JP5083753B2 - 4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの新規製造方法 - Google Patents

4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの新規製造方法 Download PDF

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本発明は、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの新規製造方法に関する。
テトラメチルテトラセレナフルバレン(TMTSF)は、有機分子で初めての超伝導体を与えた分子であり、1980年に、超伝導臨界温度(Tc)を0.9Kで示す有機超伝導体の有機ドナー分子であることが見出された。その後の研究によって、ある種の陰イオンを配位したTMTSF錯体が合成され、最高Tcが1.4K(常圧)、3K(5kbar)を示す超伝導体まで改善されるに至った(非特許文献1)。
TMTSFは、中間原料である4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンから、トリアルコキシホスフィンを作用させることによって、下記のスキームで合成されることが知られており、現在に至るまで4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンが唯一の合成原料となっている。
Figure 0005083753
従来、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンは、二セレン化炭素(CSe)またはセレン化水素ガス(HSe)を出発原料として合成されている。
二セレン化炭素を用いて4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンを合成する方法は、非特許文献2〜4に開示されている。ここで二セレン化炭素は、塩化メチレンとセレンを550℃に加熱することによって合成されうる(非特許文献4)。二セレン化炭素を用いた4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの合成は、例えば以下の反応で行われる(非特許文献3)。
Figure 0005083753
しかし、二セレン化炭素は、毒性が高く常温保存できず、また市販の試薬としての入手が不可能な試薬であり、それを合成するには、上記のとおり、500℃以上という高温での反応を行う必要がある。
一方、セレン化水素ガスを用いて4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンを合成する方法は、非特許文献5〜8に開示されている。
例えば、下記のスキーム:
Figure 0005083753
によって合成されうる(非特許文献6)。
しかし、セレン化水素ガスは、猛毒でその取り扱いに届出が必要であり、わが国では高圧ガス保安法により特殊高圧ガスに指定されている。
また、上記スキームの1〜2段目は、
Figure 0005083753
で表される反応に置き換えることができる(非特許文献8)。しかし、当該反応では、二段目のイミニウム塩の純度などに大きく左右され、収率の再現性に乏しいこと、および実際の反応では容器中でセレン化水素ガスが副生物として生成するため、合成にあたってはセレン化水素ガスを使用した合成法と全く同じ安全策を講じる必要がある。
1980年代までは、比較的多くの研究グループにおいて二セレン化炭素またはセレン化水素ガスが使用されていたが、近年急速に高まってきた環境保護と有毒試薬の管理強化の観点から、今後新たにこれらの化学物質を出発原料として、従来法による4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの合成を行うことは困難な状態にある。
ところで、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンと構造が類似している4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジチオール−2−チオン、4,5−ビス−ブロモメチル−[1,3]ジチオール−2−チオンの合成法は、それぞれ非特許文献9および10に開示されている。
4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジチオール−2−チオンは、
Figure 0005083753
で表される反応で合成される(非特許文献9)。
また、4,5−ビス−ブロモメチル−[1,3]ジチオール−2−チオンは、
Figure 0005083753
で表される反応で合成される(非特許文献10)。
斉藤軍治著、有機導電体の化学、丸善(2003年) K.Bechgaard, D.O.Cowan and A.N.Bloch, Chem. Commun., 937−938(1974) K.Bechgaard,D.O.Cowan and A.N.Bloch, J.Org.Chem.,40, 746−749(1975) F.Ogura and K.Takimiya, Organoselenium Chemistry:A Practical Approach, T.G. Back Ed., Ch.14, Preparation of organic conductors, Protocol 4,pp.263−266, Ixford University Press, Oxford(1999) F.Wudl,D.Nalewajek,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,866−866(1980) L.Chiang, T.O.Poehler, A.N.Bloch, D.O.Cowan, J.Chem..Soc.,Chem.Commun.,866−867(1980) J.M.Braam, C.D.Carlson, D.A.Stephens, A.E.Rehan, S.J.Compton, J.M.Williams,Inorganic Syntheses,24,131−134(1986) A.Moradpour, V.Peyrussan, I.Johansen, K.Bechgaard, J.Org.Chem.,48,388−389(1983) M.A.Fox, H.