JP5092421B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリアフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP5092421B2
JP5092421B2 JP2007014850A JP2007014850A JP5092421B2 JP 5092421 B2 JP5092421 B2 JP 5092421B2 JP 2007014850 A JP2007014850 A JP 2007014850A JP 2007014850 A JP2007014850 A JP 2007014850A JP 5092421 B2 JP5092421 B2 JP 5092421B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
barrier film
layer
inorganic filler
metal alkoxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007014850A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008179077A (ja
Inventor
浩 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP2007014850A priority Critical patent/JP5092421B2/ja
Publication of JP2008179077A publication Critical patent/JP2008179077A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5092421B2 publication Critical patent/JP5092421B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Wrappers (AREA)

Description

本発明は、産業資材分野等に用いられる透明性を有するガスバリアフィルムに関するものである。
近年、食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度などの影響が少ないアルミニウム等の金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
ところが、アルミニウム等の金属箔を用いた包装材料は、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、検査の際金属探知器が使用できないなどの欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1、特許文献2に記載されているような高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成したフィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性、ガスバリア性を有する包装材料として好適とされている。
上記の観点から使用範囲が広がってきた透明蒸着フィルムだが、より過酷な環境で使用される事例が増加している。例えば長時間高温高湿に曝される太陽電池用バックシートなどの用途では、周囲の環境変化によりバックシート全体に圧縮/膨張応力が働き、その応力がバリア層へ伝播することでバリア層そのものを破壊するため、所望のバリア性を維持できない。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蒸着膜の外面に応力緩和層を付与することで、外部応力のバリア層への伝播を緩和し、環境変化による圧縮/膨張応力によっても性能が劣化しないガスバリアフィルムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、ポリエチレンナフタレートフィルムの少なくとも一方の面に、透明プライマー層と、厚さ5〜300nmの無機蒸着層と、無機フィラーと樹脂成分とからなり前記無機フィラーを5〜60体積%含む無機フィラー含有層とを順次積層してなり、
前記透明プライマー層が、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメチルシランと、アクリルポリオールと、トリレンジイソシアネートとの複合物からなる
ことを特徴とするガスバリアフィルムである。
請求項2に記載の発明は、前記無機フィラーが、酸化チタン、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのいずれかであり、前記樹脂成分がウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルムである。
請求項3に記載の発明は、前記複合物中に、一般式M(OR)(M:金属元素、R:アルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物を添加することを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルムである。
請求項4に記載の発明は、前記金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物中の金属がSi、Al、Ti、Zrあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項3に記載のガスバリアフィルムである。
請求項5に記載の発明は、前記透明プライマー層の厚さが、0.001〜2μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルムである。
請求項6に記載の発明は、前記無機蒸着層と前記無機フィラー含有層の間に、水溶性高分子化合物と、金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物および/またはその重合物の少なくとも1種類以上とを成分に持つ複合被膜層を積層することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリアフィルムである。
請求項7に記載の発明は、前記水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコール、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を含むことを特徴とする請求項6に記載のガスバリアフィルムである。
請求項8に記載の発明は、前記金属アルコキシドが、シランアルコキシドであることを特徴とする請求項6に記載のガスバリアフィルムである。
上記発明に依れば、無機フィラーの入った無機フィラー含有層(応力緩和層)により、蒸着膜を外部応力から護ることで、環境変化による圧縮/膨張応力によっても性能が劣化しないガスバリアフィルムを提供することが出来る。
外部応力を緩衝する作用としては、無機フィラーが導入された無機フィラー含有層にて、無機フィラーと通常含まれる樹脂との境界に微細な空孔が存在し、その空孔が外部応力を吸収緩和し、蒸着膜への負荷を低減させ、蒸着膜へのクラック導入を阻止し、バリア性を維持することが考えられる。
また、透明プライマー層を設ける形態では、プラスチック基材と無機蒸着層との密着性を高めることができる。
以下に、本発明の実施の形態について、説明する。
図1は本発明のガスバリアフィルムの一実施形態を説明する断面図である。プラスチック基材1表面上に、透明プライマー層2、無機蒸着層3、複合被膜層4、無機フィラー含有層5が形成されている構造である。無機蒸着層3、複合被膜層4、無機フィラー含有層5は基材1の両面に形成しても、また複合被膜層4と無機フィラー含有層5の成分を混合した層を構成してもよく、また多層にしてもよい。
上述した基材1はプラスチック材料であり、無機蒸着層の透明性を生かすために透明なフィルム基材であることが好ましい。基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。さらに、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類が挙げられる。また、前記ポリマー類は共重合体および/または化学修飾されていてもよい。基材1は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。またこの基材1の無機蒸着層3が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。
