以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図3及び図4は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う異なる例の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、SUS基板で形成した流路基板(液室基板)1と、この流路基板1の下面に接合した振動板部材2と、流路基板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル4がそれぞれノズル連通路5を介して連通する個別流路としての複数の液室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6と連通する連通部8を形成し、連通部8に振動板部材2に形成した供給口9を介して後述するフレーム部材17に形成した共通液室10からインクを供給する。
流路基板1は、流路板1Aと連通板1Bとを接着して構成している。この流路基板1は、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで、連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7などの開口をそれぞれ形成している。
振動板部材2は各液室6に対応してその壁面を形成する各振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、振動領域2aの面外側(液室6と反対面側)に島状凸部2bが設けられ、この島状凸部2bに振動領域2aを変形させ、液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての積層型圧電素子12、12の各圧電素子柱12A、12Bの上端面(接合面)を接合している。また、積層型圧電素子12の下端面はベース部材13に接合している。
ここで、圧電素子12は、PZTなどの圧電材料層21と内部電極22a、22bとを交互に積層したものであり、内部電極22a、22bをそれぞれ端面、即ち圧電素子12の振動板2に略垂直な側面に引き出して、この側面に形成された端面電極(外部電極)23a、23bに接続し、端面電極(外部電極)23a、23bに電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。この圧電素子12は、ハーフカットダイシングによる溝加工を施して1つの圧電素子部材に対して所要数の圧電素子柱12A、12Bを形成したものである。
なお、圧電素子12の圧電素子柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電素子柱を圧電素子柱12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電素子柱を圧電素子柱12Bとして区別している。この場合、図3に示すように、駆動用圧電素子柱12Aと支柱用圧電素子柱12Bとを交互に使用するバイピッチ構成でも、あるいは、図4に示すようにすべての圧電素子柱を駆動用圧電素子柱12Aとして使用するノーマルピッチ構成のいずれでも採用できる。
これにより、ベース部材13上に駆動素子としての複数の駆動用圧電素子柱12Aが並べて配置された駆動素子列(駆動用圧電素子柱12Aの列)が2列設けられた構成としている。
また、積層型圧電素子12の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室6内インクを加圧する構成としているが、積層型圧電素子12の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることもできる。
また、圧電素子として用いる材料についても本実施例に限られるものでなく、一般に圧電素子材料として用いられるBaTiO3、PbTiO3、(NaK)NbO3等の強誘電体などの電気機械変換素子を用いることもできる。さらに、圧電素子に積層型のものを用いているが、単板の圧電素子を用いても良い。単板の圧電素子としては切削加工したものや、スクリーン印刷して焼結した厚膜のものや、スパッタや蒸着、或いはゾルゲル法により形成する薄膜のものでも良い。また、1つのベース部材13に設けられる積層型圧電素子12は1列としても、複数列設けられた構造としてもよい。
そして、圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aの外部電極23aには駆動信号を与えるために半田部材で配線手段としてのFPC15を直接接続し、このFPC15には圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aに対して選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)16が実装されている。なお、すべての圧電素子柱12Aの外部電極23bは電気的に共通に接続されてFPC15の共通配線に同じく半田部材で接続される。また、ここでは、FPC15の圧電素子12と接合される出力端子部には半田メッキが施されており、半田接合を可能にしているが、FPC15ではなく圧電素子12側に半田メッキを施しても良い。また、接合方法についても半田接合の他に異方導電性膜による接合やワイヤボンディングを用いることもできる
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路基板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
また、FPC15を実装した(接続した)圧電素子12及びベース部材13などで構成される圧電型アクチュエータユニット100の外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。そして、このフレーム部材17には前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部からインクを供給するための供給口19を形成し、この供給口19は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動用圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子柱12Aが収縮し、振動板2が下降して液室6の容積が膨張することで、液室6内にインクが流入し、その後圧電素子柱12Aに印加する電圧を上げて圧電素子柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板2をノズル4方向に変形させて液室6の容積/体積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインク滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板2が初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
次に、本発明の第1実施形態について図5ないし図7を参照して説明する。なお、図5はFPC15の説明図、図6は同FPC15を実装したヘッドのアクチュエータユニット100の斜視説明図、図7は配線基板を実装したヘッドのノズル面と反対側から見た斜視説明図である。
FPC15は、図5に示すように、駆動素子としての各圧電素子12、12の駆動用圧電素子柱12Aに選択的に駆動波形を印加するための駆動IC(ドライバIC)16が実装されている。ノズル数増加に伴い配線数は増加し、駆動IC16が装置本体の制御部(以下「本体制御部」という。)あるいは本体制御部と繋がる中継基板に実装されていると、駆動素子(駆動用圧電素子柱12A)と駆動IC16とを接続する実装が困難になるが、駆動素子と駆動IC16とを接続するための配線を微細なピッチで配線加工が可能なFPC15で行うことで実装が容易になる。また、本体制御部や本体制御部とつながる中間基板との接続配線を減らすことができ、本体制御部との接続を容易に行うことができる。さらに、駆動素子と駆動IC16とは、高速に信号伝達を行うために配線容量を小さくすることが好ましく、できる限り短距離(短い配線)で繋ぎためには駆動素子と繋がるFPC15に実装されていることが好ましい。
ここで、FPC15は、圧電素子12と接続される接続端子部(出力端子部)22と本体制御部からのデータや信号が入力される接続端子部(入力端子部)21が設けられている。この場合、出力端子部22に対して入力端子部21は出力端子部22の中央より端に偏った位置に設けられている。これにより、図7に示すように、駆動素子列(圧電素子12、12)の中央部にスペースSを設けることができ、図7に示すようにインク供給口19をヘッドの長さ方向における中央近くに配置することができる。このような構成とすることで、共通液室10に対してヘッド長手方向中央部にインク供給口19を配置することができて、インクを安定して共通液室10に供給することができるようになる。
アクチュエータユニット100は、前述したように、複数の駆動用圧電素子12Aが形成された圧電素子12、12をベース基板(ベース部材)13上に配置することによって、駆動用圧電素子柱12の列が2列配置され、各圧電素子柱12A列に対応して同一の2列(ここでは2枚)のFPC15、15がベース部材13を挟んで対面して設けられている。このときに入力端子部21、21同士は対向しない位置に配置されている。
そして、図7に示すように、フレーム部材17の裏面側(ノズル面と反対側の面)に実装されたプリント配線基板24には、FPC15の入力端子部21を通す開口部24a、24aが設けられており、2開口部4a、24aを通ったFPC15の入力端子部21を含む部分がFPC15、15同士の対面方向(矢示A方向)に折り曲げられて、プリント配線基板24の接続端子部にFPC15、15の入力端子部21、21が接続され電気的に導通している。
このとき、各FPC15、15の入力端子部21、21は対向しないため干渉することがなく、ヘッド幅方向(圧電素子12、12の並び方向、ノズル4の配列方向と直交する方向になる)におけるヘッドサイズを大きくさせることがなく、省スペースでのパッケージが可能となりヘッドの小型化を図れる。
ここで、プリント配線基板24には本体制御部の基板と繋ぐためのコネクタ25が設けられており、本体制御部と容易に接続することができる。また、図7に示すように、プリント配線基板24には、バイパスコンデンサ26、26が搭載されていることが好ましい。プリント配線基板24には、駆動IC16へ安定して信号を供給するためのバイパスコンデンサ26をFPC15に搭載せずにプリント配線基板24に搭載することで、高価な部品であるFPC15のコストを低減できる。プリント配線基板24を使用せずにFFC(フレキシブルフラットケーブル)を使用した場合、バイパスコンデンサは駆動IC16に近いFPCに設ける必要があり、その場合はFPCの大型化によりFPCのコスト増加に繋がるため好ましくない。
このように、ノズルから液滴を吐出させるエネルギーを発生する複数の駆動素子が並べて配列された少なくとも2列の駆動素子列と、各駆動素子列に対応して設けられ、複数の駆動素子に接続される出力端子部と、配線基板に接続される入力端子部とを有する少なくとも2枚のフレキシブルプリント基板と、を備え、各フレキシブルプリント基板は、入力端子部同士が対向しない状態で、互いに対面して配置され、各フレキシブルプリント基板の入力端子部は対面方向に折り曲げられて配線基板に接続されている構成とすることで、ヘッドの小型化を図ることができる。
なお、本実施形態では駆動素子として圧電素子を用いた例で説明しているが、これに限られるものではない。駆動素子としては発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを使用するヘッドにも適用することができる(以下の実施形態でも同様である。)。
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。なお、図8は同実施形態を説明する斜視説明図である。
この実施形態では、駆動素子として複数の静電型アクチュエータを複数列並べて配置した2列の駆動素子列を有する静電型アクチュエータユニット101をベース部材103上に配置し、静電型アクチュエータユニット101の各駆動素子列に対応して2枚のFPC15、15を備えている。
この場合、2枚のFPC15,15は折り曲げられてベース部材103の両側面側に配置されることによって対面して配置されている構成としている。つまり、本発明における「対面して配置される」フレキシブルプリント基板は、FPCが駆動素子と接続されている部分に関しては対面していない構成であっても、折曲げられていて対向する面(対面)が生じている場合も含む意味である。
次に、本発明の第3実施形態について図9ないし図13を参照して説明する。なお、図9はFPC15の説明図、図10は同FPCの部品採りの説明に供する説明図、図11は同実施形態に係るヘッドの概略斜視説明図、図12は同ヘッドのFPC15を実装した1つのアクチュエータユニットの斜視説明図、図13は同じく配線基板を実装したヘッドのノズル面と反対側から見た斜視説明図である。
ここでは、FPC15は、図9に示すように、入力端子部21の長さL1が出力端子部22の長さL2の長さの半分以下として、入力端子部21は出力端子部22に対して中央より端に偏って位置する形状に形成し、更には入力端子部21の端部E1は出力端子部22の端部E2より外側にない構成としている。
このように構成することで、FPC15は、前記第1実施形態の図5で説明したFPC15に比べ、ヘッドがヘッド長さ方向に大きくなることを回避できる。また、通常、FPC15は、図10に示すようにリール状のフィルム材料30に1部品単位の配線パターンや駆動IC16の実装が繰り返し複数枚形成されて製造され、FPCのコストは材料費が高価であるため、できる限り材料費を抑えることが好ましく、ある幅のリール状のフィルム材料30からできる限り多くの部品を採ることが低コスト化において重要となる。この図10に示す例では、リール幅Wで、2つのFPC15、15が採れるようにレイアウトし、FPC15の形状を図9に示すようにすることで、幅Wの1リールのフィルム材料30からの部品採れ数を稼ぐことができるようになる。
そして、この実施形態では、図12に示すように、ヘッド構成は2つのアクチュエータユニット100(100a、100b)をノズル配列方向と直交する方向に並べて配置し、圧電素子12(駆動素子列)を4列有する構成としている。なお、これら2つのアクチュエータユニット100a、100bは、1つのフレーム部材37内に収納されている。また、1つのアクチュエータユニット100には、前記実施形態と同様に、2枚の同一のFPC15がベース部材13を介して対面して設けられており、FPC15、15の各入力端子部21は対向しない構成としている。これにより、駆動素子列の並び方向と直交する方向に4列のFPC15が配置された構成となる。
一方、ヘッドには図13に示すようにフレーム部材37の裏面側にプリント配線基板24が実装され、プリント配線基板24には各FPC15の各入力端子部21を通す開口部24aが設けられており、開口部24aを通ったFPC15の入力端子部21を含む部分が、FPC15同士の対面方向に折り曲げられてプリント配線基板24の接続端子部に接続され、電気的に導通が可能になっている。
この場合、1つのFPC15の入力端子部21、21は対向しないため干渉することがなく、また、各列のFPC15同士も入力端子部21が対向しないため干渉することがなく、ヘッド幅方向にヘッドのサイズを大きくさせることがなく、省スペースでのパッケージが可能となりヘッドの小型化を図れる。
このように、ノズルから液滴を吐出させるエネルギーを発生する複数の駆動素子が並べて配列された3列以上の駆動素子列と、ノズルが形成された面と反対側に配置された配線基板と、各駆動素子列に対応して設けられ、複数の駆動素子に接続される出力端子部と、配線基板に接続される入力端子部とを有し、入力端子部が配線基板側に引き出された少なくとも3列以上のフレキシブルプリント基板と、を備え、各フレキシブルプリント基板の入力端子部は折り曲げられて配線基板に接続され、かつ、3列以上のフレキシブルプリント基板のうちの外側に位置するフレキシブルプリント基板の入力端子部は、フレキシブルプリント基板の並び方向に折り曲げられて配線基板に接続されている構成とすることで、ヘッド幅方向のサイズを大きくすることなく、ヘッドの小型化を図れる。
次に、本発明の第4実施形態について図14を参照して説明する。なお、図14は同実施形態における配線基板を実装したヘッドのノズル面と反対側から見た斜視説明図である。
ここでは、4列のFPC15の各列の入力端子部21をそれぞれ入力端子部21a、21b、21c、21dとし、ヘッドの内側に配置されているFPC15の入力端子部を入力端子部21b、21cとする。この場合、入力端子部21a、21cに関して折り曲げる方向については限定されるものではなく、外側に配置されたFPC列の入力端子部21a、21dがヘッドの内側方向に折り曲げられて接続されていることがヘッド幅方向に小型化する上で必要である。
つまり、この例では、入力端子部21cについては内側方向に折り曲げ、入力端子部21bについては外側方向に折り曲げている。これによって、入力端子部21cのFPC15のみ他のFPC15の入力端子部21a、21b、21dとは端子面が逆の面に設けられ、他のFPC15とは形態が異なる部品となっている。また、本実施形態では1つのアクチュエータユニット100に対して2枚のFPC15が接続され、FPC15を4列に配置しているが、配置する列の数は3列以上であれば何列に配置されていても良く、本実施形態に限定されるものではない。
次に、本発明の第5実施形態について図15を参照して説明する。なお、図15は同実施形態におけるヘッドのFPCを実装したアクチュエータユニットの斜視説明図である。
このアクチュエータユニット100は、ベース部材13上に相対的に長さの短い圧電素子12a、12bとを並べて配置し、これらの2つの圧電素子12a、12bを並べた長さ相当分の長さを有する圧電素子12cとを並列に並べて配置して構成している。
そして、2つの圧電素子12a、12bにそれぞれFPC15AとFPC15Bを同じ面に接続し、圧電素子12cにはベース部材13を介してこれらのFPC15A及びFPC15Bと対向してFPC15Cが接続されている。
ここで、FPC15Cの入力端子部21CはFPC15A、FPC15Bの各入力端子部21Aと21Bとは対向(対面)しないように設けられている。そして、図示しないが、第1実施形態と同様に、FPC15Cと15A及び15Bとが対面する方向に入力端子部21C、21A、21Bが折り曲げられてプリント配線基板24に接続される。
このように、FPCの数や駆動素子列の数に限らず対面して設けられたFPC同士の入力端子部が対向しない構成とすることで、接続端子(入力端子部)同士は干渉することがなく、ヘッド幅方向にヘッドサイズを大きくならないようにする、つまり省スペースでのパッケージが可能となりヘッドの小型化を図ることができる。
次に、本発明の第6実施形態について図16ないし図20を参照して説明する。なお、図16は同実施形態におけるFPCを実装したヘッド一体型カートリッジ(ヘッドユニット)の側面説明図、図17は同じくユニットのインクタンク側から見た底面説明図、図18は同じくFPC上にヘッドを取り付けた状態の平面説明図、図19はヘッドの平面説明図、図20はFPCの説明図である。
ここでは、駆動素子として静電アクチュエータを用いた液体吐出ヘッド300と、このヘッド300にインクを供給する液体容器としてのインクタンク500とを一体化して、液体カートリッジとしてのインクカートリッジ(ヘッドユニット)を構成し、ヘッド300にはFPC400を実装している。
ヘッド300は、図17に示すように、ノズル4を並べたノズル列が4列配置されており、接続端子群301、接続端子群302が設けられている。このヘッド300の静電アクチュエータ(駆動素子)に接続されるFPC400は、図18に示すように、2つの出力端子部401、402と、2つの第1、第2の入力端子部403、404が設けられている。2つの第1、第2の入力端子部403、404は、ヘッド300の長さ方向(ノズル配列方向)の異なる位置であって、ノズル配列方向と直交する方向に折り曲げられたときに重ならない位置に配置されている。
そして、図19及び図20にも示すように、ヘッド300とFPC400とは、接続端子群301と出力端子部401、接続端子群302と出力端子部402がそれぞれワイヤボンドで接続される、なお、この接続はワイヤボンドに限らず、異方導電性膜や半田を用いることもできる。一方、図16に示すように、インクタンク500の裏面側にはプリント配線基板600が設けられている。FPC400はインクタンク500を包み込むように実装されることで、入力端子部403、404に連続する少なくとも一部の配線領域410、410がインクタンク500を介して対面した状態で、第1、第2の入力端子部403、404がプリント配線基板600に接続される。
この場合、図20に示すように、FPC400の第1の入力端子部403と第2の入力端子部404は重ならないため干渉することがなく、ヘッド幅方向のヘッドユニットのサイズを小さくすることができ、省スペースでのパッケージが可能となりヘッドユニットの小型化を図れる。本実施形態のヘッドユニットはインクタンクとヘッドが一体化されたインクカートリッジの形態となり、ヘッド幅方向に小型のインクカートリッジが得られる。
このように、ノズルから液滴を吐出させるエネルギーを発生する複数の駆動素子が並べて配列された少なくとも2列の駆動素子列と、ノズルが形成された面と反対側に配置された配線基板と、駆動素子列に対応して設けられ、複数の駆動素子に接続される出力端子部と、配線基板に接続される入力端子部とを有する1枚のフレキシブルプリント基板と、を備え、フレキシブルプリント基板は第1の入力端子部と第2の入力端子部を有し、フレキシブルプリント基板の第1、第2の入力端子部に連続する配線領域の少なくとも一部が対面し、第1の入力端子部と第2の入力端子部は対面方向に折り曲げられて配線基板に接続され、かつ、第1の入力端子部と第2の入力端子部は対面方向に互いに対向しない位置に設けられている構成とすることで、ヘッドやヘッド一体型インクカートリッジの小型化を図れる。
なお、この実施形態では、インクタンクとヘッドが一体型のインクカートリッジを挙げたが、インクタンクに相当する部品はインクタンクに限らず、インクタンクとの中間ユニットやヘッド支持基板であっても良く、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
次に、本発明の第7実施形態について図21を参照して説明する。なお、図21は同実施形態におけるFPC上にヘッドを取り付けた状態の平面説明図である。
ここでは、ヘッド300のヘッド長さ方向の両端部に接続端子群を配置してFPC400の出力端子部401、402と接続する配置としている。このように、ヘッドの接続部やFPCの出力端子部の配置については上記実施形態に限るものではない。
次に、本発明の第8実施形態について図22を参照して説明する。なお、図22は同実施形態におけるFPC上にヘッドを取り付けた状態の平面説明図である。
ここでは、駆動素子が静電アクチュエータである2つのヘッド300A、300Bを備え、FPC400には3つの入力端子部405、406、407を設けている。ヘッド300Aは例えばカラーインクの液滴を吐出するヘッドとして、ヘッド300Bは例えばブラックインクの液滴を吐出するヘッドとして使用する。
このFPC400の入力端子部406は、折り曲げたときに他の2つの入力端子部405、407と対向しない(ここでは重ならない)構成となっており、ヘッドユニットの小型化を図ることができる。このように、本発明は入力端子部の数は2つ以上であればよく、入力端子部の数や駆動素子の数に関して実施形態に限られるものではない。
なお、ここでも、駆動素子として静電力を用いる静電アクチュエータに限らず、駆動素子としては発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータや前述した圧電アクチュエータなどを使用できる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える画像形成装置の一例について図23及び図24を参照して説明する。なお、図23は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図24は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板201A、201Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク235a、235b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ36を介して、各色のインクカートリッジ210k、210c、210m、210yから各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288を配置し、このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
このように、この画像形成装置は本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、装置の小型化を図れる。
なお、上記実施形態では本発明をプリンタ構成の画像形成装置に適用した例で説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリンタ/ファックス/コピア複合機などの画像形成装置に適用することができる。また、インク以外の液体である記録液、レジスト、DNA試料などを用いる液体吐出ヘッドや画像形成装置にも適用することができる。また、例えば図25で説明したヘッドユニットのようなライン型液体吐出ヘッドやライン型画像形成装置にも同様に適用することができる。