JP5086598B2 - 冷間加工材 - Google Patents

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Description

本発明は、極低温において優れた熱伝導度や電気伝導度を示しうる高純度アルミニウム材を冷間加工してなる冷間加工材に関する。
医療用のMRI(磁気共鳴画像診断装置)や分析用のNMR(核磁気共鳴分析装置)等に用いられる超電導マグネットには、液体ヘリウムを用いてその沸点4.2K(ケルビン)に冷却された低温超電導コイルや、冷凍機で20K程度に冷却された高温超電導コイルが使われている。これら超電導コイルを効率的かつ均一に冷却するためには、液体窒素の沸点77Kより低い極低温の雰囲気において熱伝導度の高い材料が要求される。さらに、超電導マグネットの輻射シールド材としても、熱伝導度の高い材料が使用される(特許文献1参照)。また、超電導線においても、超電導フィラメントがはんだ材などで埋め込まれた安定化母材に、熱伝導度と電気伝導度がともに高い材料が要望されている(非特許文献1参照)。
熱伝導度や電気伝導度の高い材料としては、極低温における熱伝導度が高いという特性を有する高純度アルミニウム材が有用である(非特許文献1参照)。
特開2000−188215号公報 「まてりあ」Vol.35、No.1、18−21頁、1996年
しかしながら、極低温における熱伝導度や電気伝導度の高い高純度アルミニウム材は非常に軟質であるという性質を有している。特に、通常用いられている数mm程度の厚さの板材では、装置部材として使用するための成型加工や装置への取り付け等の際に変形しやすく、その取り扱いが難しいという問題があった。材料が変形すると、たとえ熱伝導度や電気伝導度が高い高純度アルミニウム板材を用いても、変形によって生じた歪みが原因となって極低温での熱伝導度や電気伝導度が低下することになる。
装置部材の成型加工や装置への取り付け等の際に、良好なハンドリング性で変形を生じにくくし、取り扱いを容易にするには、例えば、鋳塊を圧延や鍛造等で塑性加工することにより高純度アルミニウム板材を硬質化し、強度を向上させればよいと考えられる。しかし、高純度アルミニウム材は、硬質化するに伴い熱伝導度や電気伝導度が低くなるという性質を有している。硬質化して低下した熱伝導度や電気伝導度は、一般に400℃以上の高温で熱処理を施すことにより向上させることができるが、同時に軟質材となるので、ハンドリングのための強度が不足して取り扱いが困難になる。また、通常、冷間加工材を超電導マグネット等の部材として使用する際には、はんだ付けや樹脂接着剤によって装置に取り付けて組み込まれるのであるが、この場合、取り付け後にははんだや樹脂が存在するため、これらの劣化が懸念される400℃以上の高温で熱処理することはできない。
このように、これまで、高純度アルミニウム材を高熱伝導材料もしくは高電気伝導材料として用いる際に、装置部材として使用するための成型加工や装置への取り付け等の際の良好なハンドリング性と、高い熱伝導度や電気伝導度とを両立させることは困難であった。
そこで、本発明は、装置部材として使用するための成型加工や装置への取り付け等の際には良好なハンドリング性が得られるだけの充分な強度を備えるとともに、極低温で高純度アルミニウムが有する高い熱伝導度や電気伝導度を発現しうる材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、装置部材の成型加工等によって熱伝導度や電気伝導度が一旦低下しても、その後の熱処理によって熱伝導度や電気伝導度を回復させることで、前記課題を解決することを目指した。そして、熱伝導度や電気伝導度を回復させる際の熱処理について、従来のように400℃以上という高温ではなく、装置等に取り付けて使用する際に通常曝される程度の比較的低い温度、具体的には80〜300℃で熱伝導度や電気伝導度を回復させることを着想した。詳しくは、例えば、装置への取付けに樹脂接着剤を用いた場合、樹脂を硬化させるためのベーキングや硬化時の樹脂自体の発熱によって、通常80〜300℃の温度に30分から数日間曝され、はんだ付けにより装置へ取付けた場合にも、通常200〜300℃の温度に30分から数時間曝されるのが現状であり、これらの熱を熱伝導度や電気伝導度を回復させる際の熱処理に利用すれば、別途加熱工程を設ける必要もなく、しかも従来懸念されていたはんだや樹脂の劣化の問題も回避することができる、と考えたのである。この着想を実現するべく検討を重ねたところ、高純度アルミニウム材に含まれる元素の含有量を特定範囲とするとともに、冷間加工を、特定の加工温度において、高純度アルミニウム材に含まれる特定元素の含有量と高温保持の際の温度とに応じて決定される範囲の冷間加工率W(%)で行うことにより、前述した高純度アルミニウム材を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の冷間加工材は、高純度アルミニウム材が冷間加工されてなる冷間加工材であって、前記高純度アルミニウム材は、シリコン含有量(CSi)が30質量ppm以下、鉄含有量(CFe)が2質量ppm以下、銅含有量(CCu)が3質量ppm以下であり、かつ、B、Na、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Co、Zn、Ga、As、Zr、Mo、Sn、Sb、La、Ce、NdおよびPbの各元素に関し、含有量総和が3質量ppm以下、各元素の含有量がそれぞれ1質量ppm以下であり、50℃以下の冷間加工温度で冷間加工された後、80℃以上300℃以下の範囲にある保持温度T(℃)において0.5〜240時間保持されてなるとともに、冷間加工率W(%)が下記式(1)を満たす、ことを特徴とする。
