JP5101356B2 - 圧力センサおよびこれを備えた圧力測定装置 - Google Patents

圧力センサおよびこれを備えた圧力測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、表面弾性波(Surface Acoustic Wave)を利用した圧力センサおよびこれを備えた圧力測定装置に関する。
近年、自動車などのタイヤの空気圧をモニタリングするタイヤ圧力監視システム(TPMS)が開発されている。このようなタイヤ圧力監視システムでは、空気圧を精度よく検出することができる圧力センサが不可欠である。
空気圧などのガス圧力を検出する圧力センサとしては、下記の特許文献1に示すような圧力センサが知られている。特許文献1に開示されている圧力センサは、表面弾性波を発振する櫛歯電極対(インターデジタルトランスデューサ)をそれぞれ備えた圧力検出用共振器および局部発振用共振器を有する。このような構成の圧力センサによれば、局部発振用共振器の共振周波数を用いて温度の影響を補償しつつ、圧力検出用共振器の共振周波数を用いてガス圧力を検出することができる。
特開2005−181305号公報
しかしながら、上記圧力センサでは、外部との通信用アンテナに対して2つの櫛歯電極対が交互に接続されるため、圧力センサにスイッチング回路用の電源が備えられなければならないという問題がある。タイヤ圧力監視システムなどに用いられる圧力センサは、内部に電源を備えることなく、無給電で無線信号を送信することが望ましい。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、温度の影響を補償しつつ、無給電でガス圧力を検出することができる圧力センサおよびこれを備えた圧力測定装置を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
本発明の圧力センサは、圧電基板、櫛歯電極部、圧力検出用反射器、ダイヤフラム部、および温度補償用反射器を有する。前記圧電基板は、表面弾性波を伝搬する。前記櫛歯電極部は、前記圧電基板上に設けられ、外部からの無線信号を受信して当該圧電基板上に表面弾性波を励振する一方で、当該圧電基板上を伝搬する表面弾性波を受波して応答信号に変換する。前記圧力検出用反射器は、前記表面弾性波の伝搬経路上に設けられ、前記櫛歯電極部で励振された表面弾性波を当該櫛歯電極部に向かって反射する。前記ダイヤフラム部は、前記櫛歯電極部と前記圧力検出用反射器との間に設けられ、前記圧電基板内部の空洞部と外部との圧力差に応じて変形することにより前記表面弾性波の伝搬経路の経路長を変化させる。前記温度補償用反射器は、前記表面弾性波の伝搬経路上に前記ダイヤフラム部を基準として前記櫛歯電極部側に設けられ、前記櫛歯電極部で励振された表面弾性波を当該櫛歯電極部に向かって反射する。前記温度補償用反射器は、前記櫛歯電極部の反ダイヤフラム部側に設けられ、当該櫛歯電極部で励振された表面弾性波を当該櫛歯電極部に向かって反射する第1の反射器と、前記第1の反射器と前記櫛歯電極部との間に設けられ、当該櫛歯電極部で励振された表面弾性波の一部を当該櫛歯電極部に向かって反射する一方で、残りの表面弾性波を通過させる第2の反射器と、前記櫛歯電極部と前記ダイヤフラム部との間に設けられ、当該櫛歯電極部で励振された表面弾性波の一部を当該櫛歯電極部に向かって反射する一方で、残りの表面弾性波を通過させる第3の反射器と、を含む。
本発明の圧力測定装置は、上記圧力センサ、読み取り手段、および算出手段を有する。前記読み取り手段は、前記圧力センサに無線信号を送信する一方で、当該圧力センサからの応答信号を受信する。前記算出手段は、前記読み取り手段によって受信される応答信号の時間変化に基づいて、ガス圧力を算出する。
本発明の圧力センサおよび圧力測定装置によれば、圧力検出用反射器および温度補償用反射器で反射された表面弾性波が一の櫛歯電極部で応答信号に変換されるため、温度の影響を補償しつつ、無給電でガス圧力を検出することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図中、同様の部材には、同一の符号を用いた。
