JP5087601B2 - デュアルモードのガス電界イオン源 - Google Patents

デュアルモードのガス電界イオン源 Download PDF

Info

Publication number
JP5087601B2
JP5087601B2 JP2009253386A JP2009253386A JP5087601B2 JP 5087601 B2 JP5087601 B2 JP 5087601B2 JP 2009253386 A JP2009253386 A JP 2009253386A JP 2009253386 A JP2009253386 A JP 2009253386A JP 5087601 B2 JP5087601 B2 JP 5087601B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
ion beam
emitter
emitter tip
beam device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009253386A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010114082A (ja
JP2010114082A5 (ja
Inventor
フロシエン ユルゲン
ヴィンクラー ディーテター
Original Assignee
アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from EP08168304.7A external-priority patent/EP2182542B1/en
Priority claimed from US12/264,859 external-priority patent/US8026492B2/en
Application filed by アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー filed Critical アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
Publication of JP2010114082A publication Critical patent/JP2010114082A/ja
Publication of JP2010114082A5 publication Critical patent/JP2010114082A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5087601B2 publication Critical patent/JP5087601B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electron Sources, Ion Sources (AREA)

Description

[0001]本発明は、荷電粒子ビーム装置および荷電粒子ビーム装置を動作させる方法に関する。詳しくは、本発明は、特に試料の画像化、検査、および構造化のためのガス電界イオン源を有している集束イオンビーム装置に関する。さらに、本発明は、デュアルモード動作のためのガス電界イオン源カラム、ならびに種々の動作モードを有するガス電界イオン源を動作させる方法に関する。さらに具体的には、本発明は、集束イオンビーム装置および集束イオンビーム装置を動作させる方法に関する。
[0002]マイクロエレクトロニクス、マイクロメカニクス、および、バイオテクノロジなどの技術が、ナノメートルスケールでの試料の構造化および調査について、大きな需要を生み出している。マイクロメートルおよびナノメートルスケールのプロセス制御、検査、または構造化は、荷電粒子ビームによって行われることが多い。調査または構造化が、荷電粒子ビーム装置において生成および集中させられる荷電粒子ビームによって行われることが多い。荷電粒子ビーム装置の例は、電子顕微鏡、電子ビームパターン生成器、イオン顕微鏡、ならびにイオンビームパターン生成器である。荷電粒子ビーム、特にイオンビームは、同等の粒子エネルギにおいて波長がより短いため、光子ビームに比べてより優れた空間分解能を提供する。
[0003]半導体装置などの製造においては、通常は、複数の観察工程および標本改質工程が実行される。一般的なシステムは、試料の観察、画像化、試験、または検査のための電子ビームカラムと、試料のパターニングまたは材料の改質のためのイオンビームカラムとを備える。これらの「デュアルビーム」システムは、高度に複雑であり、したがって高価である。
[0004]以上に照らし、本発明は、独立請求項1に記載の集束イオンビーム装置、独立請求項10に記載の集束イオンビーム装置を動作させる方法、独立請求項15に記載の集束イオンビーム装置を動作させる方法、および独立請求項17に記載の集束イオンビーム装置を提供する。
[0005]一実施形態によれば、集束イオンビーム装置が提供される。この集束イオンビーム装置は、イオンを生成するためのエミッタチップおよびエミッタ領域を有するガス電界イオン源エミッタを収容するように構成されたイオンビームカラムと、上記エミッタチップを加熱するように構成された加熱手段と、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスを上記エミッタ領域へと導入するように構成された1つ以上のガス導入口と、上記第1のガスのイオンのイオンビームまたは上記少なくとも1つの第2のガスのイオンのイオンビームを生成するために、第1のエミッタチップ温度と少なくとも第2のエミッタチップ温度との間の切り替えを行うように構成されたコントローラと、を備える。
[0006]別の実施形態によれば、集束イオンビーム装置を動作させる方法が提供される。この方法は、イオンが生成されるエミッタ領域にエミッタチップを有しているエミッタに、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスのうちの少なくとも1つのガスのイオンビームを放射するための引き出し電圧を供給するための電位をバイアスするステップと、第1のエミッタチップ温度へと加熱を行い、上記第1のガスのイオンビームを放射するステップと、少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度へと加熱を行い、上記少なくとも1つの第2のガスの少なくとも1つのイオンビームを放射するステップと、を含んでいる。
[0007]さらなる実施形態によれば、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスのイオンを生成するためのエミッタチップおよびエミッタ領域を有するエミッタを収容しているイオンビームカラムと、第1のエミッタチップ温度と少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度との間で切り替えを行うための手段と、を備えており、上記第1のガスが、水素およびヘリウムで構成されるグループから選択され、上記少なくとも1つの第2のガスが、10g/mol以上の原子量を有している集束イオンビーム装置が提供される。
[0008]またさらなる実施形態によれば、集束イオンビーム装置を動作させる方法であって、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの少なくとも2つの異なるイオンビームが、上記ガスのうちの少なくとも1つのイオン化をそれぞれもたらす少なくとも2つの異なるエミッタチップ温度の間で切り替えを行うことによって、連続的に生成される方法が提供される。
[0009]本明細書に記載の実施形態と組み合わせることができるさらなる利点、特徴、態様、および詳細は、従属請求項、明細書、および図面から、明らかである。
[0010]いくつかの実施形態は、本明細書に開示の方法を実行するための装置であって、本明細書に記載の方法の各ステップを実行するための装置部分を備える装置にも関する。これらの方法の各ステップは、ハードウェア部品、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータ、これら2者の任意の組み合わせ、または他の任意のやり方で、実行することが可能である。さらに、本発明による実施形態は、本明細書に記載の装置を動作させる方法にも関する。装置の各機能を実行するための方法の各ステップも、包含される。
本明細書に記載の実施形態による第1のガス導入口、第2のガス導入口、およびヒータを有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 本明細書に記載の実施形態による第1のガス導入口、第2のガス導入口、およびヒータを有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 ガス電界イオン源のエミッタチップの概略図、および本明細書に記載の実施形態によるエミッタチップの動作原理を示している。 本明細書に記載の実施形態による第1のガス導入口および第2のガス導入口を有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 本明細書に記載の実施形態による第1のガス導入口、第2のガス導入口、および共通のガス導入口を有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 ガス電界イオン源のエミッタチップの概略図、および本明細書に記載の実施形態よる第1の動作モードにおけるエミッタチップの動作原理を示している。 ガス電界イオン源のエミッタチップの概略図、および本明細書に記載の実施形態よる第2の動作モードにおけるエミッタチップの動作原理を示している。 本明細書に記載の実施形態による第1のガス導入口、第2のガス導入口、および第3のガス導入口を有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 本明細書に記載の実施形態によるガス導入口およびバルブを有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 本明細書に記載の実施形態によるガス導入口およびバルブを有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 本明細書に記載の実施形態によるガス導入口、バルブ、および真空容器を有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。 本明細書に記載の実施形態によるガス導入口、バルブ、および真空容器を有する集束イオンビーム装置の形態の荷電粒子ビーム装置の各部の概略図を示している。
[0011]本発明の上述の特徴を詳しく理解できるようなやり方で、上記のとおり簡単に概説した本発明を、実施形態を参照することによってさらに詳しく説明することができる。添付の図面が、本発明の実施形態に関係しており、以下のとおり説明される。
[0012]次に、本発明のさまざまな実施形態(その1つ以上の実施例が、図に示されている)を詳しく参照する。各々の実施形態は、本発明を説明する目的で提示され、本発明を限定する意図はない。例えば、或る実施形態の一部として図示および説明される特徴を、別の実施形態において用い、あるいは別の実施形態とともに用いて、またさらなる実施形態をもたらすことが可能である。本発明は、そのような変形および変種も包含する。
[0013]本出願の保護の範囲を限定するものではないが、以下では、荷電粒子ビーム装置またはその構成要素を、例として、二次電子の検出を含む荷電粒子ビーム装置として説明する。それでもなお、本発明を、試料の画像を得るために電子またはイオン、光子、X線、あるいは他の信号の形態の二次および/または後方散乱の荷電粒子などの微粒子を検出する装置および構成要素に適用可能である。
[0014]一般に、微粒子といえば、微粒子が光子であれば、光信号と理解され、微粒子がイオン、原子、電子、または他の粒子であれば、粒子と理解される。
[0015]以下の図面の説明において、同じ参照番号は、同じ構成要素を指し示している。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみを、説明する。
[0016]本明細書に言う「試料」として、これらに限られるわけではないが、半導体ウエハ、半導体被加工物、ならびにメモリディスクなどの他の被加工物が挙げられる。本発明の実施形態を、材料の堆積が行われ、あるいは構造化が施される任意の被加工物へと適用することができる。試料が、構造化対象の表面または層の堆積が行われる表面と、エッジと、典型的には面取り部とを備える。
[0017]本明細書に記載の実施形態によれば、高分解能の画像化および標本の改質を可能にする単一カラムの荷電粒子ビーム装置が提供される。したがって、簡素化された単一カラム動作を提供することが可能である。さらに、1つのカラムを省略できるという事実に照らし、コストの削減が達成可能である。
[0018]一般に、集束イオンビーム装置は、例えば、液体金属イオン源またはガスイオン源にもとづくことができる。ガスイオン源におけるイオンは、電子、原子、またはイオンを気体の原子または分子に衝突させることによって生成でき、あるいは気体の原子または分子を強い電界または照射に曝すことによって生成できる。したがって、希ガスイオン源が、集束イオンビームFIB用途のための潜在的な候補であることが見出されている。電界イオン化プロセスにもとづくイオン源は、ガス電界イオン源(GFIS)として知られている。イオン化プロセスが、それぞれ1010V/mよりも大きい高い電界または引き出し電圧で行われる。例えば、電界を、例えば一実施例ではエミッタチップが設けられる筐体を備えることができるガンチャンバに設けられるエミッタチップとバイアスされた引き出し開口との間に印加することができる。
