JP5108938B2 - ポリエチレンナフタレート繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリエチレンナフタレート繊維及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は産業資材等、特にタイヤコードや伝動ベルトなどのゴム補強用繊維として有用な、高モジュラスでありながら耐熱性に優れるポリエチレンナフタレート繊維、及びその製造方法に関する。
ポリエチレンナフタレート繊維は、高強度、高モジュラスおよび優れた寸法安定性を示し、タイヤコード、伝動ベルト等のゴム補強材をはじめとする産業資材分野で広く適用され始めている。なかでも高モジュラスである点で従来からあるレーヨン繊維代替が強く期待されている。なぜならレーヨン繊維には、製造に際し負荷が大きく、乾湿物性の差が大きいため加工、成形、使用しにくいという課題があるからである。しかしレーヨン繊維には、寸法安定性が高くゴム補強用の繊維としては扱い易いものであるのに対し、ポリエチレンナフタレート繊維は分子が剛直で繊維軸方向に配向し易いため、高強度、高モジュラスとの物性は得られやすいものの、寸法安定性、特に熱に対する寸法安定性は両立しにくいという問題があった。
そこで例えば特許文献1では、高速紡糸を行うことによる、耐熱性、寸法安定性に優れたポリエチレンナフタレート繊維が提案されている。しかし融点が高い場合には強度が低く、強度を高くした場合には融点が低くなるという問題があった。すなわち強度と耐熱性とを高いレベルで満足させることはできないものであった。
また、例えば特許文献2には、溶融紡糸の口金直下に390℃に加熱した加熱紡糸筒を設置し、300倍前後のドラフトの高速紡糸と熱延伸を行うことによって、強力と共に、乾熱収縮率とクリープ率の優れたポリエチレンナフタレート繊維が開示されている。しかし得られた繊維の融点は288℃とまだ低く、強度も8.0g/de(約6.8N/dtex)と不十分なものであり、耐熱性や寸法安定性についてもまだ満足のいくものではなかった。
特許文献2とは異なり、特許文献3では、引き取り速度1000m/分以下の60倍程度の低ドラフト未延伸糸を、長さ20〜50cm、雰囲気温度275〜350℃の紡糸筒を用いて遅延冷却したのちに高倍率延伸することにより高強度で熱安定性に優れたポリエチレンナフタレート繊維が提案されている。また、特許文献4では、紡糸ドラフト比400〜900で低い複屈折率0.005〜0.025の未延伸糸を得、これを総延伸比6.5倍以上の多段延伸により高強度かつ寸法安定性に優れたポリエチレンナフタレート繊維が提案されている。
しかし、これらのいずれの方法によっても、得られた繊維の強度こそ高い物性が得られるものの、その融点は284℃以下と低いものであり、耐熱性や寸法安定性については満足のいくレベルには達していない。
特開昭62−156312号公報 特開平06−184815号公報 特開平04−352811号公報 特開2002−339161号公報
本発明はこのような現状に鑑み、産業資材等、特にタイヤコードや伝動ベルトなどのゴム補強用繊維として有用な、高モジュラスでありながら耐熱性に優れ、結果的に高温条件下での耐疲労性に優れるポリエチレンナフタレート繊維、及びその製造方法を提供することにある。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレート繊維であって、繊維のX線広角回折より得られる結晶体積が550〜1200nmであり、結晶化度が30〜60%であることを特徴とする。
さらには、X線広角回折の最大ピーク回折角が25.5〜27.0度であることや、リン原子をエチレンナフタレート単位に対して0.1〜300mmol%含有するものであることが好ましい。また、ポリエチレンナフタレート繊維が、金属元素を含むものであり、該金属元素が周期律表における第4〜5周期かつ3〜12族の金属元素およびMgの群より選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であることが好ましく、さらには該金属元素が、Zn、Mn、Co、Mgの群から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であることが好ましい。
そして、窒素気流下10℃/分の降温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcdが15〜50J/gであることや、強度が4.0〜10.0cN/dtexであること、融点が285〜315℃であることが好ましい。180℃の乾熱収縮率が0.5〜4.0%未満であることや、tanδのピーク温度が150〜170℃であること、200℃におけるモジュラスE’(200℃)と20℃におけるモジュラスE’(20℃)の比E’(200℃)/E’(20℃)が0.25〜0.5であることも好ましい。
もう一つの本発明のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法は、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリマーを溶融し、紡糸口金から吐出するポリエチレンナフタレート繊維の製造方法であって、溶融時のポリマーが金属元素を含み、該金属元素が周期律表における第4〜5周期かつ3〜12族の金属元素およびMgの群より選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であり、溶融時のポリマー中に下記一般式(I)であらわされる少なくとも1種類のリン化合物を、他の化合物とあらかじめ反応させることなく直接ポリマーに添加した後に紡糸口金から吐出し、紡糸口金から吐出後の紡糸ドラフト比が500〜5000であり、紡糸口金から吐出直後に溶融ポリマー温度のプラスマイナス50℃以内の保温紡糸筒を通過し、かつ延伸することを特徴とする。
Figure 0005108938
[上の式中、Rは炭素数〜20個の炭化水素基であるアリール基であり、Rは水素原子又は炭素数の1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、Xは、水素原子または−OR基であり、Xが−OR基である場合、Rは水素原子又は炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、であり、RとRは同一であっても異なっていても良い。
また、リン化合物が下記一般式(I’)であることが好ましく、特には、リン化合物がフェニルホスフィン酸またはフェニルホスホン酸であることが好ましい。
Figure 0005108938
[上の式中、Arは炭素数6〜20個の炭化水素基であるアリール基であり、Rは水素原子又は炭素数の1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、Yは、水素原子または−OH基である。]
本発明によれば、産業資材等、特にタイヤコードや伝動ベルトなどのゴム補強用繊維として有用な、高モジュラスでありながら耐熱性に優れ、結果的に高温条件下での耐疲労性に優れるポリエチレンナフタレート繊維、及びその製造方法が提供される。
図1は本願発明品である実施例5の広角X線回折スペクトルである。
図2は従来品である比較例1の広角X線回折スペクトルである。
図3は比較例8の広角X線回折スペクトルである。
1 実施例5
2 比較例1
3 比較例8
本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートである繊維である。さらにはエチレン−2,6−ナフタレート単位を80%以上、特には90%以上含むポリエチレンナフタレート繊維であることが好ましい。他に少量であれば、適当な第3成分を含む共重合体であっても差し支えない。なお、同じポリエステルではあってもポリエチレンテレフタレートの場合には、明確な結晶構造を有さず、本発明の高強力と高弾性率が両立する繊維とはならない。
一般にこのようなポリエチレンナフタレート繊維は、ポリエチレンナフタレートの重合体を、溶融紡糸することにより繊維化される。そしてポリエチレンナフタレートの重合体は、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはその機能的誘導体を触媒の存在下で、適当な反応条件の下に重合することができる。また、ポリエチレンナフタレートの重合完結前に、適当な1種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合ポリエチレンナフタレートが合成される。
適当な第3成分としては、(a)2個のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸;グリコール酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸;プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p,p′−ジフェノキシスルホン−1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコール、p−フェニレンビス(ジメチルシクロヘキサン)などのオキシ化合物、あるいはその機能的誘導体;前記カルボン酸類、オキシカルボン酸類、オキシ化合物類またはその機能的誘導体から誘導される高重合度化合物などや、(b)1個のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。さらに(c)3個以上のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸なども、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。
また、前記ポリエチレンナフタレート中には、各種の添加剤、たとえば二酸化チタンなどの艶消剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤、耐衝撃剤の添加剤、または補強剤としてモンモリナイト、ベントナイト、ヘクトライト、板状酸化鉄、板状炭酸カルシウム、板状ベーマイト、あるいはカーボンナノチューブなどの添加剤が含まれていてもよい。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、上記のようなポリエチレンナフタレートからなる繊維であって、X線広角回折より得られる結晶体積が550〜1200nm(55万〜120万オングストローム)であり、結晶化度が30〜60%であることを必須とする。さらには結晶体積が600〜1000nm(60万〜100万オングストローム)であることが好ましい。また結晶化度としては35〜55%であることが好ましい。
ここで本願の結晶体積とは、繊維の広角X線回折において、回折角が15〜16度、23〜25度、25.5〜27度の回折ピークから得られる結晶サイズの積である。ちなみにこのそれぞれの回折角はポリエチレンナフタレート繊維の結晶面(010)、(100)、(1−10)における面反射によるものであり、理論的には各ブラッグ反射角2θに対応するものであるが、全体の結晶構造の変化により若干シフトしたピークを有するものである。また、このような結晶構造はポリエチレンナフタレート繊維に特有のものである。例えば同じポリエステル繊維ではあっても、ポリエチレンテレフタレート繊維には存在しない。
また、本願の結晶化度(Xc)とは、比重(ρ)とポリエチレンナレフタレートの完全非晶密度(ρa)と完全結晶密度(ρc)とから下記の数式(1)により求めた値である。
Figure 0005108938
式中
ρ :ポリエチレンナフタレート繊維の比重
ρa:1.325(ポリエチレンナレフタレートの完全非晶密度)
ρc:1.407(ポリエチレンナレフタレートの完全結晶密度)
本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、従来の高強力繊維と同様の高い結晶化度を維持しながら、従来に無い高い結晶体積を実現することにより高い熱安定性と高い融点を得ることができたものである。結晶体積が550nm(55万オングストローム)未満では、このような高い融点を得ることができない。結晶体積は高くするほど熱安定性に優れ好ましいが、一般にその場合には結晶化度が低下し強度が低下するために1200nm(120万オングストローム)程度が上限である。また結晶化度が30%未満では高い引張強度やモジュラスを実現することができない。
結晶体積を大きくするためには、紡糸時の口金下温度を低く保ちながら、紡糸する方法が有効である。また、紡糸ドラフト比や延伸倍率等を高め、繊維を引き伸ばすことによっても大きい結晶体積を得ることができる。ただし、紡糸ドラフト比を高くすると剛直な繊維であるポリエチレンナフタレート繊維は断糸しやすくなるため、紡糸ドラフト比は100〜5000程度に留め、延伸倍率を高めることが特に有効である。もっとも、通常は紡糸時の口金下温度を低く保った状態で結晶体積を大きくするようなドラフトを行った場合には、紡糸時に断糸が発生し、繊維を製造することができない。しかし、本発明では特定のリン化合物を用いることによってこのような結晶体積を実現できるようになったのである。
結晶化度を高めるためには、結晶体積を大きくするのと同じく、紡糸ドラフト比や延伸倍率等を高め、繊維を高倍率に引き伸ばすことによって得ることができる。しかし結晶体積が大きくなるとともに結晶化度が高くなると剛直な繊維であるポリエチレンナフタレート繊維はますます断糸しやすくなる。そこで本発明では、結晶体積を550〜1200nm(55万〜120万オングストローム)の範囲内としながら、結晶化度を30〜60%とすることが重要となる。このためには紡糸前のポリマーの段階で、均一な結晶構造を形成させることが重要である。たとえば特有のリン化合物をポリマーに含有させることによってそのような均一な結晶構造を実現させることが可能となる。
さらに本発明のポリエチレンナフタレート繊維ではX線広角回折の最大ピーク回折角が25.5〜27.0度の範囲にあることが好ましい。理由は定かではないが、結晶面である(010)、(100)、(1−10)のうち、繊維軸上にこの(1−10)面の結晶が大きく成長することにより耐熱性が大幅に向上される。このような繊維軸と平行な結晶の大きさは、特に繊維を一定方向に高倍率で引き伸ばすことによって高めることができ、たとえば紡糸ドラフト比や延伸倍率等を高めることによって得ることができる。
また本発明のポリエチレンナフタレート繊維としては、降温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcdが15〜50J/gであることが好ましい。さらには20〜50J/g、特には30J/g以上であることが好ましい。ここで降温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcdとは、ポリエチレンナフタレート繊維を窒素気流下20℃/分の昇温条件にて320℃まで加熱し5分溶融保持させた後、窒素気流下10℃/分の降温条件にて示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したものである。この降温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcdは、降温条件での降温結晶化を示しているものと考えられる。
さらに本発明のポリエチレンナフタレート繊維としては、昇温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcが15〜50J/gであることが好ましい。さらには20〜50J/g、特には30J/g以上であることが好ましい。ここで昇温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcとは、ポリエチレンナフタレート繊維を320℃で2分間溶融保持させた後、液体窒素中で固化させ急冷固化ポリエチレンナフタレートとした後に、窒素気流下20℃/分の昇温条件にて示差走査熱量計を用い測定したものである。この昇温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcは、繊維を構成するポリマーの昇温条件での昇温結晶化を示しているものと考えられる。一度溶融、冷却固化させることにより、繊維成形時の熱履歴の影響をより小さくすることができる。
このエネルギーΔHcdまたはΔHcが低い場合には結晶性が低くなる傾向にあり好ましくない。またエネルギーΔHcdまたはΔHcが高すぎる場合には、ポリエチレンナフタレート繊維の紡糸、延伸熱セット時に結晶化が進みすぎる傾向にあり、結晶成長が紡糸、延伸の工程を阻害し高強度の繊維となりにくい傾向にある。またエネルギーΔHcdまたはΔHcが高すぎる場合には製造時に断糸、糸切れが多発する要因ともなる。
またこのような本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、リン原子をエチレンナフタレート単位に対して0.1〜300mmol%含有するものであることが好ましい。さらには、リン原子の含有量が10〜200mmol%であることが好ましい。リン化合物により結晶性をコントロールすることが容易になるからである。
また、本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、通常触媒としての金属元素を含むものであるが、この繊維に含まれる金属元素が周期律表における第4〜5周期かつ3〜12族の金属元素およびMgの群より選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であることが好ましい。特には繊維に含まれる金属元素が、Zn、Mn、Co、Mgの群から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であることが好ましい。理由は定かではないが、これらの金属元素をリン化合物と併用した場合に特に結晶体積のばらつきが少ない均一な結晶が得られやすくなる。
このような金属元素の含有量としては、エチレンナフタレート単位に対して10〜1000mmol%含有するものであることが好ましい。そして前述のリン元素Pと金属元素Mの存在比であるP/M比としては0.8〜2.0の範囲であることが好ましい。P/M比が小さすぎる場合には、金属濃度が過剰となり、過剰金属成分がポリマーの熱分解を促進し、熱安定性を損なう傾向にある。逆にP/M比が大きすぎる場合には、リン化合物が過剰のため、ポリエチレンナフタレートポリマーの重合反応を阻害し、繊維物性が低下する傾向にある。さらに好ましいP/M比としては0.9〜1.8であることが好ましい。
そして本発明のポリエチレンナフタレート繊維の強度としては4.0〜10.0cN/dtexであることが好ましい。さらには5.0〜9.0cN/dtex、より好ましくは6.0〜8.0cN/dtexであることが好ましい。強度が低すぎる場合にはもちろん、高すぎる場合にも耐久性に劣る傾向にある。また、ぎりぎりの高強度で生産を行うと製糸工程での断糸が発生し易い傾向にあり工業繊維としての品質安定性に問題がある傾向にある。
融点としては285〜315℃であることが好ましい。さらには290〜310℃であることが最適である。融点が低すぎる場合には耐熱性、寸法安定性が劣る傾向にある。一方高すぎても溶融紡糸が困難になる傾向にある。繊維が高い融点を有する場合には、繊維の耐熱強力維持率を高く保つことができ、高温雰囲気下で用いられる複合材料用の補強用繊維として最適である。
また180℃の乾熱収縮率は、0.5〜4.0%未満であることが好ましい。さらには1.0〜3.5%であることが好ましい。乾熱収縮率が高すぎる場合、加工時の寸法変化が大きくなる傾向にあり、繊維を用いた成形品の寸法安定性が劣るものとなりやすい。このような高融点、低乾熱収縮率は本発明の繊維を構成するポリマーの結晶体積を大きくすることにより達成されたものでである。
また、本発明のポリエチレンナフタレート繊維のtanδのピーク温度は150〜170℃であることが好ましい。従来のポリエチレンナフタレート繊維のtanδは通常180℃近辺であるが、本発明のポリエチレンナフタレート繊維は高配向結晶化に伴いtanδの値が低温シフトしたもので、タイヤなどのゴム補強用繊維として疲労性の面で有利な特性を発揮することができる。
また高温条件でのモジュラスが高くなっていることが好ましい。例えば200℃におけるモジュラスE’(200℃)と20℃におけるモジュラスE’(20℃)の比E’(200℃)/E’(20℃)が0.25〜0.5であることが好ましい。または、100℃におけるモジュラスE’(100℃)と20℃におけるモジュラスE’(20℃)の比E’(100℃)/E’(20℃)が0.7〜0.9であることが好ましい。このように高温でのモジュラスを高くすることにより、高温での寸法安定性を極めて高いレベルに保持することが可能となる。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維の極限粘度IVfとしては0.6〜1.0の範囲であることが好ましい。極限粘度が低すぎると本発明の目的とする高強度、高モジュラス及び寸法安定性に優れたポリエチレンナフタレート繊維を得ることは困難である。一方極限粘度を必要以上に高めた場合、紡糸工程で断糸が多発し、工業的な生産は困難となる。本発明におけるポリエチレンナフタレート繊維の極限粘度IVfは0.7〜0.9の範囲であることが特に好ましい。
また本発明のポリエチレンナフタレート繊維の複屈折率(ΔnDY)としては、0.15〜0.35の範囲であることが好ましい。そして密度(ρDY)としては、1.350〜1.370であることが好ましい。複屈折率(ΔnDY)や密度(ρDY)が小さい場合には、十分発達した繊維構造が形成されておらず、本発明の目的である耐熱性、寸法安定性が得にくい傾向にある。一方、複屈折率(ΔnDY)や密度(ρDY)を上げ過ぎた場合、製造工程において延伸倍率を破断延伸倍率付近にまで高くするなどの条件を採用する必要があり、断糸が起こりやすく安定した繊維を得ることが困難な傾向にある。本発明におけるポリエチレンナフタレート繊維の複屈折率(ΔnDY)としては0.18〜0.32、密度(ρDY)としては1.355〜1.365の各範囲であることが、さらに好ましい。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維の単糸繊度には特に限定は無いが、製糸性の観点から0.1〜100dtex/フィラメントであることが好ましい。特にタイヤコード、V−ベルト等のゴム補強用繊維や、産業資材用繊維としては、強力、耐熱性や接着性の観点から、1〜20dtex/フィラメントであることが好ましい。
総繊度に関しても特に制限は無いが、10〜10,000dtexが好ましく、特にタイヤコード、V−ベルト等のゴム補強用繊維や、産業資材用繊維としては、250〜6,000dtexであることが好ましい。また総繊度としては例えば1,000dtexの繊維を2本合糸して総繊度2,000dtexとするように、紡糸、延伸の途中、あるいはそれぞれの終了後に2〜10本の合糸を行うことも好ましい。
さらに本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、上記のようなポリエチレンナフタレート繊維をマルチフィラメントとし撚りを掛けてコードの形態としたものであることも好ましい。マルチフィラメント繊維に撚りを掛けることにより、強力利用率が平均化し、その疲労性が向上する。撚り数としては50〜1000回/mの範囲であることが好ましく、下撚りと上撚りを行い合糸したコードであることも好ましい。合糸する前の糸条を構成するフィラメント数は50〜3000本であることが好ましい。このようなマルチフィラメントとすることにより耐疲労性や柔軟性がより向上する。繊度が小さすぎる場合には強度が不足する傾向にある。逆に繊度が大きすぎる場合には太くなりすぎて柔軟性が得られない問題や、紡糸時に単糸間の膠着が起こりやすく安定した繊維の製造が困難となる傾向にある。
上記のような特徴を有する本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、従来のポリエチレンナフタレート繊維に比べ融点が高く、高温条件下での使用の際にも充分に性能を発揮しうる補強用繊維となる。特に高温での耐久性が要求されるゴム補強用の繊維として最適である。
このような本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、例えばもう一つの本発明であるポリエチレンナフタレート繊維の製造方法により得ることが可能である。すなわち、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリマーを溶融し、紡糸口金から吐出するポリエチレンナフタレート繊維の製造方法であって、溶融時のポリマー中に下記一般式(I)または(II)であらわされる少なくとも1種類のリン化合物添加した後に紡糸口金から吐出し、紡糸口金から吐出後の紡糸ドラフト比が100〜5000であり、紡糸口金から吐出直後に溶融ポリマー温度のプラスマイナス50℃以内の温度の保温紡糸筒を通過し、かつ延伸する製造方法により得ることできる。
Figure 0005108938
[上の式中、Rは炭素数1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、Rは水素原子又は炭素数の1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、Xは、水素原子またはーOR基であり、Xが−OR基である場合、Rは水素原子又は炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、であり、RとRは同一であっても異なっていても良い。]
Figure 0005108938
[上の式中、R〜Rは炭素数4〜18個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、R〜Rは同一であっても異なっていても良い。]
本発明で用いられる主たる繰返し単位がエチレンナフタレートであるポリマーとしては、好ましくはエチレン−2,6−ナフタレート単位を80%以上、特には90%以上含むポリエチレンナフタレートであることが好ましい。他に少量であれば、適当な第3成分を含む共重合体であっても差し支えない。
適当な第3成分としては、(a)2個のエステル形成官能基を有する化合物や、(b)1個のエステル形成官能基を有する化合物、さらには(c)3個以上のエステル形成官能基を有する化合物など、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。また、ポリエチレンナフタレート中には、各種の添加剤が含まれていてもよいことはいうまでもない。
このような本発明のポリエステルは、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造することができる。すなわち、酸成分として、ナフタレン−2,6−ジメチルカルボキシレート(NDC)に代表される2,6−ナフタレンジカルボン酸のジアルキルエステルとグリコール成分であるエチレングリコールとでエステル交換反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して、余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造することができる。あるいは、酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸とジオール成分であるエチレングリコールとでエステル化させることにより、従来公知の直接重合法により製造することもできる。
エステル交換反応を利用した方法の場合に用いるエステル交換触媒としては、特に限定されるものではないが、マンガン、マグネシウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、コバルト、ナトリウム、リチウム、鉛化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えばマンガン、マグネシウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、コバルト、ナトリウム、リチウム、鉛の酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。
中でも、ポリエステルの溶融安定性、色相、ポリマー不溶異物の少なさ、紡糸の安定性の観点から、マンガン、マグネシウム、亜鉛、チタン、ナトリウム、リチウム化合物が好ましく、さらにマンガン、マグネシウム、亜鉛化合物が好ましい。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
重合触媒については、特に限定されるものではないが、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、すず化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えばアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、すずの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
中でも、ポリエステルの重合活性、固相重合活性、溶融安定性、色相に優れ、かつ得られる繊維が高強度で、優れた製糸性、延伸性を有する点で、アンチモン化合物が特に好ましい。
本発明では、上記ポリマーを溶融し、紡糸口金から吐出して繊維とするのであるが、このとき溶融時のポリマー中に下記一般式(I)または(II)であらわされる少なくとも1種類のリン化合物を添加した後に紡糸口金から吐出することを必須とする。
Figure 0005108938
[上の式中、Rは炭素数1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、Rは水素原子又は炭素数の1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、Xは、水素原子または−OR基であり、Xが−OR基である場合、Rは水素原子又は炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、であり、RとRは同一であっても異なっていても良い。]
Figure 0005108938
[上の式中、R〜Rは炭素数4〜18個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、R〜Rは同一であっても異なっていても良い。]
また、式中に用いられたアルキル基、アリール基、ベンジル基は置換されたものであっても良い。さらにはRおよびRは、炭素数1〜12個の炭化水素基であることが好ましい。
一般式(I)の好ましい化合物としては、例えばフェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノメチル、フェニルホスホン酸モノエチル、フェニルホスホン酸モノプロピル、フェニルホスホン酸モノフェニル、フェニルホスホン酸モノベンジル、(2−ヒドロキシエチル)フェニルホスホネート、2−ナルフチルホスホン酸、1−ナフチルホスホン酸、2−アントリルホスホン酸、1−アントリルホスホン酸、4−ビフェニルホスホン酸、4−メチルフェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸エチル、フェニルホスフィン酸プロピル、フェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸ベンジル、(2−ヒドロキシエチル)フェニルホスフィネート、2−ナルフチルホスフィン酸、1−ナフチルホスフィン酸、2−アントリルホスフィン酸、1−アントリルホスフィン酸、4−ビフェニルホスフィン酸、4−メチルフェニルホスフィン酸、4−メトキシフェニルホスフィン酸などを挙げることができる。
そして、一般式(II)の化合物としてはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。さらに、上記一般式(I)の化合物は、Rはアリール基であり、Rは水素原子又は炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、Rは、水素原子または−OH基であることが好ましい。
すなわち、本発明で用いられる特に好ましいリン化合物としては、下記一般式(I’)を挙げることができる。
Figure 0005108938
[上の式中、Arは炭素数6〜20個の炭化水素基であるアリール基であり、Rは水素原子又は炭素数の1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、Yは、水素原子または−OH基である。]
ちなみに式中で用いられているRの炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、ベンジル基であることが好ましく、それらは未置換のもしくは置換されたものであっても良い。このときRの置換基としては立体構造を阻害しないのであることが好ましく、例えば、ヒドロキシル基、エステル基、アルコキシ基等で置換されているものを挙げることがきる。また上記(I’)のArで示されるアリール基は、例えば、アルキル基、アリール基、ベンジル基、アルキレン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子で置換されていても良い。
さらには、本発明で用いられるリン化合物としては、下記一般式(III)で表されたフェニルホスホン酸およびその誘導体あることが好ましい。
Figure 0005108938
[上の式中、Arは炭素数6〜20個の炭化水素基であるアリール基であり、Rは水素原子又は未置換もしくは置換された1〜20個の炭素元素を有する炭化水素基である。]
本発明ではこれら特有のリン化合物を溶融ポリマー中に直接添加することにより、ポリエチレンナフタレートの結晶性が向上し、その後の製造条件の下で結晶化度を高く保ちながら、結晶体積の大きいポリエチレンナフタレート繊維を得ることができたのである。これはこの特有のリン化合物が、紡糸及び延伸工程で生じる粗大な結晶成長を抑制し結晶を微分散化させる効果であると考えられる。また従来ポリエチレンナフタレート繊維を高速紡糸することは非常に困難であったが、これらのリン化合物が添加されることにより、紡糸安定性が飛躍的に向上し、かつ断糸が起きない点から実用的な延伸倍率を高めることによって繊維を高強度化することができるようになった。
ちなみに式中で用いられているR〜Rの炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、ジフェニル基、ベンジル基、アルキレン基、アリーレン基を挙げることができる。またこれらは例えば、ヒドロキシル基、エステル基、アルコキシ基で置換されていることが好ましい。
かかる置換基で置換された炭化水素基としては好適には、下記官能基及びその異性体を例示することができる。
−(CH)n−OH
−(CH)n−OCH
−(CH)n−OPh
−Ph−OH (Ph;芳香環)
[nは1〜10までの整数を表す]
中でも結晶性を向上させるためには上記一般式(I)のリン化合物であることが、さらには上記一般式(I’)、特には上記一般式(III)であることが好ましい。
また工程中の真空下での飛散を防止するためには、式(I)を例に説明すると、Rの炭素数としては4個以上、さらには6個以上であることが好ましく、特にアリール基であることが好ましい。あるいは、Xが水素原子または水酸基である、例えば一般式(I’)であることが好ましい。Xが水素原子または水酸基である場合にも、工程中の真空下では飛散しにくい。
また、高い結晶性向上の効果を示すためには、Rがアリール基であることが、さらにはベンジル基やフェニル基であることが好ましく、本発明の製造方法では、リン化合物がフェニルホスフィン酸またはフェニルホスホン酸であることが特に好ましい。中でもフェニルホスホン酸およびその誘導体であることが最適であり、作業性の面からもフェニルホスホン酸が最も好ましい。フェニルホスホン酸は水酸基を有するため、そうでは無いフェニルホスホン酸ジメチルなどのアルキルエステルに比べて沸点が高く、真空下で飛散しにくいというメリットもある。つまり、添加したリン化合物のうちポリエステル中に残存する量が増え、添加量対比の効果が高くなる。また真空系の閉塞が発生しにくい点からも有利である。
本発明で用いられるリン化合物の添加量としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分のモル数に対して0.1〜300ミリモル%であることが好適である。リン化合物の量が不十分であると結晶性向上効果が不十分になる傾向にあり、多すぎる場合には紡糸時の異物欠点が発生するために製糸性が低下する傾向にある。リン化合物の含有量はポリエステルを構成するジカルボン酸成分のモル数に対して1〜100ミリモル%の範囲がより好ましく、10〜80ミリモル%の範囲がさらに好ましい。
また、このようなリン化合物と共に、周期律表における第4〜5周期かつ3〜12族の金属元素およびMgの群より選ばれる少なくとも1種以上の金属元素が溶融ポリマー中に添加されていることが好ましい。特には繊維に含まれる金属元素が、Zn、Mn、Co、Mgの群から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であることが好ましい。理由は定かではないが、これらの金属元素を上記リン化合物と併用した場合に特に結晶体積のばらつきが少ない均一な結晶が得られやすくなる。これらの金属元素は、エステル交換触媒や重合触媒として添加しても良いし、別途添加することも可能である。
このような金属元素の含有量としては、エチレンナフタレート単位に対して10〜1000mmol%含有するものであることが好ましい。そして前述のリン元素Pと金属元素Mの存在比であるP/M比としては0.8〜2.0の範囲であることが好ましい。P/M比が小さすぎる場合には、金属濃度が過剰となり、過剰金属成分がポリマーの熱分解を促進し、熱安定性を損なう傾向にある。逆にP/M比が大きすぎる場合には、リン化合物が過剰のため、ポリエチレンナフタレートポリマーの重合反応を阻害し、繊維物性が低下する傾向にある。さらに好ましいP/M比としては0.9〜1.8であることが好ましい。
本発明に用いるリン化合物の添加時期は、特に限定される物ではなく、ポリエステル製造の任意の工程において添加することができる。好ましくは、エステル交換反応又はエステル化反応の開始当初から重合終了する間である。さらに均一な結晶を形成させるためにはエステル交換反応又はエステル化反応の終了した時点から重合反応の終了時点の間であることがより好ましい。
また、ポリエステルの重合後に、混練機を用いて、リン化合物を練り込む方法を採用することもできる。混練する方法は特に限定されるものではないが、通常の一軸、二軸混練機を使用することが好ましい。さらに好ましくは、得られるポリエステル組成物の重合度の低下を抑制するために、ベント式の一軸、二軸混練機を使用する方法を例示できる。
この混練時の条件は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルの融点以上、滞留時間は1時間以内、好ましくは1分〜30分である。また、混練機へのリン化合物、ポリエステルの供給方法は特に限定されるものではない。例えばリン化合物、ポリエステルを別々に混練機に供給する方法、高濃度のリン化合物を含有するマスターチップとポリエステルを適宜混合して供給する方法などを挙げることができる。ただし溶融ポリマー中に本発明で用いられる特有のリン化合物を添加する際には、他の化合物とあらかじめ反応させることなく、直接ポリエステルポリマーに添加することが好ましい。リン化合物を他の化合物、例えばチタン化合物とあらかじめ反応させてできた反応生成物が粗大粒子となり、ポリエステルポリマー中で構造欠陥や結晶の乱れを誘起することを防ぐためである。
本発明で用いられるポリエチレンナフタレートのポリマーは、樹脂チップの極限粘度として、公知の溶融重合や固相重合を行うことにより0.65〜1.2の範囲にすることが好ましい。樹脂チップの極限粘度が低すぎる場合には溶融紡糸後の繊維を高強度化させることが困難となる。また極限粘度が高すぎると固相重合時間が大幅に増加し、生産効率が低下するため工業的観点から好ましくない。極限粘度としては、さらには0.7〜1.0の範囲であることが好ましい。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法は、上記のポリエチレンナフタレートポリマーを溶融し、紡糸口金から吐出後の紡糸ドラフト比が100〜5000であり、紡糸口金から吐出直後に溶融ポリマー温度のプラスマイナス50℃以内の範囲内に設定された保温紡糸筒を通過し、かつ延伸することを必須とする。
溶融時のポリエチレンナフタレートポリマーの温度としては285〜335℃であることが好ましい。さらには290〜330℃の範囲であることが好ましい。紡糸口金としてはキャピラリーを具備したものを用いることが一般的である。
そして紡糸ドラフトとしては100〜5000で行うことが必須である。さらには500〜3000のドラフト条件であることが好ましい。紡糸ドラフトとは、紡糸巻取速度(紡糸速度)と紡糸吐出線速度の比として定義され、下記の数式(2)で表されるものである。
Figure 0005108938
(式中、Dは口金の孔径、Vは紡糸引取速度、Wは単孔あたりの体積吐出量を示す)
紡糸ドラフト比を大きくすることによって、ポリマー中の結晶体積や結晶化度を上げることができる。
このような高紡糸ドラフトとするためには、紡糸速度が高いことが好ましく、本発明の製造方法の紡糸速度としては1500〜6000m/分であることが適切である。さらには2000〜5000m/分であることが好ましい。
さらに本発明の製造方法では、紡糸口金から吐出直後に溶融ポリマー温度のプラスマイナス50℃以内の範囲内に設定された保温紡糸筒を通過することを必須要件とする。さらには保温紡糸筒の設定温度は溶融ポリマー温度以下であることが好ましい。また、保温紡糸筒の長さとしては10〜300mmであることが好ましく、さらには30〜150mmであることが好ましい。保温紡糸筒の通過時間としては、0.2秒以上であることが好ましい。
通常ポリエチレンナフタレート繊維の製造方法においては、本願のように高ドラフト条件を採用した場合、溶融ポリマー温度よりも数十度高い加熱紡糸筒を使用している。剛直なポリマーであるポリエチレンナフタレートポリマーは、紡糸口金から吐出された直後にすぐに配向しやすく、単糸切れを発生しやすいため、加熱紡糸筒をもちいて遅延冷却させる必要があるからである。紡糸筒温度が溶融ポリマー温度付近の場合には、吐出するポリマーの速度が速いために、遅延冷却状態とならないからである。
しかし本発明の製造方法では特定のリン化合物を用いて微小結晶を形成させることにより、同じ配向度であっても均一な構造とすることが可能となった。そして均一構造であるがゆえに加熱紡糸筒を用いなくても単糸切れが発生せず、高い製糸性を確保することが可能となったのである。また、このような低温の保温紡糸筒を用いることによりポリエチレンナフタレート繊維の結晶体積をより有効に大きくすることができるようになった。高温の紡糸筒ではポリマー中の分子運動が激しく、大きな結晶の生成が阻害されるためである。そして大きな結晶体積を有することにより、得られる繊維の融点や耐熱疲労性を有効に高めることができるようになったのである。
保温紡糸筒を通過した紡出糸条は、次いで30℃以下の冷風を吹き付けて冷却することが好ましい。さらには25℃以下の冷風であることが好ましい。冷却風の吹出量としては2〜10Nm/分、吹出長さとしては100〜500mm程度であることが好ましい。次いで、冷却された糸状については、油剤を付与することが好ましい。
このようにして紡糸された未延伸糸は、複屈折率(ΔnUD)としては0.10〜0.28、密度(ρUD))としては1.345〜1.365の範囲であることが好ましい。複屈折率(ΔnUD)や密度(ρUD)が小さい場合には、紡糸過程での繊維の配向結晶化が不充分となり、耐熱性及び優れた寸法安定性が得られない傾向にある。一方、複屈折率(ΔnUD)や密度(ρUD)が大きすぎる場合、紡糸過程で粗大な結晶成長が発生していることが推測され、紡糸性を阻害し断糸が多発する傾向にあり、実質的に製造が困難となる傾向にある。また、その後の延伸性も阻害されるため高物性の繊維の製造が困難となる傾向にある。さらには紡糸された未延伸糸の複屈折率(ΔnUD)としては0.11〜0.26、密度(ρUD)としては1.350〜1.360の範囲であるこいとがより好ましい。
本発明は高紡糸ドラフトを行うことを特徴とするが、通常程度のドラフトを行った場合には、結晶体積が小さくなり融点も低く、本発明のように高い寸法安定性を得ることができない。一方、高紡糸ドラフトであっても加熱紡糸筒を用いて遅延冷却を行った場合には、同じく結晶体積が小さくなり融点も低く、本発明の保温紡糸筒を用いた場合と違い高い寸法安定性を得ることができない。
その後、本発明のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法では、延伸を行う。本発明では均一な結晶を有する繊維に対し高紡糸ドラフトを行っているために、断糸が有効に防止される。そして結晶化度が高いにもかかわらず、大きい結晶体積の繊維を得ることができたのである。延伸は、引取りローラーから一旦巻取って、いわゆる別延伸法で延伸してもよく、あるいは引取りローラーから連続的に延伸工程に未延伸糸を供給する、いわゆる直接延伸法で延伸しても構わない。また延伸条件としては1段ないし多段延伸であり、延伸負荷率としては60〜95%であることが好ましい。延伸負荷率とは繊維が実際に断糸する張力に対する、延伸を行う際の張力の比である。延伸倍率や延伸負荷率を上げることによって、結晶体積や結晶化度を有効に大きくすることができる。
延伸時の予熱温度としては、ポリエチレンナフタレート未延伸糸のガラス転移点以上、結晶化開始温度の20℃以上低い温度以下で行うことが好ましく、本発明においては120〜160℃が好適である。延伸倍率は紡糸速度に依存するが、破断延伸倍率に対し延伸負荷率60〜95%となる延伸倍率で延伸を行うことが好ましい。また、繊維の強度を維持し寸法安定性を向上させるためにも、延伸工程で170℃から繊維の融点以下の温度で熱セットを行うことが好ましい。さらには延神時の熱セット温度が170〜270℃の範囲であることが好ましい。このような高温での熱セットにより、有効に延伸倍率を上げることができ結晶体積を大きくすることができるようになる。
本発明の製造方法では、特定のリン化合物を用いることによって、高ドラフト率かつ保温紡糸筒による冷却条件を始めて採用することができ、高い製糸性の製造方法でありながら、高い寸法安定性と耐疲労性を有する繊維を得ることができたのである。ちなみに本発明の特定のリン化合物を用いない場合には、紡糸するためにドラフト率を下げるか、加熱紡糸筒を用いて遅延冷却させる必要があり、本発明のような寸法安定性や耐疲労性に優れた高融点の繊維を得ることはできないのである。
このような本発明のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法にて得られたポリエチレンナフタレート繊維は、結晶体積が大きいと共に高い結晶化率を実現しており、高強度とともに高い融点と高い寸法安定性を有し、さらには優れた耐疲労性をも満たす繊維となる。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法では、さらに得られた繊維を撚糸したり、合糸することにより、所望の繊維コードを得ることができる。さらにはその表面に接着処理剤を付与することも好ましい。接着処理剤としてはRFL系接着処理剤を処理することが、ゴム補強用途には最適である。
より具体的には、このような繊維コードは、上記のポリエチレンナフタレート繊維に、常法に従って撚糸を加え、あるいは無撚の状態でRFL処理剤を付着させ、熱処理を施すことにより得ることができ、このような繊維はゴム補強用に好適に使用できる処理コードとなる。
このようにして得られた産業資材用ポリエチレンナフタレート繊維は、高分子と繊維・高分子複合体とすることができる。この時、高分子がゴム弾性体であることが好ましい。この複合体は、補強に用いられた本発明のポリエチレンナフタレート繊維が耐熱性や寸法安定性に優れているため、複合体としたときの成形性に非常に優れたものとなる。特に本発明のポリエチレンナフタレート繊維をゴム補強に用いた場合にその効果は大きく、例えばタイヤ、ベルト、ホースなどに好適に用いられる。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維をゴム補強用コードとして使用する場合は、例えば次のような方法を使用することができる。すなわち、該ポリエチレンナフタレート繊維を撚係数K=T・D1/2(Tは10cm当たりの撚数、Dは撚糸コードの繊度)が990〜2,500で合撚して撚糸コードとなし、該コードを接着処剤処理に引き続き230〜270℃で処理する。
本発明のポリエチレンナフタレート繊維から得られる処理コードは、強力が80〜180N、2cN/dtex応力時の伸度(中間荷伸)と180℃乾熱収縮率の和で表す寸法安定性指数が4.5%以下であり、高モジュラスかつ耐熱性、寸法安定性に優れ、高度の耐疲労性を有する優れた処理コードを得ることができる。ここで、寸法安定性指数はその値が低いほどモジュラスが高く、乾熱収縮率が低いことを表す。さらに好ましくは、本発明におけるポリエチレンナフタレート繊維を用いてなる処理コードの強力は100〜160N、寸法安定性指数は3.5〜4.5%である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例、比較例における各特性値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度IVf
樹脂あるいは繊維をフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒(容量比6:4)に溶解し、35℃でオストワルド型粘度計を用いて測定して求めた。
(2)強度、伸度、中間荷伸
JIS L1013に準拠して測定した。繊維の中間荷伸は4cN/dtex応力時の伸度から求めた。繊維コードの中間荷伸は44N応力時の伸度から求めた。
(3)乾熱収縮率
JIS L1013 B法(フィラメント収縮率)に準拠し、180℃で30分間の収縮率とした。
(4)比重、結晶化度
比重は四塩化炭素/n−ヘプタン密度勾配管を用い、25℃で測定した。得られた比重から下記の数式(1)より結晶化度を求めた。
Figure 0005108938
式中ρ :ポリエチレンナフタレート繊維の比重
ρa:1.325(ポリエチレンナレフタレートの完全非晶密度)
ρc:1.407(ポリエチレンナレフタレートの完全結晶密度)
(5)複屈折(Δn)
浸漬液としてブロムナフタリンを使用し、ベレックコンペンセーターを用いてレターデーション法により求めた。(共立出版社発行:高分子実験化学講座 高分子物性11参照)
(6)結晶体積、最大ピーク回折角
繊維の結晶体積、最大ピーク回折角はBruker社製D8 DISCOVER with GADDS Super Speedを用いて広角X線回折法により求めた。
結晶体積は、繊維の広角X線回折において2Θがそれぞれ15〜16°、23〜25°、25.5〜27°に現れる回折ピーク強度の半価幅より、それぞれの結晶サイズをフェラーの式、
Figure 0005108938
(ここで、Dは結晶サイズ、Bは回折ピーク強度の半価幅、Θは回折角、λはX線の波長(0.154178nm=1.54178オングストローム)を表す。)
より算出し、下式により結晶1ユニットあたりの結晶体積とした。
結晶体積(nm)=結晶サイズ(2Θ=15〜16°)×結晶サイズ(2Θ=23〜25°)×結晶サイズ(2Θ=25.5〜27°)
最大ピーク回折角は、広角X線回折において強度が最も大きいピークの回折角を求めた。
(7)融点Tm、発熱ピークエネルギーΔHcd、ΔHc
TAインスツルメンツ社製Q10型示差走査熱量計を用い、試料量10mgの繊維を窒素気流下、20℃/分の昇温条件で320℃まで加熱して現れた吸熱ピークの温度を融点Tmとした。
また引き続いて、320℃で2分間保持し溶融させた繊維試料を、10℃/分の降温条件で測定し、現れる発熱ピークを観測し、発熱ピークの頂点の温度をTcdとした。またピーク面積からエネルギーを計算し、ΔHcd(窒素気流下10℃/分の降温条件下での発熱ピークエネルギー)とした。
他方、融点Tm測定後の繊維試料を引き続いて320℃で2分間保持し溶融させ、液体窒素中で急冷固化させた後、さらに窒素気流下、20℃/分の昇温条件にて現れる発熱ピークを観測し、発熱ピークの頂点の温度をTcとした。またピーク面積よりエネルギーを計算し、ΔHc(窒素気流下20℃/分の昇温条件下での発熱ピークエネルギー)とした。
(8)製糸性
製糸性について、ポリエチレンナフタレート1トンあたりの紡糸工程あるいは延伸工程の断糸発生回数から以下の通り4段階評価した。すなわち、
+++:断糸発生回数0〜2回/トン、
++:断糸発生回数3〜5回/トン、
+:断糸発生回数≧6回/トン、
bad:製糸不可、
とした。
(9)処理コードの作成
繊維に490回/mのZ撚を与えた後、これを2本合わせて490回/mのS撚を与えて、1100dtex×2本の生コードとした。この生コードを接着剤(RFL)液に浸漬し、240℃で2分間緊張熱処理した。
(10)寸法安定性指数
前述の(2)、(3)項と同様にして、処理コードの荷重44N応力時の中間伸度及び180℃乾熱収縮率を求め、それらを和して求めた。
処理コードの寸法安定性指数(%)
=処理コードの44N中間荷伸(%)+180℃乾熱収縮率(%)
(11)耐熱強力維持率
処理コードを加硫モールド中に埋め込み180℃、圧力50kg/cmで180分間促進加硫した後処理コードを取り出し強力を測定し、加硫前の処理コード対比の強力維持率を求めた。
(12)チューブ寿命
得られた処理コードとゴムからなるチューブを作成し、JIS L1017−付属書1、2.2.1「チューブ疲労性」に準じた方法でチューブが破壊する時間を測定した。なお、試験角度は85°とした。
(13)ディスク疲労性
得られた処理コードとゴムからなる複合体を作成し、JIS L1017−付属書1、2.2.2「ディスク疲労性」に準じた方法で測定した。なお、伸張率5.0%、圧縮率5.0%とし、24時間連続運転後の強力維持率を求めた。
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部とエチレングリコール50重量部との混合物に酢酸マンガン四水和物0.030重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.0056重量部を攪拌機、蒸留搭及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、150℃から245℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを反応器外に留出させながら、エステル交換反応を行い、引き続いてエステル交換反応が終わる前にフェニルホスホン酸(PPA)を0.03重量部(50ミリモル%)を添加した。その後、反応生成物に三酸化二アンチモン0.024重量部を添加して、攪拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、305℃まで昇温させ、30Pa以下の高真空下で縮合重合反応を行い、常法に従ってチップ化して極限粘度0.62のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。このチップを65Paの真空度下、120℃で2時間予備乾燥した後、同真空下240℃で10〜13時間固相重合を行い、極限粘度0.74のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。
このチップを、孔数249ホール、孔径0.7mm、ランド長3.5mmの円形紡糸孔を有する紡糸口金からポリマー温度310℃で吐出し、紡糸速度2,500m/分、紡糸ドラフト962の条件で紡糸を行った。紡出した糸状は口金直下に設置した長さ50mm、雰囲気温度330℃の保温紡糸筒を通じ、さらに、保温紡糸筒の直下から長さ450mmにわたって、25℃の冷却風を6.5Nm/分の流速で吹き付けて、糸状の冷却を行った。その後、油剤付与装置にて一定量計量供給した油剤を付与した後、引取りローラーに導き、巻取機で巻取った。
この未延伸糸は断糸や単糸切れの発生がなく製糸性良好に得ることができ、その未延伸糸の極限粘度IVfは0.70、複屈折率(ΔnUD)0.179、密度(ρUD)1.357であった。
次いでこの未延伸糸を用い、以下の通り延伸を行った。なお延伸倍率は破断延伸倍率に対し延伸負荷率92%となるように設定した。
すなわち、未延伸糸に1%のプリストレッチをかけた後、130m/分の周速で回転する150℃の加熱供給ローラーと第一段延伸ローラーとの間で第一段延伸を行い、次いで180℃に加熱した第一段延伸ローラーと180℃に加熱した第二段延伸ローラーとの間で230℃に加熱した非接触式セットバス(長さ70cm)を通し定長熱セットを行った後、巻取機に巻き取った。このときの全延伸倍率(TDR)は1.08であり、延伸時に断糸や単糸切れの発生なく製糸性は良好であった。製造条件を表1に示す。
得られた延伸糸は繊度1,080dtex、結晶体積952nm(952000オングストローム)、結晶化度47%であった。この延伸糸のΔHc、ΔHcdはそれぞれ38、35J/gであり高い結晶性を示した。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は7.4cN/dtex、180℃乾収2.6%、融点297℃と高耐熱性かつ低収縮性に優れたものであった。
さらに、得られた延伸糸に490回/mのZ撚を与えた後、これを2本合わせて490回/mのS撚を与えて、1100dtex×2本の生コードとした。この生コードを接着剤(RFL)液に浸漬し、240℃で2分間緊張熱処理した。得られた処理コードの強度は123N、寸法安定性指数4.0%、耐熱強力維持率93%と寸法安定性、耐熱性に優れたものであった。得られた物性を表3および5に示す。
[比較例1]
ポリエチレンー2,6−ナフタレートの重合において、エステル交換反応が終わる前にリン化合物であるフェニルホスホン酸(PPA)の代わりに正リン酸を40mmol%添加したこと以外は、実施例1と同様に実施してポリエチレンナフタレート樹脂チップ(極限粘度0.75)を得た。この該樹脂チップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸を行ったが、紡糸での断糸が多発し満足に製糸することがでず、かろうじて広角X線回折のみ可能であった。製造条件を表1および2に示した。
[実施例2]
実施例1の紡糸速度を2500m/分から4750m/分に、紡糸ドラフト比でいうと962から1251に変更するとともにその他の条件を変更した。すなわち得られる繊維の繊度をあわせるためにキャップ口金口径を0.7mmから0.8mmに変更し、口金直下の保温紡糸筒の温度を溶融ポリマーの融点よりも低い260度に、長さを100mmに変更して、未延伸糸を得た。またその後の延伸倍率を実施例1の1.08倍から1.05倍に変更し延伸糸を得た。若干製糸性に難があったが、製造は可能であった。
得られた延伸糸は結晶体積781nm(781000オングストローム)、結晶化度47%であった。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は7.2cN/dtex、180℃乾収2.7%、融点298℃と高耐熱性かつ低収縮性に優れたものであった。
さらにその延伸糸を実施例1と同様にして処理コードとした。製造条件を表1に、得られた物性を表3および5にそれぞれ示す。
[実施例3]
実施例2の口金直下の保温紡糸筒の長さを135mmに長くし、温度を230℃から280℃に変更した以外は実施例2と同じ条件にてポリエチレンナフタレート繊維およびそれを用いたコードとした。
得られた繊維は高耐熱性及び低収縮性に優れたものであった。また製糸性も非常によく、断糸も見られなかった。
製造条件を表1に、得られた物性を表3および5にそれぞれ示す。
[実施例4]
実施例3の口金直下の保温紡糸筒の長さを250mmに長くした以外は実施例3と同じ条件にてポリエチレンナフタレート繊維およびそれを用いたコードとした。
得られた繊維は高耐熱性及び低収縮性に優れたものであった。また製糸性も非常によく、断糸も見られなかった。
製造条件を表1に、得られた物性を表3および表5にそれぞれ示す。
[比較例2〜4]
ポリエチレンー2,6−ナフタレートの重合において、エステル交換反応が終わる前にリン化合物であるフェニルホスホン酸(PPA)の代わりに正リン酸を40mmol%添加したこと以外は、実施例2〜4と同様に実施してポリエチレンナフタレート樹脂チップ(極限粘度0.75)を得た。この該樹脂チップを用い実施例2〜4と同様にして溶融紡糸を行ったが、紡糸での断糸が多発し満足に製糸することができなった。詳細な製造条件を表1に示した。
[比較例5]
ポリエチレンー2,6−ナフタレートの重合において、エステル交換反応が終わる前にリン化合物であるフェニルホスホン酸(PPA)の代わりに正リン酸を40mmol%添加したこと以外は、実施例4と同様に実施してポリエチレンナフタレート樹脂チップ(極限粘度0.75)を得た。この該樹脂チップを用い実施例4の紡糸筒の温度を280度から360度に変更し、製糸性を改善して、未延伸糸を得た。またその後の延伸倍率は1.19倍にし延伸糸を得た。リン化合物としてフェニルホスホン酸(PPA)を添加しなかったため、若干製糸性に難があったが、比較例4と異なり何とか製造は可能であった。
得られた延伸糸は結晶体積474nm(474000オングストローム)、結晶化度44%であった。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は5.9cN/dtex、180℃乾収4.2%、融点279℃と耐熱性および収縮性に劣ったものであった。
さらにその延伸糸を実施例1と同様にして処理コードとした。
製造条件を表1に、得られた物性を表3および表5にそれぞれ示す。
[実施例5]
実施例1で用いたリン化合物をフェニルホスホン酸(PPA)から、フェニルホスフィン酸に変更し、添加量を100mmol%とした以外は、実施例1と同様に繊維およびコードを得た。
得られた繊維は高耐熱性及び低収縮性に優れたものであった。また製糸性も非常によく、断糸も見られなかった。
製造条件を表2に、得られた物性を表4および5にそれぞれ示す。
[比較例6]
実施例1の紡糸速度を2500m/分から5500m/分に、紡糸ドラフト比でいうと962から2700に変更するとともにその他の条件を変更した。すなわち得られる繊維の繊度をあわせるためにキャップ口金口径を0.7mmから1.2mmに変更し、そのままでは製糸が困難なために実施例1の口金直下の紡糸筒の温度を330度から400度の溶融ポリマー温度よりも90℃高い温度に、長さを50mmから350mmに変更した加熱紡糸筒を用い、未延伸糸を得た。またその後の延伸倍率を1.22倍に変更し強度の優れた延伸糸を得た。
得られた延伸糸は結晶体積163nm(163000オングストローム)、結晶化度48%であった。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は8.5cN/dtexあったものの、180℃乾収6.3%、融点280℃と耐熱性および収縮性に劣るものであった。
さらにその延伸糸を実施例1と同様にして処理コードとした。
製造条件を表2に、得られた物性を表4および表5にそれぞれ示す。
[比較例7]
比較例6で用いたリン化合物をフェニルホスホン酸(PPA)から、フェニルホスフィン酸に変更し、添加量を0.06重量部(100ミリモル%)とし、延伸倍率を1.19倍にした以外は、比較例6と同様に繊維とコードを得た。
得られた繊維は耐熱性及び収縮性に劣るものであった。
製造条件を表2に、得られた物性を表4および表5にそれぞれ示す。
[比較例8]
実施例5の紡糸速度を2500m/分から459m/分に、紡糸ドラフト比を962から83とし、得られる繊維の繊度をあわせるためにキャップ口金口径を0.7mmから0.5mmに変更した。また口金直下の紡糸筒の温度を溶融ポリマー温度よりも90℃高い温度である400度に、長さを250mmに変更した加熱紡糸筒を用い、未延伸糸を得た。またその後の延伸倍率を6.10倍に変更し延伸糸を得た。
得られた延伸糸は結晶体積298nm(298000オングストローム)、結晶化度48%であった。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は9.1cN/dtexあったものの、180℃乾収7.0%、融点280℃と耐熱性および収縮性に劣るものであった。
さらにその延伸糸を実施例1と同様にして処理コードとした。
製造条件を表2に、得られた物性を表4および表5にそれぞれ示す。
[比較例9]
正リン酸を用いた比較例5と同じポリエチレンナフタレート樹脂チップを固相重合で極限粘度0.87に調整し、口金孔径を0.5mmに、紡糸速度を5000m/分に、紡糸ドラフト比を330に変更した。そのままでは製糸性に難があるため、口金直下の紡糸筒の温度をポリマー溶融温度よりも80℃高い390度の加熱紡糸筒とし、長さを400mmに変更して、未延伸糸を得た。またその後の延伸倍率は1.07倍にし延伸糸を得た。リン化合物としてフェニルホスホン酸(PPA)を添加しなかったため、製糸性に難があったが、何とか製造は可能であった。
得られた延伸糸は結晶体積502nm(502000オングストローム)と小さく、結晶化度は45%であった。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は6.7cN/dtex、180℃乾収2.5%、融点287℃と強度がやや劣ったものであった。
さらにその延伸糸を実施例1と同様にして処理コードとした。
製造条件を表2に、得られた物性を表4および表5にそれぞれ示す。得られた処理コードは強力、疲労性に劣るものであった。
[比較例10]
正リン酸を用いた比較例5と同じポリエチレンナフタレート樹脂チップを固相重合で極限粘度0.90に調整し、口金孔径を0.4mmに、紡糸速度を750m/分に、紡糸ドラフト比を60に変更した。また口金直下の保温紡糸筒の温度を330度、長さを400mmに変更して、未延伸糸を得た。またその後の延伸倍率は5.67倍にし延伸糸を得た。リン化合物としてフェニルホスホン酸(PPA)を添加しなかったため、製糸性に難があり単糸切れが非常に多かったが、何とか製造は可能であった。
得られた延伸糸は結晶体積442nm(442000オングストローム)と小さく、結晶化度は48%であった。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は8.8cN/dtex、180℃乾収5.9%、融点280℃と強度は高いものの、耐熱性がやや劣ったものであった。
さらにその延伸糸を実施例1と同様にして処理コードとした。
製造条件を表2に、得られた物性を表4および表5にそれぞれ示す。得られた処理コードは寸法安定性、疲労性に劣るものであった。
[比較例11]
正リン酸を用いた比較例5と同じポリエチレンナフタレート樹脂チップを固相重合で極限粘度0.95に調整し、口金孔径を1.7mmに、紡糸速度を380m/分に、ただし繊度をあわせるために紡糸ドラフト比を550に変更した。また断糸を防ぐために口金直下の紡糸筒の温度を溶融ポリマー温度よりも60℃高い370度の加熱紡糸筒とし、長さを400mmに変更して、未延伸糸を得た。またその後の延伸倍率は6.85倍にし延伸糸を得た。リン化合物としてフェニルホスホン酸(PPA)を添加しなかったため、製糸性に難があり、延伸での断糸が多発し、得られた延伸糸にも単糸切れが非常に多かった。
得られた延伸糸は結晶体積370nm(370000オングストローム)と小さく、結晶化度は45%であった。得られたポリエチレンナフタレート繊維の強度は8.5cN/dtex、180℃乾収5.6%、融点271℃と強度は高いものの、耐熱性が劣ったものであった。
さらにその延伸糸を実施例1と同様にして処理コードとした。
製造条件を表2に、得られた物性を表4および表5にそれぞれ示す。得られた処理コードは寸法安定性、疲労性に劣るものであった。
Figure 0005108938
Figure 0005108938
Figure 0005108938
Figure 0005108938
Figure 0005108938

Claims (17)

  1. 主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレート繊維であって、繊維のX線広角回折より得られる結晶体積が550〜1200nmであり、結晶化度が30〜60%であることを特徴とするポリエチレンナフタレート繊維。
  2. X線広角回折の最大ピーク回折角が25.5〜27.0度である請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  3. 窒素気流下10℃/分の降温条件下での発熱ピークのエネルギーΔHcdが15〜50J/gである請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  4. リン原子をエチレンナフタレート単位に対して0.1〜300mmol%含有するものである請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  5. ポリエチレンナフタレート繊維が、金属元素を含むものであり、該金属元素が周期律表における第4〜5周期かつ3〜12族の金属元素およびMgの群より選ばれる少なくとも1種以上の金属元素である請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  6. 該金属元素が、Zn、Mn、Co、Mgの群から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素である請求項5記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  7. 強度が4.0〜10.0cN/dtexである請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  8. 融点が285〜315℃である請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  9. 180℃の乾熱収縮率が0.5〜4.0%未満である請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  10. tanδのピーク温度が150〜170℃である請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  11. 200℃におけるモジュラスE’(200℃)と20℃におけるモジュラスE’(20℃)の比E’(200℃)/E’(20℃)が0.25〜0.5である請求項1記載のポリエチレンナフタレート繊維。
  12. 主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリマーを溶融し、紡糸口金から吐出するポリエチレンナフタレート繊維の製造方法であって、溶融時のポリマーが金属元素を含み、該金属元素が周期律表における第4〜5周期かつ3〜12族の金属元素およびMgの群より選ばれる少なくとも1種以上の金属元素であり、溶融時のポリマー中に下記一般式(I)であらわされる少なくとも1種類のリン化合物を、他の化合物とあらかじめ反応させることなく直接ポリマーに添加した後に紡糸口金から吐出し、紡糸口金から吐出後の紡糸ドラフト比が500〜5000であり、紡糸口金から吐出直後に溶融ポリマー温度のプラスマイナス50℃以内の保温紡糸筒を通過し、かつ延伸することを特徴とするポリエチレンナフタレート繊維の製造方法。
    Figure 0005108938
    [上の式中、Rは炭素数〜20個の炭化水素基であるアリール基であり、
    は水素原子又は炭素数の1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、
    Xは、水素原子または−OR基であり、
    Xが−OR基である場合、
    は水素原子又は炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、であり、
    とRは同一であっても異なっていても良い。
  13. 紡糸速度が1500〜6000m/分である請求項12記載のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法。
  14. 保温紡糸筒の長さが10〜250mmである請求項12記載のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法。
  15. リン化合物が下記一般式(I’)である請求項12記載のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法。
    Figure 0005108938
    [上の式中、Arは炭素数6〜20個の炭化水素基であるアリール基であり、
    は水素原子又は炭素数の1〜20個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、
    Yは、水素原子または−OH基である。]
  16. リン化合物がフェニルホスフィン酸またはフェニルホスホン酸である請求項15記載のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法。
  17. 該金属元素が、Zn、Mn、Co、Mgの群から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素である請求項12記載のポリエチレンナフタレート繊維の製造方法。
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