本発明に係るリール装置及びそれを備えた遊技機は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明のリール装置及びそれを備えた遊技機は以下の特徴を単独で、もしくは、適宜組み合わせて備えている。
上記目的を達成するための本発明に係るリール装置は、複数の図柄が形成されたリール帯と、リール帯が外周面に設けられたリールドラムと、リールドラムのドラム径よりも小径に形成され、リールドラムの周面部に噛合されてリールドラムを回転駆動するドラムギアと、ドラムギアを回転駆動する駆動力を出力する駆動力出力機構と、駆動力とドラムギアの回転速度との関係を変更する変速機構と、リールドラムの回転開始時にはドラムギアの回転速度を低速領域とし、リールドラムの回転が所定速度となったときにドラムギアの回転速度を高速領域に切り替えるように、変速機構を制御する変速制御装置と、を有することを特徴とする。
上記の構成によれば、駆動力出力機構によりドラムギアが回転され、回転されたドラムギアがリールドラムの周面部に噛合されることでリールドラムが回転される。これにより、ドラムギアがリールドラムのドラム径よりも小径に形成されているため、従来の様なリールドラムの中心部に設けられた駆動力出力機構がリムを介してリールドラムの周面部に直接駆動力を与える方法よりも、駆動力出力機構からリールドラムの周面部までの距離が短くなる。従って、駆動力出力機構が必要とするトルクを小さくすることができ、駆動力出力機構の出力に対するリールドラムの周面部の応答を向上させることができる。また、変速制御装置によって制御された変速機構により、ドラムギアの回転速度が切り替えられる。これにより、駆動力出力機構からリールドラムの周面部までの距離が短くても、従来の様なリールドラムの中心部に設けられた駆動力出力機構が駆動して回転された場合と同じ回転速度でリールドラムを回転させることができる。
また、本発明に係るリール装置において、ドラムギアは、複数備えられてリールドラムの内周面に噛合され、リールドラムを所定位置で回転可能に保持しながら、リールドラムを回転駆動していてもよい。
上記の構成によれば、複数のドラムギアがリールドラムの内周面に噛合され、リールドラムを所定位置で回転可能に保持しながら回転される。これにより、従来リールドラムを保持するために設けられたリールドラムの中心部と外周部とをつなぐリムが不要となり、リールドラムの重量を減らすことができる。従って、駆動力出力機構が必要とするトルクをより小さくすることができる。また、リムが不要となった分、リールドラムの中心付近に空間ができるため、空間を利用したバックライトの工夫やリールドラムの小型化が容易に行えるようになる。
また、本発明に係るリール装置において、ドラムギアは、リールドラムの周縁部に噛合されており、駆動力出力機構がリールドラムの側面側からドラムギアを回転駆動させていてもよい。
上記の構成によれば、ドラムギアがリールドラムの周縁部に噛合され、リールドラムの側面側から駆動力出力機構によって回転駆動されたドラムギアにより、リールドラムが回転される。これにより、従来の様な駆動力出力機構がリールドラムの内部に設けられている構造よりも、駆動力出力機構の着脱が容易になる。また、駆動力出力機構がリールドラムの内部に設けられていない分、リールドラムの小型化が容易になり、軽量化とコストダウンを図ることができる。
また、本発明に係る遊技機において、遊技者の操作により、リールドラムの回転を停止する停止ボタンと、遊技者による停止ボタンの操作を有効にする停止ボタン制御装置と、停止ボタンの操作が有効になり、且つ遊技者による停止ボタンの操作があった場合に、リールドラムの回転を停止するリールドラム停止制御装置と、を備え、変速制御装置は、停止ボタン制御装置が停止ボタンの操作を有効にする前に、ドラムギアの回転速度を低速領域から高速領域に切り替えてもよい。
上記の構成によれば、遊技者による停止ボタンの操作が有効になる前に、ドラムギアの回転速度が低速領域から高速領域に切り替えられる。これにより、停止ボタンの操作が有効になり、遊技者により停止ボタンが押されてリールドラムの回転が停止される前には、従来の様なリールドラムの中心部に設けられた駆動力出力機構が駆動して回転された場合と同じ回転速度でリールドラムを回転させることができる。
本発明のリール装置及びそれを備えた遊技機に係る実施の形態について、以下図1乃至図18を参照しながら説明する。はじめに、図1を参照して、本実施の形態における遊技機(以下、パチスロ1)の構造について説明する。
図1は、本実施の形態におけるパチスロ1の外部構造を示す。
(リールと表示窓)
パチスロ1は、リール装置3(3L・3C・3R)や回路基板等を収容するキャビネット2と、キャビネット2に対して開閉可能に取り付けられるフロントドア9とを備える。キャビネット2の内部には、3つのリール装置3(3L・3C・3R)が横並びに設けられている。ここで、図1において、3つのリール装置3(3L・3C・3R)のうちの一つを例にとり、リール装置3の拡大図を示している。図1に示すように、各リール装置3(3L・3C・3R)は、円筒状のリールドラム92の周面に、複数の図柄80(例えば21個)が形成されたリール帯5を貼り付けて構成されている。
フロントドア9の中央には、液晶表示装置18が設けられている。液晶表示装置18は、図柄表示領域を含む表示画面を備え、正面から見て3つのリール装置3(3L・3C・3R)に重畳する手前側に位置するように設けられている。図柄表示領域は、3つのリール装置3(3L・3C・3R)のそれぞれに対応して設けられており、その背後に設けられたリール装置3(3L・3C・3R)を透過することが可能な構成を備えている。
つまり、図柄表示領域は、表示窓としての機能を果たすものであり、その背後に設けられたリール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動及びその停止の動作が遊技者側から視認可能となる。また、本実施の形態では、図柄表示領域を含めた表示画面の全体を使って、映像の表示が行われ、演出が実行される。
図柄表示領域(以下、表示窓4(4L・4C・4R))は、その背後に設けられたリール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動が停止されたとき、リール装置3(3L・3C・3R)が有するリール帯5に形成された複数種類の図柄80のうち、その枠内における上段、中段及び下段の各領域にそれぞれ1個の図柄80(合計で3個)を表示する。また、各表示窓4(4L・4C・4R)が有する上段、中段及び下段からなる3つの領域のうち予め定められた何れかをそれぞれ組合せてなる擬似的なラインを、入賞か否かの判定を行う対象となるライン(入賞判定ライン8)として定義する。
本実施の形態では、各表示窓4(4L・4C・4R)の上段を組合せてなるトップライン、各表示窓4(4L・4C・4R)の中段を組合せてなるセンターライン、各表示窓4(4L・4C・4R)の下段を組合せてなるボトムライン、左表示窓4Lの上段、中表示窓4Cの中段及び右表示窓4Rの下段を組合せてなるクロスダウンライン、左表示窓4Lの下段、中表示窓4Cの中段及び右表示窓4Rの上段を組合せてなるクロスアップラインの5つを入賞判定ライン8として設けている。
図1のリール装置3の拡大図に示すように、本実施の形態のリール装置3は、複数の図柄80が形成されたリール帯5と、そのリール帯5が外周面に設けられたリールドラム92と、リールドラム92が所定の位置で回転するように保持するリム91と、後述するステッピングモータ49の出力軸に設けられた被動軸111と、被動軸111の先端部に設けられたドラムギア110と、後述する変速機構100と、を有している。なお、本実施の形態において、3つのリール装置3(3L・3C・3R)は全て同様の構成を有している。
