JP5137323B2 - バンパー補強部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の衝突時のエネルギを吸収することにより、自動車の安全性を高めるために使用されるバンパーリインフォース(バンパー補強部材)の製造方法に関する。
近年、自動車業界では、衝突時の乗員への傷害を低減しうる車体構造(車体骨格)の開発が急務の課題となっている。この課題の解決のために、種々の車体構造が検討されてきている。その中でもバンパーおよびバンパー補強部材は特に前面衝突の際に衝撃エネルギーを吸収するとともに他部材へ衝撃荷重を適正に伝達させる重要な働きを担っている。また、比較的低速の軽衝突ではバンパーおよびバンパー補強部材だけで衝撃を吸収することで、他部材の変形を防ぎ、全体としての修理費用を低減させることも重要な機能である。一方で車両全体の軽量化は燃費向上や運転性能のために重要であり、バンパー補強部材も軽量化が求められている。
バンパー補強部材の軽量化のためには材料置換の手法が用いられている。その一つはアルミニウム押し出し材の使用であり、性能と重量のバランスが優れていることが知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、アルミニウムの使用は一般にコストが高くなることが知られている。また、高強度鋼板の適用も盛んに検討されている(例えば、特許文献2、及び、特許文献3)。しかしながら一般に高強度鋼板の成形性はその強度が高くなるとともに劣化するため、成形不良であるワレやシワ発生が懸念され、また必要な形状精度を得ることが難しく、その適用は比較的単純形状に限られていた。
このような中で開発されてきたのが加熱した鋼板を成形しつつ、金型からの抜熱により焼入れを行うホットスタンピング技術である。例えば、特許文献4に開示されているように、この技術を用いることにより高強度かつ高い形状精度を持つ部材が得られる。しかしながら一般に高降伏点の材料で構成される部材に衝撃荷重を加えた場合オイラー座屈のような全体の曲げモードが卓越しやすくなり、崩壊荷重を越えたところで変形荷重が一気に低下してしまう恐れがある。また、バンパー補強部材には前面衝突に加えて、軽衝突の様々な荷重負荷条件でも安定してエネルギを吸収することが求められており、そのような部位に適用するためには荷重負荷時の挙動を安定化させることが必要であり、ホットスタンピング技術を用いたこのような問題に対する対策は従来開示されていなかった。
異なる荷重条件に対応させるためバンパー補強部材の部材長手方向に変化を与えることについては、例えば、特許文献5に開示されている。これによると両端部で断面を徐変させることで安定性を増している。しかしながら一般に断面の徐変はシワ等の形状不良が生じやすく、コスト高となる傾向があった。また更に、例えば、特許文献6に開示されているように異なる強度および板厚の素材をつなぎ合わせたいわゆるテーラードブランクを用いたバンパー補強部材を製作する技術が開示されている。これにより部材長手方向に変化を与えることができるが、接合部の変形集中等から成形が難しく、接合のためにコスト増となってしまう問題があった。
特開平5−278537号公報 特開2000−109951号公報 特開2000−282175号公報 特開2004−238640号公報 特開2000−335333号公報 特開2001−180398号公報
本発明は、自動車の衝突時のエネルギを吸収することにより、自動車の安全性を高めるために使用されるバンパー補強部材の製造方法において、高い吸収エネルギと軽量化を両立するバンパー補強部材の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、バンパー補強部材内で強度分布を持たせることによる効果に注目して検討を行い、同一素材を用いながら局所的に強度低下部を配置することで安定して高い吸収エネルギーを示すバンパー補強部材を得ることができることを見出した。本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 中央部の比較的直線形状の部位に対して両端が屈曲し、さらに屈曲後の最端部までの間に車体構造への取り付け部が位置し、断面が一定であるバンパー補強部材の製造方法において、高強度鋼板からなる金属板を加熱した後に金型を用いて成形しながら焼入れを行う加工を施すバンパー補強部材の製造方法であって、バンパー補強部材の屈曲部となる金型と金属板との間に板厚の110〜500%の空隙を保つことでバンパー補強部材の屈曲部に334〜410Hvの軟質なフェライト+パーライト組織かベイナイト組織である強度低下部位を形成することを特徴とするバンパー補強部材の製造方法。