図1は、本発明の一実施の形態における圧力測定装置の概略構成を示す図である。本実施の形態の圧力測定装置は、表面弾性波を利用してガス圧力を測定するものである。
図1に示すとおり、本実施の形態の圧力測定装置は、圧力センサ10、読み取り装置20、およびコンピュータ30を備える。圧力センサ10は、読み取り装置20およびコンピュータ30から離隔して配置されている。読み取り装置20とコンピュータ30とは、通信ケーブルを介して接続されている。
圧力センサ10は、ガス圧力(たとえば、空気圧)を検出するものである。圧力センサ10は、内部に電源を有さない無給電センサであって、読み取り装置20から送信される無線信号(以下、呼びかけ信号と称する)を受信して作動する。圧力センサ10は、表面弾性波を利用してガス圧力を検出するものであり、ガス圧力の変化に応じて応答時間が変化する応答信号を読み取り装置20に返信する。表面弾性波を利用した圧力センサ10についての詳細な説明は後述する。
読み取り装置20は、読み取り手段として、圧力センサ10と電気信号(電磁波)を送受信するものである。読み取り装置20は、圧力センサ10に呼びかけ信号を送信する一方で、圧力センサ10からの応答信号を受信する。応答信号は、通信ケーブルを通じてコンピュータ30に送信される。
コンピュータ30は、算出手段として、読み取り装置20で受信される応答信号の時間変化に基づいて、ガス圧力を算出するものである。本実施の形態のコンピュータ30は、読み取り装置20が受信した圧力センサ10からの応答信号の位相を検出することにより、ガス圧力を算出する。
次に、図2を参照しつつ、本実施の形態の圧力センサ10について詳細に説明する。
図2(A)は、図1に示す圧力測定装置における圧力センサの上面図であり、図2(B)は、図2(A)のII−II’線に沿った断面図である。上述したとおり、本実施の形態の圧力センサ10は、表面弾性波を利用してガス圧力を検出する無給電センサである。
図2に示すとおり、本実施の形態の圧力センサ10は、圧電基板11、櫛歯電極部12、圧力検出用反射器13、ダイヤフラム部14、および温度補償用反射器15を備える。櫛歯電極部12、圧力検出用反射器13、および温度補償用反射器15は、圧電基板11の表面上に設けられており、ダイヤフラム部14は、圧電基板11の表面と同一平面に設けられている。
圧電基板11は、表面弾性波を伝搬するものである。圧電基板10は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)などの圧電材料より形成され、櫛歯電極部12で励振される表面弾性波の伝搬経路をなす。圧電基板11の内部には、ダイヤフラム部14を構成するための空洞部が設けられている。
櫛歯電極部12は、表面弾性波と電気信号とを相互に変換するものである。櫛歯電極部12は、読み取り装置20からの呼びかけ信号を受信して圧電基板11上に表面弾性波を励振する一方で、圧電基板11上を伝搬する表面弾性波を受波して応答信号に変換する。櫛歯電極部12は、一対の櫛歯状電極より構成され、各櫛歯状電極は、たとえば、アルミニウム(Al)から形成される。一対の櫛歯状電極のうち、一方の櫛歯状電極は、電極パッドを介して通信用アンテナに電気的に接続されおり、他方の櫛歯状電極は、接地されている。呼びかけ信号および応答信号は、通信用アンテナを介して読み取り装置20と送受信される。
圧力検出用反射器13は、表面弾性波の伝搬経路上に設けられ、櫛歯電極部12で励振された表面弾性波を櫛歯電極部12に向かって反射するものである。圧力検出用反射器13は、表面弾性波の伝搬経路に対して垂直に伸びる複数の帯状の突起部よりなり、ダイヤフラム部14の表面を伝搬する表面弾性波を反射する。帯状の突起部は、たとえば、アルミニウムから形成される。
