JP5067688B2 - 植物におけるタンパク質のジスルフィド結合形成を阻害する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、植物の細胞内において内因性のEro1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、該細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害する方法に関する。
新生ポリペプチド鎖は小胞体(以下ERと略すこともある)内腔において正しい折りたたみ構造をとった機能分子に変換されるが、その一連のフォールディング過程においてジスルフィド結合は可溶性タンパク質プロテインジスルフィドイソメラーゼ(protein disulfide isomerase:PDI)により形成される。PDIは最初に同定されたチオール−ジスルフィド酸化還元酵素であり、CxxC(C:システイン残基)(配列番号:10)活性部位を含む二つのチオレドキシン様ドメインを有しそれぞれ基質タンパク質のジスルフィド結合形成および異性化を触媒する(非特許文献1〜4)。ジスルフィド結合形成の分子機構について、近年、酵母(Saccharomyces cerevisiae)の遺伝学的・生化学的解析により、PDIへの酸化力供給を担う酵素タンパク質としてEro1(ER oxidoreductase)が同定された(非特許文献5〜7)。Ero1はER内腔に局在する膜タンパク質であり(非特許文献5、6)、補酵素としてflavin adenine dinucleotide(FAD)を保持する(非特許文献8、9)。Ero1は二つのシステインペア(CxxxxC(配列番号:11)およびCxxCxxC(配列番号:12)モチーフ)を活性部位として有し、Ero1(S-S)-PDI(-SH)タンパク質間チオール−ジスルフィド交換反応によりPDIにジスルフィド結合を導入する。
Ero1遺伝子は、酵母に1遺伝子のみ(非特許文献5)、ヒトには2遺伝子が存在する(非特許文献10、11)。酵母およびヒトでは、Ero1がPDIへの酸化力を供給することで新生ポリペプチド鎖におけるジスルフィド結合形成を司っていること、さらに、PDIは多種多様なホモログが同定されており,それぞれ基質となる新生ポリペプチド鎖に対し特異性を示すことが示唆されている(非特許文献12〜16)。
一方、高等植物ではシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において2つのEro1遺伝子(非特許文献17)が同定されているものの、種子胚乳においてタンパク質ジスルフィド結合形成過程がEro1タンパク質依存的であるかについては不明である。
しかしながら、イネ(Oryza sativa)PDI1-1遺伝子欠損変異体esp2において種子貯蔵タンパク質の一つグルテリンが前駆体として蓄積することが報告されている(非特許文献18)。グルテリンはまずERにおいて前駆体分子(プログルテリン:分子量約 57 kD)として合成され、ジスルフィド結合が形成された後、最終的に貯蔵液胞へと輸送され酸性サブユニット(分子量 37-39 kD)および塩基性サブユニット(分子量 22-23 kD)にプロセシングされることから、イネ種子胚乳細胞においてもPDIがタンパク質ジスルフィド結合形成に必須であることが示唆される。PDI遺伝子は多重遺伝子族を形成し、これまでにイネでは19、トウモロコシ(Zea mays)では22、シロイヌナズナでは22のオルソログが同定されている(非特許文献19)。
食物アレルゲンはアナフィラキシーショックやアトピー性皮膚炎等の原因物質である。主要な食物アレルゲンは複数のシステイン残基を有するタンパク質であり、ジスルフィド結合を形成して安定したαへリックス構造をとりIgE抗体に対する高次構造エピトープとなる。植物性食物アレルゲンの主要なものとして貯蔵タンパク質が挙げられる。可食部においてアレルゲン性の低い植物の開発が求められている。
小麦粉に水を加え、捏ねると生地ができる。小麦粉の生地の特性は、システイン残基の還元型チオール基が捏ねる際にジスルフィド結合を形成して、タンパク質複合体のグルテンを形成することに依存する(非特許文献20、21)。小麦粉はタンパク質含量が高いものから強力粉、中力粉、薄力粉に分類される。強力粉はタンパク質に含まれる還元型チオール基の量が多いため、生地にした際にジスルフィド結合を多く形成しグルテン形成能も高くなると考えられる。一方、米粉に水を加え捏ねて生地にしてもグルテンが形成されないのは、米粉に含まれるタンパク質には還元型チオール基が少ないことが原因の一つと考えられる。従って、小麦粉の代替品として米粉を使用する際には、還元型チオール基を多く含んだ米粉の使用が望ましいと考えられるが、そのような性質を有した米粉はこれまで報告されていない。一般に、小麦粉の代替品として米粉を使用する際は、米粉に小麦粉由来の粉末グルテンを添加することが必要である(特許文献1)。
なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
特許第3076552号 Goldberger, R. F., et al., (1963) J. Biol. Chem. 238, 628-635 Givol, D., et al., (1965) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 53, 676-684 Edman, J. C., et al., (1985) Nature 317, 267-270 Kulp, M. S., et al., (2006) J. Biol. Chem. 281, 876-884 Frand, A. R., and Kaiser, C. A. (1998) Mol. Cell 1, 161-170 Pollard, M. G., et al., (1998) Mol. Cell 1, 171-182 Frand, A. R., and Kaiser, C. A. (1999) Mol. Cell 4, 469-477 Tu, B. P., et al., (2000) Science 290, 1571-1574 Gross, E., et al., (2004) Cell 117, 601-610 Cabibbo, A., et al., (2000) J. Biol. Chem. 275, 4827-4833 Pagani, M., et al., (2000) J. Biol. Chem. 275, 23685-23692 Gunther, R., et al., (1993) J. Biol. Chem. 268, 7728-7732 Koivunen, P., et al., (1996) Biochem. J. 316, 599-605 Oliver, J. D., et al., (1997) Science 275, 86-88 Molinari, M., and Helenius, A. (1999) Nature 402, 90-93 Norgaard, P., et al., (2001) J. Cell Biol. 152, 553-562 Dixon, D. P., et al., (2003) Antioxid. Redox Signal. 5, 389-396 Takemoto, Y., et al., (2002). Plant Physiol. 128, 1212-1222 Houston, N. L., et al., (2005) Plant Physiol. 137, 762-778 Shewry, P.R., and Tatham, A.S. (1997) J. Cereal Sci. 25, 207-227 Shewry, P.R., and Halford, N.G. (2002) J. Exp.Bot. 53, 947-958
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物の細胞内において内因性のEro1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、該細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害する方法を提供することにある。また、植物の細胞内において、内因性のEro1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を阻害する方法の提供を課題とする。さらに本発明は、Ero1遺伝子の発現を抑制する機能を有するDNAの提供を課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、植物の種子胚乳においてタンパク質ジスルフィド結合形成を網羅的に阻害する方法として、基質タンパク質-PDI-Ero1電子伝達カスケードにおけるEro1タンパク質の酵素活性を抑制することが有効であるか否かを検討した。
まず、RNA干渉により、イネEro1遺伝子発現が胚乳特異的に抑制された形質転換体を作製した。その結果、このEro1 RNA干渉形質転換体種子では、グルテリンが前駆体分子種として過剰蓄積した。
さらに、液胞由来タンパク質顆粒PBIIへの局在化に分子内ジスルフィド結合形成を必須とするα-グロブリン(Glb)への、Ero1遺伝子発現抑制の影響を検討した。その結果、Ero1 RNA干渉形質転換体ではGlbが野生型とは異なる形状の顆粒として観察された。
即ち、本発明者らは、高等植物において種子胚乳特異的にEro1遺伝子発現を抑制することによりタンパク質ジスルフィド結合形成が阻害されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔16〕を提供するものである。