Figure 0005086598
本発明によれば、装置部材として使用するための成型加工や装置への取り付け等の際には良好なハンドリング性が得られるだけの充分な強度を備えるとともに、極低温で高純度アルミニウムが有する高い熱伝導度や電気伝導度を発現させることが可能になる。しかも、本発明によれば、装置等に取り付けて使用する際に通常曝される程度の比較的低い温度(具体的には80〜300℃)で熱伝導度や電気伝導度を向上させることが可能になったので、熱伝導度や電気伝導度を回復させるために別途加熱工程を設ける必要もなく、はんだや樹脂の劣化等のおそれもない。これにより、超電導マグネット等における熱伝達部材や輻射シールド材、超電導安定化母材等として有用な高熱伝導材料や高電気伝導材料を容易に提供できる、という効果がある。
本発明の冷間加工材は、高純度アルミニウム材が冷間加工されてなる。高純度アルミニウム材は、冷間加工されることによって、硬質材となり、良好なハンドリング性を得るのに充分な強度を付与されるのである。しかも、従来、このように高純度アルミニウム材を冷間加工した場合、低い熱伝導度や電気伝導度しか発現できず、これらを向上させるには400℃以上の高温で熱処理する必要があったのであるが、本発明では、装置等に取り付けて使用する際に通常曝される程度の比較的低い温度(80〜300℃)での熱処理で、低下した熱伝導度や電気伝導度を再び向上させることができるのである。さらに詳しくは、本発明の冷間加工材は、冷間加工によって得られた直後、硬質材となっているので、良好なハンドリング性で成型加工や装置への取り付け等が行なえる。ただし、この時点では、熱伝導度や電気伝導度は低下している。その後、成型加工もしくは装置へ取付けされた高純度アルミニウム材を、例えば、装置への取り付けに樹脂接着剤やはんだを用いた場合であれば、それらを硬化させるための加熱や硬化によるそれら自体の発熱によって、80℃以上300℃以下の範囲にある温度とし、その状態で一定時間保持するだけで、低下した熱伝導度や電気伝導度は向上する。
このように、本発明の冷間加工材は、冷間加工の後、80℃以上300℃以下の範囲にある保持温度T(℃)において保持されるものである(以下、保持温度Tで保持することを「高温保持」と称することがある。)。保持温度Tが80℃未満であると、熱伝導度や電気伝導度の向上効果が不充分となり、一方、300℃を超えると、装置等に取り付けて使用する際に用いられる樹脂接着剤やはんだが高温によって劣化する等の問題が生じる。なお、保持温度に昇温する手段としては、前述したように、例えば、装置への取り付けに樹脂接着剤やはんだを用いた場合であれば、それらを硬化させるための加熱や硬化によるそれら自体の発熱を利用することが望ましいのであるが、各種加熱機器など従来公知の加熱手段を採用しても何ら差し支えない。
高温保持の際の保持時間は0.5〜240時間である。保持時間が0.5時間未満であると、熱伝導度や電気伝導度を充分に向上させることができず、一方、240時間を超えると、生産性が低下して実用的でなくなる。
冷間加工後の高温保持により最終的に得られる熱伝導度や電気伝導度は、高純度アルミニウム材が含有する元素の種類と量および冷間加工率に依存する。つまり、高純度アルミニウム材中に含有する元素量が少ないほど、最終的に到達する熱伝導度や電気伝導度が高くなり、他方、冷間加工率が高いほど、冷間加工後の保持温度がより低い場合にも熱伝導度や電気伝導度を向上させやすくなる傾向がある。
一般に、高純度アルミニウム材に主に含まれる元素としては、シリコン、鉄、銅が挙げられる(以下、これら3元素を纏めて「(I)群元素」と称することもある)。本発明において、これら3元素の各含有量は、それぞれ、シリコン含有量(CSi)が30質量ppm以下、鉄含有量(CFe)が2質量ppm以下、銅含有量(CCu)が3質量ppm以下である。(I)群元素の各含有量(CSi)、(CFe)、(CCu)のいずれかが前記範囲を超えると、冷間加工で硬質材としたことにより低下した熱伝導度や電気伝導度が、冷間加工後の高温保持の際に80〜300℃程度の熱で充分に向上しない。なお、シリコン含有量(CSi)は、あまりにも少なすぎる場合、硬質材にしても室温において充分な強度が得られず軟質化してしまうおそれがあるので、シリコン含有量(CSi)は3質量ppm以上であるのがよい。
