JP5114641B2 - 振動凝固鋳造法及び振動凝固鋳造装置 - Google Patents

振動凝固鋳造法及び振動凝固鋳造装置 Download PDF

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Description

本発明は、振動凝固鋳造法及び振動凝固鋳造法に用いられる鋳造装置に関するものであり、特に、アルミニウム合金等からなる鋳物製品を鋳造する際に、金属組織を微細化し、鋳巣欠陥を減少させることが可能な振動凝固鋳造法及びその鋳造法に用いられる振動凝固鋳造装置に関するものである。
従来から、高温で溶解したアルミニウム合金の溶湯を鋳型(金型或いは砂型等)のキャビティに充填し、液相から固相へと凝固させることによってアルミニウム合金からなる鋳物製品を鋳造することが行われている。ここで、高温で溶解された溶湯を凝固させる場合、冷却過程において「熱間割れ」や「巣」などの欠陥が集中して発生することを防止するため、可能な限り鋳物製品のマクロ組織を微細にする試みがなされている。また、鋳物製品の強度及び耐圧性などの力学的特性を低下させる、或いは種々の不具合の原因となる加工面の鋳巣欠陥を防ごうとする試みも行われている。
ここで、アルミニウム合金を鋳造する際に、マクロ組織を微細化する手法として、1)急冷処理、2)微細化剤の添加処理、3)振動処理の三つの手法があることが古くから知られている(非特許文献1参照)。中でも、3)振動処理の手法は、他の手法に比べ、比較的簡易な構成で形成され、かつ製造コストの増加もそれほど大きくない為として、マクロ組織の微細にする技術として期待されている。なお、鋳型やラドル(溶湯を貯留する容器)等に振動を加え、欠陥レベルを低下させるものについては既に開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、鋳型やラドル等に縦振動を与え、溶湯中に空気穴や酸化物が混入することを抑制して鋳物製品の力学的特性を向上させる旨が記載されている。
また、本出願人等は、キャビティに充填された溶湯を凝固させて鋳物製品を鋳造する間、鋳型本体に機械的振動を与えることで、マクロ組織の微細化を図ることが可能となる鋳造法について先に提案している(特許文献2参照)。
特開2002−96157号公報 特開2006−315046号公報 鹿取一男・小林一典編、「現場の鋳造」、アグネ社、1969、p69
しかしながら、上述した振動処理の手法には、幾つかの問題があった。例えば特許文献1の手法は、振動をかけるタイミングと時間とは、最大でも、ラドル等で溶湯を汲み上げてからキャビティ内に充填を完了する迄の間である。従って、溶湯が充填された後、つまりキャビティ内で溶湯が凝固する間は振動を与えないから、マクロ組織の微細化という効果が十分に得られない場合があった。具体的には、溶湯を充填する期間に発生した等軸晶の結晶微粒子は、溶湯の温度が高い状態では等軸晶へ成長せずに再溶解し、溶湯の温度が下がって凝固していく過程(溶湯の充填を完了した後の期間)で振動を与えないと結晶核としては消滅し、十分にマクロ組織の微細化を図ることができないという問題が懸念された。また、特許文献1の手法では、鋳型本体に直接振動を与える手法であるため、振動数が高くなると、振動によるダメージが鋳造装置に蓄積され、装置を故障させる原因となっていた。又、崩壊性中子(砂中子)を有する金型には使用できなかった。
一方、特許文献2の手法によれば、キャビティに溶湯が充填された後、つまり溶湯が凝固する間に機械的振動を与える手法であるため、当該期間における振動による効果は十分に得られるものと推察される。しかし、この手法においても、鋳型本体を振動させる手法であるため、振動による負荷が装置に蓄積され故障が起こる懸念が払拭されなかった。また、この手法によれば、鋳物製品が大型化した場合には、鋳型本体を振動させる装置も大掛かりなものとなり、コストや製造負担を増大させるという問題もあった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、マクロ組織を微細化することが可能であると共に、装置に係る負担を軽減可能な振動凝固鋳造法及び振動凝固鋳造装置の提供を課題とするものである。
本発明に係る振動凝固鋳造法は、「非振動部を備える鋳型本体のキャビティへ注入される前の溶湯に機械的振動を与える前振動工程と、前記キャビティに充填された前記溶湯を冷却し、凝固させることによって鋳物製品を鋳造する凝固冷却工程と、前記キャビティ内の非振動部を備える崩壊性中子に機械的振動を与えることなく、前記凝固冷却工程によって前記溶湯の凝固が進行する過程で、前記鋳型本体内の前記溶湯に機械的振動を与える後振動工程と、前記崩壊性中子を崩壊させ、前記鋳型本体と前記鋳物製品とを分離する鋳物取り出し工程とを具備し、前記後振動工程は、前記鋳物製品の局部を構成する前記溶湯にのみ機械的振動を与える局部後振動工程を」さらに具備することで鋳物製品の機械的物性値の向上及びそのバラツキが少なくなることを特徴としている。
ここで、「溶湯」とは、高温で溶解した金属または金属合金であり、鋳物製品等を鋳造する際に金属を製品キャビティに流し込むために溶融されたものである。なお、溶湯に使用される金属種、合金種は特に限定されないが、例えば、純アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、アルミニウム−シリコン合金等の従来から鋳物製品に使用可能な種々の金属または合金等を対象とすることが可能である。ここで、溶湯は、チタン、ボロン、ジルコニウム等の結晶粒微細化剤を含有しないものを利用することが可能である。
また、「非振動部を備える鋳型本体」とは、鋳型本体には積極的な振動を与えず、溶湯に主に振動を与える手法を示す。なお、「鋳型本体には積極的な振動を与えず」とは、鋳型本体を振動させない状態だけではなく、適宜な振動手段を鋳型本体に取設する状態も除外する主旨である。但し、製品部を形作るキャビティの一部を鋳型本体とは別鋳型(仮に「局部鋳型」という)として設けた場合に当該局部鋳型を振動させる手法や、局部鋳型やバケット等(鋳型本体以外の部品)を振動させた結果、その振動の一部が鋳型本体に伝達する状態までを除外する主旨ではない。
