JP5121270B2 - 移動焼入装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軸状のワークを軸線方向に上下移動させながら加熱および冷却する移動焼入装置に関するものである。
ボールねじ機構に用いるねじ軸のような長尺の軸状部材を焼入する方法として、例えば、特許文献1に記載されているように、軸状部材を高周波無酸化焼入装置内を回転させながら軸線方向に移動させ、軸線方向に移動される軸状部材の表面を、高周波無酸化焼入装置に設けた高周波誘導加熱コイルにより加熱し、加熱された軸状部材の表面に冷却液を噴射して冷却し、これによって軸状部材の表面を無酸化状態の下で焼入処理を施すようにしたものがある。
かかる特許文献1に記載のものは、高周波加熱コイルによって加熱されたねじ軸を冷却するために、高周波加熱コイルの加熱部を取り囲むように配設されたガス噴射環4の下部近傍位置に、冷却液導入管が接続された冷却液噴射環を配設し、冷却液噴射環の内周面に形成された多数の冷却液噴射孔より冷却液を冷却液噴射環内に、ねじ軸の加熱表面に所要の下向き角度をもって噴射するように構成されている。
特開平11−21619号公報(段落0013、図1)
しかしながら、特許文献1に記載のものは、シャワーのようにしてねじ軸を冷却するものであるため、冷却液がねじ軸にぶつかって反射してしまい、冷却効率が悪く、十分な冷却を行うためには、供給する冷却液の流量を増加させる必要があり、大容量の冷却液タンクを必要とする問題がある。
また、ワークがラック軸のような場合には、特許文献1に記載のようなシャワー式では、ラック歯の裏側(歯裏部)に冷却液がかかりにくく、冷却むらによって歯裏部に硬度むらが発生する恐れがあった。しかも、ラック軸のようなものにおいては、通常、ラック歯とその背面側の加熱条件が異なるため、特許文献1に記載のようなワークの外周を一様に冷却するやり方では、ラック歯とその背面側の冷却速度が不均一となり、このために、ワークに大きな曲がりが発生し、後工程における曲がり除去作業が大変となる問題がある。
本発明は、上記した従来の問題点を解消するためになされたもので、長尺のワークでありながら、ワークを冷却液貯留室に充満された冷却液中に浸漬することを可能にするとともに、加熱条件に応じた均一な冷却速度でワークの外表面を冷却できるようにした移動焼入装置を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、軸状のワークの両端を略鉛直軸線方向に支持するワーク支持手段と、前記ワークの外表面を加熱する加熱装置と、該加熱装置によって加熱されたワークの外表面を冷却する冷却装置と、該冷却装置および前記加熱装置と前記ワーク支持手段とを前記ワークの軸線に沿って上下方向に相対移動させる移動手段とを備え、前記ワークを上下方向に相対移動させつつ加熱および冷却を行うワークの移動焼入装置において、前記冷却装置は、前記ワークを挿通可能な略環状の冷却液供給部材と、該冷却液供給部材と前記ワークとの間に形成された冷却液貯留室とを備え、前記冷却液供給部材は円周方向に2分割された第1および第2の冷却液供給室からなり、該第1および第2の冷却液供給室を冷却液を供給する冷却液供給路にそれぞれ接続し、前記第1および第2の冷却液供給室に前記冷却液貯留室に向けて冷却液を噴射する噴射孔をそれぞれ設け、前記冷却液貯留室の下端に前記ワークとの間に形成した環状隙間より冷却液を制限的に排出する排出制御板を設けたことである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記排出制御板には、前記環状隙間から排出される冷却液の流動方向をワーク外表面に向かう方向に偏向させる偏向部が設けられていることである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または請求項2において、円周方向に2分割された前記第1および第2の冷却液供給室の間には、冷却液を横方向より外部に排出する半径方向隙間が形成されていることである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記ワークは、ラック歯を形成したラック部を有し、該ラック部のラック歯とその背面側は前記加熱装置によって異なる条件で加熱され、前記第1および第2の冷却液供給室を前記ラック部のラック歯と背面側にそれぞれ対応して配設し、前記第1および第2の冷却液供給室を異なる流量の冷却液を供給する別個の冷却液供給路にそれぞれ接続したことである。