〔1〕 植物の細胞内において、内因性の以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの発現を抑制することを特徴とする、該細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害する方法。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
〔2〕 植物の細胞内において、内因性の以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの発現を抑制することを特徴とする、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を阻害する方法。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
〔3〕 胚乳細胞において特異的に当該DNAの発現を抑制することを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕 植物が単子葉植物である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕 下記(i)から(iv)のいずれかに記載のDNAを植物の細胞内に導入する工程を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
(i)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
(ii)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。
(iii)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なdsRNAをコードするDNA。
(iv)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAがコードするタンパク質を特異的に認識するアプタマーをコードするDNA。
〔6〕 アグロバクテリウムによって、DNAを植物の細胞内に導入することを特徴とする〔5〕に記載の方法。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕に記載の方法によって、〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの発現が抑制された植物体。
〔8〕 下記(i)から(iv)のいずれかに記載のDNA。
(i)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
(ii)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。
(iii)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なdsRNAをコードするDNA。
(iv)〔1〕(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAがコードするタンパク質を特異的に認識するアプタマーをコードするDNA。
〔9〕 植物の細胞内において、タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害するために用いる、〔8〕に記載のDNA。
〔10〕 植物の細胞内において、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を阻害するために用いる、〔8〕に記載のDNA。
〔11〕 〔9〕または〔10〕に記載のDNAを含むベクター。
〔12〕 〔8〕に記載のDNAまたは〔11〕に記載のベクターを保持する形質転換植物細胞。
〔13〕 〔12〕に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体。
〔14〕 〔13〕に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
〔15〕 〔13〕または〔14〕に記載の形質転換植物体の繁殖材料。
〔16〕 〔13〕または〔14〕に記載の形質転換植物体の製造方法であって、〔8〕に記載のDNAまたは〔11〕に記載のベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法。
本発明の方法により、植物の該細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害することが可能となった。
主要な食物アレルゲンとして貯蔵タンパク質が挙げられるが、これらは複数のシステイン残基を有するタンパク質であり、ジスルフィド結合を形成して安定したαへリックス構造をとりIgE抗体に対する高次構造エピトープとなる。本発明の方法により、可食部におけるタンパク質ジスルフィド結合形成を網羅的に阻害し、低アレルゲン性の植物を提供することが可能である。
また、本発明の方法により作製された形質転換イネの胚乳は、Ero1依存的なタンパク質ジスルフィド結合形成が阻害され、その結果の一つとして還元型チオール基を多く含んでいる。従って、粉砕した種子に水を加え捏ねて作製した生地では、チオール基間でジスルフィド結合が形成されるために、生地の粘性、可塑性および弾力性が増大する。粘性、可塑性および弾力性が増大した生地特性を有する米粉を、例えば小麦粉の代替品として、または小麦粉と混合して利用することができる。
〔発明の実施の形態〕
本発明は、植物の細胞内において、内因性Ero1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、該細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害する方法に関する。さらに、本発明は、植物の細胞内において、内因性Ero1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)群の酸化活性を阻害する方法に関する。
本発明者らによって、タンパク質のジスルフィド結合形成との関係が明らかにされ、また植物においてPDIに酸化力を供給する機能を有することが明らかにされた、イネのEro1遺伝子の塩基配列を配列番号:1に、この遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。
本発明のEro1遺伝子としては、具体的にはタンパク質のジスルフィド結合形成を促進するタンパク質をコードする、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAが含まれる。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
本発明で使用されるEro1遺伝子は、Ero1タンパク質をコードしうるものであれば、その形態に特に制限はなく、Ero1遺伝子にはそれぞれ、cDNAの他、ゲノムDNA、化学合成DNAなども含まれる。また、Ero1遺伝子はEro1タンパク質をコードするものであれば、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有するDNAが含まれる。
ゲノムDNAおよびcDNAの調製は、当業者にとって常套手段を利用して行うことが可能である。ゲノムDNAは、例えば、植物からゲノムDNAを抽出し、ゲノミックライブラリー(ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、BAC、PACなどが利用できる)を作成し、これを展開して、Ero1遺伝子(例えば、配列番号:1に記載のDNA)を基に調製したプローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより調製することが可能である。またEro1遺伝子に特異的なプライマーを作成し、これを利用したPCRをおこなうことによって調製することも可能である。また、cDNAは、例えば、植物から抽出したmRNAを基にcDNAを合成し、これをλZAP等のベクターに挿入してcDNAライブラリーを作成し、これを展開して、上記と同様にコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより、また、PCRを行うことにより調製することが可能である。
さらに、Ero1遺伝子は広く植物界に存在すると考えられるため、Ero1遺伝子には、種々の植物に存在する相同遺伝子も含まれる。ここで「相同遺伝子」とは、種々の植物において、イネにおけるEro1遺伝子産物と機能的に同等なタンパク質をコードする遺伝子を指す。このようなタンパク質には、例えば、Ero1タンパク質の変異体、アレル、バリアント、ホモログ、Ero1タンパク質の部分ペプチド、または、他のタンパク質との融合タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明におけるEro1タンパク質の変異体としては、配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなる天然由来のタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を挙げることが出来る。また、配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする天然由来のDNAよりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質も、Ero1タンパク質の変異体として挙げることができる。