ダイヤフラム部14は、ガス圧力に応じて変形することにより表面弾性波の伝搬経路の経路長を変化させるものである。ダイヤフラム部14は、櫛歯電極部12と圧力検出用反射器13との間に設けられ、圧電基板11内部の空洞部と外部との圧力差に応じて変形することにより、表面弾性波の伝搬経路の経路長を変化させる。
温度補償用反射器15は、表面弾性波の伝搬経路上にダイヤフラム部14を基準として櫛歯電極部12側に設けられ、櫛歯電極部12で励振された表面弾性波を櫛歯電極部12に向かって反射するものである。本実施の形態における温度補償用反射器15は、第1〜第3の反射器15a,15b,15cを含む。櫛歯電極部12から各反射器13,15a,15b,15cまでの距離は互いに異なる。
第1の反射器15aは、櫛歯電極部12の反ダイヤフラム部14側に設けられ、櫛歯電極部で励振された表面弾性波を櫛歯電極部12に向かって反射する。第1の反射器15aは、圧力検出用反射器13と同数の帯状の突起部から形成されており、第2の反射器15bを通過した表面弾性波を反射する。
第2の反射器15bは、第1の反射器15aと櫛歯電極部12との間に設けられ、櫛歯電極部12で励振された表面弾性波の一部を櫛歯電極部12に向かって反射する一方で、残りの表面弾性波を通過させる。第2の反射器15bは、表面弾性波の一部を通過させるように、圧力検出用反射器13よりも少ない数の帯状の突起部から形成されている。
第3の反射器15cは、櫛歯電極部12とダイヤフラム部14との間に設けられ、櫛歯電極部12で励振された表面弾性波の一部を櫛歯電極部12に向かって反射する一方で、残りの表面弾性波を通過させる。第3の反射器15cは、表面弾性波の一部を通過させるように、圧力検出用反射器13よりも少ない数の帯状の突起部から形成されている。
次に、図3を参照して、図2に示す圧力センサの製造方法について説明する。
図3は、図2に示す圧力センサの製造工程を説明するための断面図である。本実施の形態の圧力センサ10は、2枚の圧電基板が直接接合されることにより形成される。
まず、ベース基板11aを準備し、ベース基板11a上にフォトレジストを形成する。そして、フォトレジストをパターニングすることによって、開口部16hが設けられたマスク層16をベース基板11a上に形成する(図3(A)参照)。
次に、マスク層16の開口部16hから露出するベース基板11aの一部を、サンドブラスト法を用いて切削することによって、ベース基板11aに凹部11cを形成する(図3(B)参照)。
次に、ベース基板11aと同一の圧電材料よりなる薄膜基板11bを準備し、直接接合法または陽極接合法などを用いて、凹部11cが設けられたベース基板11aと薄膜基板11bとを直接接合する(図3(C)参照)。このようにすると、ベース基板11aの凹部11cと薄膜基板11bとによって空洞部が形成され、薄膜基板11bの一部はダイヤフラム部14を構成する。空洞部には、アルゴンガスなどの不活性ガスが充填され、気密性が維持される。あるいは、本実施の形態とは異なり、空洞部は真空に維持されることができる。
そして、薄膜基板11b上に櫛歯電極部12、圧力検出用反射器13、および温度補償用反射器15を形成する(図3(D)参照)。櫛歯電極部12、圧力検出用反射器13、および温度補償用反射器15は、リフトオフ法またはエッチング法などを用いて形成される。
以上のとおり構成される本実施の形態の圧力センサ10では、櫛歯電極部12が呼びかけ信号を受信して表面弾性波を励振する。励振された表面弾性波は圧電基板11上を伝搬する。圧電基板11上を伝搬する表面弾性波は、各反射器13,15a,15b,15cで櫛歯電極部12に向かって反射される。櫛歯電極部12は、各反射器13,15a,15b,15cで反射された表面弾性波を受波して応答信号に変換する。
