する。この方法および血小板は、約4℃において血小板を長期に渡って保存するのに好適である。方法は、一般に、炭水化物および、生物学的に適合な一つのポリマー、またはポリマー混合物を含むバッファー水溶液に血小板を浸すこと、次に溶液を凍結し、凍結溶液を乾燥し、10重量%未満の水分を含む凍結乾燥血小板を生産することを含む。
いずれもBraunに付与された米国特許第6,127,111および6,372,423号は、凍結乾燥血小板およびその製造法を開示する。この凍結乾燥血小板の製造法は、凝固阻害剤(例えば、EDTAまたはクエン酸塩)、および「ケーキ形成剤」(例えば、血清アルブミンのようなタンパク、またはマンニトールのようなポリサッカライド)に、血小板を室温で5から60分暴露し、次に、水分含量が10%未満となるまで凍結乾燥することを含む。
カリフォルニア大学、Davisの研究者達は、凍結乾燥血小板を製造する工程を開発した。この工程は、凍結乾燥前に、血小板にトレハロースを負荷することを含む。米国特許第6,723,497号では、凍結乾燥血小板の調製法が開示される。この方法では、最大50 mMのトレハロースと、約25℃から約40℃未満の間の温度において血小板をインキュベートすることによって、血小板にトレハロースを負荷し、この負荷された血小板を-32℃未満に冷却し、該冷却血小板を凍結乾燥する。公開された米国特許出願2005/0048460は、凍結乾燥血小板の製造法であって、炭水化物(例えば、トレハロース)、および両親媒性仲介剤(例えば、アルブチン)に血小板を暴露し、該血小板を凍結乾燥することを含む方法を開示する。例えば、米国特許第6,770,478号、米国特許第6,723,497および5,827,741号、および、米国特許出願公報第2005/0048460、2004/0152964、2004/0147024、および2004/0136974号を参照されたい。
Stienstraに付与された米国特許第6,833,236号は、安定化血小板の製造法、および該方法によって製造される血小板を開示する。方法は、例えば、血小板をストレスに暴露し、微粒子の形成を誘発することによって血小板をあらかじめ活性化すること、この活性化血小板を炭水化物と接触させて、炭水化物を血小板内に導入すること、この負荷血小板を乾燥することを含む。
血液製品および創傷治癒には、過去数年に数多くの進歩が見られたけれども、創傷治療における改善治療、例えば、創傷の止血または凝固による治療に対しては依然として需要がある。従ってまた、創傷治療用組成物の改善製造法に対しても需要がある。同様に、血液損失を阻止するよう創傷を治療する方法であって、速やかで、効果的で、かつ、複数の状況下で使用するのに好適な方法に対しても需要がある。さらに、出血性疾患および障害に関する改善された診断アッセイについても依然として需要がある。
本発明は、血小板、血小板微粒子、および、血小板および/または血小板微粒子を含む組成物を提供することによって従来技術における需要に対応する。血小板、微粒子、および/または、組成物は、例えば、止血剤としての使用、出血を含む損傷部位において血液凝固塊を形成するための使用、および、組織の再生および治癒を促進するための使用を含む多様な目的のために使用が可能である。ただし、本発明の使用される目的は上記に限定されない。血小板、微粒子、および/または、組成物はまた、血友病、例えば、血友病A、血友病B、血友病C、および抑制因子つき後天的血友病を含む血友病の治療に使用が可能である。本発明はまた、抗凝固治療、あるいは、凝固カスケードの抑制をもたらす、その他の治療または環境作用に関連する、活発な、過剰な出血を予防的に阻止する、または治療するための組成物および方法を提供する。本発明はまた、血液凝固障害を検出するための診断剤として使用することが可能な組成物および方法を提供することによって、従来技術における需要に対処する。従って、本発明は、出血性障害を診断する診断組成物の製造法、および、出血性障害を診断する方法における該組成物の用法を提供する。本発明はさらに、凍結乾燥血小板、凍結乾燥微粒子を調製するための方法、凍結乾燥血小板を再構成または再水和する方法、および再構成血小板を提供することによって、従来技術における需要に対処する。本発明の上記方法は、室温以下において長期的に安定な凍結乾燥血小板を提供する。上記方法はまた、再構成されると血液凝固過程において十分に機能し、従って、治療用途、例えば、創傷治癒、および出血性疾患および障害の治療に効果的に使用が可能な凍結乾燥血小板を提供する。該血小板、微粒子、および/または、組成物を含むキットが提供される。
いくつかの実施態様では、本発明は、例えば、血友病患者に対し、正常な、または擬似正常な止血性を与えるために、また、血友病患者、および、他の、出血をもたらす外傷を経験した人々に対し止血性を付与するために、血小板および、各種血小板および/または微粒子製剤を、活性剤として用いる。本発明はさらに、薬剤誘発性凝固障害の治療のために、および、凍結乾燥血小板誘導体の存在下に凝固促進剤の効力を加速するために、トレハロース安定化凍結乾燥誘導体を提供する。血小板、微粒子、および/または組成物における、その他の、非限定的使用例としては、診断アッセイにおける使用、および、血小板機能および血液凝固に関する研究における使用が挙げられる。血小板、微粒子、および/または組成物は、本明細書に示される方法に従って生産することが可能である。以上、本発明は、止血剤の製造法、および、例えば、創傷および出血を治療するための、該止血剤の使用法を提供する。
血小板、および血小板製剤、例えば、凍結乾燥血小板は、正常な、またはほぼ正常な凝固性、従って、止血性を実現可能であることが思いがけず発見された。この血小板および血小板製剤は、これらの機能を、外傷損傷部位に対し、また、血友病患者の血液に対し供給するのに好適であることが判明した。以上、この血小板および血小板製剤は、血友病の治療のために、それが血友病Aであれ、血友病Bであれ、血友病Cであれ、または後天的血友病であれ、血友病の治療のために予防的に使用することが可能である。この血小板および血小板製剤はまた、抗凝固治療を受けた血液に対し凝固性を強化することが可能である。この発見は意外であった。その理由は、少なくとも部分的には、本発明の血小板組成物によって治療される疾患および障害は、通常、低レベル血小板の臨床症状を呈しないにもかかわらず、この発見は出血性疾患および障害に関わっていたからである。すなわち、例えば、血友病患者の血小板数は通常正常であり、従って、一般的には、血小板が通常供給する必要成分の全てが供給されていることが予想されていたわけである。本発明の血小板は、VIII因子またはIX因子、あるいは、凝固過程において、VIII因子またはIX因子を含むステップ以前に起こるステップに与る、1種以上の必須成分を供給するので、血友病における欠損を克服することが可能となると考えられる。同様に、本発明の組成物は、抗凝固療法患者に見られる欠損、および、凝固遅延または欠如を示す他の被験者に見られる欠損を、凝固カスケードにおいて、それらの患者に欠如する成分の下流において少なくとも一つの成分を供給することによって克服する。本発明の血小板は、生体において比較的長期に渡って(例えば、小分子薬剤に比べて)維持されるので、治療は、スケジュール通りに実現することが可能であり、また、傷害の時点で実行される必要もない。もっとも、本発明による治療は、そのような「オンデマンド」治療を排除するものではない。
第1局面において、本発明は、血小板、および血小板を含む組成物を提供する。通常、血小板および組成物は、凍結乾燥血小板または再水和凍結乾燥血小板を含む。一般に、組成物はまた、血小板微粒子を含む。血小板、微粒子、および組成物は、本発明の方法を用いて製造される。本発明の凍結乾燥血小板は極めて安定であり、少なくとも6ヶ月の使用期限を持つ。凍結乾燥血小板、およびそれから得られる再水和血小板は、血小板機能を必要とする、個人、患者、または被験者(本明細書では、これらの用語はすべて相互交換的に用いられる)に導入された場合、血小板の血液凝固機能にとって必要な特性の、全部とは言わないまでも、ほとんどのものを保持する。従って、本発明の凍結乾燥血小板は、インビボの治療目的のためにも、インビトロの診断または研究のためにも、いずれにも使用されてよい。血小板は、凍結乾燥したものであれ、再構成されたものであれ、多数の目的のために、例えば、患者の出血治療用の注入用または輸液用物質としての使用、生体の外側から適用される出血の直接治療剤としての使用を含む目的のために使用することが可能である。同様に、この血小板は、診断目的のために、例えば、血液凝固系の障害を診断するため、あるいは、インビトロ実験のために、例えば、血液凝固過程の研究のために使用することが可能である。同様に、この血小板は、ある期間に渡って、例えば、患者の体内の血液凝固システム、または別のシステムまたは組織の疾患または障害に関する治療経過の際に、患者の血液凝固システムの血液凝固能を監視するために使用することが可能である。凍結乾燥血小板、またはそれから調製される再水和血小板は、凝固機能を実現し、創傷治癒を促進するのに十分なほど、新鮮血小板または公定使用期限内血小板の性質を保有することが可能である。この血小板は、適切なものであれば、いずれの組成物においても、いずれの濃度においても存在することが可能である。各種実施態様において、血小板は、血液から得られた濃縮血小板として、あるいは、一度凍結乾燥され、任意に再構成される濃縮血小板として供給される。組成物は、他の血液成分を含んでもよく、特に、正常または活性化状態における他の血液凝固因子、例えば、VII因子、VIII因子、またはIX因子を含んでもよい。
別の局面では、本発明は、凍結乾燥血小板、凍結乾燥微粒子、および/または、凍結乾燥血小板および/または微粒子を含む組成物を製造または調製(これらの用語は、本明細書では相互交換的に使用される)する方法を提供する。方法は一般に、血小板を入手すること、少なくとも1種のサッカライドに、該血小板を、サッカライドが血小板に取り込まれるのに十分な条件下に暴露すること、寒冷保護剤を添加すること、および凍結乾燥することを含む。例えば、方法は、血小板を準備すること、血小板を、少なくとも1種のサッカライドを含んで組成物を構成する塩バッファーに懸濁すること、組成物を、凍結温度を上回る温度で、前記少なくとも1種のサッカライドが血小板に接触することが可能となるほど十分な時間インキュベートすること、寒冷保護剤を加えて第2組成物を製造すること、および、第2組成物を凍結乾燥することを含んでもよい。方法はさらに、凍結乾燥血小板を他の血小板、あるいは血漿に加えて、混合物を形成することを含んでもよい。本発明による凍結乾燥血小板は、単独であれ、他の血小板および血漿と組み合わせたものであれ、取り分け、血液凝固系の各種疾患および障害を診断するのに有用である。この凍結乾燥血小板は、水性液体、例えば、水または水性バッファーに暴露されることによって再構成または再水和されることが可能である。また別法として、凍結乾燥血小板製剤は、被験者または患者(これらの用語は本明細書では相互交換的に使用される)、例えば、出血性創傷、または出血障害に苦しむ人を治療するのに直接使用することが可能である。凍結乾燥血小板または組成物を製造するのに使用される血小板は、公定使用期限内(新たに単離されたもの)であっても、公定使用期限外(血液の治療的使用に関する米国食品薬品局規制によって許可される期限よりも古いもの)であってもよい。
さらに別の局面では、本発明は、本発明の凍結乾燥血小板から再水和または再構成血小板を製造する方法を提供する。一般に、再構成法は、凍結乾燥血小板を、十分な量の水性液体に十分な時間暴露し、血小板が正常な形および流体含量を再び獲得できるように血小板を再水和することを含む。いくつかの実施態様では、水性流体の量は、乾燥血小板の容量の2倍である。いくつかの実施態様では、水性流体の量は、乾燥血小板の容量に等しい。いくつかの実施態様では、水性流体の量は、乾燥血小板の容量の半分である。他の実施態様では、水性流体の容量は、凍結乾燥前の組成物の容量の2倍である。別の実施態様では、水性流体の容量は、凍結乾燥前の組成物の容量に等しい。さらに別の実施態様では、水性流体の容量は、凍結乾燥前の組成物の容量の半分に等しい。
さらに別の局面では、本発明は再水和血小板を提供する。本発明の再水和血小板は、血液凝固機能を必要とする被験者の体中に導入されると、正常な血液凝固のために必要な血小板の特性の全てを所有する。例えば、再水和血小板は、血小板が導入される被験者(すなわち、血小板が投与される被験者)において血液凝固塊の形成に与るのに必要な表面分子の全てを含む。
本発明のもう一つの局面はキットを提供する。一般に、本発明のキットは、本発明の凍結乾燥血小板を含む。本発明のキットは、通常、本発明の血小板を含む少なくとも1個の容器を含むが、さらに、特注成分、例えば、血小板を再水和するための無菌水性液体、血小板を投与するための装置等を含んでもよい。以上、その基本レベルにおいて、本発明のキットは、本発明による血小板、微粒子、または組成物を含む容器である。容器は、これらの物質を含むのに好適であればいずれの材料であってもよく、例えば、瓶またはアンプルであってもよい。いくつかの実施態様では、容器は、本発明による少なくとも一つの方法の少なくとも一つの実施態様において実行するのに十分な量の血小板を含む。以上、キットは、取り分け、診断キット、凝固タンパクまたは血小板のための、血液凝固監視キット、または、薬剤治療監視キットであってもよい。いくつかの実施態様では、容器は、さらに大型のキットの一つの成分として提供され、適当な包装と、要すれば任意に、組成物の使用に関する指示、およびその他の情報を含む。いくつかの実施態様では、容器またはキットは、他の成分、例えば、凝固カスケードの精製成分を含む。キットは、インビボ治療用、インビトロ診断用、または、インビトロまたはインビボ研究用の凍結乾燥血小板を支給するように構成されていてもよい。多くの場合、キットは、キットの実行が適正であることを確保し、かつ、試験サンプルが比較される基礎結果を供給するために、1種以上のコントロール反応を実行するための支給品および試薬の内のいくつか、または全てを含む。いくつかの実施態様では、血小板は、血小板を必要とする被験者、例えば、手術を受けた患者、または出血性創傷を被った患者を治療するのに十分な量として供給される。別の実施態様では、血小板は、血小板、あるいは、その血小板の由来する動物種の血液凝固システムに関する実験を行うのに十分な量として供給される。
さらに別の局面では、本発明は、血液凝固システムの1種以上の成分を必要とする、または、必要とすると疑われている被験者、例えば、血小板を必要とする、あるいは必要とすると疑われている個人を治療する方法を提供する。一般に、方法は、凍結乾燥血小板(精製血小板、あるいは組成物の一部として)を入手すること、および、該血小板を必要とする被験者に投与することを含む。投与は、任意の既知の技術によって行われてよいが、通常、輸液、注入、または、出血部位に対する直接的塗布による。方法は、血小板を被験者に投与する前に、血小板を再水和する任意選択工程を含んでもよい。被験者は、必要とするものであればいずれの被験者であってもよく、例えば、出血性創傷に苦しむ人、または、出血性疾患または障害を持つ人であってもよい。様々の実施態様において、個人は、血友病患者、または、抗凝固剤による治療を受けている患者である。さらに別の実施態様では、個人は、凝固系が、何らかのやり方で、例えば、肝臓不全、透析、または環境因子に対する暴露によって損なわれた患者である。一般に、本発明のこの局面の方法は、本発明の組成物を、個人に対し、その個人の血液の止血能を、投与前のレベルよりも検出可能なほど高いレベルに上昇させるのに十分な量として投与することを含む。方法はさらに、他の生物学的に活性の高い薬剤、例えば、凝固因子、および、ガン治療用化学療法剤を投与することを含む。方法はまた、物理的変数、例えば、放射線による治療を含んでもよい。新鮮で、公定使用期限内の血小板を用いるならば、凝固障害の治療に向けてより優れた止血効果を実現できるよう血小板を任意に活性化することも考えられる。凍結乾燥血小板、再水和血小板、または組成物は、他の止血剤、例えば、組み換えFVIIIaと組み合わせて用い、後者の効力を、他のやり方であったならば薬理学的作用未満の量において強化し、そうすることによってコストを節約し、投与および治療を簡単化することも可能である。
本発明のこの局面は、先天的または後天的出血、例えば、先天的血友病または抑制因子つき後天的血友病;血小板欠損疾患、例えば、ベルナール・スーリエ症候群およびグランツマン血小板無力症;自己免疫性血小板減少症、異種免疫性血小板減少症、薬剤誘発血小板減少症、血栓性血小板減少症紫斑病、およびその他の血小板関連障害に悩む被験者を治療する方法を提供する。本発明はまた、抗凝固治療、あるいは、凝固カスケードの抑制をもたらす、その他の治療または環境作用に関連する、活発な、過剰な出血を予防的に阻止する、または治療するための組成物および方法を提供する。
さらに別の局面では、本発明は、例えば、血友病患者を含む個人(ただし、それに限定されない)に対し、正常な、または擬似正常な止血性を与えるため、また、出血をもたらす外傷を経験した人々、例えば、血友病患者を含む個人(ただしそれに限定されない)に対し止血性を付与するための、血小板、微粒子、および組成物の用法を提供する。本発明はさらに、薬剤誘発性凝固障害の治療のため、および、凝固促進剤の効力を加速するための、血小板、微粒子、および組成物の用法を提供する。従って、本発明は、血小板、微粒子、および組成物を、他の止血剤、例えば、組み換えFVIIIaと組み合わせて用いる用法であって、後者の効力を、他のやり方であったならば薬理学的作用未満の量において強化し、そうすることによってコストを節約し、投与および治療を簡単化することも可能とする用法を提供する。
別の局面では、本発明は、診断または研究目的のための、凍結乾燥血小板(または、それから得られた再構成血小板)、微粒子、および/または、組成物を提供する。従って、本発明は、血液凝固システムの疾患または障害を診断する方法を提供する。方法は一般に、血小板、微粒子、および/または、それらを含む組成物(または、再水和血小板、微粒子、および/または組成物)を入手すること、血液凝固システムの疾患または障害を有する、または有すると疑われる患者から取り出された血小板および/または血漿と、血小板、微粒子、および/または、それらを含む組成物を混ぜて、混合物を形成すること、かつ、混合物について1種以上の、生物学的または生化学的機能を定量することによって、該人物が血液凝固システムに欠陥を抱えているかどうかを判定することを含み、その際、欠陥は、患者の血液凝固システムが正常に機能する能力、あるいは、指定の時間内に血液凝固塊の形成をもたらす能力を低下、または停止させるものとする。通常、患者の血液凝固システムに欠陥があるかどうかを判定するのは、混合物の凝固時間を定量することを含む。診断法は、典型的には、インビトロで行われるが、望むなら試験動物に対してインビボで行われてもよい。診断法は一般に、出血障害および、それら障害の原因を特定するために行われる。研究法は一般に、出血障害の原因の発見、例えば、ある特定の個人が、創傷、またはその他の損傷によって起こる出血を正常に制御できない不能事象の分子的基盤に関連する。研究法はまた、個人の血液凝固システムに対する薬剤治療の作用(例えば、血液凝固に対して否定的な影響を与える副作用)の研究に関するものであってもよい。
さらに別の局面では、本発明は、血液凝固システムの疾患または障害の進行を監視する方法を提供する。方法は、一般に、凍結乾燥血小板、または、凍結乾燥血小板から得られた再水和血小板を入手すること、該血小板を、疾患または障害を抱える患者から取り出された血小板および/または血漿と混ぜて混合物を造ること、および、混合物の血液凝固性能を定量することを含む。典型的には、混合物の血液凝固能の定量は、患者の血液の血液凝固能を示し、混合物の凝固時間の定量を含む。さらに、典型的には、時間的進行を表示するために、時間に渡って複数の定量が行われる。
別の局面で、本発明は、患者の治療処方の、該患者の血液凝固システムに及ぼす作用を監視する方法を提供する。一般に、方法は、凍結乾燥血小板、または、凍結乾燥血小板から得られた再水和血小板を入手すること、該血小板を、治療処方を受ける患者から取り出された血小板および/または血漿と混ぜて混合物を造ること、および、混合物の血液凝固性能を定量することを含む。典型的には、混合物の血液凝固能の定量は、患者の血液の血液凝固能を示し、混合物の凝固時間の定量を含む。さらに、典型的には、治療処方の時間的進行を表示するために、時間に渡って複数の定量が行われる。
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する付属の図面は、本発明のいくつかの実施態様を具体的に示すものであるが、説明と相俟って、本発明のいくつかの局面のいくつかの原理を説明するのに役立つ。
ここで、本発明の様々な例示の実施態様について詳細に参照する。なお、実施例が付属の図面に具体的に示される。
一つの局面では、本発明は、凍結乾燥血小板、再び水和された凍結乾燥血小板、および、凍結乾燥血小板、または再水和凍結乾燥血小板を含む組成物を提供する。組成物は、血小板に加えて微粒子を含んでもよいが、必ずしも含む必要はなく、これらの微粒子は、凍結乾燥血小板の調製の結果含められてもよいし、あるいは、組成物の一成分として意図的に加えられてもよい。組成物の調製法の如何によらず、凍結乾燥血小板を製造するために用いられた方法に応じて、血小板は、新鮮単離血小板、または、短期間、例えば、6日未満保存された血小板(公定使用期限内血小板)に対して、様々の程度の近似性を持つ。例示の実施態様では、血小板は、血液中の正常血小板の存在下における血小板凝固機能にとって必須の特性の全てを保持する。他の例示の実施態様では、血小板は、1種以上の特性において不十分である。
凍結乾燥血小板、およびこれらの凍結乾燥血小板より得られる再水和血小板は、新鮮単離血小板(ドナー被験者の体から取り出されて数時間以内)、公定期限内血小板(ドナー被験者の体から取り出されて6日以内)、または、公定期限外血小板(ドナー被験者の体から取り出されて6日以後)から調製することが可能である。驚くべきことに、公定期限外血小板も、凍結乾燥血小板の供給源として使用が可能であること、および、このような血小板、およびそれらの血小板から得られた再水和血小板も、研究目的のためのみならず、出血および出血障害の治療のためにも使用が可能であることが見出された。
本発明の血小板は、血液中の、正常な、新鮮採取血小板の、大まかな形態的特徴の、実質的に全てを備えることが可能である。例えば、再構成凍結乾燥血小板が存在するある組成物の場合、該組成物を、典型的な血小板サイズを持つ粒子を保持するメッシュサイズを通じてろ過したところ、組成物中の粒子の約70%が保持された。同様に、一般に、該血小板粒子は、新鮮な、未処理の血小板と同じ一連の細胞表面タンパクを示す。例えば、サイズ、粒状性、および、表面受容体、例えば、GPIbおよびGPIIb/IIIaは、凍結乾燥血小板の表面において、新鮮血小板に相当するレベルで保持される。この血小板はさらに、新鮮血小板では一般に認められない特性を含み、例えば、荷電脂質および粒状タンパク、例えば、P-セレクチンおよびV因子の発現を示す。このために、これらの血小板は、新鮮血小板が実行できない新たな機能、例えば、ビタミンK依存性タンパクへの結合等を付与する。いくつかの特定実施態様では、この血小板は、十分な血液凝固に必要な特性の必ずしも全てではないが、多くを保持する。以上、例えば、本発明の凍結乾燥血小板は、正常サイズ(再水和時)、無傷の膜、正常な凝集能、適正な表面タンパク配列、および、凝固カスケードに関与する内部因子を保持する。すなわち、本発明の凍結乾燥血小板は、血小板機能を必要とする患者または被験者に導入された場合、血小板の血液凝固機能にとって必要な特性の全てとは言わないまでも、多くを保持することが可能である。
血小板は、任意の供給源、例えば、哺乳類、例えば、ヒト、イヌまたは他のイヌ類、ネコまたは他のネコ類、マウス、ラット、または他のげっ歯類、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、その他の農業動物、およびサル類、チンパンジー、類人猿、または他の霊長類を含む供給源から入手が可能であるが、ただし供給源はこれらに限定されない。すなわち、組成物は、任意の哺乳動物種、例えば、ヒト、霊長類、イヌ類、ネコ類、ウシ類、ヒツジ類、ブタ類、ウマ類、およびげっ歯類を含む哺乳動物種から得られた血小板を含んでもよいが、ただし哺乳動物種はこれらに限定されない。さらに、血小板は、本発明の方法において混合される血液に関して、自己性であっても、異種性であってもよい。例えば、いくつかの実施態様では、本発明の方法は一般に、血小板、例えば、凍結乾燥血小板を、患者から得られた新鮮血と混合することを含む。血小板は、血液のものと同じ患者から得られる(すなわち、自己由来血小板)ことが好ましいが、必ずしも必要ではない。しかしながら、いくつかの実施態様では、血小板は、患者以外の1人以上の個人から得られる(異種性血小板)。ある実施態様では、凍結乾燥血小板は、2人以上のドナーから得られた血小板プールを起源とする。凍結乾燥血小板および新鮮血小板の両方を含む組成物に関するある実施態様では、新鮮血小板は、2人以上のドナーから得られた血小板プールを起源とする。
前述のように、本発明で使用される血小板は、公定期限内または公定期限外の血液から入手することが可能である。公定期限内血液とは、ドナーから得られたばかりの血液であり、6日未満の日数しか経っていない血液を含む。一方、公定期限外血液は、ドナーから6日以上前に採取された血液であり、従って、いくつかの政府の統制機関によって、過剰出血を治療するための治療剤として使用する(例えば、輸血)にはもはや相応しくないと判定されるものである。ある実施態様では、1個または複数のドナー供給源から得られる公定期限外血液(それぞれ単一にか、あるいは、異なる供給源からの血液の混合物として使用される)が、「正常」または「標準」コントロールとして使用される、凍結乾燥血小板の供給源として使用される。
さらに、血小板は、被験者の治療に使用する前に様々に処理されてもよい。一般に、血小板は全血から濃縮される。血小板は、適切であればいずれの方法でも、例えば、遠心およびろ過を含む任意の方法で濃縮されてよいが、ただしこれらの方法に限定されない。濃縮に加えて、血小板は、他のいくつかの、または全ての血液成分を除去するために、生食液、または他の適切な溶液によって1回以上洗浄されてもよい。同様に、血小板は、それを取り巻く液性媒体をほとんど、あるいは事実上全く持たない、パックされた濃縮物として保存されてもよいし、あるいは、血小板と適合する安定化剤またはその他の物質を含んでもよい適切な水溶液またはバッファー中に懸濁されてもよい。
いくつかの実施態様では、濃縮血小板は、凍結され乾燥される、すなわち、凍結乾燥される。血液製剤およびその他の生物学的物質を凍結乾燥するための技術は数多く知られるが、本発明による凍結乾燥血小板を調製するには任意の技術を用いてよい。例示の技術が下記のテキストおよび実施例に示される。さらに別の実施態様では、凍結乾燥血小板は、水、または生物学的適合性の水溶液、例えば、生食液によって再び水和される。この再水和血小板組成物は、直接使用されてもよいし、あるいは、他の物質、例えば、血液成分または薬剤が、該血小板を必要とする個人の治療前に、加えられてもよい。
いくつかの実施態様では、本発明は凍結乾燥血小板から成る。別の実施態様では、本発明は、凍結乾燥血小板、あるいは、凍結乾燥血小板から得られた血小板、例えば、凍結乾燥され、次に水、生食液、または血漿によって再構成された血小板(本明細書では、再構成または再水和血小板とも呼ばれる)を含む組成物を提供する。
従って、本発明による組成物は血小板を含む。この血小板は、凍結乾燥血小板、または再水和凍結乾燥血小板である。組成物は、血小板の外に、任意の数の物質、例えば、血小板微粒子を含むことが可能である。ただし、物質は上記に限定されない。従って、本発明の組成物は固体であっても、液体であってもよい。液体の形を取る場合、組成物は、水、または別の水性溶媒、例えば、水性バッファー、血液、または血液成分または分画(例えば、血漿)、生食液、バッファー生食液(例えば、リン酸バッファー生食液)等を含んでもよい。従って、本発明の再水和凍結乾燥血小板は、上記の任意の液体、例えば、水、水性バッファー、および血液または血漿を含むが、それらに限定されない液体によって再水和されてもよい。液体はまた、1種以上の有機溶媒、例えば、1種以上のアルコールを含んでもよい。組成物はまた、出血または出血障害のインビボ治療に好適であってもよいし、あるいは、インビトロまたはインビボ診断に好適であってもよいし、インビトロまたはインビボ研究に好適であってもよい。
本発明による組成物は、血小板が凍結乾燥される前に、その際に、またはその後に血小板と共に存在する1種以上の物質を含んでもよい。従って、血小板を含む組成物はまた、1種以上の塩、例えば、リン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、および、血液または血液製剤の中に認められる、あるいは、凍結乾燥血小板または真核細胞において有用であることが知られる、他の任意の塩、あるいは、上記の塩の任意の二つ以上の組み合わせを含んでもよい。組成物の中に存在してもよい他の例示の物質としては、糖類、例えば、単糖類および二糖類(例えば、マルトース、デキストロース、マンノース、トレハロース、スクロース、スクロースのポリマー、グルコース);糖ポリマー、例えば、Ficoll-70およびFicoll-400;グリセロール;トリグリセリド;多糖類;脂質;デキストラン;ポリビニールピロリドン(PVP);でん粉;ヒドロキシエチルでん粉(HES)等が挙げられる。さらに他の例示の物質としては、ヒトまたは動物供給源から得られる生物分子、例えば、ポリペプチド(例えば、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンのようなアルブミン類)、カゼイン、ラミニン、フィブリノーゲン等が挙げられる。もちろん、凍結乾燥過程は、若干数の血小板の溶解をもたらすので、本発明の組成物は、無傷の血小板の外に、血小板内部に存在する成分のいくつかまたは全てを含む可能性がある。
