JP5101727B2 - 醤油様調味料 - Google Patents

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Description

原材料としてアレルギー物質を含む食物を全く使用せずに得られる醤油様調味料に関する。
近年、世界中でアレルギー物質(以下、アレルゲンという)を含む食物に起因する健康危害(以下、食物アレルギーという)が散見されている。食物アレルギーは、食物に含まれるある種の物質・成分に対して体内の免疫システムが反応することにより生じる。現在のところ根本的な治療法が無いため、アレルゲンを含む食物を摂取しないことが、食物アレルギーを防ぐための唯一の確実な方法である。アレルギー症状は生命を脅かす可能性さえあるため、食品中に含まれる、アレルゲンを含む原材料が表示されることが、アレルギー患者にとって欠かせない。
こうした背景を受け、1999年のFAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)総会においては、アレルゲンとして知られている8種の原材料を含む食品について、それを含む旨を表示することで合意され、今後加盟国において、各国の制度に適した具体的な表示方法を検討することが求められることになった。
日本国内では、過去の健康障害等の程度、頻度を考慮して、重篤なアレルギー症状を引き起こした実績のある特定の原材料25品目を含む食品の場合、その原材料を表示することが厚生労働省により定められた。
日本の伝統的な発酵調味料であり、日本の食生活に欠かせない醤油は、大豆と小麦とで作った麹と食塩水を原料として発酵・醸造することにより得られるが、大豆と小麦は共に日本国内・コーデックスにおいて、食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている、アレルゲンを含む食物として定められている。
醤油において、原材料は麹の酵素によって分解されているため、アレルゲンは減少していると考えられるものの、大豆または小麦のアレルギー患者は、健康障害の程度によっては醤油を使用することができなかった。特に小麦など、グルテンを含む穀類は、セリアック病患者に重篤な症状を引き起こすことが知られており、世界中でグルテンフリー食品の開発が求められている。このように、日本国内やコーデックスにおいて食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている、アレルゲンを含む食物を使用せず(以下、アレルゲンフリーという)に、醤油の味、香りを有する代替調味料が強く求められてきた。
こうした要望に応え、大豆および小麦を使用せず、空豆を用いて麹を製造し、塩水を加えて発酵熟成させる方法(例えば、特許文献1参照)や、マスタードシードとコーンの混合物を用いて麹を製造し、塩水を加えて発酵熟成させる方法(例えば、特許文献2参照)、雑穀を主体とした醤油様の調味液の製造方法(例えば、特許文献3参照)、荏胡麻を原料とした発酵調味料の製造方法(例えば、特許文献4参照)、魚醤油の製造方法(例えば、特許文献5参照)が開示されている。空豆は、アレルゲンを含む食物とはされていないが、地中海沿岸各地、北アフリカ、中央アジアにおいて空豆中毒症(Favism)を引き起こすことが問題視されている(例えば、非特許文献1参照)。また醤油様調味料とした後も、特有の空豆の風味を有し、日本国内だけでなく、世界中に広く展開する醤油の代替調味料とすることは難しい。マスタードシードとコーンの混合物を用いた方法では、香辛料原料であるマスタードシードに由来する風味が未だ残り、また旨味や香気も不足している。雑穀を主体とした調味液、荏胡麻を原料とした発酵調味液は、それぞれ原料を安価かつ安定的に入手することが難しく、特有の風味もあり、醤油の代替調味料とすることは難しい。魚醤油は大豆・小麦を使用していないが、通常の醤油とは風味が大きく異なり、代替調味料として使うことは難しい。また、種類によっては魚自体がアレルゲンを含む食物とされているため、アレルゲンフリーの醤油様調味料としては不適であった。
醤油の特徴的な香気成分として、4−Hydroxy−2(or 5)ethyl−5(or 2)methyl−3(2H)−furanone(以下、「HEMF」という)が知られている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、アレルゲンを含まない食物を原料として発酵・熟成させて得られる醤油様調味料から、これらの成分を見出したとの報告はなかった。
ところで、トマトは野菜の中で最も多く栽培されており、糖やグルタミン酸などの呈味物質を豊富に含有することから、生食だけでなくトマトケチャップやトマトソースなどの調味料としても世界中で広く食されている。そのためトマトは、加工用原料としても安価かつ安定的に入手可能である。近年、トマトの風味を有さない透明トマト濃縮物(例えば、特許文献6参照)や、ドライトマトから抽出したエキスを調味料として使用する方法(例えば、特許文献7参照)、乳酸発酵により風味に優れたトマト発酵物を製造する方法(例えば、特許文献8参照)、トマトにSOを含有させワイン酵母で発酵させることを特徴とする発酵トマト飲料の製造方法(例えば、特許文献9参照)が開示されているが、トマトを乳酸菌と共に、または乳酸菌を用いずに、酵母によって発酵・熟成させることにより、表示が義務付けられている、あるいは奨励されている、アレルゲンを含む食物を全く使用せず、HEMFを含有させ、醤油の味、香りを有する醤油様調味料を得ようとする試みはなされていなかった。
