JP5117986B2 - 内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法及び内燃機関用ピストン - Google Patents

内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法及び内燃機関用ピストン Download PDF

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Description

本発明は内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法,及び前記方法により処理された内燃機関用ピストンに関し,より詳細には,初期馴染み性が良好で,シリンダ内壁に対する低摩擦抵抗化を実現することができると共に,長期の使用によっても耐摩耗性,低摩擦抵抗性,耐焼付性を維持することができる内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法及び前記方法により処理された内燃機関用ピストンに関する。
地球温暖化が深刻化し,温暖化ガスであるCO2ガスの排出削減が世界的な課題となりつつある今日において,CO2ガスの排出源である自動車においてもCO2ガスの排出削減が強く要請されており,パワートレーン(駆動系部品)の改良と並び,自動車の軽量化や,摺動部品の低フリクション化による燃費の向上によって,排出ガス,ひいてはCO2ガスの排出量を減少することが盛んに行われている。
この様な状況下において,自動車を構成する各部品の軽量化や,摺動部品の低フリクション化は避けて通れない課題である一方,グローバル競争の激化や新興国市場の開拓のために,自動車の低コスト化が求められており,このようなCO2ガスの排出削減を伴う自動車部品の軽量化,摺動部品の低フリクション化も,低コストにおいて実現される必要がある。
このような観点から,自動車の構成要素のうち,CO2ガスの排出に直接影響するエンジンの部品であるピストンの軽量化や低フリクション化は必達の課題であり,特にシリンダ内において高速で往復運動を繰り返すピストンにとって,機械的な摩擦抵抗の増大は,直ちにエネルギーロスの原因となる。
ここで,内燃機関のピストンにおいてシリンダ内壁に摺接するスカート部はフリクションに与える影響が大きく,このスカート部に摩擦係数の低いコーティング等を施すことにより,低フリクション化を図ることも行われており,一例として,シリンダに対する摩擦係数がスカート部とシリンダとの間の摩擦係数よりも小さくなる材料,例えば樹脂や二硫化モリブデン製のコーティング部を予めダイス等によって所定の形状に形成しておき,このコーティング部を,外周面に螺旋状に延びる条痕が形成されたピストンのスカート部外周に接着剤等によって貼着することにより,ピストンの低フリクション化を図ることも提案されている(特許文献1の請求項1,図3)。
この発明の先行技術文献情報としては,次のものがある。
特開2005−330941号公報
以上説明した従来技術において,ピストンのスカート部に摩擦係数の低いコーティングを施すことで,スカート部がシリンダ内壁に摺接することにより生じるフリクションの低減を図ることができる。
しかし,前述の方法による低フリクション化は,コーティングの持つ低摩擦係数によって実現するものであるために,このコーティング層が摩耗乃至は剥離した場合には,低フリクション化の効果を享受することができない。
従って,コーティングによる低フリクション化の効果を長期に持続させるためには,コーティングをスカート部の表面に強固に付着させて,剥離が生じることを防止する必要がある。
また,前述のようなコーティングによる低フリクション化の実現は,ピストンの初期馴染みを向上するために行われる場合も多く,このような目的でコーティングを形成する場合には,コーティングは所定時間の運転(例えば馴らし運転)により摩滅して失われる。そのため,コーティングが摩滅して失われた後には,ピストンのスカート部の材質であるアルミニウム合金等が直接シリンダ内壁と接触することとなるが,このような状況下においてもフリクションの低下や焼付の発生が防止できるものである必要がある。
ここで,ピストンのスカート部表面に形成されたコーティング層の密着力は,一般に,投錨効果(アンカー効果)と呼ばれる機械的な鉤着と,水素結合やファンデルワールス結合等といった物理化学的結合によって発揮されていると考えられており,これらの原理に基づく密着力を向上させることができれば,ピストンスカート部に対して剥離し難いコーティングを行うことができるものと予測される。
ここで,投錨効果(アンカー効果)により発揮される密着力の向上は,スカート部の表面に存在する凹部内に塗膜や接着剤が浸透して内部で固まって根を張ることにより生じる機械的な引っ掛かりによる密着力である。
このような投錨効果(アンカー効果)による密着力を増大させるためには,塗膜や接着剤が入り込む凹部をスカート部の表面に形成してやれば良いが,そのためにはスカート部の表面状態を変化させる必要がある。また,スカート部の表面に凹部を形成するための作業,処理が必要となりコスト高となる。
また,アンカー効果を得る目的で,ピストンのスカート部に凹部を形成する場合,このスカート部の表面に形成されたコーティングの表面にもスカート部表面の凹凸が表出してしまうおそれがあり,コーティング表面の表面粗さが増大する結果,フリクションが増大する。
一方,前述した物理化学的結合のうちの水素結合は,被着材であるピストンの母材や,コーティング剤,接着剤が,分子中に活性水素を持っていると生じる結合であり,例えば図10(A)に示すようにスカート部のAl成分に生じている水酸化物(OH)や酸化物(O)が,コーティング剤(一例としてポリアミドイミド樹脂)のO,Hと水素結合を生じて発揮される比較的強い結合力である。
また,物理化学的結合の他方であるファンデルワールス力による結合は,スカート部の構成分子と,コーティング層の構成分子との相互作用によって発生する結合力であり,電荷的に中性で,双極子モーメントが殆ど無い無極性な分子であっても分子内の電子分布は定常的に対称で無極性な状態が維持されるわけではなく,瞬間的には非対称な分布となる場合があり,本例では,図10(B)に示すようにコーティング層の構成分子の官能基のCがプラスに,Oがマイナスに分極して電気双極子(双極子モーメント)を形成し,スカート部を構成するAlの水酸化物の水酸基(OH)のOがマイナスに,Hがプラスに分極して,官能基のO-と水酸基のH+が結合して結合力を発生するものである。