本発明の組成物に存在する可能性のある物質の内の、一つの特定グループは、薬剤として機能する化学的および生物学的化合物である。もう一つのグループは、食物として機能する物質である。さらにもう一つのグループは、薬草サプリメントとして機能する物質である。いくつかの実施態様では、この物質は抗凝固剤である。本発明の組成物は、フィブリンを含む可能性があるが、必ずしも含んでいなくともよい。フィブリンを含まない、本発明による組成物は、例えば、本発明の組成物を非圧迫性外傷の治療に用いる際に、従来技術で既知の組成物に優る利点を示す。
後に詳述するように、本発明の組成物および方法は、血液サンプル中の薬剤、食品、および薬草サプリメントの検出および監視、および、薬剤等が投与される患者の血液凝固システムに対する、これらの物質の作用の検出および監視に特に好適である。そのような薬剤としては、ワルファリン(Coumadin(R))、ヘパリン、クロピドグレル(Plavix(R))、ジピリダモル(Persantine(R))、エノキサパリン(Lovenox(R))、アルデパリン(Normiflo(R))、ダルテパリン(Fragmin(R))、チクロピジン(Ticlid(R))、ダナパロイド(Orgaran(R))、チンザパリン(Innohep(R))、アスピリン、トロンビン阻害剤等がある。さらに物質としては、抗凝固作用を持つ可能性のあるクマリン類を含む食品および薬草サプリメント、例えば、アルファルファ、アンゲリカ(Don Quai)、アルニカ、ボグビーン、唐辛子、セロリ、蒲公英、マロニエ、西洋ワサビ、シモツケ草、ネトル、パセリ、トケイ草、レッド・クローバー、スウィート・クローバー、ワイルド・キャロット、ワイルド・レタスがある。さらに、物質は、抗血小板性能を持つもの、例えば、アグリモニー、アロエ・ゲル、ブラックコホシュ、ボグビーン、クローブ、蒲公英、ガーリック、ジンジャー、銀杏、朝鮮人参(Ginseng Panax)、甘草、シモツケ草、玉葱、ポリコサノール、ポプラ、セネガ、柳、ヒメコウジ等であってもよい。
従って、組成物は、他の血液成分を含んでもよい、特に、他の血液凝固因子、例えば、VII因子およびVIII因子を、その正常な、または活性化した状態で含んでもよい。これら他の成分は、血小板を濃縮した結果として存在してもよいし、あるいは、別に精製された成分として血小板に加えられてもよい。これら他の血液成分は、単一物として(すなわち、組成物の中にただ一つしか存在しない)存在してもよいし、あるいは、他の、複数の血液成分が、血小板と共に組成物の中に含められてもよい。通常、他の血液成分は、血小板のために選択された量において個人に投与された場合、その治療される個人の、少なくとも一つの生理的過程において検出可能な変化、あるいは、既知の効果を実現することが可能な量または濃度として含められる。
例えば、マイクロリットル当たり50,000個の血小板または血小板誘導体の存在下では、組み換えVIIa因子は、患者に対し、体重kg当たり10 ugの用量を実現する量として組成物の中に含まれてもよい(あるいは、別に投与されてもよい)。この量は、抑制因子つき血友病患者を治療するために使用される90 ug/kgよりもはるかに低い。本発明のこの実施態様に関連して、本発明の血小板含有組成物は、精製された組み換えVIIa因子と共に供給されると、活性のために必要なVIIa因子の量を5から10倍減少させることが判明した。すなわち、下記の説明文の中に記載されるように、組み換えVIIa因子を、本発明の濃縮凍結乾燥および再水和血小板と共に用いると、正常時間内に凝固を実現するのに必要な組み換えVIIa因子の量は、組み換えVIIa因子を単独で用いた場合よりも5から10倍少なくなることが見出された。
同様に、組成物は、正常な血液成分ではない、他の成分を含んでもよい。そのような成分は、塩類、界面活性剤、および、溶液に対して任意の数の効果的性能、例えば、溶液中のタンパクの安定化、溶液を生物学的に適合化すること等の性能を付与する、他の非生物的物質であってもよい。この成分はまた、既知の生物学的活性を持つ物質、例えば、化学療法剤、抗生物質、ビタミン等であってもよい。血液成分と同様、溶液中に存在する非血液成分は、意図する機能を実現する量として含められることが好ましい。例えば、塩類は、組成物におけるタンパクを安定化する量、あるいは、レシピエントの血液との適合性を実現する量として加えられることが好ましい。さらに、抗生物質、または化学療法剤(および、類似の薬剤)は、血小板のために選ばれた量として個人に投与された場合、その治療される個人の、少なくとも一つの生理的過程において検出可能な変化、あるいは、既知の効果を実現することが可能な量または濃度として含められる(例えば、既知の抗生物質は、細菌感染を撲滅するのに相応しいことが知られる量として治療される個人に供給される)。
ある実施態様では、本発明の組成物は、血小板、微粒子、またはその両者を含むが、血液凝固塊の形成において生物学的に活性を持つ他の物質を全く含まない。従って、本発明は、組成物が血小板だけを含む場合でも、血小板と他の血液凝固因子を含む場合でも、凝固活性を促進する組成物を提供する。
組成物が微粒子を含む実施態様では、血小板は、通常、組成物中に、粒子全体数の、特に、血小板粒子または血小板由来粒子全体数の、約10%から約70%を含む。例えば、血小板は、粒子の約10%から約60%、粒子の約10%から約50%、粒子の約20%から約50%、粒子の約20%から約40%、または、粒子の約20%から約30%を含んでもよい。いくつかの実施態様では、組成物を典型的血小板のサイズの粒子を保持するメッシュサイズを通じてろ過した場合、組成物中の粒子の約70%は保持される。従って、いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、70%の血小板および30%の微粒子、60%の血小板および40%の微粒子、50%の血小板および50%の微粒子、40%の血小板および60%の微粒子、20%の血小板および80%の微粒子、または10%の血小板および90%の微粒子を含む可能性がある。例示の実施態様では、組成物は、血小板と微粒子とを、血液凝固システムの一部を形成する事実上唯一の粒子として含み、かつ、血小板を、粒子全体数の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%の量として含む。もちろん本発明の組成物は、前述の範囲内において任意の特異的パーセント数、またはその分数の血小板または微粒子を含んでもよい。当業者であれば、血小板および微粒子の量について数多くの可能な組み合わせのそれぞれが直ちに認識されるであろうから、本明細書においてそれぞれを特異的に開示する必要はない。
この時点で、本開示に述べられる各値は、別様に指定されない限り、その特定の値に厳密に限定されるものではないことに注意しなければならない。むしろ、その値は、言明された値および、その周囲の、任意の、統計的に無意味な値を示すことを意味する。一般的規則として、別様に指定しない限り、あるいは、開示の文脈から明白でない限り、各値は、言明された値の上および下5%の内在的範囲を含む。場合によって、この概念は、「約」という用語によって捉えられる。しかしながら、ある数字に関連して「約」という用語が欠如するからと言って、それは、「厳密に」または「正確に」ということを意味する意図でなされるものではない。むしろ、「厳密に」または「正確に」という用語(または、明らかに厳密さを示す他の用語)が用いられた場合にのみ、値はそのように限定されるものと理解しなければならない。そのような場合、言明された値は、記載された意味のある数字に基づく正規の四捨五入法によって定義される。従って、例えば、数値「50」の記載は、45と55の間の任意の整数値、または分数値を意味するが、一方、「正確に50」という値の記載は、49.5から50.4までを意味する。
本発明の組成物に関連して本明細書で用いられる「血小板」および「血小板誘導体」は相互交換的に使用され、全ての、または実質的に全ての血小板、全ての、または実質的に全ての血小板誘導体(血小板由来の粒子、例えば、血小板断片、微粒子、および表裏が引っくり返った血小板)、または、それぞれが任意の量で混じり合う混合物を含む組成物をその範囲として含む。
血小板は、本発明の方法において使用するのに適切であれば、どのような組成物または処方、どのような濃度において存在してもよい。従って、血液から得られる血小板の部分または分画(例えば、0.5リットル、1リットル、または1パイントのヒト血液から得られる血小板の一部)を用いてもよいのと同様に、正常血液の遠心によって得られる血小板を使用してもよい。ある個人の全身が本発明の組成物によって治療されるのであるから、組成物は全血を含まない。すなわち、ある個人を全血輸血によって治療することは実際的ではなく、かつ、不必要なことでもあるから、本発明による組成物は、全血に比べると濃縮した形で血小板を含む。広範囲の濃度が受容可能であるが、血小板誘導体が、全血におけるよりも約10倍以上濃縮された形で供給され、かつ、血小板基礎数において約50,000から約500,000血小板/ulの増加を実現する組成物を準備することが好ましい。従って、血小板誘導体は、正常な全血におけるよりも、2倍または約2倍以下、5倍または約5倍、10倍または約10倍、15倍または約15倍、20倍または約20倍、25倍または約25倍、またはそれ以上濃縮された濃度として存在してもよい。血小板誘導体はまた、患者の血液における基礎血小板数において、50,000または約50,000以下、60,000または約60,000、70,000または約70,000、80,000または約80,000、90,000または約90,000、100,000または約100,000、125,000または約125,000、200,000または約200,000、250,000または約250,000、300,000または約300,000、350,000または約350,000、400,000または約400,000、450,000または約450,000、500,000または約500,000の増加をもたらす量として存在してもよい。血小板誘導体はまた、数え上げた数値によって測定されたものではなく、あるいは、その測定値に加えて、そのリン脂質の全含有量に基づいて投与されてもよい。組成物の中に実現される量および投与される量は、意図されるレシピエント(幼児、児童、成人)、および、用量の計算される根拠に応じて変動してよい。そのような計算は、当業者の技量の中に十分に含まれるものであり、従って面倒な実験をせずとも実行が可能である。
従って、凍結乾燥血小板または再水和凍結乾燥血小板は、組成物の中に1x105から1x1011の量として存在することが可能である。組成物の中に新鮮血小板も存在する実施態様では、新鮮血小板は、通常、1x105から1x1011の量として存在する。例示の実施態様では、血小板の一方のタイプ、または両タイプが、組成物において、約1x108から1x1010、例えば、約1x109の量として存在する。新鮮血小板と凍結乾燥血小板の両方を含む組成物では、それぞれの量は、同じであっても異なっていてもよい。
下記に詳述するように、本発明のいくつかの実施態様の方法は、凍結乾燥血小板を、血小板を含んでもよいし、または含まなくともよい新鮮血、または新鮮血の分画(例えば、血漿)と混合して、混合物を造ることを含む。この混合物は、本発明による組成物と考えられる。従って、いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、ドナーから得られ、全く凍結乾燥技術を施されない新鮮血小板を含む。同様に、本発明の組成物は、新鮮血小板および凍結乾燥血小板の両方の組み合わせを含む。これらのタイプの血小板はそれぞれ、他方の量または濃度と無関係に、任意の量または濃度として組成物中に存在してよい。それぞれの適切な量は、本発明の実施に関連して本明細書に記載される注意に、少なくとも一部は基づいて、実地に行うオペレータによって選択されてよい。
組成物のpHは、血小板の安定性と機能に適切である限りいずれのpHであってもよい。従って、pHは、やや酸性からやや塩基性まで、例えば、約pH4.0から約pH8.5の範囲にあってもよい。各種実施態様において、組成物のpHは、4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, または8.5である。別の実施態様では、pHは、4.0から8.5までの範囲の、他の任意のpHである。血小板が固体(乾燥)状態にある実施態様では、組成物は、水和された場合、得られる液性組成物のpHを適当な範囲とする1種以上の物質を含んでもよい。
トレハロースおよび/または別の糖を組成物に含めてもよく、かつ、トレハロースおよび/または他の糖は、血小板の外側に存在しても、血小板の内側、またはその両側に存在してもよい。いずれの量であっても適当であるが、トレハロースまたは糖の量は、通常、50 mMから150 mMの範囲にある。各種実施態様において、トレハロース濃度は50 mM, 75 mM, 100 mM, 125 mM, または150 mMである。他の実施態様では、トレハロース濃度は、50 mMから150 mMまでの範囲内の、他の、任意の濃度である。血小板が固体(乾燥)状態にある実施態様では、組成物は、水和された場合、得られる液性組成物のトレハロース濃度を適当な範囲とする1種以上の物質を含んでもよい。
トレハロースおよび/または他の糖を血小板に負荷するのに好適な組成物は、エタノールを含んでもよい。そのような組成物では、エタノールは0.1%から5.0%(v/v)の範囲であってもよい。各種実施態様において、エタノール濃度は0.1%, 0.5%, 1%, 2.5%, または5%である。別の実施態様では、エタノール濃度は、0.1%から5%までの範囲内の、他の、任意の濃度である。
血小板が固体(乾燥)状態にある実施態様では、血小板、または血小板が存在する組成物は、室温に、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、または90℃に加熱してもよい。いくつかの実施態様では、温度は、室温から約90℃までの範囲内の任意の温度である。加熱過程は、血小板機能のアッセイに好適な血小板の形成を促進する可能性がある。
血小板が固体(乾燥)状態にある実施態様では、血小板は、1分未満から最大24時間以上まで加熱してよい。従って、加熱時間は、0, 2, 4, 8, 12, または24時間であってもよい。別の実施態様では、加熱時間は、1分未満から24時間までの範囲内の任意の時間、その範囲内の任意の分、またはその分数を含む任意の時間である。
本開示から明らかなように、ある種の薬剤および、ある実施態様による組成物における抗血小板化合物を例外として、本発明の組成物中に存在する任意の物質および全ての物質は、正常血小板の少なくとも一つの機能と適合する量として存在することが好ましい。すなわち、本発明の組成物は、血小板の外に数多くの物質を含んでもよいが、各物質、および存在する物質の全ての組み合わせは、血小板が、少なくとも一つの血小板機能に関して正常に機能することを可能とする量として存在することが好ましい。1種以上の物質が、正常な血小板機能を抑制する量として存在する実施態様では、本発明の方法において血小板を使用する前に、本方法が十分に機能するために、その物質を除去するか、その濃度を調整することが好ましい。もちろんこのような配慮は、血小板または凝固システム機能に対するそれらの物質の作用を定量するために、組成物に意図的に含められる薬剤、および他の抗血小板物質には関与しない。
本発明の凍結乾燥血小板、再水和凍結乾燥血小板、および組成物は、多くの目的、例えば、インビトロ診断目的および研究目的の両方、およびインビトロ治療目的に好適である。ただし、目的は上記に限定されない。例えば、凍結乾燥血小板は再び水和されて、過度の出血、または出血障害を抱える被験者を治療するのに使用される。それとは別に、凍結乾燥血小板は、検査室環境の中で血小板機能を調べるために、あるいは、血液凝固システムに対する血小板または血小板成分の作用を研究するために使用してもよい。当業者であれば、血小板によって治療が可能な、数多くの特異的疾患および障害を想定することができるが、そのような疾患および障害の全ては、本発明の凍結乾燥血小板によって治療することが可能である。
本発明の血小板および組成物は極めて安定であり、室温以下において少なくとも6ヶ月の使用期限を持つ。例えば、この凍結乾燥血小板は、室温以下において最大1年、室温以下において最大18ヶ月、またはそれ以上安定であることが可能である。「安定」の意味は、この血小板は、再水和されると、公定期限内血小板の正常パラメータ内で機能し、必要とする被験者に投与すると、十分な血液凝固機能を実現することである。この安定性は、血小板製剤を、必要とする人々、特に、血液収集センターからいくらかの距離の場所に住む人々に対して供給する際に大きな利点となる。さらに、凍結乾燥血小板は室温で保存されるので、保存のために、複雑な、嵩張った、または高価な容器(例えば、冷蔵庫)は必要とされない。さらに、血小板は脱水状態で保存が可能なので、新鮮で、濃縮された血小板に比べ、容量および重量において際立った節約が達成される。
本発明の凍結乾燥血小板は、50 kGYという高いガンマ照射量に暴露されても、あるいは、80℃で24時間熱処理されても極めて安定である。この性質は、血小板を、病原体低下のために処理することを可能とする点で有利である。
さらに、本発明の方法によって製造される凍結乾燥血小板は、再水和されると、新鮮な、または公定期限内の血小板の性質を示す。例えば、再水和されると、血小板は、新鮮な、または公定期限内の未活性化血小板の渦巻き特性を示す。さらに、再水和されると、血小板は、新鮮または公定期限内血小板と近似のサイズおよび粒状を示す。再水和された凍結乾燥血小板のその他の特性は前述した。
いくつかの実施態様では、組成物は、血液から得られた濃縮血小板を含み、その際、血小板は凍結し乾燥され、すなわち凍結乾燥され、水性溶液、例えば生食液によって再構成される。多くの血液供給源の利用が可能であり、任意のもの、例えば、一般的な、公共的血液補給、および自己由来血液補給の使用が可能であるが、ただし供給源は上記に限定されない。同様に、血小板の凍結乾燥には多くの方法が当業者に知られているが、適当であればどの技術を用いてもよい。例示の凍結乾燥技術を下記に示す。
本発明の血小板は、患者における出血の治療のために、注入用または輸液用の物質として使用が可能であるが、体外から接近できる出血に対しては直接治療として使用してもよい。同様に、血小板は、インビボまたはインビトロ診断目的、またはインビボまたはインビトロ研究、例えば、血液凝固過程の研究のために用いてもよい。凍結乾燥血小板、または、凍結乾燥血小板から製造される再水和血小板は、凝固機能を実現し、創傷治癒を促進するのに十分な、新鮮採取または公定期限内血小板の性質を持つことが可能である。
凍結乾燥血小板、再水和血小板、および本発明の組成物の実施態様における一つの利点は、血小板微粒子が、少なくとも部分的には、テンナーゼおよびプロトロンビナーゼ活性を増進するその能力を通じて凝固塊形成を促進し、それによって、損傷部位におけるトロンビン生産能を強化し、速やかな凝固塊形成を助長することである。さらに、組成物は、血小板由来物質を含み、いくつかの重要な増殖因子を含むことが可能であるために、創傷治癒および組織再生の過程にも寄与することが可能である。研究によって、マイトゲン脂質、および増殖因子、例えば、特に、血小板由来治癒因子(PDWHF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子(TGF)、およびインスリン増殖因子(IGF)が創傷治癒カスケードの様々な段階において重要であり、マイトゲンおよび細胞分化活性に大きく影響することが判明している。従って、いくつかの実施態様では、これらの因子の内の1種以上が組成物の中に含められるか、または治療法において供給される。
別の局面において、本発明は、凍結乾燥血小板の調製法を提供する。一般に、方法は、血小板を準備すること、該血小板を少なくとも一つのサッカライドに暴露すること、組成物を形成すること、前記少なくとも一つのサッカライドが血小板と接触するのに少なくとも十分な時間凍結点を上回る温度で組成物をインキュベートすること、寒冷保護剤を加えて第2組成物を製造すること、および、第2組成物を凍結乾燥することを含む。血小板を少なくとも一つのサッカライドに暴露することは、バッファー、例えば塩バッファーにおいて実現される。血小板とサッカライドが接触する時間量は、サッカライドが血小板内に取り込まれるのに十分であってもよい。凍結乾燥血小板は、水性液体、例えば、水、または水性バッファーに暴露することによって再構成または再水和(本明細書では相互交換的に使用される)されてもよい。別に、凍結乾燥血小板製剤は、治療法、診断法、または研究法において直接使用されてもよい。凍結乾燥血小板を調製する、特異的例示の方法を下記に示す。
血小板を準備する行為は、本発明において使用するのに好適な形態において本発明において利用可能な血小板をもたらすものである限りどのような行為であってもよい。従って、準備は、被験者から血液を取り出すこと、および、他の血液成分から血小板を単離すること、または精製すること(適切であればどのような程度であってもよい)を含む。他の血液成分から血小板を分離するには、既知の任意の手順を用いてよい。従って、分離は、血漿瀉血、または、血液の連続差動遠心による血小板入手工程を通じて実行してもよい。例えば、差動遠心を用い、2工程過程によって血小板を他の血液成分から単離または精製してもよい。すなわち、血液を3000xgで45分遠心し、血小板欠乏液を取り除き;血小板富裕ペレットを水性バッファーに再懸濁し、この混合液を200xgで5分再遠心して血小板ペレットを形成する。別に、単一遠心工程、例えば、100xgで10分の遠心を用いることも可能である。血小板獲得過程の際、血小板を含む組成物に、1種以上の物質、例えば、1種以上の抗凝固剤、または安定化剤を加えてもよい。他の方法も当業者には既知であるが、不必要な、または過剰な実験を要することなく、そのような任意の方法を用いることが可能である。
血小板は任意の供給源から得られてよい。従って、血小板は、動物、例えば、ブタ、ウマ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、サル、またはネコから得られてもよい。血小板はヒトから得られてもよい。ある場合には、血小板は、2種以上の供給源から得られた混合物として、例えば、公共の血液銀行におけるランダムな血液ドナーから得られた、2単位以上の血液からの混合物として準備されてもよい。別の実施態様では、例えば、血小板が、後日、そのドナーに帰還注入されるように使用することが意図される実施態様では、血小板は既知の供給源からのものであり、従って、本明細書に開示される治療法の目的にとっては自己由来血小板と見なされる。さらに具体的に言うと、血小板は、もともと凍結乾燥血小板または再構成血小板の最終的レシピエントから得られもよい。一般に、血小板は、新鮮な供給源(すなわち、ドナーから凍結乾燥の6日未満前に得られた血液から調製された公定期限内血小板)から得られる。もっとも、ある状況では、公定期限外血小板も、特に、インビボおよびインビトロ診断における使用が意図される凍結乾燥血小板の調製、特に、ある特定損傷部位における出血の阻止を助ける止血物質として用いられるように使用される場合がある。
供給される血小板は、少なくとも1種のサッカライドを含む塩バッファーに懸濁され、血小板含有組成物をもたらす。この塩バッファーは、少なくとも血小板の大多数を、そのバッファー中にある間、無傷で、機能的状態に維持するものであればどのようなバッファーであってもよい。バッファーは、血小板を約6.2から約7.8のpHに維持することが好ましい。従って、塩バッファーは、血小板が天然において遭遇する塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等、およびそれらの塩の組み合わせを含む等張性塩バッファーであってもよい。それとは別に、バッファーは、血小板が天然では接触することのない1種以上の塩を含んでもよい。バッファー中の塩の名前は、血小板に対して有毒ではない量として存在し、少なくとも血小板の大多数を、そのバッファー中にある間、無傷で、機能的状態に維持するものである限り、決定的に重要なものではない。同様に、バッファー成分は、血小板に対して有毒でなく、組成物が本発明の方法において暴露される温度において、組成物に対して十分なバッファー性能を発揮するものである限り、どのようなバッファーであってもよい。従って、バッファーは、市販されている、既知の、生物学的適合性を持つバッファー、例えば、HEPES、リン酸バッファー生食液(PBS)、およびトリス系バッファー、例えば、TBSの内から任意に選ばれるものを含んでよい。同様に、バッファーは、下記のバッファーの内の1種以上を含んでもよい。すなわち、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸);べンゼンペンタカルボン酸;マレイン酸、2,2-ジメチルコハク酸;EDTA;3,3-ジメチルグルタル酸;ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノ-トリス(ヒドロキシメチル)-メタン(BIS-TRIS);ベンゼンヘキサカルボン酸(メリト酸);N-(2-アセタミド)イミノ-ジ酢酸(ADA);ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸;ピロリン酸;1,1-シクロペンタンジ酢酸(3,3テトラメチレン-グルタール酸);1,40ピペラジンビス-(エタンスルフォン酸)(PIPES);N-(2-アセタミド)-2-アムノエタンスルフォン酸(ACES);1,1-シクロヘキサンジ酢酸;3,6-エンドメチレン-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸(EMTA;ENDCA);イミダゾル;2-(アミノエチル)トリメチルアンモニウムクロリド(CHOLAMINE);N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルフォン酸(BES);2-メチルプロパン-1,2,3-トリスカルボン酸(ベータ-メチルトリカルバリル酸);2-(N-モルフォリノ)プロパン-スルフォン酸(MOPS);リン酸;N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルフォン酸(TES);および、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルフォン酸(HEPES)である。さらに、バッファーシステムは、pH4からpH8の範囲においてバッファー性能を実現することが可能である。
塩バッファーは少なくとも1種のサッカライドを含む。このサッカライドは、任意の適切なサッカライド、例えば、単糖または二糖または多糖を含むサッカライドであってもよい。サッカライドは、血小板の生存性および機能の維持と適合するものであればいずれのサッカライドであってもよく、かつ、血小板に対して有毒でない限りいずれの量として存在してもよい。一般に、サッカライドは、細胞膜、例えば、血小板細胞膜を通過することができるものであれば、いずれのサッカライドであってもよい。適切なサッカライドの例としては、スクロース、マルトース、トレハロース、グルコース、マンノース、キシロース、Ficoll-70、約100キロダルトン未満の分子量カットオフを持つヒドロゲルがある。サッカライドは、凍結し乾燥された、または凍結乾燥の血小板に含められると好都合であることが知られるが、本発明は、凍結乾燥および再構成過程を通じて血小板を安定化させるために、またはその他のやり方で血小板の生存を増進するために少なくとも1種のサッカライドの使用を意図する。凍結乾燥血小板を調製する方法において使用される好ましいサッカライドはトレハロースである。サッカライドは、バッファー中に、適当であればいずれの量として存在してもよい。例えば、サッカライドは、1 mMから1 Mの量として存在してもよい。いくつかの実施態様では、サッカライドは、10 mMから500 mMの量として存在する。ある実施態様では、サッカライドは、20 mMから200 mMの量として存在する。いくつかの実施態様では、サッカライドは、40 mMから100 mMの量として存在する。ある特定の実施態様では、サッカライドは、下記の濃度、すなわち、40 mM, 50 mM, 60 mM, 70 mM, 80 mM, 90 mM, および100 mMの内の少なくともどれか、または、その内のほぼどれかの量としてバッファー中に存在する。もちろん、各種実施態様において、サッカライドは、上述の範囲内において様々な特異的濃度として存在し、当業者であれば、本明細書においてそれぞれを特異的に言及する必要を要せずその様々な濃度を直ちに理解することができる。バッファー中に1種を超えるサッカライドが存在する場合、各サッカライドは、上述の範囲および特定濃度に一致する量として存在してよい。
塩バッファーは、他の成分を、それらの成分が、血小板に対し、該成分がバッファー中に存在する濃度において無毒である限り、含んでもよい。従って、ポリマー、例えば、タンパクおよびポリサッカライドをバッファーに含めてもよい。同様に、エタノールのようなアルコール、グリセロールおよび糖アルコールのようなポリアルコールが含まれてもよい。同様に、有機溶媒、例えば、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を含めることも可能である。さらに、凝固、または血小板阻害剤、例えば、ヘパリン、EGTA、およびプロスタグランジンE(PGE)が含まれてもよい。