本発明において、変異するアミノ酸数は特に制限されないが、通常、30アミノ酸以内であり、好ましくは15アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内(例えば、3アミノ酸以内)であると考えられる。変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている。
本発明において「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が、Ero1タンパク質と同等の生物学的機能や生化学的機能を有することを指す。本発明において、Ero1タンパク質の生物学的機能や生化学的機能としては、例えば、PDIにジスルフィド結合を導入する機能や、タンパク質のジスルフィド結合形成を促進する機能を挙げることができる。生物学的な性質には発現する部位の特異性や、発現量等も含まれる。
相同遺伝子を単離するための当業者によく知られた方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern, E. M., Journal of Molecular Biology, Vol. 98, 503, 1975)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki, R. K., et al. Science, vol. 230, 1350-1354, 1985, Saiki, R. K. et al. Science, vol.239, 487-491,1988)が挙げられる。即ち、当業者にとっては、Ero1遺伝子の塩基配列(例えば、配列番号:1に記載のDNA)もしくはその一部をプローブとして、またEro1遺伝子に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、種々の植物からEro1遺伝子の相同遺伝子を単離することは通常行いうることである。
このような相同遺伝子をコードするDNAを単離するためには、通常ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション反応を行なう。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は当業者であれば、適宜選択することができる。一例を示せば、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/ml変性サケ***DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液および温度条件は、「1xSSC、0.1% SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5xSSC、0.1% SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2xSSC、0.1% SDS、65℃」程度で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAの単離を期待しうる。但し、上記SSC、SDSおよび温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
単離されたDNAの相同性は、アミノ酸配列全体で、少なくとも50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有する。配列の相同性は、BLASTN(核酸レベル)やBLASTX(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990)を利用して、決定することができる。該プログラムは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993) に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore = 100、wordlength =12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore = 50、wordlength = 3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。
本発明は、植物の細胞内において、内因性Ero1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、該細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害する方法を提供する。
さらに、本発明は、植物の細胞内において、内因性Ero1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、PDIの酸化活性を阻害する方法を提供する。
新生ポリペプチド鎖は小胞体(ER)内腔において正しい折りたたみ構造をとった機能分子に変換される(フォールディング)。具体的には、アミノ酸残基の相互作用(水素結合)により、直鎖であるペプチドが折りたたまれて、αヘリックス構造やβシート構造などの二次構造をとり、それがタンパク質の立体構造を形成する。タンパク質はフォーディングされることにより個々の特有の機能を発揮する。高次構造は、いずれも一次構造による影響を受け、例えば疎水性アミノ酸残基同士は疎水結合、Cys同士はジスルフィド結合を形成して高次構造を安定化させるなどの特徴が挙げられる。
一連のフォールディング過程の中でジスルフィド結合は可溶性タンパク質であるPDIにより形成される。PDIはチオール−ジスルフィド酸化還元酵素であり,CxxC(配列番号:10)活性部位を含む二つのチオレドキシン様ドメインを有しそれぞれジスルフィド結合形成および異性化を触媒する。
本発明において「細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害」とは、PDIへの酸化力供給を担う酵素タンパク質であるEro1の発現を抑制することにより、基質タンパク質-PDI-Ero1電子伝達カスケードを阻害し、基質タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害することをいう。従って、本発明は内因性のEro1の発現を阻害することによる、PDIの酸化活性を阻害する方法もまた提供する。
本発明のジスルフィド結合形成の阻害は小胞体内で行なわれることが好ましい。
なお、本発明において、阻害されるタンパク質のジスルフィド結合は、タンパク質分子内のジスルフィド結合であってもよいし、タンパク質分子間のジスルフィド結合であってもよい。
本発明において、Ero1遺伝子の発現を抑制する植物には特に制限はなく、植物のタンパク質ジスルフィド結合形成を抑制したい所望の植物を用いることができるが、産業的な観点からは農作物が好適である。有用農作物としては、特に制限はないが、例えばイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、エンバク、ハトムギ、イタリアンライグラス、ペレニアルライグラス、チモシー、メドーフェスク、キビ、アワ、サトウキビ、パールミレット等の単子葉植物や、ナタネ、ダイズ、ワタ、トマト、ジャガイモ等の双子葉植物が挙げられる。
本発明の植物として、より好ましくは単子葉植物、最も好ましくはイネが挙げられる。
本明細書における「Ero1遺伝子の発現を抑制」には、遺伝子の転写の抑制およびタンパク質への翻訳の抑制が含まれる。また、Ero1遺伝子の発現の完全な停止のみならず発現の減少も含まれる。
また、本発明において、Ero1遺伝子の発現を抑制する箇所は、植物全体であってもよいし、植物体の一部であってもよい。Ero1遺伝子の発現を完全に停止させる場合には、植物体の一部であることが好ましい。植物体の一部としては、例えば、種子胚乳、葉、根などが挙げられるが、これに限定されない。
本発明の方法により基質タンパク質のジスルフィド結合形成が阻害された植物は、該ジスルフィド結合により高次構造をとる基質タンパク質の摂取を原因とする疾患等の予防に有用である。このような疾患としては、例えば、アレルギー疾患が挙げられ、より好ましくはアナフィラキシーショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などが挙げられる。
また、本発明の方法により作製されたイネの胚乳では還元型チオール基を多く含んでいる。従って、粉砕した種子に水を加え捏ねて作製した生地では、チオール基間でジスルフィド結合が形成されるために、生地の粘性、可塑性および弾力性が増大する。粘性、可塑性および弾力性が増大した生地特性を有する米粉の利用法として、例えば小麦粉の代替品としての利用、または小麦粉と混合しての利用が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において、Ero1遺伝子の発現を抑制するための方法としては、Ero1遺伝子の転写産物と相補的なRNA、または該転写産物を特異的に開裂するリボザイムをコードするDNAの植物細胞への導入を挙げることができる。
本発明の「Ero1遺伝子の転写産物と相補的なRNA」の一つの態様は、Ero1遺伝子のmRNAと相補的なアンチセンスRNAである。
アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造がつくられた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらは、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する。