このとき、圧力センサ10周囲のガス圧力が変化すれば、ガス圧力に応じてダイヤフラム部が変形する。ダイヤフラム部14が変形すれば、櫛歯電極部12と圧力検出用反射器13との間を伝搬する表面弾性波の伝搬経路の経路長が変化する。また、圧力センサ10周囲の温度が変化すれば、圧電基板11の熱変形に起因して、櫛歯電極部12と各反射器13,15a,15b,15cとの間を伝搬する表面弾性波の伝搬経路の経路長が変化する。表面弾性波の伝搬経路の経路長が変化すれば、表面弾性波が各反射器13,15a,15b,15cで反射されて櫛歯電極部12に戻って来るまでの時間が変化する。本実施の形態の圧力測定装置は、このような表面弾性波の応答時間の変化に対応する応答信号の位相変化(位相遅れまたは位相進み)を検出することによって、ガス圧力を算出する。以下、本実施の形態の圧力測定装置による圧力測定処理について説明する。
本実施の形態の圧力測定処理では、コンピュータ30が、圧力センサ10からの応答信号の位相に基づいて、ガス圧力を算出する。
より具体的には、まず、圧力センサ10からの応答信号の中から、圧力検出用反射器13で反射された表面弾性波に対応する応答信号と温度補償用反射器15で反射された表面弾性波に対応する応答信号とが抽出される。次に、圧力検出用反射器13からの応答信号の位相φおよび温度補償用反射器15からの応答信号の位相φ,φ,φがそれぞれ取得される。
そして、圧力と温度の両方の影響を受けている圧力検出用反射器13の応答信号の位相φを、温度の影響のみを受けている第1〜第3反射器の応答信号の位相φ,φ,φで補正することにより、温度補償後の位相φt_compが算出される。それから、位相と圧力との関係を示す校正データに基づいて、温度補償後の位相φt_compに対応する圧力値が算出される。
以下、図4〜図7を参照しつつ、本実施の形態の圧力測定装置による圧力測定処理について詳細に説明する。
まず、図4を参照して、圧力センサ10からの応答信号の中から、圧力検出用反射器13からの応答信号と温度補償用反射器15からの応答信号とを抽出する処理について説明する。
図4は、図1に示す圧力測定装置における圧力センサからの応答信号の波形データを示す図である。図4に示す波形データは、周波数領域における波形データを時間領域における波形データに逆フーリエ変換したものである。図4に示すとおり、圧力センサ10からの応答信号は、各反射器で1回目に反射された表面弾性波に対応する応答信号に加えて、反射器間で多重反射された表面弾性波に対応する応答信号を含む。本実施の形態では、圧力センサ10の設計値より予測される各反射器からの1回目の応答時間付近に時間スロットを設定することによって、複数の応答信号の中から、各反射器からの1回目の応答信号を抽出する。
次に、図5を参照して、応答信号の位相からガス圧力を算出する圧力算出処理について説明する。図5は、図1に示す圧力測定装置における圧力算出処理を説明するためのフローチャートである。本実施の形態では、応答信号の位相が設定範囲(たとえば、−π〜π)を超えても、圧力値が連続的に変化するように位相が更新されつつ、ガス圧力が算出される。
図5に示すとおり、本実施の形態の圧力算出処理では、まず、位相変化データの読み込みが開始され、各反射器13,15からの応答信号の位相φ,φ,φ,φが取得される(ステップS101,S102)。
次に、取得された各応答信号の位相φ,φ,φ,φが、設定範囲(−π〜π)内か否かが判断される(ステップS103)。
応答信号の位相が設定範囲内の場合(ステップS103:YES)、位相が更新されることなく、一時的に格納される(ステップS106)。一方、応答信号の位相が設定範囲から外れる場合(ステップS103:NO)、位相が進んでいるか遅れているかが判断され、判断結果に応じて位相が更新される(ステップS104,S105)。本実施の形態では、まず、所定のサンプリング間隔で取得される直前の位相と大きさを比較することによって、位相進みまたは位相遅れが判断される。そして、位相進みまたは位相遅れに応じて、対応する圧力値が連続的に変化するように位相が更新される。更新された位相は一時的に格納される(ステップS106)。
次に、格納された各反射器13,15からの位相φ,φ,φ,φに基づいて、温度補償後の位相φt_compが算出される(ステップS107)。本実施の形態では、下記(1)式より、圧力と温度両方の影響を受けている圧力検出用反射器13の応答信号の位相φが、温度の影響のみを受けている第1〜第3反射器15の応答信号の位相φ,φ,φで補正され、温度補償後の位相φt_compが算出される。