いくつかの実施態様において、バッファーは、50 mMのトレハロースpH6.8を含む、陽イオン非含有HEPES-タイロードバッファー(95 mM HEPES, 1 M NaCl, 48 mM KCl, 120 mM NaHCO3)を含んでもよい。別の実施態様では、バッファーは、100 mMトレハロースおよび1%(v/v)エタノール、pH6.8を含む、陽イオン非含有HEPES-タイロードバッファーである。
血小板含有組成物は、少なくとも部分的にサッカライドの血小板に対する負荷を可能とするためにインキュベートされる。一般に、組成物は、凍結を上回る温度において、少なくとも、サッカライドが血小板と接触するのに十分な時間インキュベートされる。従って、インキュベーションは、1℃, 4℃, 10℃, 20℃, 22℃, 25℃, 37℃, 42℃, 50℃, 55℃, またはそれ以上で行われてよい。いくつかの実施態様では、インキュベーションは37℃で行われる。さらに、インキュベーションは、温度と組み合わせられた時間がサッカライドが、血小板と接触し、好ましくは、少なくともある程度、血小板に取り込まれるのに十分なものである限り、適切であれば任意の期間実行されてよい。いくつかの実施態様では、インキュベーションは、少なくとも、または約10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、180分以上実行される。ある実施態様では、インキュベーションは20℃から42℃において100分から150分間実行される。例えば、いくつかの実施態様では、インキュベーションは、35℃から40℃(例えば、37℃)で110から130(例えば、120)分実行される。約37℃よりも高い温度でのインキュベーションが適切であることが判明しているけれども、そのような高い温度は必要ではなく、いくつかの実施態様では、最適とは言えない結果をもたらすと判定されている。さらに、約2時間よりも長いインキュベーション時間が適切と認められているけれども、そのような長い時間は必要ではなく、いくつかの実施態様では、最適とは言えない結果をもたらすと判定されている。さらに、時間を、例えば、4時間から2時間に短縮することは、凍結乾燥血小板を生産するのに必要な時間を短縮するわけで、実地のオペレータにとっては、従来技術で利用可能な、他のいくつかの方法に優る利点を提供する。活性化血小板が望まれる実施態様では、トレハロースの存在下に、4時間に近い、または超えるインキュベーション時間を用いてもよい。しかしながら、活性化の量を下げ、構造的完全性の喪失を最小化するためには、4時間未満、例えば、2時間のインキュベーション時間の方が適当である。
凍結乾燥血小板の方法は、寒冷保護剤を血小板組成物に加え、これ以後凍結乾燥バッファーと呼ばれる第2組成物を製造する。この凍結乾燥バッファーは、前述の成分の外に、寒冷保護剤(本明細書では賦形剤とも呼ばれる)を含む。この寒冷保護剤は、その後に続く凍結および解凍過程の間血小板を少なくともある程度保護するのに適切であれば、任意の物質であってよい。様々な寒冷保護剤が従来技術において既知であるが、それらの内の任意のものを、効果的で、かつ血小板に対して無毒である量として使用してよい。好適な寒冷保護剤の例としては、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、デキストラン、ポリビニールピロリドン(PVP)、でん粉、ヒドロキシエチルでん粉(HES)、および糖ポリマー、例えば、Ficoll-70およびFicoll-400が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。寒冷保護剤は、1%から50%(w/v)の量として、例えば、5%から40%、5%から30%、5%から20%、および5%から10%として凍結乾燥バッファーに含まれる。いくつかの実施態様では、寒冷保護剤は、1%, 2%, 3%, 4%, 5%, 6%, 7%, 8%, 9%, または10%の最終濃度で凍結乾燥バッファー中に存在する。ある実施態様では、寒冷保護剤は、4%-8%の最終濃度で凍結乾燥バッファー中に存在する。いくつかの実施態様では、賦形剤は血清アルブミン、例えば、ウシ血清アルブミンまたはヒト血清アルブミンである。他の実施態様では、賦形剤は、汚染物質、例えば、感染性粒子が血小板製剤の中に導入されにくくするように選択される。例えば、ヒト血清アルブミンを用いる場合、アルブミンが、1種以上の感染性粒子(例えば、ウィルス)によって汚染される可能性がある。同様に、ウシ血清アルブミンを用いた場合、該アルブミンは、ヒト患者に投与された場合有害な反応を引き起こす可能性のある免疫原粒子を含む可能性がある。従って、いくつかの実施態様では、生物起源のものではない賦形剤、例えば、Ficoll-400を用いることが好ましい。寒冷保護剤の負荷バッファーへの添加は、介在する遠心または他の分離工程無しに実現される。すなわち、寒冷保護剤(およびその他の要すれば任意に添加される成分)は、直接負荷バッファーに加えられ、直接的凍結乾燥に好適な第2バッファーを生産する。これは、従来技術において現在利用が可能なプロトコール、すなわち、サッカライド負荷と凍結乾燥の間に分離工程を必要とするプロトコールとは対照的である。
凍結乾燥血小板の製造法は、第2組成物を凍結乾燥する、または凍結し乾燥することを含む。真核細胞および、血小板を含む細胞様粒子を凍結乾燥するために数多くのプロトコールが従来技術で知られているが、適当であれば任意のプロトコールを使用してよい。本明細書で用いる凍結乾燥、または凍結し乾燥することは、低温と真空の組み合わせを用いて物質を乾燥する方法である。典型的には、手順は、物質の凍結、それに続けて、真空による水および、その他の液体の昇華および/または脱離による乾燥を用いる。一般に、凍結乾燥は、10%未満の水分含量を持つ血小板をもたらす。いくつかの実施態様では、凍結乾燥は、5%未満、例えば、4%, 3%, 2%, 1%、あるいはそれ以下の水分含量を持つ血小板をもたらす。一般に、実現される水分含量が少なければ少ないほど、得られる凍結乾燥血小板はより安定になる(使用期限がより長くなる)ことが従来技術で知られる。従って、いくつかの実施態様では、水分含量をできるだけ低い量に下げることが好ましい。水分含量は2%以下に下げることが好ましい。なぜなら、これは、凍結乾燥後の加熱工程(使用する場合は)の有害作用を極小とし、凍結乾燥血小板の長期の安定的保存を増進するからである。
好適な凍結乾燥プロトコールの一つの例は、凍結乾燥組成物を-45℃で2時間凍結すること、この凍結組成物を約100 mTorrの真空で-40℃で150分維持すること、および、10℃の段階的上昇で温度をゆっくりと6時間かけて25℃に上げること(約100 mTorrの真空において)を含む。好適な凍結プロトコールの別の例は、凍結組成物を-45℃で約4.5時間凍結すること、この凍結組成物を-45℃から-40℃において100 mTorrの真空下1時間維持すること、および、100 mTorrの真空下24時間をかけて10度刻みにて30℃まで温度をゆっくり上昇させることを含む。別の特定のプロトコールが下記の表3に示される。
ある実施態様では、凍結乾燥血小板の調製法は凍結乾燥血小板を加熱することをさらに含む。驚くべきことに、凍結乾燥後の熱処理工程は、凍結乾燥血小板の安定性を改善し、再水和されると、高い活性を持つ血小板を提供することが判明した。加熱は、25℃を上回るものであればいずれの温度で実行されてもよい。熱処理は、40℃を超える温度で、例えば、50℃を超える温度、60℃を超える温度、70℃を超える温度、または80℃を超える温度で実行されるのが好ましい。特定の実施態様では、加熱は、70℃-85℃で、例えば、75℃、80℃、85℃、または、75℃以上85℃以下の範囲内の、他の任意の特定の温度において実行される。加熱温度は、加熱が実行される期間との関連によって選択される。適切であればいずれの時間を用いてもよいが、凍結乾燥血小板は、少なくとも1時間、しかし36時間以下加熱される。従って、いくつかの実施態様では、加熱は、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、または少なくとも30時間実行される。例えば、凍結乾燥血小板は、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、または30時間加熱してもよい。非限定的例示の組み合わせとしては下記のものが挙げられる。すなわち、30℃よりも高い温度で少なくとも30分凍結乾燥血小板を加熱すること;50℃よりも高い温度で少なくとも10時間凍結乾燥血小板を加熱すること;75℃よりも高い温度で少なくとも18時間凍結乾燥血小板を加熱すること;および80℃で24時間凍結乾燥血小板を加熱することである。必ずしも必要というのではないが、加熱は、密封容器、例えば、蓋をかぶせた瓶に収められた凍結乾燥血小板に対して行われるのが好ましい。さらに、必要というのではないが、密封容器は、加熱前に減圧されることが好ましい。
加熱処理工程は、特に、寒冷保護剤、例えば、アルブミンまたはFicoll-400の存在下では、凍結乾燥血小板の安定性および使用期限を改善することが判明した。事実、血清アルブミンまたはFicoll-400と凍結乾燥後熱処理工程の特定の組み合わせは、熱処理工程を受けない寒冷保護剤に比べて有利な結果をもたらした。例えば、約6%のFicoll-400と、約80℃における約24時間の、凍結乾燥後熱処理工程の組み合わせを用いると、有利な結果が得られた。
いくつかの実施態様では、本発明による凍結乾燥血小板の調製法は、血小板の塩バッファーにおけるインキュベートと、凍結乾燥の間に遠心工程を要しない。むしろ、凍結乾燥組成物は、塩バッファー組成物から直接製造されてもよく、凍結乾燥血小板は、凍結乾燥組成物から直接生産されてもよい。これは、現在使用される方法、すなわち、凍結乾燥血小板を調製するのに2種類の異なるバッファー(例えば、「負荷バッファー」および「凍結乾燥バッファー」)を用いられ、血小板は、第2バッファーに暴露される前に、第1バッファーから取り出される(そして通常洗浄される)方法と好対照をなす。
凍結乾燥血小板調製法の実施態様では、方法は、HLA低減工程を含む。この工程は任意に選択されるが、低HLA含量血小板を生産するのに使用される。低HLA含量血小板は、血小板療法に対し強力な免疫原反応を呈する被験者に対しインビボの治療的使用をするのに効果的であることが報告されている。HLA低減工程が含められる実施態様では、低減工程のバッファーは、適当な任意のバッファー、例えば、陽イオン非含有HEPES-タイロードバッファー(95 mM HEPES, 1M NaCl, 48 mM KCl, 120 mM NaHCO3)および10 mM EGTA, pH4であってもよい。HLA低減を実行するには、血小板は、適当な時間、例えば、2時間バッファー中にインキュベートされる。HLA低減工程は、手順の任意の時点で実行してよいけれども、サッカライド負荷工程の前に実行することが好ましい。従って、いくつかの実施態様では、サッカライド負荷前に、血小板を適当なバッファーにインキュベートし、次に洗浄し、負荷バッファー、例えば、100 mMトレハロースおよび、1%(v/v) エタノールpH6.8を含む、陽イオン非含有HEPES-タイロードバッファーにインキュベートすることによって、HLA欠乏血小板が実現される。
さらに、方法は、要すれば任意に、凍結乾燥血小板を再水和することを含んでもよい。このような再水和工程を含める場合、方法は、血小板製造法の一部と見なしてもよいし、あるいは、別の、異なる、再水和凍結乾燥血小板(または再水和凍結乾燥血小板を含む組成物の)製造法と見なしてもよい。さらに詳細には、本発明の凍結乾燥血小板は、安定な形で長期に保存することが可能なので、再水和法は、凍結乾燥血小板製造法の数ヶ月または数年後に実行してもよく、従って別個の方法と見なすことも可能である。再水和は、適当な任意の方法、例えば、従来技術で一般的に使用されるもので行ってもよい。通常、再水和は、凍結乾燥血小板を部分的に、または全体的に再水和するのに十分な、例えば、正常な形および流体含量および/または機能を実現するのに十分な量の水、または水溶液に、凍結乾燥血小板を暴露することを含む。好適な再水和溶液は、従来技術で既知であり、例えば、リン酸バッファー水性組成物(例えば、PBS)が挙げられるが、ただしこれに限定されない。いくつかの特定の再水和組成物が本明細書に示される。いくつかの実施態様では、再水和バッファーは、凍結乾燥バッファーと類似の処方を持つ。これによって、水の凍結乾燥血小板に対する初期の有害作用は極小とされる。例示の再水和バッファーは、全血、血漿、血清、および、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、デキストラン、ポリビニールピロリドン(PVP)、でん粉、ヒドロキシエチルでん粉(HES)、および糖ポリマー、例えば、Ficoll-70およびFicoll-400を含む水溶液であってもよいが、ただしこれらに限定されない。これらは、1%から50%(w/v)の量として、例えば、5%から40%、5%から30%、5%から20%、および5%から10%再水和水性バッファーに含まれる。いくつかの実施態様では、これらは、1%, 2%, 3%, 4%, 5%, 6%, 7%, 8%, 9%、または10%の最終濃度で再水和バッファーに存在する。ある実施態様では、これらは、4%-8%の最終濃度において再水和バッファーに存在する。
再水和法によれば、凍結乾燥血小板は水性液体に暴露される。水性液体は水であってもよいし、あるいは、水および、1種以上の他の物質、例えば、塩またはバッファーを含む液体であってもよい。通常、液体は水性バッファー、例えばPBS、別の生物学的に適合性を持つバッファー(例えば、HEPES)、または全血、血漿、血清、または、浸透圧的にバランスされた任意の生物学的バッファーを含む水性組成物である。いくつかの実施態様では、再水和バッファーは、高分子量ポリマー、例えば、糖ポリマーを含む。これらのポリマーに含められるものとしてFicoll-400がある。いくつかの実施態様では、再水和バッファーはまた、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、デキストラン、ポリビニールピロリドン(PVP)、でん粉、およびヒドロキシエチルでん粉(HES)を含んでもよい。再水和バッファーは、血小板の完全性の保持を増進する成分、例えば、適正な浸透圧を与える成分を含むことが好ましい。
血小板は、該血小板を再水和するのに、例えば、該血小板が正常な形状と流体含量を取り戻すのに十分な量の液体に十分な時間暴露される。液体の量および時間は、血小板の所望の最終濃度、バッファー、および、血小板が再水和される温度に応じて変動する。いくつかの実施態様では、水性液体の量は、所望の血小板容量の2倍である。任意の温度の使用が可能であるが、血小板を室内の雰囲気温度(例えば20℃-25℃)で再水和するのがもっとも好都合である。再水和時間は適当な任意の時間であってよい。従って、10秒から1時間を超える範囲に渡っていてもよい。例えば、時間は、約1分未満、約5分未満、約10分未満、約30分未満、および約60分未満であってもよい。いくつかの実施態様では、再水和は、血小板を10-30秒間物理的に再水和し(例えば、渦巻き流、またはピペッティングによって)、該血小板を室温で5分間静かに放置することによって実現される。
さらに、再水和は、一般的に既知の任意のプロトコールを用いて実行が可能である。従って、血小板は、直接再水和液体によって再水和されてもよいし、あるいは、間接的または受動的に再水和されてもよい。直接法は、ある容量の液体を凍結乾燥血小板に直接適用すること、例えば、該液体を血小板ペレットに加え、液体が、血小板に接触し、該血小板を再水和するのに十分な時間放置することを含む。直接再水和はまた、血小板が液体に接触している間に1回以上該血小板を、例えば、渦巻き流または穏やかなピペッティングによって物理的に分散させることを含んでもよい。直接再水和の実施態様では、再水和バッファーは、凍結乾燥血小板に優しく加えられ、10-60秒、例えば、30秒、静かな状態で血小板と接触させられ、次に血小板は、数秒間渦巻き流によって穏やかに擾乱され、次に、室温で1-10分静かに放置されて沈降するのにまかせられる。要すれば、再水和中、血小板は、渦巻き流またはピペッティングによって1回以上穏やかに擾乱されてもよい。別の実施態様では、血小板は、再水和バッファーの直接添加、その直後、完全な分散が観察されるまで温和なピペッティングの実施によって再水和される。次に、血小板は、1-10分以上、1回以上の短い、温和な擾乱期間を設けて、または無しで、静かに放置される。別の実施態様では、受動的再水和が用いられる。受動的再水和の例は、再水和バッファー蒸気に対する暴露、次に、再水和バッファー液に対する暴露による再水和を含む。実地のオペレータは、凍結乾燥血小板を再水和するための様々な方法をよく認識しているが、適当な任意の方法を用いてよい。
前述の開示から、本発明は、再水和血小板および、再水和血小板の製造法を含むことが明らかである。本発明の再水和血小板は、血液凝固機能を必要とする被験者に導入された場合、正常血液凝固を起こすのに必要な血小板特性の全てを所有する。とはいうものの、本発明の血小板は、診断アッセイを実行するに当たって有利な、1種以上の特性を欠如する可能性がある。従って、再水和血小板は、新鮮血小板と同じサイズであってもよい。再水和血小板は、新鮮血小板と同様の全体として円板形を持ち、同じ容量を持っていてもよい。再水和血小板の表面分子の補体は、これらの分子によって実現される機能同様、新鮮血小板のものと同じであってもよい。従って、再水和血小板は、インビトロ条件でも、インビボ環境に再導入された場合でも、正常なやり方で凝固過程に参与することが可能である。
本発明の再水和血小板製剤は、それらを創成するために用いられる過程に応じて、数個の、または多数の微粒子を含んでもよい。一般に、従来技術で既知の凍結乾燥技術によれば、再構成されると、十分な血小板機能を発揮する凍結乾燥血小板が得られる。しかしながら、従来技術では、恐らく凍結乾燥および/または再水和過程の際多数の血小板が溶解されるために、多数の微粒子の存在がもたらされる。従来技術における凍結乾燥と異なり、本発明の内のいくつかは、比較的少数の微粒子を含む再構成血小板製剤を提供する。これらの実施態様における、微粒子に対し、無傷で、適切なサイズの血小板の比が高いことは、この血小板製剤を治療処方に使うのに有利である。さらに、本発明によれば、血小板と微粒子の相対量の調節法について適切な観点が得られるから、それぞれの所望量を有する組成物を生産することが可能である。
別の局面では、本発明は、組成物の製造法を提供する。一般に、本発明のこの局面の方法は、血小板を入手すること、および、該血小板を凍結乾燥することを含む。方法はさらに、凍結乾燥または再水和の前または後に、血小板を再水和すること、および/または、血小板に1種以上の追加成分を添加することを含む。
ある実施態様では、組成物の製造法は、血小板および/または微粒子を含む材料を準備すること、該材料に存在するかもしれない赤血球および白血球の全て、または事実上全てを除去すること、得られた細胞非含有材料のpHを酸性pHに調整すること、血小板、微粒子、またはその両方を、材料の中に存在する他の、全ての、または事実上全ての成分から分離すること、および、凍結乾燥することを含む。いくつかの実施態様では、凍結乾燥過程に通常含まれる1種以上の薬剤、例えば、糖類が、凍結乾燥前に、再懸濁血小板および/または微粒子に加えられる。例示の糖類としては、単糖類、二糖類(例えば、スクロース、乳糖、マルトース、イソマルトース、セロビオース、およびトレハロース)、または多糖類が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。いくつかの実施態様では、方法は、凍結乾燥材料を滅菌するのに好適な任意の既知の技術、例えば、放射線暴露を含む技術、ただしこれに限定されないが、を用いて、凍結乾燥材料を滅菌する。
本発明の組成物を製造する基本過程において、血小板は、トレハロースを含むバッファーに懸濁され、約1x109/mlの濃度を与える。組成物は、雰囲気温(約20℃-25℃)に2時間インキュベートされる。この時間に、5%(最終濃度)のウシ血清アルブミンまたは、他の任意のバルクタンパク(例えばカゼイン)、または他の寒冷保護剤が加えられ、血小板は、標準的凍結乾燥プロトコールを用いて凍結乾燥される。それとは別に、別の基本過程では、バルク試薬としてタンパクを置換する6.0%の炭水化物、例えば、Ficoll-400、または、他の任意のバルク炭水化物(例えばヒドロゲル)が添加され(最終濃度)、血小板は、標準凍結乾燥プロトコールによって凍結乾燥される。
前述の討論によれば、血小板は、適当な任意の供給源から得られ、該血小板は、公定期限内であっても、期限外であってもよく、自己由来ものであっても、異種のもの(本発明の方法において混合される血小板に関して)であってもよい。従って、血小板は、ランダムなドナー単位またはアフェレーシス単位から得られたものであってもよい。血小板の量は、任意の適当量、例えば、前述のものであってもよい。いくつかの実施態様では、血小板は、一人以上の血液ドナーから得られ、全血の中に存在する。しかしながら、血小板は、1種以上の他の血液成分から、少なくともある程度は精製されることが好ましい。これは、凍結乾燥血小板においては特にそうである。他の血液成分から血小板を精製、または単離する方法は、当業者にはよく知られるので、ここで詳述する必要はない。例示の実施態様では、血小板は、遠心を含む過程を通じて他の血液成分から精製される。
獲得工程は、ドナーの体からの血小板の取り出し、および、該血小板の受容容器への転送を実現する任意の活動を含む。この結果をもたらす数多くの技術が従来技術において既知であり、任意の方法、および方法の任意の組み合わせが本発明に含まれる。ある実施態様では、獲得は、ドナーの静脈から血液を吸引し、吸引された血液を管、例えば、プラスチックまたはガラス管に入れることを含む。この工程は、前述の「準備」工程と等価であり、それぞれ他方と相互交換的である。
凍結乾燥は、真核細胞を凍結乾燥するのに好適な任意の技術によって実現されてよい。例示の技術は本明細書に詳述される。一般に、凍結乾燥は、細胞を、真空を適用しながら、0℃以下の温度に暴露すること、および、昇華過程を通じて、血小板および周辺にもともと存在した水分の全て、または事実上全てを除去することを含む。得られた血小板は、固体(乾燥)形状であるが、本発明の方法において、直接そのまま、または再水和後使用することが可能である。
組成物の製造法はさらに、凍結乾燥血小板の再水和(または再構成)を含んでもよい。再水和は、血小板に、該血小板に対して少なくとも1種の物理的または生物学的性質を回復させるのに十分な量の水または水溶液を加えることを含んでもよい。再水和は、従来技術で知られる適当な任意の方法、例えば、血小板に対する液性水の直接添加、緩慢な蒸気再構成によって実行されてよいが、ただし再水和の技術は上記に限定されない。水溶液は、組成物の中に存在する量において血小板機能と適合する限り、任意の物質を含んでよい。
本発明の組成物の製造法はさらに、凍結乾燥血小板を他の血小板と合わせて、混合物を形成してもよい。他の血小板は、凍結乾燥血小板でもよいし、液体組成物、例えば、血液または血液分画(例えば、血漿)中に存在する血小板であってもよい。混合物は、通常、凝固が検出される反応瓶の中で調製されるが、必ずしも常にそうであるとは限らない。すなわち、凍結乾燥血小板を生体に注入することによってインビボで混合物を製造することも可能ではあるが、通常、凍結乾燥血小板は、生体の外、例えば、血液凝固塊の検出に好適な反応容器において他の血小板と合わせられる。
方法はさらに、生物活性を持つ1種以上の物質を添加することを含んでもよい。例えば、方法は、抗血小板活性を有する1種以上の薬剤または他の物質を、凍結乾燥血小板を含む組成物に添加することを含んでもよい。抗血小板活性を有する例示の薬剤および物質は前述した。従って、方法はさらに、酵素活性を有する1種以上の生物分子を添加することを含んでもよい。例えば、方法は、凍結乾燥血小板を含む組成物に対し、血小板活性を減衰させる可能性のある、1種以上の凝固タンパク、または他の物質を添加することを含んでもよい。
方法はさらに、凍結乾燥血小板に対し1種以上の蛍光分子を添加することを含んでもよい。例えば、方法は、凍結乾燥血小板を含む組成物に対し、血小板活性の信号発射を強化する、1種以上のフルオレセン、またはその他の蛍光物質を添加することを含んでもよい。
凍結乾燥および再構成血小板、および、該血小板を含む組成物を調製するには、元の血小板は、公定期限内供給源から得られるものであることが好ましい。しかしながら、公定期限内血小板の供給が制限される状況下では、期限外血小板の使用も可能である。なぜなら、本発明によって生産される血小板は、血小板機能を失墜させることなく病原性低減およびHLA減衰工程によって処理することが可能だからである。もっとも有利な結果を得るためには、期限外血小板は、期限外の3日以内(すなわち、ドナーから取り出してから9日目までには)に使用するべきである。すなわち、血小板が5日目に期限切れとなるならば、期限外血小板は、本発明の手順を用い、6日、7日、または8日目に使用することが可能である。
本発明は、血小板、微粒子、またはその両方を生産する単一法、および、組成物を生産する単一法の実施を含む。各方法は、微粒子に対する血小板の所望の比を実現するように調整されてもよい。また、本発明は、凍結乾燥血小板を生産する複数の方法であって、それぞれが、微粒子に対する血小板の異なる比をもたらす、2種以上の方法を実行し、次に、得られた二つの組成物を所望の比で合わせ、微粒子に対する血小板の所望の比を実現することも含むことを理解しなければならない。
本明細書に開示されるパラメータに基づいて、微粒子に対する血小板の相対量を増すために、あるいは、血小板に対する微粒子の相対量を増すために、基本過程について様々の修飾を実行することが可能である。無傷の血小板量を増すことは、インビボでの輸液または注入治療用途における組成物の適性を向上させることが判明している。なぜなら、組成物の活性化レベルが比較的低く、従って、組成物は、正常な、新鮮な、または、期限内血小板の特性をより多く示すからである。一方、凝固強調物質の、部位特異的インビボ投与が望まれる場合は、含む微粒子量の増大する組成物ほど次第に望ましくなる。組成物における微粒子の相対数の増大は、凝固時間をより早めると考えられる。なぜなら、それは、発射される凝固促進物質の量を、無傷の血小板を介してそれらの物質を供給する場合放出に長期を要するのに比べ、直ちに増大させることが考えられるからである。診断アッセイまたは研究アッセイの目的に応じて、当業者は、凍結乾燥血小板を含む組成物、または再構成凍結乾燥血小板を含む組成物における微粒子の相対量を増すために、または制限するために適当な凍結乾燥血小板製造法を選んでよい。
本発明の方法は、凍結乾燥血小板、および該血小板を含む組成物を製造する従来法に優る利点を提供する。一つの利点は、血小板活性化阻害剤を省略できるということである。従来法で用いられるよりもインキュベーションを短時間で実行することが可能である。これは、血小板が必ずしも活性化されておらず、あるいは活性化されたとしても、比較的低レベルで活性化されるにすぎないからである。従って、本発明の方法の実施態様では、血小板にサッカライドを負荷している間、血小板の活性化を抑制するために血小板活性化阻害剤を加える必要はない。これは、過程のコストと複雑性を下げるばかりでなく、その後使用前に、例えば、凍結乾燥前、または再水和後に阻害剤を除去する必要を無しで済ますことになる。
本発明の実施態様による凍結乾燥血小板の調製法は、各種の血小板機能、例えば、内皮下層基質に付着して凝固過程を起動する、または該過程に関与する働きに与る無傷の表面受容体、例えば、糖タンパクIIb-IIIaおよび糖タンパクIbを有する血小板を提供する。本発明の実施態様による凍結乾燥血小板の調製法はまた、無傷の細胞内小器官、例えば、各種血小板機能、例えば、細胞内信号伝達、血管収縮の増進、および、血小板活性化および損傷部位における凝集をさらに増進する分子の放出に関与する、細胞内小器官、例えば、高密度およびアルファ顆粒を有する血小板を提供する。従って、方法は、他の、核を持たない真核細胞、または細胞断片、例えば、赤血球に対して、ただし赤血球に限定されないが、実行することが可能である。本明細書で用いる「血小板」という用語は、このような、他の、核を持たない真核細胞および細胞断片を指す。同様に、本発明は、安定化巨大分子または巨大分子複合体、例えば、タンパク、核酸、ウィルス等に対して、ただしこれらに限定されないが、実行されてもよい。事実、本発明の方法は、室温で長期に渡って安定な形で、冷蔵または凍結を要することなく保存することが可能な安定化製品を提供するので、本明細書において特定的に言及したもの、およびその類似物質を含む、任意の数の生物または化学物質に対して本法を実行することが可能である。
例えば、ある実施態様では、方法は、微粒子を含む組成物を製造することを含む。方法は、血小板作用剤、例えば、TRAP、コラーゲン、トロンビン、またはイオノフォアによって血小板をあらかじめ活性化すること、および、該血小板を37℃で約30分インキュベートすることを含んでもよい。こうすることによって、血小板は、負荷および凍結乾燥前に活性化され、凍結乾燥組成物における微粒子の相対的パーセントを増大させる。高い相対的比率の微粒子(この場合、約60-90%の微粒子)を有する組成物生成のための、特定の、例示プロトコールは、PRPを管に採取すること;1000 x gで15分遠心すること;上清を傾斜流出すること;ペレットを、10 mM EDTA, pH6.5を含む10 ml PBSに懸濁すること;PBSE, pH6.5で洗浄すること;ペレットを、PMPバッファー(137 mM NaCl, 4 mM KCl, 0.5 mM MgCl2, 0.5 mM Na2HPO4, 5.5 mMグルコース、10 mM HEPES, 2 mM CaCl2)中に再懸濁し、ml当たり2.5 x 109血小板の血小板濃度を実現すること;1.5 uM SFLLRNを加え、かつ、37℃で10分インキュベートすること;残留ペレットを750 x gで20分遠心すること;上清を除去し、ペレットを10,000 x gで4℃で30分遠心すること;上清を除去し、PMPを同じ容量の150 mMトレハロースバッファー(0.0095 M HEPES, 0.05 M NaCl, 0.0048 M KCl, 0.012 M NaHCO3, 0.15 Mトレハロース、0.005Mグルコース、pH6.8)に再懸濁すること;1/4容量の30% ficollを加えること;液体を0.5 ml分液に加えること;および凍結乾燥することを含む。
