JP5119488B2 - ゴルフクラブフェース用チタン合金 - Google Patents

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本発明は、ドライバーを主とするゴルフクラブのフェース用素材に使用されるチタン合金製品に関する。
近年、ゴルフクラブに反発係数規制(SLEルール)が導入されると共に、ゴルフクラブフェース用に使用されているチタン合金素材の種類は大きく変化した。反発係数規制が施行される前は、ヤング率が低くて容易に高い反発性能が得られ、しかも、高強度であり耐久性に優れたβ型チタン合金が主流であった。これらβ型チタン合金中では、主にTi−15−3合金と呼ばれるTi−15%V−3%Cr−3%Sn−3%Al合金や、それに類似した合金が、加工成形性にも優れることから、主に利用されてきた。しかしながら、反発係数規制の導入に伴い、低いヤング率に起因して反発係数が高くなりやすいβ型チタン合金において、反発係数を低くして規制を満足するには、フェース板厚を厚くして剛性を高めるより他なくなった。これにより、VやMo等の高価な合金元素を多量に含むβ型チタン合金をフェース素材に適用しようとすると、コストアップは避けられない。さらには、β型チタン合金よりも高いヤング率を有し同等以上の比強度を有する材料に比べ、β型チタン合金を使用した場合は板厚を厚くする必要があり、後者の方がフェースは重くなる。こうして、β型チタン合金をフェースに使用したゴルフクラブヘッドの容積を大きくすることは困難となり、ボールを打つ際のスウィートスポットは相対的に小さくなってしまうことから、ユーザーにとっては使い難いという問題もある。こうして、β型チタン合金は、ゴルフクラブフェース用素材の主流ではなくなってきている。
これに対し、β型チタン合金に比べヤング率の高いα+β型チタン合金が、ドライバーフェース用素材として今や主流となりつつある。ヤング率の高いα+β型チタン合金を使用することにより、フェースを薄くしても反発係数は高くなりにくく、β型チタン合金に比べて反発係数規制をクリアする板厚自由度が高まる。また、β型チタン合金に比べ比重が軽いことから、同じ質量でもクラブヘッドの容量をより大きくすることが可能である。さらに、β型合金に比べ高価な合金元素の含有量が低いことから、素材コストも低いといった多くのメリットがある。このα+β型チタン合金としては、Ti−6%Al−4%Vが代表的であるが、他にも、例えば、Ti−5%Al−1%Fe、Ti−4.5%Al−3%V−2%Fe−2%Mo、Ti−4.5%Al−2%Mo−1.6%V−0.5Fe−0.3%Si−0.03%C、 Ti−6%Al−6%V−2%Sn、Ti−6%Al−2%Sn−4%Zr−6%Mo、Ti−8%Al−1%Mo−1%V、Ti−6%Al−1%Feなどが使用されている。
これらの合金を使用すれば、β型チタン合金製フェースよりフェース厚みを薄くしても反発係数規制を満足し、かつ、適正な強度・延性範囲に制御することにより、必要とされる耐久性も付与出来る。この時、フェース形状や構造を変えて反発性能を制御できる丸棒製品等では、ヤング率120GPa、引張強さ800MPa、破断伸び15%以上が望ましく、フェース成形加工時に加工度の少ない薄板製品では、板面内の一方向でヤング率135GPa、引張強さ1000MPa、破断伸び10%以上がそれぞれ望ましい。ヤング率は反発係数規制をクリアするために、引張強さと延性は良好な耐久性を得るために、それぞれ上記の値を満足することが望ましい。しかしながら、これらの合金は加工性が十分に良いとは言えず、反発係数規制を満足して耐久性に優れ、かつ、板厚を薄くしてフェース容量を大きく増すことのできる素材を、高歩留かつ低コストで安定して供給することは困難であった。
例えば、最も汎用的なα+β型合金であるTi−6%Al−4%V合金は、フェース素材として十分な強度、ヤング率を有しており、ゴルフクラブフェース用合金として、既に大量に使用されている。しかし、この合金は、高温で固溶強化能を有し熱間圧延時の変形抵抗を増大させるAlを6%含有しており、熱間加工性が良くないこと、高価なβ安定化元素であるVを4%含有し、素材コストが比較的高いという問題があった。