請求項5に係る発明の特徴は、請求項4において、前記第1および第2の冷却液供給室から噴射される流量比を、前記ラック部のラック歯と背面側の冷却速度が均等となるように設定したことである。
請求項1に係る発明によれば、ワークを挿通可能な略環状の冷却液供給部材は、円周方向に2分割された第1および第2の冷却液供給室からなり、第1および第2の冷却液供給室を異なる流量の冷却液を供給する別個の冷却液供給路にそれぞれ接続し、第1および第2の冷却液供給室にワークの外面に向けて冷却液を噴射する噴射孔をそれぞれ設け、冷却液貯留室の下端にワークとの間に形成した環状隙間より冷却液を制限的に排出する排出制御板を設けたので、加熱装置によって加熱された上下方向に長尺のワークにおいても、冷却液貯留室に充満された冷却液中に浸漬して焼入冷却することができ、冷却むらを抑制して、ワークに発生する曲がりを抑制できるようになる。
請求項2に係る発明によれば、排出制御板には、環状隙間から排出される冷却液の流動方向をワーク外表面に向かう方向に偏向させる偏向部が設けられているので、冷却液貯留室より排出される冷却液をワークの外表面に有効に作用させることができ、少ない流量の冷却液でワークを有効に冷却できるようになる。
請求項3に係る発明によれば、円周方向に2分割された第1および第2の冷却液供給室の間には、冷却液を横方向より外部に排出する半径方向隙間が形成されているので、ワークを冷却して温度上昇した冷却液が、冷却液貯留室の上部にこもることがなく、冷却効果を向上できるようになる。
請求項4に係る発明によれば、ワークは、ラック歯を形成したラック部を有し、ラック部のラック歯とその背面側は加熱装置によって異なる条件で加熱され、第1および第2の冷却液供給室をラック部のラック歯と背面側にそれぞれ対応して配設し、第1および第2の冷却液供給室を異なる流量の冷却液を供給する別個の冷却液供給路にそれぞれ接続したので、ラック歯と背面側において加熱条件が異なっていても、それに応じた流量の冷却液でラック歯と背面側とを冷却速度が均一になるように冷却することができる。
請求項5に係る発明によれば、第1および第2の冷却液供給室から噴射される流量比を、ラック部のラック歯と背面側の冷却速度が均等となるように設定したので、ワークに発生する曲がりを極力抑制することができ、後工程における曲がり除去作業を不要、あるいは簡単にすることができる。
以下、本発明の実施の形態を、電動パワーステアリング装置に用いられるボールねじ軸10を焼入処理する例につき、図面に基づいて説明する。当該ボールねじ軸10は、図7に示すように、軸方向の全長に亘って円筒状の軸部11を有し、軸方向の略中央部にボールねじ溝部12が形成され、軸方向の一端にラック部13が形成されている。ラック部13には、ラック歯15が形成され、ラック歯15の両端と軸部11とは、図8に示すように、段差17、18をもって接続されている。
図1および図2において、21は移動焼入装置の本体を示し、本体21にはスライダ22が上下方向にスライド可能に案内され、昇降用モータ23によりボールねじ機構24を介して上下方向にスライドされるようになっている。スライダ22の上端部および下端部には、上部支持フレーム25および下部支持フレーム26がそれぞれ設置されている。
上部支持フレーム25には、ボールねじ軸10の上端に係合して回転可能に支持する上センタ27を取付けた上部支持装置28が設置され、下部支持フレーム26には、ボールねじ軸10の下端に係合して回転可能に支持する下センタ29が取付けられている。
上部支持装置28は、図3に示すように、上部支持フレーム25に鉛直軸線の回りに回転可能に支持された回転軸31を備え、回転軸31の上端には、スライダ22に設置された回転用モータ32が歯車機構33を介して連結されている。回転軸31にはセンタ軸34が貫挿され、センタ軸34に一体に形成したスプライン軸35は、回転軸34に設けたスプラインスリーブ36に上下方向に摺動のみ可能にスプライン係合されている。スプライン軸35は、スライダ22に設置された進退用シリンダ37によって上下方向に所定量進退移動されるジョイント38に回転のみ可能に支持されている。センタ軸34の下端には、上センタ27が取付けられ、上センタ27には、図示してないがボールねじ軸10に形成した図略のキー溝に係合するキー部材が取付けられている。