Figure 0005101356
ここで、lは、圧力検出用反射器13と櫛歯電極部12との距離であり、l、l、およびlは、第1〜第3の反射器15と櫛歯電極部12との距離である。
次に、温度補償後の位相φt_compが校正データと比較され、温度補償後の位相φt_compに対応する圧力値が算出される(ステップS108,S109)。校正データは、コンピュータ30に予め格納されている。
そして、すべての位相変化データが取得されたか否かが判断される(ステップS110)。本実施の形態では、所定の測定時間の位相変化データが取得されたか否かが判断される。すべてのデータが取得されていない場合(ステップS110:NO)、すべてのデータが取得されるまで、ステップS103以下の処理が繰り返される。一方、すべてのデータが取得された場合(ステップS110:YES)、処理が終了される。
以上のとおり、図5に示すフローチャートの処理によれば、各反射器13,15からの応答信号の位相φ,φ,φ,φが取得され、取得された位相φ,φ,φ,φに基づいて、圧力値が算出される。このとき、応答信号の位相φ,φ,φ,φが設定範囲(−π〜π)を超えても圧力値が連続的に変化するように、各位相が更新されつつ、圧力値が算出される。
次に、図6および図7を参照して、本実施の形態の圧力測定装置によるガス圧力の圧力測定結果について説明する。
図6(A)は、図1に示す圧力測定装置によるガス圧力の圧力測定結果を示す図であり、図6(B)は、位相を更新することなく取得した場合を比較例として示す図である。また、図7は、図1に示す圧力測定装置における圧力センサのガス圧力に対する応答性を示す図である。
図6(A)の実線は、圧力検出用反射器13からの応答信号の位相であり、破線は、温度補償用反射器15からの応答信号の位相である。一点鎖線は、圧力検出用反射器13からの応答信号の位相を温度補償用反射器15からの応答信号の位相で補正した温度補償後の位相であり、二点鎖線は、リファレンス用の圧力センサで測定したガス圧力である。
上述したとおり、実線で示される圧力検出用反射器13からの応答信号の位相変化は、圧力センサ10周囲の温度変化と圧力変化に起因するものである。破線で示される温度補償用反射器15からの応答信号の位相変化は、圧力センサ10周囲の温度変化のみに起因するものである。第1〜第3の反射器15a,15b,15cからの応答信号は、ほぼ同様の位相を示す。
図6(A)に示すとおり、圧力検出用反射器13の応答信号の位相φを温度補償用反射器15aの位相φ,φ,φで補正したものである温度補償後の位相φt_compは、リファレンス圧力と類似した変化を示している。したがって、校正データを用いることにより、温度補償された位相φt_compから、ガス圧力を算出することができる。
一方、図6(B)では、位相が更新されることなく取得されるため、設定範囲を超える圧力に対しては正確な値を算出することができず、測定範囲が限定される。
そして、図7に示すとおり、圧力測定装置によるガス圧力の測定値は、論理曲線上に分布しており、本実施の形態の圧力測定装置が、温度の影響を補償しつつ、ガス圧力を算出することができることが分かる。
以上のとおり、説明した本実施の形態の圧力測定装置では、圧力と温度の影響を受けて遅れまたは進みが発生する圧力センサからの応答信号の位相に基づいて、ガス圧力が算出される。より具体的には、圧力と温度の両方の影響を受ける圧力検出用反射器からの応答信号の位相を、温度の影響のみを受ける温度補償用反射器からの応答信号の位相で補正することによって、温度補償後の位相に対応する圧力値を算出することができる。
そして、本実施の形態の圧力センサ10では、一の櫛歯電極部12が圧力検出用反射器13および温度補償用反射器15で反射される表面弾性波を応答信号に変換することができる。したがって、無給電でガス圧力を検出する温度補償機能付きの圧力センサが実現される。
