JP5105789B2 - 顔料分散ペーストおよびカチオン電着塗料 - Google Patents

顔料分散ペーストおよびカチオン電着塗料 Download PDF

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Description

本発明は、顔料分散ペーストおよびカチオン電着塗料に関する。本発明は、特に、貯蔵安定性に優れた顔料分散ペースト、並びにこの顔料分散ペーストを用いた、耐2次タレ性、防錆鋼板に対する電着塗装性、防食性および塗料安定性に優れたカチオン電着塗料に関する。
カチオン電着塗料は、塗装作業性に優れ、防錆性が良好なことから、自動車ボディなどの金属製品の下塗り塗料として広く用いられている。この電着塗料に用いられる顔料分散ペーストは、通常、製造後にタンクに貯蔵されるか、またはドラム缶に入れて倉庫に保管されるが、定期的に攪拌しないと顔料が沈降して使用に支障をきたすことがある。特に、海外に輸送するときには、ドラム缶に入れられた顔料分散ペーストは、長期間に亘って無攪拌状態にさらされることになるので、顔料分散ペーストの安定性の向上は急務となっている。
従来、第4級オニウム塩基を有する樹脂を含有する電着塗料を電着塗装してなる塗膜により、耐食性、耐アルカリ性などに優れた塗膜特性が得られることが開示されている(特許文献1〜3)。しかし、特許文献1〜3の塗料は、第4級オニウム塩基を有する樹脂を用いており、特に耐食性において不十分であった。
また、モノエポキシドと炭素数約8〜30の非環式部分を含む少なくとも1個の有機基を有するアミン化合物とを反応させることにより得られる第4級アンモニウム基含有樹脂を顔料分散用樹脂として用いた例が開示されている(特許文献4)。他に、脂肪族第3モノアミンの酸塩、またはエポキシ化物と脂肪族第2級アミンとの反応生成物である第3級アミンの酸塩と、2,3−エポキシプロポキシ基を複数個有する樹脂を反応させてなる第4級アンモニウム基含有樹脂が開示されている(特許文献5)。他に、カチオン樹脂の水性分散体、アミノ基およびアルコキシ末端ポリアルキレンオキシド構造を有するアクリル樹脂系顔料分散用樹脂、顔料からなる電着塗料が提案されている(特許文献6)。
また、1級アミノ基あるいは3級および/または4級オニウム塩基を有する、ポリフェノール、脂肪族ポリオール、および脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテルから選ばれる顔料分散用樹脂が開示されている(特許文献7)。
また、水酸基を含有するエポキシ樹脂とハーフブロック化イソシアネートとの反応生成物をオニウム化して顔料分散用樹脂を製造する方法において、末端に1級OHを有するプロピレングリコールモノアルキルエーテルをオニウム化における溶剤として用いる方法が開示されている(特許文献8)。
また、カチオン電着塗料組成物を調製するための中間組成物である、水性媒体と顔料と顔料分散剤とを含有する顔料分散ペーストにおいて、顔料分散剤としてイオン性基含有樹脂粒子とイオン性基含有エポキシ樹脂とを含むものが提案されている(特許文献9)。
さらに、アミノ基を有するアミン変性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤およびオニウム基を有する変性エポキシ樹脂を含有するバインダー樹脂エマルションを含む、カチオン電着塗料組成物が開示されている(特許文献10)。
また、4級アンモニウムおよびアミノ基を有するアミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂(a)、およびブロックイソシアネート硬化剤(b)、適宜に、アミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂(c)やアミン変性ノボラック型エポキシ樹脂(d)を含んでなるカチオン電着塗料組成物が開示されている(特許文献11)。特許文献11は、顔料分散樹脂に関する発明ではない。
しかし、これらの特許文献1〜11に記載の樹脂を顔料分散ペーストに用いたとしても、耐2次タレ性、防錆鋼板の電着塗装性、防食性および塗料安定性において満足するものではなかった。
特公昭53−47143号公報 特公昭55−23313号公報 特公昭56−2089号公報 特開昭59−91164号公報 特開昭61−228068号公報 特開平8−231901号公報 特開平11−323211号公報 特開2002−60453号公報 特開2002−69358号公報 特開2006−2002号公報 特開2006−2003号公報
本発明の課題は、上記の如き従来技術の問題点を解消することのできる、顔料分散ペーストの貯蔵安定性に優れ、かつ耐2次タレ性、防錆鋼板の電着塗装性、防食性及び塗料安定性において満足するカチオン電着塗料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物、環状エステル化合物、アミン化合物およびフェノール化合物を所定の量比で反応させて得られる顔料分散用樹脂、並びに顔料成分を含有することを特徴とする顔料分散ペーストを配合してなるカチオン電着塗料によって解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
よって、本発明は、例えば、下記の内容を提供する。
1.ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)を、(a)、(b)、(c)および(d)の合計固形分質量を基準にして、(a)30〜70質量%、(b)5〜45質量%、(c)5〜15質量%および(d)1〜30質量%の割合で反応させてなる顔料分散用樹脂(A)、並びに顔料成分(B)を含有することを特徴とする顔料分散ペースト。
2.顔料分散用樹脂(A)と顔料成分(B)との質量比が、顔料分散用樹脂(A)/顔料成分(B)=1/0.05〜1/50の範囲にある、1に記載の顔料分散ペースト。
3.カチオン電着塗料の基体樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部に対して、1または2に記載の顔料分散ペーストを固形分基準で0.1〜50質量部配合してなるカチオン電着塗料。
4.基体樹脂として、エポキシ当量が180〜2,500のエポキシ樹脂に、キシレンホルムアルデヒド樹脂およびアミノ基含有化合物を反応させてなるキシレンホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂を含有する、3に記載のカチオン電着塗料。
5.3または4に記載のカチオン電着塗料を塗装して得られた塗装物品。
本発明の顔料分散ペーストは貯蔵安定性に優れ、これを用いたカチオン電着塗料は耐2次タレ性、防錆鋼板の電着塗装性、防食性に優れた塗装物品を与える。また、本発明のカチオン電着塗料は、安定性に優れるため、UF濾過などの負荷がかかる塗装ラインで長期間使用しても仕上り性の低下が生じない。
さらに、本発明のカチオン電着塗料は、無攪拌状態で、例えば、1〜24時間静置し、再び一定時間(例えば、1〜3時間)攪拌した後に、塗料凝集ブツなどの発生がなく、仕上り性に優れる塗装物品を与えることができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明するが、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではなく、その精神と実施の範囲内において様々な変形が可能であることを理解されたい。
[顔料分散用樹脂(A)]
本発明に用いられる顔料分散用樹脂(A)は、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)を、前記所定の割合で反応させることにより得られる。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)としては、下記式(1)で示される化合物を好適に用いることができる。
Figure 0005105789
(上式中、RおよびRは同一もしくは相異なり、各々水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を表わし、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲン原子を表わし、RおよびRは同一もしくは相異なり、各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはグリシジルオキシフェニル基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲン原子を表わし、そしてnは1〜38の整数である)
上記一般式(1)において、「アルキル基」は、直鎖状もしくは分枝鎖状であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル基などが挙げられる。
「アリール基」は、単環式または多環式のいずれであってもよく、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられ、特にフェニル基が好適であり、また「アラルキル基」はアリール置換アルキル基であって、例えば、ベンジル、フェネチル基などを包含し、なかでもベンジル基が好ましい。
「ハロゲン原子」にはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子が包含される。
またはRによって表わされる「グリシジルオキシフェニル基」は、下記式(2)で示される基である。
Figure 0005105789
(上式中、Wは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表わす)
前記一般式(1)において、RおよびRとしては水素原子、メチル基、塩素原子および臭素原子が好適であり、特に水素原子、メチル基および臭素原子が好ましい。
また、RおよびRとしては、メチル基、tert−ブチル基、ノニル基、フェニル基、塩素原子および臭素原子が好ましく、なかでもメチル基、tert−ブチル基、フェニル基および臭素原子が好適である。さらに、RおよびRは好ましくは水素原子であり、そしてnは特に好ましくは1〜8である。
顔料分散用樹脂(A)の数平均分子量は、一般に、約400〜約8,000、特に600〜2,000の範囲内にあることが好ましい。また、顔料分散用樹脂(A)は、グリシジル基を1分子あたり3.5〜10個有していることが好ましく、かつ顔料分散用樹脂(A)のエポキシ当量は、約180〜約2,000、特に200〜600の範囲内にあることが好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量は、JIS K0124−83に準じて、分離カラムとしてTSK GEL4000HXL+G3000HXL+G2500HXL+G2000HXL(東ソー(株)製)および溶離液としてGPC用テトラヒドロフランを用い、40℃、流速1.0ml/分にて、RI屈折計で得られたクロマトグラムと、標準ポリスチレンの検量線から計算により求めたものである。
顔料分散用樹脂(A)は、例えば、下記式(3)
Figure 0005105789
(上式中、R、RおよびRは前記と同義である)
で示される2官能性フェノール化合物(a−1)と、下記式(4)
−CHO 式(4)
(上式中、Rは前記と同義である)
で示されるアルデヒド化合物(a−2)および/または下記式(5)
−CO−R 式(5)
(上式中、RおよびRは前記と同義である)
で示されるケトン化合物(a−3)を縮重合反応させることにより得られるノボラック型フェノール樹脂(a−4)に、さらにエピハロヒドリン(a−5)を反応させてグリシジルエーテル基を導入することにより製造することができる。
また、上記ノボラック型フェノール樹脂(a−4)を得るための反応の間またはその後に、必要に応じて、下記式(6)
Figure 0005105789
(上式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基またはハロゲン原子を表わし、そしてRおよびRは前記と同義である)
で示される1官能性フェノール化合物(a−6)を末端封止剤として併用してもよい。
前記式(6)における基Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、エチレン基、プロピレン基、フェニル基、ベンジル基、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などが挙げられ、好ましくはメチル基、tert−ブチル基、ノニル基、フェニル基、塩素原子および臭素原子であり、特にメチル基、tert−ブチル基、フェニル基および臭素原子が好ましい。
上記(a−1)のフェノール化合物に対して用いる「2官能性」なる語は、式(3)において、水酸基を基準として、オルト位および/またはパラ位に水素原子が2個直接結合していることを意味する。これらの水素原子は上記(a−2)および(a−3)成分中のカルボニル基(C=O)と脱水縮合反応してノボラック型フェノール樹脂(a−4)を生成する。
また、(a−6)成分のフェノール化合物に対して用いる「1官能性」なる語は、式(6)において、水酸基を基準として、オルト位またはパラ位に水素原子が1個直接結合していることを意味する。この水素原子は上記(A−2)または(A−3)成分中のカルボニル基(C=O)と脱水縮合反応してノボラック型フェノール樹脂(a−4)の末端を形成する。
前記式(3)で示される2官能性フェノール化合物(a−1)としては、例えば、フェノール、p−プロペニルフェノール、o−ベンジルフェノール、6−n−アミル−n−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−tert−ペンチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−クロルフェノール、p−クロルフェノール、4−クロル−3,5−キシレノール、o−アリルフェノール、ノニルフェノール、o−ブロムフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
また、式(4)で示されるアルデヒド化合物(a−2)としては、例えば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。また、アルデヒド化合物(a−2)としてm−(またはp−)ヒドロキシベンズアルデヒドを用い、(a−1)成分との反応後に、このヒドロキシベンズアルデヒドをエピハロヒドリン(a−5)でグリシジルエーテル化してもよい。
なお、上記ヒドロキシベンズアルデヒドのベンゼン核は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。
前記式(5)で示されるケトン化合物(a−3)としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
さらに、エピハロヒドリン(a−5)としては、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリンなどが挙げられる。
上記(a−1)成分に(a−2)成分および/または(a−3)成分を縮重合反応させることによりノボラック型フェノール樹脂(a−4)が得られる。この縮重合反応はそれ自体既知のノボラック型フェノール樹脂の製造方法に準じて行うことができる。