−l.Pang, J.Org.Chem.,59,6519−6527(1994) J.O.Jeppesen, K.Takimiya, F.Jensen, T.Brimert, K.Nielsen, N.Thorup, J.Becher, J.Org.Chem.,65,5794−5805(2000)
本発明の目的は、二セレン化炭素またはセレン化水素を使用する従来の合成法の代替となる、より安全で、穏和な条件で合成でき、工業化が容易な、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの新規製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、合成経路について鋭意検討した結果、2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルを出発原料として穏和な条件下で4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンを合成できる方法を見出し、本発明を完成した。
本発明の特徴は、以下の通りである。
本発明は、第1の態様において、下記の式(4):
Figure 0005083753
で表される4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンの製造方法を提供する。この方法は、下記の(a)〜(c)の工程:
(a)式(1):
Figure 0005083753
(式中、RおよびRは独立に、同じまたは異なるアルキル基を表わす)で表される2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルを、アルカリハライドの存在下、還元剤と反応させて、式(2):
Figure 0005083753
で表される4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを合成する工程、
(b)式(2)の化合物をハロゲン化剤と反応させて、式(3):
Figure 0005083753
(式中、Xはハロゲン原子を表わす)で表される4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを合成する工程、および、
(c)式(3)の化合物を、還元剤と反応させて、式(4)の化合物を合成する工程
を含むことを特徴とする。
本発明の実施形態において、上記工程(a)および工程(c)で使用する還元剤が、ヒドリド還元剤である。
本発明はまた、第2の態様において、下記の式(6):
Figure 0005083753
で表される4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの製造方法を提供し、この方法は、下記の工程(d)および(e):
(d)式(4):
Figure 0005083753
で表される4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを、メチル化剤MeL(ここで、Meはメチル基を表わし、Lはアニオン性脱離基を表わす)と反応させ、次いで脂肪族または環状二級アミンR-NH-R(ここで、RおよびRは独立に、同じまたは異なるアルキル基を表わすか、あるいは、RとRは一緒になって、1もしくは複数の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含んでもよい飽和または不飽和の5員〜7員環状二級アミンを形成する)と反応させて、式(5):
Figure 0005083753
で表される化合物を合成する工程、および、
(e)式(5)の化合物を、セレン化水素またはその塩と反応させて、式(6)の化合物を合成する工程
を含むことを特徴とする。
本発明はさらに、第3の態様において、上記式(2)で表わされる新規の化合物である4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを提供する。
本発明はさらに、第4の態様において、上記式(3)で表わされる4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンからなる新規の化合物を提供する。
本発明の実施形態により、上記式(3)中、Xが塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子、好ましくは臭素原子、である。
本発明の方法によれば、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンを安全で穏和な条件下で合成でき、工業化が容易となる。
〔1〕 2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルの製造方法
出発原料となる、2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルは、公知の方法、例えばC.M.Bolinger等の文献(C.M.Bolinger,T.B.Rauchfuss,Inorg.Chem.,21,3947−3954 (1982))に記載の下記スキームを利用して単体セレン粉末から誘導しうる。