(2) 中央部の比較的直線形状の部位に対して両端が屈曲し、さらに屈曲後の最端部までの間に車体構造への取り付け部が位置し、断面が一定であるバンパー補強部材の製造方法において、高強度鋼板からなる金属板を加熱した後に金型を用いて成形しながら焼入れを行う加工を施すバンパー補強部材の製造方法であって、バンパー補強部材の屈曲部となる金型と金属板との間に板厚の110〜500%の空隙を保つことでバンパー補強部材の屈曲部に334〜410Hvの軟質なフェライト+パーライト組織かベイナイト組織である強度低下部位を形成し、バンパー補強部材の車体構造への取り付け部となる金型と金属板との間に板厚の110〜500%の空隙を保つことでバンパー補強部材の車体構造への取り付け部に330〜348Hvの軟質なフェライト+パーライト組織かベイナイト組織である局所的な強度低下部位を形成することを特徴とするバンパー補強部材の製造方法。
本発明に基づいたバンパー補強部材を車体に適用することにより、種々の荷重条件下での車両の安全性を高めることができる。また、バンパー補強部材の製造コストを低減させることができ、強度低下部位の配置を変化させることにより、車両の大きさや荷重条件に合わせた調整を行うことが容易であり、車両開発の全体コストも低減することができる。
本発明者らは、まずバンパー補強部材に求められる特性を鋭意検討した。その結果、バンパー補強部材には変形強度が高くかつ変形の進行とともにその強度が極端に低下しないことが必要であることが分かった。変形強度を増すには部材の板厚を増加させるか使用する材料を高強度化させるかであるが、前者は重量増を招くことになり好ましくない。そこで一般には強度の高い材料が用いることが志向されるが、薄肉かつ高強度の部材は塑性変形が開始されるまでの変形抵抗は大きくなるものの、塑性変形が開始し断面崩壊が起こると急速に変形荷重が低下してしまうという欠点を持っている。本発明者らは鋭意検討の結果、部材の中に意図的に強度低下部を設けることでこのような急速な荷重低下を避けることができることを見出した。
金属板を加熱した後に金型を用いて成形しながら焼入れを行う加工方法であるホットスタンピング技術は形状精度の良い高強度の部材を得ることができる方法であることが知られている。特に鋼板を用いると、予めAc3温度以上に加熱しオーステナイト単相組織とした後に、金型を用いて成形を行いつつ焼入れを行うが、十分な冷却速度を確保できた場合には硬質なマルテンサイト組織が得られるため、比較的簡便に高強度の部材を作製することができる。この際重要な点は金型との接触状況であり、金型と十分な接触が行われると高強度となるが不十分な場合には必要な強度が得られない可能性があった。特に縦壁部は成形の下死点近傍でパンチとダイに挟まれて初めて金型と密着するため、接触状態によっては十分な冷却が行われず強度不足となる恐れがあった。本発明者らはこの欠点に逆に着目して、強度低下部位のパンチとダイの間のクリアランスを板厚以上の距離とすることで、被加工材である金属板と金型との間に空隙を保つことで接触を抑制し、緩冷化により軟化させる方法を思い至った。
通常バンパー補強部材はデザインや空力性能の要請から車幅方向で端部に向けて曲率を有する構造を持っている。本発明者らは実際の車体構造に使用されるバンパー補強部材の変形モードを観察し、強度低下部位の配置方法を検討した。従来技術では同一素材を用いて端部の断面高さを小さくすることで形状により部材としての強度低下部を作り出しているが、生産技術上はこの形状は形状不良であるシワを誘発させる恐れがあることや、材料歩留りの悪化や工程数の増加を招くことがあるため好ましくなく、断面が同一形状であることが望ましい。しかしながら、同一素材で同一断面積とすると曲率を持つ部分の相対的な部材剛性が高くなるために車両中央部相当の比較的直線に近い部分で大きな座屈が発生し、座屈発生後は急速な荷重低下を引き起こしてしまうことが分かった。このような状況を避けるためには、曲率の大きい部分すなわち屈曲部に強度低下部を配置すればよいことが判明した。屈曲部に配置した場合には中央部の座屈前に屈曲部の座屈が起こり、全体としての荷重低下が少なく大変形下でも十分な荷重反力を示すことが分かった。
強度低下部は屈曲部以外に車体構造との取り付け部、一般にはバンパーステイと呼ばれる部材との接合位置に配置することも有効である。バンパー補強部材は前面から入力された荷重を両端部近くに位置する車体構造との取り付け部で支えるがこの部分が先行して座屈することにより屈曲部にも変形が生じ、中央部での座屈を避けることができることが分かった。