本発明で用いられるアンチセンス配列は、上記のいずれの作用で標的遺伝子の発現を抑制してもよい。一つの態様としては、Ero1遺伝子のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的であるものと考えられる。しかし、コード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDNAも、本発明で利用されるアンチセンスDNAに含まれる。使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3'側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。このようにして調製されたDNAは、公知の方法で、所望の植物へ形質転換できる。アンチセンスDNAの配列は、形質転換する植物が持つ内因性遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNA の長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは2.5kbよりも短い。
「Ero1遺伝子の転写産物と相補的なRNA」の他の一つの態様は、Ero1遺伝子の転写産物と相補的なdsRNAである。RNA干渉(RNAi)は、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有する二重鎖RNA(以下dsRNA)を細胞内に導入すると、導入した外来遺伝子および標的内因性遺伝子の発現がいずれも抑制される現象である。細胞に約40〜数百塩基対のdsRNAが導入されると、ヘリカーゼドメインを持つダイサー(Dicer)と呼ばれるRNaseIII様のヌクレアーゼがATP存在下で、dsRNAを3'末端から約21〜23塩基対ずつ切り出し、siRNA(short interference RNA)を生じる。このsiRNAに特異的なタンパク質が結合して、ヌクレアーゼ複合体(RISC:RNA-induced silencing complex)が形成される。この複合体はsiRNAと同じ配列を認識して結合し、RNaseIII様の酵素活性によってsiRNAの中央部で標的遺伝子のmRNAを切断する。また、この経路とは別にsiRNAのアンチセンス鎖がmRNAに結合してRNA依存性RNAポリメラーゼ(RsRP)のプライマーとして作用し、dsRNAが合成される。このdsRNAが再びダイサーの基質となって、新たなsiRNAを生じて作用を増幅する経路も考えられている。
本発明のRNAは、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に対するアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域のセンスRNAをコードしたセンスコードDNAより発現させることができる。また、これらのアンチセンスRNAおよびセンスRNAよりdsRNAを作成することもできる。
本発明のdsRNAの発現システムを、ベクター等に保持させる場合の構成としては、同一のベクターからアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる場合と、異なるベクターからそれぞれアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる場合がある。例えば、同一のベクターからアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる構成としては、アンチセンスコードDNAおよびセンスコードDNAの上流にそれぞれpolIII系のような短いRNAを発現し得るプロモーターを連結させたアンチセンスRNA発現カセット、センスRNA発現カセットをそれぞれ構築し、これらカセットを同方向にあるいは逆方向にベクターに挿入することにより構成することができる。また、異なる鎖上に対向するようにアンチセンスコードDNAとセンスコードDNAと逆向きに配置した発現システムを構成することもできる。この構成では、アンチセンスRNAコード鎖とセンスRNAコード鎖とが対となった一つの二本鎖DNA(siRNAコードDNA)が備えられ、その両側にそれぞれの鎖からアンチセンスRNA、センスRNAとを発現し得るようにプロモーターを対向して備えられる。この場合には、センスRNA、アンチセンスRNAの下流に余分な配列が付加されることを避けるために、それぞれの鎖(アンチセンスRNAコード鎖、センスRNAコード鎖)の3'末端にターミネーターをそれぞれ備えることが好ましい。このターミネーターは、A(アデニン)塩基を4つ以上連続させた配列などを用いることができる。また、このパリンドロームスタイルの発現システムでは、二つのプロモーターの種類を異ならせることが好ましい。
また、異なるベクターからアンチセンスRNA、センスRNAを発現させる構成としては、例えば、アンチセンスコードDNAおよびセンスコードDNAの上流にそれぞれ polIII系のような短いRNAを発現し得るプロモーターを連結させたアンチセンスRNA発現カセット、センスRNA発現カセットをそれぞれ構築し、これらカセットを異なるベクターに保持させることにより構成することができる。
本発明のRNAiにおいては、dsRNAとしてsiRNAが使用されたものであってもよい。「siRNA」は、細胞内で毒性を示さない範囲の短鎖からなる二重鎖RNAを意味し、例えば、15〜49塩基対と、好適には15〜35塩基対と、さらに好適には21〜30塩基対とすることができる。あるいは、発現されるsiRNAが転写され最終的な二重鎖RNA部分の長さが、例えば、15〜49塩基対、好適には15〜35塩基対、さらに好適には21〜30塩基対とすることができる。
RNAiに用いるDNAは、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列の相同性を有する。
dsRNAにおけるRNA同士が対合した二重鎖RNAの部分は、完全に対合しているものに限らず、ミスマッチ(対応する塩基が相補的でない)、バルジ(一方の鎖に対応する塩基がない)などにより不対合部分が含まれていてもよい。本発明においては、dsRNAにおけるRNA同士が対合する二重鎖RNA領域中に、バルジおよびミスマッチの両方が含まれていてもよい。
本発明の「Ero1遺伝子の発現の抑制」は、また、リボザイムをコードするDNAを利用して行うことも可能である。リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子のことをいう。リボザイムには種々の活性を有するものがあるが、中でもRNAを切断する酵素としてのリボザイムの研究により、RNAの部位特異的な切断を目的とするリボザイムの設計が可能となった。リボザイムには、グループIイントロン型や、RNasePに含まれるM1RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある。
例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15のC15の3'側を切断するが、活性にはU14が9位のAと塩基対を形成することが重要とされ、15位の塩基はCの他にAまたはUでも切断されることが示されている。リボザイムの基質結合部を標的部位近傍のRNA 配列と相補的になるように設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムを作出することが可能である。例えば、阻害標的となる本発明の酵素のコード領域中には標的となりうる部位が複数存在する。
また、ヘアピン型リボザイムも、本発明の目的のために有用である。ヘアピン型リボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(J.M.Buzayan Nature 323:349,1986)。このリボザイムも、標的特異的なRNA切断を起こすように設計できることが示されている。
本発明において、Ero1遺伝子の発現を抑制させるための方法としては、Ero1タンパク質を特異的に認識するアプタマーをコードするDNAの対象への投与を挙げることができる。
本発明の「アプタマー」は、「アプタマー」単独で疾患の治療に使用することもできるが、他の分子種、例えば、蛍光標識色素などを結合させた形態で使用することもできる。
本発明のアプタマーは、当業者において周知の方法を用いて製造することができる。限定はしないが、例えば、「インビトロセレクション法(SELEX法)」(Tuerk, C. and Gold, L., Science, 249, 505-510 (1990), Green, L. et al, Meths. Enzymol., 2, 75-86 (1991), Gold, L. et al, Annu. Rev. Biochem., 64,763-797 (1995), Uphoff, K. W. et al., Curr. Opin. Struct. Biol., 6, 281-288 (1996))により製造することができる。
「インビトロセレクション法」は、ランダムな配列を含む核酸分子のプールからEro1タンパク質に対して親和性を持つ分子を選択し、親和性を持たない分子を排除する方法である。選択された分子のみをPCR法で増幅し、さらに親和性による選択をするというサイクルを繰り返すことにより、強い結合能を持つ分子を濃縮することができる。
