JP5110254B2 - 蛍光測定法と、蛍光測定のための測定用チップ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態は蛍光測定法に関するものであり、この蛍光測定法は、特記する点を除いて、従来と同様の手順及び装置にて行われる。ここで、本実施の形態の特徴の一つは、測定用チップの構造やその製造方法にある。すなわち、従来は、表面増強効果を得るためにガラス基板の表面にナノサイズの微粒子を配置する際、単に、貴金属(例えば銀)にて形成した微粒子をガラス基板の表面に配置していた。また、従来は、これら微粒子同士の相互間に間隔を設けなければ感度の高いラマン計測ができないと考えられていたこと、及び、微粒子同士を密に配置することが技術的に困難であったこと等の理由により、微粒子同士の相互間にある程度の間隔を設けていた。しかしながら従来は、このように間隔を設けた場合であっても、上述のように10倍程度の増強率しか得られない等の様々な問題が生じていた。
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、基板に配置した多孔質膜に、銀を含有する貴金属層をさらに配置して測定用チップを構成した形態である。以下では、実施の形態1に係る測定用チップに関する、構成、製造方法、使用方法、及び、効果について、順次説明する。
図1は実施の形態1に係る測定用チップの部分拡大斜視図、図2は実施の形態1に係る測定用チップの部分拡大側面図である。この測定用チップ1は、概略的に、基板2の一側面に、ベース層3、多孔質膜4、及び、貴金属層5を順次配置して構成されている。
上記のように構成された測定用チップ1は、例えば、以下のような方法で製造することができる。まず、微粒子溶液に、EDC(1−Ethyl−3−[3−Dimethylaminopropyl] carbodiimide Hydrochloride)やNaClなどの塩を添加(0.5M以下、好ましくは100mM以下)し、混合溶液を作製する。例えば、微粒子溶液1溶に対してEDC溶液2溶を加える。この混合溶液を、基板2の表面へ塗布する。この際、基板2をガラスやプラスチックにて形成した場合には、この基板2にベース層3を蒸着またはスパッタリングにより形成して、このベース層3の表面へ混合溶液を塗布する。あるいは、基板2をシリコン等の金属にて形成した場合には、ベース層3を形成することなく、この基板2の表面へ混合溶液を塗布する。そして、この基板2を数秒以上放置した後に蒸留水で洗浄して乾燥させ、この基板2の表面に単層高密度に微粒子4aを吸着させる。その後、この微粒子4aの上面に、蒸着またはスパッタリングにより貴金属層5を形成することで、測定用チップ1が完成する。このように基板2の表面に単層高密度に微粒子4aを吸着させる具体的方法は任意であるが、例えば、下記文献に記載の方法で吸着させることができる。
エイチ タケイ(H.Takei)著、「ナノサイズ金属球体を形成するためのテンプレートとしての表面吸収ポリスチレン球体:ナノサイズ金球体の光学特性(Surface−absorbed polystyrene spheres as a template for nanosized metal particle formation:Optical properties of nanosized Au particle」、米国、B 17(5)号、真空科学技術(The Journal of Vacuum Science and Technology)、1999年9月/10月、P1906−1911
このように製造された測定用チップ1は、従来と同様の方法により、蛍光測定法に使用される。図10は、本実施の形態1に係る測定用チップ1を用いた蛍光測定法を概念的に示す図であり、(a)は測定用チップ1に抗体を配置した状態、(b)はサンドイッチ結合を構成した状態を示す。まず、図10(a)に示すように、測定用チップ1の貴金属層5に抗体10を配置する。そして、図10(b)に示すように、測定用チップ1の表面に試料を加えることにより、この試料に含まれる測定対象物質11を抗体10によって補足させ、さらに蛍光色素12で標識した抗体13を加えることにより、抗体10、13の間に測定対象物質11を結合させたサンドイッチ結合を構成する。その後、従来と同様に、未結合の試料や抗体13の洗浄後、励起光を照射して蛍光色素12から蛍光を発生させ、この蛍光の蛍光強度を蛍光スキャナーや蛍光顕微鏡等(好ましくは共焦点スキャナーや共焦点顕微鏡等のニアフィールドの測定が可能なもの)を用いて測定することで、測定対象物質11を定量等できる。この測定用チップ1では、励起波長による特異性は認められず、また、あらゆる蛍光タンパク質や蛍光物質の利用が可能である。なお、本明細書中において「観察する」とは、共焦点顕微鏡等で観察する意味の他、蛍光強度を測定するという意味を含む。