一方、本発明の実施態様による凍結乾燥血小板の調製法は、血小板溶解による微粒子および他の物質に比べ、高レベルの無傷の血小板を有する、血小板含有組成物を提供する。従って、凍結乾燥、またはその他のやり方による乾燥血小板製剤を生産するためにDMSOまたはフォルムアルデヒドに依存する現在の技術同様、本発明は、高レベルの無傷血小板を有する組成物を提供することが可能である。しかしながら、DMSOまたはフォルムアルデヒド・プロトコールと違って、本発明の再構成血小板は、使用前に洗浄する必要はない。
単一細胞計数によるパーセント凝集によって定量される凝集機能アッセイでは、本発明の実施態様によって製造される再構成血小板(下記の実施例1および2参照)は、表1に示されるように有利な性質を有することが判明した。
Figure 0005138372
新たに調製した凍結乾燥血小板および、室温で6ヶ月保存した凍結干渉血小板を再構成し、いくつかの特性について定量したところ、両血小板は共に下記の特性を持つことが判明した。すなわち、内皮下層基質タンパクへの接着;各種作用剤に対する反応としての凝集;自己由来血小板と調和する機能;凝固促進活性;全体的サイズと顆粒状態の保持;全血および血漿モデルにおけるインビトロ凝固の増進;熱処理およびガンマ線照射処理後における機能的活性の保持;および、90%(瞬時的再構成)よりも高い安定性、である。以上、室温で6ヶ月保存した凍結乾燥血小板は、新鮮調製凍結乾燥血小板と同じように機能することが期待される。
表面マーカーに関しては、本発明の再構成凍結乾燥血小板は、表2に示すレベルの表面マーカーを所有することが判明した。血小板調製法の中にHLA低減工程を組み込んだ場合、HLAのレベルは5%(100%)まで低減させることが可能である。この数値は、従来技術で既知の他の方法によって製造された、再構成凍結乾燥血小板から得られた数値と比べると優っている。表2に示した結果は、本発明の方法によって製造された再構成凍結乾燥血小板(下記の実施例1および2参照)、および新鮮血小板に基づく。
Figure 0005138372
様々な実施態様において、再構成血小板は、様々な活性レベルを持つことが可能である。様々な要因、中でも例えば、サッカライド負荷の温度および時間長、凍結乾燥後の血小板の水分含量、および凍結乾燥後の加熱工程の有無に応じて、本発明の血小板は、低レベルから高レベルの活性範囲を示すことが判明した。本発明のいくつかの実施態様の工程を実行することによって、再構成しても十分に活性化されない凍結乾燥血小板を得ることもある。これは、従来技術で既知の凍結乾燥技術によって得られる、他の、血小板製剤とは異なる性質である。従って、いくつかの実施態様では、本発明の再構成血小板は、目視で調べると、捩れた血小板を示す。この捩れ特性は、作用剤、例えば、アラキドン酸、コラーゲン、エピネフィリン、TRAPペプチド、およびリストセチンに暴露すると消失する。さらに、再構成血小板は、作用剤に暴露すると凝集し、目視で検出可能な凝固塊を形成することが判明した。さらに、表面マーカーGP Ibは高レベルを維持する(〜60-100%)。
活性化血小板は、捩れを解き、タンパクのアネキシンVに結合する。活性化血小板の表面は、他のタンパク(例えば、P-セレクチン)を発現し、表面タンパクGP Ibのレベルは、元のレベルの約10%に下がる。P-セレクチンの発現およびアネキシンVに対する結合だけが、本発明の凍結乾燥血小板において検出された。従って、上記の簡単な要約に基づくと、表2に試験結果が掲げられる再構成凍結乾燥血小板は、正常血小板に一般に認められる多くの不活性化特性、および若干の活性化特性を保持した。
上記から、本発明は、乾燥形式において血小板を長期に維持および保存するための方法であって、血小板を簡単に保存・輸送し、使用に便利なものとする方法を提供することを認識することは重要である。さらに、本発明は、血小板を安定化し、適当なバッファーによって再構成されると、機能的血小板を実現するプロトコールを提供することを認識することも重要である。本明細書に開示される過程は、新鮮血小板と類似の生物学的性能を、核を持たない真核細胞に付与することも理解しなければならない。本発明は、核を持たない真核細胞および細胞断片を、再構成されると発揮される生物学的機能を維持しながら、乾燥状態で保存する新規方法を構成することを理解しなければならない。同様に、本発明の方法は、より単純な生物材料、例えば、脂質、脂質顆粒、ウィルス粒子、ウィルスコート、タンパク、および核酸を凍結乾燥するために使用することが可能である。
本発明の凍結乾燥血小板および再構成凍結乾燥血小板は、多くの用途に好適である。実際、本発明の血小板は、新鮮または公定期限内血小板の特性を持つことが可能であるから、新鮮または期限内血小板が用いられる任意の治療目的のために使用が可能である。例えば、本発明の再水和血小板は、過剰出血、例えば、傷ついた被験者、または、手術を受けた被験者に見られるような出血の治療における血液代替物または補給物としての使用が可能である。さらに、この凍結乾燥血小板は、創傷部位に血小板機能を付与するために、創傷治癒包帯の一部として(例えば、1 cm3当たり1 x 108‐1 x 109血小板)含むことが可能である。この凍結乾燥血小板はまた、血小板機能の低下または欠如に関連する障害の治療に使用することも可能である。さらに、血小板は、新鮮または公定期限内血小板の特性を持つことが可能であるので、被験者の血液凝固システムの各種機能を定量するための診断アッセイに使用することが可能である。さらに、この凍結乾燥血小板は、血小板特性の解明、凝固カスケードの研究、および、止血およびその他の生物機能に与る細胞成分の特定等の研究場面においても使用が可能である。
さらにもう一つの局面では、本発明はキットを提供する。一般に、本発明のキットは、本発明の凍結乾燥および/または再構成血小板を含む。本発明の凍結乾燥血小板の保存安定性を考慮するならば、好ましいキットは凍結乾燥血小板を含む。キットは、典型的には、本発明の方法の少なくとも一つの実施態様を実行するのに十分な量の血小板を含む。
もっとも単純な形では、本発明によるキットは、凍結乾燥血小板、再構成凍結乾燥血小板、または、本発明による少なくとも一つの組成物を含む容器である。従って、いくつかの実施態様では、本発明のキットは、凍結乾燥血小板を含む容器を含む。いくつかの実施態様では、キットは、再構成凍結乾燥血小板を含む容器を含む。いくつかの実施態様では、キットは、凍結乾燥血小板または再構成凍結乾燥血小板を含む、本発明の組成物を含む容器を含む。いくつかの実施態様では、キットは、ヒトの凍結乾燥血小板を含む。
キットのある構成では、キットは、複数の容器であって、その際各容器は、それぞれ、凍結乾燥血小板、再構成凍結乾燥血小板、凍結乾燥血小板または再構成凍結乾燥血小板、または、本発明の方法の1種以上の実施態様を実行するのに有用な、その他の物質を含む組成物を含む、複数の容器を含む。キットが追加の成分または物質を含む実施態様では、それらの成分または物質は、血小板および/または組成物と同じ容器、または1種以上の異なる容器の中に含まれてもよい。キットが、複数の容器、または、1個の容器と他の成分を含む場合、容器および成分は、キット内部で組み合わせパックされると言う。複数の容器が存在する場合、各容器は、本発明の単一法の実施に十分な血小板、例えば、治療用の単一用量を含んでもよい。別に、各容器は、ある方法を2回以上実施するのに十分な血小板、例えば、2用量以上を含んでもよい。各種容器が、本発明の血小板および/または成分の様々な量を含んでよい。
いくつかの実施態様では、キットは、他の成分、例えば、凝固カスケードの精製成分等を含む。キットはさらに、本発明の組成物を調製および投与するのに必要な支給品および材料、例えば、大口径針および注射筒、ポンプ、滅菌布、および注射部位を滅菌するための溶液の内のいくつか、または全てを含んでもよい。いくつかの実施態様では、キットは、キットの組成物を水和するための1種以上の液体を含む。液体は、適当なものであればいずれの液体であってもよいが、通常、水に基づく液体、例えば、水、生食液、または前記二者の混合液である。液体は無菌であることが好ましい。従って、キットは、診断キット、凝固タンパクまたは血小板のための血液凝固監視キット、または、薬剤治療監視キットであってもよい。
従って、キットは、インビボ治療、インビトロ診断、または、インビトロまたはインビボ研究に使用される、凍結乾燥血小板、または再構成凍結乾燥血小板(または、上記血小板を含む組成物)を支給するように構成される。従って、血小板の水和状態とは無関係に、いくつかの実施態様では、キットは、複数の容器であって、各容器は、それぞれ、1種以上の診断プロトコール、1種以上の治療プロトコール、または1種以上の研究実験を実行するのに有用な血小板または他の物質を含んでもよい、複数の容器を含む。他の実施態様では、キットは、同じ、または1種以上の異なる容器に含まれてもよい、新たに追加される成分を含む。キットは多くの場合、キットが適正に実行することを確保し、かつ、試験サンプルが比較される基礎結果を提供するために1種以上のコントロール反応を実行するが、そのための支給品および試薬の内のいくつか、またはその全てを含む。
様々な形において保持する組成物と同様に、本発明のキットは、血小板の研究、例えば、様々な血小板の特性および機能を検出および/または研究するインビトロ実験;装置の較正;血小板の細胞質分子または血小板顆粒(アルファおよび高密度顆粒)の分離および単離;血小板および微粒子同士の相互作用、または血液凝固システムの他の成分との相互作用;抗血小板剤および血小板または凝固阻害剤の研究;血小板サイズの較正;差動勾配分離技術の較正;血小板受容体とそのリガンドとの相互作用を調べるための研究ツールとして;表面介在性酵素反応、例えば、テンナーゼ複合体、プロトロンビナーゼ複合体等を含むが、それらに限定されない酵素反応の研究;機械的または生化学的に誘発された血小板凝集反応の研究;血小板生物学および保存の研究;血小板関連表面分子の単離;個人の要求に合わせることが可能な血小板阻害剤の決定;神経精神薬理学の研究;炎症、凝固、細胞修復、および再生の研究;血小板治療における新規抗原性の研究;血球に対する免疫反応を亢進する非MHC抗原の解明;血液運搬病原体の作用の研究;正常および損傷血管の画像化;および、血管形成、アテローム硬化症、血栓症、および循環器病の研究に有用な物質を含んでもよい。
容器は、本発明の血小板または組成物を含むために好適であれば、いずれの材料のものであってもよく、例えば、瓶またはアンプルであってもよい。容器は、適当であれば任意の材料、例えば、ガラス、プラスチック、金属、または紙または紙製品から製造されてもよい。いくつかの実施態様では、容器は、例えば、ストッパー、ストッパーおよび折り曲げシール、プラスチックまたは金属キャップ、例えば、捻じ込みキャップによって密封が可能な、ガラスまたはプラスチック・アンプルまたは瓶である。一般に容器およびシールは、熱(乾式、または湿式)、照射(UV、ガンマ線等)、または化学薬品に対する暴露によって滅菌が可能な材料から製造される。容器は、本発明の血小板または組成物が該容器に導入される前に滅菌されることが好ましい。通常、容器は、血小板、または本発明の組成物を含むのに十分なサイズを持つものであるが、それでいてなお、容器中の血小板または組成物を再水和するのに使用される追加物質、例えば、滅菌水または生食液、または上記二つのものの混合液の添加を可能とする十分な頭部空間を持つ。いくつかの実施態様では、容器は、本発明による方法の少なくとも一つの実施態様を実行するのに十分な量の血小板を含む。従って、いくつかの実施態様では、容器は、出血または出血障害を抱える個人の治療のために1回用量、2回用量、またはそれ以上の用量を投与するのに十分な量の血小板、あるいは、少なくとも1回の診断アッセイのために十分な量の血小板を含む。容器に含まれる血小板の量は、数多くのパラメータ、例えば、患者の体重、治療される出血または出血障害のタイプ、ある任意の期間(例えば、組成物の水和後24時間内)内に投与される用量の回数、および、診断装置の感度を含む、ただしそれらに限定されない、多数のパラメータに基づいて、当業者であれば、わざわざ実験をするまでもなく選択することが可能である。
いくつかの実施態様では、容器は、適当なパッケージ、および要すれば任意に、案内および/または、キットの内容の使用に関連するその他の情報を含むキットの一成分として供給される。典型的には、キットは、頑丈な材料、例えば、ボール紙またはプラスチックから製造され、その上に直接印刷される案内、またはその他の情報を含んでもよい。いくつかの実施態様では、キットの容器は、その他の成分、例えば、凝固カスケードの1種以上の精製成分、凝固カスケードに影響を及ぼす薬剤、1種以上の適用装置、血小板投与部位に対する1種以上のカバーまたはコート等を含む。キットは、本発明の血小板および/または組成物を含む複数の容器を含んでもよい。このようなキットでは、各容器は、同じサイズを持ち、他の容器と同じ量の血小板または組成物を含んでもよい。それとは別に、様々な容器が異なるサイズを持ち、および/または、異なる量の血小板、組成物(単数または複数)、または異なる成分を持つ組成物を含んでもよい。当業者であれば、容器サイズおよび内容の数多くの異なる構成が本発明によって想起されること、従って、必ずしも全ての組み合わせを特異的に本明細書に言及する必要のないことが直ちに了解されるであろう。
血小板が出血部位に直接投与されるインビボ治療目的のために、キットの各特定容器に、または、キット全体に、適当な任意の量の血小板が供給されてよいが、キットは、通常、少なくとも、または、約1 x 108から1 x 1011個の血小板を含む、少なくとも1個の容器を含む。いくつかの実施態様では、少なくとも1個の容器は、1 x 108個の血小板、1 x 109個の血小板、1 x 1010個の血小板、または1 x 1011個の血小板を含む。血小板が、輸液または注入可能な止血剤として投与されるインビボ治療目的のためには、少なくとも1個の容器は通常少なくとも約1 x 108個から1 x 109個の血小板を含む。同様に、インビトロの診断または研究目的のためには、少なくとも1個の容器は通常、少なくとも約1 x 108個から1 x 109個の血小板を含む。前述の量は、各容器の典型的量であって、他の量、それより高い量も、低い量もまた考慮することが可能であることに注意しなければならない。従って、いくつかの実施態様では、キットは、血小板を必要とする被験者、例えば、手術を受けた患者、または出血性創傷を有する患者を治療するのに十分な量の血小板を供給する。例えば、キットは、創傷治療のためにそれぞれ1 x 108個から1 x 109個の血小板を含む、1個以上の瓶を含んでもよい。このようなキットを用いる治療処方は、血小板(再水和後)を10回用量として投与することを含む。別の実施態様では、血小板は、血小板に関する研究、または、血小板が得られた動物種の血液凝固システムに関する研究を実行するのに十分な量としてキットにおいて供給される。さらに別の実施態様では、血小板は、血液凝固システムの少なくとも一つの機能、例えば、血小板機能について少なくとも1回の診断アッセイを実行するのに十分な量としてキットにおいて供給される。例えば、診断目的のためのキットは、それぞれが200,000から1,000,000個の血小板を含む複数の瓶を含むことが可能である。いくつかの実施態様では、キットは、単純に、1リットルまたは1パイントの血液中の血小板の量に相当する量の凍結乾燥血小板を含む容器である。
さらに別の局面では、本発明は、血小板、または、1種以上の血小板機能を必要とする被験者を治療する方法を提供する。一般に、この方法は、血小板、血小板由来微粒子、またはその両方を入手すること、および、それらを、血小板、または1種以上の血小板機能を必要とする被験者に投与することを含む。本発明のこの局面の有利な特性は、この局面は、様々な応用を持つ様々な実施態様を提供することである。全体として、方法は、本発明の血小板または組成物を、個人の血液の止血能を投与前のレベルに比べて検出可能なほど高いレベルに上げるのに十分な量として、該個人に投与することを含むと理解される。従って、本発明の方法は、一般に、本発明の組成物を個人に投与することを含み、それによって、個人を悩ませる疾患または障害、または創傷または外傷による欠陥を克服するのに十分な血小板量が該個人に送達される。例えば、いくつかの実施態様では、本発明は、出血を含む損傷または創傷を治療する、血小板、微粒子、および/または組成物の使用法であって、その際、血小板、微粒子、および組成物は、従来技術に典型的に見られるように新鮮または期限内血小板の輸液としてではなく、必要な患者に対し、直接塗布によって(例えば、直接投与によって)投与することが可能である方法を提供する。一方、本発明は、出血を含む損傷または創傷を治療するための、血小板、微粒子、および/または組成物の使用法であって、その際、血小板、微粒子、および組成物は、従来技術に典型的に見られるように新鮮または期限内血小板の輸液としてではなく、必要な患者に対し、凍結乾燥血小板、微粒子、または組成物の輸液または注入によって投与することが可能である方法を提供する。
本発明者の知る限り、本発明は始めて、インビボ治療目的のための凍結乾燥血小板の使用を提供する。本発明はまた、インビボ治療目的のための再水和凍結乾燥血小板の使用を提供する。同様に、本発明は、インビト治療目的のための凍結乾燥微粒子および再水和凍結乾燥微粒子の使用を提供する。再水和凍結乾燥血小板は、様々な形の血友病または薬剤誘発性凝固障害の臨床属性を発揮する個人に投与されると、この臨床作用を逆転し、従って、このような個人において凝固に必要な時間を短縮することが、思いがけず見出された。これは驚くべきことである。なぜなら、このような個人は、通常、低い血小板数や、異常な血小板機能を示すことは無いからである。
治療法によれば、投与は、血小板、または1種以上の組成物を出血部位に直接塗布することによってなされてもよい。同様に、血小板、または1種以上の組成物を、出血部位の直近部位に直接塗布することによってなされてもよい。従って、投与は、出血部位に接触して設置される包帯、または他の担体の中に血小板、微粒子、または組成物を支給することによってなされてもよい。投与はさらに、治療される被験者の血液系の中に、血小板、または1種以上の組成物を輸液することによってなされてもよい。それとは別に、投与は、治療される被験者の血液系の中に血小板または1種以上の組成物を注入することによってなされてもよい。
本発明の方法は、出血を含む創傷または損傷を治療するために使用することが可能である。方法はまた、本明細書に述べられる他の様々の治療にも使用が可能である。出血はどのような原因で起こってもよいが、典型的には、損傷または他の外傷(手術を含む)、または出血性疾患または障害である。方法は、例えば、出血部位に凝固塊を形成することによって出血を完全に停止するために用いられてもよいし、あるいは、方法は、ある部位における出血量を下げることによって創傷治癒を増進するために、あるいは、ある場合には、患者の血液システムによって与えられる凝固塊形成システムにおける補助または支援として活用されるために用いられてもよい。
被験者は、血小板、または1種以上の血小板機能を必要とする個人であるならばどのような被験者であってもよい。例えば、被験者は、出血性創傷に悩まされる人であってもよいし、または、出血性疾患または障害を持つ人であってもよい。被験者または患者は、動物、例えば、朋友ペット(例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類、トリ)、または家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ニワトリ)であってもよい。被験者はまた、実験動物、例えば、げっ歯類(例えば、ラット、マウス)、ウサギ、またはサルであってもよい。被験者はヒトであってもよい。一般に、被験者は、任意の動物、例えば、哺乳類を含む動物であってよいが、ただしこれらに限定されない。
本発明は、凍結乾燥され、加工された血小板と血小板微粒子との混合物、または再水和血小板と、その血小板から得られた、または由来の微粒子との混合物の二重使用を含む。従って、一面では、本発明の血小板および組成物は、血管の低圧領域ばかりでなく、高圧領域、例えば、腹大動脈、股動脈、頚動脈、および、その他の、現在の止血制御手段、例えば、手による圧迫および/または止血帯印加では止血不可能な血管における出血を速やかに停止するために使用が可能な、非輸液性止血剤として使用が可能である。
各種実施態様において、本発明は、下記の概念を具体化する治療組成物および方法を提供する。すなわち、凍結乾燥血小板、凍結乾燥微粒子、または凍結乾燥血小板および凍結乾燥微粒子の組み合わせを含む組成物、出血を含む損傷または創傷の治療のための、そのような組成物の使用法であって、例えば、その誘導体および修飾物を含む組成物、任意の形、例えば、凍結乾燥粉末、エロゾル系、蒸気ミスト、包帯等を含む組成物を損傷または創傷に塗布することによって治療する使用法;組成物、および、低圧血管ばかりでなく、高圧血管、例えば、腹大動脈、冠状動脈、股動脈、頚動脈、肝臓動脈、腹腔動脈、腎動脈、腸動脈、および、その他の大血管からの大出血を含む出血を停止するための止血剤としての、組成物の使用であって、その際、止血剤は、出血部位に直接に、またはその近傍に投与され、組成物の輸液および全身輸送の場合に見られるような遠隔投与は行われない;および、本発明の組成物、その誘導体、および任意の修飾物であって、血液の全体損失および輸血の必要を低減するために手術/外傷部位に対して適用される方法において非輸液性止血剤として使用される組成物、その誘導体、および任意の修飾物である。本発明はまた、下記の概念を具体化する治療組成物および方法を提供する。すなわち、組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、先天的または後天的凝固障害における出血阻止に適用される非輸液性止血剤として使用されるもの;組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、抗トロンビン剤を服用する患者における出血阻止に適用される非輸液性止血剤として使用されるもの;組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、侵襲的手術、例えば、脾臓、肝臓切除術、十二指腸膵臓切除術、および、胆嚢切除術において、ただしこれらに限定されないが、出血を阻止し組織の再生を加速するために適用される封印剤として使用されるもの;組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、病的状態、例えば、糖尿病潰瘍、皮膚潰瘍、およびその他の非治癒性創傷に対する、ただしこれらに限定されないが、局所的/創傷治癒性塗布として使用されるもの、である。本発明はさらに、下記の概念を具体化する組成物および治療法を提供する。すなわち、組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、局所的創傷治癒を加速するための薬剤として使用されるもの;組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、瘢痕形成を低減させる薬剤として使用されるもの;組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、吻合表示のための仲介剤として使用されるもの;および、組成物、誘導体、およびその任意の修飾物であって、血管形成不全または異常と関連する病態、および血管または内皮細胞を巻き込む疾患の治療に使用されるもの、である。これらは、加齢性の白斑変性、冠状動脈疾患、末梢血管病、島細胞移植、骨折および腱修復、形成外科、組織工学、再狭窄、ガン、糖尿病網膜症、関節リューマチ、乾癬、血管腫/AIDS関連カポジ肉腫、アテローム硬化プラーク破裂等であってもよいが、ただしそれらに限定されない。上記から、本発明の組成物は、止血剤としても、創傷治癒過程を加速するためにも使用が可能である。
従って、本発明は、本明細書に論じるインビボおよびインビトロ目的のために、血小板、微粒子、および組成物を使用する方法、例えば、少なくとも1種の血液凝固成分を必要とする被験者を治療する方法を提供する。
いくつかの実施態様では、本発明は、正常な血液の凝固システムの1種以上の成分を必要とする、または必要が疑われる被験者を治療する方法を提供する。本発明の血小板は、いくつかの形の血友病および治療誘発性凝固障害の欠損を克服するのに十分な、少なくとも1種の因子を提供するので、本発明の組成物は、血友病またはいくつかの形の凝固障害を抱える個人を治療するのに使用が可能である。一般に、本法は、個人に対し、該個人の血液の止血能を、投与前よりも検出可能なほどの高いレベルに上昇させるのに十分な量として本発明の組成物を投与することを含む。従って、本発明の方法は、一般に、本発明の組成物を個人に対して投与し、それによって該個人を悩ませる疾患または障害の欠損を克服するのに十分な量の血小板が該個人に送達されるようにすることを含む。
いくつかの実施態様では、方法は、血友病を抱える個人を治療する。血友病患者の抱える疾患は、血友病A、血友病B、血友病C、または、抑制因子つき後天的血友病であってもよい。同様に、任意のレベルの血友病(全身性、重篤、または中等)が、本発明の方法によって治療が可能である。
別の実施態様では、本法は、凝固システムを冒す、抗凝固剤による治療、あるいはその他の薬剤または療法を受ける患者を治療する。従って、いくつかの実施態様では、本法は、化学療法誘発性血液凝固障害、血小板減少症とは異なる放射線照射誘発性血液凝固障害、または、1種以上の環境有害因子に対する暴露によって生じた血液凝固障害の治療法である。本発明の組成物は、安静時血小板数の2倍を超えない血小板数をもたらす量として投与されるのが好ましい。言い換えると、レシピエントが、200,000血小板/ulの基礎カウントを持つ場合、製剤は、約1011血小板の用量で投与される。この用量は、用量当たり約50,000血小板/ulだけ基礎カウントを増加するように設計されているからである。出血の性質、場所、および重度に応じて止血を実現するには、2回以上の用量が必要とされることがある。
従って、本発明は、出血障害の治療、特に、患者の血小板カウントが正常であるか、臨床的に異常と見なされない障害の治療のために本発明の血小板を用いることを意図する。従って、本発明は、全ての形の、先天的血友病、抑制因子つき血友病、後天的血友病、および薬剤誘発性凝固障害の治療のために本発明の血小板を用いることを意図する。本発明はさらに、例えば、心臓学の介在的治療過程におけるヘパリンの中和のために、かつ、低分子量ヘパリンの解毒剤として、およびXa因子の直接または間接の阻害剤として本血小板を用いることを意図する。本発明はさらに、組み換えVIIa因子の効力を強化するための補完治療における血小板の使用にも応用が可能である。同様に、本発明は、例えば、軽鎖関連性アミロイドーシスの際に見られる後天的X因子欠乏症の治療にも使用される。本発明はまた、II因子(プロトロンビン)またはI因子(フィブリノーゲン)以外の、凝固因子欠乏症の治療に使用されてもよい。本発明および開示の血小板はまた、肝臓機能不全によって生じる一過性凝固障害、例えば、肝不全または肝移植に関連する凝固障害、および、***を招くことがある腎不全によって生じる一過性凝固障害の治療に使用されてもよい。本発明の血小板のさらに別の応用としては、GP IIb/IIIa拮抗剤治療に対する治療(例えば、解毒剤として)、およびvWDの治療における使用が挙げられる。
上記から、本発明の方法はさらに、本発明の組成物を、2回、または複数回投与することを含んでもよい。従って、本発明の方法は、投与が1回以上繰り返される投与スケジュールを含む。連続投与は、同じ量の、または異なる量の血小板誘導体を含んでもよいし、かつ、さらに別の成分を含んでもよいし、含まなくともよい。量および組成物成分の選択は、様々のパラメータ、例えば、被験者の年齢、体重、既往歴、臨床症状、補足的医学的指標等に基づいて当業者によって実行が可能である。面倒な実験を行うことなしに治療スケジュールに対して適当な変更および調整を加えることは、十分当業者の能力の範囲内にある。従って、本発明の方法は、本発明の組成物の複数回の投与であって、各投与が指定の期間隔てられる複数回の投与を含んでもよい。例えば、血友病の予防治療の場合、本発明の組成物は、週に1回、または2週間に1回投与されてもよい。治療される疾患または障害に基づいてその他にも適当な投与スケジュールがあることは明白であろう。
本法はさらに、他の生物学的に活性を持つ因子、例えば、凝固因子、および、ガン治療のための化学療法剤を投与することを含んでもよい。本法はさらに、物理的変数、例えば、放射線による治療を含んでもよい。外にも、当業者には明らかな治療法が数多く、様々あるが、そのような治療法は、それがどのようなものであれ、本発明の方法の内に含まれる。
方法は、凍結乾燥血小板および/または微粒子を、それらを被験者に投与する前に、再び水和する選択工程を含んでもよい。
本発明の一つの局面は、本発明の組成物の供給源として非自己性血液製剤を用いることである。さらに具体的に言うと、出血治療の使用に現在市販される、血小板性止血製剤は、治療を必要とする患者から採取された血液(すなわち、自己由来血液享受)を用いる。本発明は、本発明の組成物のために、供給源の、自己供与を必要としない。実際、本発明は、新鮮または公定期限内血小板に依存することさえしない。すなわち、驚くべきことに、公定期限外血小板、例えば、採取後6から9日目の血小板でも、凍結乾燥血小板、凍結乾燥血小板組成物(相当量の微粒子を含むこともあるし、含まないこともある)、または、再水和凍結乾燥血小板を含む組成物として支給された場合、適切な血小板機能を実現可能であることが発見された。
