描かれている実施形態の以下の説明では、これに関して一部を形成し、本発明が実践されてもよい多様な実施形態が実例として示される添付図面が参照される。他の実施形態が用いられてもよく、構造上の変化及び機能上の変化は、本発明の範囲から逸脱することなく行われてもよいことが理解されるべきである。
本発明による埋め込み型装置は、後述される特長、構造、方法又はその組み合わせの一つ又は複数を含んでもよい。例えば、心臓モニタ又は心臓刺激器は、後述される有利な特長及び/又はプロセスの一つ又は複数を含むために実現されてもよい。このようなモニタ、刺激器、他の埋め込まれた、又は部分的に埋め込まれた装置は本書に説明されている特長のすべてを含む必要はないが、一意の構造及び/又は機能性を提供する選択された特徴を含むために実現されてもよいことが意図される。このような装置は、種々の治療機能又は診断機能を提供するために実現されてもよい。
多種多様な埋め込み型心臓監視及び/又は刺激装置は、本発明の心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査の方法論を実現するように構成されてもよい。このような装置の限定されない、代表的なリストは心臓モニタ、ペースメーカ、心臓電気的除細動装置、心細動除去装置、リシンクロナイザー、及び他の心臓監視装置及び治療送達装置を含む。これらの装置は、経静脈電極、心内膜電極、及び心外膜電極(つまり、胸郭内電極)、及び/又は缶(can)、ヘッダ、及び不関電極を含む皮下非胸郭内(non−intrathoracic)電極、及び皮下アレイ電極又はリード線電極(つまり非胸郭内電極)を含む種々の電極装置とともに構成されてもよい。
本発明の実施形態は、前記に記載された心臓装置等の多種多様な心臓装置の関連で実現されてよく、一般的には便宜上、患者内医療装置(patient−internal medical devices)(PIMD)と呼ばれている。本発明に従って実現されているPIMDは、前記に特定された電極タイプの一つ又は複数、及び/又はその組み合わせを組み込んでもよい。
本発明の心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査システムは、位置が変化する、及びおそらく設定が変化する三つ以上の電極を利用する。一実施形態では、例えば二個又は三個以上の電極が便宜的にPIMDヘッダ上に位置してもよいのに対し、PIMD自体の缶は第三の電極であってもよい。別の実施形態では、ある電極がPIMDヘッダ上に位置し、別の電極は缶電極であり、第三はRFテレメトリに使用されるPIMDアンテナであってもよい。
心電図(ECG)信号は、体内を通る血液を送り出す心筋の収縮を提供する心筋を通して伝搬される電気生理学信号から発する。検知されたECG信号は、事実上、雑音成分とともに、心臓収縮と関連する心臓の中で発生するすべての脱分極の重ね合せである。心臓を通る脱分極の伝搬は脱分極波面と呼ばれてもよい。心臓のポンピングの順次タイミングを提供する心腔を通る脱分極波面伝搬のシーケンスが活性化シーケンスと指定される。
信号分離アルゴリズムは、ECG信号の活性化シーケンス成分を分離し、前記分離に基づいて一つ又は複数の心臓活性化シーケンスのすべて又は一部と関連する一個又は複数の心臓信号ベクトルを生じさせるために活用されてもよい。活性化シーケンス成分は、ECG信号を構成する信号源と見なされてよく、信号分離プロセスは発生源分別プロセス、又は単に発生源分離と呼ばれてもよい。心臓活性化シーケンスと関連する心臓信号ベクトルを生じさせるために有効な一つの例証的な信号発生源分別方法論は、さらに詳しく後述されるブラインド音源分離である。
一般的には、PIMDの1組の電極から検知される心電図又は電気記録図の品質は、心臓が生じさせる脱分極波面に関する電極の向きに依存している。電極バイポールで検知される信号は、前記バイポールの方向でのECGベクトルの投射である。本発明の心臓活性化シーケンス監視及び/又はトラッキングアルゴリズムは、空間的に分散されている電極全体での共通の起源(心臓)からの信号の強力な相関関係を有利に利用する。