これにより、上センタ27を取付けたセンタ軸34は、進退用シリンダ37によって上下方向に所定量進退移動されるとともに、回転用モータ32によって回転軸34と一体的に回転駆動される。そして、上センタ27と下センタ29との間に鉛直軸線に沿って支持されたボールねじ軸10は、回転軸34よりキー部材を介して回転が伝えられるとともに、スライダ22のスライドにより軸線方向に沿って上下方向に移動される。
上記したスライダ22、昇降用モータ23およびボールねじ機構24等によって、ボールねじ軸10を上下方向に移動する移動手段を構成しており、また、上記した上センタ27および下センタ29等によって、ボールねじ軸10を鉛直軸線方向に支持する支持手段を構成している。
移動焼入装置本体21には、スライダ22の後方に、シフト台40が水平方向にスライド可能に案内され、シフト用モータ43によりボールねじ機構44を介して水平方向にシフト移動されるようになっている。シフト台40には高周波焼入ユニット41のトランス42が設置されている。トランス42には、絶縁体からなる支持プレート45が突設され、支持プレート45は、スライダ22に形成した上下方向に細長く伸びた開口部22aを介して両センタ27、29の軸心位置まで延在されている。支持プレート45上には、ボールねじ軸10の外表面を加熱する加熱装置47が配設されている。加熱装置47は、図4および図5に示すように、ボールねじ軸10を取巻くように環状に形成された加熱部48aを備えた高周波加熱コイル48と、高周波加熱コイル48の加熱部48aを収容する矩形状の加熱室49aを形成した加熱ハウジング49とによって構成されている。
加熱ハウジング49は支持プレート45上に設置され、加熱ハウジング49の上部開放端はカバープレート50によって閉塞されている。支持プレート45とカバープレート50には、両センタ27、29によって支持されたボールねじ軸10を挿通するための挿通穴45a、50aが形成され、これら挿通穴45a、50aはボールねじ軸10の直径よりも僅かに大きな内径に形成されている。
高周波加熱コイル48の加熱部48aは、ボールねじ軸10のラック部13の軸直角断面形状に補合する略馬蹄形状に形成され、この馬蹄形状はボールねじ軸10を挿通するに十分な大きさに形成されている。すなわち、加熱部48aは、軸部11に間隔を有して対応する円筒部48a1と、この円筒部48a1の円周方向1か所に形成されラック部13のラック歯15に平行な直線部48a2とを接続した形状に形成されている。
なお、加熱部48aが配設された加熱ハウジング49の加熱室49aには、図略のガス噴射装置より噴射された窒素ガス等が充満され、これによって、加熱ハウジング49内を無酸化状態に保ち、ボールねじ軸10の加熱表面の酸化を防ぎながら加熱処理を行えるようにしている。
支持プレート45には、加熱ハウジング49の下方に、加熱装置47によって加熱されたボールねじ軸10の外表面を急冷する冷却装置51が配設されている。冷却装置51は、図6に示すように、両センタ27、29で支持されたボールねじ軸10を挿通可能な略環状の冷却液供給部材52を備えている。冷却液供給部材52は、円周方向に2分割された2つのC形形状をなす冷却液供給室53、54によって構成されている。2つの冷却液供給室53、54は各一端において互いに接合され、各他端において僅かに離間されて、外部に向けて横方向に開放する制限された半径方向隙間55が形成されている。冷却液供給部材52の内径は、ボールねじ軸10の外表面との間で必要にして十分な容積の冷却液を充満可能な冷却液貯留室57を形成できるように、ボールねじ軸10の外径より相当大きく設定されている。
2つの冷却液供給室53、54は、ラック部13を冷却する際に、ラック歯15に対応する第1の冷却液供給室53と、ラック歯15の背面側16に対応する第2の冷却液供給室54として機能する。第1の冷却液供給室53の内周には、ボールねじ軸10の軸心部に向けて複数の噴射孔59が開口され、第2の冷却液供給室54の内周には、ボールねじ軸10の軸心部に向けて複数の噴射孔60が開口されている。ラック歯15に対応する第1の冷却液供給室53に形成された噴射孔59の数は、背面側16に対応する第2の冷却液供給室54に形成された噴射孔60の数よりも多く形成され、第1の冷却液供給室53よりより多くの冷却液を噴射できるようにしている。第1および第2の冷却液供給室53、54には、別個の冷却液供給管路61、62が接続され、これら冷却液供給管路61、62を介して第1および第2の冷却液供給室53、54に予め定められた流量比で、かつ第1の冷却液供給室53により多くの冷却液が供給されるように、冷却液が供給されるようになっている。
