JP5110278B2 - 感放射線性樹脂組成物、液晶表示素子のスペーサーおよび保護膜ならびにそれらの形成方法 - Google Patents
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Description
しかしながら従来知られている感放射線性樹脂組成物を用いて照射時間が短縮された、低露光量の放射線照射工程によりスペーサーまたは保護膜を形成すると、得られるパターン状薄膜の強度が不足し、あるいはパターン寸法が所望の値よりも小さくなって所望のパターン寸法が得られず、パネル不良の原因となる問題がある。
近年、感放射線性樹脂組成物に含有されるバインダー樹脂に重合性不飽和結合を導入することにより放射線に対する反応性を向上し、これにより上記の問題を解決しようとする試みがなされている(特許文献2〜6参照。)。しかしながら、これらの技術によると、後に行われる液晶配向膜形成時の焼成工程において、形成されたスペーサーまたは保護膜の膜減り、収縮、着色等の膜性能自体に関する問題および焼成の際に昇華物が発生して液晶表示素子を汚染する等の工程管理上の問題等の新たな問題が発生する場合があった。特に、最近のプロセス時間短縮の要請から、液晶配向膜形成の際などにより高い焼成温度(例えば240℃以上)が採用される場合があるため上記の問題がより顕著に具現化し、特許文献2〜6の技術は近年における工業的な利用に適するものではない。
さらに、従来知られている感放射線性樹脂組成物を用いた液晶表示素子のスペーサーや保護膜の形成において、加熱工程の際に昇華物が発生する問題があり、工程ラインおよび液晶表示素子の汚染が懸念されている。
さらに加えて、スペーサーや保護膜は液晶表示素子内に残存する「永久膜」であるため、これらから不純物が素子内に溶出しないことが要求される。しかしながら、従来知られている感放射線性樹脂組成物から形成された保護膜、スペーサーを具備する液晶表示素子は、溶出した不純物に起因すると推定される「焼き付き」が生ずることがあり、問題となっている。
しかしながら、上記要求のすべてを満足する感放射線性樹脂組成物は、従来知られていない。
本発明の別の目的は、上記の感放射線性樹脂組成物を用いた液晶表示素子のスペーサーまたは保護膜の形成方法を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、上記の感放射線性樹脂組成物から形成された液晶表示素子のスペーサーまたは保護膜を提供することにあり、さらに長期信頼性に優れる液晶表示素子を提供することにある。
(A)分子内にカルボキシル基および酸無水物基よりなる群から選択される少なくとも1種の基ならびに重合性不飽和結合を有する重合体、
(B)重合性不飽和結合を有する単量体、
(C)感放射線性重合開始剤、
(D)下記式(1)
で表される構造を有する化合物、ならびに
(E)一分子中に2個以上のオキシラニル基を有する化合物を含有する感放射線性樹脂組成物によって達成される。
本発明の上記目的は、第二に、
少なくとも下記(1)〜(4)の工程を、下記に記載の順で含むことを特徴とする、液晶表示素子のスペーサーまたは保護膜の形成方法によって達成される。
(1)上記の感放射線性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程。
(2)該被膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程。
(3)放射線照射後の被膜を現像する工程。
(4)現像後の被膜を加熱する工程。
本発明の上記目的は、第三に上記方法により形成された液晶表示素子のスペーサーまたは保護膜によって達成され、第四に上記スペーサーまたは保護膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
本発明の感放射線性樹脂組成物から形成された本発明のスペーサーまたは保護膜は、寸法精度、強度、耐熱性などの諸性能に優れ、液晶表示素子に好適に使用することができる。また、液晶配向膜形成時の例えば240℃以上における高温焼成に耐える耐熱性を有するから、液晶配向膜形成の工程時間短縮の要請に応えることができ、さらに液晶配向膜剥離液に対する耐久性(耐薬品性)にも優れるから基板再生工程における製品歩留まりを向上することができる。さらに本発明のスペーサーは、液晶配向膜のラビング工程においてパターンが剥離することがない。
上記のスペーサーまたは保護膜を具備する本発明の液晶表示素子は、「焼き付き」の発生が抑制されたものであり、長期信頼性に優れる。
以下、本発明の感放射線性樹脂組成物の各成分について詳述する。
(A)重合体
本発明の韓放射線性樹脂組成物に含有される(A)重合体は、分子内にカルボキシル基および酸無水物基よりなる群から選択される少なくとも1種の基ならびに重合性不飽和結合を有する重合体である。(A)重合体の有する不飽和結合は、好ましくは(A)重合体の側鎖に存在する。
(A)共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは2,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。この場合、Mwが2,000未満であると、得られる被膜の現像性、残膜率などが不足したり、耐熱性などが損なわれるおそれがあり、一方Mwが100,000を超えると、現像性、解像度などが不十分となる場合がある。
(A−1)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種ならびに(a2)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物およびオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する単量体混合物を重合してなる共重合体と(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種との反応生成物(以下、「重合体(A−1)」という。)、
(A−2)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種ならびに(a3)水酸基を有する重合性不飽和化合物を含有する単量体混合物を重合してなる共重合体と(a4)不飽和イソシアネート化合物との反応生成物(以下、「重合体(A−2)」という。)、ならびに
(A−3)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する単量体混合物を重合してなる共重合体と(a2)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物およびオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種との反応生成物(以下、「重合体(A−3)」という。)
よりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
重合体(A−1)は、好ましくは化合物(a1)と、化合物(a2)と、化合物(a3)および化合物(a5)よりなる群から選択される少なくとも1種との共重合体(以下、「前駆共重合体(1)」という。)と、化合物(a1)との反応生成物である。前駆共重合体(1)は、好ましくは化合物(a1)、化合物(a2)および化合物(a5)の共重合体である。
重合体(A−2)は、好ましくは化合物(a1)、化合物(a3)および化合物(a5)の共重合体(以下、「前駆共重合体(2)」という。)と、化合物(a4)との反応生成物である。
重合体(A−3)は、好ましくは化合物(a1)と、化合物(a3)および化合物(a5)よりなる群から選択される少なくとも1種との共重合体(以下、「前駆共重合体(3)」という。)と、化合物(a2)との反応生成物である。前駆共重合体(3)は、好ましくは化合物(a1)および化合物(a5)の共重合体である。
前駆共重合体(1)、前駆共重合体(2)または前駆共重合体(3)を、それぞれ合物(a1)、化合物(a4)または化合物(a2)を反応させることにより、各重合体の側鎖に重合性不飽和結合が導入される。
上記不飽和モノカルボン酸化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート(東亞合成(株)から商品名「アロニックスM−5300」として市販されている。)など;
上記不飽和ジカルボン酸化合物としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸など;
上記不飽和ジカルボン酸化合物の無水物としては、例えば上記不飽和ジカルボン酸化合物として例示した化合物の無水物など;
上記多環式の不飽和カルボン酸化合物としては、例えば5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなど;
上記多環式の不飽和ジカルボン酸化合物としては、例えば5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなど;
上記多環式の不飽和ジカルボン酸化合物の無水物としては、例えば上記多環式の不飽和ジカルボン酸化合物として例示した化合物の無水物などを、それぞれ挙げることができる。
なお、前駆共重合体の合成に使用する化合物(a1)がカルボキシル基を有するものである場合には、カルボキシル基を保護したうえで重合に供し、次いで脱保護することによりカルボキシル基を再生してもよい。ここで、カルボキシル基を保護する保護基としては、特に限定されずカルボキシル基の保護基として公知のものが使用できる。例えばトリアルキルシリル基、1−アルコキシアルキル基、環状1−アルコキシアルキル基などがあげられる。さらに具体的には、例えばトリメチルシリル基、ジメチルブチルシリル基、1−エトキシエチル基、1−プロポキシエチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、トリフェニルメチル基などを挙げることができる。
一方、化合物(a1)を、前駆共重合体(1)と反応させて重合体(A−1)を合成するために用いる場合には、反応性、入手容易性等の観点から不飽和カルボン酸が好ましく、特にアクリル酸またはメタアクリル酸が好ましい。
化合物(a1)は単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
上記化合物(a2)のうち、オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物としては、例えばオキシラニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、オキシラニル基を有するα−アルキルアクリル酸エステル化合物、グリシジルエーテル化合物などを挙げることができる。