そのため,このような物理化学的結合を生じさせるためには,スカート部の表面が清浄に保たれている必要があり,表面の汚れは密着力不足の発生原因となり,このような物理化学的結合による密着力を得ようとすれば,コーティングの前工程としてピストンのスカート部を洗浄し,その後乾燥工程にかける必要がある等,このような作業が繁雑であると共に,洗浄液の消費,廃液処理等に伴うコスト増を招く。
また,鋳造に使用されるアルミニウム合金は殆どが共晶組成を取り,そのため製造されるピストンの母材組織は,冷却の過程で溶湯より始めに生成され,冷却に従い大きく成長するAlのデンドライト結晶と,デンドライト結晶の生成により合金成分の濃度が相対的に向上した残り溶湯が共晶組成に達したときに生じるAlとSi,Cu,Mg等の合金成分の共晶組織から成り,合金成分の分布に偏析が生じると共に組織の粗大化が生じやすく,特に鋳型等との接触により急冷される表面付近においてこのような傾向が高い。
このように,合金成分の分布に偏析が生じ,また,組織が粗大化したアルミニウム合金では,コーティングとの物理化学的結合力が強い部分と弱い部分が生じ,密着力を不安定化させる。そのため,密着力の弱い部分を基点としてコーティングの剥離が生じ易くなる。
しかも,このように合金成分の偏析や組織が粗大化したアルミニウム合金は脆く,コーティングの摩滅等によって母材が直接シリンダ内壁と接触した際の耐摩耗性が低い。
以上の点に関し,前掲の特許文献1に記載のピストンでは,スカート部に螺旋状の条痕を形成したことにより,スカート部の表面積が増大するために,密着力も増大し得るものと考えられる。
しかし,条痕が形成されたスカート部表面に,直接樹脂材料を塗布する等してコーティング部を形成する場合には,コーティング部の表面にも条痕に対応した凹凸形状が表出して表面粗さが増大し,シリンダ内壁とスカート部表面との流体潤滑下でのフリクションが増大する。
そのため,特許文献1に記載の発明では,コーティング部の表面にスカート部に形成した条痕が表出することを防止するために,予めダイス(型)に溶融樹脂を流し込むことによってコーティング部を成型しておき,このコーティング部を接着剤によりスカート部に貼り付けるものとしており(特許文献1「0035」,「0036」欄),スカート部に直接樹脂材料を塗布する等してコーティング部を形成する場合に比較して,その作業は繁雑であると共に,コスト高となる。
また,接着剤による接着性を向上させるためには,前述したようにスカート部の表面を清浄に保つ必要があり,洗浄工程等が必要である。しかも,引用文献1に記載の発明にあっては,前述した物理的化学的結合に伴う密着力を向上し得る構成も備えていない。
更に,前掲の特許文献1に記載の発明では,スカート部に設けたコーティング部が剥離した場合であっても,母材とシリンダ内壁との接触が,螺旋状の条痕の山頂部を介して行われるために,面接触と成らずに焼付の発生が防止できると説明する。
しかし,螺旋状の条痕を形成することにより凹凸となっているスカート部表面とシリンダ内壁とが摺接する場合,両者間の摩擦抵抗は大きくなり,シリンダ内壁に対する摺接時のフリクションを大幅に増大させることとなる。
しかも,スカート部の母材に対しては,耐摩耗性や低フリクション性を実現するための何等の処理等も施されていないことから,焼付の発生という最悪の状態を一時的に回避できたとしても,コーティング部の剥離や摩耗によってピストンの母材が直接シリンダ内壁に接触した状態で運転を継続すれば,多大なエネルギーロスを生じると共に,ピストンのスカート部やシリンダ内壁の摩耗が生じることから,実質上,前記構成のピストンは,コーティング部の剥離によって寿命を迎えることとなる。
そのため,例えばエンジンの初期馴染み性を改善するためにピストンのスカート部にコーティングを行う場合のように,コーティングの摩耗や剥離後も継続して使用することが予定されているピストンに対し,この技術を適用することはできない。
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので,比較的低コストで,かつ,簡単な方法により,フリクションの低減効果を有する樹脂被膜である潤滑層を,スカート部の表面に強固に密着させることができると共に,潤滑層が剥離乃至は摩滅した場合であっても,シリンダ内壁に対する摩擦抵抗を低減することができると共に,耐摩耗性,耐焼付性に優れ,かつ,摺接の相手材(シリンダ内壁)に対する攻撃性を低減(シリンダ内壁の摩耗量の低減)するという効果を有する内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法,及び前記方法により処理された内燃機関用ピストンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明の内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法は,鋳造又は鍛造等の方法によって製造されたアルミニウム合金製の内燃機関用のピストンスカート部に対し,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を,圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記スカート部の表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織を均一に微細化すると共に,表面を活性化させて改質層を形成する下地処理と,
前記下地処理後,該改質層の表面が活性化している間に前記スカート部表面に低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を形成することを特徴とする(請求項1)。
また,本発明の別の内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法は,鋳造又は鍛造等の方法によって製造されたアルミニウム合金製の内燃機関用のピストンスカート部に対し,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を,圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記スカート部の表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織を均一に微細化させる改質層の形成と,前記改質層の形成されたスカート部に対し,Sn,Zn又はZr元素を含む平均粒径20〜400μmの微細な粒体を圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記Sn,Zn又はZrの元素を前記改質層中に拡散浸透させると共に酸化させて表面が活性化された酸化金属層を形成する下地処理を行うと共に,