冷却液供給部材51の下端には、冷却液貯留室57の下端を閉塞するように排出制御板63が取付けられている。排出制御板63には、ボールねじ軸10を挿通する挿通穴63aが設けられ、挿通穴63aとボールねじ軸10の外表面との間に制限された環状隙間65が形成される。
これにより、冷却液供給管路61、62より第1および第2の冷却液供給室53、54に供給された所定流量の冷却液は、各噴射孔59、60より冷却液貯留室57に供給され、冷却液貯留室57より第1および第2の冷却液供給室53、54の間に形成された半径方向隙間55を介して外部に排出される。
ここで、第1および第2の冷却液供給室53、54に供給される冷却液の供給流量に応じて、半径方向隙間55および環状隙間65からなる排出面積を設定することにより、冷却液貯留室57より半径方向隙間55および環状隙間65を介して排出される冷却液が制限を受け、これによって、冷却液貯留室57に常に過不足のない冷却液を充満させることができる。しかも、冷却液の排出を下方からだけでなく、半径方向隙間55によって横方向からも排出させることにより、冷却液貯留室57の上部に貯留される冷却液の循環作用を促進し、ボールねじ軸10の冷却によって温度上昇した冷却液が冷却液貯留室57にこもるのを防止し、冷却効率を向上するようにしている。
また、排出制御板63の挿通穴63aの上部には、図10に示すように、冷却液の流動方向を偏向させる偏向部をなす面取り63a1が施され、この面取り63a1によって環状隙間65より下方に排出される冷却液をボールねじ軸10の外面に向かう方向に偏向させ、冷却液がボールねじ軸10の径外方向へ飛散するのを抑制することによって、冷却液をボールねじ軸10の外表面に有効に作用させ、ボールねじ軸10の冷却効率を向上するようにしている。
上記した昇降用モータ23、回転用モータ32およびシフト用モータ43、ならびにトランス42は、図2に示すように、制御装置70に接続されている。昇降用モータ23、回転用モータ32およびシフト用モータ43は、制御装置70にて起動、停止が制御されるとともに、指令された回転速度にて回転駆動されるようになっている。また、トランス42は、制御装置70によって高周波加熱コイル48を制御する出力電力を、ボールねじ軸10の上下方向位置に応じて制御されるようになっている。
次に、上記した構成におけるボールねじ軸10の焼入処理動作について説明する。ボールねじ軸10の着脱時においては、スライダ22が上昇端に位置決めされ、このスライダ22に対して上センタ27が進退用シリンダ37によって上昇端に保持されている。この状態で、ボールねじ軸10がラック部13を上方にした姿勢で上下のセンタ27、29間に搬入され、ボールねじ軸10の下端が加熱装置47および冷却装置51を貫通する位置まで上昇された下センタ29に係合支持される。
続いて、上センタ27が進退用シリンダ37により下降されて、ボールねじ軸10の上端に係合されることにより、ボールねじ軸10の両端が両センタ27、29によって鉛直軸線方向に支持されるとともに、ボールねじ軸10のキー溝に上センタ27に設けた図略のキー部材が係合される。
しかる状態で、昇降用モータ23が駆動され、ボールねじ機構24を介してスライダ22が早送り速度で下降され、両センタ27、29に支持されたボールねじ軸10がスライダ22と一体的に下降されるとともに、加熱装置47の加熱ハウジング49内に窒素ガス等が供給されて無酸化状態にされる。ボールねじ軸10の焼入開始位置(下端)が高周波加熱コイル48に対応する位置まで移動されると、スライダ22の下降動作が一旦停止される。
続いて、昇降用モータ23によってスライダ22が比較的低速度で下降が開始されるとともに、回転用モータ32が駆動され、ボールねじ軸10がセンタ27、29を中心にして鉛直軸線の回りに回転される。これによって、ボールねじ軸10は回転されながら、加熱装置47および冷却装置51内に送り込まれる。