特開2006−122002号公報 特開2008−237183号公報 特開平8−196232号公報 特開2009−171959号公報 特開2005−261349号公報 特表2002−516073号公報 特開2006−67995号公報 特開2007−289008号公報 特開2005−176727号公報
「Food allergy: adverse reactions to food and food additives」,Wiley−Blackwell,2003年,p.485 「醸造物の成分」,日本醸造協会編,1999年12月,p.476〜501
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、醤油の味と香りを有したアレルゲンフリーの醤油様調味料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、マメ科の種子やイネ科穀物をはじめとする、食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている、アレルゲンを含む食物を全く使用せずとも、驚くべきことに、トマトを発酵・熟成させることにより、醤油の味と香りを有した醤油様調味料を得られることを見出した。特に、醤油様調味料が、酵母や、乳酸菌と酵母による発酵・熟成により得られる場合には、発酵・熟成により各種の有機酸や、エタノール、HEMFなどが増加し、トマト由来のグルタミン酸と相まって呈味バランスに優れ、つけかけ用途から調理に至るまで幅広く醤油の代替調味料として使用可能な醤油様調味料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
1)トマトを酵母により発酵・熟成させて得られる醤油様調味料。
2)トマトを乳酸発酵させた後、酵母により発酵・熟成させて得られる醤油様調味料。
3)HEMFを含有することを特徴とする上記1)〜2)に記載の醤油様調味料。
4)HEMFが0.2ppm以上である上記3)に記載の醤油様調味料。
5)エタノールを含有することを特徴とする上記1)〜4)のいずれかに記載の醤油様調味料。
6)エタノールが0.5%(v/v)以上である上記5)に記載の醤油様調味料。
7)乳酸を含有することを特徴とする上記1)〜6)のいずれかに記載の醤油様調味料。
8)乳酸が0.02%(w/v)以上である上記7)に記載の醤油様調味料。
に関する。
本発明によれば、大豆や小麦のアレルギー患者だけでなく、日本国内で食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている25品目の食物や、コーデックスで定められている8種の食物の、いずれかのアレルギーが気になる消費者であっても、安心して醤油の味や香りを有する醤油の代替調味料として、本発明品を調理時の味付けや、直接食品につけたりかけたりする用途に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書における「醤油様調味料」とは、日本農林規格に定める「しょうゆ」と同様の用途で用いられる液体調味料をいう。「しょうゆ」と同様の用途で用いられれば、醤油麹に由来する原料(例えば、大豆や小麦)が、醤油様調味料に使用されていなくてもよい。醤油様調味料には、果汁、エキス類、ペースト類、だし類、調味料、酒類、発酵調味料、酸味料、香料等が混合されていてもよい。また本明細書で記載する「醤油」は、日本農林規格の「しょうゆ」と同一の概念である。
本明細書における「アレルギー物質(アレルゲン)を含む食物」とは、2011年2月現在、日本国内で食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている25品目の食物(卵、乳、小麦、そば、落花生、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、バナナ、やまいも、りんご、ゼラチン)およびコーデックスで定められている8種の食物(グルテンを含む穀類として小麦、ライ麦、大麦、オート麦、スペルト小麦、それらの雑種、およびそれらの製品。甲殻類およびその製品。卵および卵製品。魚および魚製品。落花生、大豆、およびそれらの製品。乳類および乳製品(ラクトースを含む)。木の実およびその製品。亜硫酸塩から成る、あるいは亜硫酸塩を10mg/kg以上含む食品。)である。
本明細書における濃度(ppm)は、全てミリグラム毎リットル(mg/l)である。
本発明は、アレルゲンを含む食物を全く使用せずに醤油様調味料を得ることを目的とし、トマトを原料として乳酸菌と共に、または乳酸菌を用いずに、酵母によって発酵・熟成させることにより、HEMFを含有させることを特徴とする。