前記下地処理後,該酸化金属層が活性化している間に前記スカート部表面に低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を形成したことを特徴とする(請求項2)。
前述した内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法において,前記アルミニウム合金がAl−Si系合金であり,母材中のSi成分の分布が均一化するように微細化させて前記改質層を得ることが好ましい(請求項3)。
なお,前記潤滑層の形成は,前記下地処理後3時間以内に行うことが好ましく(請求項4),より好ましくは,下地処理の直後に行うことが好ましい。
また,本発明の内燃機関用のピストンは,鋳造又は鍛造等の方法によって製造されたアルミニウム合金製の内燃機関用のピストンのスカート部に,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織が均一に微細化された改質層と,
該改質層の表面が活性化している間に前記スカート部表面に形成された低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を設けたことを特徴とする(請求項5)。
更に,本発明の別の内燃機関用のピストンは,鋳造又は鍛造等の方法によって製造されたアルミニウム合金製の内燃機関用のピストンスのスカート部に,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織が均一に微細化された改質層と,
前記改質層の形成されたスカート部に対し,Sn,Zn又はZr元素を含む平均粒径20〜400μmの微細な粒体を,圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記Sn,Zn又はZrの元素を前記改質層中に拡散浸透させると共に酸化させて成形した表面が活性化された酸化金属層と,
前記酸化金属層の形成後,該酸化金属層の表面が活性化している間に前記スカート部表面に形成された低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を備えることを特徴とする(請求項6)。
前記構成の内燃機関用ピストンにおいて,前記アルミニウム合金がAl−Si系合金であり,前記改質層が,母材中のSi成分の分布が均一化するように微細化されていることが好ましい(請求項7)。
以上説明した本発明の構成により,本発明の方法により表面処理がされたスカート部を有するピストンによれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
(1)ピストンのスカート部表面付近において,母材組織が均一に微細化すると共に表面が活性化された改質層を形成し,この改質層の表面が活性化している間に潤滑層を形成したことにより,形成された潤滑層は,スカート部に対する密着力が高く,耐久性に優れるものであり,長期に亘り安定した低フリクション性を発揮する内燃機関用ピストンを提供することができた。
また,前記改質層の形成により,処理対象とするピストンを洗浄等することなく潤滑層を形成した場合であっても,密着力の高い潤滑層を形成することができ,洗浄工程の省略により低コストで密着力の高い潤滑層を形成することができた。
しかも,前記表面処理方法が施された内燃機関用ピストンにあっては,前記改質層の存在により表面に形成された潤滑層が摩滅して改質層がシリンダ内壁と接触することとなった場合においても低フリクション性を発揮すると共に,耐摩耗性,耐焼付性に優れ,かつ,摺接の相手材であるシリンダ内壁に対する攻撃性も低下させることができるものであった。
改質層を形成する際の粒体の噴射を圧縮空気により行う場合には,母材の表面付近におけるAl成分が酸化することにより,圧縮窒素によって行う場合には,母材の表面付近におけるAl成分が窒化することにより表面付近の硬度が上昇して耐摩耗性をより一層改善することができた。
なお,Alは,酸化又は窒化によって未酸化,未窒化の状態に比較して大幅に硬度を上昇するが,前記方法により生じるAlの酸化又は窒化は,母材の表面側から内部に入るに従って酸素又は窒素との結合量が欠乏する傾斜構造を有するものであるために,酸素との結合量が多い表面部において硬度が高く,内部に入るに従って徐々に硬度が低下する構造を有する。そのため,未酸化乃至は未窒化の母材と,Alの酸化乃至は窒化が生じている改質層との間に急激な硬度差が発生することを防止でき,その結果,硬度差に伴う改質層の剥離等について防止できた。
更に,前記改質層の形成に使用する粒体の平均粒径を20〜400μmとすることで,改質層の表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.5〜2.5μmとすることができ,その結果,この改質層上に形成した潤滑層の表面粗さをRa1.0μm以下とすることができた。この潤滑層の表面粗さは,給油状態におけるシリンダ内壁との摺接時における低フリクション化を発揮し得る表面粗さである。
しかも,改質層に形成されたRa0.5〜2.5μmの微細な凹凸は,潤滑層の摩滅によって改質層が直接シリンダ内壁と接触することとなった場合には油溜まりとして作用し,これにより油膜切れを防止する効果が得られた。
(2)潤滑層の形成前に,改質層上に更にSn,Zn又はZrの酸化金属層を形成した構成にあっては,前述した効果に加え,潤滑層が摩滅した後の低フリクション性,耐摩耗性,耐焼付性をより一層向上させることができた。
しかも,Sn,Zn,Zrは前出のAl同様,酸化によって未酸化の状態に比較して大幅な硬度の上昇が得られるものであることから,潤滑層が摩滅して酸化金属層が表面に露出した際のピストンスカート部表面を保護する硬質被膜として作用すると共に,前記方法により形成された酸化金属層は,改質層に対してSn,Zn又はZr元素が拡散浸透することにより形成されるものであることから付着強度が高く,しかも,表面側から内部に入るに従って酸素との結合量が欠乏する傾斜構造を有するものであるために,酸素との結合量が多い表面部から内部に入るに従って硬度が低下する硬度の傾斜構造を有する結果,母材との間に急激な硬度差が発生することを防止でき,その結果,硬度差に伴う剥離等について防止できるものであった。
(3)処理対象とするピストンがAl−Si系のアルミニウム合金である場合,母材組織の微細化によって合金成分であるSi成分の偏析が解消してその分布が均一化されることにより,物理化学的結合に伴う密着性が均一化して潤滑層の剥離がより一層生じ難くなると共に,合金成分の偏析に伴う脆さが改善されて,耐摩耗性等の機械的強度の向上を得ることができた。
(4)更に,下地処理後3時間以内に潤滑層の形成を行う場合には,高い付着強度で潤滑層を設けることができた。
次に,本発明の実施形態につき以下説明する。
1.処理対象(内燃機関用のピストン)