リールドラム92は、リール帯5が外周面に設けられており、内周面の端部には複数のギア歯が形成されている。ドラムギア110は、リールドラム92のドラム径よりも小径に形成され、リールドラム92の周面部に形成されたギア歯と噛合されるように配置されており、ステッピングモータ49の回転駆動力により回転されるようになっている。ここで、ドラムギア110は、リールドラム92に形成されたギア歯に噛合されているため、ドラムギア110は回転することにより、リールドラム92を回転駆動するようになっている。例えば、ドラムギア110が回転方向Aに回転すると、リールドラム92は回転方向Bに回転駆動されるようになっている。
ここで、図3は、従来のリール装置3Aの構成を示した図である。図3に示すように、従来のリール装置3Aは、ギア歯が形成されていないリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49がリム91を介してリールドラム92の周面部に直接駆動力を与える方法が用いられている。例えば、ステッピングモータ49が駆動されると、リム91を介してリールドラム92の周面部に回転駆動力が与えられ、リールドラム92が回転方向Bに回転駆動されるようになっている。この場合、ステッピングモータ49の出力軸からリールドラム92の周面部までの距離が長いため、ステッピングモータ49が必要とするトルクが大きくなり、ステッピングモータ49の出力に対するリールドラム92の周面部付近の応答が悪くなる。一方、図1に示すような本実施の形態のリール装置3は、ステッピングモータ49の出力軸からリールドラム92の周面部までの距離が長さLの分だけ従来よりも短くてすむ。この構成によれば、ドラムギア110がリールドラム92のドラム径よりも小径に形成されているため、従来の様なリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49がリム91を介してリールドラム92の周面部に直接駆動力を与える方法よりも、ステッピングモータ49からリールドラム92の周面部までの距離が短くなる。従って、ステッピングモータ49が必要とするトルクを小さくすることができ、ステッピングモータ49の出力に対するリールドラム92の周面部の応答を向上させることができる。
(変速機構)
図4は、本実施の形態の変速機構100の構成を示した図である。ここで、変速機構100は、ステッピングモータ49の駆動力とドラムギア110の回転速度との関係を変更する役割を有するものである。図4に示すように、変速機構100は、移動部101と、被動部102と、駆動部103と、を有している。
移動部101は、移動用モータ160と、移動軸161と、移動用滑車114と、を有している。移動軸161は、移動用モータ160の出力軸に設けられており、外周面がネジ構造に形成されている。移動用滑車114は、上部がナット構造になっており、移動軸161が有する外周面のネジ構造と組み合わされることで、雄ネジと雌ネジの関係になる。つまり、移動軸161が移動用モータ160の回転駆動力により回転することで、移動軸161の軸方向であるX軸方向に移動用滑車114が移動可能となっている。また、移動用滑車114には、後述する低速被動部材113が支持部材で取付けられている。このため、移動用滑車114が移動することにより、低速被動部材113もX軸方向に移動されるようになっている。
被動部102は、被動軸111と、低速被動部材113と、クラッチ112と、高速被動ギア120と、を有している。棒状の被動軸111は、移動軸161と平行を保って配置されている。被動軸111の先端部には、ドラムギア110が設けられている。さらに、ドラムギア110が設けられた位置からX軸方向に少し間隔をあけて、低速被動部材113が被動軸111に中心を貫通されるようにして設けられている。また、前述したように、低速被動部材113は支持部材で移動用滑車114に取付けられている。
低速被動部材113は、ドーナツ型の様に中空部分を有する小径の円柱である。また、低速被動部材113は、被動軸111を回転軸として回転可能になっている。低速被動部材113の外周面は、後述する低速駆動部材140の外周面に接するように配置され、低速駆動部材140が回転することにより、低速被動部材113も回転されるようになっている。なお、低速被動部材113は低速駆動部材140の回転により、無段変速されるようになっている。そのため、低速被動部材113の外周面は、無断変速できる程度の摩擦係数を有しており、さらに、低速駆動部材140の回転が停止することにより低速被動部材113も停止される程度の摩擦係数を有している。
ここで、図4の上方には低速被動部材113におけるY−Z方向の断面図(右図参照)及びX−Y方向の断面図(左図参照)が示されている。Y−Z方向の断面図に示すように、低速被動部材113は、中空部分を有し、中空部分の一部が凸状となるように形成されている。一方、被動軸111のY−Z方向の断面は、低速被動部材113の中空部分と同様の断面を有しており、低速被動部材113の中空部分よりも小径に形成されている。つまり、低速被動部材113は、X軸方向に自由自在に移動可能であるが、被動軸111が回転することにより、低速被動部材113の凸状部に被動軸111の凸状部が引っ掛かり、低速被動部材113も回転されるようになっている。また、X−Y方向の断面図に示すように、低速被動部材113の中空部分は、斜めの切り込み部を有している。これにより、低速被動部材113は、X軸方向に進む際はY軸方向に直立した状態となり、−X軸方向に進む際は、図6の上方に示すように斜めの切り込み部が被動軸111に接するまで−X軸方向に傾いた状態で移動されるようになっている。ここで、詳しくは後述するが、リールドラム92を停止する際には低速被動部材113が−X軸方向に移動するように制御されている。この場合、低速被動部材113が、−X軸方向に傾いた状態で移動することで、低速被動部材113と低速駆動部材140の外周面とが接する面が極一部となるため、低速駆動部材140の外周面との間の摩擦の影響が少なくてすむ。
また、図4に示すように、X軸方向に沿って、低速被動部材113の後方にはクラッチ112が設けられており、さらに、後方には被動軸111を回転軸として回転可能に高速被動ギア120が設けられている。
クラッチ112は、電磁的に結合(ON状態)することにより、被動軸111を介して高速被動ギア120の回転力をドラムギア110に伝える一方、その結合を解除(OFF状態)することにより高速被動ギア120の回転力を遮断する役割を有する。
高速被動ギア120は、低速被動部材113と同径を有する円柱である。高速被動ギア120の外周面にはギア歯が形成されており、後述する高速駆動ギア130の外周面と噛合するように配置されている。
次に、図4に示すように、駆動部103は、ステッピングモータ49と、駆動軸131と、低速駆動部材140と、高速駆動ギア130と、を有している。
駆動軸131は、ステッピングモータ49の出力軸に設けられており、駆動軸131の先端部には、低速駆動部材140が低速被動部材113の外周面と接するように設けられている。
低速駆動部材140は、円錐の上部を切断した形状を有し、低速駆動部材140の外周面は、低速被動部材113の外周面と接するように配置されている。また、低速駆動部材140は、X軸方向に位置する程、周径が次第に大きくなる。これにより、低速被動部材113が低速駆動部材140に接する位置により、低速被動部材113の回転速度が変化するようになっている。なお、低速駆動部材140の外周面は、低速被動部材113との間で無断変速できる程度に、且つ回転が停止することにより低速被動部材113も停止させる程度の摩擦係数を有している。
また、低速駆動部材140が設けられた位置からX軸方向に少し間隔をあけて、高速駆動ギア130が駆動軸131に中心を貫通されるようにして設けられている。高速駆動ギア130は、円錐の下部のような形状を有する。また、高速駆動ギア130の径は、高速被動ギア120が有する径および低速駆動部材140が有する径よりも、大きな径を有している。高速駆動ギア130の外周面は、ギア歯が形成されており、高速被動ギア120の外周面と噛合するように配置されている。これにより、ステッピングモータ49の回転駆動力により駆動軸131が回転することで、高速駆動ギア130が回転し、高速駆動ギア130の外周面と噛合する高速被動ギア120も回転されるようになっている。
(操作装置)
次に、図1に示すように、フロントドア9には、遊技者による操作の対象となる各種装置が設けられている。メダル投入口22は、遊技者によって外部から投下されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口22に受け入れられたメダルは、所定枚数(例えば3枚)を上限として1回の遊技に投入されることとなり、所定枚数を超えた分はパチスロ1の内部に預けることが可能となる(いわゆるクレジット機能)。
ベットボタン12は、パチスロ1の内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。精算ボタン14は、パチスロ1の内部に預けられているメダルを外部に引き出すために設けられる。
スタートレバー6は、全てのリール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動を開始するために設けられる。ストップボタン7(7L・7C・7R)は、3つのリール装置3(3L・3C・3R)のそれぞれに対応づけられ、対応するリール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動を停止するために設けられる。
(その他装置)
7セグ表示器17は、7セグメントLEDからなり、今回の遊技に投入されたメダルの枚数(以下、投入枚数)、特典として遊技者に対して払い出すメダルの枚数(以下、払出枚数)、パチスロ1の内部に預けられているメダルの枚数(以下、クレジット枚数)等の情報を遊技者に対してデジタル表示する。
ランプ29(LED等)は、演出内容に応じた点消灯のパターンにて光を出力する。スピーカ21は、演出内容に応じた効果音や楽曲等の音を出力する。メダル払出口15は、後述のメダル払出装置40の駆動により排出されるメダルを外部に導く。メダル払出口15から排出されたメダルは、メダル受皿16に貯められる。
図2は、本実施形態におけるパチスロ1の内部構造を示す。フロントドア9が開放され、フロントドア9の裏面側の構造及びキャビネット2の内部の構造が現れた状態が示されている。
キャビネット2の内部の上方には、主制御回路71を構成する基板(以下、主基板)が設けられている。主制御回路71は、内部当籤役の決定、リール装置3の回転駆動及び停止、入賞の有無の判定といった、パチスロ1における遊技の主な流れを制御する回路である。主制御回路71の具体的な構成は図7において後述する。
キャビネット2の内部の中央には、3つのリール装置3(3L・3C・3R)が設けられている。
3つのリール装置3(3L・3C・3R)の左側には、副制御回路72を構成する基板(以下、副基板)が設けられている。副制御回路72は、映像の表示等による演出の実行を制御する回路である。
キャビネット2の内部の下方には、多量のメダルを収容可能で、それらを1枚ずつ排出可能な構造を有するメダル払出装置40(以下、ホッパー)が設けられている。ホッパー40の左側には、パチスロ1が有する各装置に対して必要な電力を供給するための電源装置50が設けられている。
フロントドア9の裏側の中央、表示窓4(4R・4C・4L)の下方には、セレクタ60が設けられている。セレクタ60は、材質や形状等が適正であるメダルか否かを選別する装置であり、メダル投入口22に受け入れられた適正なメダルをホッパー40へ案内する。尚、セレクタ60内においてメダルが通過する経路上には、後述のメダルセンサ22Sが設けられており、適正なメダルが通過したことを検出する。
[パチスロが備える回路の構成]
パチスロ1の機械構造についての説明は以上である。次に、図7を参照して、本実施の形態におけるパチスロ1が備える回路の構成について説明する。本実施の形態におけるパチスロ1は、主制御回路71、副制御回路72及びこれらと電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)を備える。
<主制御回路>
図7は、本実施の形態におけるパチスロ1の主制御回路71の構成を示す。
(マイクロコンピュータ)
主制御回路71は、回路基板上に設置されたマイクロコンピュータ30を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ30は、CPU(以下、メインCPU31)、ROM(以下、メインROM32)及びRAM(以下、メインRAM33)により構成される。
メインROM32には、メインCPU31により実行される制御プログラム、内部抽籤テーブル等のデータテーブル、副制御回路72に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM33には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
(乱数発生器等)
メインCPU31には、クロックパルス発生回路34、分周器35、乱数発生器36及びサンプリング回路37が接続されている。クロックパルス発生回路34及び分周器35は、クロックパルスを発生する。メインCPU31は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器36は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路37は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
(スイッチ等)
マイクロコンピュータ30の入力ポートには、スイッチ等が接続されている。メインCPU31は、スイッチ等の入力を受けて、ステッピングモータ49(49L・49C・49R)等の周辺装置の動作を制御する。ストップスイッチ7Sは、3つのストップボタン7(7L・7C・7R)のそれぞれが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。また、スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。
メダルセンサ22Sは、メダル投入口22に受け入れられたメダルが前述のセレクタ60内を通過したことを検出する。また、ベットスイッチ12Sは、ベットボタン12が遊技者により押されたことを検出する。また、精算スイッチ14Sは、精算ボタン14が遊技者により押されたことを検出する。
(周辺装置及び回路)
マイクロコンピュータ30により動作が制御される周辺装置としては、ステッピングモータ49(49L・49C・49R)、変速機構100(100L・100C・100R)、7セグ表示器17及びホッパー40がある。また、マイクロコンピュータ30の出力ポートには、各周辺装置の動作を制御するための回路が接続されている。
モータ駆動回路39は、変速機構100(100L・100C・100R)を介して各リール装置3(3L・3C・3R)に対応して設けられたステッピングモータ49(49L・49C・49R)の駆動を制御する。リール位置検出回路47は、発光部と受光部とを有する光センサにより、リール装置3(3L・3C・3R)が一回転の回転駆動したことを示すリールインデックスを各リール装置3(3L・3C・3R)に応じて検出する。