[0019]エミッタチップが、下流の引き出し開口に対して正電位にバイアスされることで、エミッタユニットの先端の付近において、気体原子をイオン化するために充分な強い電界が生成される。所望の電界がもたらされる、あるいは、より一般的には、イオンの生成が行われるエミッタの付近の領域を、エミッタ領域と呼ぶことができる。10−6mbar〜10−2mbarのガス圧が、エミッタユニットの先端の付近において望ましい。これにより、さらに詳しく後述されるように、一方ではエミッタ領域に充分な量の気体原子または気体分子を供給し、他方では放射されたイオンがガンチャンバ内に供給された気体分子によって妨げられることがないように、ガス勾配が、典型的に使用される。
[0020]図1Aおよび1Bが、第1のガス導入口110および第2のガス導入口112を示している。本明細書に記載される実施形態によれば、種々の動作モードを提供することができる。或る動作モードによれば、水素またはヘリウムなどの軽いガス、例えば、原子量が10g/mol未満のガスが、第1および第2のガス導入口の一方を通ってチャンバ/筐体14へと導入され、イオン化された軽いガスのイオンビームを生成することができる。軽いガスのイオンを、試料を傷めることなく観察または画像化するために使用することができる。
[0021]別の動作モードによれば、より重いガス、例えば、アルゴン、ネオン、キセノン、またはクリプトンなどである別のガスが、第1または第2のガス導入口110または112の一方を通ってチャンバ/筐体14へと導入される。ガンチャンバ、すなわち、筐体14内で生成されるイオン化された重いガスのイオンビームは、スパッタリング材料のための標準的な集束イオンビームカラムのイオンビームに類似している。したがって、この重いガスのビームを、材料を改質し、あるいは試料に切断または溝を生成し、あるいは深さ情報を取得するために、使用することができる。
[0022]本明細書に記載のされる実施形態において、エミッタチップ13を備えるエミッタ12が設けられる筐体14は、イオンビームカラムの一部であってもよい。あるいは、イオンビームカラムに含まれる別個のチャンバでもよい。さらに、筐体14が、エミッタ領域に相当することができる。さらには、イオンビームカラム自体が、エミッタが位置し、かつガスが導入される筐体を提供することが可能である。
[0023]軽いガスのイオンは、標本材料をスパッタすることがなく、画像化、試験、観察、などのため使用することが可能である。したがって、軽いガスのイオンは、電子ビームに比べてイオンビームの波長が短いため、電子ビームよりもさらに良好な分解能を有することができる。
[0024]一般的に、図1Aおよび1Bに示されているとおり、集束イオンビーム装置100は、以下のとおりに概略的に説明される。バイアスされたガス電界イオン源エミッタチップ13を備える筐体14が用意される。さらに、第1の(軽い)ガスの導入口110および第2の(重い)ガスの導入口112が設けられる。これにより、第1のガスおよび第2のガスが、エミッタチップ13に向かって、エミッタの近傍のエミッタ領域へと、筐体14に供給される。エミッタチップの近傍に、所望の励起条件が用意される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる種々の実施形態によれば、2つのガス導入口を、2つのノズル、ガスチャネル、または他のガス導入手段の形態で設けることが可能である。他の実施形態によれば、2つのガス導入口は、共通のノズル、ガスチャネル、または他のガス導入手段の形で2つのガスを供給する。
[0025]図1Aおよび1Bに示されているように、ガス排出口120が設けられている。ガス排出口120を、真空ポンプ、さらなる真空チャンバ、または筐体14の排気および/または圧力の制御を支援する他の手段へと接続することができる。これにより、イオンビームの生成のためのプロセスパラメータを制御することができる。
[0026]典型的には、ガンチャンバにガス圧力勾配を与えることができる。これにより、ガス圧力が、エミッタおよびエミッタチップの近傍でより高く、引き出し電極に向かって低下する。これにより、充分な量のガスをエミッタチップへと供給でき、かつイオン放射を妨げかねないガスの量は少なくなる。本明細書に記載の任意の実施形態と組み合わせることができる種々の実施例によれば、ガス圧力勾配は1e−5mbar〜5e−3mbarに達することができ、典型的には1e−4mbar〜1e−3mbarに達することができる。引き出し器の背後において、ガスの圧力はさらに低下する。
[0027]図1Aおよび1Bに示されているように、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、コントローラ130を設けることができる。コントローラ130は、筐体14への軽いガスの供給および筐体14への重いガスの供給を制御する。さらに、別個のガス排出口120を備える実施形態においては、コントローラが、ガス排出口、真空システム、真空ポンプ、またはこれらに対応するバルブを制御することができる。さらなる実施形態によれば、コントローラ111、113、および121を設けることができる。これらのコントローラは、個々の導入口、排出口、バルブ、ポンプ、などのためのコントローラである。破線によって示されているように、これらのコントローラは、コントローラ130が構成要素を直接的に制御できる場合には、余分であるため省略可能である。
[0028]イオンビームは、レンズ20によって試料24へと集束させられる。一実施形態によれば、レンズ20は、静電レンズである。用途に応じて、レンズ、偏向器、ウィーンフィルタ、集光器、アライメントユニット、コリメータ、加速または減速ユニット、開口、などといった1つ以上の光学要素を、集束イオンビーム装置に付加的に配置することができる。
[0029]一般に、イオンビームは、試料24上でイオンビームをラスタ走査し、あるいは試料の位置にイオンビームを位置させるために、走査偏向器26で偏向させられる。二次および/または後方散乱粒子、例えば、二次および/または二次電子は、特に集束イオンビーム装置が観察モードで運転される場合に、検出器22によって検出される。
[0030]さらなる実施形態によれば、図1Aおよび1Bに示されているように、コントローラ140を設けることができる。コントローラ140は、走査偏向器26および検出器22を制御する。集束イオンビーム装置100の観察モードの際に、装置は、走査電子顕微鏡と同様に動作する。数ナノメートル以下(例えば、1nm以下)の直径を有するイオンビームが、試料24上を走査され、例えば試料24上を或るパターンでラスタ走査され、ベクター走査され、あるいはインターレース走査される。二次および/または後方散乱の電子または他の微粒子を、検出器で検出することができる。時間分解信号が生成され、コントローラ140により、所与の時点での信号を対応する偏向値に相関させることができる。これにより、試料24上の位置に関して信号を相関させることによって、ラスタパターンを画像へと組み立てることができる。
[0031]デュアルモードのガスイオンカラムを、一方では、異なるガス、すなわち、例えば軽いガスおよび重いガスを筐体14に供給し、動作モード毎に異なるガスを供給して2つの動作モードの間の切り替えを行うことによって、もたらすことが可能である。個々の実施例の詳細と個別に組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態によれば、異なるガスの供給の間の切り替えを行うことによって異なるガス種を供給する代わりに、ガス電界イオン銃が、必要とされるガスの混合物を含んでもよい。実施形態の実施例によれば、種々のイオン種の選択を、異なるチップ温度にもとづいて行うことが可能である。さらには、実施形態のいくつかの実施例によれば、種々のイオン種の選択を、異なるイオン化エネルギにもとづいて実行することも可能である。
[0032]以上に照らし、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、加熱手段として、エミッタチップ13を加熱するためのヒータ15が設けられる。
[0033]図1Aに示されているように、ヒータ15を、加熱のためにエミッタチップ13へと接続することができる。本明細書に開示される任意の他の実施例または実施形態と組み合わせることができる実施形態の一実施例においては、エミッタチップ13は、フィラメントおよびフィラメント基部を備える支持部のフィラメントに設けられる。この場合、ヒータ15は、エミッタチップ、フィラメント、およびフィラメント基部で構成されるグループから選択される少なくとも1つの要素を加熱するように構成することができる。例えば、ヒータ15は、抵抗ヒータであってもよい。一実施例においては、ヒータ15は、フィラメントの一端へ接続されている1つのポートとフィラメントの他端へ接続されている第2のポートとを有する、例えば約10Vの加熱電流源を備えることができる。別の実施例では、ヒータ15を、フィラメント基部へと接続することができ、フィラメント基部およびフィラメントを介してエミッタチップを加熱することができる。結果として、エミッタチップ支持部の前部、すなわちエミッタチップに隣接する部分が加熱され、エミッタチップを加熱する一方で、エミッタチップ支持部の後部、すなわち前部と冷却ユニット(図示せず)との間の部分について、冷却が続けられる。冷却ユニットについては、後述される。
[0034]本明細書に開示される任意の他の実施例または実施形態と組み合わせることができる実施形態の別の実施例においては、ヒータ15は、エミッタチップに隣接して配置される。この場合、ヒータ15を、エミッタチップに接続しなくてもよい。例えば、ヒータ15を、図1Bに示されるとおり、例えば筐体14内で、エミッタチップに隣接するエミッタチップ領域に配置することができる。そのような場合、ヒータ15は、例えば、電磁ヒータ、誘導ヒータ、放射ヒータ、IRヒータ、電子源等の粒子源、およびレーザで構成されるグループから選択される少なくとも1つの要素であってもよい。結果として、エミッタチップを、エミッタチップ支持部の前部および/または後部の冷却を続けつつ、加熱することができる。
[0035]したがって、本明細書に記載の実施形態によれば、エミッタチップの冷却の動作とエミッタチップの加熱の動作との間の速やかな切り換えを、達成することが可能である。
[0036]さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態によれば、エミッタチップ13と電極18との間に引き出し電圧を供給するために、調節可能な電源72が用意される。引き出し電圧を、さらに詳しく後述されるように、コントローラ172によって制御することができる。さらに、コントローラは、随意により、ガスの分圧を制御するためにコントローラ130を制御してもよい。
[0037]図2は、エミッタチップ13および引き出し電極18を示している。エミッタチップと引き出し電極との間に、高電界を生成するための電圧源72が設けられている。典型的には、エミッタチップ13は、シャンク210およびチップ212を含み、一実施例では、スーパーチップを含むことができる。種々の実施形態によれば、シャンク210に設けられるチップ212は、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の原子を含むチップであってもよい。ガス電界イオン源のイオン生成の動作原理が、1つの種に関して説明される。図2に示されているように、例えばヘリウム原子52が供給され、ヘリウムイオン53を生成すべくイオン化させられる。
[0038]エミッタチップ13は、典型的には、冷却ユニット(図示せず)と連絡することができる。本明細書に記載の任意の実施形態と組み合わせることができる種々の実施形態によれば、冷却ユニットは、以下のシステムのうちのいずれかを含むことができる。すなわち、冷却ユニットは、極低温冷却器、EG、開放または閉鎖サイクル冷却器、開放または閉鎖サイクルヘリウム冷却器、開放または閉鎖サイクルニトロスズ冷却器、またはこれらの組み合わせ、あるいは他の冷却器であってもよい。特定の実施例は、パルス管冷却器またはGM冷却器(ギフォード・マクマホン冷却器)であってもよい。
[0039]ヘリウムガスが図2の上方から下方へ向かう方向に沿ってエミッタチップへと供給される場合、ヘリウム原子52は、エミッタ13のシャンク210において凝縮する。したがって、典型的には、ヘリウム原子の凝縮のために充分に大きな表面を提供するシャンク210を有することが望ましい。表面は、典型的には0.2μm〜5μmの範囲にあってもよい。
[0040]矢印62によって示されるように、原子がチップ212に向かって拡散する。すなわち、チップ212に対するシャンク210のヘリウム濃度の相違に起因する拡散にもとづく運動、および電界に起因するドリフトにもとづく運動が、チップ212へと向かうヘリウム原子52の移動をもたらすことができる。例として、ヘリウムは、典型的には、イオン化のために約44V/nmの電界を必要とする。エミッタチップ13と引き出し電極18との間の電圧が、チップ212における電界が少なくともイオン化すべき種のイオン化エネルギをもたらすように選択される。したがって、チップにおける電界が、チップの寸法が小さいがゆえに、エミッタの他のいかなる地点より高いことを考慮すべきである。したがって、ヘリウム原子52は、チップ212においてイオン化され、ヘリウムイオン53として放射される。
