JP5123052B2 - 表面化成処理液、化成処理金属板およびその製造方法、ならびに上層被覆金属板およびその製造方法 - Google Patents

表面化成処理液、化成処理金属板およびその製造方法、ならびに上層被覆金属板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面化成処理液、化成処理金属板およびその製造方法、ならびに上層被覆金属板およびその製造方法に関する。
亜鉛系めっき鋼板はもちろんのこと、ほとんどすべての金属材料は、大気環境中に放置されると、大気から物理吸着した水分の存在のもと、SO2、NO2、飛来海塩粒子等の腐食促進付着物質の作用により、その表面に腐食を生じる。この腐食を防止するために、従来から亜鉛系めっき鋼板等の金属材料の防食法として、クロム酸クロメート等のクロムを含有する処理液に金属材料表面を接触させてクロメート皮膜を析出させる、または塗布して乾燥する等して金属材料表面にクロメート皮膜を形成させる方法がある。
金属材料の表面を処理液と接触させてクロメート皮膜を析出させる代表的なものとしては、クロム酸クロメート化成処理とりん酸クロメート化成処理とがある。前者のクロム酸クロメート化成処理は1950年頃に実用化され、現在も亜鉛系めっき鋼板等に幅広く使用されている。このクロム酸クロメート化成処理に用いられる処理液はクロム酸(CrO3)とフッ化水素酸(HF)を主成分として含み、さらに促進剤が添加されているもので、六価クロムを含有する析出皮膜を形成し得る。
特許文献1には、後者のりん酸クロメート化成処理方法が記載されている。この化成処理液はクロム酸(CrO3)、りん酸(H3PO4)、およびフッ化水素酸(HF)を含み、形成される析出皮膜は水和したりん酸クロム(CrPO4・4H2O)を主成分として含むものである。しかしながら、これらのクロメートタイプ表面処理液は有害な六価クロムを含有しているため、環境面、安全面から問題のある六価クロムはもちろんのこと、三価クロムでさえその使用を規制されていく時代の流れにあって、クロムを全く含有しない方法であるノンクロメートタイプの表面処理法への転換が望まれている。
ノンクロメートタイプの表面処理法には析出型および塗布型があるが、析出型は、アルミニウム含有金属材料の表面処理法として既に実績がある。アルミニウム含有金属材料に対し、比較的早期からノンクロメートタイプの処理液が適用されてきた理由は、アルミニウム缶等食品と接する材質としてこの金属材料が多く使われてきたことによる。
特許文献2には、アルミニウム含有金属材料に対するノンクロメートタイプの化成析出型表面処理液が記載されている。この処理液はジルコニウムまたはチタン、あるいはこれらの混合物、ホスフェートおよびフッ化物を含有し、かつ、pHが約1.0〜4.0の酸性の水系表面処理液である。この化成処理液を用いて処理を行うと、アルミニウム含有金属材料表面上に、ジルコニウムあるいはチタンのりん化合物を主成分とする析出皮膜が形成される。このようなアルミニウム含有金属材料用の化成析出型表面処理液に比べ、亜鉛系めっき鋼板用のノンクロメートタイプの化成析出型表面処理液に対する既存技術や実績はほとんどない。
また、亜鉛系めっき鋼板のシートコイルメーカーでは現在、析出型の表面処理よりも塗布型表面処理が主流となりつつある。しかし、シートコイルメーカーのラインによっては、塗布型表面処理の導入が、設備コストや立地上の都合により不可能な場合もあり、析出型の設備によって既存のクロメート処理をノンクロメートタイプの処理に置き換えたいという要望は強い。
また、析出型表面処理は、亜鉛系めっき鋼板等の金属板の両面を同時に処理できる点、その後の洗浄工程で可溶成分を除去できるため耐食性等の向上効果が期待できる点、その洗浄により次工程の処理液中への前処理液の持ち込みが極めて少ない点等魅力的なメリットを多く有している。
特許文献3には、アルミニウム、鉄またはマグネシウムの合金類を被覆するための水性組成物であって、チタン、ジルコニウム等、マグネシウムおよびカルシウム、溶解されたフッ素イオンを含み、pHが2.0〜5.0であり、エッチングをほとんどまたは全く生じないように皮膜を形成する水性組成物が記載されている。しかし、この水性組成物を亜鉛めっき鋼板に適用することは記載されていない。
特許文献4〜12には、ジルコニウムやチタン、ハフニウム等の金属、フッ素、促進剤等を含有し、その濃度やモル比率等を調整することにより、クロムを含まず、高い耐食性を発揮し、かつ、安定性に優れた化成処理剤、化成処理方法および化成処理材料の技術が記載されている。しかしながら、これらの処理においては皮膜析出にかかる時間が長く、シートコイルには適用できない。
一方、特許文献13には、ジルコニウム、フッ素、アミノ基含有シランカップリング剤、その加水分解物及びその重合物とアミノ基含有水性フェノール系化合物からなる化成処理剤であって、上記ジルコニウムは、上記化成処理剤中の含有量が金属換算で25〜2000ppmであり、フッ素及びジルコニウムの含有量のモル比は、3≦F/Zr≦6となる化成処理剤が記載されている。しかしながら、この技術はアミノ基含有シランカップリング剤やアミノ基含有フェノール系化合物を処理液の安定化剤として使用しており、皮膜性能には特記すべき効果を与えず、処理時間についても従来と同程度であるため、前記のようにシートコイルには適用できない。
また、特許文献14および特許文献15には、ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種、フッ素、並びに、水溶性樹脂からなる化成処理剤であって、環境への負荷が少なく、かつ、鉄、亜鉛、アルミニウム等のすべての金属に対して良好な化成処理を行うことができる化成処理剤及びそれを用いて得られる表面処理金属に関する技術が記載されている。しかしながら、この技術においても処理時間の短縮はできておらず、シートコイルには適用できない。
また、特許文献16には、化成処理金属板であって、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)を少なくとも1つ含み、自己析出または電解析出した表面化成処理層を金属板の表面に有する化成処理金属板に関する技術が記載されている。
また、特許文献17には、「分子中に共鳴構造を有する有機化合物であって、かつ親電子反応性の官能基(a1)、及びリン酸基、ホスホン酸基、シラノール基、アルコキシシリル基、メルカプト基及びスルホニウム基から選ばれる少なくとも1種の官能基(a2)から選ばれる少なくとも1種の官能基(a)を有する有機化合物(A)を含有する金属表面化成処理液」が記載されている。
また、析出型表面処理により形成されたクロメート皮膜上に、上層としてさらに1〜3層程度の樹脂系皮膜を形成して、耐食性や耐指紋性等の高機能性を付与した多層コート金属材料が知られている。
米国特許第2,438,877号明細書 特開昭52−131937号公報 特表平9−503823号公報 特開2004−043913号公報 特開2004−218070号公報 特開2004−218072号公報 特開2004−218073号公報 特開2004−218074号公報 特開2005−008982号公報 特開2006−124751号公報 特開2006−161115号公報 特開2007−314888号公報 特開2007−262577号公報 特開2004−218075号公報 特開2004−292874号公報 国際公開第2006−323358号パンフレット 特開2001−329379号公報
特許文献16に記載された表面化成処理方法は、短時間で耐食性を有するという点ではシートコイルに適用でき、極めて産業的価値が高いが、その化成皮膜の性能、特に加工部耐食性については更なる向上の余地がある。
また、特許文献17に記載された金属表面化成処理液は、有機化合物(A)がアミノ基を有していないため、安定性に劣るという問題がある。
そこで、本発明は、従来技術の抱える上記の問題を解決するためのものであり、具体的には、クロメート皮膜と同程度の耐食性(特にエリクセン加工部、折り曲げ部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない表面化成処理層を、短時間で形成することができる表面化成処理液、それを用いた化成処理金属板の製造方法および上層被覆金属材料の製造方法、ならびに化成処理金属板および上層被覆金属材料を提供することを目的とする。
なお、本発明において、「短時間」は、例えば、シートコイル等の製造ラインに適用可能な程度の短い時間であり、例えば、20秒以下が好ましく、10秒以下がより好ましく、5秒以下がより一層好ましい。
上記目的を達成するために、本発明は、金属板表面処理用の表面化成処理液であって、アルコキシシリル基と、芳香環と、前記芳香環に直接結合しているヒドロキシ基と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基および第四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ基とを有する水溶性の化合物(A)と、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むフッ化物(B)と、フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸成分(C)と、Mn、Co、Mg、AlおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物(D)と、水性媒体(E)とを含有し、前記化合物(A)が、重合体であり、前記化合物(A)、前記フッ化物(B)、前記酸成分(C)および前記化合物(D)は、前記水性媒体(E)に溶解しており、前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する、表面化成処理液を提供する。
ここで、前記アルコキシシリル基が、前記アミノ基の窒素原子に直接またはアルキレン基を介して結合しているのが好ましい。
また、遊離フッ素イオン濃度が1〜30mg/Lであり、前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(b)に対する前記化合物(D)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(d)の比である(d)/(b)が、1〜200であるのが好ましい。
また、pHが2.0〜Xであるのが好ましい。(但し、前記Xは下記式で表される。下記式中、(d)は前記化合物(D)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(d)であり、(b)は前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(b)である。)
X=−0.02×[(d)/(b)]+6.0
また、前記金属板の少なくとも片面に、前記化合物(A)の析出物と、前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素とを含み、前記化合物(A)由来のSiの酸化物換算質量(a)と前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計析出質量(b′)との質量比[(a)/(b′)]が0.03〜0.3であるのが好ましい。
また、前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計析出質量(b′)が5〜50mg/mである表面化成処理層を形成しうるのが好ましい。
また、前記金属板が亜鉛系めっき鋼板であるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明は、本発明の表面化成処理液を用いて、金属板の少なくとも片面に非塗布型の表面化成処理層を形成する化成処理金属板の製造方法を提供する。
ここで、前記金属板の表面に前記表面化成処理液を接触させて、前記金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させて形成し、前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗するのが好ましい。
また、陰極とした前記金属板の表面に、前記表面化成処理液を接触させて、前記金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させて形成し、前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗するのが好ましい。
また、温度を30〜70℃とした前記表面化成処理液を、前記金属板の表面に0.5〜20秒間接触させ、前記金属板の表面に前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素を合計で5〜50mg/m2含む表面化成処理層を形成するのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明は、本発明の化成処理金属板の製造方法に、さらに、前記表面化成処理層の上面に樹脂層を形成する工程を具備する、上層被覆金属板の製造方法を提供する。
また、上記目的を達成するために、本発明は、金属板の表面に、アルコキシシリル基と、芳香環と、前記芳香環に直接結合しているヒドロキシ基と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基および第四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ基とを有する水溶性の化合物(A)と、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含み、前記化合物(A)が、重合体であり、自己析出または電解析出した表面化成処理層を有する化成処理金属板を提供する。
ここで、本発明の化成処理金属板の製造方法により得られるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明は、本発明の上層被覆金属板の製造方法により得られ、前記樹脂層が耐指紋性を有する上層被覆金属板を提供する。
また、上記目的を達成するために、本発明は、本発明の上層被覆金属板の製造方法により得られ、前記樹脂層がノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含む上層被覆金属板を提供する。
本発明の表面化成処理液は、クロメート皮膜と同程度の耐食性(特にエリクセン加工部、折り曲げ部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない表面化成処理層を短時間で形成することができる。
また、本発明の化成処理金属板の製造方法によれば、クロメート皮膜と同程度の耐食性(特にエリクセン加工部、折り曲げ部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない表面化成処理層を金属板上に短時間で形成することができるため、シートコイル等の製造ラインに適用できる。
また、本発明の化成処理金属板は、クロメート皮膜と同程度の耐食性(特にエリクセン加工部、折り曲げ部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない表面化成処理層を短時間で形成することができる。
また、本発明の上層被覆金属板の製造方法によれば、耐食性および塗膜密着性に優れ、かつクロムを含まない上層被覆金属材料を製造することができる。
また、本発明の上層被覆金属板は、耐食性および塗膜密着性に優れ、かつクロムを含まない。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の表面化成処理液(以下「本発明の処理液」ともいう。)は、金属板表面処理用の表面化成処理液であって、アルコキシシリル基と、芳香環と、前記芳香環に直接結合しているヒドロキシ基と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基および第四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ基とを有する水溶性の化合物(A)と、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むフッ化物(B)と、フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸成分(C)と、Mn、Co、Mg、AlおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物(D)と、水性媒体(E)とを含有し、前記化合物(A)、前記フッ化物(B)、前記酸成分(C)および前記化合物(D)は、前記水性媒体(E)に溶解しており、前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する、表面化成処理液である。
以下、前記化合物(A)について説明する。
本発明の処理液に用いられる化合物(A)は、アルコキシシリル基と、芳香環と、前記芳香環に直接結合しているヒドロキシ基と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基および第四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ基とを有する水溶性の化合物である。化合物(A)は、単量体であってもよく、重合体であってもよい。
芳香環とフェノール性ヒドロキシ基とを有する化合物にアルコキシシリル基を導入することにより、本発明の処理液の塗膜密着性、耐食性および耐薬品性が大きく向上する。
また、化合物(A)がアミノ基を有していることにより、水溶性が高くなり、本発明の処理液の安定性が高くなり、さらに、耐食性や塗膜密着性もより高くなる。
上記アルコキシシリル基は、ケイ素原子とケイ素原子に直接結合しているアルコキシ基とを有する基であればよく、ケイ素原子とケイ素原子に直接結合しているアルコキシ基を少なくとも2つ有する基であるのが好ましく、ケイ素原子とケイ素原子に直接結合しているアルコキシ基を3つ有する基であるのがより好ましい。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。
上記アルコキシ基以外の上記アルコキシシリル基が有する基は、特に限定されないが、例えば、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基等が好適に挙げられる。
上記アルコキシシリル基としては、具体的には、例えば、ジメチルメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、ジエチルエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
化合物(A)のアルコキシシリル基は、アミノ基の窒素原子に直接またはアルキレン基を介して結合しているのが好ましい態様の1つである。このような態様の化合物(A)は、例えば、後述するように、少なくとも1つのヒドロキシ基が芳香環に直接結合している芳香族化合物(a1)と、アミノシラン(a2)と、ホルムアルデヒドとを反応させる方法(以下「第1の方法」という。)、または、少なくとも1つのヒドロキシ基が芳香環に直接結合している芳香族化合物(a1)と、アミノシラン(a2)と、アミン化合物(a3)と、ホルムアルデヒドとを反応させる方法(以下「第2の方法」という。)により得ることができる。
化合物(A)が重合体である場合(主鎖に繰り返し単位を有する場合)には、化合物(A)は、アルコキシシリル基を化合物(A)の繰り返し単位当たり0.01〜4個有するのが好ましく、0.05〜2個有するのがより好ましく、0.1〜1.5個有するのが更に好ましい。化合物(A)がこの範囲でアルコキシシリル基を有する場合、塗膜密着性、耐食性および耐薬品性に優れる。
また、化合物(A)は、1分子中にアルコキシシリル基を1〜4個有するのが好ましく、1〜3個有するのがより好ましく、1〜2個有するのが更に好ましい。化合物(A)がこの範囲でアルコキシシリル基を有する場合、塗膜密着性、耐食性および耐薬品性に優れる。
上記化合物(A)が有する芳香環は、特に限定されないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環であるのが好ましい。
上記フェノール性ヒドロキシ基は、化合物(A)が有する芳香環に直接結合しているヒドロキシ基である。
化合物(A)の水溶性を確保するために、化合物(A)はアミノ基や芳香環に直接結合していないヒドロキシ基等の極性基を有しているのが好ましい。化合物(A)は水溶性であるため、水系表面化成処理液に使用できる。
化合物(A)は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基および第四級アンモニウム基からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ基を有するのが好ましく、第二級アミノ基または第三級アミノ基を有するのがより好ましく、第三級アミノ基を有するのが更に好ましい。化合物(A)がアミノ基を有する場合、化合物(A)の極性が高くなるため水溶化しやすくなる。
化合物(A)は、上記芳香環に直接結合していないヒドロキシ基を有するのが好ましい。化合物(A)が上記フェノール性ヒドロキシ基以外にもヒドロキシ基を有している場合、化合物(A)の水溶性が高くなる。また、得られる表面化成処理液の塗膜密着性、耐食性および耐薬品性を向上できる。
上記芳香環に直接結合していないヒドロキシ基は、上記アミノ基の窒素原子にアルキレン基を介して結合しているのが好ましい態様の1つである。このような態様の化合物(A)は、例えば、上記第2の方法により得ることができる。
化合物(A)が重合体である場合(主鎖に繰り返し単位を有する場合)には、上記化合物(A)は、上記芳香環に直接結合していないヒドロキシ基を化合物(A)の繰り返し単位当たり0.01〜4個有するのが好ましく、0.05〜2個有するのがより好ましく、0.1〜1.5個有するのが更に好ましい。化合物(A)がこの範囲で上記芳香環に直接結合していないヒドロキシ基を有する場合、化合物(A)の水溶性および得られる表面化成処理液の塗膜密着性、耐食性および耐薬品性に優れる。
また、化合物(A)は、1分子中に上記芳香環に直接結合していないヒドロキシ基を1〜4個有するのが好ましく、1〜3個有するのがより好ましく、1〜2個有するのが更に好ましい。化合物(A)がこの範囲で上記芳香環に直接結合していないヒドロキシ基を有する場合、化合物(A)の水溶性および得られる表面化成処理液の塗膜密着性、耐食性および耐薬品性に優れる。
化合物(A)は、少なくとも1つのヒドロキシ基が芳香環に直接結合している芳香族化合物(a1)と、アミノシラン(a2)と、ホルムアルデヒドとの反応(第1の方法)により得られる化合物であるのが好ましい態様の1つである。
また、化合物(A)の他の好ましい態様としては、少なくとも1つのヒドロキシ基が芳香環に直接結合している芳香族化合物(a1)と、アミノシラン(a2)と、アミン化合物(a3)と、ホルムアルデヒドとの反応(第2の方法)により得られる化合物が好適に挙げられる。
これらの態様の化合物(A)は、いわゆるマンニッヒ反応により、上記芳香族化合物(a1)が有する芳香環のヒドロキシ基のオルト位またはパラ位に、ホルムアルデヒド由来のメチレン基を介してアミノ基が結合した構造であると考えられる。
化合物(A)は、芳香環が置換基を有する位置は特に限定されないが、芳香環のヒドロキシ基のオルト位および/またはパラ位が置換されたものであることが好ましい。
上記芳香族化合物(a1)は、少なくとも1つのヒドロキシ基が芳香環に直接結合している芳香族化合物である。具体的には、例えば、フェノール、ビスフェノールA、p−ビニルフェノール、ナフトール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等が挙げられる。また、これらの重合体を用いることもできる。重合方法は特に限定されず、公知の重合方法、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、縮重合を採用することができる。