具体的には、まず、20〜300塩基、好ましくは30〜150、より好ましくは30〜100塩基程度のランダムな塩基配列を含む1本鎖核酸分子、例えば、DNA、RNAなどを調製する。これらの核酸分子は、直接合成するか、RNA分子の場合には、まずDNA分子を合成したのち転写反応により調製してもよい。これらの核酸分子がDNAの場合は、PCR増幅を可能にするために、その両端にプライマーとなるべき塩基配列を有する。プライマー結合配列部分は、特に限定はしないが、PCR増幅後にプライマー部分を制限酵素によって切除し得るように適当な制限酵素サイトを有するべく調製してもよい。プライマー結合配列部分の長さは、特に限定はしないが、約20〜50、好ましくは20〜30塩基程度である。また、PCR増幅後の一本鎖DNAを電気泳動などで分離可能とするために、5'側末端に、放射標識、蛍光標識などによる標識を行ってもよい。さらに、RNA分子を調製する場合には、5'末端側のプライマーに適当なプロモーター、例えば、T7プロモーター配列などを配し、DNA分子からRNA分子への転写が可能となるように調製してもよい。
次に、PCR増幅によって得られたランダムな核酸分子と、Ero1タンパク質またはEro1タンパク質の特定の領域を包含するペプチド断片とを適当な濃度比で混合し、適当な条件下でインキュベートする。インキュベート後、混合物を電気泳動にかけて、核酸分子−Ero1タンパク質複合体と遊離核酸分子とを分離する。Ero1タンパク質と複合体を形成している核酸分子を定法に従って抽出する。回収された核酸分子がDNAの場合には、さらにPCR増幅を行い、増幅されたDNAを熱変性するなどして、一本鎖DNAとして回収する。回収された核酸分子がRNAの場合には、該RNAを逆転写してcDNAとしたのち、PCR増幅し、増幅されたDNAを転写してRNAを調製する。
上述の核酸分子とEro1タンパク質との混合、Ero1タンパク質と結合した核酸分子の分離、PCR増幅(RNAの場合には、逆転写後増幅)、増幅された核酸分子を再びEro1タンパク質との結合に使用するまでの一連の操作は数ラウンド行う。ラウンドを繰り返し行うことにより、より特異的にEro1タンパク質と結合する核酸分子を選別することができる。得られた核酸分子は、定法に従い配列決定を行うことができる。
以上の工程により得られた核酸分子の配列に基づいて、リン酸骨格部分に修飾を加え、例えば、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホラミドチオエート結合、ホスホラミデート結合、ホスホルジアミデート結合、メチルホスホネート結合を含むリン酸骨格から構成されるアプタマーを得ることもできる。
本発明のEro1遺伝子の転写産物と相補的なRNA、または該転写産物を特異的に開裂するリボザイムをコードするDNA、Ero1タンパク質を特異的に認識するアプタマーをコードするDNAとしては、下記(i)から(iv)のいずれかに記載のDNAを挙げることができる。
(i)下記(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
(ii)下記(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。
(iii)下記(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なdsRNAをコードするDNA。
(iv)下記(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAがコードするタンパク質を特異的に認識するアプタマーをコードするDNA。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
本発明のdsRNAをコードするDNAの例として、より好ましくは、配列番号:1に記載のDNAにおいて、配列番号:3および5に記載のプライマーにより増幅される領域を有するsiRNAを挙げることができる。
これらのDNAは、植物の細胞内において、タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害するため、またはプロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を阻害するために用いることが可能である。
また本発明は、Ero1遺伝子の発現を抑制するDNAを含むベクターならびに形質転換植物細胞を提供する。
本発明のベクターには、上述のRNAiを誘導するために構築されたベクターが含まれる。本発明のベクターは、本発明のDNAが含まれるため、細胞に導入された場合には該細胞において転写によって形成される一本鎖RNAが分子内で対合してdsRNAを形成する。
植物細胞の形質転換に用いられるベクターとしては、該細胞内で挿入遺伝子を発現させることが可能なものであれば特に制限はない。例えばプラスミド、ファージ、またはコスミドなどを例示することができる。
また上記「植物細胞」には、種々の形態の植物細胞、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片、カルス等が含まれる。
本発明のベクターは、本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAを、恒常的または誘導的に発現させるためのプロモーターを含有してもよい。また、本発明のベクターは本発明のDNAを、植物体において部位特異的に発現させるためのプロモーターを含有していてもよい。例えば、胚乳特異的に本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAを発現させるためには、イネ種子貯蔵タンパク質、デンプン合成酵素等のプロモーターを、本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAを発現するようにベクターに挿入することができる。具体的には、実施例に記載のプロモーターが挙げられる。
当業者においては、所望のDNAを有するベクターを、一般的な遺伝子工学技術によって、適宜、作製することが可能である。通常、市販の種々のベクターを利用することができる。
本発明のベクターは、宿主細胞内において本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAを保持したり、発現させるためにも有用である。
本発明におけるEro1遺伝子の発現を抑制するDNAは、通常、適当なベクターへ担持(挿入)され、宿主細胞へ導入される。即ち本発明は、Ero1遺伝子の発現を抑制するDNAまたはベクターを保持する宿主細胞を提供する。該ベクターとしては、挿入したDNAを安定に保持するものであれば特に制限されない。本発明のDNAを内因性遺伝子を有する細胞内に導入および発現させる目的としてベクターを用いる場合には、特に発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、試験管内、植物個体内等で本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAを発現するベクターであれば特に制限されないが、例えば、試験管内発現であればpBESTベクター(プロメガ社製)、植物個体であればpBINPLUSベクター(van Engelen, F.A. et al., (1995). pBINPLUS: an improved plant transformation vector based on pBIN19. Transgenic Res. 4, 288-290.)などを例示することができる。ベクターへの本発明のDNAの挿入は、常法(Molecular Cloning, 5.61-5.63)により、例えば、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反応により行うことができる。
生体内で本発明の「Ero1遺伝子の発現を抑制するDNA」を発現させる方法としては、本発明のDNAを適当なベクターに組み込み、例えば、ポリエチレングリコール法、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、リポソーム法、カチオニックリポソーム法、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法(エレクトロポーレーション)(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 9.1-9.9)、リポフェクション法(GIBCO-BRL社製)、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法などの当業者に公知の方法により生体内に導入する方法などが挙げられる。
植物体内への投与は、ex vivo法であっても、in vivo法であってもよい。
また、植物体内へ本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAを導入する場合、DNAは、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法等を用いて、植物細胞に直接導入することもできるが、植物への遺伝子導入用プラスミドに組込み、これをベクターとして、植物感染能のあるウイルスあるいは細菌を介して、間接的に植物細胞に導入することもできる。かかるウイルスとしては、例えば代表的なウイルスとして、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、ジェミニウイルス等が挙げられ、細菌としては、アグロバクテリウム等が挙げられる。アグロバクテリウム法により、植物への遺伝子導入を行う場合には、市販のプラスミドを用いることができる。このようなベクターを用いて、植物体内へ本発明のDNAを導入する場合の方法としては、好ましくは、Toki (1997) Plant Mol. Biol. Rep. 15, 16-21に記載の方法が挙げられる。
