JP5080848B2 - 細胞培養支持体とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は細胞シートを安定的に量産作製するための細胞培養支持体に関する。
細胞シートとは、細胞間結合で細胞同士が少なくとも単層で連結されたシート状の細胞集合体である。細胞シートは再生医療などで用いられる。細胞シートはシャーレなどの支持体上で細胞培養を行うことにより得られるが、支持体上で形成された細胞シートは接着分子などを介して支持体表面と強固に結合しているため、細胞−細胞間の結合を壊さずに培養支持体から細胞シートを迅速に剥離することは容易ではない。
そこで、細胞培養支持体から細胞シートを効率的に剥離する方法がこれまで検討されてきた。剥離方法は2つに大別できる。第一の方法は、酵素反応を用いて支持体と細胞間の結合を弱める方法である。第二の方法は、細胞接着力の弱い支持体や細胞接着力の変化する支持体を用いる方法である。
第一の方法は、具体的には、酵素を用いて、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)やコラーゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)といった細胞間接着分子(密着結合、接着結合、デスモゾーム結合、ギャップ結合、ヘミデスモゾーム結合)を構成するタンパク質や、培養物の周囲を取り巻くコラーゲン結合織や、細胞と支持体間に形成される細胞外マトリクス(Extracellular Matrix: ECM)を分解する方法である。この方法では細胞−支持体表面の結合だけでなく、細胞−細胞間の結合も弱まる。この方法は細胞培養の分野で古くから使われている。この方法で分解される結合物質は、培養される細胞、組織、器官において作られる物質であるから、剥離後においても一定の条件と期間で分解された結合物質を再生することができる。
しかしながら、結合物質の再生には時間がかかるという問題がある。また、この方法では、細胞シートが少なからず損傷を受けるため、再生医療に用いられる細胞シートの作出方法としては望ましくないといえる。
そこで、細胞接着力の弱い支持体や細胞接着力の変化する支持体を用いる第二の方法が新たに開発されている。
細胞接着力の弱い支持体としては特許文献1や特許文献2に開示されているものが挙げられる。これらの文献には、支持体表面にナノピラーと呼ばれる極微小の柱を立て、その上で培養を行う技術が開示されている。この技術では支持体と培養材料は非常に小さい面積でしか接着されず、回収剥離が容易でダメージも少ないとされる。
しかしながら非特許文献1及び2に記載されているように、細胞接着や接着した細胞の挙動は平面に接着する場合と凹凸表面に接着する場合とでは異なり、ナノピラー上では細胞の接着、伸展が遅くなったり、細胞表面から仮足が発生するという問題がある。また凹部が20μm以上の幅を有する場合には細胞が潜入してしまうという問題もある。
細胞接着力の変化する支持体として、細胞増殖表面を温度応答性ポリマーで被覆した支持体がある(特許文献3)。細胞接着力を変化させる目的には、温度応答性ポリマーを用いることが最も好ましいが、それ以外でもpH応答性ポリマーや、イオン応答性ポリマーを用いることもできる。特許文献1及び2では温度応答性ポリマーをナノピラーを用いた培養に組合せることが言及されている。細胞培養において温度応答性ポリマーを用いることについては特許文献4にも言及がある。
特許文献3には、温度応答性ポリマー層の製造方法として、電子線照射により、モノマーの重合反応と、温度応答性ポリマーの少なくとも一端を基材を構成する分子に共有結合させて基材表面に温度応答性ポリマーを固定化する(グラフト化する)反応とを行うグラフト重合法が記載されている。
一方、特許文献15には、上皮系細胞をセルカルチャーインサート用の多孔膜上で培養させる際に、その多孔膜を境に上層部及び下層部の双方を培地で満たし、細胞が培養されている間は常に多孔膜を介して培地が下層から細胞に供給されている上皮系細胞の重層化培養方法が開示されている。そして特許文献15では該多孔膜上に温度応答性ポリマーを配することが開示されている。特許文献15に開示されたインサート培養の手法は、生体内の環境と生理学的に類似したin vitro細胞培養をめざして透過性のある多孔膜上で細胞の培養を行い、in vivoでのプロセスと同様に、液体培地に含まれる成分が細胞の管腔側と基底膜側の両方に拡散することを可能にする方法である。インサート培養の手法を用いることにより、3次元培養、2種類の細胞の共培養、多孔膜を細胞が通過することを利用した細胞遊走/浸潤アッセイ、多孔膜を薬物が通過することを利用した薬物透過アッセイ等が可能になる。セルカルチャーインサートで下面にフィーダー細胞や細胞成長因子を置いてリリース培養した細胞シートは、フィーダーなしやシャーレ上に直接細胞成長因子を含むメジューム(培地)を満たして培養したものより、細胞の重層化を図ることができ、しかも、上下の配向性を整えることができる。例えば角膜上皮細胞は基底面を下に重層し、粘膜細胞では微絨毛を上に配向する。
特許文献17では、細胞シートを用いた心筋治療について温度応答性ポリマーを配した基材上で培養された心筋が細胞シートとして剥離され、移植可能な心筋細胞シートとして心臓の機能を向上させ、心臓の変形を抑制することが示されている。
ここで作製された心筋細胞シートは自拍動し、二層化した細胞シートは前述のECMで縫合なしに接着した上、拍動は短期間で同期することが非特許文献6に示されている。
ただし、ここで作製した自拍動する細胞シートは拍動方向がランダムで心筋治療に用いると、拍動配向した心臓に移植することで移植心臓の配向に揃うことや、心筋細胞シート単体でも外から力を与え、培養液中で伸収縮を繰返すことで伸収縮方向に配向が揃うことが解っている。
ただし、心筋細胞シート単体に伸収縮配向が出来るまで、基材から剥離した細胞シートを培養液で保持するとシートのECMは消失(消化)し、移植時の早い接着も拍動の伸収縮同期も置きにくいという問題点があった。
ところで本出願人は電子線材料による印刷塗膜技術の分野で防曇フィルムや化粧合板の多くの技術を有する。本出願人らは、電子線照射による印刷、コーティング、接着硬化に重合性オリゴマーやプレポリマーを添加した塗膜が優れた化粧塗膜特性を持っていることを見出している。(特許文献5)