さらに、一般的な高純度アルミニウム材には、前記(I)群元素以外の元素が含有されていることがある。本発明においては、種々の元素の中でも、B、Na、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Co、Zn、Ga、As、Zr、Mo、Sn、Sb、La、Ce、NdおよびPbの各元素(以下、これらの元素を纏めて「(II)群元素」と称することもある)に関し、各元素の含有量がそれぞれ1質量ppm以下であり、含有量総和が3質量ppm以下である。(II)群元素の各含有量およびその総量のいずれかが前記範囲を超えると、冷間加工で硬質材としたことにより低下した熱伝導度や電気伝導度が、冷間加工後の高温保持の際に80〜300℃程度の熱で充分に向上しない。
一般に、高純度アルミニウム材は、例えば、高純度アルミニウムを連続鋳造や重力鋳造する方法によって製造することができる。具体的には、高純度アルミニウムを加熱して溶融し、これに必要に応じてマグネシウムやシリコン等を添加して溶湯を得、この溶湯を鋳型内で冷却し固化すればよい。高純度アルミニウムとしては、純度99.99質量%以上のものを用いればよい。このような純度の高純度アルミニウムを用いることで、得られる高純度アルミニウム材に含まれる各元素の含有量を容易に前述の範囲とすることができる。添加するマグネシウムおよびシリコンは、通常、金属状態で添加される。マグネシウムおよびシリコンとしては、それぞれ純度が99.9質量%以上のものを用いることが好ましい。高純度アルミニウムを溶融するには、例えば黒鉛製の坩堝やアルミナ質のレンガを用いた溶解炉の中で加熱すればよい。また、溶湯の温度は通常700〜800℃であるのがよい。
冷間加工に供する高純度アルミニウム材には、含有元素の量が前記範囲になるよう、三層電解法や偏析精製法など公知の方法で適宜精製されたものを用いるのがよい。精製は、1段で行なってもよいし、複数段で行なってもよい。
冷間加工に供する高純度アルミニウム材は、例えば鋳型内で冷却固化して得た鋳塊材を塑性加工することで得ることができる。塑性加工としては、例えば圧延、鍛造などが挙げられる。鋳塊材を塑性加工するには、例えば鋳塊材を板状に切り出し、圧延、鍛造などの方法により塑性加工すればよい。塑性加工温度は通常200℃以上500℃以下程度であるのがよい。
本発明において、冷間加工率W(%)は下記式(1)を満たすことが重要である。
Figure 0005086598
ただし、式(1)において、CSiは前記高純度アルミニウム材中のシリコン含有量(質量ppm)であり、CFeは前記高純度アルミニウム材中の鉄含有量(質量ppm)であり、CCuは前記高純度アルミニウム材中の銅含有量(質量ppm)であり、Tは、前記保持温度である。
冷間加工率Wが式(1)に示される下限値(すなわち、 1.5×(CSi+CFe+CCu)−(T/10)+65で計算される値(%))未満であると、冷間加工で硬質材としたことにより低下した熱伝導度や電気伝導度が、冷間加工後の高温保持の際に80〜300℃程度の熱で充分に向上しない。一方、冷間加工率Wが99%を超えると、冷間加工後に硬質化しにくくなり、充分な強度が得られずハンドリング性に欠けることとなる。なお、冷間加工率Wが前記下限値以上であっても、冷間加工率Wがあまりに低すぎると、取り扱い性が悪くなる傾向があるので、冷間加工率Wは少なくとも40%以上であることが好ましい。
本発明において、冷間加工率は、冷間加工前の材料の断面積S0と冷間加工後の断面積Sとの差を加工前の材料の断面積S0で割った値を百分率(%)で表したものである。具体的には、実施例で後述する方法で算出すればよい。
本発明において、冷間加工温度は、50℃以下でなければならない。冷間加工温度が50℃を超えると、冷間加工によって得られる高純度アルミニウム材が硬質材ではなく軟質材となり、取り扱いが困難になる。なお、冷間加工温度の下限については、特に制限はないが、−20℃以下での冷間加工は作業上困難になるので、通常は−20℃を超える温度とされる。冷間加工温度は、好ましくは0〜40℃であるのがよい。
本発明における冷間加工材は、極低温における熱伝導度と電気伝導度とが高いものである。具体的には、成型加工時等には硬質材で取り扱いやすく、80℃以上300℃以下の範囲にある保持温度T(℃)で一定時間保持するだけで、5,000W/m/K以上の高い熱伝導度と比抵抗値20×10-12Ω・m以下の高い電気伝導度が得られる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
以下の実施例および比較例においては、高純度アルミニウム材として、下記材料A〜Eのうちのいずれかを使用した。なお、材料A〜E中の各元素含有量について、グロー放電質量分析法(サーモエレクトロン社製「VG9000」を使用)にて分析した結果を表1および表2に示す。
材料A:純度99.92質量%の普通アルミニウムを三層電解法により精製し、さらに偏析精製法によって2段精製して得られたもの。