これらの具体例としては、オキシラニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物として、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなど;
オキシラニル基を有するα−アルキルアクリル酸エステル化合物として、例えばα−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチルなど;
グリシジルエーテル化合物として、例えばo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどを、それぞれ挙げることができる。
化合物(a2)は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
化合物(a3)としては、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシ−2,2−ジメチルブタノイルオキシ)アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシカルボニルオキシ)アルキルエステル、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸とポリエステルブロックを有する(ポリ)アルキレングリコールとのエステル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)クリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸ジヒドロキシアルキルエステルとして例えば1,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等;
(メタ)アクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステルとして例えば2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、5−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ペンチル(メタ)アクリレート、6−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)へキシル(メタ)アクリレートなど;
(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシ−2,2−ジメチルブタノイルオキシ)アルキルエステルとして例えば2−(4−ヒドロキシ−2,2−ジメチルブタノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ヒドロキシ−2,2−ジメチルブタノイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(4−ヒドロキシ−2,2−ジメチルブタノイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなど;
(メタ)アクリル酸(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシカルボニルオキシ)アルキルエステルとして例えば2−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−エチル(メタ)アクリレート、3−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−プロピル(メタ)アクリレート、4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−ブチル(メタ)アクリレート、5−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−ペンチル(メタ)アクリレート、6−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−ヘキシル(メタ)アクリレートなど;
(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルとして例えば下記式(a3−1)〜(a3〜5)
で表される化合物など;
(メタ)アクリル酸とポリエステルブロックを有する(ポリ)アルキレングリコールとのエステルとして例えば下記式(a3−6)〜(a3〜10)
で表される化合物などを、それぞれ挙げることができる。また、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)クリレートは、下記式(a3−11)
で表される化合物である。
これらのうち上記前駆共重合体(1)〜(3)の合成に供される化合物(a3)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシカルボニルオキシ)−エチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシメチル−アダマンタン−1−イルメチル(メタ)アクリレートまたは2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
化合物(a3)は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
で表される化合物を挙げることができる。
これらのうち前駆共重合体(2)と反応させて重合体(A−2)を合成するために用いられる化合物(a4)としては、反応性の点から、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは4−メタクリロイルオキシブチルイソシアネートが好ましい。
化合物(a4)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
化合物(a5)は、上記化合物(a1)〜(a4)以外の重合性不飽和化合物であり、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸の脂環族エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸のジエステル、ポリエーテルの(メタ)メタクリレート化合物、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、N位−置換マレイミド、極性基を有する(メタ)アクリル酸エステル、カルボン酸のビニルエステル、ハロゲン化ビニル化合物などを挙げることができる。
これらの具体例として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなど;
(メタ)アクリル酸の脂環族エステルとして例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(以下、「トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル」を「ジシクロペンタニル」ともいう。)、2−ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなど;
(メタ)アクリル酸アリールエステルとして例えばフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなど;
不飽和ジカルボン酸のジエステルとして、例えばマレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなど;
ポリエーテルの(メタ)アクリレート化合物として、例えばポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど;
共役ジエンとして例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなど;
N位−置換マレイミドとして例えばN−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミドなど;
極性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして例えば(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなど;
カルボン酸のビニルエステルとして例えば酢酸ビニルなど;
ハロゲン化ビニル化合物として例えば塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを、それぞれ挙げることができる。
好ましい前駆重合体(1)〜(3)の合成に用いられる化合物(a5)のうち、特にベンジルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、スチレン、1,3−ブタジエンまたはテトラヒドロフルフリルメタクリレートが、共重合反応性の点から好ましい。
化合物(a5)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
好ましい前駆共重合体(2)は、化合物(a1)、化合物(a3)および化合物(a5)の共重合体であるが、前駆共重合体(2)における化合物(a1)の共重合割合は、化合物(a1)、(a3)および(a5)の合計に基づいて、5〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。前駆共重合体(2)における化合物(a3)の共重合割合は、化合物(a1)、(a3)および(a5)の合計に基づいて、5〜60重量%であることが好ましく、10〜50重量であることがより好ましい。前駆共重合体(2)における化合物(a5)の共重合割合は、化合物(a1)、(a3)および(a5)の合計に基づいて、20〜80重量%であることが好ましく、25〜70重量%であることがより好ましい。
なお、前駆共重合体(3)は、重合体(A−3)を合成するにあたってカルボキシル基または酸無水物基の一部が化合物(a2)との反応に使用される。従って前駆共重合体(3)における化合物(a1)の共重合割合は、化合物(a2)との反応に使用される分を考慮のうえで設定されることが好ましい。
前駆共重合体(1)〜(3)を合成するにあたって化合物(a1)〜(a5)の使用割合を上記の範囲に設定することにより、前駆重合体(1)〜(3)から重合体(A−1)〜(A−3)を合成する際に、反応系がゲル化することなく所望の転化率で合成することが可能となり、また得られる重合体(A−1)〜(A−3)を含有する感放射線性樹脂組成物の感度および現像性が良好となり好ましい。