本発明の方法の見地からすると、本発明は、治療的に有効な組成物または処方の調製における本発明の組成物の使用法を提供する。これらの組成物または処方は、出血の治療のみならず、血友病の治療、または、その他の、正常な血液凝固の欠損を招くか、または、1種以上の凝固因子レベルの欠如または低下を含む疾患または障害の治療にも使用が可能である。従って、本発明は、血友病の治療、または、1種以上の凝固因子の低レベルまたは欠如によって特徴付けられる他の疾患または障害の治療における、本発明の組成物または処方の使用を提供する。他の、非限定的例示の実施態様としては、肝臓傷害、肝不全、または肝臓移植を始め、腎不全(***)に関連する出血性素質の治療のための、血小板誘導体の使用が挙げられる。
遺伝的または後天的出血障害を治療するために用いられる、効率的・効果的止血剤は、損傷または手術による受け容れ難い血液損失を阻止するために、かつ、微生物の侵入または血液タンパクの活性化によって生じる、生体の他の部位に対する同時的傷害、これらはいずれも、関節を含む他の生体組織に負の影響を及ぼすものであるが、このような傷害を極小に留めるために、出血の速やかな停止を実現しなければならない。本発明は、この点における従来技術の要求に、凝固過程に関与する1種以上の因子を必要とする個人を治療するための組成物および方法を提供することによって対応する。本発明によって治療される疾患および障害の中に含まれるものは、全ての形の血友病であって、例えば、血友病A、血友病B、血友病C、および抑制因子つき後天的血友病を含む血友病、および、抗凝固療法に基づく治療による凝固不全である。本発明は、血小板誘導体が、完全に正常な血小板数および血小板機能を有する個人における血液凝固障害を治療することが可能であるという発見に、少なくとも部分的に、基づく。本発明は、血友病患者に対し正常な、偽正常な止血性能を付与するために、また、血友病患者、および、他の、出血性の外傷を受けた人々に対し止血性能を付与するために、活性剤として様々な形の血小板を用いる。従って、好ましい実施態様では、本発明は、薬剤誘発性凝固障害の治療、および、凝固促進剤の効力増進のために、凍結され乾燥された(凍結乾燥)トレハロース安定化血小板を提供する。本発明によれば、凝固が少なくとも部分的に増進される。なぜなら、血小板は、もともと負に帯電するリン脂質表面を含み、これは、内因性因子、例えば、ビタミンK-依存性凝固因子(すなわち、II、VII、IX、およびX因子)の結合を促進するからである。
好ましい実施態様では、本発明は、凝固塊形成を実行または加速するために、凍結乾燥凝固促進血小板および血小板誘導体を用いる。その機構はおそらく、凝固因子を血小板誘導体表面に結合させ、それによってトロンビン生成と凝固塊形成を加速することによるものと考えられる。いかなる特定の理論に限定されるものではないけれども、現在得られるデータは、1種以上の凝固タンパクは、内在的に、血小板保存顆粒から得られるか、すなわち、血小板由来であるか、または、外在的に血漿から結合されたものであるか、すなわち、凍結乾燥前の血漿由来のものであるかどちらかであるとする理論と合致する。
本発明はさらに、薬剤誘発性凝固障害、特に、アプロチニン(Trasylol(登録商標)、Bayer)またはヘパリン、これら共に人工心肺装置手術の際に一般的に使用される薬剤によって誘発される凝固障害の逆転のために、血小板および再水和血小板の使用を含む。従って、本発明は、現に抗凝固療法を受けている、または、最近抗凝固療法を受けたことがある患者の治療を含む。
本システムの働きは、欠如した一つの凝固因子、または、欠如した複数の凝固因子を、直接血小板表面に供給し、そうすることによって、欠如した凝固因子を補うか、あるいは、抗体抑制因子または欠陥性凝固タンパクの作用を直接回避して、止血を増進することにあると考えられる。
本発明によって提供される多くの利点の中でも、特に一つの利点はコストの節約と利便性である。血友病患者に対する多くの療法は、各有効用量について約10,000ドルかかることが知られる。従って、血友病患者は、通常、この障害の治療のために毎年100,000ドルを超える額を消費する。
別の局面では、本発明は、凍結乾燥血小板、または、該血小板から得られる再構成血小板を、診断または研究目的のために使用する方法を提供する。診断方法は、通常インビトロで実行されるが、要すれば試験動物に対してインビボで実行されてもよい。診断法は、一般に、出血障害、および、それらの障害の原因を特定するために実行される。研究法は、一般に、出血障害の原因の発見、例えば、特定の個人が、創傷またはその他の損傷に応じて正常に制御された出血をできない場合、その不能の分子的根拠を発見することに関連する。研究法もまた、個人の血液凝固システムに及ぼす薬剤治療の作用(例えば、血液凝固に不利に働く副作用)、または、一般的に血液凝固過程全体、あるいは、血液凝固過程の中の1個以上の特定工程に特異的に関連する薬剤治療の作用の研究に関してもよい。
診断法では、方法は、血液凝固システムの疾患または障害を診断する方法であってもよい。これらの方法は、一般に、凍結乾燥血小板を入手すること、凍結乾燥血小板を、血液凝固システムの疾患または障害を抱える、または抱えることが疑われる患者から取り出された血小板および/または血漿と合わせること、および、混合物の1種以上の生物学的、または生化学的機能を定量することによって、該個人が血液凝固システムに欠陥を抱えるかどうかを判断することを含み、その際、欠陥は、患者の血液凝固システムが正常に機能する能力、すなわち、指定の期間内に凝固塊形成を行わせる能力を減退させる、または中絶するものとする。典型的には、患者の血液凝固システムが欠陥を持つかどうかの判断は、混合物の凝固時間の定量を含む。凍結乾燥血小板は、使用前に再び水和されてもよい。
凍結乾燥血小板は、凝固システムに関して既知の状態にある(例えば、完全に機能的な凝固システムを持つ、または、1種以上の凝固因子において欠損を抱える)、1名以上のドナーから得られたものであってもよい。凍結乾燥血小板は、公共血液銀行から入手した血小板混合物から得られた場合、該血小板は、血小板機能に関して「正常」または「完全に機能的」と仮定してもよい。それとは別に、凍結乾燥血小板は、血小板機能に悪影響を及ぼす可能性のある治療を受けた患者、これから受けようとする患者から得られたものであってもよい。同様に、凍結乾燥血小板は、血小板機能に悪影響を及ぼした、あるいは、及ぼす可能性のある治療スケジュールを完了した患者(患者が、全治療スケジュールを完了しようと、副作用のために治療スケジュールから早期に除外されようと構わない)から入手したものであってもよい。
凍結乾燥血小板と同様、新鮮血小板または血漿も、凝固システムに関して既知の状態にある(例えば、完全に機能的な凝固システムを持つ、または、1種以上の凝固因子において欠損を抱える)、1名以上のドナーから得られたものであってもよい。新鮮血小板または血漿が、公共の血液銀行からの混合物から得られた場合、それらは、血小板機能または血漿補体に関して「正常」または「完全に機能的」と仮定してもよい。それとは別に、新鮮血小板または血漿は、血小板機能に悪影響を及ぼす可能性のある治療を受けた患者、これから受けようとする患者から得られたものであってもよい。同様に、新鮮血小板または血漿は、血小板機能に悪影響を及ぼした、あるいは、及ぼす可能性のある治療スケジュールを完了した患者(患者が、全治療スケジュールを完了しようと、副作用のために治療スケジュールから早期に除外されようと構わない)から入手したものであってもよい。
凍結乾燥血小板および新鮮血小板または血漿の供給源とは無関係に、本発明は、両者を合わせて混合物を製造することを含む。次に、この混合物は、該混合物の、1種以上の生物学的または生化学的機能について定量される。凝固システムの1種以上の機能、例えば、凝集能力が定量されるのが好ましい。選ばれた機能または活性の機能または活性レベルを、「正常」レベルと比較することによって、二つのレベルに差があるかどうかを決めることが可能になる。二つのレベルに差があることは、血液凝固システムに疾患または障害があることを示す。
例示の実施態様では、方法は、公共の血液銀行から得られた凍結乾燥血小板と、血液凝固システムの疾患または障害を抱える、または抱えることが疑われる患者から取り出された新鮮血小板とを合わせ、混合物を形成すること、および、該混合物の1種以上の生物学的または生化学的機能を定量することによって、該個人は血液凝固システムに欠陥を有するかどうかを判断することを含む。本発明のこの局面によれば、欠陥は、もし存在するならば、患者の血液凝固システムが正常に機能しようとする能力、すなわち、指定の期間内に凝固塊形成をもたらす能力を低減、または中絶する。
他の例示の実施態様では、方法は、治療スケジュールの開始前に患者から得られた凍結乾燥血小板と、治療スケジュール中に、または完了後に1回以上に渡って、患者から得られた新鮮血小板または血漿とを合わせて、混合物を形成することを含む。本法はさらに、混合物(単複)の凝固能力を定量することを含む。その際、この能力は、治療スケジュールが、凝固システムの疾患または障害を誘発したか、または、基礎疾患を悪化させたかどうかは示すが、患者の凝固システムの疾患または障害については認識しない。
凍結乾燥血小板、および患者から得られる血小板は、前述の議論に基づき、任意の供給源から得られたものであってよい。両者の結合は、適当な任意の方法で、例えば、2種類の真核細胞を混合するための、従来技術で既知の方法で実行されてよい。さらに、患者が、血液凝固システムにおいて1種以上の欠陥を持つかどうかの判定は、前述した通り適当な任意の技術で実行されてよい。
いくつかの実施態様では、判定は、混合物における凝集の有無、またはその量を検出することを含む。一般に、低レベルの凝集は、血液凝固活性における欠陥または欠乏を示し、一方、高レベルの凝集は、正常または受容可能レベルの活性を示す。通常、患者の血液凝固システムが欠陥を持つという判定は、混合物の凝固時間を定量することを含む。
方法は、上に開示した基本工程に加えて、さらに別の工程を含んでもよい。例えば、方法は、凍結乾燥血小板を、該血小板を血液と合わせる前に、獲得することを含んでもよい。いくつかの実施態様では、凍結乾燥血小板は、アッセイが実行される患者から得られたもので、以前に、例えば、薬剤投与スケジュールの開始前に得られた血小板である。方法はまた、血小板または他の関与細胞、または、凝固システムの分子に対し既知の作用を及ぼす、1種以上の薬剤または他の物質を、血小板に添加すること、および、該添加の凝固機能に及ぼす作用を定量することを含んでもよい。既知の活性を持つ特定薬剤を選択することによって、疾患または障害の厳密な原因を確定することが可能である。このような知識を背景に、適当な治療スケジュールが導入される。
ある実施態様では、方法は、血液凝固システムの疾患または障害の進行を監視する方法であってもよい。これらの方法は、一般に、凍結乾燥血小板を入手すること、疾患または障害を抱える患者から取り出された血小板および/または血漿と凍結乾燥血小板を合わせて混合物を製造すること、この混合物の血液凝固能を定量することを含む。通常、混合物の血液凝固能の定量は、患者の血液の血液凝固能を示し、混合物の凝固時間を定量することを含む。さらに、通常は、時間的に複数回のアッセイを実行し、時間的進行の表示を得る。二つの時点を比較することによって、この二つの時点の間で、病気または障害の状態に変化が起こったかどうか(もしあれば)を判断することが可能である。この情報は取り分け、ある特定の治療スケジュールを続行するかどうかを決断するに当たって医師または患者を助ける。凍結乾燥血小板は、使用前に再び水和されてもよい。
方法はまた、ある患者に対する治療スケジュールが、その患者の血液凝固システムに及ぼす作用を監視する方法であってもよい。一般に、これらの方法は、凍結乾燥血小板を入手すること、凍結乾燥血小板を、治療スケジュールを受けている患者から取り出された血小板および/または血漿と合わせて混合物を製造すること、および、この混合物の血液凝固能を定量することを含む。通常、混合物の血液凝固能の定量は、患者の血液の血液凝固能を示し、混合物の凝固時間の定量を含む。さらに、通常、時間的に複数回のアッセイを実行し、治療スケジュール効果の時間的変化の表示を得る。吐血乾燥血小板は、使用前に再び水和されてもよい。
従って、いくつかの実施態様では、本発明は、患者に対する治療スケジュールが、その患者の血液凝固システムに及ぼす作用を監視する方法を提供する。一般に、方法は、凍結乾燥血小板と、新鮮血小板とを(凍結乾燥血小板または新鮮血小板のいずれか、または両方および/または血漿)2回以上合わせること、凍結乾燥血小板または新鮮血小板または血漿を採取した個人において、血液凝固システムの疾患または障害があるかどうかを判断することを含む。二つの時点を比較することによって、その人の血液凝固システムに及ぼす治療スケジュールの効果を監視することが可能である。この方法では、凍結乾燥血小板と、新鮮血小板または血漿のいずれか、またはその両方を、同じ人(すなわち、患者)から入手してもよい。2個以上の時点の比較で得られた情報は、特に、ある特定の治療スケジュールを続行するかどうかを決断するに際に医師または患者の助けとなる。
別の実施態様では、本発明は、血小板の1種以上の機能を監視する方法を提供する。一般に、方法は、凍結乾燥血小板を入手すること、該血小板を、血小板機能に作用を及ぼす1種以上の物質に暴露すること、および、該物質が、血小板の1種以上の機能に作用したかどうかを判断することを含む。方法はさらに、凍結乾燥血小板を、該血小板を前記物質(単複)に暴露する前に、際に、した後に再構成することを含んでもよい。凍結乾燥血小板の入手およびその再構成は、前述の方法、またはこのような目的に好適であるとされる従来技術で既知の方法の内の任意の方法によって実現されてよい。
物質(単複)の血小板機能に及ぼす作用の定量は、当業者に既知の広範な技術の内から選ばれる任意のものによって為されてよい。このような技術は当業者にはよく知られており、従ってここで詳述する必要はない。物質(単複)の血小板に及ぼす作用を定量するための例示の技術としては、血小板の、凝固塊形成に関与する能力(インビトロアッセイでは、本明細書では凝集とも呼ばれる)を定量する技術が挙げられるが、ただしこれに限定されない。凝集は、組成物による光散乱の量によって定量されるが、簡単な光電セル、または専用の凝集計測計を用いて定量することが可能である。凝集を検出するために使用される分子としては、エピネフィリン、ADP、トロンビン受容体活性ペプチド(TRAP)、コラーゲン、およびトロンボキサンが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
血小板に及ぼす物質(単複)の作用の定量は、凍結乾燥血小板および新鮮血小板の両方を含む血小板含有組成物の凝集量を検出することを含む。下記にさらに精しく論じるように、本発明の凍結乾燥血小板は、新鮮血小板の機能的特質の全部とは言わないまでも、その多くを持つ。しかしながら、機能の多くは、凝固を増進するには不十分なレベルでしか存在しない。興味あることに、いくつかの機能は、正常レベルの凝固を増進するには不十分なレベルでしか存在しないけれども、この凍結乾燥血小板は、不十分な機能しか実現できない他の血小板が存在する場合、正常な、または正常に近い凝固に関与することが可能となる。従って、いくつかの実施態様では、新鮮血小板が、凍結乾燥血小板に不十分な、または欠如する1種以上の機能を実現することになるので、凝固の検出が可能となる。
本発明のいくつかの実施態様において、本発明の凍結乾燥血小板は、他の血小板、例えば、新鮮血小板が無いと、凝固能力が低減するという事実は、新鮮血小板単独によっては得られない利点を提供する。事実、この特性によって、凍結乾燥血小板、および、凍結乾燥血小板と新鮮血小板との混合物は、凝固システムの阻害剤に対して、また、凝固システムの欠陥に対してより敏感となる。上記から、凍結乾燥血小板を用いることによって、凝固システムにおける欠陥の定量が可能となる。システムのアッセイ、特に、凍結乾燥血小板によるアッセイは、ユーザーが、試験サンプルの凝固システムを変調することを可能とするから、凝固能における僅かな変化に対しても極めて高感度なシステムが得られる。
さらに、血小板機能に影響を及ぼす治療前にドナーから採取された、指定量の凍結乾燥血小板を、治療の開始後(例えば、治療中または終了後)にドナーから採取された、指定量の新鮮血小板と合わせることは、新鮮血小板単独以上の凝固性能を持つ組成物を創成する。実際、これによって、凍結乾燥血小板と新鮮血小板との混合物は、凝固システムの阻害剤に対してより敏感になり、また、この混合物は、凝固システムの欠陥に対して敏感になる。従って、凍結乾燥血小板と新鮮血小板の両方を含む組成物を用いることによって、新鮮血小板単独の場合よりも高い感度で凝固システムにおける欠陥を定量することが可能となる。
本発明のいくつかの実施態様では、凍結乾燥血小板は、新鮮血小板の表面マーカーを保持する。実際、これによって、血小板は、他の欠陥の中でも特に、糖タンパクIIb/IIIa、糖タンパクIb、フォンウィルブランド因子、およびフィブリノーゲンの欠陥に対して敏感になる。これによってさらに、血小板は、無フィブリノーゲン血症、血小板無力症、vWF病、ベルナール・スーリエ症候群、分泌/信号伝達の受容体欠陥障害、保存プール欠乏、トロンボキサン合成減少、信号伝達/一次分泌欠陥、および、血小板凝固活性減少に対してより敏感になる。従って、凍結乾燥血小板を用いることによって、血小板欠陥、および凝固システムにおける欠陥を定量することが可能になる。
監視法は、一人のドナーから複数サンプルを入手すること、および、これらのサンプルを相互に、および/または、標準曲線と比較して、1種以上の血小板機能の有無および/またはそのレベルを定量することを含む。この複数のサンプルは、時間と共に入手してもよいし、比較は、1種以上の治療処方の、血小板機能、または凝固システム全体に及ぼす作用を判断するために行われてもよい。サンプルはまた分析されて、手術、または、血液が失われる可能性のある、その他の処置を支持するのに十分な数の血小板が、ドナーの血液の中にあるかどうかを確認するために用いられてもよい。得られたサンプルは、新鮮サンプルとして短期間保存されるか、あるいは、それらのサンプルは処理されて凍結乾燥血小板サンプルを生成し、それらは後に再構成され、定量されてもよい。
さらに、監視は、一人のドナーから複数サンプルを入手すること、および、これらのサンプルを相互に、および/または、標準曲線と比較して、1種以上の血小板機能の有無および/またはそのレベルを定量することを含む。例えば、無フィブリノーゲン血症、血小板無力症、vWF病、ベルナール・スーリエ症候群、分泌/信号伝達の受容体欠陥障害、保存プール欠乏、トロンボキサン合成減少、信号伝達/一次分泌欠陥、または、血小板凝固活性減少に関して定量することが可能である。
本発明の他の方法同様、疾患または障害における特定の欠陥を確定するために、アッセイ混合物に様々の薬剤またはその他の物質を加えてもよい。欠陥の特定の起源に関する知識は、治療処方の開発を可能とする。
いくつかの実施態様では、方法は、治療スケジュールの開始前に、公共的供給源から凍結乾燥血小板を入手すること、治療スケジュールの開始前に、患者または公共的供給源から新鮮血小板または血漿を入手すること、および、治療スケジュール中に1回以上に渡って新鮮血小板または血漿を入手することを含む。方法はさらに、凍結乾燥血小板と新鮮成分の混合物について、血液凝固能を定量することを含む。通常、混合物の血液凝固能の定量は、患者の血液の血液凝固能を示し、混合物の凝固時間の定量を含む。さらに、通常は、時間的に複数回のアッセイを実行し、治療スケジュールの時間的作用変化の表示を得る。
一般公衆には、様々な疾患および障害について数多くの治療が利用可能である。これらの治療の内のあるものは、ある特定の疾患または障害を効果的に治療するもののその一方で、血液凝固システムの1種以上の機能を低下または中絶する、好ましからざる作用(すなわち、副作用)をもたらす。また、患者の血液凝固システムの活性を増進または抑制するように特異的に設計される治療もある。いずれにしろ、患者の血液中における薬剤の有無および/または濃度を監視すること、特に、それらの薬剤の、患者の血液凝固活性に及ぼす作用を監視することが望ましいことが多々ある。本法は、そのような作用を簡単に、速やかに監視することを可能にする。
監視および診断法は全て1種以上のコントロール反応を含むことが可能であることを銘記しなければならない。コントロール反応の概念は、当業者にはよく知られており、本発明の方法にも、方法中の1個以上の工程の効果および成績を監視するために、多くのタイプのコントロール反応が含まれる。実行可能な、比較的一般的コントロール反応の中には、凍結乾燥血小板を、血小板の唯一の供給源として含む反応、新鮮血小板を、血小板の唯一の供給源として含む反応、1種以上の既知の物質(血小板機能、または凝固システム機能に対して既知の作用を持つ)が新鮮血小板に暴露される反応(例えば、陽性コントロール)、および、血小板の外には何の物質も加えられない反応(例えば、陰性コントロール)がある。コントロール反応の中に含まれるものとして、標準曲線を生成する反応がある。本発明の方法は、正確に測定された量の正常な凍結乾燥血小板と正常血清または血液を用いて実行した場合、反復可能な凝集特性を与えるものであるから、標準曲線の生成が可能であり、これらの標準曲線を用いて、任意の数の特性、例えば、血小板数/濃度、血小板の凝固に参与する能力、および、血小板における機能的表面タンパクの有無について、ただしこれらに限定されないが、試験サンプルを比較する場合の基盤として使用することが可能である。
本法はこれまで、凍結乾燥血小板および新鮮血小板または血漿について使用するのに好適であるものとして開示されたわけであるが、凍結乾燥血小板は、本発明の方法に従って、全血、血小板、血漿、精製凝固タンパク、および、血液系のその他の成分と合わせることも可能であることにも注意しなければならない。「新鮮血小板」および/または「新鮮血漿」という用語は、他の全てのタイプの血液製剤を含むものと理解されなければならない。さらに、「新鮮」という用語は、必ずしも厳密な時間依存性を要求するものではない。むしろ、この用語は、凍結乾燥血小板と非凍結乾燥物質とを区別するためにのみ使用される。
本発明の方法はまた、同じ条件下で、同一サンプルに対し1回以上本法を実行することを含んでもよい。従来技術において知られるように、複数の同一サンプルに対して方法を実行することは、その方法の信頼性と再現性の表示を与える。本発明によれば、方法における各工程は、または、方法内のいくつかの工程は、本発明のこの実施態様に従って反復することが可能である。
前述の記述から明らかなように、検出法および監視用は全て、凝固時間を定量することによって血小板数または機能レベルを決定するという一般概念を含む。従って、本発明の方法は、いくつかの実施態様では、血小板を含むサンプルの血小板数を決定する方法と見なすことが可能である。同様に、本発明の方法は、いくつかの実施態様では、血小板を含むサンプルの血小板機能を定量する方法と見なすことが可能である。通常、血小板機能は、凝固過程に関与する能力によって定量される。
本発明の凍結乾燥血小板は、多くの、新鮮血小板の特性を示すことが可能である。これらの特性の中にはサイズがある。本発明のいくつかの実施態様の凍結乾燥血小板は、新鮮血小板とほぼ同じサイズを持つ。従って、凍結乾燥血小板は、血小板検出および研究のための装置を較正するために使用することが可能である。凍結乾燥されているので、本発明の血小板は、装置の較正に有利に使用される。なぜなら、較正は、新鮮血小板で得られる僅かな隙間の好機にではなく、都合のよい時に何時でも実現することが可能だからである。
本発明は、血液凝固システムに悪影響を及ぼす疾患および障害の検出および監視における凍結乾燥血小板の有用性を始めて認識する。本発明はまた、薬剤および薬剤治療スケジュールの、その薬剤が投与される個人の血液凝固システムに及ぼす作用の監視における凍結乾燥血小板の有用性を始めて認識する。事実上、本発明は、凍結乾燥血小板は、血小板の全ての、かつ任意の機能の監視を含めた、新鮮血小板によって実現される全ての診断性能に対し有効であることを認識する。従って、本発明は、個人の血液の血液凝固能を監視するに当たって凍結乾燥血小板の有用性を認識する。凍結乾燥血小板が、様々なアッセイにおいて新鮮血小板の代替として使用が可能であるという発見は、血液サンプルの血液凝固能を監視する方法を可能とし、個人の健康と生活にとって重要な、または決定的な情報を提供する。
本発明を、下記の実施例に基づいてさらに説明する。これらの実施例は、本発明の純粋に例示を意図するものであって、いかなる意味でも本発明を限定するものと見なしてはならない。
別様に注記しない限り、下記の実験は、BRT Labs(バルチモア、メリーランド州)から購入した血小板を用いた。血小板は、吸引後4-24時間以内、または吸引後6-7日目に使用された。新鮮血小板は、クエン酸デキストロース(ACD)抗凝固バッファー(1.5容量血小板+8.5容量血液)に集めた。あるいは、公定期限外血小板(ジョージワシントン大学血液銀行)を用いた。ただし、期限のずれは5日を超えない。
[実施例1]
凍結乾燥血小板の調製
長い使用期限を持ち、再水和すると好適な特性を示す血小板を供給するために、凍結乾燥血小板の調製法が開発された。方法は、インビトロ実験およびインビボの治療応用において有利な性質を持つ、凍結乾燥血小板、および該凍結乾燥血小板から再構成される血小板を供給することが判明した。
凍結乾燥血小板の調製法は下記を含んでいた。すなわち、
最初のサッカライド負荷過程は下記を含んでいた。すなわち、
全ての溶液、バッファー、装置等は、低温の血小板に及ぼす有害作用を抑えるために、それぞれをチェックして室温に、または室温近くにあることを確かめた。
血小板富裕血漿(PRP)を得た。
血小板の適性を、捩れをチェックすることで調べた。捩れがまったく認められない場合、血小板は拒否された。
血小板組成物のpHをチェックし、6.2よりも低いpHを持つサンプルは拒否された。
適用可能な場合、血小板(例えば、PRP)の異なるサンプル同士をプラスチックビーカーにプールした。
血小板組成物を攪拌し、pHを測定した。必要なら、ACDバッファー(脱イオン限外ろ過水に溶解した85 mMクエン酸ナトリウム;65 mMクエン酸;111 mMグルコースで、ろ過したもの)にてpHを6.6-6.8に調整した。
ACT-10装置にて血小板数を定量し、ACT-10の直線範囲内(約10から1000)の血小板を得るために複数回の希釈を行った。
血小板は、異なる遠心瓶に等しく分割した。
必要な場合は、赤血球(RBC)を、固定角度遠心器500 x g、5分の遠心によって除去した。次に、血小板富裕分画を、新しい、清潔な瓶に移し、血小板カウントを新たに行った。
望ましい場合には、PRPサンプルを後の分析に備えて採取した(5-10 ml)。
血小板は、1500 x g 15分の遠心によってペレットとした。
血小板欠乏血漿を吸引によって取り出し、望ましければ後の使用に備えて保存した。
ペレット状血小板を、極小容量(前工程で取り出された血小板欠乏血漿の容量の約5%に等しい)の負荷バッファー(9.5 mM HEPES; 100 mM NaCl; 4.8 mM KCl; 5.0 mMグルコース;12 mM NaHCO3; 50 mMトレハロース、pH6.8)に再懸濁した。
再懸濁血小板について血小板数を測定し、濃度を約1250(ACT-10装置で測定した場合1.25 x 109 /ml)に調整した。
容量を記録した。
血小板を、水浴中で37℃において2時間インキュベートした。
このインキュベーション期間中に、PRPと血小板欠乏血漿とを比較するために、凝固塊収縮アッセイを行った。血小板が、血小板欠乏血漿と比べて、凝固塊を縮小させることができなかった場合、その血小板標本は拒否された。
インキュベーション後、血小板にFicoll 400を、最終濃度5%(w/v)となるように加えた。
最終的血小板数を、ACT-10装置において測定した。
血小板を下記のように凍結乾燥した。
Figure 0005138372
[実施例2]
凍結乾燥血小板の調製
長い使用期限を持ち、再水和すると好適な特性を示す血小板を供給するために、第2の凍結乾燥血小板の調製法が開発された。方法は、インビトロ実験およびインビボの治療応用において極めて有利な性質を持つ、凍結乾燥血小板、および該凍結乾燥血小板から再構成される血小板を供給することが判明した。
凍結乾燥血小板の調製法は下記を含んでいた。すなわち、
最初のサッカライド負荷過程は下記を含んでいた。すなわち、
全ての溶液、バッファー、装置等は、低温の血小板に及ぼす有害作用を抑えるために、それぞれ、室温に、または室温近くにあることを確かめるためにチェックした。
血小板富裕血漿(PRP)を得た。
血小板の適性を、捩れをチェックすることで調べた。捩れがまったく認められない場合、血小板は拒否された。
血小板組成物のpHをチェックし、6.2よりも低いpHを持つサンプルは拒否された。
適用可能な場合、血小板(例えば、PRP)の異なるサンプル同士をプラスチックビーカーにプールした。
血小板組成物を攪拌し、pHを測定した。必要なら、ACDバッファー(脱イオン限外ろ過水に溶解した85 mMクエン酸ナトリウム;65 mMクエン酸;111 mMグルコースで、ろ過したもの)にてpHを6.6-6.8に調整した。
ACT-10装置にて血小板数を定量し、ACT-10の直線範囲内(約10から1000)の血小板を得るために複数回の希釈を行った。
必要な場合は、赤血球(RBC)を、固定角度遠心器500 x g、5分の遠心によって除去した。次に、血小板富裕分画を、新しい、清潔な瓶に移し、血小板カウントを新たに行った。