Figure 0005083753
単体セレン粉末から容易に誘導されるチタノセンペンタセレニドを出発物質として2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジメチルエステル()を合成する。
化合物()は、例えば塩酸−酢酸などの酸性条件下で加水分解することによって遊離ジカルボン酸とすることができる。これをさらに、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、などのアルコール類と、酸性触媒下でエステル化反応を行うことによって、一般式(1)の2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルを生成することができる。
あるいは、上記スキームにおいて、DMAD(アセチレンジカルボン酸ジメチル)に代えて、DEAD(アセチレンジカルボン酸ジエチル)を使用するときには、ジエチルエステル、2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジエチルエステルを合成することができる。
上記一般式(1)の化合物において、アルキル基は、置換または未置換のアルキル基、好ましくは直鎖または分枝鎖C1〜C8アルキル基、より好ましくは未置換の直鎖C1〜C4アルキル基;置換または未置換の5員〜7員シクロアルキニル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシルなど;置換または未置換のフェニルアルケニル基、例えばベンジル、フェネチルなどを含むが、これらに限定されないものとする。
〔2〕 4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンの製造方法
上記方法で合成した一般式(1)の2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルを出発物質として、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()が下記スキームにより合成される。
Figure 0005083753
(i)一般式(1)の化合物からの化合物()の合成
一般式(1)の2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルから4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()への還元反応は、アルカリハライドの存在下、適切な還元剤を用いて行うことができる。
アルカリハライドは、反応促進剤であり、リチウムハライド以外のアルカリハライド、例えばナトリウムハライド、カリウムハライド、を好適に用いることができる。
還元剤は、存在する二重結合を還元しないでエステル基のみを選択的にアルコールへ還元する剤であれば特に限定されない。そのような還元剤の例は、ヒドリド還元剤、ジボランなどである。ヒドリド還元剤の水素は、求核性の高いヒドリドイオンとして作用し、エステルのカルボニル基を求核攻撃してアルコールへ還元する能力を有しているし、また、ハロゲン原子を水素に置換する能力も有している。ヒドリド還元剤の例は、ホウ水素化還元剤であり、例えば水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBHCN)、テトラヒドロホウ酸テトラアルキルアンモニウム(例えば、アルキル基はブチルなどである)、水素化ホウ素リチウム、水素化トリアルキルホウ素リチウム(例えば、アルキル基はエチル、sec−ブチルなどである)、水素化トリアルキルホウ素カリウム(例えば、アルキル基はsec−ブチルなどである)、水素化ホウ素亜鉛、などを含むが、これらに限定されない。しかし、還元剤としてアルミニウム還元剤は好ましくない。
溶媒は、エーテルとアルコールの混合用液が好ましく、特に好ましくは、テトラヒドロフランと脱水エタノールの混合溶液である。エーテルは、例えば脂肪族エーテルまたは環状エーテルを好適に用いることができ、脂肪族エーテルの例としてジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、メチル−t−ブチルエーテルを挙げることができ、また環状エーテルの例として、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフランを挙げることができる。また、アルコールは、アルカリハライドを溶解することができるならばいかなるものでもよいが、1級または2級アルコールを好適に用いることができる。アルコールは、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−プロパノール、2−ブタノールなどが挙げられるが、特にエタノールが好ましい。
2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルとアルカリハライドの適量を溶媒に溶解し、還元剤を、2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルに対して2〜10当量添加し、攪拌しながら反応させる。反応温度は、約−20〜10℃、例えば0±5℃が好ましい。また、原料の減少を、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や薄層クロマトグラフィーにてモニターすることによって、反応の終点を捉えることができる。
生成物()の精製は、例えば次のように行うことができる。水を添加して反応を停止し、酢酸エチルなどの溶媒で生成物を抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を除去する。粗生成物は、シリカゲルクロマトグラフィー、HPLC、薄層クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、結晶化などの慣用技術を用いてさらに精製することができる。さらに、精製物は、NMR、IR、Massなどのスペクトル分析、元素分析などによって同定することができる。
なお、上記方法で合成された4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()は、新規化合物であり、これは本発明の範囲に包含される。
(ii)化合物()からの化合物()の合成
4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()から4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を合成する反応には、水酸基をハロゲン(特に、Cl、BrまたはI)に変換するためのハロゲン化剤が使用される。ハロゲン化剤は、以下のものに限定されないが、例えばPBr、HBr、BBr、PCl、PCl、HCl、HI、ヨウ化カリウム−リン酸などを含む。
溶媒は、エーテルが好ましく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、*ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、メチル−t−ブチルエーテル、ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフランなどを含む。
4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を溶媒に溶解して冷却し、ハロゲン化剤を化合物()に対して2〜3当量添加し、攪拌しながら反応させる。反応温度は、約0±5℃が好ましい。また、原料の減少を、例えばHPLCや薄層クロマトグラフィーにてモニターすることによって、反応の終点を捉えることができる。
生成物()の精製は、例えば以下のようにして行うことができる。溶媒を留去し、残渣を塩化メチレンなどの溶媒に溶解し、有機層を水で洗浄し、乾燥剤として例えば無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、次に乾燥剤を除去して濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー、HPLC、薄層クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、結晶化などの慣用技術を用いて精製することができる。さらに、精製物は、NMR、IR、Massなどのスペクトル分析、元素分析などによって同定することができる。
なお、上記方法で合成された4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()(ここで、ハロゲンは、Cl、BrまたはIである)は新規化合物であり、本発明に包含される。
(iii)化合物()からの化合物()の合成
4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()から4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()の合成は、上記と同様の還元剤、好ましくはヒドリド還元剤を用いて行うことができる。エーテル溶媒系に溶解しうるヒドリド還元剤の使用が好ましく、この点では、好ましいヒドリド還元剤は、テトラヒドロホウ酸テトラアルキルアンモニウム(ここで、好ましいアルキル基はC1〜C4アルキル基である)、より好ましくはテトラヒドロホウ酸テトラブチルアンモニウム(TBA−BH)である。
溶媒としては、脂肪族または環状エーテルが好ましく、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、メチル−t−ブチルエーテルなどの脂肪族エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテルが含まれる。
4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を溶媒に溶解して冷却し、還元剤を溶媒に溶解した溶液を、化合物()に対して2〜3当量添加し、攪拌しながら反応させる。反応温度は約0±5℃が好ましい。また、原料の減少を、例えばHPLCや薄層クロマトグラフィーにてモニターすることによって、反応の終点を捉えることができる。
生成物()の精製は、例えば以下のようにして行うことができる。塩酸を加えて反応を停止させ、炭酸水素ナトリウム水溶液などのアルカリ液を加えて反応混合液を中性にし、溶媒を留去した後、ハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば塩化メチレンを加えて抽出し、得られた有機層を水で洗浄し、乾燥剤として例えば無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥する。乾燥剤を除去し濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー、HPLC、薄層クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、結晶化などの慣用技術を用いて精製することができる。さらに、精製物は、NMR、IR、Massなどのスペクトル分析、元素分析などによって同定することができる。
〔3〕 4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの製造方法