材料B:純度99.92質量%の普通アルミニウムを三層電解法により精製して得られたもの。
材料C:純度99.92質量%の普通アルミニウムを三層電解法により精製し、Siとして純度99.9999質量%のポリシリコンを15質量ppm添加して得られたもの。
材料D:純度99.92質量%の普通アルミニウムを三層電解法により精製し、Feとして純度99質量%の純鉄を3質量ppm添加して得られたもの。
材料E:純度99.92質量%の普通アルミニウムを三層電解法により精製し、Siとして純度99.9999質量%のポリシリコン17質量ppmと、Cuとして純度99.9質量%の電気銅を10質量ppmとを添加して得られたもの。
Figure 0005086598
Figure 0005086598
以下の実施例および比較例において、熱間または冷間圧延の際の加工率は、加工前の断面積(S0)と加工後の断面積(S)とから、下記式(2)に基づき算出した。
Figure 0005086598
以下の実施例および比較例において、熱伝導度は、下記式で示されるヴィーデマン−フランツの法則(すなわち、極低温におけるアルミニウムの熱伝導度は電気抵抗と反比例するという法則)に基づき、極低温での電気抵抗(比抵抗値)を測定し、下記式(3)から熱伝導度を算出した。
Figure 0005086598
但し、λ:熱伝導率(W/m/K)
ρ:比抵抗(Ω・m)
T:温度(K)
L:Lorenz定数(2.45×10-8(W・Ω/K2))
なお、本明細書において、「軟質」とはビッカース硬度(Hv)が25未満である状態をいい、「硬質」とはビッカース硬度(Hv)が25以上である状態をいうものとする。
(実施例1)
まず、高純度アルミニウム材の鋳塊材を製造した。すなわち、黒鉛製坩堝に材料Aを入れ、750℃に加熱して溶融させ、アルミニウム製の連続鋳造鋳型(内寸法:縦210mm×横300mm)を用いて50mm/分の鋳造速度で鋳造し、長さ2000mmの鋳塊材を得た。
次に、上記で得られた鋳塊材を幅300mm×長さ1500mm×厚み200mmの形状に切り出し、これを500℃に加熱し、3.3mmの厚みになるまで加工率98%の熱間圧延を行い、幅300mm×長さ90m×厚み3.3mmの熱間圧延板を得た。
次いで、厚み3.3mmの熱間圧延板を1m切り出し、約30℃において0.33mmの厚みとなるまで加工率90%の冷間圧延を行い、幅300mm×長さ10m×厚み0.33mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が33の硬質であり、良好な取り扱い性を有していた。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を130℃で15時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が21の軟質であり、4.2Kでの比抵抗値は3.6×10-12Ω・m、熱伝導度は28,000W/m/Kであった。
(実施例2)
実施例1における冷間加工後の加熱処理の温度を200℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が21の軟質であり、4.2Kでの比抵抗値は3.4×10-12Ω・m、熱伝導度は30,000W/m/Kであった。
(実施例3)
材料Aに替えて材料Bを用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、厚み3.3mmの熱間圧延板を得、これを1m切り出し、約30℃において1mmの厚みとなるまで加工率70%の冷間圧延を行い、幅300mm×長さ3.3m×厚み1mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が29の硬質であり、良好な取り扱い性を有していた。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を200℃で1時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が23の軟質であり、4.2Kでの比抵抗値は9.0×10-12Ω・m、熱伝導度は11,000W/m/Kであった。
(実施例4)
実施例3における冷間加工後の加熱処理の温度を300℃に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が21の軟質であり、4.2Kでの比抵抗値は7.8×10-12Ω・m、熱伝導度は13,000W/m/Kであった。
(実施例5)
材料Aに替えて材料Cを用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、厚み3.3mmの熱間圧延板を得、これを1m切り出し、約30℃において0.33mmの厚みとなるまで加工率90%の冷間圧延を行い、幅300mm×長さ10m×厚み0.33mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が34の硬質であり、良好な取り扱い性を有していた。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を100℃で1時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が21の軟質であった。