基材1の厚さはとくに制限を受けるものではなく、また包装材料としての適性を考慮して単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。尚透明プライマー層2、無機蒸着層3、無機フィラー含有層4を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることが好ましい。
次に透明プライマー層2について、詳しく説明する。この層は、基材1と無機蒸着層3との間の密着性を高めることを目的とする。
上記目的達成の為にプライマー樹脂として用いることができるのは、シランカップリング剤或いはその加水分解物と、ポリオール及びイソシアネート化合物等との複合物である。
前記シランカップリング剤の例としては、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えばエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤或いはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
さらにこれらのシランカップリング剤のうち、ポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つものが特に好ましい。例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのようなメルカプト基を含むものや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むものがある。さらにγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むものや、ビニルトリメトキシシラン、ビニル(β−メトキシエトキシ)シラン等のようなシランカップリング剤にアルコール等を付加し水酸基等を付加したものでも良く、これら1種ないしは2種以上を用いることができる。これらのシランカップリング剤は、一端に存在する有機官能基が複合物中で相互作用を示し、もしくはポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を含むシランカップリング剤を用いることで共有結合をもたせることによりさらに強固なプライマー層を形成し、他端のアルコキシ基等の加水分解によって生成したシラノール基が無機酸化物中の金属や、無機酸化物の表面の活性の高い水酸基等と強い相互作用により無機酸化物との高い密着性を発現し、目的の物性を得ることができるものである。よって上記シランカップリング剤を金属アルコキシドとともに加水分解反応させたものを用いても構わない。また上記シランカップリング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等になっていても何ら問題はなく、これらのアルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基を形成するものであればこの複合物に用いることができる。
またポリオールとは、高分子中に二つ以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物中のイソシアネート基と反応させるものである。中でもアクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるポリオールもしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られるポリオールであるアクリルポリオールが特に好ましい。中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシルブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオール等が好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
ポリオールとシランカップリング剤の配合比は、重量比換算で1/1〜1000/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2/1〜100/1の範囲にあることである。溶解および希釈溶剤としては、溶解および希釈可能であれば特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル・酢酸ブチル等のエステル類、メタノール・エタノール・イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン・キシレン等の芳香族炭化水素類等が単独及び任意に配合したものが用いることができる。しかし、シランカップリング剤を加水分解するために塩酸等の水溶液を用いることがあるため、共溶媒としてイソプロピルアルコール等と極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を用いることが好ましい。
またシランカップリング剤とポリオールの配合時に反応を促進させるために反応触媒を添加しても一向に構わない。添加される触媒としては、反応性及び重合安定性の点から塩化錫(SnCl、SnCl)、オキシ塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)Cl)、錫アクコキシド等の錫化合物であることが好ましい。添加量は、少なすぎても多すぎても触媒効果が得られないため、例えば3官能オルガノシランに対してモル比換算で1/10〜1/10000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは1/100〜1/2000の範囲にあることである。
混入するイソシアネート化合物は、ポリオールと反応してできるウレタン結合により基材や無機酸化物層との間の密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成するためにイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)などのモノマー類と、これらの重合体や誘導体等が用いられ、これらが1種または2種以上用いることができる。
ポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工上問題がある。そこでポリオールとインソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基がポリオール由来のOH基の50倍以下であることが好ましく、特に好ましいのはNCO基とOH基が当量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
更に上記混合物の調液時に液安定性を向上させるために、金属アルコキシド或いはその加水分解物を添加しても一向に構わない。この金属アルコキシドとは、テトラエトキシシラン(Si(OC)、トリプロポキシアルミニウム(Al(OC)など一般式M(OR)(M:金属元素(Si、Al、Ti、Zrあるいはそれらの混合物であることが好ましい)、R:CH、Cなどの一般式C2n+1で表わされるアルキル基)で表せるもの或いはその加水分解物である。なかでもテトラエトキシシランのようなシランアルコキシドやトリプロポキシアルミニウム或いは両者の混合物が、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。この金属アルコキシドの加水分解物を得る方法は、シランカップリング剤とともに加水分解を行っても構わないし、単独に酸等を添加して行ったのち添加しても構わない。
複合物の被膜層は、このようなシランカップリング剤を直接或いはあらかじめ加水分解反応させたものまたは金属アルコキシドとともに加水分解したもの(このときに上述した反応触媒等を一緒に添加しても一向に構わない)を、ポリオールやイソシアネート化合物と混合して複合溶液を作製するか、またシランカップリング剤、ポリオールを溶媒中にあらかじめ混合しておき(この時上述した反応触媒、金属アルコキシドを一緒に添加しても一向に構わない)加水分解反応を行ったもの、更にはシランカップリング剤とポリオールを混合しただけのもの(この時上述した反応触媒、金属アルコキシドを一緒に添加しても一向に構わない)の中に、イソシアネート化合物を加え複合液を作製し基材1にコーティングして形成する。
この複合溶液中に各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を添加する事も一向に構わない。
透明プライマー層2の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.001〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.001μmより薄いと均一な塗膜が得られにくく密着性が低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は厚いために塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。特に好ましいのは0.03〜0.5μmの範囲内にあることである。