また、「溶湯に機械的振動を与える」方法としては、例えば、溶湯を貯留する鋳込バケットを振動させる方法、鋳込バケット内に適宜な振動手段を取設し、溶湯を直接振動させる方法、湯口やランナー内に振動手段を取設し、ここを通過する溶湯を直接振動させる方法、キャビティ内の中子に振動手段を取設し、キャビティ内の溶湯を直接振動させる方法、振動手段そのもので中子を構成し、キャビティ内の溶湯を直接振動させる方法、等が例示できる。
なお、「前振動工程」は、少なくとも「凝固冷却工程」の前、すなわちキャビティ内への溶湯の充填が完了して溶湯の凝固が始まる前までに行われるものであれば良い。具体的には、鋳型バケットへの振動供与を開始し、次に振動している鋳型バケットで溶湯を注ぎ、その後振動を持続させながらキャビティ内への注入を進めていく手法が例示できる。また、湯口に溶湯を注ぎいれた後(但し充填が完了する以前)に鋳型バケットやランナー内溶湯への振動の供与を開始する手法でも良い。さらに、「前振動工程」と「後振動工程」とは、連続的に行われても良いし、所定のブランク期間を挟んで行われても良い。つまり、キャビティに溶湯を注入している間に振動を与え(「前振動工程」)、そのまま振動を継続した状態で溶湯充填工程及び後振動工程に移行しても良く、また、前振動工程及び溶湯充填工程が終了した後に、一度振動を停止させ、その後振動を再開して後振動工程を開始しても良い。
従って、本発明の振動凝固鋳造法によれば、キャビティに充填を完了する前の溶湯に機械的振動を与える前振動工程と、溶湯が充填され凝固する過程で機械的振動を与える後振動工程とが具備されている。前振動工程では、注入される溶湯に振動を与えることにより、溶湯がキャビティやランナーの内壁から積極的に遊離して凝固の結晶核として働く。これにより、例えば柱状晶のような結晶の成長を阻害することができ、又振動により凝固最終部への溶湯補充が行われることにより欠陥が少なくなり鋳物製品の機械的強度(引っ張り強度や伸び強度)を向上させることができる。さらに、後振動工程が具備されていることにより、凝固の結晶核がより多くなることが期待されてマクロ組織の微細化を図ることができる。これにより、鋳物製品の機械的強度を向上させ、不良品率を低減することが可能となる。また、後振動工程が具備されていることにより、溶湯が液相から固相へと相転移する状況において、機械的振動が与えられることによって液相及び固相に係る不均一な負荷が解消され、均等に負荷が分散した状態で凝固が進行する。その結果、液相から固相への凝固変化が速やかに進行し、マクロ組織の微細化を図ることが可能となる。
このように、本発明では、前振動工程と後振動工程との双方が具備されていることにより、マクロ組織の微細化が促進され機械的強度に優れる鋳物製品を製造することができる。特に、本発明では、非振動部を備える鋳型本体が使用され、鋳型本体ではなく溶湯に振動を与える手法なので、鋳型本体や鋳型本体を支える製造装置に負荷をかけることなくマクロ組織の微細化を図ることが可能となる。
とくに、本発明において、「前記後振動工程は、前記鋳物製品の局部を構成する前記溶湯にのみ機械的振動を与える局部後振動工程、を有している」ものとすると、より好適である。ここで、「局部」とは、例えば鋳物製品の重要部(機械的強度が特に要求される部位)等が例示できる。この方法によれば、鋳物製品の重要部に振動を与え、当該重要部の機械的強度を選択的に向上させることができる。これにより、必要最小限のコンパクトな装置で必要十分な品質の鋳物製品を得る事ができ、効率的である。
ここで、「崩壊性中子」としては、例えば、耐火性の砂をフェノールレジンを用いて結合させた所謂「シェル芯中子」や、同耐火性の砂をウレタン樹脂を用いて結合させた「コールドボックス中子」、また、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、亜硝酸ナトリウム等を配合して得られた硝酸塩によって形成した「塩中子」等が例示できる。
また、「非振動部を備える崩壊性中子が使用される」状態とは、崩壊性中子自体を振動させない状態だけではなく、適宜な振動手段を崩壊性中子に取設する状態も除外する主旨である。
ところで、鋳造法では一般的に行われていることであるが、鋳物製品の形状を形作るためには、鋳型本体のキャビティだけではなく中子を使用する場合がある。特に、空洞部や穴のような形状を持つ鋳物製品を形成するためには、溶湯の凝固後に中子を崩壊させて鋳物製品から分離する「崩壊性中子」と呼ばれるものが使用される。
崩壊性中子は、衝撃を加えると構成素子(砂や塩)の結合が崩れて崩壊するよう構成されている。この性質を利用することで、鋳造後に引き抜いて取り出すことのできない形状、すなわち空洞部や穴のような形状を形作ることが可能となるが、このような崩壊性中子を従来の振動凝固鋳造法に使用した場合、以下の問題が考えられた。つまり、鋳型本体に振動を与える(若しくは、鋳型本体を振動させる)ことで、鋳型本体に固定される崩壊性中子にも振動が伝わり、この振動によって崩壊性中子の一部が崩壊する場合があった。そうすると、崩壊性中子を構成する粒子の一部が溶湯中に混入し、表面あるいは内部欠陥の原因となる。
これに対し、本発明では、非振動部を備える鋳型本体が使用されており、かつ、非振動部を備える崩壊性中子が用いられる手法なので、凝固冷却工程中に崩壊性中子の一部が崩壊して溶湯中に混入する虞がない。これにより、崩壊性中子の崩壊に起因する欠陥率の低下を低減もしくは回避できる。
また、本発明の振動凝固鋳造法において、「前記鋳型本体は、前記キャビティの上部に押し湯部が開口され、前記キャビティの下部にランナーが設けられている押上タイプ鋳型であり、前記溶湯注入工程は、前記ランナーの上部に開口した湯口から前記溶湯を注入し、下方から前記押し湯部に向って前記溶湯を押し上げるように注入する押し上げ注入工程を有する」ものとしても良い。