望ましい場合には、PRPサンプルを後の分析に備えて採取した(5-10 ml)。
血小板は、1500 x g 15分の遠心によってペレットとした。
血小板欠乏血漿を吸引によって取り出し、望ましければ後の使用に備えて保存した。
ペレット状血小板を、極小容量(前工程で取り出された血小板欠乏血漿の容量の約10%に等しい)の負荷バッファー(9.5 mM HEPES; 100 mM NaCl; 4.8 mM KCl; 5.0 mMグルコース;12 mM NaHCO3; 50 mMトレハロース、pH6.8)に再懸濁した。
再懸濁血小板について血小板数を測定し、濃度を約1250(ACT-10装置で測定した場合1.25 x 109 /ml)に調整した。
容量を記録した。
血小板を、水浴中で37℃において2時間インキュベートした。
このインキュベーション期間中に、PRPと血小板欠乏血漿とを比較するために、凝固塊収縮アッセイを行った。血小板が、血小板欠乏血漿と比べて、凝固塊を縮小させることができなかった場合、その血小板標本は拒否された。
インキュベーション後、血小板にFicoll 400を、最終濃度6%(w/v)となるように加えた。
最終的血小板数を、ACT-10装置において測定した(計数は通常約1000(1 x 109 /ml)であった)。
血小板を分割し、表3に記載されるものと同じ凍結乾燥プロトコールを用いて凍結乾燥した。
凍結乾燥後、血小板が凍結乾燥される瓶に真空下ストッパーを装着し、直ちにキャップをはめ、様々な温度および回数の下オーブンで加熱した。
望ましければ、乾燥血小板に添加された、再水和バッファーの凍結乾燥前容量と同じ容量によって再水和した。例えば、1 mlの組成物が凍結乾燥された場合、再水和のために1 mlの再構成バッファーが添加された。
再水和過程は通常、蒸留水;蒸留水に溶解した6% Ficoll-400;蒸留水に溶解した6% Ficoll-400, 2 mM塩化カルシウム;または、蒸留水に溶解した6% Ficoll-400、2 mM塩化カルシウム、1 mM塩化マグネシウムの添加を含んでいた。
再水和血小板を使用前に室温で30秒から300秒放置して平衡させた。
[実施例3]
本発明の組成物の調製
非自己由来血小板を、BRT Labs(バルチモア、メリーランド州)から購入し、吸引後4-24時間以内に使用した。血小板富裕血漿(PRP)は、低速遠心(135 x g)15分によって赤血球を除去することによって得た。この遠心PRP(赤血球を含まない)に、1/14容量のACD(クエン酸デキストロース)を加えてpH6.5の酸性にし、次に、1000 x gで10分遠心してペレットとした。血小板欠乏血漿を傾斜除去し、細胞塊をペーパータオル上に排出し、血漿タンパクを除いた。別法として、プラスチックの移動ピペットで吸引することによって残留液を除いた。血小板は、50 mMのトレハロースをpH6.8で含む、陽イオン非含有タイロードバッファー1 mlに再懸濁し、血小板濃度を〜1.0 x 109 /mlに調整した。この混合物を、37℃で2時間、半時間毎に混ぜ合わせながらインキュベートした。最後に、アルブミン(BSA)濃度を、凍結乾燥に備えて、血小板標本の5%(w/v)に調整した。凍結乾燥は、表3に従って実行した。
得られた凍結乾燥組成物には0, 5, 30および50 kGyで照射し、パックし、各種用途に備えて封印した。
[実施例4]
凍結乾燥血小板製造のための別法
長い使用期限を持ち、再水和すると好適な特性を示す血小板を供給するために、凍結乾燥血小板の調製法が開発された。方法は、インビトロ実験およびインビボの治療応用において有利な性質を持つ、凍結乾燥血小板、および該凍結乾燥血小板から再構成される血小板を供給することが判明した。
凍結乾燥血小板の調製法は下記を含んでいた。すなわち、
最初のサッカライド負荷過程は下記を含んでいた。すなわち、
全ての溶液、バッファー、装置等は、低温の血小板に及ぼす有害作用を抑えるために、それぞれをチェックして室温に、または室温近くにあることを確かめた。
血小板富裕血漿(PRP)を得た。
血小板の適性を、捩れをチェックすることで調べた。捩れがまったく認められない場合、血小板は拒否された。
血小板組成物のpHをチェックし、6.2よりも低いpHを持つサンプルは拒否された。
適用可能な場合、血小板(例えば、PRP)の異なるサンプル同士をプラスチックビーカーにプールした。
血小板組成物を攪拌し、pHを測定した。必要なら、ACDバッファー(脱イオン限外ろ過水に溶解した85 mMクエン酸ナトリウム;65 mMクエン酸;111 mMグルコースで、ろ過したもの)にてpHを6.6-6.8に調整した。
ACT-10装置にて血小板数を定量し、ACT-10の直線範囲内(約10から1000)の血小板を得るために複数回の希釈を行った。
血小板は、異なる遠心瓶に等量に分割した。
必要な場合は、赤血球(RBC)を、固定角度遠心器500 x g、5分の遠心によって除去した。次に、血小板富裕分画を、新しい、清潔な瓶に移し、血小板カウントを新たに行った。
望ましい場合には、PRPサンプルを後の分析に備えて採取した(5-10 ml)。
血小板は、1500 x g 15分の遠心によってペレットとした。
血小板欠乏血漿を吸引によって取り出し、望ましければ後の使用に備えて保存した。
ペレット状血小板を、極小容量(前工程で取り出された血小板欠乏血漿の容量の約5%に等しい)の負荷バッファー(9.5 mM HEPES; 100 mM NaCl; 4.8 mM KCl; 5.0 mMグルコース;12 mM NaHCO3; 50 mMトレハロース、pH6.8)に再懸濁した。
再懸濁血小板について血小板数を測定し、濃度を約1250(ACT-10装置で測定した場合1.25 x 109 /ml)に調整した。
容量を記録した。
血小板を、水浴中で37℃において2時間インキュベートした。
このインキュベーション期間中に、PRPと血小板欠乏血漿とを比較するために、凝固塊収縮アッセイを行った。血小板が、血小板欠乏血漿と比べて、凝固塊を縮小させることができなかった場合、その血小板標本は拒否された。
インキュベーション後、ヒト血清アルブミンを、最終濃度5%(w/v)となるように加えた。
最終的血小板数を、ACT-10装置において測定し、かつ、
血小板組成物を、上記表3に記載される通りに凍結乾燥した。
[実施例5]
漸増微粒子パーセントを有する凍結乾燥血小板の別の製造法
長い使用期限を持ち、再水和すると好適な特性を示す血小板を供給するために、凍結乾燥血小板の調製法が開発された。方法は、インビトロ実験およびインビボの治療応用において有利な性質を持ち、高いパーセントの微粒子を有する、凍結乾燥血小板、および該凍結乾燥血小板から再構成される血小板を供給することが判明した。
凍結乾燥血小板の調製法は下記を含んでいた。すなわち、
最初のサッカライド負荷過程は下記を含んでいた。すなわち、
全ての溶液、バッファー、装置等は、低温の血小板に及ぼす有害作用を抑えるために、それぞれをチェックして室温に、または室温近くにあることを確かめた。
血小板富裕血漿(PRP)を得た。
血小板の適性を、捩れをチェックすることで調べた。捩れがまったく認められない場合、血小板は拒否された。
血小板組成物のpHをチェックし、6.2よりも低いpHを持つサンプルは拒否された。
適用可能な場合、血小板(例えば、PRP)の異なるサンプル同士をプラスチックビーカーにプールした。
血小板組成物を攪拌し、pHを測定した。必要なら、ACDバッファー(脱イオン限外ろ過水に溶解した85 mMクエン酸ナトリウム;65 mMクエン酸;111 mMグルコースで、ろ過したもの)にてpHを6.6-6.8に調整した。
ACT-10装置にて血小板数を定量し、ACT-10の直線範囲内(約10から1000)の血小板を得るために複数回の希釈を行った。
血小板は、異なる遠心瓶に等量に分割した。
必要な場合は、赤血球(RBC)を、固定角度遠心器500 x g、5分の遠心によって除去した。次に、血小板富裕分画を、新しい、清潔な瓶に移し、血小板カウントを新たに行った。
望ましい場合には、PRPサンプルを後の分析に備えて採取した(5-10 ml)。
血小板は、1500 x g 15分の遠心によってペレットとした。
血小板欠乏血漿を吸引によって取り出し、望ましければ後の使用に備えて保存した。
ペレット状血小板を、極小容量(前工程で取り出された血小板欠乏血漿の容量の約5%に等しい)の負荷バッファー(9.5 mM HEPES; 100 mM NaCl; 4.8 mM KCl; 5.0 mMグルコース;12 mM NaHCO3; 50 mMトレハロース、pH6.8)に再懸濁した。
再懸濁血小板について血小板数を測定し、濃度を約1250(ACT-10装置で測定した場合1.25 x 109 /ml)に調整した。
容量を記録した。
血小板を、水浴中で37℃において2時間インキュベートした。
このインキュベーション期間中に、PRPと血小板欠乏血漿とを比較するために、凝固塊収縮アッセイを行った。血小板が、血小板欠乏血漿と比べて、凝固塊を縮小させることができなかった場合、その血小板標本は拒否された。
インキュベーション後、ヒト血清アルブミンを、最終濃度5%(w/v)となるように加えた。
最終的血小板数を、ACT-10装置において測定した。
この血小板濃縮液を、液体窒素(-190℃)に60秒浸すことによって急速に凍結し、かつ、
血小板組成物を、上記表3に記載される通りに凍結乾燥した。
[実施例6]
凍結乾燥血小板製造のために従来技術で用いられる方法の比較例
本発明の実施態様に従って製造される凍結乾燥血小板と比較するための凍結乾燥血小板を生産するために、従来技術で既知のプロトコールを用いて凍結乾燥血小板を製造した。方法は下記を含んでいた。すなわち、
PRPは、血液(CPDまたはCPDA抗凝固液に溶解させたもの)を、宙吊りバケツローターを用い320 x g、14分の遠心によって得たが、遠心破壊は無かった。
RBCの混入が無いように注意しながら、PRPを取り出し新鮮なチューブに移した。
エタノールに溶解したPGE1を、100Xストック液から得た10 ug/mlに加え、血小板を数えた。
血小板を480 x gで25分遠心した。
血小板欠乏上清を吸引除去した。
血小板は、5 mMグルコースと40 mMトレハロース、および2 mM Mg2+プラス10 ug/mL PGE1(1 mg/mlのストックから1:100で加えたもの)を含む、タイロードリン酸バッファー、pH6.8(すなわち、4.63 mM Na2HPO4, 5.37 mM NaH2PO4, 120 mM NaCl, 2.67 mM KCl, 2 mM NaHCO3, 5 mMグルコース、2 mM MgCl2, 40 mMトレハロース、pH6.8 (+10 ug/ml PGE1、EtOHに溶解した1 mg/mlストックから得たもの)において1 x 109 /mlで再懸濁した。
少量を望ましければ後の使用に備えて保存した。
サンプルは、半時間毎に穏やかに反転させて混ぜながら、37℃で4時間インキュベートした。
サンプルは、要すれば、機能的テスト(例えば、凝集測定およびFACS)のために取り出した。
組成物は、480 x gで15分遠心した。
上清を吸引にて除去した。
ペレットを、5%ヒト血清アルブミン、100 mMトレハロース、および1 mM MgCl2, pH6.8を含む等張HEPES生食液(すなわち、9.5 mM HEPES, 75 mM NaCl, 4.8 mM KCl, 1.00 mM MgCl2, 100 mM トレハロース、5%ヒト血清アルブミン、pH6.8)に1‐2 x109 /mlとなるように再懸濁した。
血小板をACT-10装置上にて数え、血小板数および容量を記録した。
望ましければ、サンプルを取り出し、後の試験に備えて保存した(例えば、機能試験)。
血小板は、ストッパーキャップ付き凍結乾燥瓶に移し、各瓶の内容物を秤量した。
血小板は、実施例1のものと同じ凍結乾燥サイクルを用いて凍結乾燥した。
凍結乾燥血小板は、凍結乾燥瓶中に真空下密封した。
凍結乾燥血小板は、乾燥剤不在の下に、周囲温、または2-8℃にて保存した。
望ましければ、凍結乾燥血小板は、下記の通り無菌水にて再び水和された。すなわち、加える水の量=凍結乾燥前の瓶の重量マイナス凍結乾燥後の瓶の重量、ただし、1 mlの水=1.0 gとする。
本発明の実施態様に従って製造される凍結乾燥血小板の特性を確かめるために、上記実施例2に従って製造された凍結乾燥血小板を蒸留水にて再水和し、様々の物理的、機能的性質について試験した。
任意に選択されるHLA低減工程(後述)を含む、実施例1および2に示されたプロトコールと、実施例6の比較プロトコールの、グラフ様フローチャート比較が図1に示される。
[実施例7]
実施例2に従って調製された凍結乾燥血小板の特性解明
本発明の実施態様によって調製された凍結乾燥血小板の特性を定めるために、上記実施例2に従って調製された凍結乾燥血小板を前述の通りに再水和し、各種物理的、機能的性質について試験した。
一組の実験では、再構成血小板が、用量依存的やり方で血漿凝固時間を強化する能力が定量された。この実験では、100 ulのAPCT(活性化血漿凝固時間、Analytical Control Systems, Inc., Fishers、インディアナ州)試薬を、25 ul の各種濃度の水再構成凍結乾燥血小板、および25 ulの血漿で市場の業者から得たものと混合した。混合液は、水浴中で37℃で3分インキュベートし、次に、100 ul の0.02 M CaCl2 (37℃)を加え、凝固時間を定量した。
図2から見て取れように、実施例2に従って調製された再構成凍結乾燥血小板は、新鮮血小板と同様に、用量依存性に血漿凝固時間を強化する。さらに詳細に言うと、図2は、血小板富裕血漿(PRP、レーン1)、血小板欠乏血漿(PPP)、および、様々の濃度の本発明の凍結乾燥血小板(FDP)を含む、各種製剤における凝固時間を示す。FDPは、PRPに、少なくとも匹敵する凝固能を示すが、血小板の数が下がるにつれて凝固効果に低下が起こることが見て取れる。
別の一組の実験では、実施例2のプロトコールによって調製された再構成FDPの、凝固塊を収縮させる能力を試験した。手短に言うと、試験手順は下記を含んでいた。すなわち、1 ml当たり約4.5 x 107個の再構成血小板の、1 mlの血小板欠乏血漿への添加である。これに対し、0.02 M CaCl2を加え、37℃でインキュベートした。凝固塊の初回形成を測定し、30分時に、凝固塊の長さを再び測定した。凝固塊収縮量は、0時および30分時における凝固塊の長さに基づいて計算した。
図3から見て取れるように、本発明の再構成凍結乾燥血小板は、新鮮血小板と同様に凝固塊収縮を強調することが可能である。さらに詳細には、凝固塊収縮の相対量は、再構成FDPの方がPPPよりも高いが、同量のPRPよりはいく分低い。
[実施例8]
凍結乾燥血小板のサイズおよび顆粒状態に及ぼす凍結乾燥後加熱工程の作用
実施例2に記載されたプロトコールの凍結乾燥後処理工程の作用を定めるために、そのプロトコールによって調製された再構成血小板のサイズおよび顆粒状態を調べ、同様に処理された新鮮血小板のサイズおよび顆粒状態と比較した。実験は、log-log設定においてBecton Dickenson FACS径測定装置によって実行した。血小板は、その代表的前方および側方散乱光プロフィール(ゲルろ過血小板を用いて行った)、および、FITC抗ヒトCD41の結合によって特徴を明らかにした。血小板は、別々のチューブにおいてHBMT中で1 ul当たり〜50,000まで希釈し、蛍光標識抗体を、周囲温で30分飽和点において加えた。サンプルは、2 ml HMBTで希釈し、10,000個の個別事例を集めた。蛍光ヒストグラムおよび陽性細胞のパーセントを記録した。これは、蛍光標識抗体に結合した血小板集団を表す。結果を図4-6に示す。
図4は、実施例2に従って調製された再構成凍結乾燥血小板であって、凍結乾燥後の熱処理工程のある場合と無い場合の、そのサイズと顆粒状態を定量した実験結果を表す。熱処理再構成FDP(80℃で24時間加熱)のサイズ分布(図4A)と顆粒状態(図4B)は、新鮮血小板と事実上同じであるが、一方、熱処理されなかった再構成FDPは、サイズが小さく、顆粒の発達が低い。
図5は、加熱しないサンプルをコントロールとし、75℃から80℃、85℃に至る様々な温度における、凍結乾燥後熱処理工程の、血小板サイズに及ぼす作用を示す。さらに詳細には、実施例2に記載される手順に従って調製される凍結乾燥血小板は、熱処理時点まではそれぞれ同じ様に製造される。熱処理工程において、サンプルは、75℃、80℃、または85℃で24時間加熱されるか、または室温で24時間維持された。血漿における新鮮血漿は、比較分析の直前に調製された。各温度の各時点におけるサンプルは合わせられ、血小板のサイズはFACS分析によって定量された。結果は図5に示されるが、最大80℃の温度において18-24時間凍結乾燥血小板を加熱すると、血小板のサイズは改善される(すなわち、新鮮血小板と比べると、サイズ保持が強化される)が、この有利な作用は、85℃以上になると脱落することを示す。同様の結果が、18時間の処理についても得られた(データ示さず)。
図6は、加熱しないサンプルをコントロールとし、75℃から80℃、85℃に至る様々な温度で24時間行った凍結乾燥後熱処理工程の、血小板顆粒状態に及ぼす作用を示すグラフである。さらに詳細には、実施例2に記載される手順に従って調製される凍結乾燥血小板は、熱処理時点まではそれぞれ同じ様に製造される。熱処理工程において、サンプルは、75℃、80℃、または85℃で24時間加熱されるか、または室温で24時間維持された。血漿における新鮮血漿は、分析前に調製された。各温度の各時点におけるサンプルは合わせられ、血小板の顆粒状態はFACS分析によって定量された。結果は図6に示されるが、最大80℃の温度において、特に約80℃で24時間凍結乾燥血小板を加熱すると、血小板の顆粒状態は改善される(すなわち、新鮮血小板の顆粒状態に近似する)が、この有利な作用は、85℃以上になると脱落することを示す。同様の結果が、18時間の処理についても得られた(データ示さず)。
[実施例9]
他の方法と比較した場合の、凍結乾燥後熱処理の凍結乾燥血小板のサイズに及ぼす作用
本発明の凍結乾燥血小板、特に、実施例2に開示される熱処理工程によって生産される血小板の適性を定めるために、3種のサンプルについてサイズを定量した。第1サンプルは、血漿に懸濁した新鮮血小板を含んでいた。第2サンプルは、実施例6の比較法に従って調製された再構成血小板で、凍結乾燥血小板を蒸留水で再構成した血小板を含んでいた。第3サンプルは、実施例2に従って製造された再構成凍結乾燥血小板を含んでいた。この例では、80℃で24時間の凍結乾燥後熱処理を用い、蒸留水で再構成が行われた。各サンプルには、前述のようにFACS分析を行い、その結果を図7に示す。
図7の結果は、各サンプルの平均サイズと顆粒状態を表す。新鮮血小板を含むサンプルが分析され(図7A)、そのFACSグラフの上には、事実上全ての血小板が配置される面積を示すゲートまたはウィンドウが置かれる。実施例6の比較例によって製造された再構成凍結乾燥血小板を含むサンプルも同様に分析され、そのFACSグラフの上には、図7Aのものと同じ位置にゲートまたはウィンドウが置かれた。最後に、実施例2に開示されたプロトコールに従って製造された再構成凍結乾燥血小板を含むサンプルが同様に分析され、そのFACSグラフの上に、図7Aの場合と同じ位置にゲートまたはウィンドウが置かれた。図7A、7B、および7Cの比較から見て取れるように、本発明による再構成凍結乾燥血小板を含むサンプルは、新鮮血小板と比べ、ほぼ同じサイズと顆粒状態を示したが、他方、比較例によって製造された再構成血小板は、新鮮血小板が配置される面積からは有意に変位していた。この例は、本発明の方法によって製造される再構成凍結乾燥血小板は、従来技術で既知のプロトコールによって製造された再構成凍結乾燥血小板よりも、新鮮血小板により近似することを示す。
[実施例10]
実施例2に従って調製された凍結乾燥血小板の生物学的活性の解明
再構成凍結乾燥血小板が、作用剤の添加に反応して凝集することが可能であることを証明するために、各種作用剤(アラキドン酸0.5 mg/ml、コラーゲン10 ug/ml、エピネフィリン300 uM、トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP: SFLLRN)10 mM、およびリストセチン1 mg/ml プラス20%クエン酸塩添加血漿、および生食液を、0.3%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むHEPES-タイロードバッファーに1 ul当たり250,000個血小板で懸濁させた再構成凍結乾燥血小板400 ulに、最終容量が500 ulとなるように加えた。血小板の凝集を、5分後室温で定量した。血小板は、標準的完全血液計数装置(Beckman coulterから支給されたACT10)を用いてカウントした。結果は、凍結乾燥血小板は、アラキドン酸、コラーゲン、エピネフェリン、トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP)、およびリストセチンに反応して凝集することを示し、その凝集パーセントは、それぞれ、77、83、86、93、97、および10であると求められた(上記表1を参照)。
[実施例11]
再構成時の血小板表面マーカーの特性解明
別の一連の実験では、80℃、24時間の熱処理工程付きの実施例2に従って製造された再構成凍結乾燥血小板を、血小板の一般的表面マーカーの有無について定量した。実験は、前述のFACS分析によって実行した。実験には、下記の蛍光抗体を用いた。すなわち、
異性形 BD PharminagenマウスIgGカッパ
HLA BD Pharminagen抗ヒトHLA-B-C
GPIb DakoCytomationマウス抗ヒトCD24bクローンAN51
IIbIIIa DakoCytomationマウス抗ヒトCD41クローン5b12
P-セレクチン BD Pharminagen抗ヒトCD62P(カタログ番号555523)
本発明の凍結乾燥血小板が、血小板機能に関与する表面受容体を保持する能力を定量するために、実験の直前に調製した新鮮血小板、実施例2に開示された熱処理工程によって製造された血小板、および実施例6の比較法に従って製造された血小板についてFACS分析を実行した。凍結乾燥血小板は全て蒸留水で再構成した。
前述したように、新鮮血小板に対する基礎値計算のために、下記の値を再調整し、正規化してパーセントとした。構成的に発現される受容体GP1b、GPIIb/IIIa、およびHLAのパーセントは、新鮮血小板では100%に設定した。P-セレクチンの場合、該タンパクは、血小板の安静時には発現しない(平均5-10%の発現)が、血小板活性時には完全に発現する(100%)。
実施例2に開示される熱処理工程を用いて生産された凍結乾燥血小板では、構成的に発現される受容体GPIbおよびGPIIb/IIIaの、新鮮血小板に対するパーセントは、それぞれ、65-75%および100%の範囲にあった。HLAでは、酸処理した場合、HLA発現レベルは、新鮮血小板に対し5%に下がったが、酸処理しない場合は、100%に留まった。P-セレクチンの場合、このタンパクは、凍結乾燥血小板が活性的であると、安静であるとを問わず構成的に発現した。結果は、上記の表2に表の形にして示される。
上記から、実施例2に示した熱処理工程は、止血にとって重要なタンパクであるGPIbの発現の維持を補佐することが可能である。
[実施例12]
サッカライド負荷バッファーおよび凍結乾燥バッファーにおけるエタノールの作用
本発明の一つの実施態様によるプロトコールは、サッカライド負荷バッファーおよび凍結乾燥バッファー中にエタノールを含む。これらのバッファーにおけるエタノールの存在の作用を定めるために、実施例2の方法によって製造された凍結乾燥血小板を、各種温度において24時間熱処理し、再構成し、サイズおよび顆粒状態に関して定量した。さらに詳細に言うと、新鮮血漿(コントロール)、トレハロースを負荷したが、負荷バッファーまたは凍結乾燥バッファーにはエタノールを含まない再構成凍結乾燥血小板、および、1%エタノールの存在下にトレハロースを負荷し、かつ、0.8%エタノールの存在下に凍結乾燥した再構成凍結乾燥血小板についてFACS分析を行った。結果を図8に示す。
図8において見て取れるように、負荷および凍結の両バッファーにおけるエタノールの存在は、エタノールの不在下に実行された類似プロトコールに比べて、再構成凍結乾燥血小板のサイズ分布を改善した。それと対照的に、エタノールの存在は、再構成血小板の顆粒状態には目立った作用を及ぼさなかった。本発明が始めて、負荷バッファー、および、特に凍結バッファーにエタノールを含めると、それは血小板の安定化を助け、負荷工程におけるサッカライドの取り込みを増進することを示す証拠を提出した。
[実施例13]
HLA低減
本発明の凍結乾燥血小板の調製過程の一つの実施態様は、任意に選択されるHLA低減工程を含む。実施例1および2に記載される過程と組み合わせたこの選択工程の有用性を定めるために、この選択工程を、上記実施例のそれぞれにおいて、血小板の最初のペレット形成の直後に実施した。各実施例におけるHLA低減の詳細は後述する。
実施例1および2で得られたペレット状血小板を、極小容量の還元バッファー(9.5 mM HEPES; 100 mM NaCl; 4.8 mM KCl; 5.0 mMグルコース; 12 mM NaHCO3; 100 mM EGTA, pH4.0)に再懸濁した。なお、この工程において定義される還元バッファーの極小容量は、前工程において取り出された血小板欠乏血漿の容量の約10%に等しい。室温で2時間インキュベーションした後、血小板を、同じ容量の還元バッファーとして、バッファー(9.5 mM HEPES; 100 mM NaCl; 4.8 mM KCl; 5.0 mMグルコース; 12 mM NaHCO3; pH6.8)で3回洗浄し、前と同様にしてペレットとした。
前記選択工程は、組成物の免疫原性を低減する柔軟性を与えるためのプロトコールの中に組み込むことが可能である。前記実施例2によって製造される凍結乾燥血小板は、蒸留水で再水和し、血小板表面におけるHLAの量について試験した。凍結乾燥血小板表面におけるHLA含量について分析するために、本実験は、log-log設定においてBecton Dickenson FACS径測定装置によって実行した。血小板は、その代表的前方および側方散乱光プロフィール(ゲルろ過血小板を用いて行った)、および、FITC抗ヒトHLA-A-B-Cの結合によって特徴を明らかにした。血小板は、別々のチューブにおいてHBMT中で1 ul当たり〜50,000まで希釈し、蛍光標識抗体を、周囲温で3分飽和点において加えた。サンプルは、2 ml HMBTで希釈し、10,000個の個別事例を集めた。蛍光ヒストグラムおよび陽性細胞のパーセントを記録した。これは、蛍光標識抗体に結合した血小板集団を表す。
図9から見て取れるように、酸処理無しでは、調節血小板は、強力な蛍光信号を発現したが、他方、実施例2に概略された酸性バッファーで処理された血小板では、蛍光信号はほぼ95%だけ減少した。
[実施例14]
細胞による増殖アッセイ
実施例4に従って調製された組成物を用いて線維芽細胞および内皮細胞増殖アッセイを行った。手短に言うと、凍結乾燥血小板は下記のように製造された。血小板は、クエン酸デキストロース(ACD)抗凝固バッファー(1.5容量+8.5容量の血液)の中に収集した。血小板富裕血漿(PRP)は、低速遠心(135 x g, 15分)で赤血球を除去して得た。このPRPを、1/14容量のACDを加えてpH6.5まで酸性とし、次に、1000 x g, 10分の遠心にてペレットとした。血小板ペレットを50 mM トレハロース、pH6.8を含む陽イオン非含有タイロードバッファーに再懸濁し、〜1.0 x 109血小板/mlに調整した。この混合物を、半時間毎に混ぜ合わせながら37℃で2時間インキュベートした。最後に、アルブミンを、血小板調製品の全容量の5%の最終濃度となるように加え、血小板調製品を凍結乾燥した。
それぞれ3回および7回継代させた、線維芽細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、ウシ胎児血清添加物を含まない培養液を用い24時間絶食させた。24時間後、細胞を植え継ぎ、96ウェルの平底皿にウェル当たり10,000個細胞で撒き、2-3時間付着させた。一旦細胞が付着したならば、サンプルを加え、37℃に維持し、加湿5%CO2で通気したインキュベータで48時間インキュベートした。48時間時点で、細胞増殖をMTTアッセイ(ATCC)で測定した。該アッセイでは、細胞はMTT染料を減少させ、その減少は590-650nmにおける吸収率で測定可能となる。手短に言うと、MTT染料を、ウェルに対し1:10比で加え、プレートを、37℃、5%CO2加湿インキュベータで2-3時間インキュベートした。インキュベーション後、100 ulの界面活性剤を加え、光学的密度を590-650nmで定量した。A590-650読み取りによって得られた数値を、参照増殖示数として用いた。
増殖アッセイの結果を図10に示す。図は、本発明の凍結乾燥血小板は、線維芽細胞および内皮細胞の増殖に対して、新鮮血小板と事実上同じ作用を及ぼすことを示す。
[実施例15]
コラーゲン-線維芽細胞収縮アッセイ
実施例3において生産された血小板の特性をさらに解明するために、これらの血小板を用いてコラーゲン収縮アッセイを行った。コラーゲン収縮アッセイのために、80%集密の線維芽細胞培養体を、0.05%トリプシン/0.02%EDTAで処理することによって収集した。トリプシンは、0.2%BSAを含むPBSに溶解した大豆トリプシン阻害剤を添加することによって不活性化した。細胞は、DMEM+10%FBSで2度洗浄し、1 x 106細胞/mlの濃度に再懸濁した。線維芽細胞は、DMEMと炭酸水素ナトリウムの最終濃度が1Xとなるように、10%FBS、中和コラーゲン、および濃縮DMEMと混ぜ合わせた。いくつかの実験では、FBSは、30 ng/ml PDGF-BB 2% BSA、または、本発明の再構成組成物および2%BSAの希釈液と交換した。この細胞混合物のサンプル(0.6 ml)を、あらかじめ2%BSAでコートされた24ウェルの組織培養プレートに加え、コラーゲンは37℃で重合させた。コラーゲンの最終濃度は約1.8 mg/mlであり、各ゲルは6 x 104細胞を含んでいた。2時間のインキュベーション後、ゲルをそっとプラスチック表面から剥がし、収縮するにまかせ、各ウェル当たり0.5 ml DMEM+10%FBSを加え、このゲルを5%CO2中で37℃で一晩インキュベートした。コラーゲンゲルがPDGF-BBの添加によって収縮したならば、添加培養液にFBSの代わりに30 ng/ml PDGF-BB+2% BSAを補足した。