プライマー層2の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件で構わない。また、反応を促進させるために、高温のエージング室等に数日放置することででも可能である。
無機蒸着層3は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物からなる蒸着皮膜が挙げられる。
無機蒸着層3の厚さは、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあることである。
酸化アルミニウムからなる無機蒸着層をプラスチック基材上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。
次いで複合被膜層4を説明する。複合被膜層はガスバリア性を持った被膜層であり、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物および/またはその重合物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合したものを溶液とする。この溶液を無機蒸着層上にコーティング後、加熱乾燥し形成される。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等用いることができ、これ以外のものを用いても一向に構わない。
また金属アルコキシドは、一般式、M(OR)(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH,C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシランのような金属アルコキシド、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
なお、金属アルコキシドと水溶性高分子の混合からなる複合皮膜層は、水素結合からなるため、水に膨潤し溶解する恐れがある。これを防ぐために、金属アルコキシドにシランカップリング剤を添加することが好ましい。
水溶性高分子化合物と、金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物および/またはその重合物との割合は、重量比として、前者1に対し、後者1〜2が好ましい。
この溶液中にガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
複合被膜層4の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件異なり特に限定しない。但し乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られなく十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
次いで無機フィラー含有層5を説明する。無機フィラー含有層5は、無機フィラーを包含しながら造膜するために適当な配合のコーティング剤を用いて形成される。例えば、無機フィラーをウレタンなどからなる樹脂成分と混練し、塗工に適した粘度を持たせるために有機溶剤と混合する。この溶液を無機酸化物からなる無機蒸着層上にコーティング後、加熱乾燥し形成される。コーティング剤に含まれる無機フィラー成分について更に詳細に説明する。
本発明で用いられる無機フィラーは、酸化チタン,水酸化カルシウム,炭酸カルシウム,硫酸バリウムなどである。塗工溶液に良く分散するように、微粉末化される。無機フィラーの無機フィラー含有層中に占める体積%は、5〜60%が好ましく、10〜25%がより好ましい。フィラー濃度が、5%未満であると、レトルトインパクトを緩衝する効果が不十分であり、60%超では、均一な分散が出来ず、またフィラーにより塗膜自身が着色されてしまう。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
無機フィラー含有層5の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件異なり特に限定しない。但し乾燥後の厚さが、0.01μm未満の場合は、均一な塗膜が得られなく十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
以下に本発明の実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<複合溶液の調整>
A)希釈溶媒中、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメチルシラン(以下EETMSと略す)とアクリルポリオールをEETMSに対し、5.0倍量(重量比)量りとり混合し、さらに触媒として塩化錫(SnCl)/メタノール溶液(0.003mol/gに調液したもの)をEETMSに対し1/135molになるように添加し攪拌する。ついでイソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート(以下TDIと略す)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた混合溶液を任意の濃度に希釈したものを複合溶液Aとする。
基材として厚さ12μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムの片面に、透明プライマー層として複合溶液Aをグラビアコート法により厚さ0.2μm形成した。次いで、透明プライマー層上に抵抗加熱方式による真空蒸着装置により、シリカを蒸発させ厚さ20nmの無機酸化物からなる無機蒸着層を形成した。更にその上に下記組成の被覆液をバーコーターで塗布し乾燥機で120℃、1分間乾燥させ厚さ0.3μmの複合被膜層を形成し、さらにその複合皮膜層上に、下記に示す(3)液を作成し、グラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ1μmの無機フィラー含有層を形成し、本発明のガスバリアフィルムを得た。
(3)液:ウレタン樹脂と硫酸バリウムを混練し、有機溶剤(イソプロピルアルコール:メチルエチルケトン:トルエン=1:3:2)にて希釈した溶液。無機フィラー含有層中に硫酸バリウムが20体積%となるようにした。
また、複合被膜層用の被覆液の調整法は、テトラエトキシシラン10gに塩酸(0.1N)89gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO換算)の加水分解溶液と、ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール=90:10 重量比)59gを混合することにより、被覆液を得た。
<実施例2>
無機フィラー含有層中に硫酸バリウムが10体積%となるようにしたとしたこと以外は、実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作製した。
<比較例1>
無機フィラー含有層を塗布しないこと以外は、実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作製した。
更にニ液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートにより、ポリフッ化ビニル(PVF)フィルム(25μm)/上記ガスバリアフィルム/PVFフィルム(25μm)の3層積層サンプルを作成した。
<評価1>
上記積層サンプルの過酷環境試験として、プレッシャークッカーテスト(PCT)(高温高圧による過酷環境試験)を105℃ 92時間保持条件にて実施した。この処理後の酸素透過度を、モダンコントロール社製(MOCON OXTRAN 10/50A)を用いて、30℃−70%RH雰囲気下で測定した。
結果を表1に示す。
<評価2>
PCT後のラミネート強度
上記PCT後の積層サンプルのガスバリアフィルム/PVFフィルム間のラミネート強度を、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いて測定した(JIS Z1707準拠)。但し、測定の際に測定部位を水で湿潤させながら行った。結果を表1に示す。
Figure 0005092421
本発明のガスバリアフィルムは、環境変化による圧縮/膨張応力によっても性能が劣化しないので、産業資材分野等に有利に用いられる。
本発明のガスバリアフィルムの一実施形態を説明する断面図である。
符号の説明
1 プラスチック基材
2 透明プライマー層
3 無機蒸着層
4 複合被膜層
5 無機フィラー含有層(応力緩和層)