ここで、「ランナー」とは、湯口に注がれた溶湯がキャビティへと注入される際の通り道となる、所謂「湯道」を示す。
ところで、振動凝固鋳造法は、特に重力鋳造において好適に用いられるものであるが、係る鋳造法においては、湯口と押し湯部とを兼用しても良いが、請求項3に係る本発明では、湯口と押し湯部とを別個に設け、押し湯部をキャビティの上部に、ランナーの一部をキャビティの下部に設けている。これにより、湯口から注入された溶湯はランナーを通って下部側からキャビティ内に注入される。そうすると、溶湯内に含まれた空気が溶湯の流れに沿って上に押し上げられ、押し湯部からキャビティの外へと放出されやすくなる。また、大気圧によって溶湯が圧力を受けるので、注入時に与えられた振動等によって溶湯の液面が揺れる問題が軽減され、溶湯の湯流れが安定する。これにより、空気を巻き込むことによる欠陥レベルの発生を抑制し、より機械的強度に優れる鋳物製品の製造に寄与する。
また、本発明の振動凝固鋳造法において、「前記溶湯注入工程の前に、塗型剤を前記キャビティの内壁に1ショット以上10ショット以下毎に塗布する塗型形成工程をさらに具備する」ものとしても良い。
従来、一般の鋳造法において、キャビティ内の湯流れ性等を改善するために、キャビティの内壁に塗型剤を塗布することが行われていた。これは、キャビティの内壁が溶湯の熱を奪い、キャビティの先端部や狭幅部に溶湯が到達する前に凝固してしまう現象を改善(湯流れ性の改善)するためである。又、離型性を改善する効果がある。塗型剤を塗布する方法としては、キャビティの内壁に黒鉛やジルコンフラワ等の耐火物の微粉末を塗布する方法等が公知である。こうした塗型剤は、一般に「永久塗型」と言って、一度塗布すると、1ロットが終了する(時には数百回以上のショットが行われる)間、再塗布されることはなかった。
しかし、従来の振動凝固鋳造法では、例えば鋳型本体等に直接振動が加えられるため、その振動によって塗型剤がキャビティの内壁より剥脱する虞があった。これにより、湯流れ性の改善が難しくなり、又、焼き付き・カジリ等も発生し製造ラインでの不良品率が上がってしまう場合があった。
これに対し、本発明の振動凝固鋳造法では、上記の構成に加え、さらに塗型形成工程が具備されている。つまり、鋳型本体が非振動なので塗型剤が剥脱しにくいことに加え、さらに、塗型剤が1ショット以上10ショット以下毎に再塗布されるから湯流れ性の劣化が起きにくい。これにより、製造ラインでの不良品率の劣化を防止することができる。
一方、本発明にかかる振動凝固鋳造装置は、「上記の少なくとも何れか一つに記載の振動凝固鋳造法に用いられる振動凝固鋳造装置であって、高温で溶解された溶湯の注ぎ口となる湯口、キャビティ、及びランナー、を内部に有する非振動部を備える鋳型本体と、前記鋳型本体を支持する鋳型支持部と、前記湯口に注がれる前記溶湯を貯留するバケットと、前記バケットに機械的振動を与えるバケット振動手段と、前記湯口と前記バケットとの間に配設され、前記バケット振動手段による前記バケットの振動を弾性体によって緩衝し前記鋳型本体に対して前記バケットを揺動可能にするバケット緩衝手段と、前記キャビティに充填された前記溶湯を凝固させて鋳物製品を鋳造する間、前記鋳型本体内の前記溶湯に機械的振動を与える溶湯振動手段とを具備する」ものである。
ここで、「バケット緩衝手段」としては、バケット振動手段による鋳型バケットの振動を緩衝しながら支持することが可能なものであり、例えば、鋳型本体(湯口)と鋳型バケットとを接続する接続部の一部または全部を弾性変形可能なバネ或いはゴムのような弾性体で形成し、振動を緩衝した状態で鋳型バケットを支持可能なものを挙げることができる。
また、「バケット振動手段」とは、例えば、圧縮空気のエアー圧を利用し、円形状の内部空間に充填された金属製のボールを高速で回転させ、遠心力に伴う振動を発生させるボールバイブレータ、或いは電磁的に振動を発生可能な電磁振動素子などを利用することが可能である。なかでも、ボールバイブレータは、比較的コンパクトかつシンプルな構造であり、エアー圧を適宜調整することにより、発生する振動数を任意に変更することが可能となる。なお、係るボールバイブレータは、一般に、粉体及び固体等を運搬、充填、及び選別等を行う場合の振動源、或いは輸送管内の詰まりを解消するための振動源として用いられているものである。
従って、本発明の振動凝固鋳造装置によれば、鋳型バケットには、機械的振動を与えるバケット振動手段が取設されている。そして、鋳型バケットと、非振動部を備える鋳型本体との間には、バケット緩衝手段が配設されている。鋳型本体は非振動であるので、ここに直接鋳型バケットを固定すると、バケット振動手段によって振動を与えても鋳型バケットの動きが規制されて揺動することができず、振動効果を十分に供与できない場合が考えられる。しかし、本発明によれば、バケット緩衝手段が設けられているので、バケット緩衝手段の存在が所謂遊び部分となって、鋳型バケットがある程度揺動する。これにより、バケット振動手段による振動効果を十分に供与でき、注入される溶湯に効果的に振動を与えることができる。
また、本発明の振動凝固鋳造装置は、「上記の少なくともいずれか一つに記載の振動凝固鋳造法に用いられる振動凝固鋳造装置であって、高温で溶解された溶湯の注ぎ口となる湯口、キャビティ、及びランナー、を内部に有する非振動部を備える鋳型本体と、前記鋳型本体を支持する鋳型支持部と、前記キャビティに注入される前記溶湯を貯留するバケットと、少なくとも一部が前記キャビティ内に配設され、前記キャビティ内の前記溶湯を局所的に振動させ、前記鋳物製品から分離可能な局部振動鋳型と、前記キャビティ内の前記溶湯に機械的振動を与え、前記局部振動鋳型に取設されるキャビティ振動供与手段とを具備する」ものとすることができる。
ここで、「局部振動鋳型」としては、例えば「鋳型本体」と同様の材質で構成された所謂金型中子(スライド中子)や鋳抜きピン、鋳型の一部(鋳抜かない平面的な局部鋳型)が例示できる。また、「キャビティ振動供与手段」としては、「バケット振動手段」と同様に、ボールバイブレータや電磁振動素子などを利用することが可能である。