前駆共重合体(1)〜(3)の合成に使用される溶媒としては、特に限定されるものでないが、例えば例えばジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、3−フェニル−1−プロパノール、3−メトキシブタノールなどのアルコール化合物;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート化合物;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールジエーテル化合物;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン化合物;
ジアセトンアルコール(すなわち、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン)、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサン−2−オンなどのケトアルコール化合物;
乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸アルキルエステル化合物;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチルなどの他のエステル化合物;
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物などを挙げることができる。
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶媒の使用割合としては、溶液中の全不飽和化合物(使用する化合物(a1)〜(a5)の合計)の重量割合が15〜45重量%程度となる量とすることが好ましい。
これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、全不飽和化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部であり、より好ましくは0.1〜15重量部である。
重合温度は好ましくは0〜150℃、より好ましくは50〜120℃であり、重合時間は好ましくは10分〜20時間、より好ましくは1〜7時間である。
化合物(a1)の使用割合は、前駆共重合体(1)の有するオキシラニル基およびオキセタニル基の合計に対して好ましくは0.1〜95モル%であり、より好ましくは10〜80モル%であり、さらに15〜75モル%である。この場合、化合物(a1)の使用割合がの使用量が0.1モル%未満では、得られる感放射線性樹脂組成物の放射線感度ならびに形成されるスペーサーまたは保護膜の耐熱性向上および性特性向上への効果の発現性が小さい場合があり、一方95モル%を超えると、反応溶液中に未反応の化合物(a1)が残存し、得られる感放射線性樹脂組成物の保存安定性によからぬ影響を及ぼす場合がある。
上記触媒としては、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド、トリエチルアミンなどの塩基触媒を使用することができる。触媒の使用割合は、化合物(a1)に対して20モル%以下であることが好ましく、0.1〜15モル%であることがより好ましい。
上記重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェノール、p−ベンゾキノンなどを挙げることができる。重合禁止剤の使用割合は、前駆重合体(1)の100重量部に対して2重量部以下であることが好ましく、0.05〜1重量部であることがより好ましい。
好ましい反応条件は、温度が40〜80℃程度、反応時間が2〜21時間程度である。
さらに、前駆共重合体(3)と化合物(a2)とを反応させて重合体(A−3)を合成するには、前駆共重合体(1)のかわりに前駆共重合体(3)を、また化合物(a1)の代わりに化合物(a2)をそれぞれ用い、化合物(a2)の使用割合を下記の通りとするほかは、上記重合体(A−1)の合成に準じて行うことができる。
重合体(A−3)を合成する際の化合物(a2)の使用割合は、前駆共重合体(3)に含まれるカルボキシル基または酸無水物基のうち、化合物(a2)との反応に使用されないカルボキシル基または酸無水物基(未反応基)が、得られる重合体(A−3)のアルカリ可溶性が適度となる程度に残存するように設定されることが好ましい。かかる見地から、重合体(A−3)を合成する際の化合物(a2)の使用割合は、反応後の重合体(A−3)における化合物(a1)に由来する構成単位のうち未反応基を有するものの割合が、前駆共重合体(3)を合成する際に使用した化合物(a1)の全量および(a2)の合計に基づいて好ましくは8重量%以上、より好ましくは10重量%以上となるように設定されることが望ましい。
例えば、前駆共重合体(3)を合成する際の化合物(a1)の使用割合を上述の好ましい範囲とした場合の化合物(a2)の使用割合は、前駆共重合体(3)の有するカルボキシル基および酸無水物基の合計に対して好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%である。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)重合体として、上記の如き重合体(A−1)、(A−2)および(A−3)よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。この場合、重合体(A−1)、(A−2)および(A−3)のうちの一種のみを含有してもよく、あるいはこれらのうちの2種以上を含有してもよい。後者の場合、各重合体の含有比率は任意に設定することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される(B)重合性不飽和結合を有する単量体としては、一分子中に重合性不飽和結合を4個以上有する化合物(以下、「重合性不飽和単量体(B1)」という。)または一分子中に重合性不飽和結合を1〜3個有する化合物(以下、「重合性不飽和単量体(B2)」という。)であることが好ましい。
かかる重合性不飽和単量体(B1)としては、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェートなどのほか、直鎖アルキレン基および脂環式構造を有し且つ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有しかつ3〜5個の(メタ)アクリロイロキシ基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物などを挙げることができる。
重合性不飽和単量体(B1)の市販品としては、例えばアロニックスM−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−1310、同M−1600、同M−1960、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050、アロニックスTO−1450、同TO−1382(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同MAX−3510(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業(株)製)や、ウレタンアクリレート系化合物として、ニューフロンティア R−1150(第一工業製薬(株)製)、KAYARAD DPHA−40H、UX−5000(以上、日本化薬(株)製)、UN−9000H(根上工業(株)製)などを挙げることができる。
重合性不飽和単量体(B2)の市販品としては、例えば、アロニックスM−5300、同M−5600、同M−5700、M−210、同M−220、同M−240、同M−270、同M−6200、同M−305、同M−309、同M−310、同M−315(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD HDDA、KAYARAD HX−220、同HX−620、同R−526、同R−167、同R−604、同R−684、同R−551、同R−712、UX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、UX−8101、UX−0937、MU−2100、MU−4001(以上、日本化薬(株)製)、アートレジンUN−9000PEP、同UN−9200A、同UN−7600、同UN−333、同UN−1003、同UN−1255、同UN−6060PTM、同UN−6060P(以上、根上工業(株)製)、同SH−500Bビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業(株)製)などを挙げることができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物における(B)重合性不飽和結合を有する単量体の使用割合は、(A)重合体100重量部に対して好ましくは40〜250重量部であり、より好ましくは60〜180重量部である。
(B)重合性不飽和結合を有する単量体は、重合性不飽和単量体(B1)と(B2)とを、それぞれ少なくとも1種類含有していることが好ましい。この場合、重合性不飽和単量体(B1)および(B2)の合計に占める重合性不飽和単量体(B1)の割合としては、好ましくは40〜99重量%であり、より好ましくは60〜95重量%である。
かかる割合で(B)重合性不飽和結合を有する単量体を含有することにより、本発明の感放射線性樹脂組成物は、低露光量においても所望のパターン寸法を有するパターン状薄膜をより容易に形成しうることとなり、好ましい。
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される(C)感放射線性重合開始剤は、放射線に感応して(B)重合性不飽和結合を有する単量体の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。
このような(C)感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、感放射線性カチオン重合開始剤、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、α−ジケトン化合物、多核キノン化合物、キサントン化合物、ホスフィン化合物、トリアジン化合物などを挙げることができる。
上記O−アシルオキシム化合物の具体例としては、例えば1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1,2−ノナン−2−オキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1,2−ノナン−2−オキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1,2−ペンタン−2−オキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