また前述のように部材の製作上、強度低下部位はバンパー補強部材の縦壁部への配置が容易であり、また性能上も十分である。緩冷化のための金型間のクリアランスについて検討した結果、その最小値は板厚の100%より大きい、好ましくは150%より大きい、ことが望ましいことが分かった。これはこの値以下では金型との接触のため緩冷とならないためである。緩冷とするためにはクリアランスが大きいほど好ましいが、特に曲率の大きい屈曲部に強度低下部位を配置しようとする場合には金型による拘束が減ってしまうため必要な寸法精度が得られない。そのためクリアランスは板厚の500%未満が好ましい。
さらに検討の結果、形状精度と緩冷による強度低下部位の設定を両立させるためには予め強度低下させたい部位に予備成形を行った後に、ホットスタンピングを行えば良い事が分かった。前述の形状精度の低下はクリアランスの増加に伴う金属板に対する金型からの拘束の減少のためであるが、予備成形による凹凸により局所的な剛性が向上するため、クリアランスが増加し金型からの拘束が減少しても形状精度を確保できることが分かった。同様の効果は冷間にて強度低下部位に凹凸形状を含む最終形状まで成形した後に、成形品を加熱した後に、強度低下部位に適切なクリアランスを設定した金型で成形しながら焼き入れることでも得ることができる。また、最終形状に至る中間的な形状で予備成形をすることも可能である。しかしながら、性能的にはこれらのいずれの工程で作製されてもほぼ同一であるものの、一般的に予備成形の度合いが大きくなるほど予備成形金型の製作コストが上昇するとともに、予備成形品の取り回しや、加熱処理が難しくなるため、平板に近い予備成形のみの加工がより好ましい。
本発明に使用する金属板は冷却速度により強度差をつけることができるものであれば特にその種類を制限するものではない。しかしながら、コストと冷却速度による強度の制御性から考えて素材は鋼板であることが好ましい。その鋼板成分は十分な焼き入れ強度を持つためにC量としては、0.05質量%〜0.35質量%である必要があり、要求強度に応じて選択する。引張強度にして1200MPa程度では0.16質量%、1500MPaでは0.22質量%以上を添加する必要がある。また冷却速度により強度低下部を作り出すために焼き入れ性を制御する目的でMn、Si、Cr等を適時添加する。また、板厚は0.8mmから2.6mmの間が性能と重量のバランスが良い。
表面処理に関しては特にその有無は関係しないが、生産性と後処理の簡略化のために表面処理鋼板を用いることができる。この場合特にアルミめっき鋼板を用いることが好ましい。
[実施例1]
以下に実例を挙げながら、本発明の技術内容について説明する。表1に今回の検討で用いた鋼板成分を示す。また、これらの鋼に対してオーステナイト単相域となる温度(Ac3温度)もあわせて示す。ホットスタンピング技術を用いる場合は成形前にこのAc3温度以上に加熱し、オーステナイト単相とする必要がある。焼入れを行った後の強度は主にC量により支配される。成分a、b、dは焼入れ後それぞれ1200MPa、1500MPa、1800MPa程度となるように調整したものである。またcはbと到達強度はほぼ同等であるがMn添加量を増やすことにより、焼入れ性を改善したものである。
実際のバンパー補強部材はその形状、車体への取り付け方法含めて、多種多様である。しかしながら、その基本は荷重入力方向に対して部材長手方向が垂直でありいわゆる曲げにより変形し、エネルギーを吸収する。また、車体の端部は通常デザイン性や空力特性の観点から湾曲させている。つまり中央部の比較的直線形状の部位に対して両端が屈曲し、さらに屈曲後の最端部までの間に車体構造(バンパーステイ)への取り付け部が位置していることでは共通している。そこで本検討では図1に概略を示すバンパー補強部材をモデル部材として用いた。この部材はバンパー補強部材本体1の中に直線的な中央部2と屈曲部3があり、さらに車体構造への結合部(バンパーステイ)5とその本体1への取り付け部4から構成される。バンパー補強部材の断面は一定とし、図2に示すようにいわゆるハット型を持つものとした。強度低下部は図2に示す縦壁部8(荷重負荷方向に対して概略平行な部位)とし、上辺部7は金型との密着により冷却され硬化する。部材の全長は1150mmであり屈曲部は端部から150mmと225mmの間に位置しており、中央の直線部分の長さは600mmである。屈曲部の外径Rは400mmとした。また、断面は上辺部の長さが50mm、縦壁部の高さは30mmとし、角Rはすべて7mmとした。板厚は今回の検討ではすべて1.6mmとした。このような部材に対し1.6mmの590MPa級鋼板の当て板9を間隔30mmのスポット溶接で接合し閉断面化したものを実験に用いた。強度低下部の長手方向の位置は屈曲部または車体骨格への取り付け部のいずれか、あるいは双方とした。