従って、本発明の振動凝固鋳造装置によれば、局部振動鋳型に取設されるキャビティ振動供与手段が具備されている。これにより、非振動部を備える鋳型本体や崩壊性中子を振動させることなく、キャビティ内の溶湯を局所的に振動させることができる。すなわち、鋳型本体や鋳造装置に負荷をかけることなく、また、崩壊性中子を使用した場合は鋳造中の崩壊による不良率の低下を低減できると同時に、鋳物製品のマクロ組織の微細化を図ることが可能となる。
本発明によれば、溶湯を振動させる振動手段を利用し、注入前の溶湯に振動を与えることで、溶湯がキャビティやランナーの内壁から積極的に遊離して凝固の結晶核として働く。これにより、例えば柱状晶のような欠陥要因となり得る結晶の成長を阻害することができ、結晶を等軸晶として微細化できる。さらに、鋳造中の溶湯を振動させることで、液相から固相への相転移をする間にも振動を与え、マクロ組織の微細化を図ることができる。これにより、金属組織が微細化し、かつ均一に分布するようになる。さらに、「熱間割れ」や「巣」の発生などの鋳巣欠陥を生じることがなく、安定した品質の鋳物製品を鋳造することができる。また、非振動部を備える鋳型本体を利用することにより、鋳型本体や鋳造装置に負荷をかけることなく鋳物製品の機械的性質が向上しそのバラツキが少なくなるという作用効果を有している。
以下、本発明の一実施形態である振動凝固鋳造装置1(以下、単に「鋳造装置1」と称す)、及び振動凝固鋳造法2(以下、単に「鋳造法2」と称す)について、図1乃至図9に基づいて説明する。ここで、図1は本例の鋳造装置1の構成の一例を模式的に示す説明図であり、図2は主にキャビティの形状を模式的に示す説明図であり、図3は鋳造装置1を利用した鋳造法2の各工程の流れを示すフローチャートであり、図4は振動条件と機械的強度((a)引っ張り強度、(b)伸び率)との関係を示すグラフであり、図5は振動条件と欠陥との関係を示すCT写真であり、図6は振動条件と比重値との関係を示すグラフであり、図7は振動条件とマクロ組織のサイズとの関係を示すグラフであり、図8は上注ぎタイプ鋳型と押上タイプ鋳型との比較を示すグラフであり、図9は図4乃至図7の実験に使用されるテストピースとしての鋳物製品9bを鋳造する鋳造装置を模式的に示す説明図である。なお、図1乃至図3では、押上タイプ鋳型である鋳型本体4を利用し、重力鋳造法によってアルミニウム合金からなる鋳物製品9aを鋳造するものを例示している。一方、図4乃至図7では、後述する振動条件に基づく各部位の機械的強度等を検討するために、図9に示すような上注ぎタイプ鋳型である鋳型本体40を利用し、テストピースとしての鋳物製品9bを測定した結果を示している。
本例の鋳造装置1は、図1に主に示すように、二つに分離可能に形成された鋳型本体4と、鋳型本体4内のキャビティ5内に配設された崩壊性中子6と、キャビティ5内に出し入れ自在に配設された局部振動鋳型7と、キャビティ5に充填される溶湯を貯留する鋳型バケット8(以下、単に「バケット8」と称す)と、鋳型本体4とバケット8との間に配設されたバケット緩衝手段10とを主に有している。また、ランナー内溶湯振動手段12(図2参照)がさらに具備されている。ランナー内溶湯振動手段12は、キャビティ5に溶湯を注入するランナー11にその一部が配置される機械的振動手段であり、詳細は後述する。
図1に示すように、鋳型本体4は、支持台30に固定された固定側鋳型4aと、公知のエアシリンダ若しくは油圧シリンダ等を有する型開閉機構31に接続された開閉側鋳型4bとから構成されている。型開閉機構31は、従来から周知の技術及び装置を利用することが可能であり、ここでは詳細な説明は省略する。
図2は、鋳型本体4を側面(図1の状態を正面とする)から見た場合における、キャビティ5内等の形状を模式的に現した説明図である。本例の鋳型本体4は、図1及び図2に示すように、その内部に、製品部を形作るキャビティ5と、溶湯の注入口となる湯口13と、湯口13に注がれた溶湯をキャビティ5へ注入するランナー11とを有している。キャビティ5の上部には押し湯部14が開口されており、下部にはランナー11が連接されている。ランナー11は、キャビティ5の下部側から、鋳型本体4の上部に開口した湯口13に向かって導通している。従って、湯口13から注入された溶湯は、ランナー11内を通過して下方側からキャビティ5に注入され、押し湯部14に向って押し上げられるように注入される。ここで、「鋳型本体4」が、本発明の「押上タイプ鋳型」に相当する。
キャビティ5内には、崩壊性中子6と、局部振動鋳型7の一部とが配設されている。崩壊性中子6は、本例では耐火性の砂を固めて作成した所謂「シェル芯中子」を適用しており、後述する鋳物取り出し工程で崩壊して鋳物製品9aから分離する中子部材である。局部振動鋳型7は、鋳物取り出し工程で、崩壊させることなく上方にスライドさせて鋳物製品9aから分離する非崩壊性の中子であり、振動子15が取設されている。振動子15は、キャビティ5内の溶湯に機械的振動を与えるものであり、局部振動鋳型7を振動させ、その振動を通じてキャビティ5内の溶湯に機械的振動を与える。振動子15は、鋼製のボール(図示しない)を圧縮空気のエアー圧を利用して円形空間内を高速で遠心運動させ、該運動に伴って発生する遠心力を利用して機械的振動を得ることができるもの(所謂「ボールバイブレータ」)を利用している。振動子15は、供給するエアーの強さ(供給量、供給圧)を変化させることにより、鋳型本体4に供与する振動の大きさまたは振動数を任意に変更することができる。実験内容や条件については、詳細は後述する。ここで、「振動子15」が、本発明の「キャビティ振動供与手段」に相当する。