次いで、実施の形態1に係る測定用チップ1の効果を、従来の測定用チップとの対比により説明する。図11は、実施の形態1に係る測定用チップ1と従来の測定用チップ(対照用チップ)との効果を示すもので、(a)は実験結果を示す表、(b)はグラフである。この図11(b)において、縦軸は蛍光信号強度、横軸はrIL−6の濃度を示す。ここでは、対照用チップとして、基板に直接的に抗体を配置したものを用いている。この図11から明らかなように、本実施の形態の測定用チップ1は、対照用チップに比べて、rIL−6のいずれの濃度においても、蛍光信号強度及びS/N比において優れており、例えば、rIL−6濃度が2,500(pg/ml)の場合では、蛍光信号強度が約8.7倍(=47,051/5,410)、S/N比が約1.3倍(=20.1/15.7)であり、極めて高強度の蛍光信号を取得可能であることがわかる。
次に、本発明に係る実施の形態2の具体的内容について説明する。この実施の形態2は、実施の形態1と同様に構成した測定用チップ1の使用方法に主たる特徴を有するものであり、測定用チップ1をBSA溶液等と反応させることで、自家蛍光やクエンチングを抑制可能とした形態である。なお、実施の形態2の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と略同様の効果を得ることができると共に、自家蛍光を抑制して、蛍光強度測定におけるS/N比を高めることができる。また同時に、クエンチングを抑制して、明るい蛍光色素に対しても表面増強効果を得ることができる。
次に、本発明に係る実施の形態3の具体的内容について説明する。この実施の形態3は、実施の形態1と同様に構成した測定用チップに、さらに陰イオンを設けた形態である。なお、実施の形態3の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
まず、実施の形態3に係る測定用チップ6の構成について概説する。図15は、実施の形態3に係る測定用チップの部分拡大側面図である。この測定用チップ6は、貴金属層5の上に、さらに陰イオン(アニオン)7を設けて構成されている。この陰イオンは、具体的にはハロゲン(ハロゲンイオン:Cl−)であり、例えば測定用チップを実施の形態1と同様に形成し、試料を反応させた後、所定濃度のNaClを所定時間反応させることにより、配置することができる。ここで、「配置する」とは、陰イオンを基板と反応させることをいう。このように陰イオンを基板と反応させることにより、銀表面がマイナスに帯電する等の効果を得ることができる。
このように実施の形態3によれば、実施の形態1と略同様の効果を得ることができると共に、陰イオンを設けることで、蛍光信号強度を一層改善することができ、さらに高感度な蛍光測定を行うことが可能になる。
以上、各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び方法は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、表面増強効果の増強率が従来と同様の場合であっても、従来と同様の効果を従来と異なる手段にて達成することにより、本願の課題が解決されている。
前記文書中や図面中で示した各測定用チップの構成、製造方法、又は、使用方法は、あくまで例示であり、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、本発明では、微粒子4aの大きさや厚さを変えることで基板2の吸収スペクトルを変え、この基板2の吸収スペクトルと、蛍光ラベルの吸収スペクトルとを相互に合致させることで、これら両スペクトルを相互に共鳴させ、いわゆる共鳴効果を得ることができる。この共鳴効果により、蛍光信号強度を一層増幅させ、測定感度を高めることができる。
また、本発明では、微粒子4aの相互間に適切な間隔(ギャップ)を設けることで、近接場の増強と、クエンチングの抑制とを図ることができる。
最後に、上記各実施の形態における特徴の一部の要部とその効果を、以下に付記として示す。
基板と、
前記基板の少なくとも一側面に配置した多孔質膜と、
前記多孔質膜における前記基板と反対側の面に配置した、少なくとも銀を含有する貴金属層と、