なおこれら上述の形質転換方法は、宿主となる植物などの種類(例えば単子葉植物、双子葉植物)に応じて適宜選択することが好ましい。
また、本発明は、Ero1遺伝子の発現を抑制するDNAまたは本発明のベクターを保持する植物細胞を提供する。さらに本発明は、本発明の植物細胞を含む形質転換植物体を提供する。Ero1遺伝子の発現を抑制するDNAまたは本発明のベクターが導入される細胞には、形質転換植物体作製のための植物細胞が含まれる。植物細胞としては特に制限はない。
本発明の植物細胞には、培養細胞の他、植物体中の細胞も含まれる。また、プロトプラスト、苗条原基、多芽体、毛状根も含まれる。
形質転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。例えば、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し植物体を再生させる方法、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し植物体を再生させる方法、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法、およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法などを挙げることができるが、特に制限されるものではない。いくつかの技術については既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAを含むベクターの導入により形質転換した植物細胞を効率的に選択するために、上記組み換えベクターは、適当な選抜マーカー遺伝子を含む、もしくは選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターと共に植物細胞へ導入してもよい。この目的に使用される選抜マーカー遺伝子は、例えば抗生物質カナマイシンまたはゲンタマイシンに耐性であるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、ハイグロマイシンに耐性であるハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、および除草剤ホスフィノスリシンに耐性であるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等が挙げられる。
組み換えベクターを導入した植物細胞は、導入された選抜マーカー遺伝子の種類に従って適当な選抜用薬剤を含む公知の選抜用培地に置床し培養する。これにより形質転換された植物培養細胞を得ることができる。
形質転換された植物細胞は、再分化させることにより植物体を再生させることが可能である。再分化の方法は植物細胞の種類により異なるが、例えばイネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74 (1995))の方法が挙げられ、トウモロコシであればShillitoら(Bio/Technology 7:581 (1989))の方法やGorden-Kammら(Plant Cell 2:603(1990))が挙げられ、ジャガイモであればVisserら(Theor.Appl.Genet 78:594 (1989))の方法が挙げられ、タバコであればNagataとTakebe(Planta 99:12(1971))の方法が挙げられ、シロイヌナズナであればAkamaら(Plant Cell Reports 12:7-11 (1992))の方法が挙げられ、ユーカリであれば土肥ら(特開平8-89113号公報)の方法が挙げられる。
なお、このように再生され、かつ栽培した形質転換植物体中の導入された外来DNAの存在は、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、または植物体中のDNAの塩基配列を解析することによって確認することができる。
この場合、形質転換植物体からのDNAの抽出は、公知のJ.Sambrookらの方法(Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に準じて実施することができる。
再生させた植物体中に存在する本発明のDNAよりなる外来遺伝子を、PCR法を用いて解析する場合には、上記のように再生植物体から抽出したDNAを鋳型として増幅反応を行う。また、本発明のDNA、あるいは本発明により改変されたDNAの塩基配列に従って適当に選択された塩基配列をもつ合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、これらを混合させた反応液中において増幅反応を行うこともできる。増幅反応においては、DNAの変性、アニーリング、伸張反応を数十回繰り返すと、本発明のDNA配列を含むDNA断片の増幅生成物を得ることができる。増幅生成物を含む反応液を例えばアガロース電気泳動にかけると、増幅された各種のDNA断片が分画されて、そのDNA断片が本発明のDNAに対応することを確認することが可能である。
また、本発明のEro1遺伝子の発現を抑制するDNAの植物体への導入により、Ero1遺伝子の発現が抑制されたか否かは実施例の方法により確認することが可能である。
具体的には、ウェスタンブロッティング法によりEro1タンパク質発現レベルを解析する方法や種子貯蔵タンパク質の蓄積量を比較解析する方法が挙げられる。本発明においてはEro1タンパク質発現レベルの減少、プログルテリンの過剰蓄積が認められた場合に、Ero1遺伝子の発現が抑制されていると判断することができる。さらに、Ero1遺伝子の発現が抑制されたか否かを確認する方法として、基質タンパク質-PDI-Ero1電子伝達カスケードの結果生じると考えられる過酸化水素の発生量が減少するか否かの解析、または、α−グロブリンが液胞由来タンパク質顆粒PBIIとして蓄積するか否かを解析することもできる。
一旦、ゲノム内に本発明のDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明のDNAまたはベクターが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫およびクローン、並びに該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料が含まれる。これらの植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫およびクローン、並びに該植物体、その子孫およびクローンの繁殖材料は、植物の種子休眠を制御する方法に使用することが可能である。
本発明においては、上記の如く、Ero1遺伝子の発現を抑制することで、植物の細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害することができる。本発明の方法で作製した植物は、例えば有用農作物においてタンパク質のジスルフィド結合形成を阻害することが可能である。
さらに、Ero1遺伝子の配列情報を基に、植物の内因性のEro1遺伝子の発現を抑制するために用いる、アンチセンスRNAをコードするDNA、dsRNAをコードするDNA、リボザイム活性を有するRNAをコードするDNA、さらにアプタマーをコードするDNA等を作製することも可能である。作製されたDNAは、植物のタンパク質のジスルフィド結合を阻害するために使用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[材料および方法]
(1)Ero1 RNA干渉誘導ベクターの構築およびイネ形質転換
イネ(Oryza sativa cv Nipponbare)種子より全RNAを抽出し、逆転写反応によりcDNAを調製した。cDNAを鋳型としてPCRを行い、イネEro1(Os03g0733800)のVal-119からLys-410をコードするDNA断片を増幅した。センス鎖およびアンチセンス鎖を連結した逆方向反復配列断片を調製し、hygromycin phosphotransferaseを含むバイナリーベクター(Kawagoe, Y., et al., (2005) Plant Cell 17, 1141-1153)のα-グロブリン(Glb)遺伝子プロモーター下流に制限酵素認識部位を用いて導入して、Ero1 RNA干渉誘導ベクターを作製した(図1A)。
Ero1 RNA干渉誘導下で、GFP-GlbもしくはGFP-GlbΔC融合タンパク質を発現させるバイナリーベクター(BV)は、下記DV(Destination Vector)およびEV(Entry Vector)間における付着部位(att)組換えにより計四種作製した(DV1xEV1; DV1xEV2; DV2xEV1; DV2xEV2)(図3)。
具体的には、DVはGlbプロモーター下流にsp-GFP-Glbもしくはsp-GFP-GlbΔCを含むバイナリーベクター(Kawagoe, Y., et al., (2005) Plant Cell 17, 1141-1153)に、attR1-CmR-ccdB-attR2断片(Invitrogen)を導入し作製した(DV1およびDV2)。