これらO−アシルオキシム化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
これらの具体例としては、α−アミノケトン化合物として、例えば2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンなど;
α−ヒドロキシケトン化合物として、例えば1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど;
その他のアセトフェノン化合物として、例えば2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどを、それぞれ挙げることができる。
これらアセトフェノン化合物のうちα−アミノケトン化合物が好ましく、特に2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンまたは2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンが好ましい。
これらビイミダゾール化合物のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールまたは2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、特に2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。
かかるアミノ系増感剤としては、例えばN−メチルジエタノールアミン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸i−アミルなどを挙げることができる。これらのアミノ系増感剤のうち、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
上記アミノ系増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
かかるチオール化合物としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾールなどの芳香族チオール化合物;3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチルなどの脂肪族モノチオール化合物;3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリストールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリストールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)などの2官能以上の脂肪族チオール化合物などを挙げることができる。
これらのチオール化合物のうち、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
また、ビイミダゾール化合物およびアミノ系増感剤とチオール化合物とを併用する場合、チオール化合物の添加量としては、ビイミダゾール化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは1〜20重量部である。チオール化合物の添加量が0.1重量部未満では、スペーサーの形状の改善効果が不十分である場合があり、膜減りを生じやすくなる傾向があり、一方50重量部を超えると、得られるスペーサーの形状がかえって損なわれる場合がある。
ビス(p−トリル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフロロフェニル)ボレート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフロロフェニル)ボレートなどのヨードニウム塩などを、それぞれ挙げることができる。
また、メタロセン化合物としては、例えば(1−6−η−クメン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(1+)六フッ化リン酸(1−)などを挙げることができる。
これら感放射線カチオン重合開始剤の市販品としては、例えばジアゾニウム塩であるアデカウルトラセットPP−33((株)ADEKA製)、スルホニウム塩であるOPTOMER SP−150、同−170(以上、(株)ADEKA製)、およびメタロセン化合物であるIrgacure261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)などを挙げることができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(C)感放射線性重合開始剤の使用割合は、(A)重合体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部であり、より好ましくは3〜40重量部である。
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される(C)感放射線性重合開始剤は、O−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、O−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種ならびにビイミダゾール化合物を含有することがより好ましい。
(C)感放射線性重合開始剤におけるO−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物の割合としては、その合計量が(C)感放射線性重合開始剤の全量に対して好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは45重量%以上であり、さらに50重量%以上であることが好ましい。
このような割合で(C)感放射線性重合開始剤を使用することにより、本発明の感放射線性樹脂組成物は、低露光量の場合でも高感度でより高い強度および密着性を有するスペーサーまたは保護膜を形成することができることとなる。
本発明の感放射線性樹脂組成物において(D)成分を添加することにより、感放射線性樹脂組成物の放射線感度を極めて高くすることができ、得られるスペーサーまたは保護膜の基板に対する密着性が向上され、且つその耐熱性を大幅に向上させることができる。
(D)成分は、上記式(1)で表される構造を有する化合物であるが、下記式(2)〜(10)
で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
かかる化合物としては、上記式(2)で表される構造を有する化合物として例えば下記式(2−1)〜(2−10)で表される化合物など、上記式(3)で表される構造を有する化合物として例えば下記式(3−1)〜(3−3)で表される化合物など、上記式(4)で表される構造を有する化合物として例えば下記式(4−1)〜(4−7)で表される化合物など、上記式(5)で表される構造を有する化合物として例えば下記式(5−1)〜(5−2)で表される化合物など、上記式(6)〜(10)で表される構造を有する化合物として例えば下記式(6−1)、(7−1)、(8−1)、(9−1)または(10−1)で表される化合物などを、それぞれ挙げることができる。
上記式におけるRで表される炭素数3〜30の第二級もしくは第三級のアルキル基としては例えばイソプロピル基、2−ブチル基、t−ブチル基、2−ペンチル基、t−ペンチル基など;
炭素数5〜12の環状アルキル基としては例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基など;
炭素数7〜30のアラルキル基としては例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、シンナミル基など;
炭素数2〜30のアシル基としては例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基、アセチルアセチル基(アセトニルカルボニル基)、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などを、それぞれ挙げることができる。上記式におけるRとしては、水素原子、アセチル基、ベンゾイル基、アリル基、ベンジル基またはt−ブチル基が好ましい。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(D)成分は1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物における(D)成分の使用割合は、(A)重合体100重量部に対して好ましくは0.05〜20重量部であり、より好ましくは0.2〜10重量部である。このような割合で(D)成分を使用することにより、感放射線性樹脂組成物の放射線感度および得られるスペーサーまたは保護膜の基板に対する密着性をより高めることができ、しかも感放射線性樹脂組成物の溶媒に対する溶解性を好適な範囲に保つことができ、好ましい。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記の(A)重合体、(B)重合性不飽和結合を有する単量体、(C)感放射線性重合開始剤、(D)成分および次に説明する(E)一分子中に2個以上のオキシラニル基を有する化合物を必須成分として含有するが、その他必要に応じて(F)接着助剤、(G)界面活性剤、(H)保存安定剤、(I)耐熱性向上剤などを含有することができる。
上記(E)一分子中に2個以上のオキシラニル基を有する化合物(以下、「(E)成分」ともいう。)は、得られるスペーサーまたは保護膜の硬度をさらに向上するために添加することができる。このような(E)成分としては、例えば一分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物およびその他の(E)成分を挙げることができる。
上記一分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどを挙げることができる。
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;
ポリフェノール型エポキシ樹脂;
脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル;
高級脂肪酸のグリシジルエステル;