本明細書における「トマト」とは、果実のトマトだけでなく、加工されたトマト原料として、トマト果汁やダイストマト、トマトピューレ、トマトペースト、トマトエキス等を含む。ダイストマトは、トマトの果実の皮、種子等を除去し、ダイス状に切り、加熱殺菌したものをいう。トマト果汁は、トマトの果実を破砕して搾汁または裏ごし等をし、皮、種子等を除去し、加熱殺菌などを経て得られる。トマトピューレやトマトペーストは、トマト果汁を濃縮したものをいう。濃縮方法としては制限なく、公知の加熱による濃縮、真空濃縮、凍結濃縮、膜濃縮などが用いられる。濃縮したトマト果汁を適宜希釈し、色素やパルプ分を除く遠心分離や精密膜ろ過などを実施して得られた透過液を、さらに濃縮して得られるトマトエキスは、糖やグルタミン酸を多く含有するため特に好ましい。
トマトの、糖度計や屈折計によって測定されるBrix(糖度)は5〜80%(w/w)であることが好ましく、15〜65%(w/w)であることが特に好ましい。果汁の濃度が薄すぎると、最終的に得られる醤油様調味料の香気成分やグルタミン酸が減少するため好ましくない。果汁の濃度が濃すぎると、発酵させる際に乳酸発酵や酵母発酵が阻害されることがある。従って、Brixが5%(w/w)未満である場合は、糖や果汁、旨味成分を添加しBrixを調整することで、原材料として用いることができる。また、Brixが80%(w/w)を超える場合は、上記に示す濃度範囲になるように、水などで希釈することで原材料として用いることができる。
添加する糖は、酵母や乳酸菌が資化できるものであれば特に限定されず、グルコース、スクロース、フルクトース等が挙げられ、アレルゲンを含む食物でなければ、これらを含有する液糖類、果汁類、野菜類、蜂蜜などであってもよい。果汁は、アレルゲンを含む食物でなければ特に限定されず、レモン、梅、ブドウ、マンゴー、ゆず、かぼす、パイン、イチゴ、ナシなどから得られるものが挙げられる。果汁は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、酵母や乳酸菌の発酵性からみて、グルコースまたはグルコースを含む液糖類が好ましい。これら糖源は、単独または組み合わせて添加することができる。
添加する旨味成分は、アレルゲンを含む食物でなければ特に限定されず、アミノ酸、酵母エキス、核酸、有機酸、タンパク質加水分解物などが挙げられる。これらの中でも、醤油様調味料に醤油の旨味を持たせる目的では、特にアミノ酸であるグルタミン酸塩や酵母エキス、核酸が好ましい。これら旨味成分は、単独または組み合わせて添加することができる。
トマトを食品製造に使用可能な任意のpH調整剤でpH調整することにより、発酵を促進させ、より醤油の味、香りに近づけることができる。調整後のpHは3.0〜7.0が好ましく、pH4.0〜6.5がより好ましい。pHが低すぎると、酸味が強くなり、また発酵が阻害されることがある。逆に高すぎると、醤油様調味料としての味・香りの品質が低下する。pH調整剤は、食品製造に使用可能なものであれば限定されず、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの他、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸等を用いることができる。呈味の観点から、水酸化ナトリウムまたは乳酸の使用が特に好ましい。
HEMFの醤油様調味料中の濃度は、0.2〜500ppmであることが好ましく、5.0〜200ppmの範囲であることが特に好ましい。HEMF濃度が0.2ppm未満の場合は、醤油の好ましい香りが感じられにくくなる。0.2ppm以上の場合に、醤油の好ましい香りが感じられ、5.0ppm以上ではさらに顕著に醤油の好ましい香りが感じられるようになる。500ppmを超えると成分の香りが強くなり、香りのバランスを損なうため好ましくない。
本発明の醤油様調味料は、トマトを発酵・熟成させることにより得られる。より具体的には(1)トマトに食塩を加え、pHを調整し、乳酸菌と酵母により発酵・熟成させる方法、(2)トマトに食塩を加え、pHを調整し、またはpH非調整で、酵母により発酵・熟成させる方法、(3)トマトに食塩を加え、pHを調整し、乳酸を添加した後、乳酸菌と酵母、または酵母により発酵・熟成させる方法などの工程を経て、HEMF濃度0.2ppm以上となるまで発酵・熟成後、本発明の醤油様調味料を得ることができる。なお(1)、(3)においては、乳酸菌と酵母をトマトへ同時に添加することも可能であり、また乳酸菌と酵母による発酵が同時並行的に行われてもよい。
BrixとpHを調整したトマトに、乳酸菌および/または酵母を添加し仕込むことでトマト諸味が得られる。トマト諸味を仕込む際に、防黴性を高める目的で食塩を添加する。食塩濃度は4.0〜20.0%(w/v)が好ましく、6.0〜16.0%(w/v)がより好ましい。トマト諸味においては、食塩濃度が4.0%(w/v)未満では防黴性を高める目的としては好ましくない。反対に20.0%(w/v)を超えると乳酸発酵・酵母発酵が阻害されるため好ましくない。BrixとpHを調整し食塩を添加したトマトは、乳酸菌および/または酵母を添加する前に、防黴性を高め、また加熱によるHEMFの前駆体を生成させる観点から、加熱殺菌を行ってもよい。好ましくは70〜90℃で1〜60分間、もしくは100〜140℃で5〜30秒間加熱し、その後冷却する。