本発明で処理対象とする内燃機関用のピストンは,内燃機関用のものであればガソリンエンジン,ディーゼルエンジン等の内燃機関の型式に限定されず,各種のものを対象とすることができる。
処理対象とする内燃機関用ピストンは,アルミニウム合金によって製造されたものを対象とし,鋳造又は鍛造いずれの方法によって製造されたものも本発明の対象となる。アルミニウム合金の種類は特に限定されず,ピストンの材質として公知のものであれば,如何なるものを使用しても良い。
特に,鋳造用アルミニウム合金として一般的に使用される共晶組成のAl−Si系合金,Al−Cu系合金,Al−Mg系合金にあっては,Alのデンドライト結晶と,Alと合金成分であるSi,Cu,Mgとの共晶組成とが生じることにより,合金成分の偏析や組織の粗大化が生じ易く,本発明の方法による表面処理により潤滑層の物理化学的結合力の増大を期待し得ることから,これを対象とすることができ,特に,ピストンの材質として一般的であるAl−Si系合金製のピストンは,本発明の主要な処理対象である。
前記ピストンに対する処理部分は,該ピストンのスカート部である。このスカート部は,シリンダ内壁との接触により摺動を生じる部分であり,この部分の摩擦抵抗の減少は,ピストンの低フリクション化を図る上で効果的である。
2.処理方法
前述したピストンに対する処理は,以下の方法により行う。
(1)下地処理
後述の低摩擦係数の樹脂被膜から成る潤滑層を形成する前に,ピストンのスカート部に対して下記の下地処理を行う。
この下地処理は,ピストン母材の表面部分の組織を微細化させて改質層の形成のみを行うものであって良く(図1),又は,この改質層の形成に加えて更に酸化金属層の形成を行うものであっても良い(図2)。
(1-1) 改質層の形成
ピストンのスカート部表面に対して平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を,圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより形成され,前記スカート部の表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織が均一に微細化され,かつ,表面が活性化された改質層を形成する工程である。
噴射する粒体としては,SiC等のセラミック系,もしくはスチール(鋼)等の金属系のものを使用することができ,ピストンのスカート部表面の深さ1〜15μmの範囲の組織を微細化し得るものであれば,各種のものを使用可能である。
改質層の形成に使用する粒体の形状は特に限定されないが,好ましくは球状のものを使用する。
噴射に使用する圧縮気体としては,圧縮空気又は圧縮窒素を使用することができる。
前述したように,一般に共晶組成を取る鋳造用アルミニウム合金にあっては,鋳造によってピストンを製造すると,凝固の際に溶湯中において最初にAlのデンドライトが生成し,これが冷却と共に成長して粗大化すると共に,デンドライトの生成によって相対的に合金成分の濃度が上昇した残余の溶湯が共晶組成(Al−Si系で11.7mass%Si,Al−Cu系で33mass%Cu,Al−Mg系で35mass%Mg)に達すると,Alと合金成分との共晶組成が生成されることにより合金成分が偏析した組織となるが,前述したように,金属又はセラミックの粒体をピストンのスカート部表面に噴射,衝突させることにより,ピストンのスカート部表面において,母材であるアルミニウム合金の組織を微細化すると共に,この組織の微細化によって偏析した合金成分の分布を均一化することが可能となる。
また,噴射された粒体との衝突,及び摩擦によりピストンのスカート部表面にはこの衝突部分において新生面が露出して,電子(エキソエレクトロン)が放出され(Kramer 効果),活性化されるものと考えられる。
このようにして,改質層の形成によってピストンのスカート部の表面組織を微細化すると共に活性化することにより,その後に形成される後述の潤滑層を形成するに際し,潤滑層の密着性を改善することができるものとなっている。
また,このようにして形成された改質層は,圧縮残留応力の付与等のショットピーニングによる表面改質の効果を得ることができ,また,粒体との衝突部分において母材が発熱することにより,粒体の噴射に圧縮空気を使用する例では母材中のアルミ成分と酸素が反応してアルミの酸化物が形成されることにより改質層の表面硬度が上昇し,また,圧縮窒素を使用する場合には,母材中のアルミ成分と窒素とが反応して,窒化物系のセラミックとして知られる窒化アルミニウム(AlN)が生成されて,母材表面の高硬度化や耐摩耗性の向上等,機械的強度の改善が得られるものとなっている。
なお,前記粒径の粒体の噴射によって形成された改質層は,その表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で0.5〜2.5μmとなる。
(1-2) 酸化金属層の形成
前述した改質層の形成を行ったピストンのスカート部表面に対しては,その表面に直接,後述の潤滑層を形成するものとしても良いが,後述の潤滑層を形成する前に,Sn,Zn又はZrを含む微細な粒体の噴射により,酸化錫又は酸化亜鉛によって形成された酸化金属層を形成することができる。
このような酸化金属層の形成は,Sn,Zn又はZr元素を含む平均粒径20〜400μmの微細な粒体を,前記改質層を形成した後のピストンのスカート部に対して噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより行うことができ,これにより粒体中のSn,Zn又はZrの元素を前記改質層中に拡散浸透させると共に酸化させて,表面が活性化された酸化金属層が形成される。
使用する噴射粒体は,前述したSn,Zn又はZrのみによって形成された純金属の粒体であっても良く,又は,これらの金属元素を含む合金によって形成されたものであっても良い。
使用する粒体の形状は特に限定されず,球状,多角形状,不定形のものが多数混在した状態のもの等,各種形状のものを使用することができる。
前述のように,Sn,Zn又はZr元素を含む粒体をピストンのスカート部表面に衝突させると,衝突した粒体は,ピストンのスカート部の表面に衝突した後,弾き返される。
この衝突時,粒体とピストンのスカート部表面との衝突部分は,衝突時のエネルギーによって発熱し,粒体中のSn,Zn又はZr元素が空気中の酸素と反応して酸化金属となってピストンのスカート部表面に形成された改質層の表面から所定の深さの範囲に拡散浸透して合金化して酸化金属層を形成する。
このようにして形成された酸化金属層は,前述したようにSn,Zn又はZr元素の酸化物と,ピストンのスカート部を構成する金属とが合金化することにより形成されたものであるために,スカート部の表面に対する付着強度が高く,シリンダ内壁面との摺接等によっても剥離が生じ難いものとなっている。