また実験方法であるが、車体に取り付けた状態でバンパー補強部材の特性のみ取り出して評価するのは困難であるので、図3に示すようにバンパー補強部材を模擬した落重試験により行った。落錘10は幅850mm、角Rが30mmで、質量は200kgのものを用いた。またバンパー補強部材1は支持治具11にボルトを用いて剛に固定した。落重試験での投入エネルギは異なる強度の素材からなる部材に対してほぼ同等の変形量となるように落下高さを変化させて調整した。その値を表2にあわせて示す。バンパー補強部材の衝撃吸収性能の指標としては変形開始時点から10msec経過時のバンパー補強部材中央部2の背面変位を用いた。この値が小さいほど衝撃吸収能に優れバンパー補強部材としての特性が優れる。
表2にバンパー補強部材の作製条件および実験結果を示す。強度低下部の有無はパンチとダイのクリアランスの設定により行った。パンチとダイのクリアランスが板厚の100%以下の時には下死点で素材が十分に金型と密着し抜熱されるためマルテンサイト変態が起こり、硬化が生じる。強度低下部位以外では十分な硬化が生じるように下死点でのクリアランスを100%とした。また例1では屈曲部で十分な接触が起こるように特に95%のクリアランスで金型を製作した。素材は表1のbを用い、900℃に加熱した後プレス成形開始時点の温度が850℃を下回らないような条件で行った。また下死点で10秒間の決め押しを行った。
成形後の部材は各部のビッカース硬度をそれぞれ5点測定した。その平均値を表2に示す。なお強度低下部位の硬度は縦壁部の測定結果である。クリアランスが十分小さい例1では金型により冷却されることで中央部と屈曲部はほぼ同一の硬度となり、長手方向で強度がほぼ同等となった。一方、例2から5は屈曲部のクリアランスを大きくしたものである。クリアランスの増加に伴い金型と密着しなくなることで熱伝導が妨げられ、マルテンサイト変態が起こらず、比較的軟質なフェライト+パーライト組織かベイナイト組織となるため強度低下部位を作製できることが確かめられた。しかしながらクリアランスが500%を越えると金型からの拘束が小さくなるため屈曲部に微細なシワが見られるようになり、形状精度が悪化してしまうことが分かった。また、例6はバンパー補強部材の両端である車体構造への取り付け部の金型クリアランスを300%として、強度低下部位としたものである。この場合も強度低下部位は得られたが部材端で元々拘束が小さい状況でさらに金型からの拘束が減少したため若干のねじれが生じた。またさらに例7は屈曲部と車体構造への取り付け部の両方のクリアランスを増した場合である。この場合にも強度低下部位は得られたが、微細なシワならびに若干のねじれが見られた。しかしながらいずれの場合でも形状精度の悪化はその後のスポット溶接による当て板の接合には問題ない程度であった。
これらの部材に対して落重試験を行い、背面変位を計測した結果を表2に示す。例1では長手方向でほぼ同等の材料強度であるため、屈曲部に比べて相対的な剛性の低い中央部で座屈が起こった。その結果背面変位は大きくなりパンパー補強部材としての性能は優れなかった。一方、屈曲部に強度低下部位を設けた例2から例4では屈曲部が中央部に先行して座屈し、中央部の座屈が回避されたため背面変位が小さくなり、性能が優れることが分かった。例6は車体構造への取り付け部に強度低下部位を配置したものである。屈曲部への配置に比べて若干特性は優れないものの例1と比べると優れた特性を示した。また、例7は屈曲部と車体構造への取り付け部の双方に強度低下部位を設けたものである。この場合は屈曲部への配置と同様優れた特性を示した。このように強度低下部位の配置方法と性能は密接に相関しており、車体に応じて適切に配置位置を検討する必要があるが、基本的には初期形状または変形時に曲率の大きい部分に設置することが望ましい。
本実施例では金型との密着状態により熱伝導が10倍以上異なることを利用し、金型のクリアランス設定により強度低下部位を設けたが、形状精度がより厳しい場合には熱伝導率の低いセラミックスを金型の一部に埋め込んで鋼板に焼入れが起こらないようにすることも可能であり、その効果は変わらない。しかしながら埋め込み面積が多い場合には金型コストの上昇や安定生産性の観点から不利である。