これらの他に、上記芳香族化合物(a1)として、フェノール−クレゾールノボラック共重合体、ビニルフェノール−スチレン共重合体等を用いることもできる。
また、上述した芳香族化合物(a1)を、エピクロルヒドリン等のハロエポキシド、酢酸等のカルボン酸類、エステル類、アミド類、トリメチルシリルクロリド等の有機シラン類、アルコール類、硫酸ジメチル等のアルキル化物等により変性したものを用いることもできる。
これらの芳香族化合物(a1)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族化合物(a1)は、フェノール、ビスフェノールA、p−ビニルフェノール、ナフトール、ノボラック樹脂、ポリビスフェノールA、ポリp−ビニルフェノールおよびフェノール−ナフタレン重縮合物からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、ノボラック樹脂、ポリビスフェノールA、ポリp−ビニルフェノールおよびフェノール−ナフタレン重縮合物からなる群から選択される少なくとも1種であるのがより好ましく、ポリp−ビニルフェノールであるのが更に好ましい。
ここで、本明細書において、上記ポリビスフェノールAは下記式で表される化合物を意味する。
Figure 0005123052
上記式中、sは1〜2000の整数であり、5〜1000の整数であるのが好ましい。
また、上記ポリp−ビニルフェノールは、下記式で表される化合物を意味する。
上記ポリp−ビニルフェノールとして、ビニルフェノールを公知の重合方法により重合したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、丸善石油化学社製のマルカリンカーが挙げられる。
Figure 0005123052
上記式中、tは1〜4000の整数であり、10〜2000の整数であるのが好ましい。
上記芳香族化合物(a1)の重量平均分子量は、特に限定されないが、200〜1,000,000であるのが好ましく、500〜500,000であるのがより好ましく、1,000〜200,000であるのが更に好ましい。
上記アミノシラン(a2)は、第一級アミノ基および/または第二級アミノ基(イミノ基)と、アルコキシシリル基とを有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(2)で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 0005123052
上記式(2)中、R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、ジヒドロキシアルキル基、トリヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アセチル基またはアルキルカルボニル基である。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好適に挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基が挙げられる。
上記アルケニル基としては、炭素数1〜10のアルケニル基が好適に挙げられ、より好ましくはアリル基が挙げられる。
上記アルキニル基としては、炭素数1〜10のアルキニル基が好適に挙げられ、より好ましくはプロピニル基が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数1〜10のアリール基が好適に挙げられ、より好ましくは、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が好適に挙げられ、より好ましくはフェニル基が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基が好適に挙げられ、より好ましくは2−ヒドロキシエチル基が挙げられる。
上記ジヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜10のジヒドロキシアルキル基が好適に挙げられ、より好ましくはビス(ヒドロキシエチル)基が挙げられる。
上記トリヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜10のトリヒドロキシアルキル基が好適に挙げられ、より好ましくはトリス(ヒドロキシエチル)基が挙げられる。
上記アミノアルキル基としては、炭素数1〜10のアミノアルキル基が好適に挙げられ、より好ましくはアミノエチル基が挙げられる。
上記アルキルアミノアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキルアミノアルキル基が好適に挙げられ、より好ましくは2−メチルアミノエチレンが挙げられる。
上記ジアルキルアミノアルキル基としては、炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキル基が好適に挙げられ、より好ましくはジメチルアミノエチレンが挙げられる。
上記アルキルカルボニル基としては、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基が好適に挙げられ、より好ましくはアセチル基が挙げられる。
上記式(2)中、R4およびR5は、それぞれ、アルキル基であり、炭素数1〜10のアルキル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。複数のR4およびR5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(2)中、nは、1〜3の整数であり、2〜3の整数であるのが好ましく、3であるのがより好ましい。
上記式(2)中、mは、1〜3の整数であるのが好ましく、2または3であるのがより好ましく、3であるのが更に好ましい。
上記アミノシラン(a2)としては、具体的には、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−プロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−プロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)アミノビニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノ)−3−イソブチルジメチルメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジオクチル−N′−トリエトキシシリルプロピルウレア、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)グルコナミド、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルカルバメート、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、トリメトキシシリルプロピル(ポリエチレンイミン)、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンザミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)アミンおよび3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のアミノシランが好ましい。
第1の方法における上記アミノシラン(a2)の使用量は、上記芳香族化合物(a1)100質量部に対して1〜1200質量部が好ましく、2〜600質量部がより好ましく、3〜300質量部が更に好ましい。
第2の方法における上記アミノシラン(a2)の使用量は、上記芳香族化合物(a1)100質量部に対して1〜1200質量部が好ましく、2〜600質量部がより好ましく、3〜300質量部が更に好ましい。
上記アミン化合物(a3)は、第一級アミノ基および/または第二級アミノ基(イミノ基)を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表される化合物が好適に挙げられる。
なお、上記アミン化合物(a3)は、上記アミノシラン(a2)と同一であってもよい。
Figure 0005123052
上記式(1)中、R1およびR2は、それぞれ、上記式(2)のR3と同様であるが、R1およびR2は互いに結合してモルホリノ基を形成していてもよい。
上記アミン化合物(a3)としては、具体的には、例えば、メチルアミン、エチルアミン、i−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジi−プロピルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−メチルエタノールアミン、2−エチルエタノールアミン、N−メチルアミノ1,2−プロパンジオール、N−メチルグルカミン等のアルカノールアミン、アニリン、p−メチルアニリン、N−メチルアニリン等の芳香族アミン、ビニルアミン、アリルアミン等の不飽和アミン、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、インドール、モルホリン、ピペラジン等の複素環アミン、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、sym−ジメチルエチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも2−メチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N−メチルグルカミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−メチルアニリン、エチルアミン、ジエチルアミン、アリルアミン、ベンジルアミン、2−エチルアミノエタノール、エチレンジアミン、sym−ジメチルエチルアミンおよびモルホリンからなる群から選択される少なくとも1種のアミン化合物が好ましい。
第2の方法における上記アミン化合物(a3)の使用量は、上記芳香族化合物(a1)100質量部に対して0.2〜360質量部が好ましく、0.4〜270質量部がより好ましく、0.6〜180質量部が更に好ましい。
上記反応に用いられるホルムアルデヒドとしては、溶媒で希釈されているものを用いることもできる。
上記溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン溶媒;アセトン等のケトン系溶媒等が挙げられる。
第1の方法における上記ホルムアルデヒドの使用量は、上記アミノシラン(a2)のアミノ基に対するホルムアルデヒドのモル比(ホルムアルデヒド/アミノ基)が1〜100であるのが好ましく、2〜50であるのがより好ましい。
第2の方法における上記ホルムアルデヒドの使用量は、上記アミノシラン(a2)のアミノ基と上記アミン化合物(a3)のアミノ基との合計に対するホルムアルデヒドのモル比(ホルムアルデヒド/アミノ基)が1〜100であるのが好ましく、2〜50であるのがより好ましい。
上記化合物(A)としては、下記式(3)で表される繰り返し単位を含む重合体が好ましい態様の1つである。
Figure 0005123052
上記式(3)中、R6は、上記式(2)のR3と同様である。
7は単結合またはアルキレン基であり、炭素数1〜10のアルキレン基であるのが好ましく、トリメチレン基(−(CH23−)であるのがより好ましい。R7が単結合である場合は、R7が存在せず窒素原子とケイ素原子が直接結合していることになる。
8およびR9は、それぞれ、アルキル基であり、炭素数1〜10のアルキル基であるのが好ましく、メチル基、エチル基であるのがより好ましい。複数のR8およびR9はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
10およびR11は、それぞれ、上記式(2)のR3と同様であるが、R10およびR11は互いに結合してモルホリノ基を形成していてもよい。