Claims (8)

  1. ポリエチレンナフタレートフィルムの少なくとも一方の面に、透明プライマー層と、厚さ5〜300nmの無機蒸着層と、無機フィラーと樹脂成分とからなり前記無機フィラーを5〜60体積%含む無機フィラー含有層とを順次積層してなり、
    前記透明プライマー層が、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメチルシランと、アクリルポリオールと、トリレンジイソシアネートとの複合物からなる
    ことを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. 前記無機フィラーが、酸化チタン、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのいずれかであり、前記樹脂成分がウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記複合物中に、一般式M(OR)(M:金属元素、R:アルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物を添加することを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物中の金属がSi、Al、Ti、Zrあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項3に記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記透明プライマー層の厚さが、0.001〜2μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  6. 前記無機蒸着層と前記無機フィラー含有層の間に、水溶性高分子化合物と、金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物および/またはその重合物の少なくとも1種類以上とを成分に持つ複合被膜層を積層することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  7. 前記水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコール、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を含むことを特徴とする請求項6に記載のガスバリアフィルム。
  8. 前記金属アルコキシドが、シランアルコキシドであることを特徴とする請求項6に記載のガスバリアフィルム。
JP2007014850A 2007-01-25 2007-01-25 ガスバリアフィルム Expired - Fee Related JP5092421B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007014850A JP5092421B2 (ja) 2007-01-25 2007-01-25 ガスバリアフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007014850A JP5092421B2 (ja) 2007-01-25 2007-01-25 ガスバリアフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008179077A JP2008179077A (ja) 2008-08-07
JP5092421B2 true JP5092421B2 (ja) 2012-12-05