上記方法で合成した4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を出発物質として、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロン()が下記スキームにより合成される。
Figure 0005083753
(iv)化合物()からの化合物()の合成
4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()からトリフルオロメタンスルホン酸4−(4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−イリデン)−モルホリン−4−イウム()の合成は、CFSOMeで表されるメチル化剤で処理した後、モルフォリンを反応させることによって行われる。メチル化剤は、化合物()のメチルスルフォニウム塩を形成するものであれば、いかなるメチル化剤であってもよく、CFSOMe以外に、例えばFSOMe、RfSOMe(ここで、Rfはパーフルオロアルキル基を表わす)、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、テトラフルオロほう酸トリメチルオキソニウムなども用いることができる。
上記の方法では、モルホリン(Morpholine)が2級アミンとして使用されたが、他の2級アミン、例えば脂肪族アミンまたは環状アミンでもよく、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、チオモルホリンなども使用できる。この場合には、以下の一般式(5):
Figure 0005083753
(式中、Lは、アニオン性脱離基を表わし、RおよびRは独立に、同じまたは異なるアルキル基を表わすか、あるいは、RとRは一緒になって、1もしくは複数の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含んでもよい飽和または不飽和の5員〜7員環状二級アミンを形成する)で表わされる化合物が生成する。
すなわち、上記反応式を一般的に表わすと、化合物()をメチル化剤MeL(ここで、Meはメチル基を表わし、Lはアニオン性脱離基を表わす)と反応させ、次いで脂肪族または環状二級アミンR-NH-R(ここで、RおよびRは独立に、同じまたは異なるアルキル基を表わすか、あるいは、RとRは一緒になって、1もしくは複数の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含んでもよい飽和または不飽和の5員〜7員環状二級アミンを形成する)と反応させることによって、上記一般式()の化合物を得ることができる。
4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を、ハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば塩化メチレンに溶解し冷却する。メチル化剤を化合物()に対して1〜3当量添加し、攪拌しながら反応させる。反応温度は約0±5℃が好ましい。ジエチルエーテルを加えてメチルスルホニウム塩を沈殿させ、更に約0±5℃で例えば約30分攪拌した後、室温に昇温する。さらにジエチルエーテルを加えて沈殿の生成を完了させ、上澄を除去し、沈殿物を洗浄し、乾燥し、アセトニトリルに溶解して、約0±5℃に冷却する。2級アミンを4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()に対して1〜1.5当量添加し、攪拌して反応させる。反応温度は約0±5℃が好ましい。室温に昇温し、このときメタンチオールガスが発生するので、その発生を完了させる。溶媒を留去し、得られた液体をアセトニトリルに溶解し、ジエチルエーテルを加えると、一般式()の化合物の沈殿が得られる。生成物は、再結晶を用いて精製することができる。さらに、精製物は、NMR、IR、Massなどのスペクトル分析、元素分析などによって同定することができる。
(v)化合物()からの化合物()の合成
トリフルオロメタンスルホン酸4−(4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−イリデン)−モルホリン−4−イウム()などの一般式(5)の化合物から4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロン()の合成は、セレン化水素(HSe)またはその塩を用いて行うことが出来るが、セレン化水素のアルカリ塩の使用が好ましく、例えばセレン化水素ナトリウム(NaSeH)、セレン化水素カリウム(KSeH)、セレン化ナトリウム(NaSe)、セレン化カリウム(KSe)などを用いて行うことができる。
好ましい溶媒は、アルコールと酢酸の混合溶液である。アルコールは、エタノールが好ましく、例えばn−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールも使用できる。また酢酸に代えて、例えばプロピオン酸、酪酸などの有機酸も使用できる。
一般式(5)の化合物を、溶媒に懸濁し、約−30℃〜約−20℃に冷却する。セレン粉末、水酸化ホウ素ナトリウムおよびエタノールから合成したセレン化水素ナトリウムのエタノール溶液を調製し、一般式(5)の化合物に対してセレン化水素ナトリウムが約1〜1.2当量になるように添加し、反応させる。反応温度は約−30℃〜約−20℃が好ましい。懸濁液の色の変化(例えば黄橙色から赤橙色)を指標にして反応の進行を確認することができる。室温に昇温した後、反応混合液を水に注ぎ、ハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば塩化メチレンなどの溶媒を用いて生成物を抽出し、得られた有機層を水で洗浄し、例えば無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥する。溶媒を除去すると、分析に十分な純度の4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロン()が赤色結晶として得られ、NMR、IR、Massなどのスペクトル分析、元素分析などによって同定することができる。また、適当な溶媒を用いた再結晶により、さらに精製することが出来る。