コラーゲン収縮アッセイの結果を図11に示す。さらに詳細には、図11は、本発明の凍結乾燥血小板による、コラーゲン線維芽細胞基質再構成のコラーゲン収縮アッセイの結果のグラフを示す。ラット尾部I型コラーゲンと線維芽細胞の混合物を、培養液単独(コントロール)、血小板富裕血漿(新鮮血小板)、または、実施例4によって調製された本発明による組成物(FDP)において培養した場合、本発明の組成物FDP、および新鮮血小板を含むサンプルは、コラーゲン再構成および収縮を示したが、他方、コントロールサンプルは収縮を示さなかった。
図11に示す実験は、本発明の組成物の、創傷治癒および再構成に及ぼす作用を評価するために行った。インビトロで組織の再構成を示すことは難しいけれども、創傷治癒における瘢痕形成および組織再構成を証明するために、自然状態で見られる3次元I型コラーゲンゲルにおける線維芽細胞培養を用いた。従来、いくつかの実験によって、PDGFおよび新鮮血小板は、インビトロにおいてコラーゲンゲルの収縮を増進する可能性のあることが明らかにされていた。図11に示されるように、本発明の組成物は、24時間のインキュベーション時間内に、コラーゲン収縮を増進した。従って、本発明の組成物は、コラーゲン基質再組織化および線維芽細胞増殖を増進し、かつ、創傷治癒を実現し、促進し、または支援することが可能である。
[実施例16]
組成物の物理的特性の評価
実施例3に従って調製した組成物の構造的構成、特に粒子サイズを分析するために、Beckman Multisizer 3 COULTER COUNTER (Fullerton、カリフォルニア州)を用いて調べた。このマルチサイザーは、最大10 um範囲でサイズおよび容量分布を提供する。本明細書で用いる場合、血小板の容量は2-4 umであり、その場合、1 um未満のものはいずれも血小板微粒子と見なされる。
図12は、血小板調製品のマルチサイザー分析グラフを示す。図は、組成物が、実施例4および5によって製造された血小板調製品においてあるパーセントの血小板微粒子によって構成されることを示す。図12から見て取れるように、実施例4に概説された方法によって生産された全粒子数の内の約10-50%は微粒子であり(FDP-2およびFDP-3と表示されたサンプル)、一方、実施例5に概説された方法によって生産された粒子全数の内の70%を超えるものが微粒子であった(FDP-1)。従って、本実施例によって、本発明による組成物は、凍結乾燥前に極端な低温に暴露されるか、水によって再構成されると、血小板微粒子と無傷の血小板の混合物となることを示すことが明らかになった。
さらに、GPIIb/IIIa、およびその他の血小板表面マーカーの発現を、実施例4および5に従って製造されるサンプルにおいて血小板および微粒子の表面に検出することが可能であり(データ示さず)、かつ、これらのマーカーは、組成物の成分が、フィブリノーゲンでコートされた固相表面に対して結合するのを可逆的かつ特異的に仲介していた(データ示さず)。
[実施例17]
凍結乾燥血小板の凝固機能
本発明の組成物の特性をさらに解明するために、実施例4および5によって製造された凍結乾燥血小板について、凝固機能を実現する能力を試験した。
図13Aは、図12に示したように、様々な量の微粒子を含む凍結乾燥血小板の、全血サンプルの凝固能に及ぼす作用を示す。図13Aに示すデータは下記のようにして得た。凝固時間は、400 ulのACD全血、25 ulの0.2M CaCl2、25 ulの生食液、50 ulの各種濃度の再構成(再水和)凍結乾燥血小板で、サンプルFDP-1、FDP-2、およびFDP-3によるものを含む混合物について定量した。
図13Aから見て取れるように、全血アッセイの結果は、もっとも高い量の微粒子を含むFDP-3サンプルは、より低いパーセントの微粒子を含むFDP-2およびFDP-3サンプルに比べて、最短の凝固時間を実現することを示す。
図13Bは、図12に示したように、様々な量の微粒子を含む凍結乾燥血小板の、正常なプールされた血漿サンプルの凝固能に及ぼす作用を示す。凝固時間を定量するために、
図13Aに示すデータは下記のようにして得た。凝固時間は、100 ulのAPCT(活性化血漿凝固時間、Analytical Control Systems, Inc., Fischers, インディアナ州)試薬を、様々な調製品FDP-1、FDP-2、またはFDP-3から得られた、各種濃度の水再構成凍結乾燥血小板25 ul、および、市販の業者から購入した因子欠乏血漿25 ulと混合した。この混合物を、水浴において37℃で3分インキュベートし、次に100 ulの0.02M CaCl2 (37℃)を加え、凝固時間を定量した。
図13Bから見て取れるように、血漿使用アッセイの結果は、もっとも高い量の微粒子を含むFDP-3サンプルは、より低いパーセントの微粒子を含むFDP-2およびFDP-3サンプルに比べて、最短の凝固時間を実現することを示す。
[実施例18]
本発明の組成物によるインビボ実験
本発明の組成物の止血能を調べ、それを、広く使用されるQuikclot(登録商標)およびSurgicel(登録商標)製品と比べるために実験を行った。実験は、Qual Tech Labs、ニュージャージー州で行った。実験のためにSprague DawleyラットをHilltop Lab Animalsから購入した。この試験動物は、雄、成獣、同年齢、および体重が約350 gであった。到着時、動物は48時間検疫し、その後、動物達は、NIH要求に合致するワイヤー蓋付きポリエチレン・ケージにペアとして収容した。動物室の温度は毎日記録した。12時間の明/暗サイクルを維持した。Purinaげっ歯類用固形餌および水道水を自由に供給した。ただし、実験の前は一晩絶食させた。実験は、体重100グラム当たり0.05 mlで筋肉内投与した、ケタミン/キシラジン7:1混合液で麻酔させたラットに対して行った。各試験動物は、手術台に載せて固定した。頚部および下腹部の毛を剃毛し、手術部位をベタジンを浸したスワッブで清拭した。次に、頚動脈を露出、分離した。絹の縫合糸を用い、動脈を緊縛遮断し、緊縛点からできるだけ遠い地点でクランプした。緊縛点とクランプの間において動脈に対し、20ゲージのカテーテル設置単位によってカテーテル挿入した。カテーテルを固定し、WECO血圧モニターに接続した。クランプを外し、血圧を安定させた。腹壁に約20 mm長の正中切開を施した。腹部動脈を分離し、絹の縫合糸を、実験の間位置確認を容易にするために動脈の下に通した。その後、腹部大動脈に対し23ゲージ針を用いて穿刺を行った。本発明の組成物を含む各種止血剤を出血部位に適用した。これを、コントロールグループと比較した。生存率を評価し、生命徴候、例えば、収縮血圧、心拍数、および酸素飽和を30分間監視した。実験の終了時、該げっし動物を安楽死させた。
図14は、Surgicel(登録商標)、QuikClot(登録商標)、および本発明の組成物の間で、出血阻止を比較する写真を示す。図14Aは、動脈創傷部位を示す参照写真を示す。図14Bに示すように、動脈を針で穿刺し、直ちにQuikClot(登録商標)を損傷部位に塗布した(2グラム)場合、処置2分後においてもなお、その時点で傷口から血液が依然として湧出することから明らかなように、出血を阻止することができなかった。図14Cに示すように、Surgicel(登録商標)を止血剤として塗布した場合も同じパターンを示した。すなわち、該止血剤の塗布後2分以上経過した後も出血は続いた。一方、実施例5の手順に従って製造された本発明の組成物を用いた場合、出血は速やかに減少し、創傷部位に対する塗布2分以内に出血はしっかりと止まった(図14D)。このデータに基づいて、本発明の止血剤は、従来技術で利用可能な他の薬剤よりも優れており、出血、それも激しい動脈出血さえ停止可能であるのに対し、他方、他の止血剤はそれができなかったと結論された。
本発明の組成物のインビボにおける作用をさらに定量するために、前述の実験に使用されたラットの生命徴候を、収縮血圧、平均血圧、および心拍数を30分間に渡って記録することによって監視した。図15は、その腹大動脈を穿刺され、次に、本発明の凍結乾燥血小板、Surgicel(登録商標)、およびQuikClot(登録商標)で治療された、げっ歯動物の平均血圧のグラフである。実験はコントロール(出血部位に圧を印加しなかった)を含む。血圧は、WECOモニターを用いて30分測定した。動物は処置後屠殺した。
図15に示すように、Surgicel(登録商標)グループおよびコントロールグループ(出血部位に圧を印加しなかった)の平均血圧は、穿刺処置後全く回復しなかった。QuikClot(登録商標)グループの動物は若干血圧を取り戻したが、正常に復帰することはできなかった。逆に、本発明の組成物で治療されると、穿刺処置後1200-1400秒以内に、正常な血圧が戻り、実験期間中ずっと安定していた。
げっ歯動物の心拍数を監視したところ、本発明の組成物で治療されたグループにのみ、心拍数が速やかに正常に復帰したことが認められた(コントロール、Surgicel(登録商標)、およびQuikClot(登録商標)はできなかった)。
処置中はずっと、動物達を連続して目視で監視した。動物は全て30分後も生存していたけれども、Surgicel(登録商標)、QuikClot(登録商標)、およびコントロールグループの動物は喘ぎ、心拍はきわめて微かであった。一方、本発明の組成物で治療された動物は、正常に呼吸し、心拍もほとんど正常であった。このデータに基づき、本発明の組成物は、強力なインビボ止血剤であることが結論された。
上記データから、本発明の組成物は、その物理的表面構造および全体性の大部分を保持することが明らかである。さらに、組成物は、コラーゲン再構成および線維芽細胞増殖(前述の実施例を参照)にも関与する。いかなる特定の理論によっても拘束されるものではないが、本組成物の中には、増殖因子の天然のプールが含まれており、それらが、創傷治療の外にも細胞および組織再生を支援するものと考えられる。
これらの現象は全て、本発明の組成物が、血小板と血小板微粒子の独特の混合物をある定義された比率で含むことを示唆するものと考えられる。さらに、上記データはまた、本発明の組成物が、高圧で出血する大動脈を、その出血部位に塗布されると速やかに、かつ効果的に密封することを示した。さらに、この止血活性は、QuikClot(登録商標)またはSurgicel(登録商標)よりも優り、高圧下で、圧迫されない出血部位における出血を止めることが可能な止血剤として有用であり、効果的であることが実証された。
[実施例19]
インビボ特性のさらに別の分析
実施例4に従って製造される組成物の性質をさらに定量するために、さらに別のインビボ創傷治癒実験を行い、この実験で得られた細胞にぶいて分析を行った。インビボ創傷実験のために、糖尿病マウス(雄Lebr db+/+)を用いた。30匹の動物を注文し、創傷部位に切開創を入れるまで1ケージ当たり5匹で飼育した。麻酔剤(ネンブタール/ペントバルビタール)は、60 mg/kgの用量で腹腔内投与した。麻酔の深度は、動物の足のつま先を摘んだり、屈曲反射によって評価した。麻酔されたマウスの背部を電気剃刀にて剃毛した。残留毛は全て、脱毛ローション(水酸化カルシウムベース)を短時間皮膚に塗布して完全に除去し、次に、温めた生食液で濯いだ。手術前、剃毛皮膚をベタジンで清め、次に70%EtOHで拭った。マウスの無毛の背部から、1 x 1 cm2の皮膚全断切片が下記のように切除された。皮膚をピンセットで持ち上げ、鋏で切れ目を入れた。皮膚を持ち上げることで、切れ目が確実に皮筋層を貫いて移動することが保証される。第1カットに続いて、部分的に剥がされた皮膚領域をピンセットで保持し、さらに2回または3回のカットによって切除を完了した。皮膚切除創傷の完了後、動物を、複数の試験グループ(グループ当たり10匹の動物)に分け、対応する試験物質をその創傷底に塗布した。10匹の動物に対しては閉塞的包帯のみを適用し;10匹の動物には手術当日、手術後2、5、9、および12日目に5 x 108 FDPの単一回塗布を行った。Benzoinチンキ化合物を傷の辺縁周囲に配し、Tegadermを傷口を被うように配した。手術後、術後の鎮痛のために、マウスには12時間毎にブプレノルフィン0.05 mg/Kg2を24時間与え、次に毎日必要に応じて与えた。麻酔から完全に回復した後、マウスは、動物介護施設に移送し、そこで一匹一匹ケージに収容され、1日2回監視された。マウスについて不活性、食欲減退を監視し、傷口を調べた。実験期間中1日置きに傷口の測定を行った。これらの日々において、各グループについて1匹ずつCO2ガスの吸引によって屠殺した。その動物から、免疫学的実験のために、血液、腎臓、および肝臓サンプルを採取し、創傷部位を免疫組織学的分析のために取り出した。創傷感染を呈した動物は全て実験から排除した。
創傷底部の免疫組織学的分析を図16に示す。データは下記のようにして得られた。創傷底部の組織を、各グループの1匹の動物から3日に1回、染色のために取り出した。染色切片を低倍で走査し、もっとも強力な新規血管形成の見られる領域を特定した。新規血管形成を評価するために、40x倍率において、スライド当たり3箇所のフィールドを系統的に、すなわち、創傷の中央部から一つ、傷口の辺縁から二つ採取した。
創傷底部組織を顕微鏡かで丁寧に調べてみると、FDP、新鮮血小板、およびVEGPを与えられたグループでは、強力な新規血管形成が見られることが明らかになった。新規形成血管は、傷口辺縁を始め、中央部においても認めることができる。血管の絶対数を数えて見ると、FDP、新鮮血小板、およびVEGFを投与されたサンプルにおける血管の数はほぼ同じであった。図16に見られるように、閉塞的包帯、単一投与、および複数回投与グループの1、9、および15日目における創傷底部の顕微鏡像は、血管形成の増大を示す。
図17は、図16のデータをグラフ的に示す。さらに詳細には、図17は、創傷底部組織における血管数を定量する棒グラフである。創傷組織は、治癒するために血管を必要とするので、創傷底部に対する凍結乾燥血小板の塗布は、組織再生に必要な増殖因子を供給するばかりでなく、新規血管の増殖を刺激する。このデータは、本組成物によって生成される血管の数は、新鮮血小板およびVEGFコントロールのものに近似することを示した。以上、凍結乾燥血小板は、効果的な創傷治癒剤である。
[実施例20]
傷口閉鎖測度および複数投与の評価
この実施例では、手術の日に1回投与を受けた動物、および、閉塞的包帯を受けただけの動物と比較した場合の、凍結乾燥血小板の複数回投与の、創傷治癒に及ぼす作用を定めるために実験を行った。複数回投与FDPグループでは、動物は、手術の日と、術後2、5、9、および12日目に、5回の5 x 108血小板の投与を受けた。単回投与FDPグループでは、動物は、手術の日に1回の5 x 108血小板の投与を受けた。閉塞包帯グループの動物は、血小板の投与を全く受けなかった。
実験結果を図18に示す。図は、複数回投与FDPグループの動物は、傷閉鎖速度がはるかに速く、完全閉鎖に僅か16日しか要しなかった。単回投与および閉塞包帯グループでは、創傷閉鎖速度ははるかに遅く、完全な閉鎖には17日および21日を要した。さらに詳細には、創傷測定を、1日おき(または3日に1回)に行った。16日目までに、複数回投与グループは、完全な傷口閉鎖をほぼ達成したが、一方、単回投与および閉塞包帯グループは、それぞれ、少なくとも17および21日を要した。複数回投与グループでは、創傷平均面積が、実験の全期間を通じて、単回投与および閉塞包帯グループよりも小さかったことも重要である。
[実施例21]
創傷閉鎖速度および、期限内および期限外血小板単回投与の評価
様々なタイプの血小板および血小板調製品のインビボ治療用途に対する適性を決めるために、血小板を、単回投与における傷口閉鎖能力について評価した。先ず、1日だけ期限を出た血小板を実施例4に従って調製した。手短に言うと、血小板は、クエン酸デキストロース(ACD)抗凝固バッファー(1.5容量+8.5容量の血液)の中に収集した。血小板富裕血漿(PRP)は、低速遠心135 x g, 15分で赤血球を除去して得た。このPRPを、1/14容量のACDを加えてpH6.5まで酸性とし、次に、1000 x g, 10分の遠心にてペレットとした。血小板ペレットを50 mM トレハロース、pH6.8を含む陽イオン非含有タイロードバッファーに再懸濁し、〜1.0 x 109血小板/mlに調整した。この混合物を、半時間毎に混ぜ合わせながら37℃で2時間インキュベートした。最後に、アルブミン濃度を、凍結乾燥用血小板調製品の5%となるように調整した。
実験では、動物に対し、期限内または期限外FDPを単回用量塗布した場合の創傷治癒に及ぼす作用を、閉鎖包帯のみの作用と比べた。FDPグループでは、動物に対し、手術当日に、5 x 108血小板の単回塗布を行った。閉鎖包帯グループの動物には血小板の投与は行わなかった。創傷測定は、1日置きに行った(または3日に1回)。図19から見て取れるように、本発明の期限内または期限外凍結乾燥血小板いずれかの単回投与は、創傷を完全に治癒するのに17日を要した。一方、前述の結果と一致して、閉鎖包帯グループは、創傷を完全に治癒するのに21日を要した。従って、期限内および期限外血小板の間には創傷治癒能力において差はなく、両方とも閉鎖包帯技術よりも優れていた。
[実施例22]
本発明の組成物用送達システム
本発明による組成物は、エロゾルシステムで使用されるよう圧縮空気の中に懸濁されるように処方された。このシステムでは、圧縮空気は、血小板組成物を出血部位に吹き付ける推進剤として働く。このシステムでは、組成物に押し付けられた空気は、エロゾルシステムのディップチューブを通じて、さらにバルブが開放されている場合は該バルブを通じて組成物を強制的に送り出す。このスプレイ装置は、創傷部位から腹腔に挿入されたノズルを含んでいた。本発明の組成物を含む噴霧は、出血部位に作用し出血を止めた。
[実施例23]
組成物の物理的特性の評価
さらに、実施例2に従って調製した組成物の構造的構成、特に粒子サイズを分析するために、Beckman Multisizer 3 COULTER COUNTER (Fullerton、カリフォルニア州)を用いて調べた。このマルチサイザーは、最大10 um範囲でサイズおよび容量分布を提供する。本明細書で用いる場合、血小板の容量は2-4 umであり、その場合、1 um未満のものはいずれも血小板微粒子と見なされる。
図4のデータを裏付ける図20に示すデータから、本発明の組成物は、水によって再構成されると、新鮮血小板と同様のサイズを保持することが明らかである。さらに、図20から、この、凍結乾燥血小板調製プロトコールは、大部分は血小板であって、ある程度の僅かの微粒子を含む組成物をもたらすことが分る。さらに詳細に言うと、図20は、実施例2に開示される方法に従って調製された組成物のサイズ範囲の分析結果を示す。再水和されると、再水和粒子は、サイズデータで明らかなように、血小板と血小板微粒子の混合物を示す(図20)。微粒子のパーセントは、組成物中の全体粒子数の約1-20%の間のどこかにあると推定される。
[実施例24]
正常血漿プール用較正試薬としての凍結乾燥血小板の使用
前述のように、凍結乾燥血小板は、血小板機能を監視するために使用することが可能であることが見出された。この所見にそって、血液凝固に関与する凍結乾燥血小板の能力を定量した。このために、様々な量の凍結乾燥血小板を、多くの正常ドナーからプールした血漿と混ぜ合わせ、血液凝固塊を生成するのに要した時間を定量した。
凝固時間を定量するために、100 ulのAPCT(活性化血漿凝固時間、Analytical Control Systems, Inc., Fishers、インディアナ州)試薬を、25 ulの、各種濃度の水再構成凍結乾燥血小板および、25 ulの、市販の業者から得た正常血漿プールと混合した。混合物を、水浴中で37℃で3分インキュベートし、次に、100 ulの0.02 M CaCl2 (37℃)を加え、凝固時間を定量した。
図21から見て取れるように、ある任意の量の正常血漿に加えられた凍結乾燥血小板の量は、凝固時間が、凍結乾燥血小板の量に比例する標準曲線を生む。従って、凍結乾燥血小板は、凝固塊形成に関与するばかりでなく、血漿における正常な凝固時間を特定するのに使用することも可能である。ある任意の量の凍結乾燥血小板と血漿における正常な凝固時間と比較することによって、個別のサンプルの、例えば、血液凝固システムの疾患または障害を持つ、または持つことが疑われる患者から得られたサンプルの血液凝固能の異常を特定することが可能である。
標準的凝固アッセイは、内在的凝固機構を活性化するために血小板因子3(リン脂質)に依存する。リン脂質成分を補給するために新鮮血小板を用いるアッセイもある。本発明においては、リン脂質は、新鮮血小板ではなく、凍結乾燥血小板によって補給される。従って、この実験は、凍結乾燥血小板が、新鮮血小板と同じ物理的性質を持つことを示すばかりでなく、凍結乾燥血小板が同様の機能性を持つことも示す。
[実施例25]
血小板欠乏血漿用較正試薬としての凍結乾燥血小板の使用
凍結乾燥血小板は、正常血漿と混合されると、標準的凝固時間反応を与えることができるという能力に関する概念はさらに、凍結乾燥血小板は、血小板欠乏血漿のための較正試薬としても使用が可能であるかどうかを定めるという試みまで拡張された。すなわち、前述の実験は、凍結乾燥血小板は、正常血漿を含む混合物において、血液凝固に、再現的に、かつ予想可能な形で、関与することができることを証明した。実験は、凍結乾燥血小板は、血小板を欠乏するという点で異常な血漿と組み合わせた場合に、同様に凝固反応に関与することができるかどうかを定めるために行われた。血漿から血小板が故意に取り除かれ、凍結乾燥血小板が、その新鮮血小板の代わりに加えられた。サンプル中における新鮮血小板数は無視できるものであった(約5000血小板/ul)。
図22から見て取れるように、ある任意の量の血小板欠乏血漿に加えられた凍結乾燥血小板の量は、凝固時間が、凍結乾燥血小板の量に比例する標準曲線を生む。従って、凍結乾燥血小板は、血小板欠乏血漿において凝固塊形成に関与するばかりでなく、そのような血漿における凝固時間を特定するのに使用することも可能である。ある任意の量の凍結乾燥血小板と正常血漿における正常な凝固時間と比較することによって、個別のサンプルの、例えば、血液凝固システムの疾患または障害を持つ、または持つことが疑われる患者から得られたサンプルの血液凝固能の異常を特定することができるばかりでなく、血小板欠乏サンプル中の血小板の数を定量することも可能である。実際、この実験から引き出すことができる一つの結論は、血小板を全く含まない血漿(または、極端に低い血小板数を持つ血漿)では、凍結乾燥血小板は、他の血液成分(すなわち、凝固因子阻害剤、または、凝固経路内部の他の任意の欠陥)を較正するための較正試薬として使用できるということである。正常血漿では、凍結乾燥血小板も、同じ目的のための較正試薬として使用が可能である。ここに開示されるシステムは、任意の血漿サンプルにおいて、その中に存在する血小板とは無関係に、凝固タンパク欠損を探るための、または、何らかの凝固阻害因子を探るための試薬として凍結乾燥血小板を使用する。例えば、血友病血漿において、凍結乾燥血小板は、様々の欠陥を抱える凍結血漿に対して適用したところ、IX、X、およびXI因子の欠損を特定し、矯正することができたが、VIIIおよびII因子の欠損では出来なかった。この事実における一つの利点は、ある検査室が凍結血漿を受け取ると、この凍結乾燥血小板試薬を用いて、速やかに凝固タンパク欠損を決定できることである。
本実施例は、血小板を全く含まない血漿(または、極端に低い血小板数を持つ血漿)では、凍結乾燥血小板は、他の血液成分(すなわち、凝固因子阻害剤、または、凝固経路内部の他の任意の欠陥)を較正するための較正試薬として使用できるということを示す。正常血漿では、凍結乾燥血小板も、同じ目的のための較正試薬として使用が可能であることは明白である。このシステムは、任意の血漿サンプルにおいて、血小板が存在するか否かに関係なく、凝固タンパク欠損を探るため、または、何らかの凝固阻害因子を探るための試薬として凍結乾燥血小板を使用する。例えば、血友病血漿において、凍結乾燥血小板を、様々の欠陥を抱える凍結血漿に対して適用した。その組み合わせは、IX、X、およびXI因子の欠損を特定し、矯正することができた。しかしながら、VIIIおよびII因子における欠損の矯正は示されなかった。このシステムの一つの利点は、ある検査室が凍結血漿を受け取ると、凍結乾燥血小板と本発明のシステムを用いて、速やかに凝固タンパク欠損を決定できることである。
[実施例26]
凝固因子欠損に対する診断試薬としての凍結乾燥血小板の使用
血漿の凝固能における欠陥を特定するために凍結乾燥血小板を使用することが可能であるという知識に基づいて、血液凝固系路における特異的欠陥を特定するために凍結乾燥血小板を用いることが可能かどうかを定めるための実験を設計した。凝固時間を定量するために、100 ulのAPCT(活性化血漿凝固時間、Analytical Control Systems, Inc., Fishers、インディアナ州)試薬を、25 ulの、各種濃度の水再構成凍結乾燥血小板および、25 ulの、市販の業者から得た因子欠損血漿と混合した。混合物を、水浴中で37℃で3分インキュベートし、次に、100 ulの0.02 M CaCl2 (37℃)を加え、凝固時間を定量した。
図23において見て取れるように、凍結乾燥血小板は、凝固因子XI、X、およびIXの欠損による凝固欠陥を矯正することはできるが、VIII因子についてはできない。従って、XI、X、およびIX因子と比較して、VIII因子に基づく凝固欠陥を区別するためにアッセイを実行することが可能であり、凝固塊形成の内在経路における欠損を特定することが可能である。凍結乾燥血小板は、XI、X、およびIX因子欠損を矯正することが可能なのであるから、較正曲線を設定して、血液におけるこれらの因子の欠如、または、存在する場合はその量を正確に定量することが可能である。同じ根拠で、ワルファリン(クマジン)を服用する患者では、ビタミンK依存性因子が損なわれるが、そのような患者でも、凍結乾燥血小板を用いて、その欠乏を監視することが可能である。
[実施例27]
特異的凝固因子欠損を特定するための診断ツールとしての凍結乾燥血小板の使用
凍結乾燥血小板を用い、血小板系における内在的凝固因子における欠損を特定することが可能であるという理解を背景に、凍結乾燥血小板が、全血液系における同じ種類の欠損を厳密に特定するための診断ツールとして使用できるかどうかを試験した。もしもこのことを実行できる能力があるならば、それは、凍結乾燥血小板による診断を、他の市販のアッセイ(例えば、aPTT、PT、ELISA、PCR等)と区別することになる。なぜなら、市販のアッセイでは、特定の欠損を定量するためには、血漿、血清、または個別の血液成分を抽出するために、全血を処理しなければならないからである。参照の都合のために、図24は、血液凝固システムおよび血液凝固阻害剤の概観図を示す。
図25は、血液凝固成分に既知の欠損を持つ血液サンプルの凝固能に及ぼす、凍結乾燥血小板の作用を示す。図に示すデータは下記のようにして得られた。凝固時間を定量するために、400 ulのACD全血(特定の凝固因子に向けた各種抗体、または、保健施設で最近使用される抗凝固剤とインキュベートしたもの)、25 ulのCaCl2、25 ulの生食液、50 ulの、各種濃度の再構成(再水和)凍結乾燥血小板を含む混合物について凝固時間を定量した。
図から見て取れるように、全血アッセイの結果は、血漿使用のアッセイの結果と一致する。凍結乾燥血小板は、IX、X、およびXI因子の欠損については凝固時間を短縮することができたが、VIII因子の欠損についてはできなかった。この結果は、凍結乾燥血小板は、血漿および全血の両方と組み合わせると、IX、X、およびXI因子の欠損を特定すること、および、これらの欠損をVIII因子の欠損と識別することが可能であることを示す。この事実の利点は、凍結乾燥血小板は全血でも十分働くことが可能であり、そのため血漿を処理する手間が回避されることである。
本実施例は、凍結乾燥血小板の反応プロフィールは、特異的抗体を全血に加えた場合、血漿使用システムのものとほぼ同じであることを示す。さらに、全血を各種抗凝固剤で処理した場合、凍結乾燥血小板も、異なる反応速度および反応プロフィールを持つが、これらの抗凝固剤に対して感受性を持つことが判明した(下記参照)。
以上、凍結乾燥血小板の使用は、下記を含むいくつかの明瞭な利点を提供する。すなわち、
凍結乾燥血小板は、内在経路に関与する因子の欠損を特定するための自立型試薬として使用することが可能である。
凍結乾燥血小板は、新鮮血小板とともに使用するのに好適な、任意の既存の臨床装置と共に使用することが可能である。
凍結乾燥血小板は、較正試薬として、既存の診断キットと組み合わせて使用することが可能である。
凍結乾燥血小板は、内在経路に関与する因子の欠損を特定するために全血または血漿に対して使用することが可能である。
[実施例28]
凍結乾燥血小板は、全血に対し明瞭な反応プロフィールを示す。
血液凝固システムにおける欠陥を特定するために凍結乾燥血小板を使用することが可能であるという知識に基づいて、このような血小板を用いて、各種抗凝固剤の有無の検出、またはその作用を特定できるかどうかを試験した。ACDに溶解させた新鮮採取血液を、指定の量の阻害剤とインキュベートした。様々の濃度の凍結乾燥血小板を加え、室温で30分インキュベートした。次に、血液に10 mM CaCl2のカルシウムを加え、凝固時間を定量した。
図26において見て取れるように、全血における抗凝固剤の存在および/または作用を特定するために凍結乾燥血小板を使用することが可能である。凍結乾燥血小板は、特異的抗凝固剤に対しそれぞれ異なる反応プロフィールを示して反応するので、該凍結乾燥血小板は、抗凝固剤の存在を検出するためばかりでなく、その抗凝固剤がどれだけ血中に存在するのかを定めるためにも使用することが可能である。このようにして、血中における抗凝固剤を監視し、それによって、例えば、該抗凝固剤の適切な用量が摂取されていることを確かめるためことも可能である。これは、ヘパリン療法を受ける、心肺バイパス(CBP)患者にとっては特に有効である。血中のヘパリンレベルを定量し、手術に安全な時点を決めるために、このような患者からの血液をベッドサイドにおいて監視することが可能である。
[実施例29]
ビタミンK依存性凝固因子を監視するための凍結乾燥血小板の使用
凝固カスケードにおける多くの凝固因子がビタミンK依存性であり、細胞膜の陰性荷電リン脂質に結合する。さらに、アネキシン-Vマーカーは、血小板の凝固促進活性のマーカーとなる。なぜなら、これは、ビタミンK依存性タンパクと同様に、Ca2+依存的に陰性荷電リン脂質に結合するからである。これらのタンパクの凍結乾燥血小板に対する結合を分析するために、下記の実験を、log-log設定においてBecton Dickenson FACS径測定装置によって実行した。血小板は、その代表的前方および側方散乱光プロフィール(ゲルろ過血小板を用いて行った)、および・または、フルオレセイン標識タンパクの結合によって特徴を明らかにした。血小板は、別々のチューブにおいてHBMT中で1 ul当たり〜50,000まで希釈し、蛍光標識タンパクを、周囲温で30分飽和点において加えた。サンプルは、2 ml HMBTで希釈し、10,000個の個別事例を集めた。蛍光ヒストグラムおよび陽性細胞のパーセントを記録した。これは、蛍光標識タンパクに結合した血小板集団を表す。
図27から見て取れるように、凍結乾燥血小板は、25 mMのFITC-標識アネキシン-V(アネキシンV安静と表示)に結合する。20 uMのTRAPペプチド(SFLLRN)を加えると、凍結乾燥血小板は、新たに別の陰性荷電リン脂質を暴露するので、さらに新たなアネキシンV結合をもたらす(アネキシンV活性と表示)。FITC-アネキシンVの安静凍結乾燥血小板に対する結合が特異的であることを確かめるために、100倍過剰の未標識アネキシンVを加えた。図28から見て取れるように、FITC-アネキシンVは、未標識アネキシンVと競合する。これは、凍結乾燥血小板の陰性荷電表面は、定められた結合部位と構造的に一体化されることを示唆する。
さらに詳細に言うと、本結合アッセイではビタミンK依存性タンパクが用いられた。FITC-標識PPACK-FVIIa(活性部位抑制FVIIa)についてその結合を試験すると、FVIIaは、25 nMの濃度において、新鮮な不活性化血小板のみならず、新鮮な活性化血小板にも結合できないことが判明した(図29)。一方、凍結乾燥血小板を用いると、FITC-FVIIaは、25 nMにおいて特異的結合を示し、この結合は、未標識FVIIaによって競合させることが可能である(図30)。
凍結乾燥血小板に対する、FITC-標識EGR-FXa(活性部位抑制FXa)の結合についても調べた。図31において見て取れるように、FXaの凍結乾燥血小板に対する結合は特異的である。なぜなら、100倍過剰な未標識FXaと競合することが可能だからである。
上記から、全血または血漿における、ビタミンK依存性凝固因子の機能性または濃度の監視において、凍結乾燥血小板を用いることの利点は、これらの実験から明らかである。これらの凝固因子は、特異的に凍結乾燥血小板の表面に結合する。さらに、この、凍結乾燥血小板表面への特異的結合は修飾することが可能である。例えば、凍結乾燥血小板の表面は、各ビタミンK依存性因子に対して特異的な介在因子(発光、またはその他の)に結合させることが可能である。この信号(発光、またはその他の)は、欠如因子(単複)、または、抗凝固剤の影響下にある因子(単複)の正体を厳密に確定するように解釈することが可能である。
[実施例30]
血小板欠陥を特定するための診断試薬としての凍結乾燥血小板の使用
他の実験では、本発明の凍結乾燥血小板は、新鮮血小板と近似の物理的および機能的特性を持つことが示された。その物理的特性をさらに詳細に解明するために、凍結乾燥血小板について、新鮮血小板の凝固に抑制作用を及ぼすことが知られる各種作用剤に対する反応について試験した。
本実施例の実験は下記のように実行した。新鮮血小板および/または凍結乾燥血小板は、0.3%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むHEPESタイロードバッファーに、1 ul当たり250,000個の血小板の最終濃度となるように希釈した。各種作用剤を、下記に略述するように各組成物に加えた。400 ulの組成物を、凝集測定キュベットに入れ、血小板凝集の時間的変化を追った。
アルファ-FIIa:0.05-1 U/ml
ガンマ-FII:0.03 ug/ml
A23187: 10 mM
トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP):SFLLRN: 10 mM
Risto+: 1 mg/ml(20%自己由来クエン酸添加血漿)
Risto-: 1 mg/ml
コラーゲン(Chronolog): 10 ug/ml
エピネフィリン:300 uM
アラキドン酸:0.5 mg/ml
ADP: 20 uM
コントロール:作用剤無し
コラーゲンを用いたアッセイの結果を図32に示す。パネルAは、100%凍結乾燥血小板を用いた場合の凝集パーセントを示す。このパネルは、低量の凝集(約10%)を表すが、凍結乾燥血小板は、コラーゲンに対してほんの部分的にしか感受性を持たないことを示す。それと対照的に、パネルDは、コラーゲンの新鮮洗浄血小板に対する作用を示す。パネルDでは、凍結乾燥血小板では10%を僅かに超える凝集が見られたのと同じ期間にほぼ90%の凝集が見られる。パネルCおよびDから見て取れるように、様々な量の凍結乾燥血小板と新鮮血小板とから成る混合物は、中間レベルの凝集を示し、その量は、添加された凍結乾燥血小板と新鮮血小板の相対的量に依存した。
凍結乾燥血小板の、新鮮血小板の凝集に及ぼす作用を定量するように設計された第2組の実験では、様々の量の凍結乾燥血小板(再水和血小板、またはRH)を、様々な量の新鮮血小板と合わせた。再水和血小板を、表示の濃度において新鮮血小板と混合した。これらのそれぞれにおいて、10 ug/ml(400 ul血小板+ 4 ulの200 mM MgCl (2 mM) + 4 ulの1 mg/mlコラーゲン(10 ug/ml))を混合物に加えた。室温で5分後、標準的全血計数装置(Beckman coulterから販売されるACT10)を用いて血小板を計数した。
図33から見て取れるように、凍結乾燥血小板および新鮮血小板の様々な混合物は、混合物の中に存在する各血小板の相対量に応じて中間的凝集特性を持つ。
さらに、凍結乾燥血小板は、アラキドン酸、コラーゲン、エピネフィリン、トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP)、およびリストセチンに反応して凝集することが観察され、凝集パーセントは、それぞれ、77、83、86、93、および97%であった(図34)。
図32、33、および34の結果は、凍結乾燥血小板は、前述の全ての作用剤に対して反応性を持つ、少なくとも部分的に機能的な受容体を含むこと、また、低いが、検出可能なレベルの自己凝集能を持つことを示す。凍結乾燥血小板を新鮮血小板と混合した反応で、我々は、混合物は、用量依存的に共同的に凝集することが可能であることを証明した。従って、血小板特異的診断ツールとして凍結乾燥血小板を用いることは、下記の様々な実施態様においていくつかの利点を提供する。すなわち、
このようなアッセイを実現する独特の技術−フォルムアルデヒド凝集剤で固定された血小板は凝集しないが、一方、本発明による凍結乾燥血小板は凝集する。
凍結乾燥血小板は、血小板機能欠損、例えば、グランツマン血小板無力症、ベルナール・スーリエ症候群、グレイ血小板症候群、ケベック血小板症候群、ヘルマンスキー・パドラック症候群、チェディアック・ヒガシ症候群、ウィスコット・オールドリッチ症候群、放出欠陥、vWF障害、無フィブリノーゲン血症、スコット症候群、およびその他の先天的障害を監視するのに使用することが可能な関連表面マーカーを保存する。
患者自身の血小板を凍結乾燥し、治療スケージュールの進行中に、その患者自身の血小板機能を監視するための調節剤として使用することが可能である。
プールされた血小板を凍結乾燥し、同じ目的のために汎用血小板試薬として使用することが可能である。
本発明の組成物は、自立型製品であり、血小板分析に好適な、既存の任意の装置に取り付けて使用することが可能である。
[実施例31]
擬似血友病Cの誘発および血小板による治療
血小板C治療用モデルを、本発明の血小板が、この障害を治療することができるかどうかを定めるために開発した。このため、1/10容量の3.8%クエン酸ナトリウムの中に血液を収集し、プールし、1 ml分液に分けた。XI因子(Hematologic Technologies, Inc., Essex Junction, バーモント州)に対するモノクロナール抗体、または生食液コントロールを0と30 ug/mlの間において加え、周囲温で〜15分インキュベートした。400 ulの血液を、25 ulの0.2 Mの塩化カルシウムを含むチューブに移し(最終10 mM)、75 ulのバッファーコントロールまたは再水和血小板を加え凝固を起動した。直ちに、チューブをActalyke活性化凝固時間装置(Helena Labs, Beaumont、テキサス州)に設置し、凝固時間を自動的に記録した。図35Aおよび35Bに示すデータから、血友病Cの誘発モデルにおいて、本発明の血小板は、XI因子の抑制または欠如を補正し、凝固時間を正常範囲に戻すことが可能であることが示された。
[実施例32]
擬似血友病Bの誘発および血小板による治療
本発明の血小板が、血小板Bを治療することが可能かどうかを定めるために、血小板B治療モデルを開発した。実験は、IX因子に対するヒツジ・ポリクロナール抗体、または非免疫性ヒツジ抗体コントロールを用いたことを除いては、実施例31に記載される通りに行った。図36に示すデータは、血友病Bの誘発モデルにおいて、本発明の血小板は、IX因子の抑制に打ち克ち、凝固時間を正常範囲に回復させることを示す。
[実施例33]
阻害剤による後天的血友病の誘発および血小板による治療
本発明の血小板が、後天的血友病を治療することが可能かどうかを定めるために、阻害剤による後天的血友病の治療モデルを開発した。実験は、VIII因子に対するヒツジ・ポリクロナール抗体、または非免疫性ヒツジ抗体コントロールを用いたことを除いては、実施例31に記載される通りに行った。図36に示すデータは、血友病Bの誘発モデルにおいて、本発明の血小板は、IX因子の抑制に打ち克ち、凝固時間を正常範囲に回復させることを示す。図37に示すデータは、阻害剤による血友病の誘発モデルにおいて、本発明の血小板が、VIII因子の抑制に打ち克ち、凝固時間を正常範囲に回復させることを示す。
[実施例34]
血小板による血友病決の治療
本発明の血小板の、真正の血友病血に対する作用を試験するために、様々な形態の血友病に罹患していることが既知である人々から得た血液サンプルを、正常血液および血漿と共に試験した。先天的血友病A、B、またはCを抱える患者から得た血漿、低抗体価(1ベスセダ単位)および高抗体価(140ベスセダ単位)血漿、およびコントロールの正常な血漿プールを、George King Biomedical (Overland Park, カンサス州)から入手した。正常O型ドナーからのクエン酸塩処理血液を新たに得、2 ml分液に分割し、2000 x gで15分遠心し細胞をペレットとした。血漿を除去し、遠心細胞を、先に得た、当量の自己由来血漿で45%ヘマトクリットとなるまで再構成した。この再構成血液(400 ul)を凝固チューブに入れ、前述のように、再構成血小板誘導体の存在下、または不在下にカルシウム再添加によって凝固を起動した。図38に示すデータは、本発明の血小板は、インビボ阻害剤による、血友病血液における、XI、IX、およびVIII因子の欠如を補正し、凝固時間を正常範囲に回復させることを示す。従って、このデータは、実施例31-33に示したモデルシステムで得られた結果を保証し、これらの実施例で使用されたモデルの有効性を裏付ける。
[実施例35]
アプロチニンによる凝固欠陥の誘発および血小板による治療
本発明の血小板が、凝固遅延作用を治療できるかどうかを定めるために、抗凝固剤の投薬による凝固遅延の治療モデルを開発した。正常なクエン酸塩処理を、0-2000 U/mlのアプロチニン(Calbiochem)、または生食液コントロールとインキュベートし、次に400 ulを凝固チューブに入れ、前述のように、再構成血小板誘導体の存在下、または不在下にカルシウム再添加によって凝固を起動した。図39Aおよび39Bに示すデータは、抗凝固剤の投薬によって生じる血液凝固遅延誘発モデルにおいて、本発明の血小板は、該抗凝固因子の作用に打ち克ち、凝固時間を正常範囲に回復させることが可能であることを示す。
[実施例36]
ヘパリンによる凝固欠陥(薬剤誘発凝固障害)の誘発および血小板による治療
本発明の血小板が、凝固遅延作用を治療できるかどうかを定めるために、抗凝固剤の投薬による凝固遅延治療の第2のモデルを開発した。このモデルでは、凝固を遅らせ、または抑制するために全血をヘパリンで処置した。実験は、アプロチニンの代わりに、非断片化リチウムヘパリンを用いたことを除いて、実施例35に記載される通りに行った。図40Aおよび40Bに示すデータは、抗凝固剤の投薬によって生じる血液凝固遅延誘発モデルにおいて、本発明の血小板は、該抗凝固因子の作用に打ち克ち、凝固時間を正常範囲に回復させることが可能であることを示す。
[実施例37]
血小板の組み換えVIIa因子に及ぼす作用
血友病の治療に用いられる既知の凝固剤の活性に対する本発明の血小板の作用を定量するために、カルシウム添加全血を、薬理作用を発揮しない濃度(5 nM)の組み換えVIIa因子単独で、または、本発明の血小板の存在下に処理した。実験の結果を図41に示す。用いた実験システムは、標準的活性化凝固時間(ACT)装置による全血カルシウム再添加凝固時間アッセイである。装置は、外来性の凝固促進因子、例えば、カオリン、セライト、またはガラスを含まない特注の定量チューブを用いた。
図41Aに示すデータは下記のようにして得られた。正常のドナーからのクエン酸塩処理血液を新たに得、2 ml分液に分割し、2000 x gで15分遠心し細胞をペレットとした。血漿を除去し、遠心細胞を、当量の自己由来血漿(PPP、血小板を含まない)、自己由来PRP(PRP)で再構成するか、あるいは、二つの独立ロットから得られた再水和血小板調製品を含むPPP(RHロット1、RHロット2)を用いた。全てのサンプルにおける最終血小板数は、150,000/ulで、45%ヘマトクリットであった。この再構成血液(400 ul)を凝固チューブに入れ、前述のように、再構成血小板誘導体の存在下、または不在下にカルシウム再添加によって凝固を起動した。
図41Bおよび41Cに示すデータは下記のようにして得られた。再水和血小板は、0.35%ウシ・アルブミンを含み、かつ、無添加、1 mM MgCl2、2 mM CaCl2、または両方添加した、2価陽イオン非含有HEPESタイロードバッファーによって1 ul当たり50,000−100,000個に希釈した。50 ulの希釈血小板を、単独で、または、5 nM(薬理作用発揮濃度未満)、または25 nM(薬理作用発揮濃度)のFITC-PPACK-FVIIaと、周囲温で30分インキュベートし、次に、2 mlの同じバッファーで洗浄し、log-log設定によるフローサイトメトリーで分析し、データは、血小板のみ通過ゲートについて得た。
図41A、41B、および41Cから見て取れるように、本発明の再水和血小板は、組み換えVIIa因子の活性を、薬理作用を発揮できない量の、該組み換えヒトVIIa因子が、凝固時間を正常範囲にまで効果的に短縮可能とするまでに強化した。さらに、同図は、Ca2+によって増強された反応において、FVII因子変異種が、再水和血小板表面に直接結合することを示す。これは、組み換えVIIa因子および他の凝固因子のコストを考えると重要な所見であり、間違いなく血友病治療のコストを著明に下げると考えられる。
[実施例38]
本発明の血小板に対するアネキシンVの結合
本発明の血小板の性質をさらに解明するために、本発明の血小板に対するアネキシンVの結合を定量した。アネキシンVは、血小板の凝固促進活性のマーカーとなる。なぜなら、アネキシンVは、ビタミンK依存性凝固因子と同様、カルシウム依存性に、陰性荷電リン脂質に結合するからである。図42は、アネキシンVが、本発明の血小板に結合することを示すフローサイトメトリー・プロフィールデータを示す。
本発明の実施においては、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、様々な修飾および変更が可能であることは当業者には明白であろう。本発明の他の実施態様も、従来技術に熟練した当業者には、本発明の明細書および実施例を考察することによって明白であろう。本明細書および実施例は単に例示と見なされるべきであって、本発明の範囲および精神は、頭書の特許請求項によって示されることが意図される。
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本明細書に引用された文献は全て、参照することによりその全体を本明細書に含める。
図1は、従来技術で既知の方法、および本発明の実施態様による方法とによる凍結乾燥血小板の調製に関わる工程を示すフロー概念図である。 図2は、本発明の実施態様の凍結乾燥血小板が、血漿凝固作用を用量依存的に強化する、その効力を示すグラフである。 図3は、本発明の実施態様の凍結乾燥血小板が、凝固収縮を強化する、その効力を示すグラフである。 図4は、本発明の実施態様によって調製される、熱処理された凍結乾燥血小板のサイズおよび顆粒状態に関するアッセイ結果を表す、蛍光活性化細胞ソート(FACS)分析を示す。パネルAは、様々な熱処理後における、再構成凍結乾燥血小板、および新鮮血小板のサイズを示す。パネルBは、様々な熱処理後における、再構成凍結乾燥血小板、および新鮮血小板の顆粒状態を示す。 図5は、加熱しないサンプル(パネルA)をコントロールとし、75℃(パネルB)から80℃(パネルC)、85℃(パネルD)に至る様々な温度における、凍結乾燥後熱処理工程の、血小板サイズに及ぼす作用を示す。 図6は、加熱しないサンプル(パネルA)をコントロールとし、75℃(パネルB)から80℃(パネルC)、85℃(パネルD)に至る様々な温度における、凍結乾燥後熱処理工程の、血小板顆粒状態に及ぼす作用を示す。 図7は、新鮮血小板(パネルA)、従来技術で既知の主導的プロトコールによって製造された凍結乾燥血小板(パネルB)、および本発明のプロトコールによる血小板(パネルC)のFACS分析結果を表す。 図8は、再構成凍結乾燥血小板のFACS分析であって、サッカライド負荷バッファーおよび凍結乾燥バッファーにおけるエタノールの存在の及ぼす作用を示す。 図9は、酸処理を含めた、本発明による実施態様に従って生産された場合における、凍結乾燥血小板表面のHLAマーカーの相対的量に関するFACS分析を示す。 図10は、線維芽細胞(パネルA)およびヒト臍帯静脈内皮細胞(パネルB)の増殖に及ぼす凍結乾燥血小板の作用を表すグラフを示す。 図11は、本発明の凍結乾燥血小板による、コラーゲン線維芽細胞基質モデルのコラーゲン収縮アッセイの結果のグラフを示す。 図12は、3種の異なる、凍結乾燥血小板調製プロトコールの、微粒子濃度に及ぼす作用を示すグラフである。 図13は、微粒子濃度が高いほど、局所的創傷治癒に効果的作用を及ぼすことを示すグラフを表す。パネルAは、微粒子濃度の、全血の凝固時間に及ぼす作用を示す。 図13は、微粒子濃度が高いほど、局所的創傷治癒に効果的作用を及ぼすことを示すグラフを表す。パネルBは、微粒子濃度の血漿に対する作用を示す。 図14は、Surgicel(登録商標)、QuikClot(登録商標)、および本発明の組成物の間で、出血阻止を比較する写真を示す。パネルAは腹大動脈穿刺部位を示す。パネルBは、QuikClot(登録商標)の、大動脈の出血に及ぼす作用を示す。パネルCは、Surgicel(登録商標)の出血に及ぼす作用を示す。パネルDは、本発明の組成物の出血に及ぼす作用を示す。 図15は、その腹大動脈を穿刺され、次に、出血部位に対する、本発明の凍結乾燥血小板、Surgicel(登録商標)、QuikClot(登録商標)の塗布、出血部位に対する止血剤塗布無し・圧印加無しで治療された、げっ歯動物の血圧のグラフを示す。 図16は、閉塞的包帯、本発明の凍結乾燥血小板、またはVEGFによって治療された、創傷部位の傷口底部の顕微鏡視野の写真を示す。 図17は、図16に示した血管形成の結果を定量化したグラフを示す。 図18は、創傷治癒について異なる治療スケジュールを比較するグラフを示す。 図19は、凍結乾燥血小板の供給源として用いた、期限内および期限外血小板の創傷治癒効果を比較するグラフを示す。 図20は、本発明の組成物である再水和凍結乾燥血小板および新たに単離された血小板のサイズ分布を示す。 図21は、正常血漿プールによる、凍結乾燥血小板・対・凝固時間の標準曲線を示す。 図22は、血小板欠乏血漿による、凍結乾燥血小板・対・凝固時間の標準曲線を示す。 図23は、血友病血漿における凝固欠陥の検出を示す。 図24は、凝固および凝固阻害剤の全体スキームを示す。 図25は、全血における凝固タンパク欠損を識別するアッセイの結果を示す。 図26は、本発明の凍結乾燥血小板の、抗凝固剤との特異的反応を示す。 図27は、凍結乾燥血小板がイオノフォアによって活性化され、これが、凍結乾燥血小板においてFITC-アネキシンV結合に対しさらに新たな結合部位を暴露することを示す。 図28は、凍結乾燥血小板の、50 nM FITC-アネキシンVに対する結合が、100倍過剰の未標識アネキシンVと競合することが可能であることを示す。 図29は、25 nMの標識FVIIaは、不活性化、およびイオノフォア活性化両方の新鮮血小板に結合できないことを示す。 図30は、25 nMのFVIIaの凍結乾燥血小板に対する直接結合を表し、かつ、該結合は、2500 nMの未標識FVIIaによって競合させることが可能であることを示す。 図31は、100 nMのFXaの凍結乾燥血小板に対する直接結合を表し、かつ、該結合は、10000 nMの未標識FXaによって競合させることが可能であることを示す。 図32は、凍結乾燥血小板、新鮮血小板、および両者の混合物の、コラーゲン仲介凝集に及ぼす作用を示す。 図33は、凍結乾燥血小板、新鮮血小板、および両者の混合物の単一細胞計数によって判定した、コラーゲン仲介凝集の作用を示す。 図34は、アラキドン酸、コラーゲン、エピネフィリン、トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP)、およびリストセチンに暴露した場合に生じる、凍結乾燥血小板の介在性凝集に及ぼす作用を示す。図はまた、単一細胞計数で判定した、凍結乾燥血小板の凝集パーセントも示す。 図35Aは、XI因子に対するモノクロナール抗体が、凝固時間を約300秒から約500秒に延長することによって擬似後天的血友病Cを誘発することを示す。 図35Bは、再水和血小板誘導体を含む本発明の組成物が、後天的血友病C(XI因子に対する阻害剤)の全血モデルにおいて凝固時間を短縮することを示す。 図36は、IX因子に対するモノクロナール抗体は、擬似後天的血友病Bを誘発すること、および、再水和血小板誘導体は、後天的血友病B(IX因子に対する阻害剤)の全血モデルにおいて凝固時間を短縮することを示す。 図37は、VIII因子に対するモノクロナール抗体は、擬似後天的血友病Aを誘発すること、および、再水和血小板誘導体は、後天的血友病A(VIII因子に対する阻害剤)の全血モデルにおいて凝固時間を短縮することを示す。 図38は、再水和血小板誘導体が、真正血友病血漿から得られた再構成全血の凝固時間を短縮することを示す。 図39Aは、薬剤誘発性凝固障害のモデルとしてのアプロチニン抑制を示す。 図39Bは、アプロチニンによる抑制が、再水和血小板誘導体(RHP)によって逆転可能であることを示す。 図40Aは、薬剤誘発性凝固障害のモデルとしてヘパリンによる抑制を示す。 図40Bは、ヘパリンによる抑制が、再水和血小板誘導体によって逆転可能であることを示す。 図41Aは、RHPが、ヒトVIIa因子(NovoSeven(登録商標)、Novo Nordiskから購入)の薬理作用を発揮しない量の活性を強化することを示す。 図41Bは、FITC-PPACK因子VIIとRHPとの特異的相互作用を示す。 図41Cは、FITC-PPACK因子VIIとRHPとの特異的相互作用を示す。 図42は、アネキシンV結合で判定した、RHPの凝固促進性能を示す。

Claims (17)

  1. 凍結乾燥血小板であって、
    血小板を準備すること;
    少なくとも1種のサッカライドを含む塩バッファーに該血小板を懸濁し、第1組成物を作製すること;
    該少なくとも1種のサッカライドが血小板と接触するのに少なくとも十分な時間、第1組成物を、凍結点を超える温度でインキュベートすること;
    寒冷保護剤を添加して第2組成物を作製すること、
    し、第1組成物は、寒冷保護剤が添加されるまでは、遠心、またはその他の分離工程を受けることはなく、かつ第1組成物、第2組成物またはその両者は血小板活性化阻害剤を含まない;および、
    第2組成物を凍結乾燥して凍結乾燥血小板を作製すること、
    を含む方法によって作製される前記凍結乾燥血小板。
  2. 前記血小板は室温で少なくとも6ヶ月安定であることを特徴とする、請求項1の凍結乾燥血小板。
  3. 請求項1又は2に記載の凍結乾燥血小板を再水和して得た再水和血小板であって、新鮮血小板と事実上同じサイズと顆粒状態を持つことを特徴とする、再水和血小板。
  4. 前記血小板は、さらにショ糖とエピクロロヒドリンとを共重合させることによって得られるポリマーであって、平均分子量が400,000である前記ポリマーを含む組成物中に存在することを特徴とする、請求項3の再水和血小板。
  5. 前記血小板は活性化されないことを特徴とする、請求項3又は4に記載の再水和血小板。
  6. 前記再水和血小板は、渦巻き特性を示す請求項3から5の何れか1項に記載の再水和血小板
  7. (a)請求項1又は2に記載の凍結乾燥血小板および/または請求項3から6の何れか1項に記載の再水和血小板、並びに(b)全血、血漿、または、全血または血漿の成分を含む、インビトロ組成物。
  8. 鮮血小板をさらに含む、請求項7の組成物。
  9. 前記凍結乾燥血小板は再水和されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の組成物。
  10. 前記凍結乾燥血小板又は再水和血小板は、公共の血液供給源から得られたものであることを特徴とする、請求項7から9の何れか1項に記載の組成物。
  11. 前記凍結乾燥血小板又は再水和血小板は、患者の血液凝固活性に悪影響を及ぼす可能性のある治療を現に受けている、または受けることが予定されている患者から得られたものであることを特徴とする、請求項7から10の何れか1項に記載の組成物。
  12. 凍結乾燥血小板の調製法であって、
    少なくとも1種のサッカライドを含む塩バッファーに血小板を懸濁し、第1組成物を作製すること;
    該少なくとも1種のサッカライドが血小板と接触するのに少なくとも十分な時間、第1組成物を、凍結点を超える温度でインキュベートすること;
    寒冷保護剤を添加して第2組成物を作製すること
    但し、第1組成物は、寒冷保護剤が添加されるまでは、遠心、またはその他の分離工程を受けることはなく、かつ第1組成物、第2組成物またはその両者は血小板活性化阻害剤を含まない;
    第2組成物を凍結乾燥して凍結乾燥血小板を作製することおよび、
    前記凍結乾燥血小板を、50℃よりも高い温度で少なくとも10時間加熱することを含む前記方法。
  13. 前記凍結乾燥血小板を、75℃よりも高い温度で少なくとも18時間加熱することをさらに含むことを特徴とする、請求項12の方法。
  14. 前記第2組成物に対し、または、前記第1組成物と前記第2組成物の両方に対しエタノールを添加することをさらに含むことを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記エタノールは、前記第1組成物には1%(v/v)の量で添加され、前記第2組成物では0.8%の量として存在することを特徴とする、請求項14の方法。
  16. 前記寒冷保護剤は、ショ糖とエピクロロヒドリンとを共重合させることによって得られるポリマーであって、平均分子量が400,000である前記ポリマーであることを特徴とする、請求項12から15の何れか1項に記載の方法。
  17. 血小板を準備すること;
    100 mMトレハロースおよび1%(v/v)エタノールを含む塩バッファーに血小板を懸濁し、第1組成物を作製すること;
    第1組成物を37℃で2時間インキュベートすること;
    ショ糖とエピクロロヒドリンとを共重合させることによって得られるポリマーであって、平均分子量が400,000である前記ポリマーを6%(v/v)の最終濃度となるように添加して第2組成物を作製すること;
    第2組成物を凍結乾燥して凍結乾燥血小板を作製すること;および、
    凍結乾燥血小板を75℃で18時間加熱すること、
    を含む請求項12から16の何れか1項に記載の方法。
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