pは1〜3の整数であり、2または3であるのが好ましく、3であるのがより好ましい。
上記重合体は、上記式(3)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。上記重合体は、上記式(3)で表される繰り返し単位と、下記式(5)で表される繰り返し単位、下記式(6)で表される繰り返し単位、下記式(7)で表される繰り返し単位、下記式(8)で表される繰り返し単位および下記式(9)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位とからなる重合体であるのが好ましい態様の1つである。
上記重合体は、上記式(3)〜(9)のいずれかで表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Figure 0005123052
上記式(5)〜(9)中、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびpは、それぞれ、上記式(3)のR6、R7、R8、R9、R10、R11およびpと同様である。
上記重合体の製造方法は、特に限定されないが、ポリp−ビニルフェノールと、上記アミノシラン(a2)と、上記アミン化合物(a3)と、ホルムアルデヒドとを反応させて上記重合体を得る方法が好適に挙げられる。
上記重合体としては、具体的には、例えば、下記式(4)で表される繰り返し単位を含む重合体(以下「本発明の第1態様の化合物」という。)が好適に挙げられる。
Figure 0005123052
本発明の第1態様の化合物は、上記式(4)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。本発明の化合物は、上記式(4)で表される繰り返し単位と、下記式(10)で表される繰り返し単位、下記式(11)で表される繰り返し単位、下記式(12)で表される繰り返し単位、下記式(13)で表される繰り返し単位および下記式(14)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位とからなる重合体であるのが好ましい態様の1つである。
本発明の第1態様の化合物は、上記式(4)および(10)〜(14)のいずれかで表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Figure 0005123052
本発明の第1態様の化合物の製造方法は、特に限定されないが、ポリp−ビニルフェノールと、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランと、2−メチルアミノエタノールと、ホルムアルデヒドとを反応させて上記重合体を得る方法が好適に挙げられる。
化合物(A)の他の好ましい態様としては、例えば、ポリp−ビニルフェノールと、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)アミンおよび3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のアミノシランと、2−メチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−メチルアニリン、エチルアミン、ジエチルアミン、アリルアミン、ベンジルアミン、2−エチルアミノエタノールおよびモルホリンからなる群から選択される少なくとも1種のアミン化合物と、ホルムアルデヒドとを有機溶媒中で反応させて得られる化合物(以下「本発明の第2態様の化合物」という。)が挙げられる。
本発明の第2態様の化合物の製造方法は、特に限定されないが、上記ポリp−ビニルフェノールと、上記アミノシランと、上記アミン化合物と、上記ホルムアルデヒドとを有機溶媒中で反応させて本発明の第2態様の化合物を得る方法が好適に挙げられる。
本発明の第2態様の化合物は、いわゆるマンニッヒ反応により、ポリp−ビニルフェノールが有する芳香環のヒドロキシ基のオルト位に、ホルムアルデヒド由来のメチレン基を介してアミノ基が結合した構造であると考えられる。
本発明の第2態様の化合物は、芳香環が置換基を有する位置は特に限定されないが、フェノール性ヒドロキシ基のオルト位が置換されたものであることが好ましい。
また、上記反応における上記アミノシランの使用量は、ポリp−ビニルフェノール100質量部に対して、1〜1200質量部が好ましく、2〜600質量部がより好ましく、3〜300質量部が更に好ましい。
上記反応における上記アミン化合物の使用量は、ポリp−ビニルフェノール100質量部に対して、0.2〜360質量部が好ましく、0.4〜270質量部がより好ましく、0.6〜180質量部が更に好ましい。
上記反応におけるホルムアルデヒドの使用量は、ポリp−ビニルフェノール100質量部に対して、0.3〜300質量部が好ましく、0.6〜200質量部がより好ましく、0.9〜150質量部が更に好ましい。
上記有機溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン溶媒;アセトン等のケトン系溶媒等が挙げられる。
上記有機溶媒の使用量は、ポリp−ビニルフェノール100質量部に対して、0〜10,000質量部が好ましく、10〜5,000質量部がより好ましい。
本発明の第2態様の化合物の製造方法においては、更に触媒を添加することにより、反応率を向上でき、反応時間を短縮することもできる。触媒としては、例えば、酸触媒、塩基触媒、ルイス酸触媒等が挙げられる。
上記酸触媒としては、具体的には、例えば、塩酸、塩化水素ガス、硫酸、発煙硫酸、硝酸、濃硝酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸、酢酸等の有機酸等が挙げられる。
上記塩基触媒としては、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。
上記ルイス酸触媒としては、具体的には、例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン、トリフルオロメタンスルホン酸ランタニウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリビウム等が挙げられる。
上記触媒の添加量は、特に限定されないが、ポリp−ビニルフェノール100質量部に対して、1〜300質量部が好ましく、2〜150質量部がより好ましい。
本発明の第2態様の化合物の製造方法における反応温度は、特に限定されないが、0〜150℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。
本発明の第2態様の化合物の製造方法においては上述したように触媒が反応効率に影響を与えるが、反応温度も反応効率に影響を与える。具体的には、低い反応温度であると比較的長い反応時間を要し、高い反応温度であると比較的短時間にて製造が可能である。ただし、反応温度が高すぎる場合、目的生成物に悪影響を与えたり、目的の反応以外の反応を促進させる場合がある。
本発明の第2態様の化合物の製造方法における反応時間は、特に限定されないが、例えば、反応温度が80℃である場合は24時間程度が好ましい。また、反応温度が23℃である場合は7日間程度が好ましい。
本発明の第2態様の化合物の製造方法について具体的に説明する。ただし、本発明の第2態様の化合物の製造方法はこの方法に限定されない。
まず、ポリp−ビニルフェノールと上記有機溶媒とを混合して十分に溶解させる。
次に、この混合液に、上記アミン化合物、上記アミノシラン、ホルムアルデヒドおよび必要に応じて上記触媒を室温にて順次撹拌しながら滴下して加える。この混合液を80℃に加温して24時間撹拌後、本発明の化合物を得ることができる。
ここで、上記アミノシラン、上記アミン化合物、ホルムアルデヒドおよび上記触媒を加える順序は、特に限定されないが、上記アミノシランおよび上記アミン化合物を加えた後にホルムアルデヒドを加えるのが好ましい。上記触媒はホルムアルデヒド添加後に加えるのが好ましい。
上記の方法で得られた本発明の化合物は、公知の方法により精製することができる。例えば、不溶性の溶媒による沈降、常圧もしくは減圧による留去、または、クロマトグラフィーの使用により精製することができる。
上述した化合物(A)の重量平均分子量は、1,000〜500,000であるのが好ましく、1,500〜250,000であるのがより好ましく、2,000〜200,000であるのが更に好ましい。分子量がこの範囲であると、塗膜密着性、耐食性および耐薬品性に優れる塗膜を得ることができる。
化合物(A)の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述した本発明の第2態様の化合物の製造方法が好適に挙げられる。
本発明の処理液中の前記化合物(A)の濃度は、特に限定されないが、前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計量に対して、0.5〜120質量%であるのが好ましく、2〜80質量%であるのがより好ましく、10〜50質量%であるのがさらに好ましい。濃度がこの範囲であると、表面化成処理層の構造がより密になり、より耐食性および塗膜密着性が高くなる。
前記フッ化物(B)は、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下「金属元素(B′)」ともいう。)を含むフッ化物である。
前記フッ化物(B)は、特に限定されないが、例えば、ジルコンフッ化水素酸、チタンフッ化水素酸、ハフニウムフッ化水素酸、ならびにこれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、ジルコンフッ化水素酸、チタンフッ化水素酸およびこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ジルコンフッ化水素酸および/またはそのアンモニウム塩であることがより好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液中の前記フッ化物(B)の濃度は、特に限定されないが、前記金属元素(B′)の合計量の処理液中での質量濃度(b)で、0.01〜10g/Lであるのが好ましく、0.05〜5g/Lであるのがより好ましく、0.1〜1g/Lであるのがさらに好ましい。濃度がこの範囲であると、表面化成処理層の形成速度がより迅速になり、工業的に利用する上で好ましい。また、本発明の処理液中において前記フッ化物(B)の溶解安定性をより容易に保つことができる。
前記酸成分(C)は、フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸である。酸成分(C)としては、フッ化水素酸、硝酸およびこれらの塩であることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸成分(C)は、適度なエッチング性を有し、さらに化成処理後の洗浄工程で容易に除去でき、また仮に僅かに残留しても耐食性に対し悪影響を与え難い。
また、本発明の処理液中の前記酸成分(C)の濃度は、特に限定されないが、0.05〜200g/Lであることが好ましく、0.2〜100g/Lであることがより好ましい。0.05g/L以上であると、本発明の処理液を塗布等する前記金属板の表面に対する十分なエッチング能を期待できる。200g/L以下であると、エッチング能力が適度となり均一な表面化成処理層を析出させることができる。
前記化合物(D)は、Mn、Co、Mg、AlおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物である。これらの化合物は、遊離フッ素イオンと錯体を形成しやすいため、本発明の処理液を安定化するという効果がある。
前記化合物(D)としては、Mg、AlおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物であることが好ましく、Mgおよび/またはAlを含む化合物であることがより好ましい。