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって制限されないものとする。
<4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()の合成>
不活性ガス雰囲気下、2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジメチルエステル()(4.01g、11.6mmol)と塩化リチウム(888mg、2.09mmol)を80mlのテトラヒドロフランと40mlの脱水エタノールの混合溶液に溶解した後、0℃に冷却した。4.48gの水素化ほう素ナトリウム(110mmol)を0℃で10分間かけて少しずつ加えた。0℃で1.5時間撹拌した後、5℃の冷水180mlを加えることにより反応を停止させ、酢酸エチル(150ml×3回)により生成物を抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水(150ml×2回)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(直径70mmφ、長さ365mm)を用いて精製した。展開溶媒としては、展開開始時には酢酸エチル−塩化メチレン(9:1)の混合溶媒を使用し、続いて酢酸エチルのみを用いて展開を行った。2番目に流出する黄色のバンドを採取し、減圧下で溶媒を留去すると、1.52gの目的物4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()が山吹色の結晶として得られた(5.28mmol、収率46%、直前の原料化合物に対する収率を示す。以下同様)。
:山吹色結晶、mp 146℃; m/z (EI, 70 eV): 290 (M+ 290 for C5H6O2S80Se2); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 4.64 (d, 4H, J = 5.6 Hz), 5.07 (t, 2H, J = 5.6 Hz); 13C-NMR (100 MHz) 60.86, 147.79, 219.83; IR(neat) ν(cm-1) 791(m), 947(m), 976(m), 1024(s), 1157(s), 1221(m), 1296(m), 1341(m), 1345(m), 1472(m), 2842(m), 2896(m), 3156(br s); 元素分析: C5H6O2SSe2に関する計算値: C, 20.85; H, 2.10. 実験値: C, 20.91; H, 2.13%. X線結晶構造解析データ: 晶系:monoclinic, 空間群:C2/c, 格子定数:a = 13.883(4)Å, b = 9.024(2)Å, c = 13.165(3)Å, β = 100.781(4)°, V = 1620.1(7)Å3.
<4,5−ビス−ブロモメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()の合成>
不活性ガス雰囲気下、1.11g(3.84mmol)の4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を20mlのテトラヒドロフランに溶解した後0℃に冷却した。0.81mlの三臭化リン(8.5mmol)を0℃で5分間かけて滴下した。滴下終了後0℃で30分間撹拌した後、さらに室温で90分間撹拌した。減圧下で溶媒を留去した後、残渣を250mlの塩化メチレンに溶解して分液ロートに移した。有機層を48mlの希塩酸(2M)、引き続き水(200ml×2回)で洗浄を行った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(直径45mmφ、長さ105mm)を用いて精製した。展開溶媒としては塩化メチレンを使用し、最初に流出する黄橙色のバンドを採取し、減圧下溶媒を留去すると、1.27gの目的物4,5−ビス−ブロモメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()が黄橙色の結晶として得られた(3.06mmol、収率80%)。
: 黄橙色結晶、mp 134℃; m/z (EI, 70 eV): 414 (M+414 for C5H4Br2S80Se2); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 4.40 (s, 4H); 13C-NMR (100 MHz) 23.18, 145.55, 211.23; IR(neat) ν(cm-1) 685(s), 770(s), 912(m), 1026(s), 1132(s), 1194(s), 1416(m), 1439(m), 1566(m), 1676(m), 2961(m), 3023(m);元素分析: C5H4Br2SSe2に関する計算値: C, 14.51; H, 0.97. 実験値: C, 14.50; H, 1.01%. X線結晶構造解析データ: 晶系:monoclinic, 空間群:C2/c, a = 7.464(3)Å, b = 17.638(6)Å, c = 7.846(3)Å, β = 113.241(7)°, V = 949.2(6)Å3.