<乳酸発酵>
トマト諸味は、乳酸菌を添加した場合、15〜45℃の温度にて乳酸発酵を行うことが好ましく、特に20〜35℃の温度で乳酸発酵を行うことが好ましい。本発明における乳酸発酵に用いられる乳酸菌としては、公知に醤油醸造に用いられているTetragenococcus halophilus等の耐塩性乳酸菌の他、漬物等の発酵食品に見出されるPediococcus pentosaceus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakeiが好ましく、醤油の風味を持たせる観点からは、特にTetragenococcus halophilusが好ましい。乳酸菌を添加し、乳酸発酵を行う場合のトマト諸味は通常pH5.0〜7.0が好ましく、乳酸発酵完了後のトマト諸味はpH4.0〜6.0が好ましい。
<酵母発酵>
食塩を加えpHを調整し、場合により加熱殺菌したトマトまたは乳酸発酵を完了したトマト諸味は、酵母を添加して酵母発酵を行う。乳酸発酵を完了した後に、または酵母発酵の直前に、食塩をトマト諸味へ追加してもよい。HEMFを効率よく生成させる観点から、酵母発酵時の食塩濃度は4.0〜20.0%(w/v)であることが好ましく、特に6.0〜16.0%(w/v)であることが好ましい。温度は、酵母による発酵を効率よく行わせる観点から15〜45℃において発酵を行うことが好ましく、特に20〜35℃の温度で酵母発酵を行うことが好ましい。本発明における酵母発酵に用いられる酵母としては、公知に醤油醸造に用いられているZygosaccharomyces rouxii、Zygosaccharomyces bailli、Candida etchellsii、Candida verstilis等の耐塩性酵母が好ましい。
酵母添加後は、酵母の増殖を旺盛にするため、一定期間諸味を好気条件下で発酵させることが好ましい。好気条件下に保つためには、諸味に酸素または空気を通気したり、プロペラ攪拌機を使用する等の方法が好ましい。
酵母の増殖は、寒天培養法により菌数を計数する他、トマト諸味中のエタノール量を、ガスクロマトグラフ法を用いて測定することで確認することができる。エタノールが0.5〜2.5%(v/v)となった際に好気条件下での酵母発酵を終えることが好ましい。好気条件下での酵母発酵を終えたトマト諸味はさらに静置し、酵母・乳酸菌による発酵を継続し、エタノールや各種の香気成分を生成する。その後、香りが劣化しにくい10〜30℃の温度において熟成を行うことができる。
酵母による発酵期間は1〜8週間程度が好ましく、2〜6週間が特に好ましい。熟成を行う場合は、発酵期間終了後、1〜16週間程度熟成させるのが好ましく、約3〜10週間が特に好ましい。発酵・熟成の終了は、一般成分、香気成分、色度等を考慮して決定することができる。
発酵・熟成を終えて得られた醤油様調味料は、清澄化を行ってもよい。清澄化方法は、制限なく従来公知の膜処理、珪藻土ろ過、遠心分離、凝集法、沈降法などを用いることができる。
醤油様調味料は、一般成分分析、香気成分分析を行い、成分を調整することができる。この際pHや塩分、エタノール濃度、グルタミン酸濃度、有機酸濃度、香気成分濃度を適宜調整してもよい。呈味と防黴性の観点から、好ましくはpHが3.5〜5.5、塩分が4.0〜18.0%(w/v)、エタノールが0.5〜8.0%(v/v)、乳酸が0.02〜3.0%(w/v)となるように調整することが好ましい。
醤油様調味料は、色度も適宜調整することができる。色度はJAS規格により、こいくちしょうゆの場合、しょうゆの標準色18番(JISZ8729の物体色の表示方法によるL*(明度指数)=30.0、a*=46.1、b*=51.6とする。)未満であることとされており、うすくちしょうゆの場合は、しょうゆの標準色22番(JISZ8729の物体色の表示方法によるL*(明度指数)=36.7、a*=45.6、b*=62.9とする。)以上であることとされている。発酵・熟成の温度や期間、殺菌を行う場合には殺菌時の温度や時間を調整することや、醤油様調味料を希釈する、公知の活性炭処理により脱色する、カラメル・酵母エキスを添加する等して色度を調整してもよい。こいくちしょうゆ様の醤油様調味料として提供する場合はしょうゆの標準色18番未満が好ましく、うすくちしょうゆ様の醤油様調味料として提供する場合は、しょうゆの標準色22番以上が好ましい。色度の測定には醤油標準色度計などを用いることができる。
成分を調整した醤油様調味料は、殺菌または除菌を行ってもよい。殺菌の場合は、火入れと呼ばれる加熱殺菌工程を経る。火入れは公知の醤油製成過程で行なわれている加熱条件を用いればよい。好ましくは70〜90℃で1〜60分間、もしくは100〜130℃で5〜30秒間加熱し、その後冷却する。加熱によって澱が生じることがあるため、数日間静置した後、澱から上清を分離して醤油様調味料が得られる。また、除菌の場合は、非加熱で公知のMF膜によるろ過・除菌等を行い、ろ過物を醤油様調味料として得る。