[0041]図3Aおよび3Bは、それぞれ集束イオンビームカラム300aおよび300bの一部分のさらなる実施形態を示している。ここで、ガンチャンバ17は、カラム16の上部に設けられている。エミッタ12が、エミッタホルダ10に取り付けられている。冷却ユニット30は、エミッタホルダ10を介した冷却ユニット30とエミッタチップ13との間の熱伝導を有するように設けられている。引き出し電極18は、エミッタチップ13と引き出し電極との間の電圧のために設けられている。エミッタから引き出し電極までの接続は、種々の電圧を供給することができる電圧源72を介して接続されている。さらに、図3Aに示されているように、第1のガス導入口110および第2のガス導入口112は、それぞれ第1のガスおよび第2のガスを、ガス混合物がエミッタへともたらされるように筐体へと供給する。本明細書に記載されるいくつかの実施形態によれば、エミッタチップ13を含むエミッタ12を、筐体14内に設けることができ、筐体14を、エミッタチップのシャンクに充分に大きい凝縮表面を与えるために、ガスが上方から下方にエミッタ13へと供給されるように形作ることができる。排気および/または筐体14内の圧力の制御のために、ガス排出口120が備えられることが可能である。エミッタチップ13の付近で生成されたイオンは、引き出し電極に向かって加速され、光アクセス102に沿って案内される。
[0042]図3Bに示されているように、いくつかの実施形態によれば、第1のガス導入口および第2のガス導入口は、ガス混合物をエミッタ領域へと供給する共通のガス導入口310へとガスを供給することが可能である。本明細書に記載の実施形態によれば、2つの別個のガス導入口を有すること、それぞれのガスを共通のガス導入口へと送る2つの別個のガス導入口を有すること、またはガス混合物をただ1つのガス導入口を介して供給すること、のいずれかによって、ガス混合物をエミッタチップの近傍へと供給することができる。
[0043]またさらなる実施形態によれば、3つ以上のガス、すなわち3つ以上のガス導入口を、ガスを共通のガス導入口へと送るために設けることができる。さらに、3つ以上のガス、例えば、3つまたは4つのガスの混合物を、エミッタ領域へと直接的に送ることが可能である。
[0044]本明細書に記載される実施形態に従って提供されるデュアルモードまたはマルチモードの動作を、図4および図5に関してよりよく理解することができる。一実施例として、軽い(第1の)ガスとしてのヘリウム、および第2の(重い)ガスとしてのアルゴンが言及される。他の実施形態によれば、本明細書に記載の任意のガスの組み合わせを使用できることを、理解すべきである。
[0045]上述のように、実施形態のいくつかの実施例によれば、種々のイオン種の選択を、異なるイオン化エネルギにもとづいて行うことが可能である。したがって、ガスの間の切り替えの1つの可能性は、エミッタチップ13の引き出し電圧を切り換えることである。
[0046]図4において、電圧が、電圧源72によってエミッタ13と引き出し電極18との間に供給される。電圧源を、コントローラ172によって制御することができる。いくつかの実施形態によれば、コントローラ172は、第1および第2のガス導入口の供給のためのコントローラ130(図4には示されていない)と通信可能である。エミッタは、シャンク210およびチップ212を備える。図4に示した実施例においては、異なる形状で示されているヘリウム原子52およびアルゴン原子54の混合物が、エミッタチップ13のシャンク210に凝縮または堆積できるように供給されている。典型的には、ヘリウムが、イオン化のために約44V/nmの電界を必要とする一方で、アルゴンは、イオン化のために約22V/nmの電界を必要とする。例えば、ヘリウムイオン53のヘリウムイオンビームを形成すべきである場合、電圧源72は、チップの表面の少なくとも一部分に約44V/nmまたはそれよりもわずかに高い電界をもたらすような引き出し電圧を、チップ212の位置に加えるように調節される。図4に示されているように、ヘリウム原子52は、シャンク210に凝縮または堆積し、チップ212に向かって拡散またはドリフトによって移動し、チップ212においてヘリウム原子がイオン化される。図4に示されるようにエミッタチップと引き出し電極との間に加えられる電圧において、ヘリウム原子52は、チップの小さい半径に起因するより高い電界に鑑み、チップの近傍でイオン化される。アルゴンのイオン化エネルギが、ヘリウムのイオン化エネルギに比べて大幅に低いため、アルゴン原子54は、チップ212に達する前にアルゴンイオン55へとイオン化される。したがって、アルゴンイオンは、シャンク210において生成され、エミッタのシャンクに沿って拡散する間に早期にイオン化されるため、エミッタチップに到達しない。シャンク210の正の電位に鑑み、アルゴンイオンは、シャンクによって押し戻され、チップにおいて平行ビームを形成することがない。アルゴンイオンは、ヘリウムイオンに比べてはるかに大きな範囲から放射されるため、アルゴンは、図4に示した電圧源の条件のもとでは、平行ビームを形成しない。
[0047]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、多数のアルゴンイオンが光アクセスに沿って進んで試料に到達すると考えられる場合に、磁気偏向器またはウィーンフィルタなどといった質量分離器742(例えば、図1Aおよび1Bを参照)を設けることが可能であると考えられる。
[0048]図5に示されている第2の動作モードにおいては、電圧源72は、引き出し電圧によってチップの表面の少なくとも一部分に約22V/nmまたはこの値をわずかに上回る電界がもたらされるような電圧を加えるように調節される。その結果、最大電界は、ヘリウムのイオン化に必要とされる値よりもかなり低い。したがって、アルゴンだけがイオン化され、アルゴンイオン55が、チップ212の近傍において生成される。上述のように、アルゴン原子は、エミッタ13のシャンク210に凝縮し、シャンク210に沿った濃度の勾配および/または電界によって、チップに向かって拡散および/またはドリフトする。図5に示されている電界強度は、ヘリウムのイオン化には低すぎるため、アルゴンビームが形成され、引き出し電極18を通って試料に向かって光アクセスに沿って案内される。
[0049]図5に示されているように、ヘリウム原子52は、エミッタ13のシャンク210に凝縮または堆積する。ヘリウムは、エミッタチップから放射されないため、チップに蓄積する可能性がある。動作条件によっては、蓄積したヘリウムが、シャンク210に沿ったアルゴンの供給を減少させる可能性がある。シャンクに沿ってチップ212へと向かうアルゴンの供給が、許容できない量にまで減少する場合、ヘリウム原子を放射して、エミッタチップ13上に凝縮するヘリウム原子の量を少なくするために、高い電界強度を有する短いパルスを印加することができる。さらなる実施形態または代替の実施形態によれば、エミッタチップを、吸収したガスを蒸発させるために、例えば支持ワイヤを通じた短い電流パルスによって加熱することができる。その結果、同様の効果またはさらなる効果を生み出すことができる。
[0050]本明細書に記載の他の実施形態との組み合わせによってもたらすことができるいくつかの実施形態によれば、「軽い」ガスと重いガスとの間の比を、要件に応じて調節することができる。重い種は、高速に実行されるべきエッチングなどに使用されるため、重い種の濃度は、Heの濃度よりも高くてもよい。
[0051]エミッタチップ13と引き出し電極18との間の電位差の切り替え、またはチップ212における電界を変化させるための他の調節によって、異なるイオンビームの放射を伴う異なる動作モードを生み出すことができる。
[0052]本明細書に記載の実施形態によれば、ガス混合物を、10−4mbar〜10−2mbarの範囲で供給することができる。
[0053]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態によれば、少なくとも2つの異なる電圧が、電源72によって供給される。第1の動作モードによれば、電界が最強になるエミッタチップ13の先端の位置での高電界に相当する電圧が供給される。その結果、エミッタチップは、第1の低い電界および第2のより高い電界に関して、3つの異なる領域をもたらす。シャンク210の最上端では、電界が第1および第2の電界よりも低い。シャンク210の中間部分では、電界が、第1の種をイオン化できるように、第1のより低い電界に等しい。さらに、最小の曲率を有する先端の付近では、第2のより高い電界に等しい電界、または少なくとも第2のより高い電界を有する電界がもたらされる。その結果、この動作モードによれば、2つの種がイオン化される。しかしながら、それらのうちの一方だけが、エミッタチップ13の先端において蓄積ビームを形成する。
[0054]第2の動作モードにおいては、電界は、エミッタチップ13の大部分において第1のより低い電界よりも低い。エミッタチップのうちの最小の曲率を有する部分またはこの位置の近傍においてのみ、第1のより低い電界に到達する。したがって、1つの種だけがイオン化される。
[0055]上述のように、種々のイオン種の選択を、エミッタチップの温度を選択することによって行うことができる。したがって、ガス間の切り替えのための別の可能性は、エミッタチップ13の温度を切り換えることである。
[0056]実施形態の一実施例によれば、一定の引き出し電圧を確立することによって一定の電界をもたらしつつ、第1のガスのイオン電流を、第1のチップ温度において最大にできる一方で、第2のガスのイオン電流を、第2のチップ温度において最大にすることができる。一定の引き出し電圧は、例えば、ガスのうちの1つが一般的に用いられる冷却温度において充分な放出電流を有する引き出し電圧と、ガスのうちのもう1つが一般的に用いられる冷却温度において充分な放出電流を有する引き出し電圧との間の範囲から選択される引き出し電圧であってもよい。例えば、チップ表面の少なくとも一部分に約20V/nm〜約50V/nmの範囲の電界をもたらす引き出し電圧がエミッタチップ13に加えられる場合、アルゴンのイオン電流が、約80Kのチップ温度で最大となることができる一方で、Heは、約20Kに放出の最大値を有する。したがって、優先的に放射されるガスが、チップの温度を切り換えることによって選択される。
[0057]例えば、パルス管冷却器、ギフォード・マクマホン冷却器、スターリング冷却器など、閉鎖サイクルのHe極低温冷却器がエミッタチップの冷却に使用される場合、温度間の迅速な切り替えを、冷却器を常にヘリウムに必要とされるより低い温度で動作させることによって、達成することができる。例えばアルゴンの放射のためにより高い温度が必要とされる場合、エミッタチップの付近に位置する抵抗ヒータ等のヒータ15をオンにし、温度を上昇させることができる。チップの温度を変化させるときに、大きな熱容量を有する冷却器そのものが同じ温度のままであるため、この方法で温度の素速い切り替えが達成される。
[0058]図4を参照して説明した実施例においては、一定の電圧を、電圧源72によって、エミッタ13と引き出し電極18との間に供給することができる。エミッタチップ212へと接続されたヒータ15は、電圧源72をも制御することができるコントローラ172によって制御される。チップ温度を制御するために、コントローラ172へと接続される温度センサ(図示せず)を、例えばエミッタチップ支持部に設けることができる。冷却ユニットとして、例えば閉鎖サイクルのHe極低温冷却器(図示せず)がエミッタチップ支持部へと接続され、エミッタチップ13を冷却するために使用される。いくつかの実施形態によれば、コントローラ172は、第1および第2のガス導入口の供給のためのコントローラ130と通信することができる。エミッタは、シャンク210およびチップ212(例えば、きわめて鋭いチップまたはスーパーチップを含むチップ)を備える。図4に示した実施例においては、別々の形状によって表わされているヘリウム原子52およびアルゴン原子54の混合物が、エミッタチップ13のシャンク210に凝縮または堆積できるように供給される。ヘリウムは、イオン化のために約44V/nmの電界を必要とする一方で、アルゴンは、イオン化のために約22V/nmの電界を必要とする。例えば、電圧源72は、チップの表面の少なくとも一部分に例えば約44V/nmまたはそれよりもわずかに高い電界をもたらすような引き出し電圧を、チップ212の位置に加えるように調節される。さらに、エミッタチップ13に例えば約20Kの温度がもたらされるよう、ヒータ15は運転されない。図4に示されているように、ヘリウム原子52およびアルゴン原子54が、シャンク210に凝縮または堆積し、チップ212に向かって拡散またはドリフトによって移動する。チップの温度が、ヘリウムの放出が最大となる温度(本明細書において、放出最大温度とも称する)に一致しているため、ヘリウム原子がイオン化される。図4に示されるようにエミッタチップと引き出し電極との間に供給される電圧において、ヘリウム原子52は、チップの近傍でイオン化される。アルゴンの放出最大温度(80K)が、ヘリウムの放出最大温度(20K)にくらべて大幅に高いため、多くの量のヘリウム原子52がイオン化する一方で、アルゴン原子54は、ほとんどイオン化されない。したがって、図4に関して説明した電圧および温度の条件下では、ヘリウムイオン53の平行ビームが生成される。したがって、多くの量のアルゴン原子54をイオン化するためには、ヒータ15がオンにされる。この状況が、図5に示されている。結果として、アルゴン原子54のイオン化効率が最大化される一方で、ヘリウム原子52は、ほとんどイオン化されない。したがって、図5に示した状況においてもたらされる温度および電圧源の条件下では、アルゴンイオン55の平行ビームが、チップ212において生成される。