<4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()の合成>
不活性ガス雰囲気下、2.02g(4.89mmol)の4,5−ビス−ブロモメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を150mlのテトラヒドロフランに溶解し0℃に冷却した。3.09g(11.8mmol)のテトラヒドロほう酸テトラブチルアンモニウムを50mlのテトラヒドロフランに溶解した溶液を、0℃で20分間かけて滴下した。0℃で50分間撹拌した後、100mlの希塩酸(1.0M)を0℃で加えて反応を停止させた。8.6gの炭酸水素ナトリウムと150mlの水により調製した炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応溶液を中性にした後、減圧下でテトラヒドロフランを留去した。得られた懸濁液に600mlの塩化メチレンを加えた後、分液ロートに移した。有機層を水(500ml×2回)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(直径60mmφ、長さ180mm)を用いて精製した。展開溶媒としては、展開開始時に二硫化炭素−ヘキサン(9:1)の混合溶液を使用し、続いて二硫化炭素のみで展開を行った。最初に流出する黄色のバンドを採取し、減圧下溶媒を留去すると、1.07gの目的物4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()が黄色の微結晶として得られた(4.17mmol,収率85%)。
: 黄色結晶、mp 103℃; m/z (EI, 70 eV): 258 (M+ 258 for C5H6S80Se2); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 2.23 (s, 6H); 13C-NMR (100 MHz) 15.63, 139.72, 216.63; IR(neat) ν(cm-1) 698(w), 725(w), 774(s), 814(w), 1007(br s), 1161(w), 1435(m), 1593(w), 2043(w), 2907(w);元素分析:C5H6SSe2に関する計算値: C, 23.45; H, 2.36. 実験値: C, 23.43; H, 2.39%. X線結晶構造解析データ: 晶系:orthorhombic, 空間群:Pnma, a = 11.861(4) Å, b = 10.827(3)Å, c = 6.0210(19) Å, V = 773.2(4) Å3.
<トリフルオロメタンスルホン酸4−(4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−イリデン)−モルホリン−4−イウム()の合成>
不活性ガス雰囲気下、1.54g(6.00mmol)の4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン()を8mlの塩化メチレンに溶解し0℃に冷却した。シリンジを用いて、1.33ml(12.0mmol)のトリフルオロスルホン酸メチルを0℃で5分間かけて加えた。生成した黄橙色の溶液を0℃で1時間撹拌した後、90mlのジエチルエーテルを加えると、黄色のメチルスルホニウム塩が沈殿した。生成した黄色の懸濁液を0℃で30分間撹拌した後、室温まで昇温した。60mlのジエチルエーテルを加えて沈殿の生成を完了させた後、上澄の溶液部分をデカンテーションにより取り除いた。黄色の沈殿をジエチルエーテルで洗浄した後(60ml×3回、デカンテーションによる)、減圧下で乾燥した。得られた黄色結晶を、塩化カルシウム乾燥管をつけたフラスコ中で8mlのアセトニトリルに溶解して0℃に冷却し、シリンジを用いて0.52ml(6.4mmol)のモルホリンを3分間かけて加えた。反応溶液を0℃で1.5時間撹拌し、その後室温まで昇温した。この間にメタンチオールガスの発生が認められた。塩化カルシウム乾燥管を真空ラインに接続した二方コックに交換し、メタンチオールガスの発生を完了させるためにゆっくりと反応溶液を減圧した。最終的に減圧下で溶媒を完全に留去した後、得られた薄茶色の液体を5mlのアセトニトリルに溶解した。この溶液に300mlのジエチルエーテルを加えることにより、目的物であるの白色沈殿が生成した。沈殿を濾取して減圧下で乾燥させると、2.09gのトリフルオロメタンスルホン酸4−(4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−イリデン)−モルホリン−4−イウム()が白色結晶として得られた(4.54mmol、収率76%)。
: 白色結晶、mp 132 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 2.33 (s, 6H), 3.75(m, 4H), 3.87(m, 4H); 13C-NMR (100 MHz) 15.77, 57.00, 64.46, 120.67(q, JC-F = 32 Hz), 133.12, 191.39; IR(neat) ν(cm-1) 633(s), 756(m), 804(w), 876(m), 1026(s), 1107(s), 1157(s), 1225(s), 1244(s), 1306(w), 1370(w), 1395(w), 1468(w), 1426(m), 1437(m), 1510(m), 1526(m), 1605(w);元素分析: C10H14F3NO4SSe2に関する計算値: C, 26.16; H, 3.07; N, 3.05. 実験値: C, 26.04; H, 3.00; N, 3.09%.