また、EVは上記Ero1遺伝子の逆方向反復配列断片を、pENTRベクター(Invitrogen)のattL1-attL2間に制限酵素部位を用いて導入し作製した。Ero1遺伝子の逆方向反復配列の上流には胚乳で発現する2種のプロモーター、Gt1(Zheng, Z., et al., (1993) Plant J. 4, 357-366)(EV1)およびAPS2bプロモーター(EV2)(恩田・川越,2006年農芸化学会発表; Ohdan, T., et al., (2005) J. Exp. Bot. 56, 3229-3244)を連結した。Gt1プロモーターはGt1遺伝子(AK107314)の開始コドンより上流2530塩基、APS2bプロモーターはAPS2b遺伝子(AK103906)の5'-UTRを含む2048塩基を、ゲノムDNAを鋳型としてPCRにより増幅した.Ero1遺伝子の逆方向反復配列下流にはGt1ターミネーターを連結し、これはGt1遺伝子(AK107314)の終始コドンより下流944塩基を同様にして単離した。
イネの形質転換は上記ベクターを用いアグロバクテリウム法により行った(Goto, F., et al., (1999) Nat. Biotechnol. 17, 282-286)。
(2)共焦点レーザー顕微鏡観察
Ero1 RNA干渉誘導下で、GFP-Glb融合タンパク質を共発現させた形質転換体について(図3)、T1登熟種子より切片(100 μm)を作製した。この切片の胚乳アリューロン層の隣接細胞におけるGFP蛍光像を、共焦点レーザー顕微鏡(TCS SP2 AOBS, Leica Microsystems)により連続的に取得した。コントロールとしてGFP-Glb融合タンパク質のみを発現させた形質転換体についても同様に解析を行った。
胚乳細胞における過酸化水素発生は過酸化水素特異的蛍光プローブを用いて可視化した。野生型登熟種子切片(100 μm)を、過酸化水素特異的蛍光プローブBES-H2O2(Wako)を5 μM含む1xPBS緩衝液に浸し、室温で30分間反応させた後、蛍光像を共焦点レーザー顕微鏡により観察した(励起波長:488 nm;蛍光波長:505-555 nm)。なお、BES-H2O2の過酸化水素特異性を確認するため、スーパーオキシド特異的蛍光プローブBES-So(Wako)を用いて反応を行った。その結果、BES-H2O2とは異なり蛍光は検出されず(データ未記載)、BES-H2O2が過酸化水素特異的に反応することを確認した。PBIはローダミン染色(Rhodamine B、Sigma)により可視化した。
(3)種子貯蔵タンパク質全抽出および電気泳動
野生型もしくはEro1 RNA干渉形質転換体のT1登熟種子を液体窒素中で破砕し、SDS-Urea緩衝液(50 mM Tris-Cl, pH 6.8, 8 M Urea, 4 % (w/v) SDS, 20 % (v/v) glycerol, 5 % (v/v) 2-mercaptoethanol)に懸濁した(種子20 mg/ 700 mL)。25℃で4時間振とうし、全抽出タンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)(アクリルアミド14 %)により分離した。
(4)ウエスタン解析
(3)で抽出した種子全タンパク質をSDS-PAGEで分離し,polyvinyliden difluoride膜(ATTO)に電気的転写後、抗イネEro1ウサギ抗体と反応させた。抗原-抗体複合体は、Horseradish peroxidase標識抗ウサギ抗体(ロバ)(Amersham Biosciences)を用いて、ECL(Amersham Biosciences)により検出した。抗体作製に用いた抗原イネEro1タンパク質は、下記の方法で調製した。
イネESTクローン(OSJNEc05N03)を鋳型としてPCRを行い、Ero1のArg-57からC末端までをコードするDNA断片を増幅した。得られたPCR断片を、制限酵素部位を用いてpQE30(QIAGEN)に導入し、N末端6xHisタグ組換えタンパク質発現ベクターを構築した(Ero1/pQE30)。宿主大腸菌BL21をEro1/pQE30で形質転換し、Ampicillin(50 μg/mL)を含むLB液体培地中37℃で前培養した。Isopropyl-β-D(-)-thiogaractopyranoside (1 mM)を添加後、37℃で2時間培養し、遠心(5000 rpm, 5分間)により集菌した。
大腸菌細胞を緩衝液A(20 mM Tris-Cl, pH7.5, 2 mM EDTA, 0.2 M NaCl, 1 mg/mL lysozyme)中で超音波破砕後遠心(13000 rpm, 10分間)し、得られた沈殿画分を緩衝液B(100 mM Tris-Cl, pH7.5, 2 mM EDTA, 0.2 M NaCl, 1% (w/v) deoxycholic acid, 1 % (v/v) Nonidet P40, 10 mM 2-mercaptoethanol)に懸濁洗浄後、上記遠心により目的タンパク質を封入体として回収した。封入体を緩衝液C(50 mM リン酸緩衝液, pH 8.0, 250 mM KCl, 8 M Urea, 10 % (v/v) glycerol)に懸濁後遠心(10000 rpm, 20分間)し、上精よりEro1タンパク質をNi-NTA Agarose(QIAGEN)樹脂を用いて精製した。
〔実施例1〕 イネEro1遺伝子発現の胚乳特異的抑制
イネEro1ホモログは第3染色体にコードされている。本発明では極めて高い配列特異性を有するRNA干渉法によりイネEro1遺伝子発現の抑制を行った。まず、イネEro1遺伝子について、酵母やシロイヌナズナのそれと一次構造上相同性の高い領域をコードするDNA断片を単離した。その逆方向反復配列断片を導入したRNA干渉誘導ベクターを構築し、形質転換イネを作製した(図1A)。
なお、高等植物においてEro1タンパク質を介した酸化的フォールディングが行なわれている場合には、Ero1遺伝子は植物体の生育に必須である可能性がある。そこで植物個体の稔性を維持するため、Ero1遺伝子発現を種子胚乳特異的に抑制した。具体的には、RNA干渉誘導の制御因子として異なる三種の胚乳特異的プロモーターを比較検討した。イネ種子貯蔵タンパク質α-グロブリンもしくはグルテリンをコードする遺伝子(それぞれGlbおよびGt1)と、細胞質型ADP-glucose pyrophosphorylaseのsmall subunitをコードするAPS2b遺伝子のプロモーターを単離し、Ero1遺伝子の逆方向反復配列の上流に連結して、それぞれ形質転換体を作製した。種子稔性はAPS2bプロモーターを使用した場合が最も高く、APS2b>Gt1>=Glbの順で向上した。
作製した形質転換イネの種子より全タンパク質を抽出しEro1タンパク質発現レベルをウエスタン法により比較解析したところ、野生型と比べRNA干渉形質転換体ではEro1タンパク質の発現レベルが顕著に低下し(図1B)、種子におけるEro1遺伝子の発現が本法により抑制されることを確認した。
〔実施例2〕 イネ胚乳細胞におけるEro1タンパク質依存的電子伝達
種子貯蔵タンパク質の蓄積を比較解析したところ、野生型と比較してEro1 RNA干渉形質転換体ではグルテリンが前駆体分子種(プログルテリン)として過剰蓄積した(図1C)。
酵母では、ERにおけるタンパク質の酸化的フォールディングの一連の過程において電子がポリペプチド鎖からEro1タンパク質へと伝達されるが、基質タンパク質-PDI-Ero1電子伝達カスケードの最終電子受容体として酸素分子が報告されている(Tu, B. P., and Weissman, J. S. (2002) Mol. Cell 10, 983-994)。そして、酸素分子への電子供与の結果、過酸化水素等活性酸素種が発生することが示唆されている(Tu, B. P., and Weissman, J. S. (2002) Mol. Cell 10, 983-994; Gross, E., et al., (2006) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103, 299-304)。本発明においては、種子胚乳細胞においてEro1を介した電子伝達カスケードが機能していることを調べる一つの指標として、過酸化水素の発生に着目した。野生型登熟種子の胚乳生細胞を過酸化水素特異的蛍光プローブと反応後共焦点レーザー顕微鏡解析を行ったところ、強い蛍光(BES蛍光)が検出された(図2A)。ER由来タンパク質顆粒であるPBIはローダミン染色により可視化されるが、BES蛍光はPBIと共局在し、BES蛍光強度はPBI間で差異を示した(図2B)。
以上の結果より、イネ種子胚乳細胞においてEro1タンパク質を介した基質タンパク質-PDI-Ero1電子伝達カスケードが機能していること、およびEro1遺伝子の発現抑制によりその電子伝達が阻害されることが示唆された。
〔実施例3〕 Ero1 RNA干渉による種子貯蔵タンパク質の細胞内蓄積への影響
α-グロブリンはA, B, C 三つの領域から成り、それぞれシステイン残基を含むコンセンサス配列を有する(領域A, L45xxC48(配列番号:7); 領域B, C78C79xQ81L82(配列番号:8); 領域C, P168xxC171(配列番号:9))。先行研究でα-グロブリンは最終的に液胞由来タンパク質顆粒PBIIとして蓄積し、α-グロブリンのPBII局在化には領域B-C間分子内ジスルフィド結合形成が必須であることが報告されている(Kawagoe, Y., et al., (2005) Plant Cell 17, 1141-1153)。
そこで、Ero1遺伝子発現抑制のα-グロブリン(Glb)細胞内蓄積への影響を調べるため、Ero1 RNA干渉をGt1もしくはAPS2bプロモーター(それぞれPGt1もしくはPAPS2b)制御下誘導し、GFP-Glb融合タンパク質を共発現させた(図3A, 3Bおよび3C上段)。