[0059]当然ながら、この原理を、異なる最適放出温度を有する他の複数のガスの組み合わせにも適用可能である。
[0060]さらに、実施形態のこの実施例において一定の電界を供給するために、他の適切な引き出し電圧を印加してもよい。例えば、引き出し電圧を、一般的に使用される冷却温度においてガスのうちの1つが最大放出電流を有する電界をもたらす引き出し電圧またはその近傍になるように、選択することができる。別の例では、引き出し電圧を、ガスのうちの1つが一般的に用いられる冷却温度において充分な放出電流を有する引き出し電圧と、ガスのうちのもう1つが一般的に用いられる冷却温度において充分な放出電流を有する引き出し電圧との間の範囲から、選択することができる。典型的には、一般的に使用される冷却温度での冷却の一方で、例えば2つのガスの一方(より高いイオン化エネルギを有している方)をイオン化させるための電界を供給する引き出し電圧を選択することができる。別の典型的な実施例では、一般的に使用される冷却温度での冷却の一方で、例えば2つのガスの一方(より小さいイオン化エネルギを有している方)をイオン化させるための電界を供給する引き出し電圧を選択することができる。いずれにせよ、例えば2つのガスの他方のイオン化を、エミッタチップを加熱することによって開始させることができる。
[0061]さらなる実施形態においては、チップ温度の切り替えおよび引き出し電圧の切り替えの原理を、最大の効率を得るために組み合わせることができる。いくつかの実施形態においては、3つ以上のガスを供給することができ、3つ以上のチップ温度を用意し、さらに随意により3つ以上の引き出し電圧を用意し、さらには/あるいは随意によりガスの分圧を調節することによって、優先的に放射されるガスが選択される。したがって、いくつかの実施形態においては、3つ以上の異なるエミッタチップ温度の間の切り替え、随意による3つ以上の異なる引き出し電圧の間の切り替え、および/または随意による3つ以上の異なるガスの間の切り替えによって、3つ以上の異なるイオンビームを生成することが可能である。
[0062]したがって、一実施形態においては、集束イオンビーム装置を動作させる方法であって、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの少なくとも2つの異なるイオンビームが、少なくとも2つの異なるエミッタチップ温度の間の切り替え、ならびに少なくとも2つの異なる引き出し電圧の間および/または第1のガスおよび少なくとも第2のガスのうちの少なくとも2つの間の随意による切り替えによって、連続的に生成される方法が提供される。エミッタチップ温度および引き出し電圧のそれぞれが、ガスのうちの少なくとも1つについて、イオン化をもたらす。いくつかの実施形態においては、エミッタチップ温度および/または引き出し電圧のそれぞれが、ガスのうちの少なくとも1つについて最適な(例えば、最大の)イオン化効率をもたらす。
[0063]例えば、実施形態の一実施例によれば、図4を参照すると、エミッタ13と引き出し電極18との間に電圧源72によって電圧を供給することができる。エミッタチップ212に隣接するヒータ15は、電圧源72をも制御することができるコントローラ172によって制御される。チップ温度を制御するために、コントローラ172へと接続される温度センサ(図示せず)を、例えばエミッタチップ支持部に設けることができる。冷却ユニットとして、例えば閉鎖サイクルのHe極低温冷却器(図示せず)がエミッタチップ支持部へと接続され、エミッタチップ13を冷却するために使用される。いくつかの実施形態によれば、コントローラ172は、第1および第2のガス導入口の供給のためのコントローラ130と通信することができる。エミッタは、シャンク210およびチップ212を備える。図4に示した実施例においては、別々の形状によって表わされているヘリウム原子52およびアルゴン原子54の混合物が供給され、エミッタチップ13のシャンク210に吸着すること、または堆積されることできる。上述のように、典型的には、ヘリウムが、イオン化のために約44V/nmの電界を必要とする一方で、アルゴンは、イオン化のために約22V/nmの電界を必要とする。例えば、ヘリウムイオン53のヘリウムイオンビームを形成すべき場合、電圧源72は、例えばチップの表面の少なくとも一部分に例えば約44V/nmまたはそれよりもわずかに高い電界をもたらすような引き出し電圧を、チップ212の位置に加えるように調節される。さらに、エミッタチップ13に例えば約20Kの温度が与えられるよう、ヒータ15は運転されない。図4に示されているように、ヘリウム原子52およびアルゴン原子54は、シャンク210に凝縮または堆積し、チップ212に向かって拡散またはドリフトによって移動する。チップの温度およびエミッタチップ13における電界が、ヘリウムの放出が最大となる温度および電界に一致しているため、ヘリウム原子がイオン化される一方で、アルゴン原子54はほとんどイオン化されない。したがって、図4に関して説明した電圧および温度の条件下では、ヘリウムイオン53の平行ビームが生成される。多くの量のアルゴン原子54をイオン化すべきである場合には、エミッタチップを例えば約80Kへと加熱するために、ヒータ15がオンにされる。さらに、電圧源72が、チップの表面の少なくとも一部分に例えば約22V/nmまたはそれよりもわずかに高い電界をもたらすような引き出し電圧をチップ212の位置に加えるように調節される。このエミッタチップの温度およびエミッタチップの引き出し電圧の切り替えは、実質的に同時に行うことができる。この実施例では、エミッタチップの温度およびエミッタチップの引き出し電圧が切り換えられたときに、アルゴン原子54のイオン化効率が最大化される一方で、ヘリウム原子52はほとんどイオン化されない。この状況が、図5に示されている。したがって、図5に関して説明した状況においてもたらされる温度および電圧源の条件下では、アルゴンイオン55の平行ビームがチップ212において生成される。
[0064]図6が、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる集束イオンビーム装置600の実施形態を示している。荷電粒子ビーム装置は、エミッタ領域を有するエミッタ12、随意による筐体/ガンチャンバ14、およびイオンビームカラム16を備える。電界は、エミッタ12のエミッタチップと引き出し電極18との間に供給される。筐体14内に存在するガスのイオンが、エミッタチップ(例えば、きわめて鋭いチップまたはスーパーチップを有するチップ)の先端部分の小さい曲率の付近の高電界によって生成される。
[0065]一実施形態によれば、第1のガス導入口110、第2のガス導入口112、および第3のガス導入口613が設けられている。したがって、3つの異なるガスおよび/またはガスの混合物を、筐体に供給することが可能である。例えば、水素またはヘリウムなどの軽いガスを、試料を傷めることなく試料を観察するために、第1のガス導入口110によって導入することができる。別の動作モードにおいては、アルゴン、ネオン、キセノン、またはクリプトンなどの第2のガスを、試料のスパッタリングのために第2のガス導入口112を通じて導入することができる。さらに別の動作モードにおいて、スパッタリングまたは試料の改質に関して別の特性を有している第3のガスを使用することができる。
[0066]さらなる実施形態によれば、フォトレジストなどの材料をエッチングする場合のまたさらなる動作モードに関して、水素を使用してもよい。水素の還元性を、酸素含有材料のエッチングに利用することができる。それにもかかわらず、シリコンおよび金属などの複数の材料のための画像化モードにおいて、水素を使用することも可能である。
[0067]またさらなる実施形態によれば、第4のガス導入口を設けることが可能である。その結果、第4の動作モードを、酸素等のコンディショニングガスを筐体内のエミッタチップの周囲に導入することによって実行することができる。この実施形態によれば、酸素をチップのコンディショニングに使用することができる。このさらなるコンディショニング動作モードにおいて、エミッタの先端が成形または再成形されるが、これを酸素を導入することによって支援することができる。またさらなる実施形態によれば、画像化および/または試料の改質の動作モードのために、第4または第5のガスを使用することも可能である。
[0068]一般に、本明細書に記載の実施形態において、1つ以上のイオンビームを生成するための少なくとも2つの異なるガス(本明細書において、イオンビーム生成ガスとも称される)を、筐体に導入することができる。本明細書に記載の実施形態によれば、少なくとも2つの異なるイオンビーム生成ガスがガス混合物として筐体に導入され、生成されて集束イオンビーム装置のカラムを通って案内されるイオンビームを、エミッタチップの温度を変更し、随意によりエミッタチップ13と、引き出し電極、あるいは、エミッタチップの先端部分の電界を調整するために設けられた別の電極との間の電圧を変更することによって、選択することが可能である。
[0069]上述のように、軽いガスおよび重いガスを、イオン生成ガスとして使用することができる。さらなる実施形態によれば、少なくとも1つのさらなるイオン生成ガスを、筐体に導入することが可能である。その結果、エッチングのためのイオン生成ガス、または第2のスパッタリングの選択肢のためのイオン生成ガス(例えば、アルゴンによる第1のスパッタリングの選択肢ならびにネオンまたはキセノンによる第2のスパッタリングの選択肢)を、導入することが可能である。いくつかの実施形態によれば、少なくとも第3のガス導入口が設けられ、あるいは3つのガスの混合物が供給される。スパッタリング用の2つ以上のイオンビーム生成ガスまたはエッチング用の2つ以上のイオンビーム生成ガスが使用される場合、さらに第4、第5、などのガス導入口を設けることができ、あるいは4つまたは5つ以上のガスの混合物を供給することができる。
[0070]さらに、さらなる実施形態によれば、上述したエミッタチップのコンディショニングガス(酸素)、搬送ガス、パージガス、などの形態のプロセスガスを、導入することが可能である。プロセスガスは、イオンビームの生成には使用されないが、プロセス支援のため使用されるガスとして理解すべきである。
[0071]図6に関して説明され、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態によれば、さらにガス排出口620を設けることが可能である。ガス排出口620は、真空ポンプおよび/または真空容器を含む真空システムへと接続することができる。筐体14の排気を、筐体内の圧力を制御するために使用して、イオン生成のためのプロセスパラメータを制御することができる。典型的には、イオン化されるべきガスの分圧が、エミッタの領域において10−6〜10−2mbarの範囲にあるように制御される。別の実施形態によれば、筐体14の排気を、第1の動作モードとさらなる(第2または第3の)動作モードとの間の切り替えの際に、使用することが可能である。これにより、第1の動作モードのために使用されるガスを、イオン生成の領域からより速く除去することが可能である。結果として、一方の動作モードと別の動作モードとの間の切り替えをより速く、例えば5秒以内に実施することができる。
[0072]他の実施と組み合わせることができるいくつかの実施形態においては、ガンチャンバにガス圧力勾配を与えることが可能である。これにより、ガス圧力が、エミッタおよびエミッタチップの付近でより高く、引き出し電極に向かうにつれて低くなる。したがって、充分な量のガスをエミッタチップへと供給でき、イオンの放射を妨げかねないガスの量が低減される。本明細書に記載の任意の実施形態と組み合わせることができる種々の実施例によれば、ガス圧力の勾配は、5e−3mbar〜10e−6mbarに達してもよく、典型的には10e−3mbar〜10e−4mbarに達してもよい。
[0073]図7Aにおいて、荷電粒子ビーム装置700が示されている。荷電粒子ビーム装置は、エミッタ12、筐体/ガンチャンバ14、およびイオンビームカラム16を備える。筐体14内に存在するガスのイオンは、バイアスされたエミッタ12の高電界によって生成される。
[0074]一実施形態によれば、第1のガス導入口110および第2のガス導入口112が設けられている。さらに、バルブ718が、第1のガス導入口110に設けられている。さらに、バルブ179が、第2のガス導入口112に設けられている。バルブは、筐体14への第1のガスの導入と筐体への第2のガスの導入との間の切り替えを行うように構成されたコントローラによって制御される。
[0075]一実施形態によれば、バルブ718および719は、ガス導入口の出口開口の近くに配置されている。その結果、第2または第3の動作モードのために、除去されなければならない前の動作モードから残留するガスの量が、少なくなる。バルブの一方が閉じられるとき、前の動作モードのガスが依然として存在している容積は、バルブがガス導入口の出口開口の近くに配置されているならば、最小限に抑えられる。このガス導入口の無駄な容積は、例えば1cm以下の範囲内にすることができる。典型的には、無駄な容積を小さくするために、マイクロバルブを使用することができる。本明細書において、無駄な容積を、通路の一部分であって、後続の流体を汚染する物質またはガスが残留しうる部分として定義することができる。切り替えの際に、前のガスが、後続のガスを汚染する可能性がある。
[0076]図7Aに関して言及される他の実施形態によれば、ガス排出口620をさらに設けることができる。ガス排出口620を、真空ポンプまたは真空容器を含む真空システムに接続することができる。上述のように、筐体14の排気を、筐体内の圧力を制御するために使用することができる。また、筐体14の排気を、第1の動作モードとさらなる(第2または第3の)動作モードとの間の切り替えの際に、筐体を排気するために使用することも可能である。これにより、第1の動作モードに使用されるガスを、イオン生成の領域からより速やかに除去することが可能である。
[0077]図7Bにおいては、荷電粒子ビーム装置は、エミッタ12、筐体/ガンチャンバ14、およびイオンビームカラム16を備える。筐体14内に存在するガスのイオンは、バイアスされたエミッタ12の高電界によって生成される。ガスを、本明細書に記載の任意の実施形態に従って、筐体へと導入することができる。
[0078]例えば図7Bに関して説明されるように、別の実施形態によれば、バルブ728が、ガス排出口620に設けられる。ガス排出口のバルブ728を、バルブの筐体14とは反対側に低い圧力をもたらすために、閉じることができる。その結果、第1の動作モードとさらなる動作モードとの間の切り替えの際に、動作モード間の切り替えにおいて除去しなければならない筐体内のガスをより速やかに除去するために、バルブを開いて、反対側の低い圧力を使用することが可能である。
[0079] さらに別の実施形態によれば、この態様を、図8の集束イオンビーム装置800に示されているような真空容器822と組み合わせることができる。図8において、荷電粒子ビーム装置800が図示されている。荷電粒子ビーム装置は、エミッタ12、筐体/ガンチャンバ14、およびイオンビームカラム16を備える。筐体14内に存在するガスのイオンは、バイアスされたエミッタ12の高電界によって生成される。さらに、バルブ718が、第1のガス導入口110に設けられている。さらに、バルブ719が、第2のガス導入口112に設けられている。バルブは、筐体14への第1のガスの導入および筐体への第2のガスの導入の間で切り替えを行うように構成されたコントローラによって制御される。一方の弁が閉じられるとき、別の動作モードへの切り替えのために、除去する必要がある前の動作モードのガスが依然として存在する容積は、バルブがガス導入口の出口開口の近くに配置されているならば、最小限に抑えられる。
[0080]図8において、ガス排出口620の導管が、真空ポンプへと接続されている。真空ポンプが、真空容器822を排気する。その結果、低い圧力の容積がより大きくなる。容器822の追加の容積の結果として、バルブ728の開放時に、筐体14の容積を、より高速に排気することができる。筐体の排気のための時間の短縮は、2つの動作モードの間のより速やかな切り替えを可能にする。
[0081]図9は、集束イオンビーム装置900を示している。荷電粒子ビーム装置900は、エミッタ12、筐体/ガンチャンバ14、およびイオンビームカラム16を備える。筐体14内に存在するガスのイオンは、バイアスされたエミッタ12の高電界によって生成される。
[0082]一実施形態によれば、導管を有する第1のガス導入口110および導管を有する第2のガス導入口112が設けられている。さらに、バルブ818は、第1のガス導入口110に設けられている。さらに、バルブ819は、第2のガス導入口112に設けられている。バルブは、筐体14への第1のガスの導入と筐体への第2のガスの導入との間の切り替えを行うように構成されたコントローラによって制御される。一実施形態によれば、バルブ818および819は、ガス導入口の出口開口の近くに配置される。その結果、第2または第3の動作モードのために、除去しなければならない前の動作モードから残留するガスの量が、少なくなる。
[0083]図9において、バルブ818および819は、2方向バルブである。これらのバルブのさらなる接続部は、それぞれ真空容器822および823に接続されている。真空容器822および823は、真空ポンプなどによって排気される。その結果、第1の動作モードとさらなる動作モードとの間の切り替えの挙動を、改善することができる。例えば、バルブ818が閉じられるとき、一方では、第1のガス導入口110によって導入されていた第1のガスの供給が、停止される。他方では、真空容器822が、ガス導入口の出口開口の部分に接続される。その結果、ガス導入口の出口開口の部分に残留するガスが、この出口開口の部分から除去され、筐体14が排気される。同時にまたは事後に、第2のガス導入口112の弁819を開き、第2のガス導入口を通って導入されるガスを、筐体14に供給することができる。
[0084]別の実施形態によれば、バルブ818および819を、それぞれの導管によって共通の真空容器に接続してもよい。
[0085]一実施形態によれば、図9に示されているように、バルブ728を備えるさらなるガス排出口620が設けられる。ガス排出口のバルブ728を、バルブの筐体14とは反対の側に低圧をもたらすために、閉じることができる。その結果、第1の動作モードとさらなる動作モードとの間の切り替えの際に、動作モード間の切り替えのために除去する必要がある筐体内のガスをより迅速に除去するために、バルブを開いて、低圧を利用することが可能である。
[0086]別の実施形態によれば、ガス排出口620を省略することが可能である。その場合、筐体14を、バルブ818および819の一方を介して排気することができる。その結果、一方のバルブがエミッタ12の領域にガスを導入するための位置にあるとき、他方のバルブは、対応するバルブに接続された真空容器を介して筐体14を排気するための位置にある。一般に、ガス流を遮断するために2方向バルブを使用することによって、ガスとエミッタ室、すなわち筐体との間の接続が閉じられ、エミッタ室と真空容器または真空ポンプとの間の接続が開かれる。結果として、エミッタ内のガス圧力の速やかな低下がもたらされる。
[0087]上述した動作モードに加えて、重いガスのイオンビームを、材料分析のために使用することができる。その結果、二次イオン質量分析計SIMS 722(例えば、図1Aおよび1Bを参照)に適した検出器が設けられる。検出器が、スパッタリングによって生じる試料のイオンを検出し、分析する。スパッタリング時に、試料は粒子を放射し、それら粒子の一部は、それ自体がイオンである。これらの二次イオンは、表面の定量的な元素組成または同位体組成を割り出すために、質量分析計を用いて測定される。
[0088]一実施形態によれば、スパッタリングは、これまでの図に図示されているとおり、エミッタ12によって放射されたイオンビームによって実現される。別の実施形態によれば、追加のフラッド電子源732(たとえば、図1Aおよび1Bを参照)を設けることができる。その結果、エミッタ12からのイオンビームの衝突時に試料から放出されるイオン化二次粒子の数を、増やすことができる。イオン化二次粒子の数が増加すると、検出器の検出感度が向上する。
[0089]上述のように、高分解能の画像化および試料の改質を可能にする集束イオンビーム装置の形態の単一カラム荷電粒子ビーム装置を提供することができる。したがって、使用されるカラムが1つだけであるという点に鑑み、コストの削減を達成することができる。
[0090]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、イオンを生成するためのエミッタチップおよびエミッタ領域を有するガス電界イオン源エミッタを収容するように構成されたイオンビームカラムと、エミッタチップを加熱するように構成された加熱手段と、第1のガスおよび少なくとも第2のガスをエミッタ領域へと導入するように構成された1つ以上のガス導入口と、第1のガスのイオンのイオンビームまたは少なくとも第2のガスのイオンのイオンビームを生成するために、第1のエミッタチップ温度と少なくとも第2のエミッタチップ温度との間の切り替えを行うように構成されたコントローラと、を備える集束イオンビーム装置が提供される。
[0091]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、加熱手段は、抵抗ヒータ、電磁ヒータ、誘導ヒータ、放射ヒータ、IRヒータ、粒子源、およびレーザで構成されるグループから選択される少なくとも1つの要素である。
[0092]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、加熱手段は、エミッタチップに隣接して配置される。
[0093]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、エミッタチップは、フィラメントおよびフィラメント基部を備える支持部に設けられ、加熱手段は、エミッタチップ、フィラメント、およびフィラメント基部で構成されるグループから選択される少なくとも1つの要素を加熱するように構成される。
[0094]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、ガス電界イオン源エミッタからイオンを引き出すように構成された電極と、この電極とガス電界イオン源エミッタとの間に電圧を供給するように構成された電圧源と、を備える。
[0095]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、コントローラは、第1のガスのイオンのイオンビームまたは少なくとも1つの第2のガスのイオンのイオンビームを生成するために、電圧源の第1の電圧および少なくとも1つの第2の電圧との間の切り替えを行うようにさらに構成される。
[0096]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、第1のガスは、10g/mol未満の原子量を有するガス、水素、およびヘリウムで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである軽いガスであり、少なくとも1つの第2のガスは、10g/mol以上の原子量を有する重いガスおよび反応ガスで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである。
[0097]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、重いガスは、物理スパッタリングガス、アルゴン、ネオン、およびクリプトンで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスであり、反応ガスは、酸素、水素、およびCOで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである。
[0098]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、少なくともエミッタ領域を排気するように構成された真空システムへ接続されたガス排出口をさらに備える。
[0099]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、ガス導入口のうちの第1のガス導入口に設けられた第1のバルブ、およびガス導入口のうちの少なくとも1つの第2のガス導入口に設けられた少なくとも1つの第2のバルブをさらに備えており、第1のバルブおよび少なくとも1つの第2のバルブは、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの分圧を調節するために制御される。
[0100]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態においては、集束イオンビーム装置を動作させる方法であって、イオンが生成されるエミッタ領域にエミッタチップを有しているエミッタに、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスのうちの少なくとも1つのガスのイオンビームを放射するための引き出し電圧を供給するための電位をバイアスするステップと、第1のエミッタチップ温度へと加熱を行い、第1のガスのイオンビームを放射するステップと、少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度へと加熱を行い、少なくとも1つの第2のガスの少なくとも1つのイオンビームを放射するステップと、を含む方法が提供される。
[0101]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、エミッタは、第1のガスのイオンビームを放射するための引き出し電圧を供給するための電位へとバイアスされる。
[0102]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、第1のエミッタチップ温度への加熱のステップにおいて、第1のガスの引き出し電圧を供給する第1の電位へのバイアスを行うステップを含む。
[0103]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、第1のエミッタチップ温度への加熱のステップにおいて、第1のガスの引き出し電圧を供給する第1の電位へのバイアスを行うステップと、少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度への加熱のステップにおいて、少なくとも1つの第2のガスの引き出し電圧を供給する少なくとも1つの第2の電位へのバイアスを行うステップと、を含む。
[0104]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度への加熱のステップにおいて、少なくとも1つの第2のガスの引き出し電圧を供給する少なくとも1つの第2の電位へのバイアスを行うステップを含む。