Family

ID=39723345

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007014850A Expired - Fee Related JP5092421B2 (ja) 2007-01-25 2007-01-25 ガスバリアフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5092421B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102596569B (zh) * 2009-10-02 2015-06-10 东洋制罐株式会社 阻气性层压体及其生产方法
JP5870190B2 (ja) * 2012-07-10 2016-02-24 日本曹達株式会社 自己組織化膜を有する薄膜積層体
JPWO2016006212A1 (ja) * 2014-07-11 2017-05-25 日本曹達株式会社 積層体
US10325700B1 (en) 2017-12-07 2019-06-18 Abb Schweiz Ag Condenser bushing, transformer and method for producing a condenser bushing

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3971641B2 (ja) * 2002-04-18 2007-09-05 大日本印刷株式会社 バリアフィルムとこれを用いた積層材、包装用容器、画像表示媒体およびバリアフィルムの製造方法
JP3971638B2 (ja) * 2002-04-18 2007-09-05 大日本印刷株式会社 バリアフィルムの製造方法
JP3971639B2 (ja) * 2002-04-18 2007-09-05 大日本印刷株式会社 バリアフィルムとこれを用いた積層材、包装用容器、画像表示媒体およびバリアフィルムの製造方法
JP3971640B2 (ja) * 2002-04-18 2007-09-05 大日本印刷株式会社 バリアフィルムの製造方法
JP2003320608A (ja) * 2002-05-09 2003-11-11 Toppan Printing Co Ltd ガスバリアフィルム積層体
JP2004106443A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Toppan Printing Co Ltd レトルト性を有するガスバリアフィルム積層体
JP4028339B2 (ja) * 2002-09-30 2007-12-26 大日本印刷株式会社 ガスバリア膜付き積層体の形成方法
JP4028353B2 (ja) * 2002-10-25 2007-12-26 大日本印刷株式会社 ガスバリア膜付き積層体の形成方法
JP4261902B2 (ja) * 2002-12-26 2009-05-13 大日本印刷株式会社 バリアフィルムとこれを用いた積層材、包装用容器、画像表示媒体およびバリアフィルムの製造方法
JP4734897B2 (ja) * 2004-11-16 2011-07-27 凸版印刷株式会社 レトルト用積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008179077A (ja) 2008-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008001111A (ja) 積層体
JP2009049252A (ja) 太陽電池用部材
JP5311004B2 (ja) 透明ガスバリアフィルム、透明包装材料
KR100547296B1 (ko) 증착 필름 및 포장 재료
JP4205806B2 (ja) ボイル殺菌、レトルト殺菌用蒸着フィルムおよびこの蒸着フィルムを用いた包装材料
JP5092421B2 (ja) ガスバリアフィルム
JP2000254994A (ja) 蒸着フィルム積層包装材料
JP4816945B2 (ja) 積層フィルムの製造方法
JP5103808B2 (ja) 積層体
JP4626348B2 (ja) 加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体
JP2009154449A (ja) バリア性フィルム
JP5092480B2 (ja) ガスバリア積層体
JP2005074731A (ja) 高ガスバリア性を有する透明積層体
JP4654662B2 (ja) 加熱処理耐性を有するガスバリア性フィルム積層体を用いた包装体
JP4474750B2 (ja) ガスバリア性透明積層体
JP2010179506A (ja) 積層フィルム
JP2000218726A (ja) 強密着透明積層体
JP4225032B2 (ja) 加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体
JP2006192901A (ja) ボイル殺菌、レトルト殺菌用並びに水分を含む内容物を収容する包装容器用蒸着フィルムおよびこの蒸着フィルムを用いた包装材料
JP3736130B2 (ja) 強密着ガスバリア透明積層体およびそれを用いた包装体
JP2014076609A (ja) ガスバリア積層フィルム
JP2008213866A (ja) 高防湿性を有する包装袋
JP2010018302A (ja) 透明ガスバリアフィルム、透明包装材料
JP2004314564A (ja) 高ガスバリア性を有する透明積層体
JP3738618B2 (ja) 蒸着フィルム及びこの蒸着フィルムを用いた包装材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5092421

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees