JP5072894B2 - 真空処理装置および放電電極支持方法 - Google Patents
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本発明の真空処理装置は、製膜処理が施される基板に沿って延びるとともに前記基板と対向して配置され、かつ、高周波電流が供給される放電電極と、前記基板とともに前記放電電極を挟む位置に配置されるとともに、前記放電電極に沿って延び、かつ、共通電位に接地された電極支持部と、前記電極支持部から前記放電電極に向かって延びるとともに、前記電極支持部に接続して前記放電電極を支持し、かつ、前記放電電極および前記電極支持部と電気的に接続された導電性を有する突出部と、前記共通電位に接地された電極支持板と、前記電極支持部の一方の端部を前記電極支持板に固定する固定部と、前記電極支持部の他方の端部を、前記電極支持板に対して、前記固定部に接近および離間する方向にスライド移動可能に支持するスライド支持部と、が設けられ、前記突出部は、前記放電電極および前記電極支持部との間で所定のインダクタンスを有する回路を構成することを特徴とする。
さらに、突出部は所定のインダクタンスを有する回路を構成するため、高周波電流に対して、放電電極と電極支持部とは非導通状態となっている。そのため、製膜処理数が増加しても、放電電極が地絡することなく、製膜速度や膜厚分布などの変化を抑制でき、製膜への安定性を維持できる。
具体的には、放電電極に取り付けられた締結部が、突出部に形成された長孔の内部を移動することにより、熱伸び方向が一方向に管理できるので、放電電極と電極支持部の相互位置関係が初期調整状態に比べて傾くことを防止しながら、上述の熱伸び量の差が吸収される。
また、必要以上に長細い長孔を設ける必要が無いので、突出部の長孔加工による強度低下を抑制できる。
放電電極の熱伸び量と、電極支持部の熱伸び量との間に差が生じた場合には、電極側突出部と、支持部側突出部とが相対移動することにより、上述の熱伸び量の差が吸収される。
また、本発明に係る放電電極支持方法は、製膜処理が施される基板に沿って延びるとともに前記基板と対向して配置され、かつ、高周波電流が供給される放電電極と、前記基板とともに前記放電電極を挟む位置に配置されるとともに、前記放電電極に沿って延び、かつ、共通電位に接地された電極支持部と、前記電極支持部から前記放電電極に向かって延びるとともに、前記電極支持部に接続して前記放電電極を支持し、かつ、前記放電電極および前記電極支持部と電気的に接続された導電性を有する突出部と、前記共通電位に接地された電極支持板と、前記電極支持部の一方の端部を前記電極支持板に固定する固定部と、前記電極支持部の他方の端部を、前記電極支持板に対して、前記固定部に接近および離間する方向にスライド移動可能に支持するスライド支持部と、を設け、前記突出部を、前記放電電極および前記電極支持部との間で所定のインダクタンスを有する回路を構成することを特徴とする。
以下、本発明の参考実施形態に係る製膜装置ついて図1から図6を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の製膜装置の構成を示す概略図であり、製膜装置の側面から見た図である。図2は、図1の製膜装置の放電電極の配置を説明する模式図である。図3は、図1の放電電極への給電を説明する模式図である。
なお、本図において、ガス供給に関する構成は省略している。
基板Sとしては、縦横の大きさが1.4m×1.1mであり、厚さが3.5mmから4.5mmの透光性ガラス基板が例示される。
対向電極3は、放電電極6に対向する電極(例えば接地側電極)となる。対向電極3は、一方の面が均熱板4の表面と密接し、製膜時に他方の面が基板Sの表面と密接して基板テーブルとなる。
上述の熱媒体は非導電性媒体であり、水素やヘリウムなどの高熱伝導性ガス、フッ素系不活性液体、不活性オイル、及び純水等が熱媒体として使用できる。中でも150℃から250℃の範囲でも圧力が上がらずに制御が容易であることから、フッ素系不活性液体(例えば商品名:ガルデン、F05など)の使用が好適である。
均熱板保持機構5は、製膜時に均熱板4等を放電電極6に接近させて、基板Sを放電電極6から、例えば3mmから30mmの範囲内の所定値だけ離れて位置させることができる。
ここで、防着板7は、共通電位に接地された電極支持板としての機能も保有している。放電電極6は後述するように、防着板7と高周波電流に対して非導通状態を維持して保持して、放電電極6を製膜室2の側面(図1における左側の側面)に対して略平行に保持している。
低真空排気部12は、初めに製膜室2内の気体を排気して、製膜室2内を低真空とする粗引き排気用の真空ポンプである。製膜時における製膜排出ガスは、低真空排気部12より排気される。弁15は、低真空排気部12と製膜室2との経路を開閉する。
なお上述のように、放電電極6は必ずしも8個に分割されている必要は無く、8個以外の個数でもよいし、分割されていない1個でもよい。
同軸シールド9Sは、導電性を有する材料から構成されるとともに、接地された部材である。
さらに、放電電極6と防着板7との間には、防着板7に保持されるとともに、防着板7と電気的にも接続されている電極支持部31と、放電電極6を支持する突出部41と、が設けられている。
下側固定部32は、電極支持部31の下側端部を支持するとともに、防着板7に対して電極支持部31の相対位置を調整可能とするものである。
下側固定部32は、電極支持部31における下方の端部(図4の下側の端部)に配置されている。
上側固定部33は、電極支持部31における上方の端部(図4の上側の端部)に配置されている。
下側固定部32および上側固定部33における一対の第1調整部34Xは、図5に示すように、Y軸方向に並んで電極支持部31の下側ならびに上側の両端部付近に配置されている。そのため、一対の第1調整部34Xにより、Z軸方向に沿って延びる仮想中心軸線まわりに電極支持部31を回転させて電極支持部31の面の向きを調整することができる。
なお、電極支持部31に大きな外力が働く場合には、配置位置変動抑制に更なる信頼性を向上するために、さらに、ネジ部34X1やピニオンギア部35Y1に簡易な回転防止用ロック機構を設けてもよい。
電極支持部31は、板厚が約3mmから約6mm程度であり、幅(Y軸方向の寸法)が約20mmから約50mmの金属板を例示することができる。突出部41は、幅(Y軸方向の寸法)が約20mmから約50mmであり、板厚が約2mmから約4mmの金属板を例示することができる。これに従い、電極支持部31と突出部41は放電電極6を保持するに十分な剛性と強度を保有することができる。
さらに、突出部41は、図3に示すように、電極支持部31および放電電極6とともに構成される回路において、所定のインダクタンスを有することとなる。
ループ回路26は、高周波電力の位相が変化する際に反射電力を低減に特に有効である。
このようにすることで、突出部41において数十nHから数百nHのインダクタンス成分の形成を実現させることができ、放電電極6との間で高周波電流に対して非導通状態を維持して保持することができる。
このようにすることで、放電電極6と電極支持部31との間の距離が、基板Sと放電電極6との間の距離よりも狭い場合と比較して、インダクタンスの値が大きくなり、放電電極6と電極支持部31との間での放電が防止される。これにより、対向電極3と放電電極6との間におけるプラズマ強度の低下や、プラズマ分布の不均一化などを防止することができる。
このとき、放電電極6と電極支持部31との間の相対位置の関係は、第1調整部34Xおよび第2調整部35Yにより調節される。
その一方で、下側固定部32および上側固定部33の全ての第2調整部35Yを同じ量だけ操作することにより、電極支持部31は、放電電極6に対してY軸方向に平行移動される。
次に、本発明の第1の実施形態について図7から図9を参照して説明する。
本実施形態の製膜装置の基本構成は、参考実施形態と同様であるが、参考実施形態とは、電極支持部を固定する構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図7から図9を用いて電極支持部を固定する構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
なお、参考実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
電極支持部131には、例えば、防着板7と対向する面に強度を確保するリブが設けられていてもよく、特に限定するものではない。
スライド支持部133は、電極支持部131における上方の端部(図7の上側の端部)に配置されている。
なお、第1調整部34Xおよび第2調整部35Yによる電極支持部131の配置位置および姿勢の調整等については、参考実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施形態について図10を参照して説明する。
本実施形態の製膜装置の基本構成は、参考実施形態と同様であるが、参考実施形態とは、電極支持部の周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図10を用いて電極支持部の周辺の構成のみを説明し、その他の構成等の説明を省略する。
図10は、本実施形態に係る電極支持部の周辺の構成を説明する模式図である。
なお、参考実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
このようにすることで、平板部231Pは、放電電極6、防着板7とともに構成される回路において、インダクタンス成分を有することとなる。
このようにすることで、ネジ部34X1が回転されると、ナット部34X2および第3調整部236Zがネジ部34X1に沿って移動し、電極支持部231の配置位置が調整される。