[0105]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態においては、第1のガスは、軽いガスであり、少なくとも1つの第2のガスは、重い不活性ガスおよび反応ガスで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスであり、第1のガスのイオンビームは、観察モード用として生成され、重い不活性ガスのイオンビームは、スパッタリングモード用として生成され、反応ガスのイオンビームは、反応モード用として生成される。
[0106]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、観察モードにおいて、第1のガスから生成されたイオンビームを試料上で走査し、試料の観察のために、第1のガスから生成されたイオンビームの衝突時に試料から放出される微粒子を検出するステップを含む。
[0107]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、改質モードにおいて、少なくとも1つの第2のガスがエミッタ領域へと導入されるときに、試料を改質するステップを含む。
[0108]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、改質するステップは、スパッタリングおよびエッチングで構成されるグループから選択される少なくとも1つの工程を含む。
[0109]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、第1のガスは、軽いガス、10g/mol未満の原子量を有するガス、水素、およびヘリウムで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである。
[0110]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、少なくとも1つの第2のガスは、重いガス、物理スパッタリングガス、10g/mol以上の原子量を有するガス、アルゴン、ネオン、クリプトン、反応ガス、プロセスガス、酸素、水素、およびCOで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである。
[0111]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、酸素であってもよいプロセスガスをエミッタ領域に導入し、随意によりさらなるチップ温度への加熱を行うステップ、10g/mol以上の原子量を有するさらなる重いガスをエミッタ領域へと導入し、随意によりさらなるチップ温度への加熱を行うステップ、およびエッチング動作モードにおいてエミッタ領域へと水素を導入し、随意によりさらなるチップ温度への加熱を行うステップ、で構成されるグループから選択される少なくとも1つのステップ、ならびに第1のガスのイオンを少なくとも1つの第2のガスのイオンから分離するステップ、をさらに含む。
[0112]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、プロセスガスは酸素である。
[0113]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスのイオンを生成するためのエミッタチップおよびエミッタ領域を有するエミッタを収容するための筐体を備えるイオンビームカラム、および第1のエミッタチップ温度と少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度との間で切り替えを行うための手段を備えており、第1のガスは、水素およびヘリウムで構成されるグループから選択され、少なくとも1つの第2のガスが、10g/mol以上の原子量を有している、集束イオンビーム装置が提供される。
[0114]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、第1のバルブは、第1のガスのガス供給源への第1のガス供給導管、第1のガスをチャンバに導入するための第1のガス導入導管、および少なくとも1つの真空容器への接続のための第1の排気導管を有しており、第2のバルブは、第2のガスのガス供給源への第2のガス供給導管、第2のガスをチャンバに導入するための第2のガス導入導管、および少なくとも1つの真空容器への接続のための第2の排気導管を有している。
[0115]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、第1のガス導入口および第2のガス導入口は、筐体への供給のための共通のガス導入口へとガスを供給する。
[0116]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、真空システムが、真空容器を含む。
[0117]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、イオンビームカラムに設けられ、試料上でイオンビームを走査するように構成された走査偏向器、イオンビームカラムに設けられ、イオンビームの衝突時に試料から放出される微粒子を時間分解検出するように構成された検出器、ならびに走査偏向器および検出器へと接続されたコントローラをさらに備える。
[0118]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、時間分解測定が、2μsまたは2μs未満の時間分解能に合わせて構成される。
[0119]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、筐体が、イオンビームカラムのガンチャンバに設けられる。
[0120]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、筐体が、5cm以下の容積を有する。
[0121]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、試料から放出されるイオンまたはイオン化された粒子を特定するための質量分析計をさらに備える。
[0122]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、試料領域に隣接する領域に設けられたフラッド電子銃をさらに備える。
[0123]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、少なくとも第3のガスを筐体へと導入するための第3のガス導入口をさらに備える。
[0124]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、少なくとも第3のガス導入口に設けられ、コントローラによって制御される少なくとも第3のバルブをさらに備える。
[0125]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、第1のガスは、水素およびヘリウムで構成されるグループから選択される軽いガスであり、第2のガスは、アルゴン、ネオン、クリプトン、およびこれらの組み合わせで構成されるグループから選択される重いガスである。
[0126]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、第1のガスからのイオンを第2のガスからのイオンから分離するための質量分離器をさらに備える。
[0127]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、イオンが生成されるエミッタ領域のエミッタに、軽いガスのイオンビームを放射するための第1の引き出し電圧を供給するための第1の電位をバイアスするステップと、イオンが生成されるエミッタ領域のエミッタに、重いガスのイオンビームを放射するための第2の引き出し電圧を供給するための第2の電位をバイアスするステップと、をさらに含んでおり、軽いガスが、水素およびヘリウムで構成されるグループから選択され、重いガスが、10g/mol以上の原子量を有している。
[0128]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、エミッタ領域を囲んでいる筐体を排気するステップをさらに含む。
[0129]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、切り替えが、引き出し電圧の電源を制御することを含む。
[0130]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、観察モードにおいて、軽いイオンビーム生成ガスから生成されたイオンビームを試料上で走査し、試料の観察のために、軽いイオンビーム生成ガスからのイオンビームの衝突時に試料から放出される微粒子を検出するステップ、および改質モードにおいて、重いイオンビーム生成ガスがエミッタ領域に導入されるときに、試料を改質するステップ、をさらに含む。
[0131]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、重いイオンビーム生成ガスがエミッタ領域に導入されるときに試料から放出されるイオン化粒子の質量検出を行うステップをさらに含む。
[0132]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態は、重いイオンビーム生成ガスがエミッタ領域に導入されるときに試料から放出される粒子をイオン化するステップをさらに含む。
[0133]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態においては、集束イオンビーム装置を動作させる方法であって、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの少なくとも2つの異なるイオンビームが、ガスのうちの少なくとも1つのイオン化をそれぞれもたらすエミッタチップ温度および引き出し電圧に関して、少なくとも2つの異なるエミッタチップ温度の間で切り替えを行い、さらに随意により少なくとも2つの異なる引き出し電圧の間及び/あるいは第1のガスおよび少なくとも第2のガスのうちの少なくとも2つの間で切り替えを行うことによって、連続的に生成される方法が提供される。
[0134]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態においては、集束イオンビーム装置を動作させる方法であって、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの少なくとも2つの異なるイオンビームが、ガスのうちの少なくとも1つのイオン化をそれぞれもたらす少なくとも2つの異なるエミッタチップ温度の間で切り替えを行うことによって、連続的に生成される方法が提供される。
[0135]本明細書に開示の任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態においては、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの少なくとも2つの異なるイオンビームが、ガスのうちの少なくとも1つのイオン化をそれぞれもたらすエミッタチップ温度および引き出し電圧に関して、少なくとも2つの異なる引き出し電圧の間及び/あるいは第1のガスおよび少なくとも第2のガスのうちの少なくとも2つの間で切り替えをさらに行うことによって、連続的に生成される。
[0136]本明細書の記載は、本発明を開示するための実施例を使用し、そのような実施例が、最良の態様を含んでおり、さらに当業者が本発明を製作および使用することを可能にしている。本発明を、種々の具体的な実施形態に関して説明したが、本発明を、特許請求の範囲の技術的思想および技術的範囲の中で変更を伴いつつ実施できることを、当業者であれば理解できるであろう。とくに、上述した実施形態の相互に排他的でない特徴を、互いに組み合わせることが可能である。本発明の特許可能範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い浮かべる他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例も、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
[0137]以上は、本発明のいくつかの実施形態に向けられているが、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態を、本発明の基本的な技術的範囲から離れることなく考え出すことができ、本発明の技術的範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。
10…エミッタホルダ、12…エミッタ、13…エミッタチップ、14…筐体/チャンバ、15…ヒータ、16…イオンビームカラム、17…ガンチャンバ、18…引き出し電極、20…レンズ、22…検出器、24…試料、26…走査偏向器、30…冷却ユニット、52…ヘリウム原子、53…ヘリウムイオン、54…アルゴン原子、55…アルゴンイオン、72…電源、100、600、800、900…集束イオンビーム装置、102…光アクセス、110…第1のガス導入口、111、113、121、130、140、172、472…コントローラ、112…第2のガス導入口、120…ガス排出口、210…シャンク、212…チップ、300a、300b…集束イオンビームカラム、310…共通のガス導入口、613…第3のガス導入口、620…ガス排出口、700…荷電粒子ビーム装置、718、719、728…バルブ、722…質量分析計、732…電子源、742…質量分離器、822、922、923…真空容器。