この際、制御装置70によって、トランス42が所定周波数(例えば100kHz)で所定の出力電力が高周波加熱コイル48に供給されるように制御され、ボールねじ軸10の下端の軸部11が、加熱装置47の高周波加熱コイル48に侵入され、軸部11の外表面が無酸化状態の下で、所定の温度(例えば900℃)に加熱される。加熱装置47によって所定の温度まで加熱された軸部11は、次いで、冷却装置51に移送され、冷却液貯留室57に充満された冷却液中に浸漬され、冷却される。これによって、ボールねじ軸10の軸部11の外表面に所定硬度で所定深さの焼入層が形成される
なお、ボールねじ軸10が回転しながら、軸部11が加熱されるので、高周波加熱コイル48が略馬蹄形をしていても、軸部11の外表面は均等に加熱され、同様に、冷却装置51における第1および第2の冷却液供給室53、54の噴射孔59、60より異なる流量の冷却液が供給されていても、軸部11の外表面は均等に冷却される、
このようにして、ボールねじ軸10上の軸部11が焼入処理され、ボールねじ軸10の下降によって、引き続き、ボールねじ溝部12の外表面が加熱装置47によって加熱されるとともに、冷却装置51によって冷却される。
ボールねじ軸10が所定位置まで下降され、ラック部13の始端部が高周波加熱コイル48に接近する位置まで移動されると、回転用モータ32が制御されて、ボールねじ軸10はラック部13のラック歯15が高周波加熱コイル48の略馬蹄形状に補合する角度位置、すなわち、加熱部48aの直線部48a2にラック歯15が対応する図5に示す角度位置に位置決め停止される。そして、ラック部13の段差17部に高周波加熱コイル48が対応する位置までボールねじ軸10が下降されると、シフト用モータ43が駆動され、シフト台40がボールねじ機構44を介して所定量シフトされる。これにより、高周波加熱コイル48の直線部48a1がラック部13のラック歯15に接近する方向に所定量シフトされる。同時に、制御装置70により、ボールねじ軸10の下降速度が低速度に制御されるとともに、高周波加熱コイル48が予め設定された出力電力に制御される。
このような制御により、通常、段差17部においては、その角部17aに電流が集中的に流れてラック歯15の始端部の焼きが甘くなる傾向となっていたが、高周波加熱コイル48のラック歯15に接近する方向のシフト動作により、ラック歯15の端部における加熱作用が増強され、しかも、ボールねじ軸10の下降速度の低下により、ラック歯15がじっくりと加熱されるようになる。これによって、ラック歯15の始端部の焼きが甘くなる傾向が改善され、ラック歯15の始端部より十分な焼きが行われることになる。また、高周波加熱コイル48が略馬蹄形状をしているために、高周波加熱コイル48をラック歯15に接近する方向にシフトしても、ラック歯15の円周方向の両端角部が高周波加熱コイル48に過度に接近することがなく、スパークアウトの発生を防止できるようになる。
ところで、高周波加熱コイル48のラック歯15に接近する方向のシフト動作により、ラック歯15の背面側16においては、高周波加熱コイル48との距離が大きくなり、これの影響により背面側16の焼きが低下することになるが、上記したように、高周波加熱コイル48のラック歯15に接近する方向のシフト動作に伴って、ボールねじ軸10の下降速度が低下されるとともに、高周波加熱コイル48の出力電力が制御されるので、かかるボールねじ軸10の下降速度の低下と、高周波加熱コイル48の出力電力の制御とによって、ラック歯15の背面側16に所要の焼入硬度および焼入深さからなる焼入層が形成できるようにコントロールされる。
すなわち、高周波加熱コイル48の出力が、ラック歯15および背面側16の双方の焼入硬度および焼入深さが予め定められた規格値を満足するように、高周波加熱コイル48の出力がチューニングされることになる。具体的には、ラック歯15および背面側16は同一の焼入硬度で、焼入深さとして、図9に示すように、ラック歯15が歯底部からの深さがL1に、背面側16がL2となる焼入層15a、16aがそれぞれ形成される。