前記化合物(D)としては、例えば、過マンガン酸、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリム、硝酸マンガン、硫酸マンガン、フッ化マンガン、炭酸マンガン、酢酸マンガン、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、フッ化コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、硝酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、フッ化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水性媒体(E)としては、例えば、水、メタノール、エタノール等が挙げられるが、水であることが好ましい。
本発明の処理液における水性媒体(E)の含有量は、特に限定されず、例えば、上述した成分(A)〜(D)が所定の濃度範囲になるようにその量を調整すればよい。
また、本発明の処理液は、遊離フッ素イオン濃度が1〜30mg/Lであり、前記フッ化物(B)に含まれるZr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素の合計量の処理液中での濃度である合計質量濃度(b)に対する、前記化合物(D)に含まれるMn、Co、Mg、AlおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素の合計量の処理液中での濃度である合計質量濃度(d)の比である(d)/(b)が、1〜200を満たすのが好ましい。このような条件を全て満たすと、前記フッ化物(B)に含まれる金属元素の析出量が増加するとともに、処理液安定性に優れる。
本発明の処理液における遊離フッ素イオン濃度は、1〜30mg/Lであることが好ましく、2〜25mg/Lであることがより好ましく、5〜22mg/Lであることがさらに好ましい。遊離フッ素イオン濃度が1mg/L以上であると、エッチング性が高くなり、十分な表面化成処理層を得ることができ、また、処理液の安定性を確保することができる。一方、30mg/L以下であると、析出効率が高くなり、十分な表面化成処理層を得ることができる。
また、前記合計質量濃度(b)に対する前記合計質量濃度(d)の比である(d)/(b)は、1〜200であることが好ましく、10〜180であることがより好ましく、20〜150であることがさらに好ましい。(d)/(b)が1以上であると、化成反応が促進され、短時間で化成処理を行うことができる。一方、(d)/(b)が200以下であると、前記フッ化物(D)は容易に水溶化でき、処理液の安定性が向上する。
ここで、遊離フッ素イオン濃度は、前記化合物(D)中の前記元素の添加量(つまり、合計質量濃度(d))を調整することで1〜30mg/Lに調整することができる。
また、本発明の処理液は、pHが2.0〜Xであるのが好ましい。但し、前記Xは下記式で表される。
X=−0.02×[(d)/(b)]+6.0
上記式中、(d)は前記合計質量濃度(d)であり、(b)は前記合計質量濃度(b)である。
この範囲を満たす場合、従来よりも極めて短時間で十分な厚さの表面化成処理層を得ることが可能である。
また、本発明の処理液は、前記化合物(A)、前記フッ化物(B)、前記酸成分(C)および前記化合物(D)が水溶化している必要がある。化合物(A)が水溶化していない場合、得られる表面化成処理層中に化合物(A)が十分に含有されないだけでなく、含有されても偏在するおそれがある。また、フッ化物(D)、酸成分(E)および化合物(F)のいずれかが水溶化していない場合、化成反応が安定しないだけでなく、短時間で十分な表面化成処理層を得ることができない。
また、本発明の処理液は、金属板に接触させることで、前記金属板の少なくとも片面に、表面化成処理層を形成し、当該表面化成処理層が、前記化合物(A)の析出物と、前記フッ化物(B)に含まれるZr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(B′)とを含み、前記化合物(A)由来のSiの酸化物換算質量(a)と前記金属元素(B′)の合計析出質量(b′)との質量比[(a)/(b′)]が0.03〜0.3であるのが好ましい。
前記化合物(A)の析出物は、化合物(A)が分解せずに析出していることが好ましい。一方、前記金属元素(B′)は、酸化物、水酸化物、フッ化物および前記酸成分(C)との塩のいずれかの形態で析出していればよい。
また、前記化合物(A)由来のSiの酸化物換算質量(a)と、前記金属元素(B′)の合計析出質量(b)との質量比[(a)/(b′)]は、0.03〜0.3であることが好ましく、0.04〜0.2であることがより好ましく、0.05〜0.15であることがさらに好ましい。前記質量比が、0.03以上であると、塗膜密着性がより高くなり、0.3以下であると表面化成処理層の連続性が確保されるため、耐食性および塗膜密着性がより高くなる。
また、前記金属元素(B′)の合計析出質量(b′)は、5〜50mg/m2であることが好ましく、7〜45mg/m2であることがより好ましく、10〜40mg/m2であることがさらに好ましい。前記合計析出量(b′)が5mg/m2以上であると、前期金属板の表面が十分に被覆され、耐食性が高くなる。一方、50mg/m2以下であると、表面化成処理層に割れを生ずる可能性が低く、塗膜密着性がより高くなる。
本発明の処理液を用いて表面化成処理層を形成させる前記金属板は、特に限定されないが、例えば、亜鉛系めっき鋼板、アルミめっき鋼板、スズめっき鋼板、冷延鋼板、アルミ板等が挙げられる。
前記亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛を含有するめっき層を有する鋼板である。例えば、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、55%アルミ亜鉛めっき鋼板、5%アルミ亜鉛めっき鋼板、スズ亜鉛めっき鋼板、亜鉛ニッケルめっき鋼板、鉄亜鉛めっき鋼板等が挙げられる。これらの中でも、亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板が好ましい。その理由は、他の金属板の場合と比較して、表面に形成された表面化成処理層が緻密になり、さらに金属板と表面化成処理層との密着性が向上するからである。
前記金属板の製造方法は特に限定されず、例えば公知の方法で製造することができる。亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板の場合であれば、例えば、公知の鋼板を公知の電気亜鉛めっき法、溶融亜鉛めっき法により処理して製造することができる。
また、前記金属板は大きさや厚さも特に限定されない。例えば電気亜鉛めっき法により処理された亜鉛系めっき鋼板であれば、例えば、厚さが0.4〜2.3mm、幅が500〜2080mmのコイル状のものが挙げられる。
また、電気亜鉛めっき層の厚さも限定されない。通常、片面で1〜50g/m2程度である。また、溶融亜鉛めっき法により処理された亜鉛系めっき鋼板であれば、例えば、厚さが0.23〜3.2mm、幅が500〜1850mmのコイル状のものが挙げられる。
また、溶融亜鉛めっき層の厚さも限定されない。通常、片面で20〜150g/m2程度である。
後述する本発明の化成処理金属板の製造方法または本発明の上層被覆金属板の製造方法によれば、このようなコイル状の金属板を連続的に処理することができる。
本発明の処理液は、いわゆる析出型であり、前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する。
本発明の処理液は、析出型であるため、短時間で、前記表面化成処理層を形成することができる。
ここで、本明細書において、自己析出とは、本発明の処理液を前記金属板に接触させただけで、この表面化成処理層が形成されることをいう。
また、電解析出とは、本発明の処理液を、陰極とした前記金属板に接触させることで、この表面化成処理層が形成されることをいう。
本発明において、前記金属板の表面に表面化成処理層が析出するメカニズムは次のように考えられる。
まず、本発明の処理液中に含まれる酸成分(C)によって、金属板の表面のエッチングが起きる。これによって、金属板の表面と本発明の処理液との界面におけるpHが局所的に上昇し、それまで本発明の処理液中に溶解していた化合物(A)と、フッ化物(B)由来の金属元素(B′)と、さらにはめっき鋼板等の金属板から溶出してきた金属イオンが、金属板表面と本発明の処理液との界面においてのみ本発明の処理液中に溶解していられない非平衡状態が生じる。この際にできた不溶性の複合体(化合物等)は、前記金属板の表面に沈殿析出し表面化成処理層を形成すると本発明者は考えている。
次に、本発明の化成処理金属板の製造方法について説明する。
本発明の化成処理金属板の製造方法(以下「本発明の製造方法」ともいう。)は、本発明の表面化成処理液を用いて、金属板の少なくとも片面に非塗布型の表面化成処理層を形成する化成処理金属板の製造方法である。
本発明の製造方法では、前記金属板の表面を洗浄した後、非塗布型の表面化成処理層を形成することが好ましい。
この洗浄方法は、前記金属板の表面に付着した油分、汚れを取り除いて洗浄する方法であれば特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、アルカリ脱脂剤や酸性脱脂剤で洗浄する方法、湯洗や溶剤洗浄が挙げられる。
また、このような前記金属板の表面を洗浄する前および/または後に、酸、アルカリ等による表面調整を行うことが好ましい。その理由は、本発明の処理液を接触させ形成した表面化成処理層の前記金属板の表面への密着性が向上するからである。また、この表面化成処理層の時間当たりの形成(析出)効率が向上するからである。
なお、このような金属板の表面の洗浄および/または表面調整を行った後は、洗浄剤等が金属板の表面に残留しないように、さらに水洗することが好ましい。
また、本発明の製造方法では、前記表面化成処理層を形成した後に、前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗することが好ましい。その理由は、前記金属板の表面に残存する余剰の化成処理液の成分(例えば、酸成分(C))を水洗により除去することにより、より耐食性に優れた表面化成処理層が得られるからである。水洗方法については後述する方法を利用できる。
本発明の製造方法においては、さらに、前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗した後、乾燥するのが好ましい。
本発明の製造方法の好ましい態様の1つは、前記金属板の表面に前記表面化成処理液を接触させて、前記金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させて形成し、前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗する方法である(以下「第1の方法」という。)。
また、本発明の製造方法の他の好ましい態様の1つは、陰極とした前記金属板の表面に、前記表面化成処理液を接触させて、前記金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させて形成し、前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗する方法である(以下「第2の方法」という。)。
以下、この2つの方法について具体的に説明する。
前記第1の方法においては、例えば、公知の方法である浸漬法やスプレー法を適用することができる。
ここで本発明の処理液と前記金属板との接触時間は特に限定されないが、0.5〜20秒間であることが好ましく、1〜10秒間であることがより好ましく、0.5〜5秒間であることがさらに好ましい。この接触時間が短すぎると本発明の処理液と前記金属板の表面が十分に反応せず、耐食性の優れた表面化成処理層が得られない場合がある。また、この接触時間が長すぎると、得られる表面化成処理層の性能向上は見られないうえ、ラインにおける操業効率の点からも好ましくない。
ここでスプレー法による場合は、0.2〜5秒の間隔をおいて2回以上の間欠スプレーを施すことにより表面化成処理層の形成効率(析出効率)が高まる傾向がある。この場合、本発明の処理液が発泡し問題を生ずる場合には、本発明の処理液に消泡剤を添加することが好ましい。
前記消泡剤の種類には特に限定はなく、塗膜密着性を損なうようなものでなければ公知のものを用いることができる。
なお、本発明において、本発明の処理液と前記金属板との接触時間とは、例えば、浸漬法による場合であれば、前記金属板が本発明の処理液に浸漬している時間を意味する。また、スプレー法による場合であれば、本発明の処理液を前記金属板の表面にスプレーで吹付けている時間を意味する。
上記のような方法により本発明の処理液を前記金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させることができる。そして、金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させた後に水洗を行う。
この水洗の方法は特定に限定されないが、例えば公知の浸漬法、およびスプレー法により行うことができる。
水洗温度(水洗水の温度)は特に限定されず、通常適用される温度でよいが、5〜60℃であることが好ましく、15〜40℃であることがより好ましい。このような温度であると洗浄効率が高いからである。
水洗に使用する水洗水は、ドレン水、工業用水、市水、脱イオン水を好適に用いることができる。
また、洗浄時間も特に限定されないが、例えば、浸漬法またはスプレー法の場合は、0.1〜10秒であることが好ましく、1〜5秒であることがより好ましい。水洗時間が短すぎると前記金属板の表面に残存する余剰の化成処理液の成分の除去が十分に行われず、耐食性に優れた表面化成処理層を得られないことがある。また、水洗時間が長すぎても得られる表面化成処理層の性能向上は見られないうえ、ラインにおける操業効率の点からも好ましくない。なお、この洗浄時間とは、例えば、浸漬法による場合であれば、前記金属板が水洗水に浸漬している時間を意味する。また、スプレー法による場合であれば、水洗水を前記金属板の表面にスプレーで吹付けている時間を意味する。
このような水洗をした後は、その表面を乾燥させることが好ましい。付着水の除去だけ行う場合は、風乾またはエアーブロー等の物理的除去でもよい。
形成した表面化成処理層を金属板の表面に強固に密着させ、また化学的にも安定な状態にするためには、加熱乾燥処理が効果的である。その場合の加熱条件は、表面化成処理層を形成した金属板の表面の最高到達温度(PMT)が30〜250℃となるように加熱乾燥処理することが好ましい。この温度が40〜150℃とするのがより好ましい。
また、前記第2の方法においては、例えば、公知の電解法を適用することができる。具体的には、例えば、前記金属板を陰極とし、0.05〜50A/dm2の電流を0.2〜10秒通電することで電解析出させることができる。
この電流値は、0.5〜20A/dm2であることが好ましく、1〜10A/dm2であることがより好ましい。この電流値が低すぎると表面化成処理層の形成(析出)速度が遅くなる傾向がある。また、この電流値が高すぎると、電気量に対する表面化成処理層の形成(析出)効率が下がるため不経済になるばかりでなく、表面化成処理層の厚さが均一になり難い傾向がある。
また、通電時間の好ましい範囲は0.5〜5秒である。
また、このような電解処理に際し対極は、本発明の処理液に溶解しないものであれば、特に限定されない。例えば、白金もしくは白金被覆金属、各種ステンレス、またはカーボン等が挙げられる。
このような方法により陰極とした前記金属板の表面に本発明の処理液を接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させることができる。そして、金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させた後に水洗を行うことができる。
この水洗方法としては、前記第1の方法において説明した方法を適用することができる。水洗の後に、乾燥する場合も同様である。
本発明の製造方法における本発明の処理液の温度は、前記金属板と本発明の処理液とが反応する温度であれば特に限定されないが、30〜70℃であることが好ましく、30〜60℃であることがより好ましく、40〜55℃であることがさらに好ましい。このような温度であると、適切な反応速度を保つことができ、さらにエネルギー効率的が高まり、コストデメリットが生じ難いからである。
上述した本発明の製造方法の好ましい例としては、温度を30〜70℃とした前記表面化成処理液を、前記金属板の表面に0.5〜20秒間接触させ、前記金属板の表面に前記フッ化物(B)に含まれる金属元素を合計で5〜50mg/m2含む表面化成処理層を形成する方法が挙げられる。
次に、本発明の化成処理金属板について説明する。
本発明の化成処理金属板は、金属板の表面に、前記化合物(A)と、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含み、自己析出または電解析出した表面化成処理層を有する化成処理金属板である。
本発明の化成処理金属板に使用する金属板は上述したものと同様である。
前記表面化成処理層に含まれる化合物(A)の析出物は、化合物(A)が分解せずに析出していることが好ましい。
一方、前記表面化成処理層に含まれる前記金属元素は、前記フッ化物(B)に由来するものであるのが好ましい。この金属元素は、酸化物、水酸化物、フッ化物および前記酸成分(C)との塩のいずれかの形態で析出していればよい。
前記表面化成処理層における、前記化合物(A)由来のSiの酸化物換算質量(a)と、前記金属元素(B′)の合計析出質量(b)との質量比[(a)/(b′)]は、0.03〜0.3であることが好ましく、0.04〜0.2であることがより好ましく、0.05〜0.15であることがさらに好ましい。前記質量比が、0.03以上であると、塗膜密着性がより高くなり、0.3以下であると表面化成処理層の連続性が確保されるため、耐食性および塗膜密着性がより高くなる。
また、前記表面化成処理層における前記金属元素の合計析出質量は、5〜50mg/m2であることが好ましく、7〜45mg/m2であることがより好ましく、10〜40mg/m2であることがさらに好ましい。前記合計析出量が5mg/m2以上であると、前期金属板の表面が十分に被覆され、耐食性が高くなる。一方、50mg/m2以下であると、表面化成処理層に割れを生ずる可能性が低く、塗膜密着性がより高くなる。
本発明の化成処理金属材料の製造方法は特に限定されないが、上述した本発明の製造方法によれば、前記金属板の表面に前記表面化成処理層を短時間で形成することができる点から好ましい。
本発明の化成処理金属材料は、クロメート皮膜と同程度の耐食性(特にエリクセン加工部、折り曲げ部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない表面化成処理層を短時間で形成することができる。
本発明の化成処理金属材料は、前記表面化成処理層の上面にさらに塗膜を形成させなくても使用することができるが、前記表面化成処理層の上面にさらに樹脂層を形成させた上層被覆金属板として使用することが好ましい。
次に、本発明の上層被覆金属板およびその製造方法について説明する。
本発明の上層被覆金属板の第1の態様は、後述する本発明の上層被覆金属板の製造方法により得られ、前記樹脂層が耐指紋性を有するものである。
また、本発明の上層被覆金属板の第2の態様は、後述する本発明の上層被覆金属板の製造方法により得られ、前記樹脂層がノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含むものである。この場合、前記化成処理金属材料の表面にノンクロメートプライマー塗料からなる層を有し、さらにその上にトップコート塗料からなる層を有するのが好ましい。
本発明の上層被覆金属板の第2の態様は、前記樹脂層が耐指紋性を有していてもよく、このような場合は本発明の上層被覆金属板の第1の態様に含まれることになる。
本発明の上層被覆金属板の製造方法は、上述した本発明の化成処理金属板の製造方法に、さらに、前記表面化成処理層の上面に樹脂層を形成する工程を具備する製造方法である。
前記樹脂層は、1層であってもよく、2層以上の樹脂層からなっていてもよい。
前記樹脂層は、耐指紋性を有する樹脂層であることが好ましい。
また、前記樹脂層は、ノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含むことが好ましい。
前記樹脂層の材質は特に限定されず、例えば、現在クロメート前処理皮膜の上面に施されている耐食性付与、耐指紋性付与または潤滑性付与を目的としたコーティング剤を用いて形成することができるものである。
前記樹脂層が耐指紋性を有する樹脂層である場合、樹脂層の材質は、樹脂層に耐指紋性を付与するものであれば特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。樹脂層の耐指紋性が向上するからである。
また、前記樹脂層が耐指紋性を有する樹脂層は、さらにシリカゾルを含有することが好ましい。この場合、耐指紋性と耐食性がバランス良く発揮されるからである。
さらに、前記樹脂層は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを20〜97質量%、シリカゾルを2〜50質量%、水系ワックスを1〜30質量%含むことが好ましい。この場合には、特に耐指紋性と耐食性がバランス良く発揮されるからである。
前記水系ワックスとしては、特に限定されず、例えば、水性塗料に用いられる公知の水系ワックスを用いることができる。
このような耐指紋性を有する樹脂層の厚さは、乾燥ベースの厚さで0.1〜5μmであることが好ましく、0.4〜5μmであることがより好ましく、0.4〜3μmであることがさらに好ましい。この樹脂層は複数層を含むものであってもよい。
本発明の上層被覆金属材料の製造方法において、前記樹脂層は、例えば、本発明の表面化成処理金属板の表面化成処理層が形成された表面に、上記のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む水系処理剤を公知の方法、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、エアースプレー法、エアレススプレー法等によって塗布し、その後、乾燥することによって形成することができる。
また、本発明の上層被覆金属板においては、前記表面化成処理層と、前記耐指紋性を有する樹脂層との間に、さらに、無機物および/または有機物からなる層を有することが好ましい。この層は0.01〜0.2μmの厚さであることが好ましい。この層はクロムを含まない金属カチオンを含むことが好ましい。
ここで用いることができる有機物としては、例えば、前記樹脂層に用いることができる水溶性樹脂またはエマルション樹脂等を用いることができる。
また、前記樹脂層は、ノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含むことが好ましい。
前記ノンクロメートプライマー塗料としては、クロメート系の防錆顔料を含有しないノンクロメートプライマー塗料が使用できる。ノンクロメートプライマーは、樹脂を含有し、必要に応じ着色顔料や防錆顔料等を含有してもよい。
この樹脂としては水系、溶剤系、紛体系等のいずれの形態のものでもよい。樹脂の種類としては、一般に公知のもので例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリブチラール系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂等をそのままあるいは組み合わせて使用することができる。
前記着色顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、アルミナ(Al23)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe23、Fe34)等の無機顔料や、ハンザエロー、ピラゾロンオレンジ、アゾ系顔料等の有機顔料等の公知の着色顔料を用いることができる。
