JP5099507B2 - ポリ乳酸編物の製造方法および衣料の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明によれば、前記に記載された製造方法により得られたポリ乳酸編物を用いて衣料を得る、衣料の製造方法が提供される。
本発明で用いるポリL−乳酸(A成分)は、主としてL−乳酸単位からなる。L−乳酸単位はL−乳酸由来の繰り返し単位である。ポリL−乳酸(A成分)は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%のL−乳酸単位を含有する。他の繰り返し単位としてD−乳酸単位、乳酸以外の単位がある。D−乳酸単位および乳酸以外の単位は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
ポリL−乳酸(A成分)において、重量平均分子量が5万〜30万(より好ましくは10万〜25万)であることが好ましい。
ポリD−乳酸(B成分)において、重量平均分子量が5万〜30万(より好ましくは10万〜25万)であることが好ましい。
X1−P(=O)m(OH)n(OX2)2−n (3)
式中、mは0または1、nは1または2、X1およびX2は各々独立に炭素数1〜20の置換基を有していても良い炭化水素基を表す。炭化水素基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
R2、R3は、各々独立に水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、iso−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、iso−ノニル基、デシル基、iso−デシル基、tert−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、tert−ドデシル基などが挙げられる。
M1は、Na、K、Liなどのアルカリ金属原子またはMg、Ca等のアルカリ土類金属原子を表す。pは1または2を表す。
M2は、Na、K、Liなどのアルカリ金属原子またはMg、Ca等のアルカリ土類金属原子を表す。pは1または2を表す。
延伸は、1段でも、2段以上の多段延伸でも良く、高強度の繊維を製造する観点から、延伸倍率は、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上、さらに好ましくは3〜10倍である。しかし、延伸倍率が高すぎると繊維が失透し白化するため、繊維の強度が低下する。延伸の予熱は、ロールの昇温のほか、平板状あるいはピン状の接触式加熱ヒータ、非接触式ヒータ、熱媒浴などにより行うことができる。延伸温度は、好ましくは70〜140℃、より好ましくは80〜130℃である。延伸糸においても、低温結晶融解相(A)は実質的に全く観察されず、高温結晶融解相(B)の単一融解ピークのみが見られる。また、延伸糸の高温結晶融解相(B)の融解開始温度は190℃以上、好ましくは200℃以上である。加えて、延伸糸の広角X線回折測定によるステレオコンプレックス結晶回折ピークの積分強度よりもとめたステレオ化率(Sc率)は90%以上と高い水準にある。
撚係数=(撚数(T/m)/(繊度(dtex)1/2
ポリマーの重量平均分子量はGPC(カラム温度40℃、クロロホルム)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較で求めた。
理化学電気社製ROTA FLEX RU200B型X線回折装置用いて透過法により、以下の条件でX線回折図形をイメージングプレートに記録した。得られたX線回折図形において赤道方向の回折強度プロファイルを求め、ここで2θ=12.0°、20.7°、24.0°付近に現れるステレオコンプレックス結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣISCiと、2θ=16.5°付近に現れるホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度IHMから下式に従いステレオ化率(Sc化率)を求めた。尚、ΣISCiならびにIHMは図1に示すように、赤道方向の回折強度プロファイルにおいてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって見積もった。
X線源: Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力: 45kV×70mA
スリット: 1mmΦ〜0.8mmΦ
カメラ長: 120mm
積算時間: 10分
サンプル: 長さ3cm、35mg
Sc化率=ΣISCi/(ΣISCi+IHM)×100
ここで、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3
ISCi(i=1〜3)はそれぞれ2θ=12.0°、20.7°、
24.0°付近の各回折ピークの積分強度
TAインストルメンツ製 TA−2920示差走査熱量測定計DSCを用いた。
測定は、試料10mgを窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から260℃まで昇温した。第一スキャンで、ホモ結晶融解ピーク、ホモ結晶融解(開始)温度、ホモ結晶融解エンタルピーおよびステレオコンプレックス結晶融解ピーク、ステレオコンプレックス結晶融解(開始)温度およびステレオコンプレックス結晶融解エンタルピーを求めた。
オリエンティック社製「テンシロン」(商品名)を用い、測定対象の繊維構造体から無作為に10本の対象単糸(フィラメント)を抜き取り、糸試料長50mm(チャック間長さ)、伸長速度500mm/分の条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、破断点での応力と伸びから強度(cN/本)を求めた後、この強度を繊度で割って繊維強度(cN/dtex)とした。
試験者3名により、ソフト感について官能評価を行い3段階評価した。「極めて優れている」は3級、「普通」は2級、「劣っている」は1級で示した。
編物の縦横と同じ方向に、1辺が2.54cmの正方形状の試料を取り、1平方2.54cmあたりのループ数を顕微鏡を用いて数えた。
Lラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸を得た。
得られたL−乳酸の重量平均分子量は15万、ガラス転移点(Tg)63℃、融点は180℃であった。
Dラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量の燐酸を添加しその後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリD−乳酸を得た 得られたポリD−乳酸の重量平均分子量は15万、ガラス転移点(Tg)63℃、融点は180℃であった。
製造例1で得られたポリL−乳酸ならびに製造例2のポリD−乳酸を各50重量部と、リン酸エステル金属塩(株式会社ADEKA(旧:旭電化工業株式会社)製アデカスタブNA−11)0.5重量部を230℃で溶融混練し、ポリL−乳酸ならびにポリD‐乳酸の合計100重量部あたりカルボジイミドとして日清紡(株)製カルボジライトLA−1を0.7重量部、第一供給口より供給しシリンダー温度230℃で混練押出して、水槽中にストランドを取り、チップカッターにてチップ化してステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂のMwは13.5万、融点(Tm)は224℃、ステレオ化率は100%であった。
前記、製造例3で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を110℃で2時間、150℃で5時間乾燥し樹脂の水分率を80ppmとしたあと0.27φmmの吐出孔36ホールを有する紡糸口金を用いて、紡糸温度255℃で8.35g/分の吐出量で紡糸した後に500m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。巻き取られた未延伸糸を延伸機にて予熱80℃で4.9倍に延伸し延伸糸を巻き取った後、180℃で熱処理を行った。紡糸工程、延伸工程での工程通過性は良好であり、巻き取られた延伸糸は繊度167dTex/36filのマルチフィラメントであり、強度3.6cN/dTex、伸度35%、融点213℃であった。また、DSC測定において単一の融解ピークを有し、該融解ピーク温度(融点)が224℃であり、ステレオ化率100%であった。
得られた編物において1平方2.54cm(1インチ)あたりのループ数が4200個となり、風合い3級とL値13.4とソフトな風合いで十分な深色性を呈するものであった。
実施例1と同様にして得られたステレオコンプレックスポリ乳酸フィラメント84dTex36filのマルチフィラメントを天竺編物に製編した後、該編物を、温度150℃、2分間の乾熱セットした後、液流染色機を用いて、温度120℃で20分間の染色を行った。その際、黒色の分散染料を用いた。さらに、温度160℃、2分間の乾熱セットを施した。
得られた編物において1平方2.54cm(1インチ)あたりのループ数が8400個となり、風合い3級とL値14.4とソフトな風合いで十分な深色性を呈するものであった。
実施例1において、ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂のかわりに製造例1で得られたポリL−乳酸を用いこと以外は実施例1と同様にした。
ポリ乳酸フィラメントの融点は180℃であった。得られた編物は、染色の際の熱履歴で収縮して硬くなってしまった(風合い1級)。また、風合いが硬く測定機器での正確なL値の測定が困難であったが見かけの深色性は不十分であった。
実施例1において、編機のゲージをハイゲージに変更した以外は実施例1と同様にした。
得られた編物において、1平方2.54cm(1インチ)あたりのループ数が11200個となり、風合い1級とL値15.1で深色性は得られたものの風合いが硬く十分ではなかった。
燐酸エステル金属塩として、アルミニウムビス(2,2’―メチレンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)ホスフェート)ハイドロオキサイド(株式会社ADEKA(旧:旭電化工業株式会社)製アデカスタブNA−21)を0.5重量部用いる以外は実施例1と同じ操作を行ったところ、紡糸の際に昇華物が激しく発生し、紡糸することが困難であった。
Claims (7)
- (i)ポリL−乳酸(A成分)、(ii)ポリD―乳酸(B成分)および(iii)A成分とB成分との合計100重量部当たり0.05〜5重量部の下記式(1)または(2)で表される燐酸エステル金属塩(C成分)を含有するポリ乳酸組成物を溶融紡糸し未延伸糸を得る工程および未延伸糸を70〜140℃で延伸糸を得る工程および延伸糸を170〜220℃で熱処理する工程により得られたポリ乳酸フィラメントを含むポリ乳酸編物に染色加工を施し、かつ染色加工後の編物において、1平方2.54cmあたりのループ数を200〜10000個の範囲内とすることを特徴とする染色加工されたポリ乳酸編物の製造方法。
- 前記ポリ乳酸組成物が、ポリL−乳酸成分(A成分)とポリD−乳酸成分(B成分)との合計100重量部当たり0.1〜5重量部のカルボキシル末端封止剤を含有してなる、請求項1に記載の染色加工されたポリ乳酸編物の製造方法。
- 前記ポリ乳酸フィラメントの単糸繊度が0.1〜6.0dtexの範囲内である、請求項1または請求項2に染色加工されたポリ乳酸編物の製造方法。
- 編物が前記ポリ乳酸フィラメントのみで構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の染色加工されたポリ乳酸編物の製造方法。
- 染色加工後の編物のL値を15以下とする、請求項1〜4のいずれかに記載の染色加工されたポリ乳酸編物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された染色加工されたポリ乳酸編物の製造方法であって、染色加工の温度が100〜140℃の範囲内である、染色加工されたポリ乳酸編物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載された製造方法により得られたポリ乳酸編物を用いて衣料を得る、衣料の製造方法。
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