このようにすることで、ピニオンギア部35Y1が回転されると、ラックギア部35Y2および第3調整部236ZがY軸方向へ移動し、電極支持部231の配置位置が調整される。
その一方で、下側固定部32等の第2調整部35Yを上側固定部の第2調整部35Yと同じ量だけ操作することにより、電極支持部231は、放電電極6に対してY軸方向に平行移動される。
なお、上側固定部の第3調整部236Zは回転軸受け機能のみとして、調整操作は下側固定部232の第3調整部236Zのみで実施してもよい。
次に、本発明の第3の実施形態について図11から図13を参照して説明する。
本実施形態の製膜装置の基本構成は、参考実施形態と同様であるが、参考実施形態とは、電極支持部の周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図11から図13を用いて電極支持部の周辺の構成のみを説明し、その他の構成等の説明を省略する。
図11は、本実施形態に係る電極支持部の周辺の構成を説明する模式図である。
なお、参考実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
突出部341は、図11から図13に示すように、電極支持部331とボルトにより固定される支持部側鍔部342と、放電電極6に対して相対移動可能に取り付けられる電極側鍔部343と、が設けられている。
本実施形態では、支持部側鍔部342は、電極支持部331に沿って下方向(−Z軸方向)に向かって延びる板状の部材であり、電極側鍔部343は、放電電極6に沿って上方向(+Z軸方向)に向かって延びる板状の部材である例に適用して説明する。
ここで、長孔345におけるZ軸方向の長さは、突出部341の配置位置に基づいて変更されている。つまり、下側固定部32の近傍に配置された突出部341に係る長孔345(図12参照。)と比較して、スライド支持部133の近傍に配置された突出部341に係る長孔345(図13参照。)は、Z軸方向に長くなっている。
しかしながら、放電電極6の温度変化が大きい場合は、放電電極6と電極支持部331との温度差が生じる場合があり、このときは放電電極6における熱伸び量と、電極支持部331における熱伸び量と防着板7における熱伸び量との間には差が発生する。
そのため、長孔345のZ軸方向の長さは、下側固定部32からスライド機構136に近づくに伴って長くなるため、ボルト346が長孔345の端部と干渉することはない。
具体的には、放電電極6に取り付けられたボルト346が、突出部341に形成された長孔345の内部を熱伸び量の差に従って移動することにより、上述の熱伸び量の差が吸収される。
また、突出部341に対して、必要以上に長細い長孔を設ける必要が無いので、突出部341の長孔加工による強度低下を抑制できる。特に、下側固定部32に近い突出部341は、丸孔に近いものとできるので、強度低下を大きく防止でき、放電電極6の重量を最も支持する必要があることに適している。
次に、本発明の第4の実施形態について図14から図16を参照して説明する。
本実施形態の製膜装置の基本構成は、参考実施形態と同様であるが、参考実施形態とは、電極支持部の周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図14から図16を用いて電極支持部の周辺の構成のみを説明し、電極支持部の周辺の構成のみを説明し、その他の構成等の説明を省略する。
図14は、本実施形態に係る電極支持部の周辺の構成を説明する模式図である。
なお、参考実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
突出部441には、図15に示すように、電極支持部431に固定される支持部側突出部442Sと、放電電極6に固定される電極側突出部442Eと、が設けられていて、導電性のある金属材料などで剛強に構成されている。
支持部側突出部442Sには、電極支持部431に沿って−Z軸方向に延びる支持部側鍔部443Sと、放電電極6に沿って+Z軸方向に延びる電極側鍔部444Sと、電極側鍔部444Sに取り付けられた支持ピン445Sと、電極側鍔部444Sの側面であって、溝部443Eの内側面と対向する面に配置された電気的接続部446Sと、が設けられている。
電極側突出部442Eには、放電電極6に沿って延びるとともに−Z軸方向に向かって開口する溝部443Eと、溝部443Eを構成する壁面に−Z軸方向に向かって延びるスリット部444Eと、が設けられている。
スリット部444Eは、溝部443Eを構成する壁面を貫通するとともに、−Z軸方向に向かって開口するスリットであり、支持部側突出部442Sの支持ピン445Sがスライド移動可能に挿入される部分である。
具体的には、支持部側突出部442Sの電極側鍔部444Sが、電極側突出部442Eの溝部443Eの内部で、Z軸方向に相対移動することにより、上述の熱伸び量の差が吸収される。このとき同時に、支持部側突出部442Sの支持ピン445Sは、電極側突出部442Eのスリット部444E内をZ軸方向に相対移動する。