前記防錆顔料としては、一般に公知のもの、例えば、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム等のリン酸系防錆顔料、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウム等のモリブデン酸系防衛顔料、酸化バナジウム等のバナジウム系防錆顔料、水分散性シリカ、フュームドシリカ等の微粒シリカ等も用いることができる。但し、ストロンチウムクロメート、ジンクロメート、カルシウムクロメート、カリウムクロメート、バリウムクロメート等のクロメート系防錆顔料は環境上有毒であるため使用しないことが望ましい。また、消泡剤、分散補助剤、塗料粘度を下げるための希釈剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
上記のノンクロメートプライマー塗料からなる層の厚さは、乾燥後で1〜30μmであることが好ましく、2〜20μmであることがさらに好ましい。1μm以上であると耐食性が高く、また30μm以下であると加工時の密着性が高い。
また、前記トップコート塗料としては、特に限定されず通常の塗装用トップコートを使用することができる。例えば、樹脂を含有し、必要に応じさらに着色顔料や防錆顔料等を含有することができる。樹脂、着色顔料および防錆顔料、ならびに添加物としてはノンクロメートプライマーで説明したものと同様のものを用いることができる。
前記トップコート塗料からなる層の厚さは、乾燥後で3〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがさらに好ましい。このような範囲であると、耐食性が高いという効果を奏するので好ましい。この厚さが厚すぎると密着性が低下する傾向がある。
このようなノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含む樹脂層を有する本発明の上層被覆金属板は、優れた耐食性、塗膜密着性を有するノンクロメートの高機能コート金属板、ノンクロメートのプレコート金属板である。この2つの層を有する樹脂層は、通常、さらに、耐アルカリ性、潤滑性、耐滑り性(コインスクラッチ性)をも具備する。
前記ノンクロメートプライマー塗料からなる層、および前記トップコート塗料からなる層を形成する方法は特に限定されず、一般に使用されるロールコート法、エアースプレー法、エアレススプレー法等を利用することができる。
前記ノンクロメートプライマー塗料および前記トップコート塗料の焼き付け乾燥条件は限定されないが、例えば130〜250℃で、10秒〜5分の処理を行うことでノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層を形成することができる。
なお、本発明の化成処理金属材料および上層被覆金属材料において、前記表面化成処理層および前記樹脂層は、前記金属板の少なくとも片面に形成されていればよい。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.供試材
以下の市販の素材を供試材として使用した。
・溶融亜鉛めっき鋼板(GI):板厚=0.5mm、目付量=90/90(g/m2
・電気亜鉛めっき鋼板(EG):板厚=0.5mm、目付量=30/30(g/m2
・5%アルミニウム含有溶融亜鉛めっき鋼板(GF):板厚=0.5mm、目付量=90/90(g/m2
・溶融55%亜鉛合金めっき鋼板(GL):板厚=0.8mm、目付量=90/90(g/m2
なお、上記目付量は一方および他方の各々の主面上への目付量を示している。例えば90/90(g/m2)は、両面の各々に90g/m2のめっきを有することを意味する。
2.亜鉛系めっき鋼板の清浄方法
上記4つの供試材の表面(両面)を中アルカリ脱脂剤(ファインクリーナー4336(登録商標)、日本パーカライジング株式会社製)を用いて処理し、表面に付着しているゴミや油を除去した。ここでこの中アルカリ脱脂剤は、濃度が20g/Lとなるように水道水で溶解した後、60℃に調整して用いた。また、処理はスプレーを用い20秒間行った。そして、表面に残存している中アルカリ脱脂剤の成分を水道水により洗浄し、供試材の表面を清浄化した。
3.化合物(A)の合成
(実施例1〜40および比較例5〜7)
撹拌機のついた反応装置(1Lセパラブルフラスコ)に、下記第1表に示す芳香族化合物100質量部と、下記第1表に示す量(質量部)の有機溶媒とを入れ、十分に溶解させた。この混合液に下記第1表に示すアミン化合物、アミノシラン、36質量%ホルムアルデヒド液、触媒を下記第1表に示す量(質量部)室温にて順次滴下して加えた後、80℃にて24時間撹拌を行った。24時間撹拌後、亜硫酸ナトリウムを加えて系内に存在する未反応ホルムアルデヒドを滴定して反応率を求め、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。
その後、水を加えてポリマー成分のみを沈降ろ過して精製を行い、前記化合物(A)に相当する化合物を得た。
(比較例2)
アミノシランを添加しなかった以外は上記実施例と同様の方法で化合物を合成した。
(比較例3)
上記化合物(A)の代わりに、特許文献17(特開2001−329379号公報)の実施例で使用される有機化合物A3を、当該文献に基づき合成し、用いた
(比較例4)
前記化合物(A)の代わりに、単にγ−アミノプロピルトリメトキシシランを用いた。
下記第1表中の各成分は下記のとおりである。
・芳香族化合物(a1−1):ポリ−p−ビニルフェノール、マルカーリンカー、丸善石油化学社製
・芳香族化合物(a1−2):ポリビスフェノールA、ビスフェノールFM、三井化学社製
・アミノシラン(a2−1):γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
・アミノシラン(a2−2):N−フェニル−3アミノプロピルトリメトキシシラン
・アミノシラン(a2−3):N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
・アミノシラン(a2−4):N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン
・アミン化合物(a3−1):2−エチルエタノールアミン
・アミン化合物(a3−2):N−メチル−1,3−プロパンジアミン
4.表面化成処理液の調整
(実施例1〜40および比較例1〜7)
水に、第1表に示す化合物(A)および下記第2表に示す成分(B)〜(D)を、第2表に示す量(質量部)加えて、十分に混合して、各表面化成処理液を得た。
第2表に、各表面化成処理液の遊離フッ素濃度、フッ化物(B)に含まれる金属元素の合計の質量濃度(b)に対する化合物(D)に含まれる金属元素の合計の質量濃度(d)の比[(d)/(b)]およびpHを示す。
(比較例8)
反応型クロメート(日本パーカライジング株式会社製、ジンクロム3367)を用いて、製品説明書による標準使用条件にて建浴し、表面化成処理液とした。
5.化成処理金属板の作製
(実施例1〜40および比較例1〜8)
下記第3表に示す清浄後の供試材を、各表面化成処理液を用いて第3表に示す処理条件(処理形式、液温、処理時間)で処理した。
その後、25℃の市水を5秒間スプレーすることによって表面を清浄し、ロール絞りを用いて水切りし、化成処理金属板表面の到達板温50℃で乾燥を行った。
なお、処理方法は具体的には以下のとおりである。
・浸漬処理
所定の表面化成処理液に供試材を浸漬し、所定の時間保持した。
・スプレー処理
所定の表面化成処理液を、スプレー圧0.5kgf/cm2で所定時間処理した。
・電解処理
供試材を陰極側とし、所定の表面化成処理液に浸漬すると同時に2.0A/dm2の電流を供試材に通電し、所定の時間保持した。
5.上層被覆金属板の形成
5.1 耐指紋金属板(実施例1〜40および比較例1〜8)
得られた化成処理金属板の一部を切り出し、その上面(片面:評価面)に、ウレタン樹脂(株式会社ADEKA製HUX−320)80質量部、シリカ粉末(日本アエロジル社製アエロジル300)15質量部および水系ワックス(三井化学株式会社製ケミパール W500)5質量部含有する水性樹脂組成物をバーコートで塗布した。
ここで膜厚は乾燥後で1μmとなるようにした。
その後、到達板温度150℃で乾燥し、耐指紋金属板を得た。
5.2 塗装金属板(実施例1〜40および比較例1〜8)
得られた化成処理金属板の一部を切り出し、その上面(片面:評価面)に、市販のノンクロメートエポキシ系プライマー(Vニット#200、大日本塗料社製)をバーコートで塗布し、到達板温度210℃にて乾燥し、浸漬水冷し、水切り乾燥した。
次いで、市販のトップコート塗料(Vニット#500、大日本塗料社製)をバーコートで塗布し、到達板温度220℃で乾燥し、浸漬水冷、水切り乾燥した。ここでプライマーの膜厚は乾燥後で5μmとなるようにし、トップコート塗料の膜厚は15μmとなるようにした。
6.評価方法
6.1 表面化成処理液の安定性評価
目視で表面化成処理液の外観を観察し沈殿発生の有無を確認した。評価基準は以下のとおりである。結果を第3表に示す。
○:沈殿なし、処理可能
×:沈殿発生、処理不適
6.2 化成処理金属板の耐食性および塗膜密着性の評価
上記化成処理金属板の耐食性および塗膜密着性を下記に示す方法により評価した。結果を第3表に示す。
(1)平面部耐食性試験
各化成処理金属板に対して、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を48時間実施した。そして、白錆発生面積率を目視で測定し評価を行った。ここで白錆発生面積率とは、観察部位の面積に対する白錆発生部位の面積の百分率である。評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率5%未満
○:白錆発生面積率5%以上、10%未満
△:白錆発生面積率10%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上
(2)加工部耐食性試験
各化成処理金属板に対して、エリクセンにて5mmの押し出し加工を行い、JIS―Z2371に規定された塩水噴霧試験を48時間実施し、加工部における白錆発生面積率を目視で測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率10%未満
○:白錆発生面積率10%以上、30%未満
△:白錆発生面積率30%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上
(3)カット部耐食性試験
各化成処理金属板に対して、NTカッターでクロスカットを入れ、JIS―Z2371に規定された塩水噴霧試験を48時間実施し、カット部の片側最大錆幅をルーペで測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:3mm未満
○:3mm以上、5mm以下
△:5mm以上、10mm未満
×:10mm以上
(4)塗装一次密着性試験
各化成処理金属板を塗料(関西ペイント株式会社製アミラック#1000(白塗料))を用いて塗装処理した。塗装はバーコート塗布で行い、塗装後、140℃で20分間焼付けを行い、乾燥後膜厚で25μmの皮膜を形成した。ここで得られたものを「塗装後金属板A」とする。その後、各塗装後金属板Aに対して、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これをエリクセン試験機で5mm押し出した後、この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準を以下に示す。
◎:剥離なし
○:剥離個数1個以上、10個以下
△:剥離個数11個以上、50個以下
×:剥離個数51個以上
(5)塗装二次密着性試験
上述した塗装一次密着性試験と同じ条件で塗装して得た塗装後金属板Aを沸騰水に2時間浸漬後、常温の室内にて24時間放置した。その後、各塗装後金属板Aに対して、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これをエリクセン試験機で5mm押し出した後、この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準は、6.2(4)の評価基準を用いた。
6.3 耐指紋金属板の評価
上記耐指紋金属板の耐食性および塗膜密着性を下記に示す方法により評価した。結果を第4表に示す。
(1)平面部耐食性
各耐指紋金属板に、JIS―Z2371に規定された塩水噴霧試験を192時間実施した。白錆発生面積率を目視で測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率5%未満
○:白錆発生面積率5%以上、10%未満
△:白錆発生面積率10%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上
(2)加工部耐食性
各耐指紋金属板に対しエリクセンにて7mmの押し出し加工を行い、JIS―Z2371に規定された塩水噴霧試験を192時間実施し、加工部における白錆発生面積率を目視で測定した。評価基準は6.3(1)の評価基準を用いた。
(3)アルカリ脱脂後耐食性
各耐指紋金属板を用いて、アルカリ脱脂剤(日本パーカライジング製CL−N364S)を20g/L、60℃、10秒スプレー、スプレー圧0.5kg/cm2で脱脂した後、スプレー水洗を10秒行ってから、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を192時間実施した。評価基準は6.3(1)の評価基準を用いた。
(4)塗装一次エリクセン密着性試験
各耐指紋金属板を塗料(関西ペイント株式会社製アミラック#1000(白塗料))を用いて塗装処理した。塗装はバーコート塗布で行い、塗装後、140℃で20分間焼付けを行い、乾燥後膜厚で25μmの皮膜を形成した。ここで得られたものを「塗装後金属板B」とする。その後、各塗装後金属板Bに対して、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これをエリクセン試験機で7mm押し出した後、この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準を以下に示す。
◎:剥離なし
○:剥離個数1個以上、10個未満
△:剥離個数11個以上、50個未満
×:剥離個数51個以上
(5)塗装二次エリクセン密着性試験
上記6.3(4)の塗装一次エリクセン密着性試験と同じ条件で塗装して得た塗装後金属板Bを沸騰水に2時間浸漬後、常温の室内にて24時間放置した。
その後、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これをエリクセン試験機で7mm押し出した。この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準は6.3(4)の評価基準を用いて行った。
6.4 塗装金属板の評価
上記塗装金属板の耐食性および塗膜密着性を下記に示す方法により評価した。結果を第4表に示す。
(1)カット部耐食性
各塗装金属板に対して、NTカッターでクロスカットを入れ、JIS―Z2371に規定された塩水噴霧試験を240時間実施し、カット部の片側最大膨れ幅をルーペで測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:3mm未満
○:3mm以上、5mm未満
△:5mm以上、10mm未満
×:10mm以上
(2)端面部耐食性
各塗装金属板に対して、JIS―Z2371に規定された塩水噴霧試験を240時間実施し、端面部の最大膨れ幅をルーペで測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:5mm未満
○:5mm以上、7mm未満
△:7mm以上、10mm未満
×:10mm以上
(3)一次2T密着性
JIS−G3312の試験法に準じて各塗装金属板に対し20℃における折り曲げ内側間隔板2枚の2T折り曲げ試験を行い、テープ剥離後の剥離状態で下記の判定基準に準じて塗装密着性の評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
◎:剥離なし
○:剥離面積20%未満
△:剥離面積20%以上50%未満
×:剥離面積50%以上
(4)二次2T密着性
各塗装金属板を沸騰水に2時間浸漬後、常温の室内にて24時間放置した。その後、JIS−G3312の試験法に準じて各試験板に対し20℃における折り曲げ内側間隔板2枚の2T折り曲げ試験を行い、テープ剥離後の剥離状態で6.4(3)の判定基準に準じて塗膜密着性の評価を行った。
Figure 0005123052
Figure 0005123052
Figure 0005123052
Figure 0005123052
上記に示した実施例および比較例から以下の結果が確認できた。
・実施例1〜3と比較例18より、本発明の処理液は、短時間で十分なフッ化物(B)に含まれる金属元素(B′)の析出と、クロメートと同等の性能を有する化成処理皮膜が形成されること
・実施例1および4より、アミノ基の有無が安定性に影響を及ぼすこと
・実施例1と比較例1〜7より、本発明の化合物(A)の構造や他成分の有無により、処理液の安定性、成分(B′)の析出量、耐食性および密着性が大きく変化し、本発明の化合物(A)が極めて優れる性能を発現する成分であること
・実施例5〜8より、材質によらず各性能に優れた化成処理皮膜が形成されること
・実施例5〜9より、遊離フッ素濃度が本発明の範囲内にある場合は、十分な成分(B′)の析出量が保たれ、性能が良好であること
・実施例10〜23より、(d)/(b)の範囲が本発明の範囲内であるときは、処理温度にかかわらず、短時間にて十分な成分(B′)の析出量が保たれ、良好な性能を有すること
・実施例30〜35より、本発明の範囲内の成分(B′)の析出量であれば、良好な性能を有すること
・実施例24〜29、36〜40より、(a)/(b′)が本発明の範囲内であると、化成処理金属板、耐指紋金属板および塗装金属板の全てにおいて、耐食性だけでなく、密着性が優れる皮膜が形成されていること

Claims (16)

  1. 金属板表面処理用の表面化成処理液であって、
    アルコキシシリル基と、芳香環と、前記芳香環に直接結合しているヒドロキシ基と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基および第四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ基とを有する水溶性の化合物(A)と、
    Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むフッ化物(B)と、
    フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸成分(C)と、
    Mn、Co、Mg、AlおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物(D)と、
    水性媒体(E)とを含有し、
    前記化合物(A)が、重合体であり、
    前記化合物(A)、前記フッ化物(B)、前記酸成分(C)および前記化合物(D)は、前記水性媒体(E)に溶解しており、
    前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する、表面化成処理液。
  2. 前記アルコキシシリル基が、前記アミノ基の窒素原子に直接またはアルキレン基を介して結合している請求項1に記載の表面化成処理液。
  3. 遊離フッ素イオン濃度が1〜30mg/Lであり、
    前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(b)に対する前記化合物(D)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(d)の比である(d)/(b)が、1〜200である、請求項1または2に記載の表面化成処理液。
  4. pHが2.0〜Xである、請求項1〜3のいずれかに記載の表面化成処理液。
    (但し、前記Xは下記式で表される。下記式中、(d)は前記化合物(D)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(d)であり、(b)は前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計の質量濃度(b)である。)
    X=−0.02×[(d)/(b)]+6.0
  5. 前記金属板の少なくとも片面に、前記化合物(A)と、前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素とを含み、前記化合物(A)由来のSiの酸化物換算質量(a)と前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計析出質量(b′)との質量比[(a)/(b′)]が0.03〜0.3である、表面化成処理層を形成し得る、請求項1〜4のいずれかに記載の表面化成処理液。
  6. 前記フッ化物(B)に含まれる前記金属元素の合計析出質量(b′)が5〜50mg/m2である表面化成処理層を形成しうる請求項5に記載の表面化成処理液。
  7. 前記金属板が亜鉛系めっき鋼板である請求項1〜6のいずれかに記載の表面化成処理液。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の表面化成処理液を用いて、金属板の少なくとも片面に非塗布型の表面化成処理層を形成する化成処理金属板の製造方法。
  9. 前記金属板の表面に前記表面化成処理液を接触させて、前記金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させて形成し、
    前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗する、請求項8に記載の化成処理金属板の製造方法。
  10. 陰極とした前記金属板の表面に、前記表面化成処理液を接触させて、前記金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させて形成し、
    前記表面化成処理層を形成した前記金属板を水洗する、請求項8に記載の化成処理金属板の製造方法。
  11. 温度を30〜70℃とした前記表面化成処理液を、前記金属板の表面に0.5〜20秒間接触させ、前記金属板の表面に前記フッ化物(B)に含まれる金属元素を合計で5〜50mg/m2含む表面化成処理層を形成する、請求項8〜10のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法に、さらに、前記表面化成処理層の上面に樹脂層を形成する工程を具備する、上層被覆金属板の製造方法。
  13. 金属板の表面に、アルコキシシリル基と、芳香環と、前記芳香環に直接結合しているヒドロキシ基と、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基および第四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ基とを有する水溶性の化合物(A)と、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含み、前記化合物(A)が、重合体であり、自己析出または電解析出した表面化成処理層を有する化成処理金属板。
  14. 請求項8〜11のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法により得られる、請求項13に記載の化成処理金属板。
  15. 請求項12に記載の上層被覆金属板の製造方法により得られ、前記樹脂層が耐指紋性を有する上層被覆金属板。
  16. 請求項12に記載の上層被覆金属板の製造方法により得られ、前記樹脂層がノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含む上層被覆金属板。
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