高周波加熱コイル48がラック歯15に接近する方向にシフトされて、ボールねじ軸10の下降速度が低下された状態で、ボールねじ軸10が僅かな量だけ移動されると、焼入ユニット41のトランス42がシフト用モータ43によりボールねじ機構44を介して、ラック部13のラック歯15が高周波加熱コイル48より離れる方向にシフト戻しが行われ、高周波加熱コイル48がボールねじ軸10に対して元の位置に戻される。同時に、制御装置70によって、ボールねじ軸10の下降速度および高周波加熱コイル48の出力電力が元の値に戻され、その状態で、ラック歯15の焼きが継続される。
加熱装置47によって所定温度まで加熱されたラック部13は、ボールねじ軸10の下降に伴って冷却装置51に移送され、冷却液貯留室57に充満された冷却液中に浸漬され、焼入冷却される。この際、ラック歯15に対応する第1の冷却液供給室53には、背面側16に対応する第2の冷却液供給室54よりもより多くの冷却液が供給され、これら冷却液が各噴射孔59、60より冷却液貯留室57に噴射されるので、ラック歯15の方が背面側16に対してより冷却効果が高められる。これにより、ラック歯15と背面側16において加熱条件が異なっていても、ラック歯15と背面側16は冷却速度が均一なるように冷却される。この結果、ボールねじ軸10に発生する曲がりが抑制され、後工程の曲がり除去作業を不要にできたり、あるいは除去作業を簡単に行えるようになる。
しかも、冷却液貯留室57に充満された冷却液によってラック部13を冷却できるので、ボールねじ軸10のように上下方向に長尺でありながら、恰も冷却タンク内に浸漬するごとくして冷却することを可能にでき、これによって、特にラック歯15における歯裏の冷却むらがなくなり、ラック歯面の硬度むらをなくすることができるようになる。
また、冷却液貯留室57に噴射された冷却液は、半径方向隙間55を介して横方向からも排出されるようになるので、ボールねじ軸10を冷却して温度上昇した冷却液が、冷却液貯留室57の上部のこもることがなく、冷却効果を向上できるようになる。
さらに、冷却液は、冷却液貯留室57より環状隙間65を介して外部に排出される際に、排出制御板63に形成した面取り63a1によってボールねじ軸10の外面に向かう方向に偏向されるので、冷却液をボールねじ軸10の外表面に有効に作用させることができ、少ない流量の冷却液でボールねじ軸10を有効に冷却できるようになる。
加熱装置47がラック部13の下方の段差18部に対応する位置までボールねじ軸10が下降されると、上記したと同様に、焼入ユニット41がシフト用モータ43によりボールねじ機構44を介して再びシフトされて、高周波加熱コイル48がラック部13のラック歯15に接近され、同時に、ボールねじ軸10の下降速度が低下されるとともに、高周波加熱コイル48の出力電力が制御される。これによって、ラック歯15の終端部においても、上記した始端部と同様にして、ラック歯15および背面側16の双方に所要の焼入硬度および焼入深さからなる焼入層が形成される。その後、高周波加熱コイル48のシフト戻しが行われるとともに、ボールねじ軸10の下降速度および高周波加熱コイル48の出力が、通常の送り速度および出力に戻され、残るボールねじ軸10の軸部11を焼入処理する。
スライダ22が下降端位置まで下降され、ボールねじ軸10の全長に亘って焼入処理が完了すると、昇降用モータ23が前記と逆方向に駆動され、スライダ22とともに、ボールねじ軸10が上昇される。かかるボールねじ軸10の上昇時に、加熱装置47において低温焼戻しが実施され、ボールねじ軸10上のラック部13およびボールねじ溝部12の表面が順次焼戻しされる。この際、高周波加熱コイル48の周波数は、焼戻しに適した低周波に切替えられる。
上記したように焼入処理したボールねじ軸10を用いて、図7に示すように、ラック部13の軸方向の両端部および中央部の3か所A、B、Cで、ラック歯15および背面側16の焼入硬度と焼入深さを測定したところ、共に規格値を満足できたことを確認した。
上記した実施の形態においては、電動パワーステアリング装置に用いられるボールねじ軸10を移動焼入する例で説明したが、移動焼入する対象ワークは、そのようなボールねじ軸10に限定されるものではなく、例えばラック軸のように、円周方向で異なる条件で焼入処理される種類の軸状ワークに適用できるものである。
また、上記した実施の形態においては、加熱装置47および冷却装置51に対してボールねじ軸10側を、ボールねじ軸10の軸線方向に沿って上下に移動させるようにしたが、ボールねじ軸10に対して加熱装置47および冷却装置51側を上下方向に移動させるようにしてもよいものである。