また,Sn,Zn又はZrは,未酸化の状態に対して酸化することによってその硬度が著しく上昇するが,上記方法によって形成された酸化金属層は,前述のSn,Zn又はZr元素が改質層内に拡散浸透して形成されたものであること,及び酸化金属層の表面側から内部に入るに従って酸素との結合状態が徐々に欠乏する傾斜構造を有するものとなるために,この構造により酸素との結合量の大きな表面側において高硬度であると共に,内部に入るに従って徐々に硬度を低下する硬度の傾斜構造を有している。
そのため,改質がされていない母材の部分から,改質層及び酸化金属層に至るに際し,母材との間に急激な硬度差が生じることがなく,このような急激な硬度差の発生に伴う剥離等が生じ難いものとなっている。
なお,このようにして形成された酸化金属層の組織は,前述した改質層と同様,微細化組織を有すると共に,Sn,Zn又はZrを含む粒体との衝突により表面が活性化されたものとなる。
前述した酸化金属層の形成時に使用される圧縮気体としては,圧縮空気又は圧縮窒素を使用することができ,好ましくは圧縮窒素を使用する。
圧縮窒素の使用は,前述したようにピストン母材中のAl成分の少なくとも一部を窒化させる作用があり,これにより形成された酸化金属層の密着力をより一層強固なものとすることができるという効果があると共に,母材の表面付近における機械的強度を改善する効果がある。
なお,このように圧縮窒素によってSn,Zn又はZrを含む粒体を噴射する場合,ピストンのスカート部表面と粒体との衝突部分における雰囲気中の窒素濃度は増加することになるが,ブラストガンより噴射された圧縮窒素は,噴射後,ブラストガン周辺の空気を巻き込んで空気と混合されると共に,圧縮衝突部分の周囲には空気が存在するために,この空気中の酸素によってSn,Zn又はZr元素を酸化させることができ,圧縮窒素によって噴射する場合には,ピストンの母材を構成するAl成分の窒化と,Sn,Zn又はZr元素の酸化のいずれも得ることができるものとなっている。
なお,Sn,Zn又はZrを含む粒体の平均粒径を20〜400μmとすることにより,形成された酸化金属層の表面粗さは,中心線平均粗さ(Ra)で0.5〜2.5μmとなる。
(2)潤滑層の形成
以上のようにして下地処理によって形成した改質層上,又は,酸化金属層上には,低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を形成する。
この潤滑層を構成する低摩擦係数の樹脂としては,内燃機関の運転時におけるピストンの加熱に耐え得る耐熱性を有する必要があり,一例としてエポキシ系樹脂や,ポリアミド−イミド樹脂(以下,「PAI樹脂」と言う。)を使用することができる。
この潤滑層の形成は,潤滑層と成る樹脂をスプレー法やプリント法などの既知の方法によって塗布することにより形成後の厚みが8〜17μmとなるように形成する。一例として前述したPAI樹脂の潤滑層を形成する場合,PAI樹脂を溶剤(N−メチルピロリドン)に希釈して得たワニスを,改質層上,又は酸化金属層上に塗布した後,焼付乾燥して形成することができる。
以上のようにして得られた潤滑層の表面は,平滑であることが好ましく,前述したように表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.5〜2.5μmとした改質層又は酸化金属層上に形成することにより,その表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で1.0μm以下とすることができる。
(3)作用等
(3-1)作用の概略
以上のようにして下地処理が行われたピストンのスカート部に対し,前述したように低摩擦係数の樹脂より成る潤滑層を形成した内燃機関用のピストンにあっては,潤滑層が下地の改質層又は酸化金属層に対して高い密着力を発生すると共に,形成された潤滑層は,ピストンの低フリクション化に貢献するものであった。
また,このようにしてスカート部の表面処理が行われたピストンにあっては,樹脂被膜である潤滑層が摩耗や剥離により消失し,直接シリンダ内壁と接触した場合であっても,高い耐摩耗性,低フリクション性,耐焼付性を発揮するものであると共に,摺接の相手方(シリンダ内壁)に対する攻撃性が低い(シリンダ内壁を摩耗しない)ものとなっていた。
(3-2) 密着力の向上
前述した密着力の向上が得られるメカニズムについては必ずしも明らかではないが,噴射粒体の衝突によってピストンスカート部の表面に,粒体の粒径に対応したRaで0.5〜2.5μm程度の微小な凹凸が形成されること,粒体との衝突により表面組織が微細化されると共に合金成分の分布が均一化されること,及び表面の活性化の相乗効果によってこのような密着力の向上が得られているものと考えられる。
(3-2-1) 凹凸の形成による密着性の改善
前述したように,ピストンのスカート部表面に対し,潤滑層の密着力が向上する理由の1つとして投錨効果(アンカー効果)が挙げられる。すなわち,前述したようにピストンのスカート部に対して粒体を噴射,衝突させることにより,ピストンのスカート部表面には塗布された樹脂が入り込んで根を張る微細な凹部が無数に形成されることとなる。そのため,このような投錨効果(アンカー効果)の向上が,潤滑層の付着強度を向上させる一因となっているものと考えられる。
(3-2-2)表面組織の微結晶化等による密着性の改善
前述したように,鋳造用アルミニウム合金として一般的に使用される共晶組成のAl−Si,Al−Cu,Al−Mg系合金等では,Alのデンドライト結晶と,Alと合金成分との共晶が現れ,合金成分の結晶(結晶粒)は,図3に示すように母材中に均一に分散しておらず,偏析したものとなっている。
このような不均一な状態にあるピストンスカート部の表面に直接,潤滑層となる樹脂材料を塗布等すると,樹脂材料が接触する部分の組織の相違によって,母材と樹脂間に生じる物理化学的結合力に相違が生じ,密着性の良好な部分と,密着性の劣る部分とが生じ,この密着性の劣る部分を基点として潤滑層に剥離が生じ易いものとなる。
これに対し,本発明のように潤滑層の形成前に改質層を形成することにより,又は酸化金属層を形成することにより,潤滑層との界面付近における組織を均一に微細化すると共に,偏析した合金成分の分布を均一化することで,改質層又は酸化金属層に対する潤滑層の密着性を均一化することにより,剥離の基点となる部分を消失させることにより,高い密着性を得られているものと考えられる。
(3-2-3)表面活性化
更に,前述のようにしてピストンのスカート部に対して粒体が衝突すると,この衝突部分には,粒体との衝突時の摩擦等によってアルミニウム合金の新生表面が出現し,電子(エキソエレクトロン)が放出され(Kramer 効果),活性化されるものと考えられる。