特開2004−170935号公報 特開2005−168494号公報 特公平6−104061号公報 特開平5−192130号公報 特許第2856862号公報 特許第312660号公報 特許第3491917号公報 特開平9−12651号公報 特開平10−248557号公報 特開平11−349643号公報 特開2001−329183号公報 特開2002−18270号公報 特開平5−244938号公報 国際公開WO01/068799号パンフレット 特開2005−130838号公報 特開2006−320304号公報 特開2003−306434号公報 M. J. Dalby et al., Biomaterials 25 (2004) 5415-5422 C. C. Berry et al., Biomaterials 25 (2004) 5781-5788 W. D. Snyder et al., J. Am. Chem. Soc. 97, 4999(1967) L. F. Fieser et al., "Reagents for Organic Synthesis", Willey, New York, N.Y., 1967 O. H. Kwon, J. Biomed. Mater. Res., (2000) Apr.; 50(1):82-9 Y. Haraguchi et al., Biomaterials 27 (2006) 4765-4774
細胞培養支持体の基材表面に温度応答性ポリマー等の環境応答性ポリマーをグラフト化させる技術は多くの利点を有する。しかしながら基材を構成する材料に関しては未だ改良の余地がある。
放射線を用いて温度応答性ポリマーを基材表面にグラフト化させる場合の各種照射条件は、グラフト化されるポリマーが基材上に均一に存在するように決定される。しかしながら首尾よく基材表面上にポリマーが固定化され該ポリマーによる親疎水変化が起きても、基材を構成する材料によっては細胞シート剥離が進みにくいことがあった。
基材を構成する材料に関して、特許文献3や4には、被覆が施される支持体の材質は通常細胞培養に用いられるガラス、改質ガラス、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の物質のみならず、一般に形態付与が可能である物質、例えば上記以外の高分子化合物、セラミックス、金属類など全て用いることができ、その形状はペトリディッシュに限定されることは無く、プレート、ファイバー、(多孔質)粒子、また、一般に細胞培養等に用いられる容器の形状(フラスコ等)を付与されていても構わない、と記載されている。しなしながら、実際には、汎用基材としてシャーレに用いたポリスチレン以外では、スライドガラス表面やガラス表面にシランカップリング剤処理をした基材又は非特許文献5に記載の多孔質ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等での研究報告・学会発表があるだけである。
ガラス表面では、放射線による温度応答性グラフトポリマー表面が形成できることが解っているが、こうして形成された温度応答性グラフトポリマー表面はポリスチレンシャーレ表面のそれと比べ顕著な細胞シート剥離を示さないという問題があった。またシランカップリング剤で処理した基材表面に温度応答性ポリマーをグラフトした場合には、ポリスチレン表面に温度応答性ポリマーをグラフトした場合と比較して、温度応答性による顕著な細胞シート剥離が得られなくなったり、基材表面への細胞接着が悪くなり、良好な細胞シートの形成が出来なくなることが知られている。
またPETの微多孔質フィルムを用いて非特許文献5をトレースしたところ、製造の条件によっては温度応答性を示さないことが確認されている。有効なセルカルチャーインサート用の温度応答性細胞シート支持体の製造には、微多孔質フィルムの表面に温度応答性ポリマーを結合させ機能させる技術が不可欠であるが、そのような技術はこれまでには提供されていない。
また、本発明の予備実験として汎用プラスチックであるPET基材上に温度応答性グラフトポリマーを形成させたものを用いて細胞シートの培養を行ったところ、該基板は細胞シート剥離機能を有していないことが確認された。また、ポリカーボネートを基材した場合においても、ポリスチレンを基材とした場合に比べ親疎水変化も細胞シート剥離も弱いものであった。
特許文献17には「移植可能な哺乳動物心筋細胞シート」や「心筋再生治療法に用いる心筋細胞シート」の記載があるが、これらの技術はラット等の小動物で観察されたもので、哺乳動物でもヒト、ウシ、ブタなどの大動物での「移植」や「再生治療」においては、実施例にあるような2層に重層化した心筋細胞シートでは全身に血液を送り出すような収縮弛緩機能を持つ心筋組織の構築にはいくつもの問題点があった。
ひとつは、大動物の「移植」や「再生治療」には十分な強度と収縮弛緩機能を持つ5層・6層以上に重層化した重層化心筋細胞シートが必要であるが、4層以上の心筋細胞シートは中心部が酸欠で壊死する。特許文献17の発明者や非特許文献6の発表者らは細胞シートの重層化による壊死の防止のため、3層の細胞シートを移植し、毛細血管網を構築後、3層の細胞シート同士を積層することで達成している。
もうひとつは、温度応答性高分子であるポリ−N−イソプロピルアクリルアミドを被覆した培養皿を用いてコンフルエントに培養し、低温処理後、剥離されるシート状の心筋細胞組織の拍動の配向性を「移植」や「再生治療」を受ける心筋細胞組織と同じにする必要があるが、剥離される心筋細胞シートに拍動配向性はない。この細胞シートの伸縮方向を整えるには、壊死防止に用いたように伸縮方向の決まった筋組織等の近くに移植するか、細胞培養液中で外部から受動的に伸縮運動を訓練させる。
このどちらの問題点の解決にも、作製した心筋細胞シートは一定期間、哺乳動物に移植したり、細胞培養液中で筋トレしたりする。このとき、温度応答性高分子であるポリ−N−イソプロピルアクリルアミドを被覆した培養皿を用いてコンフルエントに培養し、低温処理後、剥離されるシート状の心筋細胞組織の剥離面に出来た細胞外マトリクス(ECM)が細胞同士の速い接着やホストの心筋へ生着するとともに、電気的結合(ギャップ結合)を行うのに寄与している。このECMは移植や培養液に直接触れると消失する。そのため、可撓性や伸縮性がありかつガス透過性の高い移植可能な材質の表面に温度応答性を持たせる必要がある。
本発明は上記問題点を解消した細胞培養支持体を提供することを目的とする。
本出願は以下の発明を包含する。
(1)温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の環境応答性ポリマーが共有結合により表面に固定化された基材を備える細胞培養支持体の製造方法であって、放射線照射により重合して前記環境応答性ポリマーを形成し得るモノマーと有機溶媒とを含む組成物を、放射線照射により前記環境応答性ポリマーと共有結合し得る表面を備えた基材に塗布して、前記基材の表面上に塗膜を形成する塗布工程と、前記塗膜に放射線を照射して、前記環境応答性ポリマーを形成する重合反応及び前記環境応答性ポリマーと基材表面とを結合させる結合反応を進行させる放射線照射工程と、前記塗膜を乾燥させる乾燥工程とを含み、前記基材が、表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレート、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂、表面がアクリル系樹脂により被覆された合成樹脂、共役結合を持つ天然ゴム、共役結合を持つ合成ゴム、ポリシリコンを含有するシリコンゴム、及び微多孔質のポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むものである、前記方法。
(2)合成樹脂がナイロン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である、(1)記載の方法。
(3)前記表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂が、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された、微多孔質の、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種である、(1)記載の方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の方法により製造された、温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の環境応答性ポリマーが共有結合により表面に固定化された、表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレート、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂、表面がアクリル系樹脂により被覆された合成樹脂、共役結合を持つ天然ゴム、共役結合を持つ合成ゴム、ポリシリコンを含有するシリコンゴム、及び微多孔質ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む基材を備える細胞培養支持体。
(5)前記基材の表面に固定化された前記環境応答性ポリマーの層の乾燥時の厚さが0.001〜10μmである、(4)記載の細胞培養支持体。
(6)(4)又は(5)記載の細胞培養支持体上で細胞培養する工程を含む、細胞シートの作製方法。
(7)(6)記載の方法により作製された細胞シート。
本発明に係る細胞培養支持体の製造方法によれば、シランカップリング剤を介さずに直接基材表面に環境応答性ポリマーをグラフト化できるため、培養時の基材への細胞接着が均一に行われ、均一なコンフレント状態が達成され、損傷の少ない細胞シートが得られる。
本発明に係る細胞培養支持体の製造方法によれば、微多孔質合成樹脂フィルム上に環境応答性ポリマーを、該フィルムのメディウム(培地)透過性を損なうことなく有効にグラフト化できる。こうして製造された細胞培養支持体はインサート培養に用いることができる。
本発明に係る細胞培養支持体の製造方法によれば、移植可能や細胞配向性のための伸収縮可能なゴム・プラスチック等の表面に環境応答性ポリマーをグラフト化できる。
本発明に係る方法により製造される細胞培養支持体がその表面に温度応答性グラフトポリマーの層を含むものである場合、温度に応じて表面の濡れ性が変化するとともに、可逆的に良好な細胞接着・剥離性を示す。また、低温化により細胞シートを剥離した後も生体内・生体外(例えば培養液中)でECMが維持される。このため、剥離された細胞シート同士は、ギャップ結合を含む縫合を行わなくとも30分以内で接合することができる。このように各種細胞結合機能の多くを残した細胞シートが得られる。
また本発明の方法によれば可撓性や伸縮性がありかつガス透過性の高い移植可能な材質の表面に環境応答性ポリマーをグラフト化させることができるから、細胞シートのECMが生体内での移植や培養液に直接触れると半日以上で消失するという問題点を回避することができる。
本発明に係る細胞培養支持体を用いて作製された細胞シートは表面の接着因子が損なわれていないため再生医療などへの利用に適する。
(基材)
本発明において塗布用組成物が塗布される基材は、放射線照射により温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の環境応答性ポリマーと共有結合し得る表面を備えた基材であって、表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレート、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂、表面がアクリル系樹脂により被覆された合成樹脂、共役結合を持つ天然ゴム、共共役結合を持つ合成ゴム、ポリシリコンを含有するシリコンゴム、及び微多孔質ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むものである。基材は、細胞を培養させて細胞シートを形成可能な面(細胞接着面)を少なくとも一つ備え、少なくとも該細胞接着面が前記材料により形成されていればよい。もちろん、基材全体が前記材料により構成されていてもよい。基材の形状としては、ディッシュ形状や、フィルム形状などが挙げられる。フィルム形状基材を用いる場合、フィルム形状基材表面に環境応答性ポリマーのグラフトポリマー層を形成した後、細胞培養に適した形状(例えばディッシュ形状)に加工することができる。加工の際は、必要に応じて他の材料からなる部材を前記基材と組み合わせて使用することもできる。ディッシュ形状基材を用いる場合、少なくとも細胞接着面となるディッシュ内底面部分がグラフトポリマー層により被覆されればよい。
基材の材料としては、表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレートが好適に使用できる。ポリエチレンテレフタレートは透明性、寸法安定性、機械的性質、電気的性質、耐薬品性等の性質に優れているため、細胞支持体の材料としても好適である。本発明に使用できる「表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレート」としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等の易接着剤により、ポリエチレンテレフタレート上に易接着層を設けたものが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートフィルムに易接着性を付与するには、易接着性付与塗料をインラインコート方式またはオフラインコート方式にて塗布する。易接着性付与塗料としては、前記易接着剤と架橋剤成分のメラミン系樹脂等とを組み合わせたものが例示できる。インラインコート方式とは、フィルムの製膜工程のなかで塗料を塗布する方式であり、オフラインコート方式とは、製膜にて得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをコーターにかけ、塗料を塗布・乾燥する方式である。コスト面を考慮するとインラインコート方式の方が望ましい。塗料の塗布方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法などの任意の塗布方法を適宜、単独または組み合わせて適用するとよい。
基材の材料としては、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂もまた好適に使用できる。この場合に使用できる合成樹脂としては、例えばナイロン、低密度ポリエチレン(密度が910Kg/m3以上930Kg/m3未満のポリエチレンを指す)、中密度ポリエチレン(密度930Kg/m3以上942Kg/m3未満のポリエチレンを指す)が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、又はポリスチレン、或いはこれらの材料を2種以上含むブレンドポリマー又はポリマーアロイが挙げられる。
基材の材料としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリカーボネート、或いはこれらの材料を2種以上含むブレンドポリマー又はポリマーアロイで構成される微多孔質材料であって、その表面がコロナ処理又はプラズマ処理されたものもまた好適に使用できる。ただし、微多孔質ポリカーボネートに関しては表面がコロナ処理又はプラズマ処理されていないものもまた好適に使用できる。これらの微多孔質材料は、メディウム(培地)の透過性を損なうことなく有効に環境応答性ポリマーを共有結合させることができる。この場合、基材はフィルム状の形状であることが好ましい。フィルム状の微多孔質基材はインサート培養に使用するのに好適である。
前記微多孔質材料のポアサイズや孔密度は、セルカルチャーインサート等に適した範囲から適宜選択される。多孔質膜を、ポアを細胞が通過することを利用した細胞遊走/浸潤アッセイに使用する場合には、細胞が通過するだけの大きさのポアサイズの口径が必要である。また、多孔質膜を3次元培養、2種類の細胞の共培養、薬物透過アッセイ等に使用する場合には、細胞が遊走/浸潤しない程度のポアサイズφ20μ以下が好ましく、また、コンフレントに培養した細胞からなる細胞シートを、環境応答性ポリマーを利用して剥離する場合も遊走/浸潤のない20μ以下、細胞シートがポアに引っ掛からずスムーズに剥離するためには好ましくは3μ以下が良い。また多孔質膜の材質と厚み、孔の密度はメディウムの通過時間に影響するので目的とするセルカルチャーインサートに適合したものが好ましい。
基材の材料としては、表面がアクリル系樹脂により被覆された合成樹脂もまた好適に使用できる。かかる合成樹脂を使用することによりコーティング剤の被覆がよくなり、また、放射線照射によるグラフト重合のグラフト率も向上する。この場合、合成樹脂としては、表面がコロナ処理又はプラズマ処理される合成樹脂と同様のものが好適に使用できる。アクリル系樹脂としてはウレタンアクリレートが好ましい。
基材の材料としては、共役結合を持つ天然ゴム、共役結合を持つ合成ゴム、又はポリシリコンを含有するシリコンゴムもまた好適に使用できる。これらは適宜表面処理されていてもよい。かかる材料上では、放射線照射による共役結合のラジカル解離やプロトン放出が容易でグラフト重合し易い。共役結合を持つ天然ゴムとしてはゴムノキの樹液に含まれるcis-ポリイソプレン[(C5H8)n]を主成分とする物質が好ましい。共役結合を持つ合成ゴムとしてはポリブタジエン系、ブタジエン・アクリロニトリル系、クロロプレン系、エチレンプロピレン系などが好ましい。ポリシリコンを含有するシリコンゴムとしては以下の基本単位:
Figure 0005080848
を含むものが好ましい。
(環境応答性ポリマー)
本発明は、温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の環境応答性ポリマーが共有結合により表面に固定化(すなわちグラフト化)された基材を備える細胞培養支持体の製造方法に関する。
環境応答性ポリマーとしては温度応答性ポリマーが特に好ましいがこれには限定されない。
本発明に好適に使用できる温度応答性ポリマーは細胞培養温度下(通常、37℃程度)において疎水性を示し、培養した細胞シートの回収時の温度下において親水性を示すものである。なお、温度応答性ポリマーが、疎水性から親水性に変化する温度(水に対する臨界溶解温度(T))としては、特に限定されないが、培養後の細胞シートの回収の容易さの観点からは、細胞培養温度よりも低い温度であることが好ましい。このような温度応答性ポリマー成分を含むことで、細胞培養時においては、細胞の足場(細胞接着面)が充分に確保されるため細胞培養を効率よく行うことができる。その一方、培養後の細胞シートの回収時においては、疎水性部分を親水性に変化させ、培養された細胞シートを細胞培養基材から分離させることで、細胞シートの回収をより一層容易にすることができる。特に所定の臨界溶解温度未満の温度で親水性を示し、同温度以上の温度で疎水性を示す温度応答性ポリマーが好ましい。このような温度応答性ポリマーにおける臨界溶解温度を特に下限臨界溶解温度と呼ぶ。
本発明に好適に使用できる温度応答性ポリマーは具体的には下限臨界溶解温度Tが0〜80℃、好ましくは0〜50℃であるポリマーが好ましい。Tが80℃を越えると細胞が死滅する可能性があるので好ましくない。またTが0℃より低いと、一般に細胞増殖速度が極度に低下するか、又は細胞が死滅してしまうため好ましくない。そのような好適なポリマーとしてはアクリル系ポリマー又はメタクリル系ポリマーが挙げられる。好適なポリマーは例えば特許文献3にも記載されている。具体的に適当なポリマーとしては、例えばポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(T=21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(T=32℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(T=約35℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(T=約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(T=約35℃)、及びポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(T=32℃)等が挙げられる。その他のポリマーとしては、例えばポリ−N−エチルアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルメタクリルアミド、ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド、ポリ−N−シクロプロピルメタクリルアミド、ポリ−N−アクリロイルピロリジン、ポリ−N−アクリロイルピペリジン、ポリメチルビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のアルキル置換セルロース誘導体や、ポリポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドとのブロック共重合体等に代表されるポリアルキレンオキサイドブロック共重合体や、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体が挙げられる。
これらのポリマーを形成するためのモノマーとしては、例えばモノマーの単独重合体がT=0〜80℃を有するようなモノマーであって、放射線照射によって重合し得るモノマーが挙げられる。モノマーとしては例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−(若しくはN,N−ジ)アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体、及びビニルエーテル誘導体等が挙げられ、これらの1種以上を使用してよい。モノマーが一種類単独で使用された場合、基材上に形成されるポリマーはホモポリマーとなり、モノマーが複数種一緒に使用された場合、基材上に形成されるポリマーはコポリマーとなるが、どちらの形態も本発明に包含される。また、増殖細胞の種類によってTを調節する必要がある場合や、被覆物質と細胞培養支持体との相互作用を高める必要が生じた場合や、細胞支持体の親水・疎水性のバランスを調整する必要がある場合などには、上記以外の他のモノマー類を更に加えて共重合してよい。更に本発明に使用する上記ポリマーとその他のポリマーとのグラフト又はブロック共重合体、あるいは本発明のポリマーと他のポリマーとの混合物を用いてもよい。また、ポリマー本来の性質が損なわれない範囲で架橋することも可能である。
pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーは作製しようとする細胞シートに適したものを適宜選択することができる。
(塗布用組成物)
本発明の方法には、放射線照射により重合して前記環境応答性ポリマーを形成し得るモノマーと有機溶媒とを含む塗布用組成物を用いる。該塗布用組成物には更に、前記モノマーが重合してなるオリゴマー又はプレポリマーを混合して用いることが好ましい。オリゴマー又はプレポリマーを含む塗布用組成物を用いることにより、有機溶媒が少量の場合にも結晶化が抑制される。このため、この塗布用組成物を基材表面に塗布し、放射線照射により重合を進行させると、基材表面の全面に亘り均一な環境応答性ポリマー層を形成することができる。
放射線重合成のモノマーについては上記の通りである。塗布用組成物にはモノマーが単独又は複数種含まれる。
塗布用組成物に含まれるオリゴマー又はプレポリマーの大きさはダイマー以上のものであれば特に限定されず、分子量約3,300(典型的には28分子ポリマー)より大きいものが好ましく、分子量5,700以上のものがより好ましい。上限は特に限定されず、分子量100万以上であってもよい。なお本発明において「プレポリマー」という用語は放射線照射前のポリマーを指す。
有機溶媒としてはモノマー、オリゴマー又はプレポリマーを溶解しうるものであれば特に限定されないが、常圧下に於いて沸点120℃以下、特に60〜110℃のものが好ましい。好ましい溶媒としては、具体的にはメタノール、エタノール、n(若しくはi)−プロパノール、2(若しくはn)−ブタノール、及び水等が挙げられ、それらの1種以上使用してよい。その他の溶媒、例えば1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−ブトキシエタノール、及びエチレン(若しくはジエチレン)グリコール又はそのモノエチルエーテル、等も1種以上使用してよい。上記溶液にはその他添加剤として、硫酸等で代表される酸類、モール塩等を配合してよい。
塗布用組成物中のモノマーの含有量は5〜70重量%であることが好ましい。
塗布用組成物がオリゴマー又はプレポリマーを含有するものである場合、該組成物中のオリゴマー又はプレポリマーの含有量は0.1〜20重量%であることが好ましい。該組成物中に含まれるモノマーと、オリゴマー又はプレポリマーとの重量比は500:1〜1:20であることが好ましい。
塗布用組成物の粘度は5×10−3Pa・s〜10Pa・sであることが好ましい。
(塗布工程)
本発明の方法は、前記塗布用組成物を、前記基材の表面に塗布してその表面上に塗膜を形成する塗布工程を含む。
本工程で形成される塗膜の塗布量は環境応答性グラフトポリマーがその機能(例えば温度応答性)を発揮するのに必要な塗布量である50mg/m以上あればよい。塗布量の上限は特にないが、40g/m未満が好ましく、10g/m以下がより好ましい。塗布量が40g/m以上である場合には、厚みが増して塗膜厚が安定しないこと、厚みが増して放射線の貫通・照射量が安定しないこと、並びに照射エネルギーに由来する膜内の対流によりグラフトポリマーの被覆量にムラが生じることが本発明者らにより確認されている。また、グラフトされない遊離のポリマーを洗浄するための洗浄時間を短くするためには塗膜量は10g/m以下が望ましい。
塗布用組成物の基材への小面積への塗布方法としては公知のいずれの方法でもよく、例えばスピンコーター、バーコーター等による塗布法、噴霧塗布法等が挙げられる。大面積への塗布方法としてはブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ロッドコーティング法、ナイフコーディング法、リバースロールコーティング法、オフセットグラビアコーティング法等が使用できる。
ベタ形成においては、グラビアコート法、ロールコート法、スロットコート法、キスコ−ト法、スプレーコート法、ファウンテンコーティング法等公知のコーティング法を用いて形成することが出来る。又、絵柄層のパターン形成においては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等公知の印刷法を用いることが出来る。塗布用組成物の基材への塗布方法としては連続のコート法又は印刷法を使用することもできる。連続のコート法又は印刷法としては、具体的にはホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ダイコート、マイクログラビアコート、スライドコート、スリットリバースコート、カーテンコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の塗布方法が使用できるが、これらは例示に過ぎず、当業者であれば暫時適用可能なものを使用することができる。
(放射線照射工程)
本発明の方法は、前記塗膜に放射線を照射して、前記環境応答性ポリマーを形成する重合反応及び前記環境応答性ポリマーと基材表面とを結合させる結合反応(すなわちグラフト化)を進行させる放射線照射工程を含む。ここでいう結合反応(グラフト化)は、放射線照射による重合によってモノマー又はオリゴマーもしくはプレポリマーからin situで形成された遊離のポリマーが基材表面に結合する現象だけでなく、遊離のモノマーが基材表面に結合した後に当該モノマーを基点としてポリマー鎖が伸張する現象や、塗布用組成物に由来する遊離のプレポリマー又はオリゴマーが基材表面に結合する現象や、基材表面に結合したポリマー又はオリゴマーを基点としてポリマー鎖が伸張する現象などを包含する。
使用する放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等がある。所望のグラフトポリマーを作製するためにはγ線と電子線がエネルギー効率が良く、特に生産性の面からも電子線が好ましい。紫外線に関しては適当な重合開始剤や基材とのアンカー剤を組合せることで使用できる。
放射線の線量の範囲は、電子線であれば5Mrad〜50Mradが好ましく、γ線であれば0.5Mrad〜5Mradが好ましい。
塗布用組成物として、ある程度重合が進んだオリゴマー又はプレポリマーを含有する塗布用組成物を用いる場合、1回のみの放射線照射によって、重合反応による環境応答性ポリマーの形成と、基材表面と環境応答性ポリマーと間のグラフト化反応とを完了させることが可能である。
(乾燥工程)
本発明の方法は、前記塗膜を乾燥させて塗布用組成物に由来する有機溶媒を除去する乾燥工程を含む。
前記塗布工程で形成される塗膜は残留溶剤量の影響により結晶が形成されることがないため、乾燥前の塗膜に放射線を照射した後、乾燥を行ってもよいし、塗膜を乾燥した後に放射線を照射してもよい。ただし、乾燥前のウェットな状態の塗膜に放射線照射を行うと、環境変化や異物、塗膜厚変動等の影響を受ける可能性があることから、塗膜を乾燥した後に放射線を照射することが好ましい。
乾燥方法としては特に限定されないが、典型的にはドライエア乾燥法、熱風(温風)乾燥法、(遠)赤外乾燥法などが挙げられる。
(洗浄工程)
上述の各工程を経て形成された細胞培養支持体の環境応答性ポリマー層には、基材表面上に共有結合により固定化されたポリマー分子だけでなく、固定化されていない遊離のポリマー分子や、未反応のモノマー分子が存在している。また、塗布用組成物がオリゴマー又はプレポリマー分子を含有するものを使用した場合は更に未反応のオリゴマー分子又はプレポリマー分子等が存在していることがある。そこでこれらの遊離ポリマー或いは未反応物を除去するために洗浄を行う洗浄工程を更に含むことが好ましい。
洗浄方法としては特に限定されないが、典型的には浸漬洗浄、遥動洗浄、シャワー洗浄、スプレー洗浄、超音波洗浄等が挙げられる。また洗浄液としては典型的には各種水系、アルコール系、炭化水素系、塩素系、酸・アルカリ洗浄液が挙げられる。洗浄方法と洗浄液の組み合わせは洗浄される細胞培養支持体に応じて適宜選択すればよい。
(本発明の方法で製造された細胞培養支持体)
本発明はまた、本発明の方法により製造された細胞培養支持体に関する。本発明の細胞培養支持体は、前記環境応答性ポリマーが共有結合により表面に固定化された、表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレート、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂、表面がアクリル系樹脂により被覆された合成樹脂、共役結合を持つ天然ゴム、共役結合を持つ合成ゴム、ポリシリコンを含有するシリコンゴム、及び微多孔質ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む基材を備える。
本発明の細胞培養支持体は、その表面に固定化されたグラフトポリマー層の乾燥時の厚さが0.001〜10μmであることが好ましい。
また細胞培養支持体表面における各種環境応答性ポリマーの被覆量は、5〜80μg/cmであることが好ましく、6〜40μg/cmであることがより好ましい。環境応答性ポリマー被覆量が80μg/cmを超過すると細胞は細胞培養支持体表面上に付着せず、逆に被覆量が5μg/cm未満だと細胞は単層の状態で培養され組織状とならず、また培養細胞を支持体から剥離回収するのも困難となる。このような環境応答性ポリマー被覆量は、例えばフーリエ変換赤外分光計全反射法(FT−IR−ATR法)、被覆部若しくは非被覆部の染色や蛍光物質の染色による分析、更に接触角測定等による表面分析を単独或は併用して求めることが出来る。
(細胞培養シートの作成方法)
本発明の細胞培養支持体を用いて、種々の細胞、例えば生体内の各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞、収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、神経系を構成するニューロン、グリア細胞、繊維芽細胞、生体の代謝に関係する肝実質細胞、非肝実質細胞や脂肪細胞、分化能を有する細胞として、種々組織に存在する幹細胞、さらには骨髄細胞、ES細胞等から細胞シートを作製することができる。こうして作製された細胞シートは表面の接着因子が損なわれていないことに加えて、細胞培養面に接した部分が均一な品質を有することから、再生医療などへの利用に適したものである。また、細胞シートを利用することでバイオセンサー等の検出デバイスへの応用へも展開できる。
(試験1)
温度応答性ポリマーのプレポリマーとして2種類を試験した。
アルドリッチ社から市販されている分子量20000〜25000のポリイソプロピルアクリルアミド(アルドリッチ社品番535311)をプレポリマー1として以下の実験で用いた。
次の手順でレドックス合成を行い得られたポリイソプロピルアクリルアミドをプレポリマー2として以下の実験で用いた。500mLセパラブルフラスコの中にN−イソプロピルアクリルアミド17.8gと純水150mLを投入し、攪拌下、溶解・分散した。窒素ガス気流下、室温で過硫酸アンモニューム0.24g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.30mLを加えて重合を開始させた。重合終了後、加温してゲルを取り出し、100℃の電気乾燥器中で乾燥してプレポリマー2を得た。乾燥したゲルを粉砕して、NMP溶媒でGPC分析したところ、上記プレポリマー1、ポリマーソース社製ポリイソプロピルアクリルアミド品番P3241(分子量5700)、及びポリマーソース社製ポリイソプロピルアクリルアミド品番P7142(分子量258000)との比較で分子量約35〜40万であった。
プレポリマー1が0.5wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが40wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液を1Kg調製した。この液を塗布用組成物1とした。
プレポリマー1が2wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが40wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液を1Kg調製した。この液を塗布用組成物2とした。
プレポリマー1が5wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが40wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液を1Kg調製した。この液を塗布用組成物3とした。
プレポリマー2が0.5wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが40wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液を1Kg調製した。この液を塗布用組成物4とした。
プレポリマー2が2wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが40wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液を1Kg調製した。この液を塗布用組成物5とした。
プレポリマー2が5wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが40wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液を1Kg調製した。この液を塗布用組成物6とした。
塗布用組成物1〜6をそれぞれ、粘着剤が塗工されて剥離フィルムで保護された易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)のロール形状の連続ベースフィルムにグラビアダイレクトロールのベタ48線で9mg/mの塗工量で毎分5m塗工し、連続の1m、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、連続の電子線照射ユニットで酸素濃度50ppm以下の環境で電子線照射した。電子線の電子流量を変化させて照射量を10、12、16、20、24Mradにした。電子線照射後、5℃のイオン交換水を用いて、塗工フィルムを洗浄し、残留モノマー及び塗工フィルム表面に結合していないポリマーを取り除いた。クリーンベンチ内で乾燥させ、さらにエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行い、さらに十分に脱気を行うことにより塗工フィルムを得た。このものの塗工面の平滑性を光学顕微鏡下で表面に凹凸の有無を調べることにより検討した。塗布用組成物1〜6を用いて作製された塗工フィルムの塗工面(細胞培養面)はいずれも平滑で透明な表面を有していた。
塗布用組成物1〜6を用いて作製された塗工フィルムをそれぞれディッシュサイズに切り抜いたものを塗工面が上方になるように粘着剤でディッシュ内底面に固定してEOG滅菌した。こうして得られた細胞培養支持体を用いて、ウシ大動脈血管内皮細胞の培養を行った。すなわち、前記細胞培養支持体上にて、ウシ胎児血清(FCS)を10%含むダルベッコー改変イーグル培地(DMEM)を培地として、5%二酸化炭素中、37℃で前記細胞の培養を行なった。十分に細胞が増殖したのを確認した後、培養液をディッシュごと20℃、5%CO下のチャンバー内に移し、30分間放置して、付着/増殖細胞を剥離させ、増殖細胞剥離回収率を下式に従って求めた。増殖細胞剥離回収率(%)=100×剥離回収した細胞総数/増殖させた細胞総数、と定義した。その際、剥離回収した細胞総数及び、増殖させた細胞総数を計測するためには、細胞を個々の状態にしなければならない。そこで、剥離回収した細胞総数の測定は、20℃に冷却、放置した後、回収した細胞塊に対し、トリプシン−EDTA処理を行ない細胞を個々の状態にして行なった。また増殖させた細胞総数は、上記方法で剥離回収した細胞総数に、20℃に冷却、放置しても剥離しなかった細胞をトリプシン−EDTA処理にて、個々の状態に剥離させた細胞総数を加え合わせることにより求めた。また、37℃のチャンバー内で5日間培養し、ディッシュ周囲以外全体がコンフレントになった細胞シート状塊についても、メスでディッシュ周囲のサブコンフレント状態の細胞層に切れ目を入れて、培養液をディッシュごと20℃、5%CO下のチャンバー内に移し、細胞シートの剥離を観察した。
塗布用組成物1〜6を用いて作製された細胞培養支持体による細胞シートの作成例ではいずれも、90%を超える高い増殖細胞剥離回収率を示し、細胞シート全体を綺麗に歪み無く剥離することができた。ポリマー含有量2wt%の組成物(すなわち塗布用組成物2及び5)に関しては、200mの塗工を行い40分の塗工の最後で出来た塗工フィルムからも細胞培養支持体を作製したが、塗工初期のフィルムからの細胞培養支持体との細胞回収、細胞シート剥離性能に差異はなく、良好であった。
(試験2)
本試験例では、上記試験1における塗布用組成物1、2又は3を用いた連続塗工フィルム作製時に電子線を照射しない状態のサンプルを作製した。このフィルムにコバルト60からのγ線を室温、1.5Mradを2時間で照射した。これを試験1記載の手順と同様に洗浄・乾燥して、切り抜き・貼付したディッシュをEOG滅菌して細胞培養支持体を得た。作製した細胞培養支持体は全て平滑透明な表面で細胞回収、細胞シート剥離は良好であった。
(試験3)
実施例1〜14として、表1に示す各ベースフィルム上に、試験1記載のプレポリマー1が1wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが40wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液(塗布用組成物7)をワイヤーバー(番手4)コートし、ドライヤー乾燥後、塗工面に電子線を照射したものを試験1と同様の手順で洗浄・乾燥した。電子線照射量は10Mrad、15Mrad及び25Mradの3通りで1回照射のみで行った。洗浄・乾燥後の塗工フィルムを円形に切り、塗工裏面とペトリディッシュの内底面を両面テープで貼り合せた。これにEOG滅菌を施して細胞培養支持体を得た。得られた細胞培養支持体を用いて試験1と同様の手順でウシ大動脈血管内皮細胞の培養を行い、細胞シートを作製した。そして試験1と同様の手順で細胞の回収率の測定と細胞シート剥離の観察を行った。
実施例2の自調製フィルムは、実施例1のフィルムに表2の組成物をワイヤーバー(番手4)コートし、高圧水銀灯を用いて、170mJ/cm(365nm)の条件で紫外線照射してコート面を硬化させて得られたものである。この硬化コート面を他フィルムと同様に用いた。比較例1のポリスチレンフィルムは、事前にエタノールで防曇剤を除去・乾燥して用いた。
実施例3〜5のフィルムは印刷加工用にコロナ処理面を有しているものを用い、当該コロナ処理面に塗布用組成物の塗工及び電子線照射を施した。実施例6〜14のフィルムにはプラズマ処理を施し、得られたプラズマ処理面に塗布用組成物の塗工及び電子線照射を施した。プラズマ処理は減圧真空下約60〜150mmTorrで酸素充填し、400Wで3分間プラズマ放電して行った。実施例12〜14の合成ゴムに関しては、塗布用組成物7をワイヤーバーコートしたもの(A)に加えて、試験1記載のプレポリマー1が5wt%、イソプロピルアクリルアミドモノマーが10wt%になるようイソプロピルアルコールに溶解した液(塗布用組成物8)をワイヤーバーコートしたもの(B)を作製した。実施例15は、実施例10の微多孔質ポリカーボネートをプラズマ処理なしで同様に加工、評価をしたものである。実施例8の微多孔質ポリエチレンをプラズマ処理なしで同様に加工、評価したものを比較例2とした。
Figure 0005080848
Figure 0005080848
細胞の回収率の測定と細胞シート剥離の観察の結果は表3に示す通りである。ポリイミドでは細胞の回収も細胞シート剥離も見られず、ポリエステルではポリスチレンのそれより回収率、細胞シート剥離ともに機能性支持体として弱いものであった。易接着PET、ウレタンアクリレート、ナイロン、又は低密度ポリエチレン(LDPE)を用いた場合、ポリスチレンを用いた場合よりも低放射線量で作製した細胞培養支持体から良好な機能を示した。
プラズマ処理をした微多孔質フィルムはいずれも、細胞の回収率及び細胞シート剥離の観察に関しては、ポリスチレンより低放射線量で作製した細胞培養支持体から良好な機能を示した。また微多孔質ポリカーボネートについてはプラズマ処理をしなくとも良好な機能を示した。
実施例11のポアサイズ5μmの微多孔質ポリカーボネートフィルムに関しては同等のコンフレント状態から細胞シート剥離するが、一部の細胞にポアにはまるものがあり、ポアへの細胞の引っかかり、細胞シート剥離が遅くなる状態が観察された。引っかかりの状態によっては、剥離されても細胞シートに損傷が残り、全てが剥離することはなかった。実施例9もポアサイズが大きいため(最大で5μm程度)、全ての放射線条件で一部剥離は観察されたが、全体が良好な一枚の細胞シートとして剥離されることはなかった。
ポリシリコンに関しては、実施例14Aは、同条件で作製した他の細胞培養支持体が37℃のチャンバー内で5日間培養した場合にディッシュ周囲以外全体がコンフレントになったのに対し、同状態になるのに8日間の培養日数を要した。実施例14Bは5日間の培養でコンフレントになった。
ポリスチレンフィルムは25Mradの照射で基材が70℃になり多少の歪を生じた。PETとポリイミドも基材が70℃になったが、基材の耐熱性があり、歪は見られなかった。ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリシリコンは基材温度が上がらず、歪は見られなかった。ポーラム(微多孔質ポリエチレン)に関しては、含有される炭酸カルシウム微粒子の発熱で多少の歪が生じた。
Figure 0005080848
(試験4)
本試験では、試験3で用いたプラズマ処理を施した微多孔質フィルム(実施例6〜11)の表面に温度応答性ポリマーを結合させて得られる基板の培養液の透過性を検討した。
実施例6のベースフィルムに試験3記載の塗布用組成物7を塗布し、電子線照射量15Mradで1回照射したフィルムを洗浄・乾燥して塗工フィルムを得た。比較のために塗工を行っていないベースフィルムも用意した。これらのフィルムをフィルター直径47mmの吸引用ガラス製ホルダーにセットした。この吸引用ガラス製ホルダーをアスピレータにつないだ1Lの吸引ビンに設置し、20℃と40℃の蒸留水を交互に通してろ過したところ、表4に示す通り塗工を行っていないベースフィルムでは温水・冷水ともに通過し、温度応答性ポリマーで表面修飾した塗工フィルムでは温水を通過し、冷水を殆ど通過させなかった。この水に対する透過量の温度依存は可逆的で、冷水・温水の切替による透過量のスイッチングには再現性がみられた。
プラズマ処理をした微多孔質フィルムはいずれも、表4同様に37℃で培養液を透過する能力を有していることが確認された。
Figure 0005080848

Claims (8)

  1. 温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の環境応答性ポリマーが共有結合により表面に固定化された基材を備える細胞培養支持体の製造方法であって、
    放射線照射により前記環境応答性ポリマーと共有結合し得る表面を備えたロール状のフィルム形状の基材を準備し、放射線照射により重合して前記環境応答性ポリマーを形成し得るモノマーと有機溶媒とを含む組成物を、前記基材に連続塗工して、前記基材の表面上に塗膜を形成する塗布工程と、
    前記塗膜に放射線を連続照射して、前記環境応答性ポリマーを形成する重合反応及び前記環境応答性ポリマーと基材表面とを結合させる結合反応を進行させる放射線照射工程と、
    前記塗膜を乾燥させる乾燥工程とを含み、
    前記基材が、表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレート、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂、表面がアクリル系樹脂により被覆された合成樹脂、共役結合を持つ天然ゴム、共役結合を持つ合成ゴム、ポリシリコンを含有するシリコンゴム、及び微多孔質ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むものである、前記方法。
  2. 前記乾燥工程後に、前記基材を細胞培養に適した形状に切り抜く基材加工工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 請求項1または2記載の細胞培養支持体の製造方法であって、
    前記塗布工程に用いる前記組成物は、さらにオリゴマー又はプレポリマーを含有し、
    前記放射線照射工程では、連続した1回の放射線照射により前記環境応答性ポリマーを形成する重合反応及び前記環境応答性ポリマーと基材表面とを結合させる結合反応を進行させる、前記方法。
  4. 合成樹脂がナイロン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂が、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された、微多孔質の、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の方法により製造された、温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の環境応答性ポリマーが共有結合により表面に固定化された、表面が易接着処理されたポリエチレンテレフタレート、表面がコロナ処理又はプラズマ処理された合成樹脂、表面がアクリル系樹脂により被覆された合成樹脂、共役結合を持つ天然ゴム、共役結合を持つ合成ゴム、ポリシリコンを含有するシリコンゴム、及び微多孔質ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む基材を備える細胞培養支持体。
  7. 前記基材の表面に固定化された前記環境応答性ポリマーの層の乾燥時の厚さが0.001〜10μmである、請求項6記載の細胞培養支持体。
  8. 請求項6又は7記載の細胞培養支持体上で細胞培養する工程を含む、細胞シートの作製方法。
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