(実施例6)
実施例5で得られた厚み3.3mmの熱間圧延板を1m切り出し、約30℃において1mmの厚みとなるまで加工率70%の冷間圧延を行い、幅300mm×長さ3.3m×厚み1mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が31の硬質であり、良好な取り扱い性を有していた。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を300℃で1時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が22の軟質であり、4.2Kでの比抵抗値は1.8×10-11Ω・m、熱伝導度は6,000W/m/Kであった。
(比較例1)
実施例1で得られた厚み3.3mmの熱間圧延板を1m切り出し、約30℃において1.65mmの厚みとなるまで加工率50%の冷間圧延を行い、幅300mm×長さ2m×厚み1.65mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が28の硬質であった。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を100℃で1時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が25で硬質のままであった。
(比較例2)
実施例3で得られた厚み3.3mmの熱間圧延板を1m切り出し、約30℃において2mmの厚みとなるまで加工率40%の冷間圧延を行い、幅300mm×長さ1.7m×厚み2mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が27の硬質であった。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を300℃で1時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が25で硬質のままであった。
(比較例3)
実施例6における冷間加工後の加熱処理の温度を200℃に変更したこと以外は、実施例6と同様にして、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、ビッカース硬度が30の硬質のままであった。
(比較例4)
材料Cに替えて材料Dを用いたこと以外は実施例6と同じ方法で、幅300mm×長さ3.3m×厚み1mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が31の硬質であった。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を300℃で1時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、4.2Kでの比抵抗値が2.1×10-11Ω・m、熱伝導度が4,900W/m/Kであった。
(比較例5)
材料Aに替えて材料Eを用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、幅300mm×長さ10m×厚み0.33mmの冷間圧延板を得た。得られた冷間圧延板は、圧延直後のビッカース硬度が34の硬質であった。
冷間加工後、得られた冷間圧延板を300℃で1時間加熱処理し、その後、室温で放冷して、冷間加工材を得た。得られた冷間加工材は、4.2Kでの比抵抗値が2.2×10-11Ω・m、熱伝導度が4,600W/m/Kであった。

Claims (1)

  1. 高純度アルミニウム材が冷間加工されてなる冷間加工材であって、
    前記高純度アルミニウム材は、シリコン含有量(CSi)が30質量ppm以下、鉄含有量(CFe)が2質量ppm以下、銅含有量(CCu)が3質量ppm以下であり、かつ、B、Na、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Co、Zn、Ga、As、Zr、Mo、Sn、Sb、La、Ce、NdおよびPbの各元素に関し、含有量総和が3質量ppm以下、各元素の含有量がそれぞれ1質量ppm以下であり、
    冷間加工温度50℃以下で、冷間加工率W(%)下記式(1)を満た冷間加工された後、80℃以上300℃以下の範囲にある保持温度T(℃)において0.5〜240時間保持されたことにより、ビッカース硬度が25未満となった、ことを特徴とする冷間加工材。
    Figure 0005086598
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