このように発酵・熟成させて得られた醤油様調味料は、HEMFを始め、醤油に見出される様々な香気成分が発酵により増加し、風味のバランスに優れ、原料がトマトであるにも関わらず、醤油の味と香りが感じられる醤油様調味料となる。これらの成分が生成されているかは、定法に従ってガスクロマトグラフ法により定量することで確認することができる。発酵・熟成は、これら各成分の濃度が上述の濃度範囲に達したことを確認した後、終了することができる。発酵・熟成終了の決定に際しては、上記各成分以外にも、酵母・乳酸菌による発酵、熟成中のメイラード反応によって生じる成分を考慮することができる。
本発明の醤油様調味料は、日本農林規格の「しょうゆ」と同様の使い方ができ、また任意の飲食品に配合することができる。例えば、つゆ、たれ、和風だし、洋風だし、中華だし、ドレッシング、スープ、ケチャップ、トマトソース、ウスターソース、その他ソース等の調味料に添加して用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
<トマト諸味の調製>
トマトとしてトマトエキス(ライコレッド社製、イスラエル産、Brix60%(w/w))を、Brixが15.6%、31.2%、46.8%(w/v)となるように蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整した。さらに食塩濃度が12%(w/v)となるように食塩を加え、乳酸菌としてTetragenococcus halophilusを加えよく混合し、1Lずつトマト諸味を仕込んだ。
<トマト諸味の発酵・熟成>
諸味品温を25℃に保持し、乳酸発酵を行った。3週間後、定法に従い耐塩性の醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)を添加し、諸味品温を25℃に保持しながら14日間通気攪拌し、酵母発酵を行った。さらに諸味品温を25〜30℃に保持し発酵・熟成させた。
3ヶ月後に得られたトマト諸味を、定法に従い火入れを行った。火入れ後、5〜8℃で1週間静置し、十分に澱を沈殿させた後、上清を回収して試験品1−1〜1−3の醤油様調味料を得た。対照品として、トマトエキスをBrix31.2%(w/v)となるように調製した後、食塩濃度が16.0%(w/v)となるように食塩を添加した非発酵のものを用意した。
<成分調整>
各種試験品の発酵終了時点での食塩濃度はそれぞれ試験品1−1:12.7% 、試験品1−2:12.3%、試験品1−3:12.1%(いずれもw/v)であった。官能評価時には、一般的なこいくちしょうゆの食塩濃度である16.0%(w/v)となるように食塩を添加した。
<成分分析>
醤油の一般成分は、しょうゆ試験法(財団法人、日本醤油研究所編、昭和60年(1985年)3月1日発行)記載の方法に従い分析を行った。色度は、日本農林規格で定められた方法に従い測定を行った。
HEMFや、その他の香気成分は、ガスクロマトグラフィー法(Journal of Agricultural and Food Chemistry Vol.39,934(1991)参照)にて分析定量した。トータルイオンクロマトグラムを図1に、香気成分分析結果を表1にそれぞれ示す。
図1に示す結果より、非発酵のトマトエキスでは見られなかったHEMFやその他の香気成分が、試験品において生成していることが確認された。さらに、比較品であるこいくちしょうゆに似た香気成分パターンであることが確認された。
表1に示す結果より、対照品である非発酵のトマトエキスでは見られなかった、HEMFをはじめ酵母発酵由来と考えられるIsobutyl alcoholやMethionol、Benzeneacetoaldehyde、Benzyl alcoholやその他の香気成分が、試験品において生成していることが確認された。
<官能評価>
各試験品の官能評価は、訓練され識別能力を有するパネル5名により、前述の対照品と試験品の味と香りについて、醤油らしさの強度をセマンティック・ディファレンシャル法(以下、SD法という)で評価した。対照品・試験品の香りを嗅いだ後、0.2mlを喫食することで比較を行った。評定尺度は下記の基準に従い、パネリスト間の平均評定を算出した。

(評定尺度)
1.醤油らしさをかなり弱く感じられるか、ほとんど感じられない
2.醤油らしさをやや弱く感じられる
3.醤油らしさを感じられる
4.醤油らしさをやや強く感じられる
5.醤油らしさをかなり強く感じられる
表2に示す結果より、トマトエキスを乳酸菌と酵母により発酵・熟成させることで、試験品1−1〜1−3について、対照品と比べエタノール、HEMFが増加した。
エタノールは3.0〜4.1%(v/v)、HEMFは0.23〜17.7ppmとなり、対照品と比較して顕著に高くなっていることが分かる。色番について、試験品1−1は、日本農林規格で定めるうすくちしょうゆの規格(22番以上)となり、試験品1−2、1−3はこいくちしょうゆの規格(18番以下)となった。
表2の官能評価結果より、試験品1−1〜1−3は対照品と比較して、顕著に強く醤油の味と香りを有することが分かる。
醤油の味に関しては、pH、グルタミン酸の旨味、発酵・熟成により生じた乳酸などの有機酸、その他メイラード反応によって生じた色素成分など、各種成分が寄与していると考えられる。
醤油の香りに関しては、HEMFを始め、図1に示した様々な香気成分が寄与していると考えられる。HEMFに関しては、嗜好性の高い醤油にはHEMFが50ppm以上含まれることが望ましいとの報告(醤油の研究と技術、Vol.32、No.5、p.276−285、(2006))がある一方で、水中ではHEMFを0.04ppbから官能評価で感じることができ、非常に低濃度から官能評価に寄与することが知られている(Helv.Chim.Acta、56、p.1882〜1892、(1973))。トマトを原料とする醤油様調味料においては、HEMFが0.23ppm含有されることで、十分にこいくちしょうゆの代替となりうる味と香りを有する醤油様調味料を得られることが示された。
<トマト諸味の調製>
トマトとしてトマトエキス(ライコレッド社製、イスラエル産、Brix60%(w/w))を蒸留水で希釈し、トマト諸味の食塩濃度が11%(w/v)となるように食塩を加えた。トマト諸味のBrixは44.2%(w/v)、pHは3.9であった。これとは別にトマトエキスを蒸留水で希釈し、トマト諸味の食塩濃度が11%(w/v)となるように食塩を加え、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムでpH4.8に調整した。トマト諸味のBrixはそれぞれ45.1%、44.9%(w/v)となった。各トマト諸味に醤油酵母としてZygosaccharomyces rouxiiを加えよく混合し、3Lずつトマト諸味を仕込んだ。
<トマト諸味の発酵・熟成>
諸味品温を25℃に保持しながら14日間通気攪拌し、酵母発酵を行った。さらに諸味品温を25〜30℃に保持し発酵・熟成させた。
3ヶ月後に得られたトマト諸味を、定法に従い珪藻土ろ過、火入れを行った。火入れ後、5〜8℃で2日間静置し、十分に澱を沈殿させた後、上清を回収して試験品2−1〜2−3の醤油様調味料を得た。
<成分調整>
各種試験品の発酵終了時点での食塩濃度はそれぞれ試験品2−1:13.4% 、試験品2−2:13.0%、試験品2−3:12.8%(いずれもw/v)であった。官能評価時には、一般的なこいくちしょうゆの食塩濃度である16.0%(w/v)となるように食塩を添加した。
成分分析および官能評価は、実施例1記載の方法に従い実施した。
表3に示す結果より、pHを非調整で、または、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムでpH調整したトマト諸味を、酵母により発酵・熟成させることで、試験品2−1〜2−3は、エタノールは2.9〜3.2%(v/v)、HEMFは3.8〜5.2ppmとなり、対照品と比較して顕著に高くなっていることが分かる。色番について、試験品2−1〜2−3はこいくちしょうゆの規格(18番以下)となった。
表3の官能評価結果より、試験品2−1〜2−3は対照品と比較して、顕著に強く醤油の味と香りを有することが分かる。醤油の味の評価について、試験品2−1〜2−3は、試験品1−2〜1−3よりもスコアが若干低い傾向が見られた。これは、試験品1−2〜1−3と比較して乳酸をほとんど含有していないため、酸味の質が異なることにより生じたと考えられる。
<トマト諸味の調製>
トマトとしてトマトエキス(ライコレッド社製、イスラエル産、Brix60%(w/w))を蒸留水で希釈し、食塩濃度が7%、9%、11%、17%(w/v)となるように食塩を添加した。食塩濃度が7%、9%のトマト諸味は、水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整した。同様にして食塩濃度が11%のトマト諸味はpHを5.5、6.0、6.5に調整した。食塩濃度が17%のトマト諸味は水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整した。乳酸菌としてTetragenococcus halophilusを加えよく混合し、3Lずつ仕込んだ。
<トマト諸味の発酵・熟成>
諸味品温を25℃に保持し、乳酸発酵を行った。2週間後、定法に従い耐塩性の醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)を添加し、諸味品温を25℃に保持しながら14日間通気攪拌し、酵母発酵を行った。さらに諸味品温を25〜30℃に保持し発酵・熟成させた。
3ヶ月後に得られたトマト諸味を、定法に従い火入れを行った。火入れ後、5〜8℃で1週間静置し、十分に澱を沈殿させた後、上清を回収して試験品3−1〜3−5の醤油様調味料を得た。
<成分調整>
各種試験品の発酵終了時点での食塩濃度はそれぞれ試験品3−1:7.2% 、試験品3−2:9.2%、試験品3−3:11.7%、試験品3−4:11.7%、試験品3−5:17.2%(いずれもw/v)であった。官能評価時には、一般的なうす塩しょうゆの食塩濃度である13.0%(w/v)となるように食塩を添加した。食塩濃度の高い試験品3−5はそのまま試食を行った。
成分分析および官能評価は、実施例1記載の方法に従い実施した。
表4に示す結果より、食塩濃度7〜17%、pH5.5〜6.5も調整し、乳酸菌と酵母により発酵・熟成させることで、試験品3−1〜3−5は、エタノールは0.9〜5.4%(v/v)、HEMFは7.1〜21.7ppmとなり、対照品と比較して顕著に高くなっていることが分かる。食塩濃度7%であっても腐敗することなく醸造可能であった。また食塩濃度17%であっても発酵が阻害されることなく醸造可能であった。色番について、試験品3−1〜3−5はこいくちしょうゆの規格(18番以下)となった。
表4の官能評価結果より、試験品3−1〜3−5は対照品と比較して、顕著に強く醤油の味と香りを有することが分かる。
<トマト諸味の調製>
トマトとしてトマトエキス(ライコレッド社製、イスラエル産、Brix60%(w/w))を蒸留水で希釈し、食塩濃度が11%または15%となるように食塩を添加した。水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整した後、90%乳酸(キユーピー醸造社製)を用いてpH5.1またはpH5.3に調整した。pH5.1の諸味には醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)を、pH5.3の諸味には市販の醤油酵母(ビオック社製)を加えよく混合し、3Lずつトマト諸味を仕込んだ。これとは別に食塩濃度が11%と15%のトマト諸味について、それぞれpH5.7、pH6.0に水酸化ナトリウムで調整した後、90%乳酸を用いてどちらもpH5.5に調整し、醤油乳酸菌(Tetragenococcus halophilus)と醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)を加えよく混合し、3Lずつトマト諸味を仕込んだ。
<トマト諸味の発酵・熟成>
諸味品温を30℃に保持しながら7日間通気攪拌し、酵母発酵を行った。さらに諸味品温を30〜40℃に保持し発酵・熟成させた。
2ヶ月後に得られたトマト諸味を、定法に従い珪藻土ろ過を行った。火入れ後、10〜15℃で4日間静置し、十分に澱を沈殿させた後、上清を回収して試験品4−1〜4−4の醤油様調味料を得た。
<成分調整>
各種試験品の発酵終了時点での食塩濃度はそれぞれ試験品4−1:11.7% 、試験品4−2:11.7%、試験品4−3:11.8%、試験品4−4:15.5%(いずれもw/v)であった。官能評価時には、一般的なこいくちしょうゆの食塩濃度である16.0%(w/v)となるように食塩を添加した。
成分分析および官能評価は、実施例1記載の方法に従い実施した。
表5に示す結果より、食塩濃度11〜15%、一度pH5.7〜6.0に調整後、乳酸を添加してpH5.1〜5.5に調整し、醤油酵母または市販醤油酵母、醤油乳酸菌と醤油酵母により発酵・熟成させることで、試験品4−1〜4−4は、エタノールは2.3〜3.6%(v/v)、HEMFは14.6〜28.1ppmとなり、対照品と比較して顕著に高くなっていることが分かる。色番について、試験品4−1〜4−4はこいくちしょうゆの規格(18番以下)となった。
表5の官能評価結果より、試験品4−1〜4−4は対照品と比較して、顕著に強く醤油の味と香りを有することが分かる。
<和風メニューにおける醤油らしさの官能評価>
試験品が和風メニューにおいて、醤油らしさを感じられるか評価するため、つけかけ(ホウレン草、刺身)、じゃがいもの煮付け、鶏の照り焼きについて官能評価を行った。前述と同様に、官能評価は、訓練され識別能力を有するパネル5名により、試験品1−3を使用した調理品の味と香りについて、醤油らしさの強度をSD法で評価した。調理品の香りを嗅いだ後、喫食することで評価を行った。評定尺度は下記の基準に従い、パネリスト間の平均評定を算出した。

(評定尺度)
1.醤油らしさをかなり弱く感じられるか、ほとんど感じられない
2.醤油らしさをやや弱く感じられる
3.醤油らしさを感じられる
4.醤油らしさをやや強く感じられる
5.醤油らしさをかなり強く感じられる
<ホウレン草のお浸し官能評価>
市販のホウレン草を購入した。熱湯中で茹でたホウレン草を流水中で冷やし、水気を絞った。試験品を適量添加しさらに絞った。約5cm間隔に切ったものを用意した。小皿に用意した5mlの試験品1−3につけ、喫食する際の醤油の香り、味について、SD法で評価した。
<刺身の官能評価>
市販の本まぐろ(赤身)のサクを、約7mm間隔に切ったものを用意し、本まぐろの刺身とした。小皿に用意した5mlの試験品1−3に刺身をつけ、喫食する際の醤油の香り、味について、SD法で評価した。
<じゃがいもの煮付けの官能評価>
材料:
じゃがいも 中2個
玉ねぎ 中1個
酒 37.5ml
サラダ油 15ml
だし汁 5ml
水 300ml
みりん 22.5ml
試験品1−3 15ml

上記の材料を用意した。じゃがいもは4cm大に切り、玉ねぎは1cm幅のくし形に切った。鍋に油を温め、玉ねぎを炒めた。じゃがいもを加えてさらに炒め、だし汁・水を加え、沸騰したら中火にして煮た。最後にみりんと試験品1−3を加え、5分煮て味をしみ込ませ完成とした。お椀型の容器に取り分け、喫食する際の醤油の味、香りについて、SD法で評価した。
<鶏の照り焼きの官能評価>
材料:
鶏もも肉 200g
塩 1g
胡椒 0.5g
まいたけ 1/2パック
サラダ油 5ml
酒 15ml
はちみつ 10ml
試験1−3 15ml