を備えたことを特徴とする。
この付記1によれば、表面増強効果を増大させることにより蛍光信号強度を向上させることができ、従来の増強率より一桁以上高い数十倍の蛍光信号強度を得ることができる。また、量子収率の高い蛍光物質(明るい蛍光物質)においても、従来より数十倍以上高い蛍光信号強度を得ることができるので、明るい蛍光物質の実用性を向上させることができる。さらに、弱励起光でも高い蛍光信号の増強効果を発揮することから、自家蛍光を抑制でき、蛍光信号のS/N比を向上させることができる。さらにまた、当該測定用チップは、基板上からの蛍光信号を検出する分析方法(プレートアッセイ、バイオチップ、DNAチップ等、ナノセンサー)のほぼ全てに適用でき、各分析方法における感度向上を図ることができる。
前記貴金属層に配置した、測定対象物質に特異的に結合する結合物質、
を備えたことを特徴とする付記1に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記2によれば、結合物質を配置することで、ユーザは自ら結合物質を配置することなく、簡易かつ迅速に蛍光測定を行うことができる。
前記結合物質が、抗原または抗体であること、
を特徴とする付記2に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記3によれば、抗原または抗体を結合物質として用いて、付記2の効果を得ることができる。
前記貴金属層の膜厚が、約5〜20nmであること、
を特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記4によれば、貴金属層の膜厚を好適な範囲とすることで、蛍光信号強度を一層高めることができる。
前記貴金属層の膜厚が、約10〜15nmであること、
を特徴とする付記4に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記5によれば、貴金属層の膜厚を一層好適な範囲とすることで、蛍光信号強度をより一層高めることができる。
前記多孔質膜を、平坦上の膜体に複数の孔部を穿設することにより形成したこと、
を特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記6によれば、膜体に孔部を穿設することで多孔質膜を形成したので、微粒子を形成することが不要になり、多孔質膜を容易に形成できる。
前記多孔質膜を、複数の微粒子から形成したこと、
を特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記7によれば、微粒子を用いて多孔質膜を形成したので、各微粒子の粒径や空孔率を制御することで、所望の構造の多孔質膜を容易に形成できる。
前記微粒子の粒径が、約360nm以下であること、
を特徴とする付記7に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記8によれば、微粒子の粒径を好適な範囲とすることで、蛍光信号強度を一層高めることができる。
前記微粒子の粒径が、約50〜200nmであること、
を特徴とする付記8に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記9によれば、微粒子の粒径を一層好適な範囲とすることで、蛍光信号強度をより一層高めることができる。
前記微粒子の粒径が、約50〜100nmであること、
を特徴とする付記9に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記10によれば、微粒子の粒径をさらに一層好適な範囲とすることで、蛍光信号強度をより一層高めることができる。
前記多孔質膜の空孔率が、約60〜97%であること、
を特徴とする付記1から10のいずれか一項に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記11によれば、多孔質膜の空孔率を好適な範囲とすることで、蛍光信号強度を一層高めることができる。
前記多孔質膜の空孔率が、約75〜85%であること、
を特徴とする付記11に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記12によれば、多孔質膜の空孔率を一層好適な範囲とすることで、蛍光信号強度をより一層高めることができる。
前記基板と前記多孔質膜との相互間に配置した、少なくとも金またはシリコンを含有するベース層、
を備えたことを特徴とする付記1から12のいずれか一項に記載の特徴とする蛍光測定のための測定用チップ。