ノボラック型フェノール樹脂(a−4)の製造において、必要に応じて、上記(a−1)成分と、(a−2)成分および/または(a−3)成分との縮重合反応の間またはその後に、式(5)で示される1官能性フェノール化合物(a−6)を末端封止剤として反応させることができる。
前記式(6)で示される1官能性フェノール化合物(a−6)としては、具体的には、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、2,4−ジクロルフェノール、2,4−ジブロムフェノール、ジクロルキシレノール、ジブロモキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノールなどが挙げられる。
(a−6)成分と、上記(a−1)成分、(a−2)成分および/または(a−3)成分との縮重合反応は上記と同様にして行うことができる。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)は、ノボラック型フェノール樹脂(a−4)中のフェノール性水酸基にエピハロヒドリン(a−5)を反応させてグリシジルエーテル化することによって得られる。具体的には、例えば、ノボラック型フェノール樹脂(a−4)をエピハロヒドリン(a−5)で溶解して溶液とし、この溶液にアルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に添加し、この反応系の水および未反応のエピハロヒドリン(a−5)を蒸留除去することによって得られる。この蒸留した液から(a−5)成分を分離し、再使用することができる。この反応は、例えば、ジオキサン、ジエトキシエタンなどのエーテル系溶剤の存在下で行うことが好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)は、上記のようにして製造することができるが、市販されているものを使用してもよく、市販品としては、例えば、フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、DEN−438およびDEN−439(ダウケミカル日本(株)製、商品名);クレゾール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、EPICRON N−695(大日本インキ(株)製、商品名)、CNE195LB(長春ジャパン株式会社製)、EOCN−102S、EOCN−1020およびEOCN104S(日本化薬(株)製、商品名);ブロム変性フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、BREN−S(日本化薬(株)製、商品名);長鎖アルキル変性フェノール型ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル化物として、ESMB−260(住友化学(株)製、商品名)などが挙げられる。
環状エステル化合物(b)
環状エステル化合物(b)は、下記式(7)
Figure 0005105789
(上式中、Rは水素原子またはCHを表し、nは3〜6の整数である)
で示されるもであってよく、具体的には、例えば、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−エナラクトン、ξ−カプリロラクトンが挙げられ、特に好ましくはε−カプロラクトンである。
環状エステル化合物(b)のラクトンに基因するメチレン鎖部分は、顔料分散用樹脂(A)に貯蔵安定性と耐候性を付与する。
アミン化合物(c)
アミン化合物(c)は、第1級水酸基を1分子中に少なくとも1個有する第1級もしくは第2級アミン化合物であってよい。これは、顔料分散用樹脂(A)に第1級水酸基と塩基性基とを導入するのに役立つ。
アミン化合物(c)のアミノ基と式(1)で示されるノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)のグリシジル基との反応によってカチオン性樹脂が生成し、このカチオン性樹脂中の第1級水酸基および塩基性基は、従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応によって生成するもののそれらの基と比べて、水分散性が著しく優れたものとなり、顔料分散ペーストや該顔料分散ペーストを使用するカチオン電着塗料の安定性向上に寄与する。さらに、形成される塗膜においては、防食性、特にばくろ耐食性の向上にも寄与する。
アミン化合物(c)としては、具体的には、次に例示する化合物が挙げられる。
(1)モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミンなどの第1級アルカノールアミン
(2)N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−(またはiso)−プロパノールアミン、ジブタノールアミンなどの第2級アルカノールアミン
(3)上記第1級アルカノールアミンとα,β−不飽和カルボニル化合物との付加物(第2級アルカノールアミン)、例えば、モノエタノールアミンとN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとの付加物など
(4)ヒドロキシエチルアミノエチルアミンのような第1、2級アルカノールアミン
(5)ヒドロキシアミン、ヒドロキシエチルヒドラジンおよびヒドロキシブチルヒドラジンから選ばれる1種以上とケトン化合物、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン、ジプロピルケトンなどとの縮合物(第2級アルカノールアミン)
(6)下記式(8)
Figure 0005105789
(上式中、nは1〜6の整数であり、Rは水酸基および/または重合性不飽和基を含有してもよい炭素数4〜36の炭化水素鎖を表わす)
で示される1分子中に1級水酸基、2級アミノ基およびアミド基が併存するアミン化合物
前記式(8)で示されるアミン化合物は、例えば、N−ヒドロキシアルキルアルキレンジアミンと炭素数5〜37のモノカルボン酸とを脱水縮合反応させることによって得られる。かかるジアミンとしては、例えば、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N−ヒドロキシエチルブチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルペンチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルヘキシレンジアミンなどの第1級水酸基を含有する第1、2ジアミンが好適であり、またモノカルボン酸としては、例えば、椰子油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、あまに油脂肪酸および桐油脂肪酸などの混合脂肪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
上記式(8)で示されるアミン化合物を得るための上記ジアミンとモノカルボン酸との反応は、通常、両成分をほぼ等モル比で混合し、トルエンやメチルイソブチルケトンなどの有機溶剤を用いて規定量の反応生成水を除去することによって行うことができ、減圧法などで残存有機溶剤を除去することによってアミン化合物が得られる。
このようにして得られるアミン化合物は、一般に、アミン価(2級アミン)が88〜350mgKOH/g、特に120〜230mgKOH/gの範囲内にあり、そして水酸基価(好ましくは1級水酸基)が44〜350mgKOH/g、特に60〜230mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
アミン化合物(c)としての上記(1)〜(6)の化合物のうちでは、(2)、(3)および(6)の第1級アルカノール第2級アミンが好ましい。特に、式(8)で示されるアミン化合物(特にヒドロキシエチルアミノエチル脂肪酸アミド)とジエタノールアミンとを併用することが、仕上り性および防食性などの向上のために好ましい。
フェノール化合物(d)
フェノール化合物(d)としては、フェノール性水酸基を1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜5個有するものを使用することができる。具体的には、例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノール化合物が挙げられる。
さらに、フェノール、ノニルフェノール、α−もしくはβ−ナフトール、p−tert−オクチルフェノール、o−もしくはp−フェニルフェノールなどのモノフェノール化合物も使用することができる。
より防食性に優れた塗膜を形成するためには、フェノール化合物(d)として、特に、ビスフェノールA[2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン]またはビスフェノールF[ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン]などのビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応生成物を用いることが好ましい。
これらの反応生成物のうちでは、特に、数平均分子量が少なくとも200、好適には約800〜約3,000の範囲内にあり、かつ、1分子あたり平均して2個以下、好ましくは0.8〜1.2個のフェノール性水酸基を含有する、下記式で示される化合物に代表されるものが適している。
Figure 0005105789
(上式中、nは平均して0〜7の数であり、R10は活性水素化合物の残基を表わす)
上記式において、一般式(1)中のRの前駆体である活性水素含有化合物としては、例えば、第2級アミンのようなアミン類;ノニルフェノールのようなフェノール類;脂肪酸のような有機酸;チオール類;アルキルアルコール、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトールのようなアルコール類;無機酸などの化合物が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは、第1級水酸基を有する第2級アミンであるジアルカノールアミンや、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フェノールのようなモノフェノールである。特に、第1級水酸基含有アミンを用いると硬化性が向上し、またモノフェノールを用いると安定性がよくなる。
さらに、フェノール化合物として、例えば、分子量が200以上、好適には380〜2,000の範囲内のビスフェノールAジグリシジルエーテル型のポリエポキシド1モルと、分子量が200以上、好適には200〜2,000の範囲内のビスフェノールA型ポリフェノール1モルと、活性水素を有する化合物1モルとを、必要に応じて触媒や溶媒の存在下で、30〜300℃、好適には70〜180℃の温度で反応させる。
また、フェノール化合物(d)として、ダイマージオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのポリオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルグリコール類;ポリカプロラクトンのようなポリエステルポリオール類;ポリカルボン酸類;ポリイソシアネート類;モノイソシアネート類;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどの不飽和化合物の酸化物;アリルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの水酸基を有する化合物のグリシジルエーテル;脂肪酸のような有機酸のグリシジルエステル;脂環式オキシラン含有化合物などをビスフェノールAと反応させたものを使用することもできる。さらに、かかる化合物に、δ−4−カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合させたものを使用することもできる。
顔料分散用樹脂(A)の製造について
顔料分散用樹脂(A)は、例えば、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)を同時に反応させる方法や、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)に、環状エステル化合物(b)とアミン化合物(c)を反応させた後、フェノール化合物(d)を反応させる方法によって得られる。
ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)の反応における反応温度は、有機溶剤の存在下で、通常50〜300℃、特に70〜200℃の範囲内が好ましい。得られるカチオン性樹脂組成物(A)は、数平均分子量が、一般に、1,000〜20,000、特に1,500〜10,000の範囲内、水酸基価が10〜1000mgKOH/g、特に50〜300mgKOH/g、アミン価が10〜300mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gの範囲であることが塗膜性能と塗料安定性のためにも好ましい。
[顔料分散ペーストの製造について]
顔料分散ペーストは、上記した顔料分散用樹脂(A)に中和剤および顔料成分(B)を配合し、分散機としてボールミル、ペブルミル、サンドミル、シェイカー等の、従来から用いられている分散機を用いて分散させ、粒子径を15μm以下、好ましくは8μm以下とすることにより製造することができる。なかでも、ボールミルが作業性面から好ましく、ボールミルによる分散時間は1〜96時間、好ましくは10〜48時間が顔料の粒度や製造工数の面から好ましい。
なお、この明細書において、粒子径は、JIS K−5400−4.7.1(1990)分布図法による分散度に基いて分散を行い、ツブゲージを用いて粒の分布密度を観察し、密集した粒が現れ始めた箇所の目盛りを読み取ったものをいう。
顔料成分(B)としては、電着塗料に通常用いられるものが同様に使用可能であり、例えば、着色顔料としては、カーボンブラック、ペリレンブラック、酸化チタン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、オーカ等が挙げられる。部品用などの、塗色が黒である場合には、カーボンブラック、ペリレンブラックなどが好ましい。体質顔料としては、例えば、クレー、マイカ、タルク、硫酸バリウム(バリタ)、シリカなどが挙げられ、防錆顔料としては、例えば、リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、ハイドロタルサイト、亜鉛化合物などを用いることもできる。
なかでも、体質顔料として硫酸バリウム(バリタ)を含有することが、増量効果と塗膜光沢の確保のためには好ましい。硫酸バリウム(バリタ)の含有量としては、カチオン電着塗料の基体樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜8質量部含有することがよい。特に、本発明の顔料分散樹脂(A)と硫酸バリウム(バリタ)を併用することによって、60度鏡面光沢度85以上、好ましくは90以上の光沢を得ることができる。
また、適宜配合される硬化触媒は、塗膜の架橋反応を促進するために有効であり、例えば、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、錫オクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジベンゾエートなどが挙げられる。
なお、顔料分散用樹脂(A)と顔料成分(B)との質量比は、顔料分散用樹脂(A)/顔料成分(B)=1/0.05〜1/50の範囲、好ましくは、1/0.5〜1/30が、仕上り性や塗料安定性のためによい。
また、顔料分散ペーストの調製に用いられる顔料分散用樹脂(A)の配合割合は、基体樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部あたり、合計で0.1〜20質量部、特に3〜15質量部、さらに特に5〜12質量部の範囲内であることが望ましい。
[カチオン電着塗料の調製]
本発明により提供される顔料分散ペーストは、これを基体樹脂、硬化剤などを含有するエマルションと混合して、電着塗料とすることができる。電着塗料は、アニオン型およびカチオン型のいずれであってもよいが、耐食性などの点から、一般にはカチオン型が好ましい。
また、基体樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリブタジエン樹脂系、アルキド樹脂系、ポリエステル樹脂系などのいずれの塗料用樹脂でも使用することができるが、なかでもアミノ基含有エポキシ樹脂に代表されるポリアミン樹脂が好ましい。
アミノ基含有エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂にアミン化合物を付加させることにより得られるものであり、その際に用いられるエポキシ樹脂としては、塗膜の防食性等の観点から、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン、例えば、エピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂が好適である。
かかるエポキシ樹脂の形成のために用いることのできるポリフェノール化合物としては、従来から用いられているものと同様のものが使用でき、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(ビスフェノールA)、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
また、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、なかでも、ビスフェノールAから誘導される下記式
Figure 0005105789
(上式中、nは0〜8である)
で示されるものが好適である。
エポキシ樹脂は、一般に180〜2,500、好ましくは200〜2,000、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内のエポキシ当量を有することができ、また、一般に少なくとも200、特に400〜4,000、さらに特に800〜2,500の範囲内の数平均分子量を有するものが適している。
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)からエピコート828EL、同1002、同1004、同1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
アミン化合物は、エポキシ樹脂にアミノ基を導入して該エポキシ樹脂をカチオン化するためのカチオン性付与成分であり、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有するもの、例えば、1級アミノ基を有するアミン化合物が用いられる。
1級アミノ基を有するアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、プロパノールアミン、ヒドロキシエチルアミノエチレンジアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのケチミン化物が挙げられる。
上記1級アミノ基を有するアミン化合物は他のアミン化合物と併用されてもよく、併用可能なアミン化合物としては、特に2級アミンが好ましく、例えば、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエタノールアミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノールなどが挙げられる。
上記のエポキシ樹脂は、キシレンホルムアルデヒド樹脂やカプロラクトン性ポリオール化合物などと反応させることにより変性することができる。
キシレンホルムアルデヒド樹脂は、例えば、キシレン、ホルムアルデヒドおよび場合によりフェノール類を酸性触媒の存在下に縮合反応させることにより製造することができる。上記のホルムアルデヒドとしては、工業的に入手容易なホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドを発生する化合物などを例示することができる。キシレンホルムアルデヒド樹脂は、一般に、20〜50,000mPa・s(25℃)、好ましくは30〜15,000mPa・s(25℃)の範囲内の粘度を有することができ、そして一般には100〜50,000、特に200〜10,000の範囲内の水酸基当量を有していることが好ましい。
一方、上記のカプロラクトン性ポリオール化合物は、複数の活性水素基を含有する化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどにカプロラクトンを付加して得ることができる。
キシレンホルムアルデヒド樹脂やポリカプロラクトン性ポリオール化合物によるエポキシ樹脂の変性は、一般に、アミン化合物と変性剤とをエポキシ樹脂のエポキシ基に同時に反応させることによって行うことが好ましい。
上記の変性剤の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、塗料組成物の用途等に応じて適宜変えることができるが、エポキシ樹脂の固形分質量を基準にして、一般に5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内が適当である。なお、防食性の向上のためには、キシレンホルムアルデヒド樹脂によって変性してなるアミノ基含有エポキシ樹脂が好ましい。
次に、カチオン電着塗料に配合する硬化剤としては、ブロック化ポリイソシアネート化合物やアミノ樹脂等の従来から知られている硬化剤を用いることができ、特にブロック化ポリイソシアネート化合物が好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、従来から知られているものを使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(通常「MDI」と呼ばれる)、クルードMDI、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族または脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイシアネート化合物の環化重合体、イソシアネートビゥレット体;これらのポリイソシアネート化合物の過剰量にエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末端イソシアネート含有化合物などを挙げることができる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−tert−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノールなどの脂肪族アルコール類;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルキルアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系化合物等が挙げられる。これらのうちで、オキシム系およびラクタム系のブロック剤は、比較的低温で解離するブロック剤であり、低温硬化性の点から特に好適である。
基体樹脂および硬化剤の使用量は、両者の合計質量を基準にして、基体樹脂は60〜90%、好ましくは70〜85%範囲内、そして硬化剤は40〜10%、好ましくは30〜15%範囲内とすることができる。
上記の基体樹脂と硬化剤は、通常、これをギ酸、酢酸、乳酸などの水溶性有機酸で中和して水溶化または水分散化することによってエマルションとすることができる。
本発明のカチオン電着塗料は、上記エマルションに、前記顔料分散ペーストを添加し、必要に応じて、有機溶剤、界面活性剤、表面調整剤、はじき防止剤などの添加物を配合することにより調製することができ、また固形分濃度が5〜25質量%の範囲内となるように脱イオン水などで希釈し、pHを5.0〜7.0の範囲内に調整することにより、カチオン電着塗料の浴を得ることができる。電着塗装は、通常、浴温15〜35℃および印加電圧100〜400Vの条件で行うことができる。
その被塗物としては、自動車ボディ、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられ、金属であれば特に制限はなく、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板、Al素材、Mg素材など、並びにこれらの鋼板や冷延鋼板などの基材を必要に応じてアルカリ脱脂などの表面を洗浄化した後、リン酸塩化成処理、クロメート処理などの表面処理を行ったものが挙げられる。
次に、電着塗膜を、電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機などの乾燥設備を用い、塗物表面の温度で110〜200℃、好ましくは140〜180℃、時間としては10〜180分間、好ましくは20〜50分間加熱して、硬化させることができる。
以下、製造例、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
製造例1 顔料分散用樹脂No.1の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部を仕込み、170℃に昇温し、反応させる。さらに、ジエタノールアミン105部およびN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.1溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.1の水酸基価は150mgKOH/g、アミン価は70mgKOH/g、数平均分子量は2,200であった。
(注3)CNE195LB:長春ジャパン株式会社製、商品名、クレゾール型ノボラックエポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物
製造例2 顔料分散用樹脂No.2の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクタム430部を仕込み、170℃に昇温して反応させる。さらに、ジエタノールアミン278部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.2溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.2の水酸基価は200mgKOH/g、アミン価は70mgKOH/g、数平均分子量は2,300であった。
製造例3 顔料分散用樹脂No.3の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部を仕込み、170℃に昇温して反応させる。さらに、N−メチルエタノールアミン200部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.3溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.3の水酸基価は120mgKOH/g、アミン価は70mgKOH/g、数平均分子量は2,200であった。
比較製造例1 顔料分散用樹脂No.4の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。さらに、ジエタノールアミン105部およびN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.4溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.4の水酸基価は150mgKOH/g、アミン価は90mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
比較製造例2 顔料分散用樹脂No.5の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール110部、CNE195LB(注3)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部を仕込み、170℃に昇温して反応させる。さらに、ジエタノールアミン260部およびN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.5溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.5の水酸基価は250mgKOH/g、アミン価は120mgKOH/g、数平均分子量は2,500であった。
製造例1〜3、比較製造例1および2の配合内容を表1に示す。
Figure 0005105789
比較製造例3 顔料分散用樹脂No.6の製造例
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル398部、EHPE−3150(ダイセル化学株式会社製、商品名、エポキシ当量180の脂環型エポキシ樹脂)900部、ジエタノールアミン315部、アミン化合物(注4)371部およびエポキシアミン生成物(注5)1651部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、150℃で反応させ、エポキシ当量が0になったことを確認し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散用樹脂No.6溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.6の水酸基価は180mgKOH/g、アミン価は96.5mgKOH/g、数平均分子量は2,000であった。
(注4)アミン化合物:温度計、攪拌機、還流冷却器および水分離器を取り付けた反応容器に、ステアリン酸285部、ヒドロキシルエチルアミノエチルアミン104部およびトルエン80部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、必要に応じてトルエンを除去し、温度を上げながら反応水18部を分離除去した後、残存するトルエンを減圧除去することにより得られるアミン価150、凝固点76℃のアミン化合物
(注5)エポキシアミン生成物:撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、ジエタノールアミン105部、エポキシ当量190のビスフェノールAジグリシジルエーテル760部、ビスフェノールA456部およびエチレングリコールモノブチルエーテル330部を添加し、150℃でエポキシ基残量が0になるまで反応させることにより得られる固形分80%のエポキシアミン生成物
比較製造例4 顔料分散用樹脂No.7の製造例
エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールA390部、ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量約1,200)240部およびジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させる。次に、ジメチルエタノールアミン134部および酢酸90部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂No.7溶液を得た。この顔料分散用樹脂No.7のアンモニウム塩価は44mgKOH/g、数平均分子量は3,000であった。
製造例4 顔料分散ペーストNo.1
製造例1で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、JR−600E(注6)14部、ハイドライドPXN(注7)11部、水酸化ビスマス1部、ジブチル錫オキサイド1部、10%酢酸(中和剤)2.7部、脱イオン水12部を配合し、ボールミルにて20時間分散を行い、固形分50%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
(注6)JR−600E:テイカ社製、商品名、チタン白
(注7)ハイドライドPXN:ジョージアカオリン社製、商品名、アルミニウムシリケート
製造例5〜12 顔料分散ペーストNo.2〜9の製造例
顔料分散ペーストNo.1と同様の操作にて、表2の配合内容で顔料分散ペーストNo.2〜9を作成した。
Figure 0005105789
(注8)BF−20:堺化学工業社製、商品名、硫酸バリウム
(注9)貯蔵安定性:各顔料分散ペースト100gを、ガラスの容器に入れて40℃にて30日間貯蔵した時の顔料分散ペーストの状態をチェックした。
◎:問題なく良好
○:やや顔料の沈降が見られるが、10分間未満の攪拌で貯蔵前の状態に戻る
△:顔料分散ペーストの沈降が見られ、10分間未満の攪拌では貯蔵前の状態に戻らないか、または10分間以上の攪拌にてペースト状態になったとしても顔料の凝集状態(ダマ)が残る
×:顔料の著しい沈降が見られるか、または30分間以上攪拌してもペースト状態に戻らない
製造例13 アミノ基含有エポキシ樹脂No.1
PP−400(三洋化成社製、商品名、ポリプロピレングリコール、数平均分子量400)400部にε−カプロラクトン300部を加えて、130℃まで昇温する。その後、テトラブトキシチタン0.01部を加え、170℃に昇温する。この温度を保ちながら経時でサンプリングし、赤外吸収スペクトル測定にて未反応のε−カプロラクトン量を追跡し、反応率が98%以上になった時点で冷却し、変性剤2を得た。
別に、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量350)1,000部にビスフェノールA400部およびジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させる。これにノニルフェノール120部を加え、130℃でエポキシ当量1,000になるまで反応させた。次いで、変性剤2200部、ジエタノールアミン95部およびジエチレントリアミンのケチミン化物65部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整し、アミン価40mgKOH/g、樹脂固形分80%のノニルフェノールを付加したポリオール変性のアミノ基含有エポキシ樹脂No.1を得た。
製造例14 アミノ基含有エポキシ樹脂No.2
温度計、還流冷却器および攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部およびメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させる。反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1050センチポイズ(25℃)のフェノール変性のキシレンホルムアルデヒド樹脂 480部を得た。
別のフラスコに、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂 、エポキシ当量190、分子量350)1000部、ビスフェノールA 400部およびジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させる。次に、キシレンホルムアルデヒド樹脂300部、ジエタノールアミン137部およびジエチレントリアミンのケチミン化物95部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル403部を加え、アミン価57mgKOH/g樹脂固形分、分子量2,000、固形分80%のキシレンホルムアルデヒド樹脂変性のアミノ基含有エポキシ樹脂No.2を得た。
製造例15
反応容器中に、コスモネートM−200(注10)270部およびメチルイソブチルケトン25部を加え、70℃に昇温する。これに2,2−ジメチロールブタン酸15部を徐々に添加し、次いでエチレングリコールモノブチルエーテル118部を滴下して加え、70℃で1時間反応させた後、60℃に冷却し、プロピレングリコール152部を添加する。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアナト基の吸収がなくなったことを確認し、固形分が80%の硬化剤No.1を得た。
(注10)コスモネートM−200:商品名、三井化学社製、クルードMDI
製造例17 エマルションNo.1の製造
上記製造例14にて得た80%のアミノ基含有エポキシ樹脂No.1を87.5部(固形分70部)、製造例16にて得た硬化剤を33.3部(固形分30部)、10%ギ酸8.2部を配合し、均一に攪拌した後、脱イオン水183.5部を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、固形分32.0%の エマルションNo.1を得た。
製造例18 エマルションNo.2の製造
上記製造例15にて得た80%のアミノ基含有エポキシ樹脂No.2を87.5部(固形分70部)、製造例16にて得た硬化剤を33.3部(固形分30部)、10%ギ酸8.2部を配合し、均一に攪拌した後、脱イオン水183.5部を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、固形分32.0%のエマルションNo.2を得た。
実施例1 カチオン電着塗料No.1の製造
製造例17で得た32%のエマルションNo.1を312.5部(固形分100部)、製造例4で得た50%の顔料ペーストNo.1を52部(26部)および脱イオン水265.5部を加え、固形分20%のカチオン電着塗料 No.1を得た。
実施例2〜6 カチオン電着塗料No.2〜6の製造例
表3に示す組み合わせで、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料No.2〜6を作成した。
Figure 0005105789
比較例1〜6 カチオン電着塗料No.7〜12の製造例
表4に示す組み合わせで、実施例1と同様にして、カチオン電着塗料No.7〜12を作成した。
Figure 0005105789
試験板の作製
上記の実施例および比較例で得た各カチオン電着塗料を用い、リン酸亜鉛処理を施した冷延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)に、乾燥膜厚が20μmとなるように、浴温28℃にて電着塗装を施し、水洗後、170℃で20分間焼き付けて試験板を作製し、以下の試験方法に従って試験した。その結果を表5および表6に示す。
Figure 0005105789
Figure 0005105789
耐2次タレ性
図1に示すように2枚の鋼板(1)と鋼板(2)をかさね合わせて(鋼板(1)と鋼板(2)のクリアランスが100μm)治具を作製し、20μmの乾燥塗膜が得られる条件にて電着塗装を行って水洗し、10分間のセッティング後、170℃で20分間焼き付けて、塗面の耐2次タレ・ワキの状態を観察した。
○:タレ・ワキの発生がなく問題なし
△:タレ・ワキがあるため、研ぎなどの修正が必要なレベル
×:タレ・ワキがあり、外観を著しく損なうレベル
防錆鋼板の電着塗装適性
各電着塗料に、リン酸亜鉛処理を施した合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(0.8mm×70mm×150mm)を浸漬し、浴温28℃にて、250Vで3分間(30秒昇圧+2分30秒定電圧)電着塗装して、水洗後、焼き付け乾燥した後の塗面におけるピンホールの数を数えた。
○:ピンホールの発生なし
△:ピンホールの発生が1〜10個
×:ピンホールの発生は10個を超える
防食性
試験板の素地に達するように電着塗膜にナイフでクロスカット傷を入れ、これを用い、JIS Z−2371に準じて840時間耐塩水噴霧試験を行った。評価をナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で行った。
◎:錆、フクレの最大幅がカット部より2mm未満(片側)である
○:錆、フクレの最大幅がカット部より2mm以上でかつ3mm未満(片側)である
△:錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以上でかつ4mm未満(片側)である
×:錆、フクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)である
耐ばくろ性
試験板に、スプレー塗装方法で、WP−305(関西ペイント株式会社製、水性中塗り塗料)を硬化膜厚が25μmとなるように塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃×30分間焼き付けを行った。さらに、その中塗塗膜上にスプレー塗装方法で、ネオアミラック6000(関西ペイント株式会社製、上塗り塗料)を、硬化膜厚が35μmとなるように、塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃×30分間焼き付けを行い、暴露試験板を作製した。得られた暴露試験板上の塗膜に、素地に達するようにナイフでクロスカットキズを入れ、これを千葉県千倉町で、水平にて1年間暴露した後、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎:錆またはフクレの最大幅がカット部より2mm未満(片側)
○:錆またはフクレの最大幅がカット部より2mm以上で且つ3mm未満(片側)
△:錆またはフクレの最大幅がカット部より3mm以上で且つ4mm未満(片側)
×:錆またはフクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)である
60度鏡面光沢度
複層塗膜の光沢の程度を、JIS K−5400 7.6(1990)の60度鏡面光沢度に従い、入射角と受光角とがそれぞれ60度のときの反射率を測定して、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率で表した。
塗料安定性(1)
実施例および比較例で得た各カチオン電着塗料を無攪拌にて24時間静置し、次いで3時間攪拌(700rpm)した後、L字状(水平面/垂直面=5cm/10cm)に折り曲げた試験板を用い、20μmの乾燥塗膜が得られる条件にて電着塗装を行い、水洗し、170℃で20分間焼き付けて、L面(水平面)の塗面状態をチェックした。
◎:L面は、仕上り性に問題なく良好
○:L面に、ややツヤひけがみられるが、製品としては問題ないレベル
△:L面に、ブツ、ヘコミ、ハジキのいずれかがみられる
×:L面に、ブツ、ヘコミ、ハジキのいずれかが著しい
塗料安定性(2)
実施例および比較例で得た各カチオン電着塗料3リットルを用い、リン酸亜鉛処理を施した冷延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)に、乾燥膜厚が20μmとなるように、試験板100枚電着塗装を施し、その後電着塗装前の固形分になるように、各々のエマルションと顔料ペーストを補給した。次の日にも、同様の作業を繰り返し30日間続けた(ターンオーバー試験)時の「60度鏡面光沢度」の変化を観察した。
◎:60度鏡面光沢度の1ヶ月間の変化が2未満である
○:60度鏡面光沢度の1ヶ月間の変化が2以上でかつ5未満である
△:60度鏡面光沢度の1ヶ月間の変化が5以上でかつ10以下である
×:60度鏡面光沢度の1ヶ月間の変化が10を超える
本発明の顔料分散ペーストは貯蔵安定性に優れるため、夏場や海外への輸送時にも有利であり、この顔料分散ペーストを用いることによって塗膜性能や安定性に優れる電着塗料の供給が可能である。
耐2次タレ性試験用のパネルの概略図である。
符号の説明
1 化成処理を施した冷延鋼板(1)(0.8mm×70mm×150mm)
2 化成処理を施した冷延鋼板(2)(0.8mm×50mm×50mm)
3 試験後に染み出た塗料タレ水

Claims (5)

  1. ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル化物(a)、環状エステル化合物(b)、アミン化合物(c)およびフェノール化合物(d)を、(a)、(b)、(c)および(d)の合計固形分質量を基準にして、(a)30〜70質量%、(b)5〜45質量%、(c)5〜15質量%および(d)1〜30質量%の割合で反応させてなる顔料分散用樹脂(A)、並びに顔料成分(B)を含有することを特徴とする顔料分散ペースト。
  2. 顔料分散用樹脂(A)と顔料成分(B)との質量比が、顔料分散用樹脂(A)/顔料成分(B)=1/0.05〜1/50の範囲にある、請求項1に記載の顔料分散ペースト。
  3. カチオン電着塗料の基体樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部に対して、請求項1または2に記載の顔料分散ペーストを固形分基準で0.1〜50質量部配合してなるカチオン電着塗料。
  4. 基体樹脂として、エポキシ当量が180〜2,500のエポキシ樹脂に、キシレンホルムアルデヒド樹脂およびアミノ基含有化合物を反応させてなるキシレンホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂を含有する、請求項3に記載のカチオン電着塗料。
  5. 請求項3または4に記載のカチオン電着塗料を塗装して得られた塗装物品。
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