上記の材料を用意した。鶏もも肉は筋を切り、4cm大に切り、塩・胡椒を振った。フライパンに油を温め、皮目を下にして焼き、皮目に焼き色が付いたら裏側に返して焼き色を付けた。酒、はちみつ、試験品1−3を入れて蓋をし、弱火で5分間蒸し焼きにした。ほぐしたまいたけを入れてさらに2分間焼き、味を絡め、完成とした。平皿に取り分け、喫食する際の醤油の味、香りについて、SD法で評価した。
表6に示す結果より、つけかけ、煮物(じゃがいもの煮付け)、焼き物(鶏の照り焼き)等の和風メニューにおいて、試作品1−3を使用することで醤油の味や香りを感じられ、醤油の代替調味料として使用可能であることが確認できた。パネルのコメントには、「鶏の照り焼きに良く合う」、「つけかけで刺身の生臭さを感じない」、「ほんのりとフルーティなトマトの香りがする」などがあった。
<洋風メニューにおける調理適性の官能評価>
訓練され識別能力を有するパネル8名により、試験品4−1の洋風メニューにおける調理適性を評価した。
<コンソメの官能評価>
材料:
市販コンソメの素 5g
水 295ml
試験品4−1 5ml

市販コンソメの素(日本ネスレ社製、無添加コンソメ)を95℃のお湯で溶解し、試験品4−1を添加し、よく混合した。コンソメのみの場合と比較して、試験品4−1を添加した場合に旨味が増強したと感じた人数、コク味が向上したと感じた人数、コンソメの風味が強くなったと感じた人数を表7に示す。
表7の結果より、試験品4−1をコンソメへ添加すると、旨味・コク味が向上し、さらにコンソメの風味が強くなることが分かった。パネルのコメントには、「試験品4−1をコンソメに添加すると、全体の味が底上げされ、コンソメの風味、スパイス感が立つ」などがあった。試験品4−1はコンソメ風味に対して高い調理適性を示す調味料であることが分かった。
<チキンソテーオレンジソースの官能評価>
材料:
鶏もも肉 1枚(200g)
塩 1g
こしょう 0.5g
バター 5g
水 100ml
市販コンソメの素 4g または 試験品4−1 12ml
砂糖 9g
オレンジジュース 80ml
水溶き片栗粉 少々

上記の材料を用意した。鶏肉に塩・こしょうを振り、フライパンに油を温め、皮目を下にして焼き、皮目に焼き色が付いたら裏側に返して焼き色を付けた。鶏肉を取り出し、水と、市販コンソメの素(味の素社製、顆粒コンソメ)または試験品4−1を添加し、砂糖、オレンジジュース(日本デルモンテ社製)を加えて3分間煮た。鶏肉を戻し、煮汁をかけながら5分煮た後、鶏肉は器に盛り付けた。フライパンに残ったソースに水溶き片栗粉を加えてとろみを付け、鶏肉にかけ、完成とした。コンソメを使用した場合と比較して、試験品4−1を使用した場合の方がオレンジソースの酸味が向上したと感じた人数、コク味が向上したと感じた人数、オレンジの風味が強くなったと感じた人数を表8に示す。
表8の結果より、試験品4−1をコンソメの代わりにオレンジソースへ添加すると、酸味・コク味が向上し、さらにオレンジの風味が強くなることが分かった。パネルのコメントには、「試験品4−1を使用した場合、オレンジの甘味・酸味がほど良くなった」、「ソースのまとまりが良くなったように感じた」などがあった。試験品4−1は洋風調理のフルーツソースに対して高い調理適性を示す調味料であることが考えられた。
以上の結果より、トマトを発酵・熟成させることで、日本国内やコーデックスにおいて食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている、アレルゲンを含む食物を使用せずに、醤油の好ましい味と香りを有する醤油様調味料が得られた。本発明における醤油様調味料は、従来の和風・中華風メニューにおいて醤油と同様に使用することが可能であり、さらに洋風メニューにも適しており、コンソメの代わりや和風だしの代わりとして、料理のベースの味付けとして使用することも可能である。
対照品、試験品、比較品のトータルイオンクロマトグラムを示す図である。

Claims (5)

  1. 原料にアレルゲンを含む食物(アレルゲンを含む食物として、日本国内で食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている食物およびコーデックスで定められている食物)を全く使用せず、トマトを酵母により発酵・熟成させて得られる醤油様調味料。
  2. 原料にアレルゲンを含む食物(アレルゲンを含む食物として、日本国内で食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている食物およびコーデックスで定められている食物)を全く使用せず、トマトを乳酸菌と酵母により発酵・熟成させて得られる醤油様調味料。
  3. HEMFを0.2ppm以上含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の醤油様調味料。
  4. エタノールを0.5%(v/v)以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の醤油様調味料。
  5. 乳酸を0.02%(w/v)以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の醤油様調味料。
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