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などを挙げることができる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エピコート807(ジャパンエポキシレジン(株)製)など;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂として、エピコート152、同154、同157S65(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN201、同202(以上、日本化薬(株)製)など;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EOCN102、同103S、同104S、1020、1025、1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製)など;
ポリフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート1032H60、同XY−4000(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)など;
環状脂肪族エポキシ樹脂として、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、184(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ERL−4234、4299、4221、4206(以上、U.C.C社製)、ショーダイン509(昭和電工(株)製)、エピクロン200、同400(以上、大日本インキ(株)製)、エピコート871、同872(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、ED−5661、同5662(以上、セラニーズコーティング社製)など;
脂肪族ポリグリシジルエーテルとしてエポライト100MF(共栄社化学(株)製)、エピオールTMP(日本油脂(株)製)などを挙げることができる。
このようなエポキシ化合物(E)のうち、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびポリフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
上記(E)成分の使用割合は、(A)重合体100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは2〜50重量部であり、さらに5〜30重量部であることが好ましい。このような割合で(E)成分を使用することにより、現像性を損なわずに得られるスペーサーまたは保護膜の硬度のさらなる向上を実現することができる。
なお、(E)成分は、アルカリ現像液に対する溶解性を有さない点で、(A)重合体と異なる。
このような(F)接着助剤としては、カルボキシル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、オキシラニル基などの反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましく、その例として例えばトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
これらの(F)接着助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(F)接着助剤の使用量は、(A)重合体100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは15重量部以下である。(F)接着助剤の使用量が20重量部を超えると、現像残りを生じやすくなる傾向がある。
このような(G)界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他の界面活性剤を挙げることができる。
上記フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフロロアルキル基および/またはフロロアルキレン基を有する化合物が好ましく、その例としては、1,1,2,2−テトラフロロ−n−オクチル(1,1,2,2−テトラフロロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロ−n−オクチル(n−ヘキシル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−ペンチル)エーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−ペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロ−n−ブチル)エーテル、パーフロロ−n−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−デカン、1,1,2,2,3,3,9,9,10,10−デカフロロ−n−ドデカンや、フロロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フロロアルキルリン酸ナトリウム、フロロアルキルカルボン酸ナトリウム、ジグリセリンテトラキス(フロロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フロロアルキルアンモニウムヨージド、フロロアルキルベタイン、他のフロロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフロロアルキルポリオキシエタノール、パーフロロアルキルアルコキシレート、カルボン酸フロロアルキルエステルなどを挙げることができる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BM CHEMIE社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F471、同F476(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−170C、同−171、同−430、同−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同−113、同−131、同−141、同−145、同−382、サーフロンSC−101、同−102、同−103、同−104、同−105、同−106(以上、旭硝子(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(以上、新秋田化成(株)製)、フタージェントFT−100、同−110、同−140A、同−150、同−250、同−251、同−300、同−310、同−400S、フタージェントFTX−218、同−251(以上、(株)ネオス製)などを挙げることができる。
上記その他の界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン−n−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−n−ノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステルなどのノニオン系界面活性剤、(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、同No.95(以上、共栄社化学(株)製)などを挙げることができる。
これらの(G)界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(G)界面活性剤の使用量は、(A)重合体100重量部に対して、好ましくは1.0重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以下である。この場合、(G)界面活性剤の使用量が1.0重量部を超えると、膜ムラを生じやすくなる場合がある。
これらの(H)保存安定剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(H)保存安定剤の使用量は、(A)重合体100重量部に対して、好ましくは3.0重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以下である。(H)保存安定剤の配合量が3.0重量部を超えると、感度が低下してパターン形状が劣化する場合がある。
上記N−(アルコキシメチル)グリコールウリル化合物としては、例えばN,N,N’,N’−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(n−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(i−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(n−ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリルなどを挙げることができる。これらのN−(アルコキシメチル)グリコールウリル化合物のうち、N,N,N’,N’−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルが好ましい。
上記N−(アルコキシメチル)メラミン化合物としては、例えばN,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(メトキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(エトキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(n−プロポキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(i−プロポキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(n−ブトキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(t−ブトキシメチル)メラミンなどを挙げることができる。これらのN−(アルコキシメチル)メラミン化合物のうち、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ(メトキシメチル)メラミンが好ましく、その市販品としては、例えばニカラックN−2702、同MW−30M(以上、(株)三和ケミカル製)などを挙げることができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記の(A)重合体、(B)重合性不飽和結合を有する単量体、(C)感放射線性重合開始剤、(D)成分および(E)成分ならびに上記の如き任意的に添加されるその他の成分を均一に混合することによって調製される。本発明の感放射線性樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。例えば(A)重合体、(B)重合性不飽和結合を有する単量体、(C)感放射線性重合開始剤、(D)成分および(E)成分ならびに任意的に添加されるその他の成分を、所定の割合で混合することにより、溶液状態の感放射線性樹脂組成物を調製することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、(A)重合体、(B)重合性不飽和結合を有する単量体、(C)感放射線性重合開始剤、(D)成分および(E)成分ならびに任意的に添加されるその他の成分の各成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。
このような溶媒としては、好ましい(A)重合体の前駆体としての前駆共重合体(1)〜(3)を合成するために使用できる溶媒として上記に例示したものと同様のものを挙げることができる。
このような溶媒のうち、各成分の溶解性、各成分との反応性、被膜形成の容易性などの点から、例えばジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、3−フェニル−1−プロパノールまたは3−メトキシブタノールを特に好ましく使用することができる。これらの溶媒は、一種のみを単独で使用することができ、二種以上を混合して使用してもよい。
本発明の感放射性樹脂組成物の溶媒として、高沸点溶媒を併用する場合、その使用量は、全溶媒量に対して、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下とすることができる。高沸点溶媒の使用量がこの使用量を超えると、被膜の膜厚均一性、感度および残膜率が不十分となる場合がある。
このようにして調製された組成物溶液は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾過した後、使用に供することもできる。
次に、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いてスペーサーまたは保護膜を形成する方法について説明する。
本発明のスペーサーまたは保護膜の形成方法は、少なくとも下記の工程(1)〜(4)を下記に記載の順で含むことを特徴とするものである。
(1)本発明の感放射線性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程。
(2)該被膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程。
(3)放射線照射後の被膜を現像する工程。
(4)現像後の被膜を加熱する工程。
以下、これらの各工程について順次説明する。
透明基板の片面に透明導電膜を形成し、該透明導電膜の上に、本発明の感放射線性樹脂組成物の被膜を形成する。
ここで用いられる透明基板としては、例えば、ガラス基板、樹脂基板などを挙げることができ、より具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどのガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミドなどのプラスチックからなる樹脂基板を挙げることができる。
透明基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社の登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを挙げることができる。
被膜の形成方法としては、塗布法またはドライフィルム法によることができる。
塗布法により被膜を形成する場合、上記透明導電膜の上に本発明の感放射線性樹脂組成物の溶液を塗布したのち、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより、被膜を形成することができる。塗布法に用いる組成物溶液の固形分濃度は、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜40重量%であり、さらに好ましくは15〜35重量%である。組成物溶液の塗布方法としては、特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット塗布法などの適宜の方法を採用することができ、特にスピンコート法またはスリットダイ塗布法が好ましい。
上記感放射線性ドライフィルムは、ベースフィルム上に、本発明の感光性樹脂組成物を好ましくは組成物溶液として塗布した後に溶媒を除去することにより、感放射線性層を積層して形成することができる。感放射線性ドライフィルムの感放射線性層を積層するために用いられる組成物溶液の固形分濃度は、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは20〜50重量%であり、特に30〜50重量%であることが好ましい。感放射線性ドライフィルムのベースフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂のフィルムを使用することができる。ベースフィルムの厚さは、15〜125μmの範囲が適当である。感放射線性層の厚さは、1〜30μm程度が好ましい。
感放射線性ドライフィルムは、未使用時にその感放射線性層上にカバーフィルムを積層して保存することもできる。このカバーフィルムは、未使用時には剥がれず、使用時には容易に剥がすことができるように、適度な離型性を有するものであることが好ましい。このような条件を満たすカバーフィルムとしては、例えばPETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルムなどの合成樹脂フィルムの表面にシリコーン系離型剤を塗布しまたは焼き付けたフィルムを使用することができる。カバーフィルムの厚さは、5〜30μm程度が好ましい。これらカバーフィルムは、2層または3層を積層した積層型カバーフィルムとしてもよい。
かかるドライフィルムを透明基板の透明導電膜上に、熱圧着法などの適宜の方法でラミネートすることにより、被膜を形成することができる。
被膜のプレベーク後の膜厚は、好ましくは0.5〜10μmであり、より好ましくは1.0〜7.0μm程度である。
次いで、形成された被膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、被膜の一部にのみ照射する際には、例えば所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する方法によることができる。
照射に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線などを挙げることができる。このうち波長が250〜550nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
放射線照射量(露光量)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100〜5,000J/m2、より好ましくは200〜3,000J/m2である。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、従来知られている組成物と比較して極めて放射線感度が高く、上記放射線照射量が600J/m2以下、さらに400J/m2以下であっても所望の膜厚、良好な形状、優れた密着性および高い硬度のスペーサーまたは保護膜を得ることができる利点を有する。
次に、放射線照射後の被膜を現像することにより、不要な部分を除去して、所定のパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの脂肪族1級アミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの脂肪族2級アミン;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族3級アミン;ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンなどの脂環族3級アミン;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリンなどの芳香族3級アミン;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩などのアルカリ性化合物の水溶液を使用することができる。上記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒および/または界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、シャワー法などのいずれでもよく、現像時間は、常温で10〜180秒間程度とすることが好ましい。
現像後、例えば流水洗浄を30〜90秒間行ったのち、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾することによって、所望のパターンを得ることができる。
次いで、得られたパターン状被膜を、例えばホットプレート、オーブンなどの適当な加熱装置により、所定温度、例えば100〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上では5〜30分間、オーブン中では30〜180分間、加熱(ポストベーク)することにより、所望のスペーサーまたは保護膜を得ることができる。
以上にようにして、圧縮強度、液晶配向膜のラビング工程に対する耐性、基板との密着性などの諸性能に優れるスペーサーまたは保護膜を、所望のパターン寸法で得ることができる。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下の方法(a)または(b)により作製することができる。
(a)まず片面に透明導電膜(電極)を有する透明基板を一対(2枚)準備し、そのうちの一枚の基板の透明導電膜上に、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて上記した方法に従ってスペーサーもしくは保護膜またはその双方を形成する。続いてこれらの基板の透明導電膜およびスペーサーまたは保護膜上に液晶配向能を有する配向膜を形成する。これら基板を、その配向膜が形成された側の面を内側にして、それぞれの配向膜の液晶配向方向が直交または逆平行となるように一定の間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、基板の表面(配向膜)およびスペーサーにより区画されたセルギャップ内に液晶を充填し、充填孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの両外表面に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された配向膜の液晶配向方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
(b)まず上記方法(a)と同様にして透明導電膜と、スペーサーもしくは保護膜またはその双方と、配向膜とを形成した一対の透明基板を準備する。その後一方の基板の端部に沿って、ディスペンサーを用いて紫外線硬化型シール剤を塗布し、次いで液晶ディスペンサーを用いて微小液滴状に液晶を滴下し、真空下で両基板の貼り合わせを行う。そして前述のシール剤部に高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射して両基板を封止する。最後に液晶セルの両外表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
また、液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
以下の合成例において、共重合体の重量平均分子量Mwの測定は下記の装置および条件のもと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によった。
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803およびGPC−KF−804(以上いずれも商品名、昭和電工(株)製)を結合
移動相:リン酸0.5重量%を含むテトラヒドロフラン
<(A)重合体の合成例>
合成例1
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)5重量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250重量部を仕込んだ。引き続きスチレン5重量部、メタクリル酸10重量部、アクリル酸5重量部、n−ブチルメタクリレート25重量部、ベンジルメタクリレート30重量部および2−ヒドロキシエチルメタクリレート20重量部を仕込み、窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエン5重量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(P−1)を含有する溶液を得た。
得られた共重合体(P−1)を含有する溶液に、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート15重量部、ラウリン酸ジブチル錫0.6重量部および4−メトキシフェノール0.05重量部を加え、空気雰囲気下60℃で3時間反応させることにより、重合体(A1)を含有する重合体溶液が得られた。得られた重合体溶液の固形分濃度(重合体溶液の全重量に占める重合体重量の割合)は31.2重量%であり、共重合体(A1)の重量平均分子量Mwは14,500であった。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)5重量部および酢酸3−メトキシブチル250重量部を仕込んだ。引き続いてメタクリル酸18重量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート30重量部、スチレン5重量部、2−(6−ヒドロキシエチルヘキサノイルオキシ)エチルメタクリレート(商品名PLACCEL FM1D(ダイセル化学工業(株)製)25重量部およびテトラヒドロフルフリルメタクリレート17重量部を仕込んで、窒素置換した後、1,3−ブタジエン5重量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を4時間保持した後、さらに温度を100℃に上昇し、この温度を1時間保持して重合することにより、共重合体(P−2)を含有する溶液を得た。
得られた共重合体(P−2)を含有する溶液に、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート14重量部および4−メトキシフェノール0.05重量部を加え、空気雰囲気下60℃で2時間反応させることにより、重合体(A2)を含有する重合体溶液が得られた。得られた重合体溶液の固形分濃度は31.0重量%であり、重合体(A2)の重量平均分子量Mwは16,200であった。
合成例3
上記合成例2において、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネートの代わりに2−メタクリロイロキシブチルイソシアネート16重量部を使用したほかは合成例2と同様にして実施し、重合体(A3)を含有する重合体溶液が得られた。得られた重合体溶液の固形分濃度は31.3重量%であり、共重合体(A3)の重量平均分子量Mwは16,800であった。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4重量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル250重量部を仕込んだ。引き続きスチレン5重量部、メタクリル酸20重量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート30重量部、グリシジルメタクリレート20重量部およびテトラヒドロフルフリルメタクリレート20重量部を仕込み、窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエン5重量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(P−4)を含有する溶液を得た。
引き続き共重合体(P−4)を含有する溶液に、アクリル酸9重量部およびテトラブチルアンモニウムブロミドを3重量部を加え、60℃で8時間反応させることにより、重合体(A4)を含有する溶液が得られた。得られた重合体溶液の固形分濃度は30.3重量%であり、共重合体(A4)の重量平均分子量Mwは17,000であった。
合成例5
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)5重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル250重量部を仕込んだ。引き続きスチレン5重量部、メタクリル酸15重量部、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸15重量部、ベンジルメタクリレート20重量部、n−ブチルメタクリレート20重量部およびトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート20重量部を仕込み、窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエン5重量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(P−5)を含有する溶液を得た。引き続き共重合体(P−5)を含有する溶液に、グリシジルメタクリレート15重量部およびテトラブチルアンモニウムブロミド3重量部を加え、60℃で8時間反応させることにより、共重合体(A5)を含有する溶液が得られた。得られた重合体溶液の固形分濃度は31.9重量%であり、共重合体(A5)の重量平均分子量Mwは15,500であった。
<感放射線性樹脂組成物溶液の調製>
表1に記載の種類および量の(A)重合体、(B)重合性不飽和結合を有する単量体、(C)感放射線性重合開始剤(場合によりアミノ系増感剤、チオール化合物を併用)および(D)成分を混合し(実施例6〜10ならびに比較例1、3および5の場合にはこの時点でさらに(E)成分も混合し)、さらに(F)接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、(G)界面活性剤としてFTX−218(商品名、(株)ネオス製)0.5重量部および(H)保存安定剤として4−メトキシフェノール0.5重量部を混合し、固形分濃度が30重量%となるように、それぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、感放射線性樹脂組成物の溶液をそれぞれ調製した。
なお(A)重合体は表1に記載の各重合体を含有する重合体溶液(上記合成例1〜5のいずれかで得たもの)として添加し、その含有する重合体の量が表1に記載の量になるようにした。
上記のようにして調製した感放射線性樹脂組成物の評価を以下のように実施した。評価結果を表2に示した。
(I)現像性の評価
無アルカリガラス基板上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物の溶液をそれぞれスピンナーにより塗布した後、80℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより、感放射線性樹脂組成物の被膜(膜厚4.0μm)を形成した。
得られた被膜上に、直径8〜15μmの範囲の異なる大きさの丸状残しパターンをそれぞれ複数有するフォトマスクを設置した。このとき、被膜表面とフォトマスクとの間に所定の間隙(露光ギャップ)を設けた。次いで被膜に上記フォトマスクを介して高圧水銀ランプを用いて1,000J/m2の露光量で放射線の照射を行った。その後、0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いて25℃にて40秒の現像時間でシャワー法により現像した後、純水洗浄を1分間行い、さらにオーブン中230℃にて20分間ポストベークすることにより、パターン状薄膜を形成した。
このとき、形成された丸状パターン以外の部分に現像残滓が残っていないときを現像性が良好(○)であるとした。
(II)現像時密着性の評価
放射線照射の露光量を400J/m2とし、現像の条件を0.15重量%水酸化カリウム水溶液を用いて25℃にて180秒間としたほかは、上記「(I)現像性の評価」と同様にして基板上にパターン状薄膜を形成した。
このとき、8μmの丸状残しパターンの100個により形成されるべきパターン100個のうち基板上に残存しているパターンの数をレーザー顕微鏡(VK−8500、(株)キーエンス製)により調べ、これを現像時密着性の値とした。
フォトマスクを使用せず、放射線照射の露光量を100J/m2とし、放射線照射後の現像工程を行わなかったほかは上記「(I)現像性の評価」と同様にして基板上に薄膜を形成した。
この薄膜につき、微小圧縮試験機(DUH−201、(株)島津製作所製)を用い、直径50μmの平面圧子により、100mNの荷重を加えたときに、膜上に平面圧子の跡が残るか否かを調べた。平面圧子の跡が残らなかった場合を硬化度良好(○)、跡が残った場合を不良(×)として評価した。
