JP5105789B2 - 顔料分散ペーストおよびカチオン電着塗料 - Google Patents
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Description
本発明に用いられる顔料分散用樹脂(A)は、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)を、前記所定の割合で反応させることにより得られる。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)としては、下記式(1)で示される化合物を好適に用いることができる。
上記一般式(1)において、「アルキル基」は、直鎖状もしくは分枝鎖状であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル基などが挙げられる。
「ハロゲン原子」にはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子が包含される。
前記一般式(1)において、R1およびR2としては水素原子、メチル基、塩素原子および臭素原子が好適であり、特に水素原子、メチル基および臭素原子が好ましい。
で示される2官能性フェノール化合物(a−1)と、下記式(4)
R4−CHO 式(4)
(上式中、R4は前記と同義である)
で示されるアルデヒド化合物(a−2)および/または下記式(5)
R4−CO−R6 式(5)
(上式中、R4およびR6は前記と同義である)
で示されるケトン化合物(a−3)を縮重合反応させることにより得られるノボラック型フェノール樹脂(a−4)に、さらにエピハロヒドリン(a−5)を反応させてグリシジルエーテル基を導入することにより製造することができる。
で示される1官能性フェノール化合物(a−6)を末端封止剤として併用してもよい。
前記式(6)で示される1官能性フェノール化合物(a−6)としては、具体的には、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、2,4−ジクロルフェノール、2,4−ジブロムフェノール、ジクロルキシレノール、ジブロモキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノールなどが挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)は、上記のようにして製造することができるが、市販されているものを使用してもよく、市販品としては、例えば、フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、DEN−438およびDEN−439(ダウケミカル日本(株)製、商品名);クレゾール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、EPICRON N−695(大日本インキ(株)製、商品名)、CNE195LB(長春ジャパン株式会社製)、EOCN−102S、EOCN−1020およびEOCN104S(日本化薬(株)製、商品名);ブロム変性フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、BREN−S(日本化薬(株)製、商品名);長鎖アルキル変性フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、ESMB−260(住友化学(株)製、商品名)などが挙げられる。
環状エステル化合物(b)は、下記式(7)
で示されるもであってよく、具体的には、例えば、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−エナラクトン、ξ−カプリロラクトンが挙げられ、特に好ましくはε−カプロラクトンである。
アミン化合物(c)は、第1級水酸基を1分子中に少なくとも1個有する第1級もしくは第2級アミン化合物であってよい。これは、顔料分散用樹脂(A)に第1級水酸基と塩基性基とを導入するのに役立つ。
(2)N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−(またはiso)−プロパノールアミン、ジブタノールアミンなどの第2級アルカノールアミン
(3)上記第1級アルカノールアミンとα,β−不飽和カルボニル化合物との付加物(第2級アルカノールアミン)、例えば、モノエタノールアミンとN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとの付加物など
(4)ヒドロキシエチルアミノエチルアミンのような第1、2級アルカノールアミン
(5)ヒドロキシアミン、ヒドロキシエチルヒドラジンおよびヒドロキシブチルヒドラジンから選ばれる1種以上とケトン化合物、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン、ジプロピルケトンなどとの縮合物(第2級アルカノールアミン)
(6)下記式(8)
で示される1分子中に1級水酸基、2級アミノ基およびアミド基が併存するアミン化合物
前記式(8)で示されるアミン化合物は、例えば、N−ヒドロキシアルキルアルキレンジアミンと炭素数5〜37のモノカルボン酸とを脱水縮合反応させることによって得られる。かかるジアミンとしては、例えば、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N−ヒドロキシエチルブチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルペンチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルヘキシレンジアミンなどの第1級水酸基を含有する第1、2ジアミンが好適であり、またモノカルボン酸としては、例えば、椰子油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、あまに油脂肪酸および桐油脂肪酸などの混合脂肪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
フェノール化合物(d)としては、フェノール性水酸基を1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜5個有するものを使用することができる。具体的には、例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノール化合物が挙げられる。
上記式において、一般式(1)中のR6の前駆体である活性水素含有化合物としては、例えば、第2級アミンのようなアミン類;ノニルフェノールのようなフェノール類;脂肪酸のような有機酸;チオール類;アルキルアルコール、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトールのようなアルコール類;無機酸などの化合物が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは、第1級水酸基を有する第2級アミンであるジアルカノールアミンや、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フェノールのようなモノフェノールである。特に、第1級水酸基含有アミンを用いると硬化性が向上し、またモノフェノールを用いると安定性がよくなる。
顔料分散用樹脂(A)は、例えば、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)を同時に反応させる方法や、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)に、環状エステル化合物(b)とアミン化合物(c)を反応させた後、フェノール化合物(d)を反応させる方法によって得られる。
[顔料分散ペーストの製造について]
顔料分散ペーストは、上記した顔料分散用樹脂(A)に中和剤および顔料成分(B)を配合し、分散機としてボールミル、ペブルミル、サンドミル、シェイカー等の、従来から用いられている分散機を用いて分散させ、粒子径を15μm以下、好ましくは8μm以下とすることにより製造することができる。なかでも、ボールミルが作業性面から好ましく、ボールミルによる分散時間は1〜96時間、好ましくは10〜48時間が顔料の粒度や製造工数の面から好ましい。
本発明により提供される顔料分散ペーストは、これを基体樹脂、硬化剤などを含有するエマルションと混合して、電着塗料とすることができる。電着塗料は、アニオン型およびカチオン型のいずれであってもよいが、耐食性などの点から、一般にはカチオン型が好ましい。
で示されるものが好適である。
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部を仕込み、170℃に昇温し、反応させる。さらに、ジエタノールアミン105部およびN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.1溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.1の水酸基価は150mgKOH/g、アミン価は70mgKOH/g、数平均分子量は2,200であった。
製造例2 顔料分散用樹脂No.2の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクタム430部を仕込み、170℃に昇温して反応させる。さらに、ジエタノールアミン278部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.2溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.2の水酸基価は200mgKOH/g、アミン価は70mgKOH/g、数平均分子量は2,300であった。
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部を仕込み、170℃に昇温して反応させる。さらに、N−メチルエタノールアミン200部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.3溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.3の水酸基価は120mgKOH/g、アミン価は70mgKOH/g、数平均分子量は2,200であった。
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。さらに、ジエタノールアミン105部およびN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.4溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.4の水酸基価は150mgKOH/g、アミン価は90mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール110部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部を仕込み、170℃に昇温して反応させる。さらに、ジエタノールアミン260部およびN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.5溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.5の水酸基価は250mgKOH/g、アミン価は120mgKOH/g、数平均分子量は2,500であった。
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル398部、EHPE−3150(ダイセル化学株式会社製、商品名、エポキシ当量180の脂環型エポキシ樹脂)900部、ジエタノールアミン315部、アミン化合物(注4)371部およびエポキシアミン生成物(注5)1651部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、150℃で反応させ、エポキシ当量が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.6溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.6の水酸基価は180mgKOH/g、アミン価は96.5mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
(注5)エポキシアミン生成物:撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、ジエタノールアミン105部、エポキシ当量190のビスフェノールAジグリシジルエーテル760部、ビスフェノールA456部およびエチレングリコールモノブチルエーテル330部を添加し、150℃でエポキシ基残量が0になるまで反応させることにより得られる固形分80%のエポキシアミン生成物
比較製造例4 顔料分散用樹脂No.7の製造例
エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールA390部、ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量約1,200)240部およびジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させる。次に、ジメチルエタノールアミン134部および酢酸90部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂No.7溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.7のアンモニウム塩価は44mgKOH/g、数平均分子量は3,000であった。
製造例1で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、JR−600E(注6)14部、ハイドライドPXN(注7)11部、水酸化ビスマス1部、ジブチル錫オキサイド1部、10%酢酸(中和剤)2.7部、脱イオン水12部を配合し、ボールミルにて20時間分散を行い、固形分50%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
(注7)ハイドライドPXN:ジョージアカオリン社製、商品名、アルミニウムシリケート
製造例5〜12 顔料分散ペーストNo.2〜9の製造例
顔料分散ペーストNo.1と同様の操作にて、表2の配合内容で顔料分散ペーストNo.2〜9を作成した。
(注9)貯蔵安定性:各顔料分散ペースト100gを、ガラスの容器に入れて40℃にて30日間貯蔵した時の顔料分散ペーストの状態をチェックした。
○:やや顔料の沈降が見られるが、10分間未満の攪拌で貯蔵前の状態に戻る
△:顔料分散ペーストの沈降が見られ、10分間未満の攪拌では貯蔵前の状態に戻らないか、または10分間以上の攪拌にてペースト状態になったとしても顔料の凝集状態(ダマ)が残る
×:顔料の著しい沈降が見られるか、または30分間以上攪拌してもペースト状態に戻らない
製造例13 アミノ基含有エポキシ樹脂No.1
PP−400(三洋化成社製、商品名、ポリプロピレングリコール、数平均分子量400)400部にε−カプロラクトン300部を加えて、130℃まで昇温する。その後、テトラブトキシチタン0.01部を加え、170℃に昇温する。この温度を保ちながら経時でサンプリングし、赤外吸収スペクトル測定にて未反応のε−カプロラクトン量を追跡し、反応率が98%以上になった時点で冷却し、変性剤2を得た。
温度計、還流冷却器および攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部およびメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させる。反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1050センチポイズ(25℃)のフェノール変性のキシレンホルムアルデヒド樹脂 480部を得た。
反応容器中に、コスモネートM−200(注10)270部およびメチルイソブチルケトン25部を加え、70℃に昇温する。これに2,2−ジメチロールブタン酸15部を徐々に添加し、次いでエチレングリコールモノブチルエーテル118部を滴下して加え、70℃で1時間反応させた後、60℃に冷却し、プロピレングリコール152部を添加する。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアナト基の吸収がなくなったことを確認し、固形分が80%の硬化剤No.1を得た。
製造例17 エマルションNo.1の製造
上記製造例14にて得た80%のアミノ基含有エポキシ樹脂No.1を87.5部(固形分70部)、製造例16にて得た硬化剤を33.3部(固形分30部)、10%ギ酸8.2部を配合し、均一に攪拌した後、脱イオン水183.5部を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、固形分32.0%の エマルションNo.1を得た。
上記製造例15にて得た80%のアミノ基含有エポキシ樹脂No.2を87.5部(固形分70部)、製造例16にて得た硬化剤を33.3部(固形分30部)、10%ギ酸8.2部を配合し、均一に攪拌した後、脱イオン水183.5部を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、固形分32.0%のエマルションNo.2を得た。
製造例17で得た32%のエマルションNo.1を312.5部(固形分100部)、製造例4で得た50%の顔料ペーストNo.1を52部(26部)および脱イオン水265.5部を加え、固形分20%のカチオン電着塗料 No.1を得た。
表3に示す組み合わせで、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料No.2〜6を作成した。
表4に示す組み合わせで、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料No.7〜12を作成した。
上記の実施例および比較例で得た各カチオン電着塗料を用い、リン酸亜鉛処理を施した冷延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)に、乾燥膜厚が20μmとなるように、浴温28℃にて電着塗装を施し、水洗後、170℃で20分間焼き付けて試験板を作製し、以下の試験方法に従って試験した。その結果を表5および表6に示す。
図1に示すように2枚の鋼板(1)と鋼板(2)をかさね合わせて(鋼板(1)と鋼板(2)のクリアランスが100μm)治具を作製し、20μmの乾燥塗膜が得られる条件にて電着塗装を行って水洗し、10分間のセッティング後、170℃で20分間焼き付けて、塗面の耐2次タレ・ワキの状態を観察した。
△:タレ・ワキがあるため、研ぎなどの修正が必要なレベル
×:タレ・ワキがあり、外観を著しく損なうレベル
防錆鋼板の電着塗装適性
各電着塗料に、リン酸亜鉛処理を施した合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(0.8mm×70mm×150mm)を浸漬し、浴温28℃にて、250Vで3分間(30秒昇圧+2分30秒定電圧)電着塗装して、水洗後、焼き付け乾燥した後の塗面におけるピンホールの数を数えた。
△:ピンホールの発生が1〜10個
×:ピンホールの発生は10個を超える
防食性
試験板の素地に達するように電着塗膜にナイフでクロスカット傷を入れ、これを用い、JIS Z−2371に準じて840時間耐塩水噴霧試験を行った。評価をナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で行った。
○:錆、フクレの最大幅がカット部より2mm以上でかつ3mm未満(片側)である
△:錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以上でかつ4mm未満(片側)である
×:錆、フクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)である
耐ばくろ性
試験板に、スプレー塗装方法で、WP−305(関西ペイント株式会社製、水性中塗り塗料)を硬化膜厚が25μmとなるように塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃×30分間焼き付けを行った。さらに、その中塗塗膜上にスプレー塗装方法で、ネオアミラック6000(関西ペイント株式会社製、上塗り塗料)を、硬化膜厚が35μmとなるように、塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃×30分間焼き付けを行い、暴露試験板を作製した。得られた暴露試験板上の塗膜に、素地に達するようにナイフでクロスカットキズを入れ、これを千葉県千倉町で、水平にて1年間暴露した後、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
○:錆またはフクレの最大幅がカット部より2mm以上で且つ3mm未満(片側)
△:錆またはフクレの最大幅がカット部より3mm以上で且つ4mm未満(片側)
×:錆またはフクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)である
60度鏡面光沢度
複層塗膜の光沢の程度を、JIS K−5400 7.6(1990)の60度鏡面光沢度に従い、入射角と受光角とがそれぞれ60度のときの反射率を測定して、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率で表した。
実施例および比較例で得た各カチオン電着塗料を無攪拌にて24時間静置し、次いで3時間攪拌(700rpm)した後、L字状(水平面/垂直面=5cm/10cm)に折り曲げた試験板を用い、20μmの乾燥塗膜が得られる条件にて電着塗装を行い、水洗し、170℃で20分間焼き付けて、L面(水平面)の塗面状態をチェックした。
○:L面に、ややツヤひけがみられるが、製品としては問題ないレベル
△:L面に、ブツ、ヘコミ、ハジキのいずれかがみられる
×:L面に、ブツ、ヘコミ、ハジキのいずれかが著しい
塗料安定性(2)
実施例および比較例で得た各カチオン電着塗料3リットルを用い、リン酸亜鉛処理を施した冷延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)に、乾燥膜厚が20μmとなるように、試験板100枚電着塗装を施し、その後電着塗装前の固形分になるように、各々のエマルションと顔料ペーストを補給した。次の日にも、同様の作業を繰り返し30日間続けた(ターンオーバー試験)時の「60度鏡面光沢度」の変化を観察した。
○:60度鏡面光沢度の1ヶ月間の変化が2以上でかつ5未満である
△:60度鏡面光沢度の1ヶ月間の変化が5以上でかつ10以下である
×:60度鏡面光沢度の1ヶ月間の変化が10を超える
2 化成処理を施した冷延鋼板(2)(0.8mm×50mm×50mm)
3 試験後に染み出た塗料タレ水
Claims (5)
- ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)を、(a)、(b)、(c)および(d)の合計固形分質量を基準にして、(a)30〜70質量%、(b)5〜45質量%、(c)5〜15質量%および(d)1〜30質量%の割合で反応させてなる顔料分散用樹脂(A)、並びに顔料成分(B)を含有することを特徴とする顔料分散ペースト。
- 顔料分散用樹脂(A)と顔料成分(B)との質量比が、顔料分散用樹脂(A)/顔料成分(B)=1/0.05〜1/50の範囲にある、請求項1に記載の顔料分散ペースト。
- カチオン電着塗料の基体樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部に対して、請求項1または2に記載の顔料分散ペーストを固形分基準で0.1〜50質量部配合してなるカチオン電着塗料。
- 基体樹脂として、エポキシ当量が180〜2,500のエポキシ樹脂に、キシレンホルムアルデヒド樹脂およびアミノ基含有化合物を反応させてなるキシレンホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂を含有する、請求項3に記載のカチオン電着塗料。
- 請求項3または4に記載のカチオン電着塗料を塗装して得られた塗装物品。
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