また、特許文献1には、Ti−6%Al−4%V合金と同様に高い比強度を有し、低コストである合金が提案されている。これはβ安定化元素として、VやMoなどの高価で比重の重い元素を、安価でβ安定化能の高いFeに置換すること、比重が軽いα安定化元素であるAlを多量に添加することにより、高比強度かつ低コストを狙ったα+β型合金である。しかし、この合金は、Alを5.5〜7%も含有し、熱間加工しにくいという難点を有する。特に、フェース素材への加工コストを下げるには、軽いプレス成形と研磨工程のみによりフェース形状に加工できる板製品での供給が望まれるが、当該合金では高い熱間変形抵抗により、板製品への形状造り込みが困難である。特に、熱間圧延の際、この合金の適正な熱延温度範囲は狭く、それより少しでも温度が低下すると、大きな耳割れが発生するため、成品歩留が著しく低いという問題があった。
一方、比較的加工性の良いα+β型合金の例として、特許文献2に提案されている合金があり、コイル形状での一方向冷延も問題なく出来ることがこの合金の特徴とされている。しかし、当該合金も、熱間加工性を低下させるAlを4.5%含有しており、熱間加工温度が限定されると共に、高価なβ安定化元素であるMo、Vをそれぞれ2.0、1.6%含有しており、素材コストの高いことが問題であった。
特開2004−10963号公報 特開平11−335758号公報
本発明は、以上の事情を背景としてなされたものであり、高いヤング率、引張強さを有し、優れた熱間・冷間加工性を有することを特徴とする、α+β型チタン合金製品を提供することを目的とするものである。
発明者らは、α相をOとAlの複合添加により強化するとともに、β安定化元素として安価なFeを選び、それら元素の添加量を適正化して、室温でのβ相分率を低減させると、高い強度とヤング率を両立出来ることを見出した。この合金は、比重も軽く、ゴルフクラブフェース用素材として最適な素材である。さらには、Ti−6%Al−4%V合金を主とする他のα+β型合金に比べ、熱間加工性を低下させるAlの含有量を低く制限しており、熱間圧延時の圧延負荷が低く、熱間圧延時のキズや耳割れが発生しにくいことから、板を含む、あらゆる形状の製品への製造性が良好であるという利点を有する。
即ち、上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を骨子とする。
(1)質量%で、1.0〜3.5%のAl、0.5〜1.4%のFe、0.20〜0.50%のO、0.002〜0.03%のNを含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる、熱間および冷間加工性に優れたゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板であって、板幅方向のヤング率が135GPa以上、板幅方向の引張り強さ1000MPa以上、かつ板幅方向の破断伸びが10%以上であることを特徴とする、ゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板。
ここで、板幅方向とは、熱延方向に対して板面内で直角な方向である。
(2)Transverse-textureを有することを特徴とする、上記(1)に記載のゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板。
(3)(1)又は(2)記載のゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板の製造方法であって、チタン合金スラブをそのβ単相域あるいはβ変態点直下のα+β2相域に加熱し、一方向に熱間圧延してチタン合金熱延板とすることを特徴とするゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板の製造方法。
(4)質量%で、1.0〜3.5%のAl、0.5〜1.4%のFe、0.20〜0.50%のO、0.002〜0.03%のNを含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる、熱間および冷間加工性に優れたゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金丸棒であって、軸方向のヤング率が120GPa以上、軸方向の引張り強さが800MPa以上、軸方向の破断伸びが15%以上であることを特徴とするゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金丸棒。
本発明により、高い強度・延性バランスおよびヤング率を有し、優れた熱間・冷間加工性を有することを特徴とする、α+β型チタン合金を提供できる。
ゴルフクラブフェースにおいては、すべての方向において高いヤング率と強度が要求されるわけではなく、特にゴルフクラブフェースの縦方向(ゴルファーがボールを打つ際、ゴルフクラブフェースがボールに当たる直前の天地方向)について高いヤング率と強度が要求される。
本発明者らは上記課題を解決すべく、チタン合金の材質特性に及ぼす成分元素および製造方法の影響を詳しく調査した結果、Fe、Al、O、N添加量をコントロールすることにより、ゴルククラブフェース用素材として優れた強度・延性、ヤング率を具備すると共に、熱間・冷間加工性に優れたα+β型チタン合金製品を製造することが可能であることを見出した。板製品を製造する場合、一方向熱延もしくは冷延により、材質異方性をもたらす集合組織が著しく発達し、圧延方向に垂直な方向である板幅方向のヤング率及び強度が、圧延方向よりも増大する異方性が生じる。OとAlにより複合強化した本発明合金では、その異方性がより強く発現することがわかった。このため、ゴルフクラブフェース面の縦方向を前記板幅方向にとれば、ゴルフクラブフェースとして必要とされる、一方向(ゴルフクラブフェース面の縦方向)での高ヤング率および高強度が得られることを見出した。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものである。以下に、本発明に示した各種含有元素を選択した理由と、その含有量範囲を限定した理由を示す。
Feは、β相安定化元素のうちで安価な添加元素であり、β相を強化する働きを有する。かつ、β安定化能が高いために比較的低い添加量でもβ相を安定化できる特性を有する。ゴルフクラブフェースとして必要な強度を得るには、0.5%以上のFeの添加が必要である。一方、FeはTi中で凝固偏析しやすく、また、多量に添加するとβ相の体積分率が増えてヤング率が低下してしまい、丸棒製品でヤング率120GPa、薄板製品で板面内の一方向でヤング率135GPa未満となって、ゴルフクラブフェースとして反発係数規制をクリアすることが困難となる。それらの影響を考慮して、Feの添加量の上限を1.4%とした。
なお、強度をより重視する場合は、Feの下限は0.7%が望ましい。また、反発係数規制をより確実にクリアすることを重視し、ヤング率低下を確実に抑えるには、Feの上限は1.2%が望ましい。
Alはチタンα相の安定化元素であり、高い固溶強化能を有すると共に、安価な添加元素である。後述するO、Nとの複合添加によりゴルフクラブフェースとして耐久性上必要な強度レベルである、丸棒製品で引張り強さ800MPa以上、薄板製品で板面内の一方向で引張り強さ1000MPa以上を得るため、添加量の下限を1.0%とした。一方、3.5%を超えてAlを添加すると、Oとの複合強化が高くなり過ぎて、延性が低下し、ゴルフクラブフェースとして耐久性上必要な破断伸び10%以上を達成できなくなると共に、冷間加工性の低下をもたらす。したがって、Alの添加量は3.5%以下にする必要がある。
なお、強度をより重視する場合は、Alの下限は1.3%が望ましい。また、耐久性重視する場合、十分な延性を安定的に得るには、Alの上限は3.2%が望ましい。
Oはα相中に侵入型固溶して、固溶強化する作用を有する。また、Alとの複合添加により、α相を強化させ、強度とともにヤング率を高くする効果を有する。0.20%未満のOの添加では、ゴルフクラブフェースとして十分な耐久性を示す、丸棒製品で引張り強さ800MPa以上、薄板製品で板面内の一方向で引張り強さ1000MPa以上の強度は得られず、また、0.50%を超えて添加すると、強度が高くなり過ぎて延性が低下し、破断伸び10%以上を達成できなくなり、耐久性を損なってしまう。したがって、0.20%を下限、0.50%を上限とした。
NはOと同様に、α相中に侵入型固溶し固溶強化の作用を有する。その効果を発揮させるには0.002%以上添加する必要があり、一方、高濃度のNを含むスポンジチタンを使用する通常の方法により、0.030%を超えるNを添加すると、LDI(Low density Inclusion)と呼ばれる未溶解介在物が生成しやすくなり、製品の歩留が低くなるため、0.002%を下限、0.030%を上限とした。
この時丸棒や厚板など、フェース形状への成形加工の際に比較的大きな加工を行い、フェース形状を制御することにより反発係数を低く抑えることの出来る場合は、上記成分範囲を有することにより、良好な特性を有するゴルフクラブフェースを得ることが出来る。特に、熱間鍛造などのフェース形状への成形加工の際、本発明合金は良好な加工性を示すことから、フェース素材として好適である。
一方、フェース形状への成形加工で軽度の加工しか行わず、フェース形状により反発係数を低く抑える余地の少ない薄板製品を製造する場合、Transverse-textureと呼ばれる集合組織を発達させると、板幅方向の引張強さ及びヤング率が高くなり、ゴルフクラブフェース用素材として好ましい。上記の成分範囲にAl、Fe、Oを制限し、β単相域、もしくは、β変態点直下のα+β2相域温度に加熱して一方向熱延するか、あるいはさらに、熱延方向と同じ方向に一方向冷延した後に適正な条件で焼鈍するとTransverse-textureは発達しやすく、板幅方向の強度とヤング率が高くなるため、フェース用素材として最適なものを製造することが可能である。
この薄板素材を製造する際、熱間あるいは冷間圧延開始から終了まで、一貫して一方向にのみ圧延する理由は、本発明が目的とする、材質異方性に伴う板幅方向の高いヤング率が得られるTransverse-textureを効率的に得るためである。こうして、高いヤング率と強度・延性バランスを有する該チタン合金薄板の板幅方向をゴルフクラブフェースの縦方向かそれに近い方向に配置することにより、反発係数規制に対応し、かつ、耐久性に優れたフェースを製造することが可能となる。
<実施例1>
真空アーク溶解法により表1に示す組成、および、β変態点を有するチタン材を溶解し、これを熱間鍛造して直径100mmのビレットとした。このビレットを950℃に加熱した後、熱間圧延によりφ18mmの丸棒を製造した。その際、熱間圧延した丸棒の表面キズ深さをデプスゲージで測定し、熱間加工性を三段階評価した(○:最大キズ深さ≦0.3mm、△:最大キズ深さ0.3〜0.5mm、×:最大キズ深さ≧0.5mm)。キズ深さが0.3mm以下の場合、その後のピーリング工程での切削量が少なくて済むため、加工コストは安くなり、熱間加工性は良好と判定出来る。この丸棒に、700℃、2hの焼鈍を行った後、平均直径6mmのJIS14号引張試験片を採取して引張特性を調べた。ゴルフクラブフェース用として良好な耐久性を得るには、引張強さ(TS)800MPa程度以上、かつ、破断伸び(EL)15%以上が必要である。それらの結果も合せて、表1に示す。
Figure 0005119488
表1において、試験番号1、2はそれぞれ、Ti−6%Al−4%V合金、Ti−7%Al−1%Feでの結果である。試験番号1、2ともに引張強さは目標値900MPaを超えているが、0.5mm以上の深さの熱延キズが発生しており、熱間加工性は悪い。
これに対し、本発明例である試験番号4、5、6、9、10、13、14、17、19、20は、800MPa以上の高い引張強さと15%を超える高い破断伸びを示すと共に、0.3mmを超える熱延キズは発生しておらず、良好な熱間加工性を有している。また、本発明例はすべてヤング率が120GPa以上確保された。
一方、試験番号3、8、12、16では、引張強さが800MPa以下と、フェース用素材として十分な強度を有していない。試験番号3、8、12、16の順にそれぞれ、Al、Fe、O、Nの添加量が本発明の下限値を下回っていたため、固溶強化が十分でなく、引張強さが低くなったためである。
試験番号7、11、15、18では、破断伸びが15%を下回っており十分な延靭性を保有せず、高い耐久性を付与できない。このうち、試験番号7、11、15ではそれぞれ、Al、Fe、Oの添加量が本発明の上限値を越えて添加されたため、強度が上り過ぎて延性が低下したためである。また、試験番号18では、Nが本発明の上限を越えて添加されたため、LDIが発生しており、それにより延性が低下した。
上記のうち、試験番号7、18では、熱延後に0.5mmを超える深さの表面欠陥が多発した。試験番号7では、熱間加工性を低下させるAlが本発明の上限を超えて添加されており、熱延キズが発生したためである。また、試験番号18では、過剰のN含有によりLDIが発生し、表面近傍のものが欠陥として認識されたためである。
以上の結果より、本発明に規定された元素含有量を有するチタン合金は、引張強さ、ヤング率と破断伸びが高く、ゴルフクラブフェース向け素材として優れた材質特性を有すると共に、良好な熱間加工性を有する。一方、本発明に規定された合金元素量を外れると、熱間加工性が低下するとともに、引張強さ及び延性といった必要な材質特性を満足することはできない。
<実施例2>
真空アーク溶解法により、表1の試験番号5、10、14に示す組成、および、β変態点を有するチタン材を溶解し、これを熱間鍛造して厚さ180mmのスラブとした。このスラブを表2〜4に示す条件により一方向熱間圧延して、厚さ4mmの熱延板を製造した。これをショットブラスト処理後、酸洗して酸化スケールを除去した際に表面キズ深さをデプスゲージで測定し、熱間加工性を三段階評価した(○:最大キズ深さ≦0.2mm、△:最大キズ深さ0.2〜0.5mm、×:最大キズ深さ≧0.5mm)。この時の結果と、引張特性を調べた結果も併せて表2〜4に示す。
Figure 0005119488
Figure 0005119488
Figure 0005119488
表2〜4はそれぞれ、試験番号5、10、14に示す組成の板製品における結果である。このうち、表2〜4の条件で製造した板はいずれも、ゴルフクラブフェースに必要とされる、板幅方向の引張強さ1000MPa以上、およびヤング率135GPa以上を十分に満足すると共に、破断伸びも10%以上を確保しており、これらの板材を使用して製造したゴルフクラブフェースは、反発係数規制に適合する特性と良好な耐久性を兼ね備える。また、熱延酸洗板には0.2mmを超える深さの表面欠陥は発生しておらず、良好な熱延性を示す。したがって、これらの薄板材はゴルフクラブフェース用素材として好適である。
特に、試験番号21、23、24、26、28、29、31、33、34は、板幅方向で145GPa以上の高いヤング率を有すると共に、同じ化学組成の合金で比較した場合、試験番号22、25、27、30、32、35に比べて引張強さは高くなっており、反発係数規制に対し優れた性能を有すると共に、良好な耐久性を有する。これは、試験番号22、25、27、30、32、35では、熱延前の加熱温度がα+β2相域の比較的低い温度であったため、β単相域、もしくは、β変態点直下のα+β2相温度まで加熱した場合に比べてTransverse-texture発達が少なく、材質異方性が大きくならなかったのに対し、試験番号21、22、25、26、29、30はβ単相域に加熱して熱延したことによりTransverse-textureが発達して板面内の材質異方性が大きくなり、板幅方向で高いヤング率と引張強さが得られたためである。
以上の結果より、ゴルフクラブフェース用板素材として優れた特性を具備するため、板幅方向で高いヤング率、引張強さ及び延性を有するには、本発明に示す成分範囲の添加元素を有するチタン合金を一方向熱延することにより製造することが出来る。
本発明のチタン合金は、丸棒製品では、ヤング率120GPa、引張強さ800MPa、破断伸び15%以上、薄板製品では、板面内の一方向でヤング率135GPa、引張強さ1000MPa、破断伸び10%以上が得られる結果、ゴルフクラブフェースに加工した場合に、反発係数規制を満足すると共に、優れた耐久性を有し、ゴルフクラブフェース用途に適した材料を提供することが出来るものとなっている。

Claims (4)

  1. 質量%で、1.0〜3.5%のAl、0.5〜1.4%のFe、0.20〜0.50%のO、0.002〜0.03%のNを含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる、熱間および冷間加工性に優れたゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板であって、板幅方向のヤング率が135GPa以上、板幅方向の引張り強さ1000MPa以上、かつ板幅方向の破断伸びが10%以上であることを特徴とする、ゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板。
    ここで、板幅方向とは、熱延方向に対して板面内で直角な方向である。
  2. Transverse-textureを有することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板。
  3. 請求項1又は請求項2記載のゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板の製造方法であって、チタン合金スラブをそのβ単相域あるいはβ変態点直下のα+β2相域に加熱し、一方向に熱間圧延してチタン合金熱延板とすることを特徴とするゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金熱延板の製造方法。
  4. 質量%で、1.0〜3.5%のAl、0.5〜1.4%のFe、0.20〜0.50%のO、0.002〜0.03%のNを含有し、残部Tiおよび不可避的不純物からなる、熱間および冷間加工性に優れたゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金丸棒であって、軸方向のヤング率が120GPa以上、軸方向の引張り強さが800MPa以上、軸方向の破断伸びが15%以上であることを特徴とするゴルフクラブフェース用α+β型チタン合金丸棒。
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