なお、上述した実施の形態では、圧力センサに3つの温度補償用反射器が設けられた。しかしながら、圧力センサ10と読み取り装置20との距離が一定に維持される状況であれば、温度補償用反射器は、一つだけ設けられてもよい。この場合、温度補償用反射器と圧力検出用反射器との温度差を最小にする見地から、温度補償用反射器は、ダイヤフラム部の近傍に設けられることが好ましい。
以上のとおり、説明した本実施の形態は、以下の効果を奏する。
(a)本実施の形態の圧力センサは、圧電基板、櫛歯電極部、圧力検出用反射器、ダイヤフラム部、および温度補償用反射器を有する。櫛歯電極部は、圧電基板上に設けられ、外部からの無線信号を受信して圧電基板上に表面弾性波を励振する一方で、圧電基板上を伝搬する表面弾性波を受波して応答信号に変換する。圧力検出用反射器は、表面弾性波の伝搬経路上に設けられ、櫛歯電極部で励振された表面弾性波を櫛歯電極部に向かって反射する。ダイヤフラム部は、櫛歯電極部と圧力検出用反射器との間に設けられ、圧電基板内部の空洞部と外部との圧力差に応じて変形することにより表面弾性波の伝搬経路の経路長を変化させる。温度補償用反射器は、表面弾性波の伝搬経路上にダイヤフラム部を基準として櫛歯電極部側に設けられ、櫛歯電極部で励振された表面弾性波を櫛歯電極部に向かって反射する。したがって、圧力検出用反射器および温度補償用反射器で反射された表面弾性波が一の櫛歯電極部で応答信号に変換されるため、温度の影響を補償しつつ、無給電でガス圧力を検出することができる。また、圧力センサを小型化することができる。
(b)温度補償用反射器は、複数の反射器を含む。したがって、圧力センサからの応答信号に含まれるノイズを、複数の反射器からの応答信号の差分をとることによりキャンセルすることができる。その結果、ガス圧力の測定精度が向上する。
(c)温度補償用反射器は、第1〜第3の反射器を含む。したがって、圧力センサからの応答信号に含まれるノイズを、複数の反射器からの応答信号の差分をとることによりキャンセルすることができる。その結果、ガス圧力の測定精度が向上する。
(d)温度補償用反射器は、ダイヤフラム部の近傍に設けられる。したがって、温度補償用反射器と圧力検出用反射器との温度差が最小化される。その結果、ガス圧力の測定精度が向上する。
(e)圧電基板は、凹部が設けられたベース基板に、薄膜基板が接合されてなる。したがって、ダイヤフラム部の厚さの制御性が良好であり、さらに、空洞部に面するダイヤフラム部の裏面を平滑にすることができるため、圧力センサの特性および品質を一定にすることができる。
(f)ベース基板と薄膜基板とは、同一の圧電材料からなり、接触面で直接接合されている。したがって、接着剤が使用されないため、接着剤と圧電基板との熱膨張係数の差を考慮する必要がない。加えて、基板同士の熱膨張係数の差に起因する測定誤差の発生が防止される。その結果、高温環境で圧力センサを使用することができる。
(g)本実施の形態の圧力測定装置は、圧力センサ、読み取り装置、およびコンピュータを有する。読み取り装置は、圧力センサに無線信号を送信する一方で、圧力センサからの応答信号を受信する。コンピュータは、読み取り装置によって受信される応答信号の時間変化に基づいてガス圧力を算出する。したがって、圧力検出用反射器および温度補償用反射器で反射された表面弾性波が一の櫛歯電極部で応答信号に変換されるため、温度の影響を補償しつつ、無給電でガス圧力を検出することができる。また、一の応答信号のみを受信するため、読み取り装置の回路構成を簡素化することができる。
(h)コンピュータは、応答信号の位相が設定範囲から外れる場合、応答信号の位相が進んでいるか遅れているかを判断して、応答信号の位相から算出される圧力値が連続的に変化するように位相を更新しつつ、ガス圧力を算出する。したがって、圧力測定装置の測定範囲を圧力センサの耐久限界まで拡大することができる。
以上のとおり、上述した実施の形態において、本発明の圧力センサおよび圧力測定装置を説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
本発明の一実施の形態における圧力測定装置の概略構成を示す図である。 図2(A)は、図1に示す圧力測定装置における圧力センサの上面図であり、図2(B)は、図2(A)のII−II’線に沿った断面図である。 図2に示す圧力センサの製造工程を説明するための断面図である。 図1に示す圧力測定装置における圧力センサからの応答信号の波形データを示す図である。 図1に示す圧力測定装置における圧力算出処理を示すフローチャートである。 図6(A)は、図1に示す圧力測定装置によるガス圧力の圧力測定結果を示す図であり、図6(B)は、位相を更新することなく取得した場合を比較例として示す図である。 図1に示す圧力測定装置における圧力センサのガス圧力に対する応答性を示す図である。
符号の説明
10 圧力センサ、
11 圧電基板、
11a ベース基板、
11b 薄膜基板、
11c 凹部、
12 櫛歯電極部、
13 圧力検出用反射器、
14 ダイヤフラム部、
15 温度補償用反射器、
15a 第1の反射器、
15b 第2の反射器、
15c 第3の反射器、
20 読み取り装置(読み取り手段)、
30 コンピュータ(算出手段)。

Claims (5)

  1. 表面弾性波を伝搬する圧電基板と、
    前記圧電基板上に設けられ、外部からの無線信号を受信して当該圧電基板上に表面弾性波を励振する一方で、当該圧電基板上を伝搬する表面弾性波を受波して応答信号に変換する櫛歯電極部と、
    前記表面弾性波の伝搬経路上に設けられ、前記櫛歯電極部で励振された表面弾性波を当該櫛歯電極部に向かって反射する圧力検出用反射器と、
    前記櫛歯電極部と前記圧力検出用反射器との間に設けられ、前記圧電基板内部の空洞部と外部との圧力差に応じて変形することにより前記表面弾性波の伝搬経路の経路長を変化させるダイヤフラム部と、
    前記表面弾性波の伝搬経路上に前記ダイヤフラム部を基準として前記櫛歯電極部側に設けられ、前記櫛歯電極部で励振された表面弾性波を当該櫛歯電極部に向かって反射する温度補償用反射器と、を有し、
    前記温度補償用反射器は、
    前記櫛歯電極部の反ダイヤフラム部側に設けられ、当該櫛歯電極部で励振された表面弾性波を当該櫛歯電極部に向かって反射する第1の反射器と、
    前記第1の反射器と前記櫛歯電極部との間に設けられ、当該櫛歯電極部で励振された表面弾性波の一部を当該櫛歯電極部に向かって反射する一方で、残りの表面弾性波を通過させる第2の反射器と、
    前記櫛歯電極部と前記ダイヤフラム部との間に設けられ、当該櫛歯電極部で励振された表面弾性波の一部を当該櫛歯電極部に向かって反射する一方で、残りの表面弾性波を通過させる第3の反射器と、を含むことを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記圧電基板は、前記空洞部に対応する凹部が設けられたベース基板に、薄膜基板が接合されてなることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
  3. 前記ベース基板と前記薄膜基板とは、同一の圧電材料からなり、接触面で直接接合されていることを特徴とする請求項に記載の圧力センサ。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の圧力センサと、
    前記圧力センサに無線信号を送信する一方で、当該圧力センサからの応答信号を受信する読み取り手段と、
    前記読み取り手段で受信される応答信号の時間変化に基づいて、ガス圧力を算出する算出手段と、を有することを特徴とする圧力測定装置。
  5. 前記算出手段は、前記応答信号の位相が設定範囲から外れる場合、当該応答信号の位相が進んでいるか遅れているかを判断して、当該応答信号の位相から算出される圧力値が連続的に変化するように位相を更新しつつ、ガス圧力を算出することを特徴とする請求項に記載の圧力測定装置。
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