放電電極6の熱伸び量と、電極支持部431の熱伸び量との間に差が生じた場合には、電極側突出部442Eと、支持部側突出部442Sとが相対移動することにより、上述の熱伸び量の差が吸収される。
6 放電電極
7 防着板(電極支持板)
S 基板
31,131,231,331,431 電極支持部
41,341,441 突出部
32 下側固定部
33 上側固定部
34X 第1調整部
35Y 第2調整部
133 スライド支持部
231P 平板部(板体)
236Z 第3調整部
345 長孔
346 ボルト(締結部)
Claims (7)
- 製膜処理が施される基板に沿って延びるとともに前記基板と対向して配置され、かつ、高周波電流が供給される放電電極と、
前記基板とともに前記放電電極を挟む位置に配置されるとともに、前記放電電極に沿って延び、かつ、共通電位に接地された電極支持部と、
前記電極支持部から前記放電電極に向かって延びるとともに、前記電極支持部に接続して前記放電電極を支持し、かつ、前記放電電極および前記電極支持部と電気的に接続された導電性を有する突出部と、
前記共通電位に接地された電極支持板と、
前記電極支持部の一方の端部を前記電極支持板に固定する固定部と、
前記電極支持部の他方の端部を、前記電極支持板に対して、前記固定部に接近および離間する方向にスライド移動可能に支持するスライド支持部と、が設けられ、
前記突出部は、前記放電電極および前記電極支持部との間で所定のインダクタンスを有する回路を構成することを特徴とする真空処理装置。 - 前記電極支持部は板状に形成された部材であって、
前記固定部および前記スライド支持部のそれぞれには、
前記電極支持部を前記放電電極に対して接近および離間する方向に移動させる一対の第1調整部と、
前記電極支持部を前記放電電極の面に沿う方向に移動させる第2調整部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1記載の真空処理装置。 - 前記電極支持部には、前記放電電極に添って延びる円柱状の軸体と、該軸体に取り付けられた板体と、が設けられ、
前記固定部および前記スライド支持部のそれぞれには、
前記電極支持部を前記放電電極に対して接近および離間する方向に移動させる第1調整部と、
前記電極支持部を前記放電電極の面に沿う方向に移動させる第2調整部と、
前記軸体を、中心軸線まわりに回転させる第3調整部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1記載の真空処理装置。 - 前記突出部には、
前記固定部から前記スライド支持部に向かって延びる長孔と、
該長孔に挿通され、前記放電電極に取り付けられる締結部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の真空処理装置。 - 複数の前記突出部が、前記固定部から前記スライド支持部に向かって並んで設けられ、
前記固定部側の前記突出部から前記スライド支持部側の前記突出部に向かって、順に、前記長孔における長手方向の長さが、長くなることを特徴とする請求項4記載の真空処理装置。 - 前記突出部には、
前記電極支持部に固定され、端部が前記固定部から前記スライド支持部に向かって延びるとともに、前記電極支持部から前記放電電極に向かって延びる支持ピンが取り付けられた支持部側突出部と、
前記放電電極に固定され、前記放電電極の面に沿って延びるとともに前記スライド支持部から前記固定部に向かって延び、前記支持部側突出部の端部が挿入される溝部と、該溝部を構成する壁面に、前記スライド支持部から前記固定部に向かって延び、前記支持ピンが挿入されるスリット部と、が形成された電極側突出部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の真空処理装置。 - 製膜処理が施される基板に沿って延びるとともに前記基板と対向して配置され、かつ、高周波電流が供給される放電電極と、
前記基板とともに前記放電電極を挟む位置に配置されるとともに、前記放電電極に沿って延び、かつ、共通電位に接地された電極支持部と、
前記電極支持部から前記放電電極に向かって延びるとともに、前記電極支持部に接続して前記放電電極を支持し、かつ、前記放電電極および前記電極支持部と電気的に接続された導電性を有する突出部と、
前記共通電位に接地された電極支持板と、
前記電極支持部の一方の端部を前記電極支持板に固定する固定部と、
前記電極支持部の他方の端部を、前記電極支持板に対して、前記固定部に接近および離間する方向にスライド移動可能に支持するスライド支持部と、を設け、
前記突出部を、前記放電電極および前記電極支持部との間で所定のインダクタンスを有する回路を構成することを特徴とする真空処理装置の放電電極支持方法。
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