Claims (16)

  1. イオンを生成するためのエミッタチップ(13)およびエミッタ領域を有するガス電界イオン源エミッタを収容するように構成されたイオンビームカラムと、
    前記エミッタチップ(13)を加熱するように構成された加熱手段(15)と、
    第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの混合物を前記エミッタ領域へと導入するように構成された1つ以上のガス導入口(110、112;613)であって、前記第1のガスおよび前記少なくとも1つの第2のガスはそれぞれ異なるガスであるガス導入口と、
    前記第1のガスと、前記少なくとも1つの第2のガスとの少なくとも2つの異なるイオンビームを連続的に生成するために、第1のエミッタチップ温度と少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度との間の切り替えを行うように構成されたコントローラ(172)であって、前記第1のエミッタチップ温度と前記少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度とは、前記ガスの混合物の異なるガスのイオン化をもたらすコントローラと、
    を備える集束イオンビーム装置。
  2. 前記エミッタチップは、フィラメントおよびフィラメント基部を備える支持部に設けられ、前記加熱手段(15)は、前記エミッタチップ、前記フィラメント、および前記フィラメント基部で構成されるグループから選択される少なくとも1つの要素を加熱するように構成されている請求項1に記載の集束イオンビーム装置。
  3. 前記ガス電界イオン源エミッタからイオンを引き出すように構成された電極(18)と、
    前記電極と前記ガス電界イオン源エミッタとの間に電圧を供給するように構成された電圧源(72)と、
    を備え、さらに/あるいは
    前記コントローラ(172)は、前記第1のガスのイオンのイオンビームまたは前記少なくとも1つの第2のガスのイオンのイオンビームを生成するために、前記電圧源の第1の電圧および少なくとも1つの第2の電圧との間の切り替えを行うようにさらに構成される請求項1または2に記載の集束イオンビーム装置。
  4. 前記第1のガスは、10g/mol未満の原子量を有するガス、水素、およびヘリウムで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである軽いガスであり、
    前記少なくとも1つの第2のガスは、10g/mol以上の原子量を有する重いガスおよび反応ガスで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである請求項1〜3のいずれか一項に記載の集束イオンビーム装置。
  5. 前記重いガスは、物理スパッタリングガス、アルゴン、ネオン、およびクリプトンで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスであり、さらに/または前記反応ガスは、酸素、水素、およびCO2で構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである請求項1〜4のいずれか一項に記載の集束イオンビーム装置。
  6. 前記第1のガスまたは前記少なくとも1つの第2のガスから生成された前記イオンビームを集束させるように構成された対物レンズ(20)と、少なくとも前記エミッタ領域を排気するように構成された真空システムに接続されたガス排出口(120;620)とで構成されるグループから選択される少なくとも1つの構成要素をさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の集束イオンビーム装置。
  7. 前記ガス導入口のうちの第1のガス導入口(110)に設けられた第1のバルブ(718)、および前記ガス導入口のうちの少なくとも1つの第2のガス導入口(112)に設けられた少なくとも1つの第2のバルブ(719)をさらに備え、
    前記第1のバルブおよび前記少なくとも1つの第2のバルブは、前記第1のガスおよび前記少なくとも1つの第2のガスの分圧を調節するために制御される請求項1〜6のいずれか一項に記載の集束イオンビーム装置。
  8. 集束イオンビーム装置を動作させる方法であって、
    イオンが生成されるエミッタ領域にエミッタチップ(13)を有しているエミッタに、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスの混合物のうちの少なくとも1つのガスのイオンビームを放射するための引き出し電圧を供給するための電位をバイアスするステップであって、前記第1のガスおよび前記少なくとも1つの第2のガスはそれぞれ異なるガスであるステップと、
    前記エミッタチップを第1のエミッタチップ温度へと連続的に加熱を行い、前記第1のガスの混合物のイオンビームを放射するステップであって、前記第1のエミッタチップ温度は、前記ガスの混合物の第1のガスのイオン化をもたらすステップと、
    前記エミッタチップを少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度へと加熱を行い、前記ガスの混合物前記少なくとも1つの第2のガスの少なくとも1つのイオンビームを放射するステップであって、前記少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度は、前記ガスの混合物の第2のガスのイオン化をもたらすステップと、
    を備える方法。
  9. 前記エミッタチップを前記第1のエミッタチップ温度へ加熱するステップが、前記第1のガスの引き出し電圧を供給するための第1の電位をバイアスするステップを含み、および/または
    前記エミッタチップを前記少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度へ加熱するステップが、前記少なくとも1つの第2のガスの引き出し電圧を供給するための少なくとも1つの第2の電位をバイアスするステップを含む、
    請求項8に記載の集束イオンビーム装置を動作させる方法。
  10. 前記第1のガスは、軽いガスであり、前記少なくとも1つの第2のガスは、重い不活性ガスおよび反応ガスで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスであり、 前記第1のガスの前記イオンビームは、観察モード用として生成され、
    前記重い不活性ガスのイオンビームは、スパッタリングモード用として生成され、
    前記反応ガスのイオンビームは、反応モード用として生成される請求項8または9に記載の集束イオンビーム装置を動作させる方法。
  11. 観察モードにおいて、前記第1のガスから生成されたイオンビームを試料(24)上で走査し、前記試料の観察のために、前記第1のガスから生成された前記イオンビームの衝突時に前記試料から放出される微粒子を検出するステップと、
    改質モードにおいて、前記少なくとも1つの第2のガスが前記エミッタ領域へと導入されるときに、前記試料を改質するステップと、
    をさらに備える請求項8または10に記載の集束イオンビーム装置を動作させる方法。
  12. 前記第1のガスは、軽いガス、10g/mol未満の原子量を有するガス、水素、およびヘリウムで構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスであり、さらに/または
    前記少なくとも1つの第2のガスは、重いガス、物理スパッタリングガス、10g/mol以上の原子量を有するガス、アルゴン、ネオン、クリプトン、反応ガス、プロセスガス、酸素、水素、およびCO2で構成されるグループから選択される少なくとも1つのガスである請求項8〜11のいずれか一項に記載の集束イオンビーム装置を動作させる方法。
  13. 酸素であってもよいプロセスガスを前記エミッタ領域に導入する工程と、
    10g/mol以上の原子量を有するさらなる重いガスを前記エミッタ領域へと導入し、随意により前記エミッタチップをさらなるエミッタチップ温度への加熱を行う工程と、 エッチング動作モードにおいて前記エミッタ領域へと水素を導入し、随意により前記エミッタチップをさらなるエミッタチップ温度への加熱を行う工程と、
    から構成されるグループから選択される少なくとも1つのステップと、
    をさらに含む請求項8〜12のいずれか一項に記載の集束イオンビーム装置を動作させる方法。
  14. 前記第1のガスおよび前記少なくとも1つの第2のガスの前記少なくとも2つの異なるイオンビームは、前記ガスのうちの少なくとも1つのイオン化をそれぞれもたらす前記第1の及び前記少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度および前記少なくとも2つの引き出し電圧に関して、少なくとも2つの異なる引き出し電圧の間で切り替えをさらに行うことによって、連続的に生成される請求項8に記載の方法。
  15. 第1のガス少なくとも1つの第2のガス混合物からイオンを生成するためのエミッタチップ(13)およびエミッタ領域を有するエミッタを収容しているイオンビームカラム(16)であって、前記第1のガスおよび前記少なくとも1つの第2のガスはそれぞれ異なるガスであるイオンビームカラム、および
    第1のエミッタチップ温度と少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度との間で切り替えを行うための手段であって、前記第1のガスと前記少なくとも1つの第2のガスとの前記混合物から少なくとも2つの異なるイオンビームを連続的に生成するための、前記手段
    を備え、
    前記第1のガスが、水素およびヘリウムで構成されるグループから選択され、前記少なくとも1つの第2のガスは、10g/mol以上の原子量を有している集束イオンビーム装置。
  16. 集束イオンビーム装置を動作させる方法であって、
    前記集束イオンビーム装置のエミッタ領域に、第1のガスおよび少なくとも1つの第2のガスのガス混合物を導入するステップであって、前記第1のガスおよび前記少なくとも1つの第2のガスはそれぞれ異なるガスであるステップと、
    第1のエミッタチップ温度と少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度との間で切り替えを行うことによって、前記第1のガスおよび前記少なくとも1つの第2のガスから少なくとも2つの異なるイオンビームを連続的に生成するステップであって、前記第1のエミッタチップ温度と前記少なくとも1つの第2のエミッタチップ温度とは、前記ガス混合物の異なるガスのイオン化をもたらすステップと、
    を備える方法。
JP2009253386A 2008-11-04 2009-11-04 デュアルモードのガス電界イオン源 Active JP5087601B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP08168304.7 2008-11-04
US12/264,859 2008-11-04
EP08168304.7A EP2182542B1 (en) 2008-11-04 2008-11-04 Method of operating a focused ion beam device with a dual mode gas field ion source
US12/264,859 US8026492B2 (en) 2008-11-04 2008-11-04 Dual mode gas field ion source