この活性化(電子放出)により,潤滑層を構成する樹脂との間で,前述した物理化学的な結合が促進され,高い密着性と付着強度の向上が得られているものと考えられる。
このような密着性の向上が,前出新生面の露出による表面の活性化によって生じているものであるとする予測は,例えば,下地処理の終了から潤滑層を形成する迄の経過時間が長くなれば長くなる程(従って,活性化が失われる程),密着性の向上や付着強度の向上が得られなくなる(効果が低減する)ことからも裏付けられる。
なお,密着性の向上が前述したような表面の活性化によって生じているのであれば,例えば本願で使用する噴射粒体の粒径よりも大きい,一般的なブラスト処理に使用する粒径の範囲である例えば平均粒径800〜1000μmの粒体を噴射した場合であっても,前述したKramer 効果による電子(エキソエレクトロン)放出によって密着力の向上が得られることが予測されるが,上記平均粒径の範囲の粒体を噴射しても,密着性や付着強度の改善は僅かであり,大幅な改善は得られなかった。
このことから,本願発明では,平均粒径20〜400μmという微細な粒体を使用することにより,粒体の単位重量当たりの表面積を増大させることができ,この粒体を衝突させることにより母材表面に表出するアルミニウム合金の新生表面の表面積も増大し,その結果,潤滑層との結合に影響する電子(エキソエレクトロン)の放出を促進させることができたこと,また,前述のような微細な粒体を使用することにより生じる衝突エネルギーと,これに対して大径の粒体を使用することにより生じる衝突エネルギーとの差異等が影響して潤滑層の密着性の大幅な改善を実現することができたものと考えられる。
(3-3) 潤滑層表面の低フリクション化
なお,使用する噴射粒体を,平均粒径20〜400μmの範囲としたことにより,この粒体の衝突によりスカート部表面に形成される改質層又は酸化金属層表面の表面粗さ比較的微小なもの(Ra0.5〜2.5μm)とすることができ,その結果,潤滑層を形成する樹脂をスカート部表面に塗布した際にこの表面粗さを吸収させて,潤滑層の表面粗さを,給油状態での摺接において低フリクション化が実現されるRa1.0μm以下の平滑面に加工することが可能である。
(3-4) ピストンスカート部母材の耐摩耗性等の改善
本発明の方法により表面処理が行われたピストンスカート部は,樹脂被膜である潤滑層が摩耗や剥離によって消失し,その下地である改質層や酸化金属層が直接,シリンダ内壁に摺接した場合であっても,高い耐摩耗性,低フリクション性,耐焼付性を示すと共に,シリンダ内壁に対する攻撃性(シリンダ内壁の摩耗)を低下させることができるものであった。
このような効果は,
噴射された粒体との衝突によって母材の表面組織が微細化されると共に,合金成分の分散が均一化することにより,脆さの改善等,スカート部表面の機械的特性が改善されたこと,
前述した粒体の衝突によって,スカート部の表面には圧縮残留応力の付与等,ショットピーニングによって得られる機械的特性の改善も得られているものと考えられること,
さらに,前述した噴射粒体との衝突部において生じる発熱により,粒体の噴射に圧縮空気を使用する場合には,圧縮空気中の酸素との結合によって母材中のAl成分が酸化することにより酸化アルミニウムが生成され,また,噴射に圧縮窒素を使用する場合には,母材中のAl成分が窒化することにより窒化アルミニウムが生成され,これによりスカート部表面付近の硬度が向上すること,等の相乗効果によって得られているものと予測される。
特に,改質層の上に更に酸化金属層を形成した例にあっては,原理は明らかではないが耐摩耗性,低フリクション性,耐焼付性の一層の向上が得られると共に,このスカート部と摺接するシリンダ内壁の摩耗をも低減することができるものとなっている。
なお,前述したようにRa0.5〜2.5μmという改質層又は酸化金属層の表面粗さを実現している表面の微小な凹凸は,潤滑層の摩滅によって改質層乃至は酸化金属層が表面に露出してシリンダ内壁と接触する際には油溜まりとして作用し,油膜切れを防止する効果が期待される。
次に,本発明の方法により表面処理されたピストンに対して行った性能評価試験について以下説明する。
1.潤滑層の密着力測定試験
(1)試料
Al−Si系アルミニウム合金(AC8A)製のピストン(鋳造品)を使用し,表1〜表6に示す条件でスカート部の表面処理を行ったものについて,形成された潤滑層の密着力を測定した。
なお,実施例1〜4,比較例2の試料については,事前の洗浄工程の省略による低コスト化の可能性を探るため,事前の洗浄を行うことなく処理を行った。
(2)試験方法
密着力の測定は,ウォータジェット試験によって行った。このウォータジェット試験は,ピストンスカート部に形成した潤滑層表面に水をノズルにより高圧噴射し,密着力の測定を行う試験である。
(3)試験結果
上記方法で行った潤滑層の密着力測定結果を,表7に示す。なお,表中の「密着力」は,噴射水の噴流圧力(MPa)を示し,「○」は潤滑層に剥離が生じていないこと,「×」は潤滑層が剥離したことをそれぞれ示す。
以上の結果から,潤滑層の形成前に改質層を形成した例(実施例1),改質層と共に酸化錫層を形成した例(実施例2),酸化錫層に代えて酸化亜鉛層を形成した例(実施例3),更に酸化ジルコニア層(実施例4)のいずれにおいても,これらの層を形成することなく,未処理のスカート部表面に直接潤滑層を形成した比較例1に対して大幅に密着性の向上が得られていることが確認された。
この結果から,潤滑層の密着性を向上させる上で,本発明の表面処理方法の有効性が確認された。
また,潤滑層の形成に先立って行う粒体の噴射において,本発明の改質層の形成時に使用する粒体の粒径の範囲外である平均粒径800μmの粒体を噴射した比較例2のピストンにあっては,スカート部に形成された潤滑層の密着性に向上が得られていないことから,この改質層の形成を,平均粒径20〜400μmの範囲にある比較的微細の粒体によって行うことが効果的であることが確認された。
なお,実施例1〜4では,改質層の形成に先立って,いずれもピストンの洗浄を行っていないことから,ピストンを洗浄することなく本発明の表面処理を行った場合であっても,高い密着力で潤滑層を形成できることが明らかであり,洗浄工程の省略に伴う低コスト化の実現可能性が明らかとなった。
2.潤滑層の密着力と経過時間との関係確認試験
改質層の形成後,該改質層の活性化中に潤滑層を形成することが,潤滑層の密着力を向上する上で有効であることを確認するために,改質層の形成後,潤滑層の形成開始迄の時間を変化させて,経過時間の変化に伴う密着力の変化を測定した。経過時間中,改質層の形成されたピストンは潤滑層の形成迄室内に放置した。
測定に使用した試料に対する処理は,改質層の形成後,潤滑層の形成開始までの時間を変化させた点を除き,表1に記載したと同じ条件である。
以上の測定結果を,図4に示す。図4に示すように,改質層の形成後,3時間を越えた辺りから密着力が急激に低下し,約4時間の経過時間以降は密着力が略一定値で横這い状態となった。
このことから,改質層の形成による表面の活性化に伴う密着力の向上は,改質層の形成後,約3時間程度においてその効果が低下し,潤滑層の形成は,改質層の形成後3時間以内,好ましくは改質層の形成直後に行うことが好ましいことが確認された。
なお,図4に示したグラフでは,潤滑層の形成に先立って改質層の形成を行った場合には,経過時間が4時間を越えた試料においても未処理のピストンに直接潤滑層を形成した比較例1の密着力である120(表7参照)と同程度の密着性を示していることが確認されている。
比較例1の試料では,潤滑層の形成前にスカート部の脱脂,洗浄,乾燥を行い,その表面を清浄なものとしている一方,本発明の方法で表面処理を行ったピストンでは,スカート部の脱脂,洗浄,乾燥を行うことなく,直接処理を行っていることから,仮に密着力の向上が表面の活性化のみによって生じているのであれば,活性化が失われたものと考えられる改質層の形成後4時間経過以降の密着力は,比較例1の試料に対して低くなることが予測される。
しかし,図4に示すように,改質層の形成後4時間以上経過した後においても,脱脂,洗浄,乾燥を行ったスカート部に潤滑層を形成した比較例1と同程度の密着力を示していることから,本発明の方法で表面処理を行ったピストンでは,表面の活性化に伴う密着力の向上以外にも事前の洗浄工程の省略を補い得る作用〔改質層の形成時に母材表面に形成された微小な凹部による投錨効果(アンカー効果)や,母材表面の微細化〕によっても密着性の向上が得られていることが判る。
3.摩擦係数測定試験
本発明の方法により表面処理されたピストンが,潤滑層の摩耗後においても低フリクション性を有するものであることを確認すべく,摩擦係数の測定を行った。
測定は,図5に示す測定装置を使用して行い,表1〜3に示す表面処理を行った実施例1〜3のピストン(但し,潤滑層を形成せず)のスカート部と,未処理のピストンのスカート部を切り出してそれぞれ板状試験片を得ると共に,シリンダライナーと同素材(材質:FC250相当)である円柱円盤状試験片(直径5mm,長さ12mm)を板状試験片に垂直に接触させて,試験開始時のみにエンジンオイル10W−30を綿棒で塗布し円柱状試験片に荷重5Nをかけて,ストローク10mm,往復速度60サイクル/minで摺動させ,試験開始からの経過時間と摩擦係数の変化を測定した。
測定結果を図6に示す。図6より明らかなように,未処理のピストンスカート部にあっては,試験開始からの経過時間と共に摩擦係数が徐々に増大し,試験開始後30分経過後には,摩擦係数が実験開始時の約2倍に迄上昇した。
これに対し,改質層を形成した実施例1のスカート部,改質層と共に酸化金属層を形成した実施例2,3のスカート部にあっては,いずれも試験の開始直後から30分の経過迄,摩擦係数が略一定値を示しており,低フリクション性が実現されていることが確認された。
特に,改質層上に更に酸化錫層,酸化亜鉛層を形成したもの(実施例2,3)にあっては,初期摩擦抵抗値が低減しており,改質層のみを形成したもの(実施例1)に比較して,摩擦係数自体が低減されていることが確認された。
また,酸化錫層を形成した実施例2にあっては,酸化亜鉛層を形成した実施例3に比較して,更に摩擦係数が低いことが確認された。
以上の点から,改質層のみを形成した実施例1のピストンに比較して,酸化金属層を形成した実施例2,3のピストンにおいて,潤滑層が摩耗した後においてもより低いフリクション性を発揮することが確認された。
4.摩耗量測定試験
本発明の方法により表面処理されたピストンが,潤滑層の摩耗後においても耐摩耗性を有すると共に,摺接の相手方であるシリンダライナー材に対する攻撃性を有しない(シリンダライナーを摩耗させない)ものであることを確認するための試験を行った。
試験は,前述した摩擦係数測定試験終了後の試験片(シリンダライナー材に対応した円柱状試験片と,ピストンのスカート部を切り出して形成した板状試験片)の摩耗量を測定することにより行った。
摩耗量の測定は,シリンダライナーに対応する円柱状試験片については,摺接面をレーザ顕微鏡にて観察し,摩耗部分の総面積(mm2)を計測することにより,板状試験片(スカート部の切り出し材)については,粗さ計で測定した摩耗部分の凹み量(μm)をそれぞれ摩耗量とした。
上記方法による摩耗量の測定結果を図7に示す。図7より明らかなように,未処理のスカート部に比較して,改質層を形成したスカート部(実施例1),改質層に加え,更に酸化金属層を形成したスカート部(実施例2,3)を使用した場合の方が,スカート部及びシリンダライナーのいずれの側においても摩耗量が低減していることが確認された。
特に,改質層のみを形成した場合(実施例1)に比較して,酸化金属層を形成した場合の方がスカート部及びシリンダライナー共に摩耗量が少ないことが確認された。
なお,酸化亜鉛層を設けた実施例3のスカート部にあっては,スカート部の摩耗が確認できず,耐摩耗性が極めて高いものであることが確認された一方,相手方材であるシリンダライナーに相当する円柱状試験片の摩耗量では,酸化錫層を備えた実施例2に比較して摩耗量が多いことが確認された。
この結果から,摺動の相手方となるシリンダライナーに対する攻撃性については酸化錫層を備えたスカート部(実施例2)の方がより好適な結果を示すことが確認できた。
5.摩擦平均有効圧測定試験
本発明の方法により表面処理されたピストンが,低フリクション性を有するものであることを確認すべく,実機による評価で摩耗平均有効圧(FMEP:Friction Mean Effective Pressure)の測定を行った。
測定は,図8に示す測定装置を使用し,表1に示す表面処理を行った実施例1のピストン及び表5に示す表面処理を行った比較例1のピストンのそれぞれのスカート部と,シリンダライナーとの摩擦力をロードセルにて検出することにより行った。
なお,「摩擦平均有効圧(FMEP)」とは,ピストンの運動により生じた摩擦仕事をエンジンストローク容積で割った値である。
以上の測定試験の結果,実施例1のピストンにおける摩擦平均有効圧は,約14.5kPa,比較例1のピストンにおける摩擦平均有効圧は,約16.8kPaであり,実施例1のピストンでは,比較例1のピストンに比較してフリクションの低減が得られていることが確認された。
ここで,実施例1のピストンスカート部に形成された潤滑層,比較例1のピストンスカート部に形成された潤滑層共に,材質は共通(いずれもPAI樹脂)であることから,このようなフリクションの低下が得られた原因は,形成された潤滑層の表面粗さの相違にあるものと考えられる。
そこで,両者の潤滑層の表面粗さを測定したところ,実施例1ではRaで約0.6μmであったのに対し,比較例1ではRaで約1.7μmであることが確認された。
本発明の表面処理方法では,改質層の形成に際し平均粒径20〜400μm(実施例1では50μm)という比較的微細の粒体を使用したことにより,改質層の表面粗さを比較的微小なものとすることができ,その結果,この改質層上に潤滑層を形成する際に,スカート部表面に塗布した樹脂によってこの表面粗さを吸収させて,形成された潤滑層の表面粗さを低く抑えることができたことが,このようなフリクションの低下に繋がったものと考えられる。
なお,縦軸を摩擦平均有効圧(FMEP),横軸を表面粗さ(Ra)としたグラフ中に,実施例1及び比較例1における上記測定結果をプロットしたものを図9に示す。
本発明の方法に従った表面処理によりピストンのスカート部に形成された潤滑層は,その表面粗さをいずれもRaで1.0μm以下に抑えることが可能であることから,図9中に記した2つのプロットを通る直線に従って,表面粗さ(Ra)の変化に対し摩擦平均有効圧(FMEP)が変化するものと考えると,本発明の方法に従って表面処理が行われたピストンは,いずれもスカート部に直接潤滑層を形成したピストン(比較例1)に比較して,フリクションの低減効果が得られることが判る。
本発明の内燃機関用ピストンスカート部の層構成を示す模式図。 本発明の別の内燃機関用ピストンスカート部の層構成を示す模式図。 母材組織の不均一性による潤滑層の密着力の不均一性発生のメカニズムを説明する説明図。 下地処理後の経過時間と密着力の変化の関係を示したグラフ。 摩擦係数測定試験に使用した試験装置の概略説明図。 摩擦係数測定試験結果を示したグラフ。 摩耗量測定試験結果を示したグラフ。 摩擦平均有効圧測定試験に使用した試験装置の概略説明図。 表面粗さと摩擦平均有効圧の測定結果を示したグラフ。 物理化学的結合の説明図であり,(A)は水素結合,(B)はファンデルワールス結合の説明図。

Claims (7)

  1. アルミニウム合金製の内燃機関用のピストンスカート部に対し,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を,圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記スカート部の表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織を均一に微細化すると共に,表面を活性化させた改質層を形成する下地処理と,
    前記下地処理後,該改質層の表面に新生面が露出され活性化している間に前記スカート部表面に低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を形成することを特徴とする内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法。
  2. アルミニウム合金製の内燃機関用のピストンスカート部に対し,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を,圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記スカート部の表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織を均一に微細化させる改質層の形成と,前記改質層の形成されたスカート部に対し,Sn,Zn又はZr元素を含む平均粒径20〜400μmの微細な粒体を圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記Sn,Zn又はZrの元素を前記改質層中に拡散浸透させると共に酸化させて,表面が活性化された酸化金属層を形成する下地処理を行うと共に,
    前記下地処理後,該酸化金属層が活性化している間に前記スカート部表面に低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を形成したことを特徴とする内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法。
  3. 前記アルミニウム合金がAl−Si系合金であり,母材中のSi成分の分布が均一化するように組織が微細化された前記改質層を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法。
  4. 前記潤滑層の形成を,前記下地処理後3時間以内に行うことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の内燃機関用ピストンスカート部の表面処理方法。
  5. アルミニウム合金内燃機関用のピストンのスカート部に,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織が均一に微細化された改質層と,
    該改質層の表面が活性化している間に前記スカート部表面に形成された低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を設けたことを特徴とする内燃機関用ピストン。
  6. アルミニウム合金製の内燃機関用のピストンスのスカート部に,平均粒径20〜400μmの金属又はセラミックの微細な粒体を圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,表面より深さ1〜15μmの範囲においてピストン母材の組織が均一に微細化された改質層と,
    前記改質層の形成されたスカート部に対し,Sn,Zn又はZr元素を含む平均粒径20〜400μmの微細な粒体を,圧縮空気又は圧縮窒素との混合流体として噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して衝突させることにより,前記Sn,Zn又はZrの元素を前記改質層中に拡散浸透させると共に酸化させて成形した表面が活性化された酸化金属層と,
    前記酸化金属層の形成後,該酸化金属層の表面が活性化している間に前記スカート部表面に形成された低摩擦係数の樹脂被膜より成る潤滑層を備えることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  7. 前記アルミニウム合金がAl−Si系合金であり,前記改質層が,母材中のSi成分の分布が均一化するように組織が微細化されていることを特徴とする請求項5又は6記載の内燃機関用ピストン。
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