登熟種子切片について共焦点レーザー解析を行ったところ、Ero1 RNA干渉形質転換体においてGFP蛍光は野生型とは異なる形状を示した。具体的には、野生型ではGFP蛍光が直径約4μmの球状として観察されるのに対し、PGt1::Ero1 RNA干渉形質転換体ではPBIIとは区別される小さい顆粒が多く観察され、PAPS2b::Ero1 RNA干渉形質転換体においても小さい顆粒として観察された(図4)。
一方、領域Cを欠損したα-グロブリン(GlbΔC)はPBIに局在し、これは分子間ジスルフィド結合形成依存的である(Kawagoe, Y., et al., (2005) Plant Cell 17, 1141-1153)。そこでEro1 RNA干渉誘導下で、GFP-GlbΔC融合タンパク質を共発現させ(図3A, 3Bおよび3C下段)、同様に解析を行った。その結果、PGt1::Ero1 RNA干渉形質転換体およびPAPS2b::Ero1 RNA干渉形質転換体ではGFP蛍光が大小の顆粒さらにネットワーク状として観察され(図5)、野生型における典型的なPBIとは異なる形状を示した(図2B, 右パネル ローダミン)。
これらの結果より、Ero1が胚乳細胞におけるタンパク質顆粒形成に重要であり、Ero1遺伝子の発現抑制により種子タンパク質のジスルフィド結合形成が阻害されることが示唆された。
(A) Ero1 RNA干渉誘導ベクターの構造を示す図である。イネEro1のVal-119からLys-410をコードするDNA断片について逆方向反復配列を作製し、Glbプロモーターの下流に連結した。(B) 野生型およびEro1 RNA干渉形質転換体イネ種子におけるEro1タンパク質の発現レベルを示す写真である。野生型(レーンWT)およびEro1 RNA干渉誘導ベクターを導入した形質転換体(レーンero1)の登熟種子より抽出した全タンパク質をSDS-PAGE分離し、抗イネEro1抗体を用いてウエスタン解析を行った。矢印はイネ Ero1タンパク質を示す。(C)野生型およびEro1 RNA干渉形質転換体イネ種子における貯蔵タンパク質の蓄積を示す写真である。矢印は上からグルテリン前駆体(プログルテリン)、グルテリン成熟体の酸性サブユニット(α-グルテリン)、同塩基性サブユニット(β-グルテリン)を示す。 イネ種子胚乳細胞における過酸化水素発生を可視化した写真である。(A)野生型登熟種子切片を過酸化水素特異的蛍光プローブと反応後、共焦点レーザー顕微鏡観察を行った。Bar=10μm。(B)野生型登熟種子の切片を、過酸化水素特異的蛍光プローブ(パネルBES)およびローダミン(パネル ローダミン)により二重染色し、各蛍光を共焦点レーザー顕微鏡により解析した。Bar=5μm。 Ero1 RNA干渉およびGFP-Glb融合タンパク質の共発現ベクターの構造を示す図である。図1AのEro1遺伝子の逆方向反復配列の上流にGt1(A)もしくはAPS2b(B)プロモーターを連結した(それぞれPGt1::Ero1 RNAiおよびPAPS2b::Ero1 RNAi)。その下流にはいずれもGt1ターミネーターを連結した。各ベクター(AおよびB)の矢印部位にGFP-Glb全長(PBII局在)(C上段)もしくはGFP-GlbΔC(PBI局在)(C下段)を導入した。 Ero1 RNA干渉形質転換体における、GFP-Glb融合タンパク質の細胞内局在を示す写真である。野生型と、図3Aおよび図3BのベクターにGFP-Glb全長(図3C上段)を導入したベクターで形質転換したイネ(それぞれPGt1::Ero1 RNAiおよびPAPS2b::Ero1 RNAi)の登熟種子について、GFP蛍光を共焦点レーザー顕微鏡により解析した。Bar=2μm。 Ero1 RNA干渉誘導形質転換体における、GFP-GlbΔC融合タンパク質の細胞内局在を示す写真である。図3Aおよび図3BのベクターにGFP-GlbΔC(図3C下段)を導入したベクターで形質転換したイネ(それぞれPGt1::Ero1 RNAiおよびPAPS2b::Ero1 RNAi)の登熟種子について、GFP蛍光を共焦点レーザー顕微鏡により解析した。Bar=2μm。

Claims (13)

  1. 植物の細胞内において、内因性の以下の(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの発現を抑制することを特徴とする、該細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害する方法。
    (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において30アミノ酸以内のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を含み、細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を促進する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
    (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有し、細胞内タンパク質のジスルフィド結合形成を促進する機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  2. 植物の細胞内において、内因性の以下の(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの発現を抑制することを特徴とする、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を阻害する方法。
    (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において30アミノ酸以内のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を含み、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を有し、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  3. 胚乳細胞において特異的に当該DNAの発現を抑制することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 植物が単子葉植物である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 下記(i)から(iv)のいずれかに記載のDNAを植物の細胞内に導入する工程を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
    (i)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
    (ii)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。
    (iii)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なdsRNAをコードするDNA。
    (iv)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAがコードするタンパク質を特異的に認識するアプタマーをコードするDNA。
  6. アグロバクテリウムによって、DNAを植物の細胞内に導入することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の方法によって、請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの発現が抑制された植物体。
  8. 下記(i)から(iv)のいずれかに記載のDNA又は該DNAを含むベクターを含む、植物の細胞内において、タンパク質のジスルフィド結合形成を網羅的に阻害するための、または、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性を阻害するための、剤
    (i)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
    (ii)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。
    (iii)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なdsRNAをコードするDNA。
    (iv)請求項1(a)から(d)のいずれかに記載のDNAがコードするタンパク質を特異的に認識するアプタマーをコードするDNA。
  9. 請求項に記載のDNAまたはベクターを保持する、細胞内において、タンパク質のジスルフィド結合形成が網羅的に阻害された、または、プロテインジスルフィドイソメラーゼの酸化活性が阻害された、形質転換植物細胞。
  10. 請求項に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体。
  11. 請求項10に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
  12. 請求項10または11に記載の形質転換植物体の繁殖材料。
  13. 請求項10または11に記載の形質転換植物体の製造方法であって、請求項に記載のDNAまたはベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法。
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