この付記13によれば、金を含有するベース層を備えることで、多孔質膜(特に微粒子にて形成した多孔質膜)を容易かつ確実に基板上に配置することができる。
前記基板、前記多孔質膜、及び、前記貴金属層を配置した後、当該測定用チップを、BSA、スキムミルク、カゼインからなる群より選ばれる少なくとも一種と反応させたこと、
を特徴とする付記1から13のいずれか一項に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記14によれば、測定用チップをBSA等と反応させることで、自家蛍光を抑制して、蛍光強度測定におけるS/N比を高めることができる。また同時に、クエンチングを抑制して、明るい蛍光色素に対しても表面増強効果を得ることができる。
前記貴金属層における前記基板と反対側の面に配置した陰イオン、
を備えることを特徴とする付記1から14のいずれか一項に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記15によれば、貴金属層に陰イオンを配置することで、蛍光信号強度を一層改善することができ、さらに高感度な蛍光測定を行うことが可能になる。
前記陰イオンが、ハロゲンイオンであること、
を特徴とする付記15に記載の蛍光測定のための測定用チップ。
この付記16によれば、陰イオンとしてハロゲンイオンを用いることで、蛍光信号強度を一層改善することができ、さらに高感度な蛍光測定を行うことが可能になる。
基板を準備する工程と、
前記基板の少なくとも一側面に多孔質膜を配置する工程と、
前記多孔質膜における前記基板と反対側の面に、少なくとも銀を含有する貴金属層を配置する工程と、
を含んだことを特徴とする蛍光測定のための測定用チップの製造方法。
この付記17によれば、この製造方法にて製造した測定用チップを用いることで、表面増強効果を増大させることにより蛍光信号強度を向上させることができ、従来の増強率より一桁以上高い数十倍の蛍光信号強度を得ることができる。また、量子収率の高い蛍光物質(明るい蛍光物質)においても、従来より数十倍以上高い蛍光信号強度を得ることができるので、明るい蛍光物質の実用性を向上させることができる。さらに、弱励起光でも高い蛍光信号の増強効果を発揮することから、自家蛍光を抑制でき、蛍光信号のS/N比を向上させることができる。さらにまた、当該測定用チップは、基板上からの蛍光信号を検出する分析方法(バイオチップ、DNAチップ等、ナノセンサー)のほぼ全てに適用でき、各分析方法における感度向上を図ることができる。
前記貴金属層に、測定対象物質に特異的に結合する結合物質を配置する工程、
を含むことを特徴とする付記17に記載の測定用チップの製造方法。
この付記18によれば、結合物質を配置することで、ユーザは自ら結合物質を配置することなく、簡易かつ迅速に蛍光測定を行うことができる。
前記結合物質が、抗原または抗体であること、
を特徴とする付記18に記載の測定用チップの製造方法。
この付記19によれば、抗原または抗体を結合物質として用いて、付記18の効果を得ることができる。
前記基板を準備する工程の後、前記基板の少なくとも一側面に、少なくとも金を含有するベース層を配置する工程を含み、当該ベース層に前記多孔質膜を配置したこと、
を特徴とする付記17から19のいずれか一項に記載の測定用チップの製造方法。
この付記20によれば、金を含有するベース層を備えることで、多孔質膜(特に微粒子にて形成した多孔質膜)を容易かつ確実に基板上に配置することができる。
前記貴金属層を配置する工程の後、当該測定用チップを、BSA、スキムミルク、カゼインからなる群より選ばれる少なくとも一種と反応させる工程、
を含むことを特徴とする付記17から20のいずれか一項に記載の測定用チップの製造方法。
この付記21によれば、測定用チップをBSA等と反応させることで、自家蛍光を抑制して、蛍光強度測定におけるS/N比を高めることができる。また同時に、クエンチングを抑制して、明るい蛍光色素に対しても表面増強効果を得ることができる。
前記貴金属層における前記基板と反対側の面に、陰イオンを配置する工程、
を含むことを特徴とする付記17から21のいずれか一項に記載の測定用チップの製造方法。
この付記22によれば、貴金属層に陰イオンを配置することで、蛍光信号強度を一層改善することができ、さらに高感度な蛍光測定を行うことが可能になる。
基板に多孔質膜を配置した後、前記多孔質膜における前記基板と反対側の面に、少なくとも銀を含有する貴金属層を配置することにより、測定用チップを製造する工程と、
前記測定用チップの前記貴金属層に、測定対象物質に特異的に結合する結合物質を配置する工程と、
前記測定用チップの前記結合物質に測定対象物質を結合させる工程と、
前記測定用チップの前記結合物質に結合させた測定対象物質に、蛍光色素で標識した結合物質を結合させる工程と、
前記蛍光色素を観察する工程と、
を含むことを特徴とする蛍光測定法。
この付記23によれば、表面増強効果を増大させることにより蛍光信号強度を向上させることができ、従来の増強率より一桁以上高い数十倍の蛍光信号強度を得ることができる。また、量子収率の高い蛍光物質(明るい蛍光物質)においても、従来より数十倍以上高い蛍光信号強度を得ることができるので、明るい蛍光物質の実用性を向上させることができる。さらに、弱励起光でも高い蛍光信号の増強効果を発揮することから、自家蛍光を抑制でき、蛍光信号のS/N比を向上させることができる。さらにまた、当該測定用チップは、基板上からの蛍光信号を検出する分析方法(プレートアッセイ、バイオチップ、DNAチップ等、ナノセンサー)のほぼ全てに適用でき、各分析方法における感度向上を図ることができる。
基板に多孔質膜を配置した後、前記多孔質膜における前記基板と反対側の面に、少なくとも銀を含有する貴金属層を配置することにより、測定用チップを製造する工程と、
前記測定用チップの前記貴金属層に、測定対象物質を配置する工程と、
前記測定用チップの前記測定対象物質に特異的に結合する結合物質であって、蛍光色素で標識した結合物質を、前記測定対象物質に結合させる工程と、
前記蛍光色素を観察する工程と、
を含むことを特徴とする蛍光測定法。
この付記24によれば、測定対象物が不明なサンプル(細胞を含み得る)を先に測定用チップへ結合又は接近させておき、このサンプルに含まれる測定対象物を、数種類の蛍光標識した結合物質(例えば抗体)で検出する場合においても、付記23と同様の効果を得ることができる。
前記結合物質が、抗原または抗体であること、
を特徴とする請求項23又は24に記載の蛍光測定法。
この付記25によれば、抗原または抗体を結合物質として用いて、付記23又は24の効果を得ることができる。
前記測定用チップを製造する工程と前記蛍光色素を観察する工程との相互間に、前記測定用チップを、BSA、スキムミルク、又は、カゼインからなる群より選ばれる少なくとも一種と反応させる工程、
を含むことを特徴とする請求項23から25のいずれか一項に記載の蛍光測定法。
この付記26によれば、測定用チップをBSA等と反応させることで、自家蛍光を抑制して、蛍光強度測定におけるS/N比を高めることができる。また同時に、クエンチングを抑制して、明るい蛍光色素に対しても表面増強効果を得ることができる。
2 基板
3 ベース層
4 多孔質膜
5 貴金属層
7 陰イオン
Claims (4)
- 基板に多孔質膜を配置した後、前記多孔質膜における前記基板と反対側の面に、少なくとも銀を含有する貴金属層を配置することにより、測定用チップを製造する工程と、
前記測定用チップの前記貴金属層に、測定対象物質に特異的に結合する結合物質を配置する工程と、
前記測定用チップの前記結合物質に測定対象物質を結合させる工程と、
前記測定用チップの前記結合物質に結合させた測定対象物質に、蛍光色素で標識した結合物質を結合させる工程と、
前記蛍光色素を観察する工程と、
を含むことを特徴とする蛍光測定法。 - 基板に多孔質膜を配置した後、前記多孔質膜における前記基板と反対側の面に、少なくとも銀を含有する貴金属層を配置することにより、測定用チップを製造する工程と、
前記測定用チップの前記貴金属層に、測定対象物質を配置する工程と、
前記測定用チップの前記測定対象物質に特異的に結合する結合物質であって、蛍光色素で標識した結合物質を、前記測定対象物質に結合させる工程と、
前記蛍光色素を観察する工程と、
を含むことを特徴とする蛍光測定法。 - 前記結合物質が、抗原または抗体であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光測定法。 - 前記測定用チップを製造する工程と前記蛍光色素を観察する工程との相互間に、前記測定用チップを、BSA、スキムミルク、又は、カゼインからなる群より選ばれる少なくとも一種と反応させる工程、
を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の蛍光測定法。
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