バケット8は、キャビティ5に充填される溶湯17を貯留する容器であり、バケット緩衝手段10を介して鋳型本体4に接続されている。また、バケット8には、その裏面側に、バケット8の溶湯17に機械的振動を与えるバケット振動手段16が取設されている。バケット振動手段16の構成は、本例では振動子15と同様にボールバイブレータを利用しているが、この構成に限定されるものではなく、公知の機械的(または電磁的)振動発生手段が適宜に利用できる。なお、バケット8を介し溶湯17をキャビティ5に充填するための溶湯充填機構(図示しない)は既に周知のものであるため、ここでは詳細な説明は省略する。
バケット緩衝手段10は、バケット振動手段16によるバケット8の振動を緩衝しながら支持するものであり、本例では合成樹脂(ゴム)板で構成している。本例の鋳型本体4は非振動なので、仮に鋳型本体4とバケット8とを直接的に接続すると、バケット8はその動きが制限されて十分に振動を供与できない場合が懸念される。そこで、本例では、鋳型本体4とバケット8との間に合成樹脂板であるバケット緩衝手段10を配設し、バケット緩衝手段10の弾性力に応じてバケット8が揺動できるよう構成されている。これにより、バケット8内の溶湯17は、バケット振動手段16による機械的振動を鋳型本体4に吸収されることなく、十分に振動効果を供与することができる。
ランナー内溶湯振動手段12は、ランナー11内にその一部が配置される振動手段である。また、ランナー内溶湯振動手段12は、図略のスライド手段によって支持されており、その一部がランナー11内に配設された状態(図2に示す状態)とランナー11内から退避した状態とを切り替えられるように(出し入れ自在に)なっている。
次に、本例の鋳造装置1を利用した鋳造法2の具体例を、主に図3のフローチャートに基づいて説明する。始めに、固定側鋳型4aと開閉側鋳型4bとの内側に形成されたキャビティ5の内壁に、塗型剤を塗布する(塗型形成工程S1)。塗型剤とは、一般に、キャビティ5内の溶湯17の湯流れ性等を改善するために用いられるものである。より詳細には、溶湯17の温度がキャビティ5の内壁に奪われ、キャビティ5内の先端部や狭幅部に充填が完了する前に凝固が進んでしまう現象を改善するものである。そのように凝固が所望のタイミングよりも早く進行すると、正しい形状の鋳物製品9aが作成できないという問題や、溶湯17内に巻き込まれた空気等のガスが外に押し出されることなく鋳物製品9aの内部に残り、欠陥の原因となる問題が発生する。そこで、塗型剤を塗布し、キャビティ5の内壁と溶湯17との間に膜(断熱層)を形成する。そうすることで、注入時に溶湯17の熱がキャビティ5に奪われる問題を軽減(若しくは回避)できる。
ところで、従来は所謂「永久塗型」と言われる手法が用いられており、一度塗型剤を塗布すると、その後何十回もの凝固冷却工程を繰り返し、その間再塗布されることはなかった。これに対し、本例では、「塗型形成工程S1」が具備されており、押し上げ注入工程である溶湯注入工程S5(後述する)が行われる度に塗型剤を再塗布する。これにより、後述する前振動工程S4や後振動工程S7で溶湯17に振動が加えられても、その振動によって塗型剤がキャビティ5の内壁から剥離するという問題が回避できる。従って、鋳物製品9aの不良品率や品質を向上させることができる。なお、本例では一例として1ショット毎に塗型剤を再塗布する手法であるが、10ショット以下毎に再塗布するものであれば、本発明の作用効果を奏する。なお、本例では押し上げ注入工程である溶湯注入工程S5を例示しているが、本発明はこの手法に限定されず、上注ぎタイプ鋳型(鋳型本体40)を用いる上注ぎ注入方法を用いても良いし、これ以外の注入方法を用いても当然構わない。
次に、型開閉機構31を利用して、二つに分離可能に形成された固定側鋳型4aと開閉側鋳型4bとの型面同士を密着させ、鋳造する鋳物製品9aの形状を構成するキャビティ5を鋳型本体4の内部に形成する(型締工程S2)。なお、型締された鋳型本体4は予め300℃に加熱されている。
次に、バケット振動手段16を作動させ(「振動の開始S3」)、図略の溶湯充填機構を利用してバケット8から湯口13への溶湯17(図2参照。以下同じ)の注入を開始する。溶湯17を湯口13に注入すると、注入された溶湯17はランナー11を通り、下方側から押し湯部14に向って押し上がるようにキャビティ5内に注入される。その際、バケット8内の溶湯17は、バケット振動手段16によって機械的振動を与えられ、そのまま振動を供与しながらランナー11内及びキャビティ5内へと注入される。また、ランナー11内を通過する溶湯17は、ランナー内溶湯振動手段12によってさらに機械的振動が与えられる(前振動工程S4、及び溶湯注入工程S5)。バケット振動手段16による振動は、キャビティ5内に溶湯17が充填するまで継続する(溶湯充填工程S6)。ここで、本例で注入される溶湯17は高温で溶解されたアルミニウム合金であり、液相で支配されている(固相率=0%に相当)。さらに、係る溶湯は、振動による金属組織の微細化を確認するために、通常は結晶粒微細化剤として添加されるチタン、ボロン、ジルコニウム等を添加しないものが使用されている。
次に、後振動工程S7では、溶湯17の固相率が50%を超えるまで、溶湯17への振動の供与を継続させる。そして、凝固冷却工程S9において、キャビティ5内の溶湯17は、液相から固相への相転移(凝固)が開始され、係る液相から固相への相転移が完全に完了することによって鋳物製品9aとして鋳造される。後振動工程S7では、溶湯17への機械的振動の供与は、ランナー11内に挿入されたランナー内溶湯振動手段12、及び振動子15が具備された局部振動鋳型7によって行われる。ここで、鋳型本体4は振動せず(非振動部)、かつ、鋳型本体4内に配置された崩壊性中子6も振動しない。固相率が50%を超えた段階で、ランナー内溶湯振動手段12及び局部振動鋳型7の振動を停止する(「振動の停止S8」)。なお、固相率50%の判断は、原則としてアルミニウム合金の状態図あるいは粘性測定結果に基づき、また、溶湯17の充填完了から計測された経過時間及び鋳型本体4に取設された温度センサ等によって総合的に判断するものであっても構わない。
なお、振動の供与を停止した後も溶湯17を液相から固相へと相転移させる凝固冷却工程S9は継続して行われる。液相から固相への変化とともに高温の溶湯17は徐々に熱を喪失し、温度が変化する。その後、固相率が100%に達し、液相から固相への相転移が完全に終端し、鋳造が完了すると、キャビティ5から鋳造後の鋳物製品9aを取り出すために固定側鋳型4a及び開閉側鋳型4bとを互いに離間させるように(矢印Y参照:図1)型開きをする(鋳物取り出し工程S10)。これにより、鋳物製品9aが完成する。
以上、説明したように、本例の鋳造装置1、及び鋳造装置1を利用した鋳造法2によれば、前振動工程S4が行われるから、溶湯17がキャビティ5やランナー11の内壁から積極的に遊離して凝固の結晶核として働く。これにより、例えば柱状晶のような欠陥要因となり得る結晶の成長を阻害することができる。又、振動により欠陥も減少でき鋳物製品9aの機械的性質の向上及びそのバラツキが少なくなるという作用効果を奏する。さらに、後振動工程S7が行われるから、凝固の結晶核が等軸晶へと成長するまで振動が有効に継続され、マクロ組織の微細化を一層図ることができる。これにより、鋳物製品9aの機械的強度をより向上させ、不良品率を低減することが可能となる。
次に、本例の鋳造法40を用いて、鋳物製品9bの品質について測定した結果を示す。図4及び図5では、図1に示す鋳型本体4を用いて実験を行った。図6及び図7に示す実験では、図9に示す鋳型本体40を用いて実験を行った。鋳型本体40は、固定側鋳型40aと開閉側鋳型40bとが支持台30及び型開閉機構31によって支持されており、溶湯17は、キャビティ5の上側の湯口18から注入される。なお、、図9では、説明を簡単にするために、局部振動鋳型7やバケット8、ランナー内溶湯振動手段12等の図示を省略している。図8は、図1に示す押上タイプ鋳型と、図9に示す上注ぎタイプ鋳型との比重値をグラフ化している。
図4は、振動条件V1乃至V3と、3つのテストピース(鋳物製品9b)の機械的強度との関係を示したグラフである。(a)は振動条件と引張り強さとの関係を示しており、(b)は振動条件と伸び率との関係を示している。ここで、振動条件V1乃至V3は、下記のように設定されている。
すなわち、
V1:振動なし(◆)(a1〜a3)
V2:振動有り・エアー圧=2.0kg/cm(□)(b1〜b3)
V3:振動有り・エアー圧=4.7kg/cm(▲)(c1〜c3)
である。振動は、溶湯注入工程S5から開始し、凝固冷却工程S9において溶湯17の固相率が50%に到達(後振動工程S7)した時点で停止している。
なお、上記振動条件は、溶湯17に与えられた振動(例えばランナー内溶湯振動手段12、振動子15、及びバケット振動手段16等)を合算したものである。本実験においては、溶湯17に与える機械的振動は全て公知のボールバイブレータを使用しており、供給するエアー圧によって振動の強弱がコントロールされている。
本実験により、振動の有無及びエアー圧の強弱をそれぞれ変化させることによって、テストピース(鋳物製品9bより採取)の機械的強度にどのような違いの影響があるかを確認した。
図4に示すように、溶湯17に機械的振動を与えると(振動条件V2,V3)、振動を与えない場合(振動条件V1)に比べて、全体的に機械的性質が安定することが確認された。例えば、図4(a)の引っ張り強度の測定結果では、振動条件V1においては、最高でも約160[N/mm]程度(a1参照)であるのに比べ、振動条件V2では約185[N/mm]程度(b1参照)であり、振動条件V3では約180[N/mm]程度(c1参照)となっている。同様にして、図4(b)の伸び率の測定結果でも、振動条件V1に比べ、振動条件V2,V3では伸び率が向上していることが判明した。このことより、振動を与えることによって機械的性質が向上しそのバラツキが少なくなると推察される。
さらに、図4の結果から、溶湯17に機械的振動を与えることによって、鋳物製品9bの品質を安定させる効果も発見された。具体的には、振動条件V1では、3つの鋳物製品9b(a1〜a3)のばらつき範囲が約40[N/mm]程度あるのに比べ、振動条件V2、V3(V2:b1〜b3、V3:c1〜c3)では約10[N/mm]となっている。つまり、複数の鋳物製品9b間のばらつきが小さくなっており、信頼性が増し不良品率を低減可能であることが示唆されている。
なお、振動条件V3よりも振動条件V2の方が若干高い機械的強度を示している。なお、エアー圧による振動強さ及びそれに伴う振動数は、鋳造する鋳物製品9bの形状及びその他の鋳造条件に大きく依存するものであるから、本条件のみでは最適な振動条件を限定することは困難であり、振動をかけると性能が向上し、その向上程度に比べると今回のエアー圧差による影響は小さい。
図5は、振動条件と欠陥(巣)との関係を示すCT写真である。図5(a)は、振動条件V1(振動なし)のCT写真であり、図5(b)は振動条件V3(振動有り・エアー圧=4.7kg/cm)のCT写真である。それぞれの振動条件毎に3つのテストピース(V1:I〜III、V3:IV〜VI)を採取し、各測定部位A,B,Cの値にどのような違いが観察されるかを確認した。ここで、測定部位Aは、テストピースの上端部、測定部位Bはテストピースの中央部、測定部位Cはテストピースの下端部に相当する箇所である(図9参照)。
図5(a)及び(b)を比較すると、振動条件V1に比べ、振動条件V3のほうが欠陥の数が少ないことが観察された。つまり、前振動工程S4及び後振動工程S7を有している鋳物製品9bの方が、振動を加えられない鋳物製品よりも欠陥が少ないと推察される。また、図5(a)の欠陥K1に比べ、図5(b)の欠陥K2はサイズが小さくなる傾向が観察された。つまり、振動を加えたほうが、欠陥の大きさが小さくなると推察される。さらに、図5(a)の欠陥K3に比べ、図5(b)の欠陥K2は鋳物製品9bの中心部分に寄る傾向があることが観察された。つまり、振動を加えたほうが、加工面の凹凸の原因となる鋳巣欠陥を低減できるものと推察される。
図6は、振動条件と比重値との関係を示すグラフである。ここで、振動条件V1、V4、及びV5は下記のように設定されている。
すなわち、
V1:振動なし(◆)
V4:後振動工程S7のみ・エアー圧=5.0kg/cm(■)
V5:前振動工程S4及び後振動工程S7あり・エアー圧=5.0kg/cm(△)
である。
なお、上記振動条件は、図4の場合と同様に、溶湯17に与えられた振動を合算したものである。各測定部位については、図5の場合と同様に、テストピースの上端部(測定部位A)、テストピースの中央部(測定部位B)、テストピースの下端部(測定部位C)となっている。
本実験により、前振動工程S4の存在によって鋳物製品9bの比重値にどのような違いが現れるかを確認した。
図6に示すように、振動条件V1に比べて、振動条件V4,V5の方が全ての測定部位について高い比重値であることが観察された。また、振動条件V4と振動条件V5とを比較すると、振動条件V5の方が全ての測定部位について高い比重値であり、また、比重値のばらつきの範囲も小さいことが観察された(例えば、V4では約0.01のばらつきが有るのに対し、V5では0.005程度となっている)。これにより、後振動工程S7だけではなく、さらに前振動工程S4が具備されていることにより、一層高い品質の鋳物製品9bを得られるものと推察できる。
図7は、振動条件とマクロ組織サイズとの関係を示すグラフである。振動条件は、図6の場合と同様に、
V1:振動なし(▲)
V4:後振動工程S7のみ・エアー圧=5.0kg/cm(■)
V5:前振動工程S4及び後振動工程S7あり・エアー圧=5.0kg/cm(◇)
である。また、測定部位(測定部位A、測定部位B、測定部位C)についても図6の場合と同様である。
本実験により、前振動工程S4の存在によって鋳物製品9bのマクロ組織サイズにどのような違いが現れるかを確認した。
図7に示すように、振動条件V1に比べて、振動条件V4,V5の方が全ての測定部位についてマクロ組織サイズの小径化が観察された。また、振動条件V4と振動条件V5とを比較すると、振動条件V5の方が全ての測定部位について小さなマクロ組織サイズを示しており、また、マクロ組織サイズのばらつきの範囲も小さいことが観察された(例えば、V4では80[μm]のばらつきが有るのに対し、V5では60[μm]程度となっている)。これにより、後振動工程S7だけではなく、さらに前振動工程S4が具備されていることにより、一層高い品質の鋳物製品9bを得られるものと推察できる。
図8は、上注ぎタイプ鋳型と押上タイプ鋳型との比重値の比較を示している。具体的には、上注ぎタイプ鋳型によって作成された鋳物製品9bの比重値X1(●:図9参照)と、押上タイプ鋳型によって作成された鋳物製品9aの比重値X2(○:図1,2参照)とを各測定部位について測定し、グラフに現したものである。測定部位については、図6,7の場合と同様である。振動条件については、前振動工程S4及び後振動工程S7においてエアー圧=5.0kg/cmの条件で振動を加えている。
図8に示すように、上注ぎタイプ鋳型(●)を用いた鋳物製品9bよりも、押上タイプ鋳型(○)を用いた鋳物製品9aの方が、全ての測定部位において高い(または同等の)比重値を示している。また、鋳物製品9aの方が、鋳物製品9bよりも、測定部位ごとの比重値のばらつきが小さい(例えば、鋳物製品9aでは0.001程度の範囲であるのに対し、鋳物製品9bでは0.005程度のばらつきが生じている)ことが観察された。従って、押上タイプ鋳型を用いた方が、上注ぎタイプ鋳型を用いるよりも高くて安定した品質の鋳物製品9bを実現できるものと推察される。
以上、説明したように、本例の鋳造装置1、及び鋳造装置1を利用した鋳造法2によれば、前振動工程S4及び後振動工程S7が行われるから、柱状晶のような欠陥要因となり得る結晶の成長を阻害し、鋳物製品9aの機械的強度を向上させることができる。また、後振動工程S7が行われるから、凝固の結晶核が等軸晶へと成長するまで振動が有効に継続され、マクロ組織の微細化を一層図ることができる。これにより、鋳物製品9aの機械的強度をより向上させ、不良品率を低減することが可能となる。
また、本例の鋳造装置1、及び鋳造装置1を利用した鋳造法2によれば、ランナー内溶湯振動手段12や振動子15、またはバケット振動手段16などを用いて溶湯17に直接振動を与えるから、非振動部を備える鋳型本体4を適用することが可能となる。つまり、鋳型本体4や鋳造装置1全体を振動させる必要がないから、これらの装置に負荷をかけることなくマクロ組織の微細化を図ることが可能となる。また、非振動部を備える鋳型本体4を適用できることから、崩壊性中子6に余剰な振動や負荷をかけることなく溶湯17のみを振動させることが可能となる。これにより、崩壊性中子6の一部が溶湯17中に混入して欠陥となる心配が無くなるので、鋳物製品9aの不良品率を低減できる。
また、本例の鋳造法2によれば、振動子15の取設された局部振動鋳型7が振動する構成なので、鋳物製品9aの局部(局部振動鋳型7との当接部)の溶湯17のみを振動させることも可能となる。これにより、特に性能が重視される局部の溶湯17のみを振動させ、鋳物製品9a性能を選択的に(局部的に)向上させることができる。
また、本例の鋳造装置1によれば、押上タイプ鋳型である鋳型本体4が適用されているから、上注ぎタイプ鋳型である鋳型本体40aを用いる場合に比べて、より比重値が高くばらつきの少ない鋳物製品9aを得ることができる。さらに、本例の鋳造装置1によれば、バケット緩衝手段16が具備されているから、非振動部を備える鋳型本体4を適用してもバケット8を振動させることができる。これにより、バケット8内の溶湯17に効率的に機械的振動を供与することができる。
また、本例の鋳造法2によれば、塗型形成工程S1が行われるから、前振動工程S4や後振動工程S7が行われても湯流れ性の劣化が起きにくい。また、鋳型本体4が非振動部であることにより、さらに塗型剤が剥脱しにくい手法なので、製造ラインでの不良品率の劣化を防止することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態の鋳造装置1及び鋳造法2において示した鋳物製品9a及び各鋳造条件等に本発明は限定されるものではない。特に、振動を与えるエアー圧による振動強さ及び鋳型本体4の振動数及び振動波形は、鋳造する鋳物製品9aの形状によって大きく変化するものであり、個々に設定する必要がある。加えて、本実施形態において、振動を供与する振動手段としてボールバイブレータからなるバケット振動手段16等を例示したが、これに限定されるものではなく、電磁的或いは機械的な手法によって鋳型本体4に振動を与えることが可能な従来から周知の振動手段を用いるものであっても構わない。しかしながら、係る鋳造は高温で溶解した溶湯17を用いる高温下で行われるものであり、耐熱性及び耐久性等が求められる。そのため、電子機器等の比較的熱に弱い部品から構成されるものよりも、本実施形態で示し、粉体輸送などに利用される実績のあるボールバイブレータを用いるものが高い安定性を有しているものと思われる。
また、本実施形態では、ランナー内溶湯振動手段12、振動子15、及びバケット振動手段16を全て振動させる手法を示したが、本発明はこの手法に限定されるものではない。上記の振動手段のいずれか一つを用いるものであっても良いし、いずれかを組み合わせて振動させるものでも良く、また、上記以外の振動手段を用いても良い。要するに、鋳型本体4ではなく溶湯17を直接的に振動させることができる手法及び構成であれば良い。
本例の鋳造装置の構成の一例を模式的に示す説明図である。 主にキャビティの形状を模式的に示す説明図である。 本例の鋳造法の各工程の流れを示すフローチャートである。 (a)は、振動条件と引っ張り強度との関係を示すグラフであり、(b)は振動条件と伸び率との関係を示すグラフである。 振動条件と欠陥との関係を示すCT写真である。 振動条件と比重値との関係を示すグラフである。 振動条件とマクロ組織のサイズとの関係を示すグラフである。 上注ぎタイプ鋳型と押上タイプ鋳型との比較を示すグラフである。 上注ぎタイプ鋳型を用いた鋳造装置を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 鋳造装置(振動凝固鋳造装置)
2 鋳造法(振動凝固鋳造法)
4 鋳型本体
5 キャビティ
6 崩壊性中子
7 局部振動鋳型
8 バケット(鋳型バケット)
9a 鋳物製品
10 バケット緩衝手段
11 ランナー
12 ランナー内溶湯振動手段
13 湯口
14 押し湯部
15 振動子(キャビティ振動供与手段)
16 バケット振動手段
17 溶湯
S1 塗型形成工程
S4 前振動工程
S7 後振動工程
S9 凝固冷却工程
S10 鋳物取り出し工程

Claims (5)

  1. 非振動部を備える鋳型本体のキャビティへ注入される前の溶湯に機械的振動を与える前振動工程と、
    前記キャビティに充填された前記溶湯を冷却し、凝固させることによって鋳物製品を鋳造する凝固冷却工程と、
    前記キャビティ内の非振動部を備える崩壊性中子に機械的振動を与えることなく、前記凝固冷却工程によって前記溶湯の凝固が進行する過程で、前記鋳型本体内の前記溶湯に機械的振動を与える後振動工程と、
    前記崩壊性中子を崩壊させ、前記鋳型本体と前記鋳物製品とを分離する鋳物取り出し工程と
    を具備し、
    前記後振動工程は、
    前記鋳物製品の局部を構成する前記溶湯にのみ機械的振動を与える局部後振動工程をさらに具備することで鋳物製品の機械的物性値の向上及びそのバラツキが少なくなることを特徴とする振動凝固鋳造法。
  2. 前記鋳型本体は、前記キャビティの上部に押し湯部が開口され、前記キャビティの下部にランナーが設けられている押上タイプ鋳型であり、
    前記溶湯注入工程は、前記ランナーの上部に開口した湯口から前記溶湯を注入し、下方から前記押し湯部に向って前記溶湯を押し上げるように注入する押し上げ注入工程を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の振動凝固鋳造法。
  3. 前記溶湯注入工程の前に、塗型材を前記キャビティの内壁に1ショット以上10ショット以下毎に塗布する塗型形成工程をさらに具備する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動凝固鋳造法。
  4. 請求項1乃至請求項3の少なくともいずれか一つに記載の振動凝固鋳造法に用いられる振動凝固鋳造装置であって、
    高温で溶解された溶湯の注ぎ口となる湯口、キャビティ、及びランナー、を内部に有する非振動部を備える鋳型本体と、
    前記鋳型本体を支持する鋳型支持部と、
    前記湯口に注がれる前記溶湯を貯留するバケットと、
    前記バケットに機械的振動を与えるバケット振動手段と、
    前記湯口と前記バケットとの間に配設され、前記バケット振動手段による前記バケットの振動を弾性体によって緩衝し前記バケットを前記鋳型本体に対して揺動可能にするバケット緩衝手段と、
    前記キャビティに充填された前記溶湯を凝固させて鋳物製品を鋳造する間、前記鋳型本体内の前記溶湯に機械的振動を与える溶湯振動手段と
    を具備することを特徴とする振動凝固鋳造装置。
  5. 請求項1乃至請求項3の少なくともいずれか一つに記載の振動凝固鋳造法に用いられる振動凝固鋳造装置であって、
    高温で溶解された溶湯の注ぎ口となる湯口、キャビティ、及びランナー、を内部に有する非振動部を備える鋳型本体と、
    前記鋳型本体を支持する鋳型支持部と、
    前記キャビティに注入される前記溶湯を貯留するバケットと、
    少なくとも一部が前記キャビティ内に配設され、前記キャビティ内の前記溶湯を局所的に振動させ、前記鋳物製品から分離可能な局部振動鋳型と、
    前記キャビティ内の前記溶湯に機械的振動を与え、前記局部振動鋳型に取設されるキャビティ振動供与手段と
    を具備することを特徴とする振動凝固鋳造装置。
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