また、上記した実施の形態においては、スライダ22上に両センタ27、29を設け、一方のセンタ27をワーク(ボールねじ軸10)の着脱のために進退移動できるように構成したが、軸長の異なるワークに対応できるように、スライダ22をダブルスライド構成にして、ワークの軸長に応じてダブルスライドを作動させるようにすることもできる。
なお、上記した実施の形態においては、ボールねじ軸10に対して加熱装置47をボールねじ軸10の半径方向にシフトさせるようにしたが、加熱装置47の構成は、本発明にとって要部をなすものではなく、実施の形態で述べた構成に何ら限定されるものではない。
本発明の実施の形態を示す移動焼入装置の正面図である。 図1の矢印2方向から見た移動焼入装置の側面図である。 図2の3−3線に沿って切断した拡大断面図である。 図2の要部を拡大して断面した図である。 図4の5−5線に沿って切断した断面図である。 図4の6−6線に沿って切断した断面図である。 ボールねじ軸を示す図である。 ラック部の詳細を示す図である。 ラック部の焼入状態を示す図である。 排出制御板を示すもので、(A)は平面図、(B)は図10(A)の10B−10B線断面図である。
符号の説明
10・・・ボールねじ軸、11・・・軸部、12・・・ボールねじ溝部、13・・・ラック部、15・・・ラック歯、16・・・背面側、21・・・移動焼入装置本体、22・・・スライダ、23・・・昇降用モータ、27、29・・・センタ、32・・・回転用モータ、37・・・進退用シリンダ、40・・・シフト台、41・・・焼入ユニット、47・・・加熱装置、48・・・高周波加熱コイル、51・・・冷却装置、52・・・冷却液供給部材、53、54・・・冷却液供給室、55・・・半径方向隙間、57・・・冷却液貯留室、59、60・・・噴射孔、61、62・・・冷却液供給管路、63・・・排出制御板、65・・・環状隙間、63a1・・・偏向部(面取り)。

Claims (5)

  1. 軸状のワークの両端を略鉛直軸線方向に支持するワーク支持手段と、前記ワークの外表面を加熱する加熱装置と、該加熱装置によって加熱されたワークの外表面を冷却する冷却装置と、該冷却装置および前記加熱装置と前記ワーク支持手段とを前記ワークの軸線に沿って上下方向に相対移動させる移動手段とを備え、前記ワークを上下方向に相対移動させつつ加熱および冷却を行うワークの移動焼入装置において、
    前記冷却装置は、前記ワークを挿通可能な略環状の冷却液供給部材と、該冷却液供給部材と前記ワークとの間に形成された冷却液貯留室とを備え、前記冷却液供給部材は円周方向に2分割された第1および第2の冷却液供給室からなり、該第1および第2の冷却液供給室を冷却液を供給する冷却液供給路にそれぞれ接続し、前記第1および第2の冷却液供給室に前記冷却液貯留室に向けて冷却液を噴射する噴射孔をそれぞれ設け、前記冷却液貯留室の下端に前記ワークとの間に形成した環状隙間より冷却液を制限的に排出する排出制御板を設けたことを特徴とする移動焼入装置。
  2. 請求項1において、前記排出制御板には、前記環状隙間から排出される冷却液の流動方向をワーク外表面に向かう方向に偏向させる偏向部が設けられていることを特徴とする移動焼入装置。
  3. 請求項1または請求項2において、円周方向に2分割された前記第1および第2の冷却液供給室の間には、冷却液を横方向より外部に排出する半径方向隙間が形成されていることを特徴とする移動焼入装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記ワークは、ラック歯を形成したラック部を有し、該ラック部のラック歯とその背面側は前記加熱装置によって異なる条件で加熱され、前記第1および第2の冷却液供給室を前記ラック部のラック歯と背面側にそれぞれ対応して配設し、前記第1および第2の冷却液供給室を異なる流量の冷却液を供給する別個の冷却液供給路にそれぞれ接続したことを特徴とする移動焼入装置。
  5. 請求項4において、前記第1および第2の冷却液供給室から噴射される流量比を、前記ラック部のラック歯と背面側の冷却速度が均等となるように設定したことを特徴とする移動焼入装置。
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