JP5097047B2 - 熱間鍛造用鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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〈1〉アスペクト比、つまり、長さと厚さとの比である「長さ/厚さ」が10以下のMnSの面積が全MnS面積に対して90%以上であること、
〈2〉厚さが2μm以下であるMnSの面積が全MnS面積に対して80%以上であること、
という2つの条件を満たすように制御する必要がある。
〈1〉アスペクト比が10以下のMnSの面積が全MnS面積に対して90%以上であること、
〈2〉厚さが2μm以下であるMnSの面積が全MnS面積に対して80%以上であること。
C:0.30〜0.65%
Cは、鋼の強度を確保するのに有効であり、また、自動車、産業機械および建設機械などの機械部品においては、耐摩耗性を確保するのにも非常に有効である。これらの効果を得るためには、Cは0.30%以上の含有量とする必要がある。しかしながら、Cの含有量が多くなり、特に、0.65%を超えると、硬さが高くなりすぎて冷間加工性や被削性が劣化する。したがって、Cの含有量を、0.30〜0.65%とした。なお、C含有量の望ましい下限は0.38%であり、また、望ましい上限は0.60%である。
Siは、脱酸効果を有する元素であり、また、フェライトの固溶強化にも有効な元素であるので、0.05%以上含有させる。しかしながら、Siの含有量が0.50%以上になると熱間加工性を損ねるので、その含有量の上限は、フェライトの固溶強化に必要かつ十分な0.50%未満である。したがって、Siの含有量を、0.05%以上0.50%未満とした。なお、Si含有量の望ましい下限は0.15%であり、また、望ましい上限は0.40%である。
Mnは、鋼中でMnSを形成するために必須の元素であり、0.20%以上含有させる。しかしながら、Mnの含有量が過剰になるとMnS量をいたずらに増やして転動疲労特性の低下を招き、特に、1.50%を超えると転動疲労特性の低下が著しくなる。したがって、Mnの含有量を0.20〜1.50%とした。なお、Mn含有量の望ましい下限は0.40%であり、また、望ましい上限は1.00%である。
Pは、鋼中に不純物として含有される元素であり、粒界に偏析して粒界脆化割れを助長し、特に、その含有量が0.025%を超えると、粒界脆化割れが生じやすくなる。したがって、Pの含有量を0.025%以下とした。なお、Pには強度向上作用があるので、この効果を得たい場合には、P含有量の下限を0.005%とすることが望ましい。
Sは、被鍛造材である鋼材中のMnSの数密度を高めてγ粒の粗大化を抑制するために必須の元素であり、このような効果を得るためには、Sの含有量は0.005%以上とする必要がある。しかしながら、Sの含有量が多すぎると、たとえ後述する(C)項の「1000〜1200℃に加熱して900℃以上の温度域で累積減面率90%以上の熱間加工を行い、熱間加工終了後900℃以上の温度域で3min以上保持する」方法で製造しても、MnSのアスペクト比は小さくならず、後述する(B)項のMnS形態が得られないばかりか、粗大な介在物を形成して転動疲労特性を低下させ、特に、0.030%以上のS含有量で転動疲労特性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.005%以上0.030%未満とした。なお、S含有量の望ましい上限は0.015%である。
Alは、脱酸効果を有する元素であるので添加してもよいが、過剰に含有すれば介在物を形成して転動疲労特性の低下を招き、特に、その含有量が0.040%を超えると、転動疲労特性の低下が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.040%以下とした。なお、Alの含有量は0.035%以下とすることが望ましい。
Nは、固溶強化に寄与する元素であるので添加してもよいが、過剰に含有すればAl、Ti、Nbなどと窒化物を形成し、特に、その含有量が0.010%以上になると、粗大な窒化物を形成して転動疲労寿命を低下させる。したがって、Nの含有量を0.010%未満とした。転動疲労寿命の低下を確実に抑制するためには、Nの含有量を0.007%以下とすることが望ましい。
Tiは、過剰に含有すれば粗大な窒化物を形成して転動疲労寿命の低下を招く。しかしながら、不純物中に0.005%以下の量で含まれている場合には、転動疲労特性を阻害することがない。したがって、不純物中のTiの含有量を0.005%以下とした。なお、不純物中のTiの含有量の上限は0.003%とすることが望ましい。
Nbは、Tiほどではないが過剰に含有すれば粗大な窒化物を形成して転動疲労寿命の低下を招くおそれがある。しかしながら、不純物中に0.005%以下の量で含まれている場合には、転動疲労特性を阻害することがない。したがって、不純物中のNbの含有量を0.005%以下とした。なお、不純物中のNbの含有量の上限は0.003%とすることが望ましい。
本発明(1)に係る熱間鍛造用鋼材が、前記(A)項に記載の化学組成を有する場合であっても、熱間加工方向に平行な面におけるMnSの形態と分布が、「アスペクト比が10以下のMnSの面積が全MnS面積に対して90%以上であること」という前記〈1〉の条件、および、「厚さが2μm以下であるMnSの面積が全MnS面積に対して80%以上であること」という前記〈2〉の条件の少なくとも一方から外れる場合には、MnSによるγ粒の粗大化抑制効果が得られないので、所定の機械部品形状に熱間鍛造するに際して、1000℃を超えるような高い温度に加熱すれば、γ粒が粗大化してしまう。
本発明(1)に係る熱間鍛造用鋼材は、例えば、前記(A)項に記載の化学組成を有する素材鋼を、「1000〜1200℃に加熱して900℃以上の温度域で累積減面率90%以上の熱間加工を行い、熱間加工終了後900℃以上の温度域で3min以上保持する」ことを特徴とする前記本発明(2)によって、製造することができる。
〔1〕素材鋼を、1000〜1200℃に加熱して900℃以上の温度域で累積減面率90%以上の熱間加工を行い、熱間加工終了後900℃以上の温度域で3min以上保持する、
という処理を施すのが効果的である。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.30〜0.65%、Si:0.05%以上0.50%未満、Mn:0.20〜1.50%、P:0.025%以下、S:0.005%以上0.030%未満、Al:0.040%以下およびN:0.010%未満を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のTiが0.005%以下およびNbが0.005%以下であり、熱間加工方向に平行な面におけるMnSの形態と分布が下記の条件〈1〉および〈2〉を満たすことを特徴とする熱間鍛造用鋼材。
〈1〉アスペクト比が10以下のMnSの面積が全MnS面積に対して90%以上であること、
〈2〉厚さが2μm以下であるMnSの面積が全MnS面積に対して80%以上であること。 - 質量%で、C:0.30〜0.65%、Si:0.05%以上0.50%未満、Mn:0.20〜1.50%、P:0.025%以下、S:0.005%以上0.030%未満、Al:0.040%以下およびN:0.010%未満を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のTiが0.005%以下およびNbが0.005%以下である素材鋼を、1000〜1200℃に加熱して900℃以上の温度域で累積減面率90%以上の熱間加工を行い、熱間加工終了後900℃以上の温度域で3min以上保持することを特徴とする請求項1に記載の熱間鍛造用鋼材の製造方法。
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