Figure 0005137323
Figure 0005137323
[実施例(参考例)2]
クリアランスの増加による形状精度の悪化を改善するために予備成形の効果を検討した。図4に最終部材形状を示すが屈曲部にビード12を配置した。このビードは素板の相当位置に予備成形により作製した。ビードの幅は30mm、高さ30mmであり、ダイ肩R部での深さが5mm、パンチ肩R部では深さがない楔形状となるようにし、3つのビードを15mmの間隔を空けて屈曲部に配置した。この予備成形を行った後に屈曲部に5mmの金型クリアランス(板厚が1.6mmであるのでクリアランス310%)で本成形を行うことでパンパー補強部材を得た。
例8、10、12、14は表1のaからdまでの素材を用いて予備成形を行った後、冷間にて本成形を行った後、900℃に加熱しそのまま水焼入れを行った比較例である。例9、11、13、15は同じくaからdまでの素材を用いて予備成形を行った後、900℃に加熱し、プレス成形開始時点の温度が850℃を下回らないような条件で本成形を行った。例8、10、12、14では全体を水焼き入れしたため、強度は均一となった。一方予備成形を行ってビードを配置した後、屈曲部に金型クリアランスのある状態でホットスタンピングを行ったため、当該部位の縦壁部が強度低下部位となった。本実施例のように予備成形により局部的な剛性を向上させたことにより、部材の形状精度はいずれの場合でも優れたものとなった。実施例1と同じく各部5点のビッカース硬度測定を行い、平均を求めた結果を表3に示す。
落重試験は実施例1と同じ方法で行った(図5)。但し素材強度の異なる部材でもほぼ変形量が同一となるように落錘の落下高さにより投入エネルギを変化させた。各部材での落下高さも表3に示す。強度低下部位を含まない例8、10、12、14では中央部から座屈が生じてしまうため、背面変位が大きく、性能が悪いことが分かった。一方、例9、11、13、15では縦壁部を強度低下させた屈曲部から座屈が生じ、変形が全体に拡散するため、背面変位が小さくなり、バンパー補強部材として優れた特性を示すことが分かった。
Figure 0005137323
バンパー補強部材の説明図である。 バンパー補強部材の断面図である。 落重試験の配置図である。 予備成形を用いたバンパー補強部材の屈曲部形状を示す図である。 予備成形を用いたバンパー補強部材の落重試験の模式図である。
符号の説明
1 バンパー補強部材
2 バンパー補強部材の中央部
3 バンパー補強部材の屈曲部
4 バンパー補強部材の車体構造への取り付け部
車体構造との結合部(バンパーステイ)
6 バンパー補強部材の断面図
7 パンパー補強部材の上辺部
8 バンパー補強部材の縦壁部
9 バンパー補強部材への当て板
10 落錘
11 支持治具
12 予備成形により作製したビード
13 予備成形を用いたバンパー補強部材

Claims (2)

  1. 中央部の比較的直線形状の部位に対して両端が屈曲し、さらに屈曲後の最端部までの間に車体構造への取り付け部が位置し、断面が一定であるバンパー補強部材の製造方法において、高強度鋼板からなる金属板を加熱した後に金型を用いて成形しながら焼入れを行う加工を施すバンパー補強部材の製造方法であって、バンパー補強部材の屈曲部となる金型と金属板との間に板厚の110〜500%の空隙を保つことでバンパー補強部材の屈曲部に334〜410Hvの軟質なフェライト+パーライト組織かベイナイト組織である強度低下部位を形成することを特徴とするバンパー補強部材の製造方法。
  2. 中央部の比較的直線形状の部位に対して両端が屈曲し、さらに屈曲後の最端部までの間に車体構造への取り付け部が位置し、断面が一定であるバンパー補強部材の製造方法において、高強度鋼板からなる金属板を加熱した後に金型を用いて成形しながら焼入れを行う加工を施すバンパー補強部材の製造方法であって、バンパー補強部材の屈曲部となる金型と金属板との間に板厚の110〜500%の空隙を保つことでバンパー補強部材の屈曲部に334〜410Hvの軟質なフェライト+パーライト組織かベイナイト組織である強度低下部位を形成し、バンパー補強部材の車体構造への取り付け部となる金型と金属板との間に板厚の110〜500%の空隙を保つことでバンパー補強部材の車体構造への取り付け部に330〜348Hvの軟質なフェライト+パーライト組織かベイナイト組織である局所的な強度低下部位を形成することを特徴とするバンパー補強部材の製造方法。
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