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010114082A JP2010114082A (ja) 2010-05-20
JP2010114082A5 JP2010114082A5 (ja) 2012-01-12
JP5087601B2 true JP5087601B2 (ja) 2012-12-05

Family

ID=42302457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009253386A Active JP5087601B2 (ja) 2008-11-04 2009-11-04 デュアルモードのガス電界イオン源

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5087601B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6894486B2 (ja) * 2016-07-05 2021-06-30 株式会社日立ハイテクサイエンス イオンビーム装置
JP6909618B2 (ja) * 2017-04-19 2021-07-28 株式会社日立ハイテクサイエンス イオンビーム装置
WO2020044429A1 (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 株式会社日立ハイテクノロジーズ イオンビーム装置
DE112021007123T5 (de) * 2021-09-13 2023-12-14 Hitachi High-Tech Corporation Ionenstrahlvorrichtung und emitterspitzenfräsverfahren

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6056342A (ja) * 1983-09-08 1985-04-01 Anelva Corp イオンビ−ム発生装置
JPH02284335A (ja) * 1989-04-24 1990-11-21 Sony Corp ガスフェーズ型集束イオンビーム装置
JP2007227102A (ja) * 2006-02-22 2007-09-06 Kobe Steel Ltd イオン源
EP1936653B1 (en) * 2006-12-18 2014-01-15 ICT Integrated Circuit Testing Gesellschaft für Halbleiterprüftechnik mbH Gas field ion source for multiple applications

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010114082A (ja) 2010-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5075142B2 (ja) デュアルモードガス電界イオン源
US8026492B2 (en) Dual mode gas field ion source
JP5087366B2 (ja) 多目的用途用ガス電界イオン源
JP5178926B2 (ja) 荷電粒子顕微鏡及びイオン顕微鏡
US20120217391A1 (en) Charged particle microscope
JP2008508684A5 (ja)
JP5087601B2 (ja) デュアルモードのガス電界イオン源
JP6328023B2 (ja) イオンビーム装置
EP2182542B1 (en) Method of operating a focused ion beam device with a dual mode gas field ion source
US10651005B2 (en) Innovative source assembly for ion beam production
EP3477682B1 (en) Improved sims secondary ion mass spectrometry technique
JP2004342583A (ja) 試料を検査または処理するための荷電粒子ビーム装置
JP6370085B2 (ja) イオンビーム装置
EP3358598B1 (en) Collision ionization source
WO2017134817A1 (ja) 電界電離イオン源、イオンビーム装置、およびビーム照射方法
JP6568627B2 (ja) イオンビーム装置
EP3477683A1 (en) Improved sims spectrometry technique using fluorine catalysis
JP2001242106A (ja) オージェ電子分光装置およびオージェ電子分光分析法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20101215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111116

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111116

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20111116

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20111209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120119

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120419

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120424

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120719

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120809

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5087601

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250