ステッピングモータ49は、運動量がパルスの出力数に比例し、回転軸を指定された角度で停止させることが可能な構成を備えている。ステッピングモータ49の駆動力は、変速機構100を介してリール装置3に伝達される。ステッピングモータ49に対して1回のパルスが出力されるごとに、リール装置3は一定の角度で回転駆動する。なお、本実施の形態の場合、ステッピングモータ49は駆動開始時から3sec後に出力が100%となるように、メインCPU31及びモータ駆動回路39により制御されている。
メインCPU31は、リールインデックスを検出してからステッピングモータ49に対してパルスを出力した回数をカウントすることによって、リールの回転角度(主に、リールが図柄何個分だけ回転したか)を管理し、リール装置3が有するリール帯に形成された各図柄80の位置を管理するようにしている。
また、メインCPU31は、遊技者によるストップボタン7(7L・7C・7R)の操作を有効にする。そして、メインCPU31は、ストップボタン7(7L・7C・7R)の操作が有効になり、且つ遊技者によるストップボタン7(7L・7C・7R)の操作があった場合に、リールドラム92の回転を停止させるように、モータ駆動回路を制御している。
変速機構100は、後述する変速制御装置10により、ステッピングモータ49の駆動開始時は変速段階を低速領域とし、駆動開始時から3sec後には高速領域に切り替えるように制御される。つまり、ステッピングモータ49の駆動開始時から3sec後にはステッピングモータ49の出力が100%となるため、リールドラム92の回転が限界点である所定速度(以下、低速領域限界速度と呼称する)に達し、それ以上は回転速度が上がらなくなる。そのため、リール装置3の駆動開始時から3sec後には、変速機構100の変速段階が、低速領域から高速領域に切り替えられるように制御されている。なお、低速領域および高速領域については、後述する。
表示部駆動回路48は、7セグ表示器17の動作を制御する。また、ホッパー駆動回路41は、ホッパー40の動作を制御する。また、払出完了信号回路44は、ホッパー40に設けられたメダル検出部40Sが行うメダルの検出を管理し、ホッパー40から外部に排出されたメダルが払出枚数に達したか否かをチェックする。
副制御回路72は、主制御回路71と電気的に接続されており、主制御回路71から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。
副制御回路72には、その動作が制御される周辺装置として、液晶表示装置18、スピーカ21、ランプ29、及び変速制御装置10が接続されている。
図示しないサブCPU、レンダリングプロセッサ、描画用RAM(フレームバッファを含む)及びドライバは、演出内容により指定されたアニメーションデータに従って映像を作成し、作成した映像を液晶表示装置18により表示する。
また、サブCPU、DSP、オーディオRAM、A/D変換器及びアンプは、演出内容により指定されたサウンドデータに従ってBGM等の音をスピーカ21により出力する。また、サブCPUは、演出内容により指定されたランプデータに従ってランプ29の点灯及び消灯を行う。
また、サブCPUは、リールドラム92の回転が低速領域限界速度となったときに変速制御装置10に変速機構100の変速段階を低速領域から高速領域に切り替えさせる。
[変速機構の動作]
次に、図4乃至図6を参照しながら、本実施の形態に係る変速機構100の動作を説明する。
(低速領域)
図4は、本実施の形態の変速機構100の構成を示した図である。なお、図4は、変速機構100の変速段階が低速領域の状態である場合を示している。ここで、低速領域とは、リールドラム92が停止状態から駆動開始する際の変速状態のことである。
図4に示すように、低速領域にある変速機構100は、クラッチ112がOFF状態となり、ドラムギア110には低速被動部材113の回転力のみが伝えられている。変速段階が低速領域の場合、移動用モータ160が回転方向dに回転駆動することにより、移動軸161が同じ回転方向dに回転される。移動軸161が回転することにより、移動用滑車114が低速被動部材113とともに、X軸方向に移動される。一方、ステッピングモータ49が回転方向bに回転駆動することにより、同様に低速駆動部材140が回転方向bに回転される。これにより、低速被動部材113の外周面と低速駆動部材140の外周面とが接しているため、低速被動部材113は、X軸方向に移動しながら低速駆動部材140の回転力により回転方向aに無段に変速回転される。また、ドラムギア110は、低速被動部材113が無段に変速回転することにより、ドラムギア110も回転方向Aに変速回転し、リールドラム92を変速回転させている。つまり、リールドラム92の駆動開始時は、低速駆動部材140の径が最も小さい外周面に低速被動部材113が接して回転することにより、回転速度は遅いがステッピングモータ49のトルクが少なくて済むようになっている。そのため、変速機構100は、リールドラム92の回転開始時にはドラムギア110の回転速度を低速領域とすることで、リールドラム92を回転させやすくしている。
また、低速被動部材113がX軸方向に移動して回転することにより、低速駆動部材140の径が除々に大きくなる。このため、リールドラム92の回転速度が除々に上昇し、低速駆動部材140の径が最大となる外周面に低速被動部材113が接する時には、低速領域状態で最も回転速度が速い状態(低速領域限界速度)となる。ところが、低速領域限界速度の状態では、従来のようなリールドラム92の中心に設けられたステッピングモータ49が駆動してリールドラム92を直接回転するよりもリールドラム92の回転速度を出せない。ここで、次に説明する高速領域に変速段階を切り替えるように制御されている。
(高速領域)
図5は、本実施の形態の変速機構100の構成を示した図である。なお、図5は、変速機構100の変速段階が高速領域の状態である場合を示している。ここで、高速領域とは、リールドラム92の回転速度が最も速くなる状態である。低速領域から高速領域への切り替えは、副制御回路72が有するサブCPU及び変速制御装置10により、リールドラム92の回転が低速領域限界速度となったときに、切り替えられるように制御されている。詳しくは、ステッピングモータ49の出力が100%となり、リールの回転速度が低速領域限界速度となる時(本実施形態の場合、リール装置3の駆動開始時から3sec後)に、サブCPU及び変速制御装置10により、低速領域から高速領域へ切り替えられるように制御されている。
図5に示すように、高速領域にある変速機構100は、クラッチ112がON状態となり、ドラムギア110には高速被動ギア120の回転力のみが伝えられている。この時、低速被動部材113は、移動用モータ160により、低速駆動部材140の外周面と接しない位置に移動して停止されている。変速段階が高速領域の場合、ステッピングモータ49が回転方向bに回転駆動することにより、同様に高速駆動ギア130が回転方向bに回転される。これにより、高速被動ギア120の外周面と高速駆動ギア130の外周面とが噛合しているため、高速被動ギア120は、高速駆動ギア130の回転力により回転方向cに定速回転される。また、高速駆動ギア130は、低速駆動部材140の径よりも、大径に形成されているため、低速領域の状態よりも、さらにリールドラム92の回転速度は速くなる。これにより、サブCPU及び変速制御装置10によって制御された変速機構100により、ステッピングモータ49からリールドラム92の周面部までの距離が短くても、従来の様なリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49が駆動して回転された場合と同じ回転速度でリールドラム92を回転させることができる。
(リール停止時)
図6は、本実施の形態の変速機構100の構成を示した図である。なお、図6は、リールドラム92の停止時における変速機構100の状態を示している。
図6に示すように、遊技者の操作により、ストップボタン7が操作されると、移動用モータ160は、回転方向eに回転駆動を始める。これにより、移動軸161が回転方向eに回転し、移動用滑車114が低速被動部材113とともに−X軸方向に移動される。この時、図6に示す低速被動部材113におけるX−Y方向の断面図のように、低速被動部材113は、中空部分の斜めの切り込み部が被動軸111に接するまで−X軸方向に傾いた状態で移動する。
次に、移動した低速被動部材113が、低速駆動部材140の径が最小径となる位置にまで移動すると、移動用モータ160の回転方向が瞬間的に逆回転(回転方向f)に駆動され、低速被動部材113は再び直立した状態に戻り停止する。その後、回転していたステッピングモータ49を停止することにより、高速駆動ギア130及び高速被動ギア120の回転が停止し、ドラムギア110とともにリールドラム92が停止される。ここで、高速被動ギア120と高速駆動ギア130とが互いのギア歯により噛合されているため、リールドラム92は滑ることなく所望の位置に停止可能である。加えて、低速被動部材113は低速駆動部材140が最小径となる外周面と接しているため、リールドラム92を停止させる応答を速くすることが可能となる。
以上、図4乃至図6を用いて、変速機構100の動作を説明した。次に、図8を参照して、変速機構100における変速切り替え動作のタイミングを説明する。
[変速機構の動作タイミングチャート]
図8は、本実施形態の変速機構100における変速切り替え動作のタイミングチャートを示した図である。まず、図8において、リール装置3の駆動開始時、即ちリールドラム92の回転開始時を0secとする。図8に示すように、本実施の形態のリール装置3は、0〜3.0secの間、変速機構100の変速段階を低速領域の状態に制御される。また、この期間中はステッピングモータ49の出力が、0%から上昇を始め、3.0sec後には100%に到達するようになっている。この場合、リールドラム92の回転速度も所定速度(低速領域限界速度)で飽和する。なお、リールドラム92の回転速度が、低速領域限界速度に飽和する原因は、ステッピングモータ49の出力が100%となり、且つステッピングモータ49の出力軸からリールドラム92の周面部までの距離が従来よりも短いことに起因するものである。
次に、図8に示すように、本実施の形態のリール装置3は、リールドラム92の回転開始時から3.0sec経過したとき、変速機構100の変速段階を低速領域から高速領域に切り替える。これにより、飽和していたリールドラム92の回転速度は再び上昇し、4.5secになるまでには、最高速度に達するようになる。つまり、変速機構100の変速段階を切り替えることによって、ステッピングモータ49からリールドラム92の周面部までの距離が短くても、従来の様なリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49が駆動して回転された場合と同じ回転速度でリールドラム92を回転させるように制御されている。
また、図8に示すように、本実施の形態のパチスロ1は、リールドラム92の回転開始時から4.5sec経過した時点で、ストップボタン7の操作を有効になるように制御されている。ここで、前述したように、変速機構100の変速段階は、リールドラム92の回転開始時から3.0sec後に低速領域から高速領域に切り替えられているため、遊技者によるストップボタン7の操作が有効になる前には、すでに変速機構100の変速段階が低速領域から高速領域に切り替えられていることになる。これにより、ストップボタン7の操作が有効になり、遊技者によりストップボタン7が押されてリールドラム92の回転が停止される前には、従来の様なリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49が駆動して回転された場合と同じ回転速度でリールドラム92を回転させることができる。
また、その後、本実施形態のパチスロ1は、遊技者によるストップボタン7の操作があった場合に、変速機構100の変速段階を高速領域から低速領域に切り替え、リールドラム92の回転を停止させる。
[パチスロにおいて実行されるプログラムフロー]
次に、図9乃至図11を参照して、主制御回路71のメインCPU31により実行されるプログラムの内容について説明する。
[主制御回路のメインCPUの制御によるメインフローチャート]
まず、図9を参照して、メインCPU31の制御によるメインフローチャートについて説明する。パチスロ1に電源が投入されると、はじめに、メインCPU31は、初期化処理を行う(S1)。次に、メインCPU31は、メインRAM33における指定格納領域のクリアを行う(S2)。例えば、内部当籤役格納領域や表示役格納領域等、1回の遊技ごとに消去が必要となる格納領域に格納されたデータがクリアされる。
次に、メインCPU31は、メダル受付・スタートチェック処理を行う(S3)。この処理では、メダルセンサ22Sやスタートスイッチ6Sの入力のチェック等が行われる。
次に、メインCPU31は、乱数値を抽出し、メインRAM33に設けられた乱数値格納領域に格納する(S4)。次に、メインCPU31は、内部抽籤処理を行う(S5)。この処理では、乱数値に基づいた抽籤により内部当籤役の決定が行われる。次に、メインCPU31は、スタートコマンドを副制御回路72に対して送信する(S6)。スタートコマンドは、内部当籤役等を特定するパラメータを含んで構成される。
次に、メインCPU31は、全リール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動の開始を要求する(S7)。尚、全リール装置3(3L・3C・3R)の回転開始が要求されると、一定の周期(1.1173msec)で実行される割込処理(後述の図11)によってステッピングモータ49の駆動が制御され、各リールの回転が開始される。
次に、メインCPU31は、後で図10を参照して説明するリール停止制御処理を行う(S8)。この処理では、ストップスイッチ7Sの入力のチェックが行われ、ストップボタン7(7L・7C・7R)が押されたタイミングと内部当籤役とに基づいて該当リール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動が停止される。
次に、メインCPU31は、入賞判定ライン8に沿って表示された図柄の組合せを検索し、その結果に基づいて払出枚数等を決定する(S9)。検索の結果、入賞判定ライン8に沿って表示された図柄80の組合せが図柄組合せテーブルにより規定されている図柄80の組合せと一致する場合、対応する表示役及び払出枚数が決定される。次に、メインCPU31は、表示コマンドを副制御回路72に対して送信する(S10)。表示コマンドは、表示役や払出枚数等を特定するパラメータを含んで構成される。
次に、メインCPU31は、メダル払出処理を行う(S11)。決定された払出枚数に基づいて、ホッパー40の駆動やクレジット枚数の更新が行われる。次に、メインCPU31は、払出枚数に基づいて、ボーナス終了枚数カウンタを更新する(S12)。払出枚数として決定された数値がボーナス終了枚数カウンタから減算される。
次に、メインCPU31は、ボーナス作動中フラグがオンであるか否かを判別する(S13)。メインCPU31は、ボーナス作動中フラグがオンであると判別したときには、ボーナス終了チェック処理を行う(S14)。ボーナスの終了契機を管理するための各種カウンタを参照して、ボーナスの作動を終了するか否かがチェックされる。
メインCPU31は、S14の後、又は、S13においてボーナス作動中フラグがオンではないと判別したときには、ボーナス作動チェック処理を行う(S15)。ボーナスの作動を開始するか否かがチェックされる。この処理が終了すると、S2に移る。
[リール停止制御処理]
次に、図10を参照して、リール停止制御処理について説明する。はじめに、メインCPU31は、リール装置3が回転駆動してから4.5sec経過したか否かを判別する(S21)。メインCPU31は、4.5sec経過していないと判別したときには、経過するまで待機する。
メインCPU31は、リール装置3が回転駆動してから4.5sec経過したと判別したときには、ストップボタン7を有効にする(S22)。
次に、メインCPU31は、有効なストップボタン7が押されたか否かを判別する(S23)。メインCPUは、有効なストップボタン7が押されていないと判別したときには、これが押されるまで待機する。
メインCPU31は、有効なストップボタン7が操作されたと判別したときには、該当ストップボタン7の操作を無効化する(S24)。各ストップボタン7の有効及び無効の状態は、メインRAM33に設けられた所定の格納領域において管理される。
次に、メインCPU31は、チェック回数として5をセットする(S25)。本実施の形態では、滑り駒数の最大数を「4」としていることから、ストップボタン7(7L・7C・7R)が押されたときに該当表示窓4(4L・4C・4R)の中段にある図柄80の位置を含め、そこから4個先の図柄80の位置までがチェックの対象となる。つまり、「0」、「1」、「2」、「3」及び「4」の5つの数値の何れかが滑り駒数として決定される。
次に、メインCPU31は、内部当籤役に基づいて、ストップボタン7(7L・7C・7R)が操作されたときに該当表示窓4(4L・4C・4R)の中段にある図柄80の位置(以下、停止開始位置)を含めたチェック回数の範囲内にある各図柄80の位置の中で、最も優先順位の高い図柄80の位置を検索する(S26)。この処理では、内部当籤役によって表示が許可されている図柄80の組合せを、入賞判定ライン8に沿って表示することが可能となる図柄80の位置が、最も優先順位の高い図柄80の位置として決定される。
次に、メインCPU31は、検索の結果に基づいて滑り駒数を決定する(S27)。停止開始位置から上記最も優先順位の高い図柄80の位置までの図柄80の個数が滑り駒数として決定される。次に、メインCPU31は、停止予定位置待ちへ移行する(S28)。停止予定位置待ちへ移行すると、後述の割込処理によってステッピングモータ49(49L・49C・49R)の駆動が制御され、最も優先順位の高い図柄80の位置が該当表示窓4(4L・4C・4R)の中段に到達するのを待って該当リール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動が停止される。
次に、メインCPU31は、リール停止コマンドを副制御回路72に対して送信する(S29)。リール停止コマンドは、停止したリールの種別等を特定するパラメータを含んで構成されている。
次に、メインCPU31は、操作が有効なストップボタン7(7L・7C・7R)があるか否かを判別する(S30)。つまり、まだ回転駆動中のリール装置3(3L・3C・3R)があるか否かが判別される。メインCPU31は、操作が有効なストップボタン7(7L・7C・7R)があると判別したときには、S21に移る一方で、操作が有効なストップボタン7(7L・7C・7R)がないと判別したときには、リール停止制御処理を終了する。
[メインCPUの制御による割込処理(1.1173msec)]
次に、図11を参照して、メインCPU31の制御による割込処理(1.1173msec)について説明する。はじめに、メインCPU31は、レジスタの退避を行う(S31)。次に、メインCPU31は、入力ポートチェック処理を行う(S32)。この処理では、ストップスイッチ7S等の各種スイッチから入力される信号がチェックされる。
次に、メインCPU31は、リール制御処理を行う(S33)。この処理では、全リール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動の開始が要求されたときに、各リール装置3(3L・3C・3R)の回転駆動を開始し、その後一定速度での回転を行うよう、ステッピングモータ49(49L・49C・49R)の駆動が制御される。なお、リールドラム92の回転速度は、副制御回路72のサブCPUによる後述の図12の変速制御処理に基づき、変速される。また、滑り駒数が決定されたときは、該当リールの回転が滑り駒数分継続するのを待ってその回転の減速及び停止を行うよう、ステッピングモータ49の駆動が制御される。
次に、メインCPU31は、ランプ・7セグ駆動処理を行う(S34)。次に、メインCPU31は、レジスタの復帰を行う(S35)。この処理が終了すると、割込処理を終了する。
[サブCPUの制御による変速制御処理]
次に、図12を参照して、サブCPUの制御による変速制御処理について説明する。はじめに、サブCPUは、メインCPU31からスタートコマンドを受信したか否かを判別する(S41)。サブCPUは、スタートコマンドを受信していないと判別したときには、受信するまで待機する。
サブCPUは、メインCPU31からスタートコマンドを受信したと判別したときには、変速制御装置10に変速機構100の変速段階を低速領域に変速制御させる(S42)。
次に、サブCPUは、リール装置3が回転駆動してから3.0sec経過したか否かを判別する(S43)。サブCPUは、3.0sec経過していないと判別したときには、経過するまで待機する。
サブCPUは、リール装置3が回転駆動してから3.0sec経過したと判別したときには、変速制御装置10に変速機構100の変速段階を低速領域から高速領域に切り替えさせる(S44)。
次に、サブCPUは、メインCPU31からリール停止コマンドを受信したか否かを判別する(S45)。サブCPUは、リール停止コマンドを受信していないと判別したときには、受信するまで待機する。
サブCPUは、メインCPU31からリール停止コマンドを受信したと判別したときには、変速制御装置10に変速機構100の変速段階を高速領域から低速領域に切り替えさせる(S46)。この処理が終了すると、変速制御処理を終了する。
以上、本発明を好適な第1の実施形態に基づいて説明した。また、本発明はこれに限定されるものではない。以下、本発明に係るリール装置において、第2の実施形態および第3の実施形態に基づいて説明する。
[第2の実施形態]
本発明に係るリール装置の第2の実施形態を説明する。尚、第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付記してその説明を省略する。また、第1の実施形態と同一の構成及び動作についても、その説明を省略する。
(第2の実施形態の全体構成)
図13は、第2の実施形態におけるリール装置30Aの斜視図である。図13に示すように、第2の実施形態におけるリール装置30Aは、小ドラムギア230及び大ドラムギア210の2個のドラムギアを有している。大ドラムギア210のドラム径は、小ドラムギア230のドラム径よりも大径に形成されている。また、双方のドラムギアともに、リールドラム92の内周面の端部に形成された複数のギア歯に噛合されながら、お互いがリールドラム92の周内で対角となるように配置されている。なお、大ドラムギア210及び小ドラムギア230は、交互に回転駆動を切り替えることにより、変速機構200の役割を有している。詳細は、図14にて後述する。
また、図13に示すように、大ドラムギア210及び小ドラムギア230を駆動するステッピングモータ49などを収納する装置収納ボックス90が、リールドラム92に併設されている。この装置収納ボックス90は、ステッピングモータ49などを収納するとともに、リールドラム92を所定の位置に固定する役割も有している。
さらに、図13の上方には、大ドラムギア210により、リールドラム92が装置収納ボックス90に固定される様子を表す拡大図が示されている。図13に示すように、大ドラムギア210は、リールドラム92の内周面に噛合されながら、装置収納ボックス90に設けられた保持部材250を用いて、リールドラム92を装置収納ボックス90に固定している。詳しくは、大ドラムギア210は、装置収納ボックス90に設けられた保持部材250から回転軸が突出し、上下に移動可能となっている。同様に、小ドラムギア230も装置収納ボックス90から回転軸が突出している。リールドラム92を装置収納ボックス90に取付ける際は、先ず小ドラムギア230をリールドラム92の内周面に噛合させる。その後、大ドラムギア210を上下に移動させて、リールドラム92の内周面に噛合させながら、小ドラムギア230と大ドラムギア210とが互いを引っ張り合うようにリールドラム92を固定する。これにより、小ドラムギア230及び大ドラムギア210がリールドラム92の内周面に噛合され、リールドラム92を所定位置で回転可能に保持しながら回転される。これにより、従来リールドラム92を保持するために設けられたリールドラム92の中心部と外周部とをつなぐリム91が不要となり、リールドラム92の重量を減らすことができる。従って、ステッピングモータ49が必要とするトルクをより小さくすることができる。また、リム91が不要となった分、リールドラム92の中心付近に空間ができるため、空間を利用したバックライトの工夫やリールドラム92の小型化が容易に行えるようになる。
(第2の実施形態の変速機構)
図14は、第2の実施形態の変速機構200の構成を示した図である。なお、図14には、変速機構200の変速段階が低速領域の場合(図14の上方)と高速領域の場合(図14の下方)とが示されている。
図14に示すように、大ドラムギア210及び小ドラムギア230ともに、回転軸211・231と、クラッチ212・232と、ステッピングモータ49・・49と、を有している。
低速領域の場合の変速機構200は、大ドラムギア210側のステッピングモータ49が停止し、クラッチ212がOFF状態、小ドラムギア230側のステッピングモータ49が駆動し、クラッチ232がON状態となる。これにより、低速領域の場合、小ドラムギア230が定速回転することで、リールドラム92を回転させ、大ドラムギア210はリールドラム92の回転による空回りをする。
一方、高速領域の場合の変速機構200は、低速領域とは逆の動作となり、大ドラムギア210側のステッピングモータ49が駆動し、クラッチ212がON状態となり、小ドラムギア230側のステッピングモータ49が停止し、クラッチ232がOFF状態となる。これにより、高速領域の場合、大ドラムギア210が定速回転することで、リールドラム92を回転させ、小ドラムギア230はリールドラム92の回転による空回りをする。これにより、リールドラム92の駆動開始時は、変速段階を低速領域にすることで、リールドラム92が回転しやすくなり、回転速度が飽和すると、高速領域に切り替えて、さらにリールドラム92の回転速度を上げることが可能となる。なお、第2の実施形態において、ドラムギアは2個に限らず、複数備えられてリールドラム92の内周面に噛合されていてもよい。この場合、変速段階も複数の領域に分けて切り替えることが可能となるとともに、リールドラム92も所定位置で回転可能に保持しやすくなる。
[第3の実施形態]
本発明に係るリール装置の第3の実施形態を説明する。尚、第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付記してその説明を省略する。また、第1の実施形態と同一の構成及び動作についても、その説明を省略する。
(第3の実施形態の全体構成)
図15は、第3の実施形態におけるリール装置300Aの全体図である。図15に示すように、第3の実施形態におけるリール装置300Aは、ステッピングモータ49がリールドラム92の側面側から大小2つのドラムギア310・330を回転駆動させている。
(第3の実施形態の変速機構)
図16は、第3の実施形態の変速機構300の構成を示した図である。図16に示すように、第3の実施形態の変速機構300は、リールドラム92の側面側外部に設けられており、ステッピングモータ49と、小ドラムギア310と、大ドラムギア330と、を有している。
小ドラムギア310の回転軸となる小ドラムギア回転軸311は、ステッピングモータ49の出力軸に設けられており、小ドラムギア310とステッピングモータ49との間には、小ドラムギア回転軸311を回転軸として中間ギア320が設けられている。また、小ドラムギア回転軸311の先端部には、小ドラムギア用クラッチ312が設けられている。小ドラムギア用クラッチ312は、ON状態でステッピングモータ49の回転駆動力を小ドラムギア310に伝え、OFF状態で解除する役割を有する。
中間ギア320の外周面には、駆動ギア340が噛合されている。駆動ギア340の回転軸となる大ドラムギア回転軸331の先端部には、大ドラムギア用クラッチ332および大ドラムギア330が設けられている。大ドラムギア用クラッチ332は、ON状態でステッピングモータ49の回転駆動力を中間ギア320及び駆動ギア340を介して大ドラムギア330に伝え、OFF状態で解除する役割を有する。さらに、小ドラムギア310および大ドラムギア330は、リールドラム92の周縁部に形成されたギア歯93に噛合されており、ステッピングモータ49の回転駆動力により回転することで、リールドラム92を回転させるようになっている。
ここで、変速機構300の変速段階が低速領域の場合は、小ドラムギア用クラッチ312をON状態とし、大ドラムギア用クラッチ332をOFF状態とする。これにより、小ドラムギア310にのみステッピングモータ49の回転駆動力が伝えられ、小ドラムギア310の回転により、リールドラム92が回転される。一方、変速機構300の変速段階が高速領域の場合は、大ドラムギア用クラッチ332をON状態とし、小ドラムギア用クラッチ312をOFF状態とする。これにより、大ドラムギア330にのみステッピングモータ49の回転駆動力が伝えられ、大ドラムギア330の回転により、リールドラム92が回転される。これにより、大ドラムギア330および小ドラムギア310がリールドラム92の周縁部に噛合され、リールドラム92の側面側からステッピングモータ49によって回転駆動された大ドラムギア330または小ドラムギア310により、リールドラム92が回転される。これにより、従来の様なステッピングモータ49がリールドラム92の内部に設けられている構造よりも、ステッピングモータ49の着脱が容易になる。また、ステッピングモータ49がリールドラム92の内部に設けられていない分、リールドラム92の小型化が容易になり、軽量化とコストダウンを図ることができる。
(本発明の実施の形態の概要)
以上のように、本実施の形態のリール装置3は、複数の図柄80が形成されたリール帯5と、リール帯5が外周面に設けられたリールドラム92と、リールドラム92のドラム径よりも小径に形成され、リールドラム92の周面部に噛合されてリールドラム92を回転駆動するドラムギア110と、ドラムギア110を回転駆動する駆動力を出力するステッピングモータ49(49L・49C・49R)と、駆動力とドラムギア110の回転速度との関係を変更する変速機構100(100L・100C・100R)と、リールドラム92の回転開始時にはドラムギア110の回転速度を低速領域とし、リールドラム92の回転が所定速度(低速領域限界速度)となったときにドラムギア110の回転速度を高速領域に切り替えるように、変速機構100を制御する変速制御装置10と、を有している。
上記の構成によれば、ステッピングモータ49によりドラムギア110が回転され、回転されたドラムギア110がリールドラム92の周面部に噛合されることでリールドラム92が回転される。これにより、ドラムギア110がリールドラム92のドラム径よりも小径に形成されているため、従来の様なリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49がリム91を介してリールドラム92の周面部に直接駆動力を与える方法よりも、ステッピングモータ49からリールドラム92の周面部までの距離が短くなる。従って、ステッピングモータ49が必要とするトルクを小さくすることができ、ステッピングモータ49の出力に対するリールドラム92の周面部の応答を向上させることができる。また、変速制御装置10によって制御された変速機構100により、ドラムギア110の回転速度が切り替えられる。これにより、ステッピングモータ49からリールドラム92の周面部までの距離が短くても、従来の様なリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49が駆動して回転された場合と同じ回転速度でリールドラム92を回転させることができる。
また、本実施の形態のリール装置30Aにおいて、ドラムギア(大ドラムギア210及び小ドラムギア230)は、複数備えられてリールドラム92の内周面に噛合され、リールドラム92を所定位置で回転可能に保持しながら、リールドラム92を回転駆動していてもよい。
上記の構成によれば、複数のドラムギア(大ドラムギア210及び小ドラムギア230)がリールドラム92の内周面に噛合され、リールドラム92を所定位置で回転可能に保持しながら回転される。これにより、従来リールドラム92を保持するために設けられたリールドラム92の中心部と外周部とをつなぐリム91が不要となり、リールドラム92の重量を減らすことができる。従って、ステッピングモータ49が必要とするトルクをより小さくすることができる。また、リム91が不要となった分、リールドラム92の中心付近に空間ができるため、空間を利用したバックライトの工夫やリールドラム92の小型化が容易に行えるようになる。
また、本実施の形態のリール装置300Aにおいて、ドラムギア(大ドラムギア330及び小ドラムギア310)は、リールドラム92の周縁部に噛合されており、ステッピングモータ49がリールドラム92の側面側からドラムギア(大ドラムギア330及び小ドラムギア310)を回転駆動させていてもよい。
上記の構成によれば、ドラムギア(大ドラムギア330及び小ドラムギア310)がリールドラム92の周縁部に噛合され、リールドラム92の側面側からステッピングモータ49(49L・49C・49R)によって回転駆動されたドラムギア110により、リールドラム92が回転される。これにより、従来の様なステッピングモータ49(49L・49C・49R)がリールドラム92の内部に設けられている構造よりも、ステッピングモータ49(49L・49C・49R)の着脱が容易になる。またステッピングモータ49(49L・49C・49R)がリールドラム92の内部に設けられていない分、リールドラム92の小型化が容易になり、軽量化とコストダウンを図ることができる。
また、本実施の形態の遊技機は、上述した本実施の形態のリール装置を備えている。
上記の構成によれば、上述した本実施の形態のリール装置を備えた遊技機を提供できる。
また、本実施の形態の遊技機において、遊技者の操作により、リールドラム92の回転を停止するストップボタン7(7L・7C・7R)と、遊技者によるストップボタン7の操作を有効にする停止ボタン制御装置(メインCPU31)と、ストップボタン7の操作が有効になり、且つ遊技者によるストップボタン7の操作があった場合に、リールドラム92の回転を停止するリールドラム停止制御装置(メインCPU31)と、を備え、変速制御装置10は、停止ボタン制御装置(メインCPU31)がストップボタン7の操作を有効にする前に、ドラムギア(ドラムギア110、大ドラムギア210及び小ドラムギア230、大ドラムギア330及び小ドラムギア310)の回転速度を低速領域から高速領域に切り替えてもよい。
上記の構成によれば、遊技者によるストップボタン7の操作が有効になる前に、ドラムギア(ドラムギア110、大ドラムギア210及び小ドラムギア230、大ドラムギア330及び小ドラムギア310、)の回転速度が低速領域から高速領域に切り替えられる。これにより、ストップボタン7の操作が有効になり、遊技者によりストップボタン7が押されてリールドラム92の回転が停止される前には、従来の様なリールドラム92の中心部に設けられたステッピングモータ49が駆動して回転された場合と同じ回転速度でリールドラム92を回転させることができる。
(本実施形態の変形例)
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の実施形態におけるリール装置3の変速機構100は図17に示す変速機構400、又は図18に示す変速機構500に置き換えて備えていてもよい。
(第1の実施形態における変速機構の第1の変形例)
図17は、第1の実施形態における変速機構100の第1の変形例である変速機構400を示す図である。図17に示す変速機構400は、図16に示した第3の実施形態の変速機構300の構成及び動作と同じである。大ドラムギア用クラッチ432と小ドラムギア用クラッチ422とをON状態又はOFF状態に切り替えることにより、大ドラムギア430及び小ドラムギア410の何れかの回転駆動力をリールドラム92に与えて、回転させる変速手段である。第3の実施形態と異なる部分は、第1の実施形態における変速機構100のように、大ドラムギア430及び小ドラムギア410がリールドラム92の内周面に噛合されている所である。
(第1の実施形態における変速機構の第2の変形例)
図18は、第1の実施形態における変速機構100の第2の変形例である変速機構500を示す図である。図18に示すように、変速機構500は、ステッピングモータ49の出力軸に中間ギア540が設けられている。また、電磁的に左右に平行移動するクラッチ機能を有する駆動力伝達部542には、中間ギア540を介してステッピングモータ49の回転駆動力が伝達されるようになっている。さらに、駆動力伝達部542がリールドラム92側に移動すると、大ドラムギア用回転軸532がステッピングモータ49の回転駆動力により回転を始め、大ドラムギア530が回転するようになっている。一方、駆動力伝達部542がリールドラム92とは遠ざかる側に移動すると、小ドラムギア用回転軸531がステッピングモータ49の回転駆動力により回転を始め、小ドラムギア510が回転するようになっている。さらに、変速機構500の構成の場合、リールドラム92の内側に小リールドラム92Aが設けられている。そして、大ドラムギア530は、リールドラム92の内周面に噛合してリールドラム92を回転させ、小ドラムギア510は、小リールドラム92Aの内周面に噛合して小リールドラム92A及びリールドラム92を回転させるようになっている。これにより、駆動力伝達部542が左右に平行移動することにより、リールドラム92を回転させるドラムギアを切り替えることを可能とし、リールドラム92の回転速度を切り替えるようになっている。
なお、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。