<4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロン()の合成>
不活性ガス雰囲気下、2.04g(4.45mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸4−(4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−イリデン)−モルホリン−4−イウム()を52mlのエタノール−酢酸(1:1)混合溶液に懸濁させ、−30℃に冷却した。804mgのセレン粉末と407mgの水素化ほう素ナトリウム、10mlの脱水エタノールから調製したセレン化水素ナトリウムのエタノール溶液4.9mlを−30℃で12分間かけて加えた。反応が進行するに従って、懸濁液の色は黄橙色から赤橙色へと変化した。2時間をかけて室温まで昇温した後、反応溶液を300mlの水に注いだ。溶液を分液ロートに移した後、塩化メチレンを用いて生成物を抽出した(250ml×1回、150ml×1回)。得られた有機層を水(300ml×3回)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下で濃縮・乾燥すると、1.29gの4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロン()が赤色結晶として得られた(4.25mmol、収率95%)。mp 151℃(参考:文献(K.Bechgaard,D.O.Cowan and A.N.Bloch,J. Org. Chem.,40,746−749(1975))に記載された値は149−150℃)。
本発明の方法は、テトラメチルテトラセレナフルバレン(TMTSF)および関連する非対称型テトラセレナフルバレン誘導体の合成原料となる、4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの製造のために使用できる。

Claims (5)

  1. 下記の式(4):
    Figure 0005083753
    で表される4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンの製造方法であって、該方法が、
    (a)式(1):
    Figure 0005083753
    (式中、RおよびRは独立に、同じまたは異なるアルキル基を表わす)で表される2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルを、アルカリハライドの存在下、ホウ水素化還元剤と反応させて、式(2):
    Figure 0005083753
    で表される4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを合成する工程、
    (b)式(2)の化合物をPBr 、PCl 、PCl 、HCl又はHBrと反応させて、式(3):
    Figure 0005083753
    (式中、Xはハロゲン原子を表わす)で表される4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを合成する工程、および、
    (c)式(3)の化合物を、ホウ水素化還元剤と反応させて、式(4)の化合物を合成する工程
    を含むことを特徴とする、上記方法。
  2. 下記の式(6):
    Figure 0005083753
    で表される4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−セロンの製造方法であって、
    (a)式(1):
    Figure 0005083753
    (式中、R およびR は独立に、同じまたは異なるアルキル基を表わす)で表される2−チオキソ−[1,3]ジセレノール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルエステルを、アルカリハライドの存在下、ホウ水素化還元剤と反応させて、式(2):
    Figure 0005083753
    で表される4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを合成する工程、
    (b)式(2)の化合物をPBr 、PCl 、PCl 、HCl又はHBrと反応させて、式(3):
    Figure 0005083753
    (式中、Xはハロゲン原子を表わす)で表される4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを合成する工程、
    (c)式(3)の化合物を、ホウ水素化還元剤と反応させて、式(4):
    Figure 0005083753
    で表される4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを合成する工程、
    (d)式(4):
    Figure 0005083753
    で表される4,5−ジメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンを、メチル化剤MeL(ここで、Meはメチル基を表わし、Lはアニオン性脱離基を表わす)と反応させ、次いで脂肪族または環状二級アミンR-NH-R(ここで、RおよびRは独立に、同じまたは異なるアルキル基を表わすか、あるいは、RとRは一緒になって、1もしくは複数の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含んでもよい飽和または不飽和の5員〜7員環状二級アミンを形成する)と反応させて、式(5):
    Figure 0005083753
    で表される化合物を合成する工程、および、
    (e)式(5)の化合物を、セレン化水素またはその塩と反応させて、式(6)の化合物を合成する工程
    を含むことを特徴とする、上記方法。
  3. (2)
    Figure 0005083753
    で表わされる4,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオン。
  4. (3)
    Figure 0005083753
    (ここで、Xが塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である)で表わされる4,5−ビス−ハロメチル−[1,3]ジセレノール−2−チオンからなる化合物。
  5. (3)中、Xが臭素原子である、請求項に記載の化合物。
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