(IV)パターン寸法の評価
放射線照射の露光量を200J/m2とし、現像時間を60秒としたほかは、上記「(I)現像性の評価」と同様にして基板上にパターン状薄膜を形成した。
このとき、15μmの丸状残しパターンにより形成されたパターンの平均直径をレーザー顕微鏡(VK−8500、(株)キーエンス製)により調べた。
(V)耐熱性の評価
フォトマスクを使用せず、放射線照射の露光量を200J/m2とし、放射線照射後の現像工程を行わなかったほかは上記「(I)現像性の評価」と同様にして基板上に薄膜を形成した。
この薄膜の膜厚(加熱前膜厚)を触針式膜厚測定機(アルファステップIQ、KLAテンコール社製)により測定し、さらにオーブン中240℃にて20分間加熱した後の膜厚(加熱後膜厚)を測定して両者を比較した。下記式により算出した膜厚変化率を耐熱性の値とした。
膜厚変化率(%)=(加熱後膜厚÷加熱前膜厚)×100
上記「(V)耐熱性の評価」と同様にして基板上に薄膜を形成した。
この薄膜付き基板を1cm×1cmにカットしたものにつき、ヘッドスペースサンプラJHS−100A(日本分析工業(株)製)およびガスクロマトグラフィー/質量分析装置JEOL JMS−AX505W(日本電子(株)製)を用いて分析温度範囲25〜230℃、昇温速度100℃/10minの条件下でヘッドスペースガスクロマトグラフィー/質量分析法にて発生した昇華物の量を調べた。昇華物量の定量には標準物質としてオクタン(比重:0.701、注入量:0.02μL)を使用し、そのピーク面積を基準として下記式によりオクタン換算の値として単位面積当たりの昇華物量を求めた。
昇華物量(μg/cm2)=(1cm2あたりの昇華物のピーク面積÷オクタンのピーク面積)×0.02×0.701
この昇華物量が2μg/cm2以下のとき昇華物量は少ない(○)とし、2μg/cm2を超えたとき昇華物量は多い(×)として評価した。
(VII)ラビング耐性の評価
放射線照射の露光量を400J/m2とし、現像時間を60秒としたほかは、上記「(I)現像性の評価」と同様にして基板上にパターン状薄膜を形成した。この薄膜上に、液晶配向剤としてAL3046(商品名、JSR(株)製)を液晶配向膜塗布用印刷機に用いて塗布したのち、180℃で1時間加熱して、膜厚0.05μmの液晶配向剤の被膜を形成した。次いでこの液晶配向剤の被膜に対して、ポリアミド製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用い、ロールの回転数を500rpm、ステージの移動速度を1cm/秒として、ラビング処理を行った。
このとき、15μmの丸状残しパターンより形成されたパターンについて、パターンの剥離または削れの有無を調べた。
表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2膜が形成され、さらにITO(インジウム−酸化錫合金)電極を所定形状に蒸着したソーダガラス基板上に、上記で調製した感放射線性樹脂組成物の溶液をそれぞれスピンナーにより塗布した後、90℃のクリーンオーブン内で10分間プレベークすることにより、感放射線性樹脂組成物の被膜(膜厚2.0μm)を形成した。
この被膜に対してフォトマスクを介さずに露光量500J/m2にて放射線の照射を行った。その後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液を用いて23℃にて1分間の現像時間でディッピング法により現像した後、純水洗浄を1分間行い、さらにオーブン中230℃にて30分間ポストベークすることにより、硬化膜を形成した。
この硬化膜を有する基板と、SiO2膜およびITO電極を形成しただけの基板とを、0.8mmのガラスビーズを混合したシール剤を用いて硬化膜とITO電極とを対向させて貼り合わせた後、その間隙にメルク社製液晶MLC6608(商品名)を注入して、液晶セルを作製した。
この液晶セルを60℃の恒温層に入れて、液晶セルの電圧保持率を、(株)東陽テクニカ製液晶電圧保持率測定システム「VHR−1A型」(商品名)により測定した。このときの印加電圧は5.5Vの方形波、測定周波数は60Hzとした。ここで電圧保持率は、下記式により計算される値として測定した。
電圧保持率(%)=(16.7ミリ秒後の液晶セル電位差/0ミリ秒で印加した電圧)×100
液晶セルの電圧保持率が90%以下であると、液晶セルは16.7ミリ秒の時間、印加電圧を所定レベルに保持できず、十分に液晶を配向させることができないことを意味し、残像などの “焼き付き”を起こすおそれが高い。
(B)重合性不飽和結合を有する単量体
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
B−2:KAYARAD DPHA−40H(日本化薬(株)製)
B−3:1,9−ノナンジオールジアクリレート
B−4:アロニックスM−5300;(東亞合成(株)製)
(C)感放射線性重合開始剤
C−1:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(商品名「イルガキュアOXE02」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
C−2:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名「イルガキュア379」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
C−3:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
C−4:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(アミノ系増感剤)
C−5:2−メルカプトベンゾチアゾール(チオール化合物)
(D)成分
D−1:N−ヒドロキシフタルイミド
D−2:N−ヒドロキシコハク酸イミド
D−3:N−アセトキシフタルイミド
D−4:トリヒドロキシイミノシアヌル酸
D−5:N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド
(E)成分
E−1:ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「エピコート152」、ジャパンエポキシレジン(株)製)
E−2:ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「エピコート157S65」、ジャパンエポキシレジン(株)製)
なお、欄中の「−」は該当する成分を使用しなかったことを表す。
Claims (13)
- (D)成分が、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N-ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−アセトキシフタルイミド、N−ベンゾキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミドまたはトリヒドロキシイミドシアヌル酸である、請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- (A)重合体が、
(A−1)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種ならびに(a2)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物およびオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する単量体混合物を重合してなる共重合体と(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種との反応生成物、
(A−2)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種ならびに(a3)水酸基を有する重合性不飽和化合物を含有する単量体混合物を重合してなる共重合体と(a4)不飽和イソシアネート化合物との反応生成物、ならびに
(A−3)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する単量体混合物を重合してなる共重合体と(a2)オキシラニル基を有する重合性不飽和化合物およびオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種との反応生成物
よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物。 - (B)重合性不飽和結合を有する単量体が、一分子中に重合性不飽和結合を1〜3個有する重合性不飽和化合物と、一分子中に重合性不飽和結合を4個以上有する重合性不飽和化合物とを、それぞれ少なくとも1種含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- (C)感放射線性重合開始剤が、O−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 液晶表示素子のスペーサーまたは保護膜を形成するために用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 少なくとも下記(1)〜(4)の工程を、下記に記載の順で含むことを特徴とする、液晶表示素子のスペーサーの形成方法。
(1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程。
(2)該被膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程。
(3)放射線照射後の被膜を現像する工程。
(4)現像後の被膜を加熱する工程。 - 請求項8に記載の方法により形成された液晶表示素子のスペーサー。
- 請求項9に記載のスペーサーを具備することを特徴とする、液晶表示素子。
- 少なくとも下記(1)〜(4)の工程を、下記に記載の順で含むことを特徴とする、液晶表示素子の保護膜の形成方法。
(1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程。
(2)該被膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程。
(3)放射線照射後の被膜を現像する工程。
(4)現像後の被膜を加熱する工程。 - 請求項11に記載の方法により形成された液晶表示素子の保護膜。
- 請求項12に記載の保護膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
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