図1A及び図1Bを参照すると、ECG波形100は、例えばバイポーラ心臓検知電極によって記録されるような患者の心臓の活性化シーケンスを説明している。図1Aのグラフは第一の鼓動110、第二の鼓動120、及び第三の鼓動130として示されている三顧の鼓動のためのECG波形100の例を描いている。図1Bは、図1Aのかっこ1Bによって特定されるECG波形の最初の二つの鼓動110、120の拡大図である。
第一の鼓動110を参照すると、心房筋繊維の脱分極を表わすECG波形の部分がP波112と呼ばれている。心室筋繊維の脱分極は、集合的に、心電図の周知の形態素性でri
通常はQRS群と呼ばれている、ECG波形100のQ114波、R116波及びS118波によって表現されている。最終的に、心室筋繊維の心再分極を表現する波形の部分は、T波119として知られている。収縮間でECG波形は等電位レベルに戻る。
図1A及び図1Bに描かれている前記検知されたECG波形100は、収縮を生じさせる心臓の中で発生するすべての脱分極の事実上重ね合わせである非近接場ECG信号に特有である。ECG波形100は、信号分離方法論を使用することによって等、間接的に取得されてもよい。ブラインド音源分離(BSS)等の信号分離方法論は、一個のコンポジット信号に混合される個々の源から信号を分離できる。信号分離の主要な原理は、空間的に分散した電極が一つの共通の起源(例えば心臓)からの信号の成分を収集し、その結果これらの成分は互いに強力に相互に関連することを前提として作用する。加えて、これらの成分も別の起源(例えば、雑音)の成分に弱く相関する。信号分離アルゴリズムは、その源に従ってこれらの成分を分離し、発生源分別に基づいて一つ又は複数の心臓活性化シーケンスのすべて又は一部に結び付いた一個又は複数の心臓信号ベクトルを生じさせるために実現されてもよい。
図2は脱分極波面と結び付いた心臓信号ベクトルを説明するための便利な参照を描いている。図2は、胸郭220の前面図の上に重ね合わされた心臓ベクトル240の極座標200であり、前記極座標の起点は患者の心臓250、特に心臓250の心房心室(atrioventicular)結節に位置する。心臓250は、大部分は心筋層と呼ばれる特殊な種類の横紋筋から構成されている四つの心腔ポンプである。二つの主要なポンプは心臓内で動作し、それらは血液を肺循環に送り出す右心室260と、血液を大循環に送り出す左心室270である。これらのポンプのそれぞれは、右心房265と左心房275と呼ばれているその関連する心房に接続されている。
心臓ベクトル240は、極座標200の円の回りに度単位で角度を有し、心臓ベクトル240の先端の起源からの距離として示されている大きさを有するとして説明できる。極座標200は、患者の左で0度、患者の右で+/−180度を示す水平線によって半分に分割され、患者の頭部で−90度、底部で+90度によって示される垂直線によってさらに四分円に分けられる。心臓ベクトル240は、極座標200によって示される二次元平面上に投射可能である。
心臓ベクトル240は、極座標200の上への心臓の活性化シーケンスの投射のすべて又は一部の測度である。心臓は、正常な状態で、心室ポンピング及び心房ポンピングの全体的なタイミングが、心臓によって毎分繰り出される血液の量である心拍出量を生じさせるために最適であることを確実にする特殊伝導システムを持っている。前述されたように、心臓の正常なペースメーカは、洞房結節と呼ばれる右心房内に位置する自動始動(self−firing)装置である。この構造により生じる電気的な脱分極は二つの心房の収縮を活性化する。脱分極波面は、次に心房の中及び心房の間の伝導路を使用して特殊伝導システムに達する。脱分極は房室結節に伝えられ、二つの心室の収縮を刺激するために右脚及び左脚から構成される高速伝導システムを下方へ伝達される。
正常なペースメーカ及び高速伝導システムは固有の自律活動によって、及び心拍数と、電気的な脱分極が特殊伝導システムを通して伝えられる速度を変調する自律神経系によって影響を受ける。心臓の特殊伝導システムに干渉する多くの病気があり、多くは異常に速い心調律、異常に遅い心調律、あるいは不規則な心調律を生じさせる。
心臓ベクトル240は、例えば心臓周期全体と関連してよく、心臓周期の平均規模及び平均角度を記述する。ここで図3Aを参照すると、図2の心臓ベクトル240を構成しうる心臓周期の別々の部分の極座標300が描かれている。図3Aに描かれているように、QRSベクトル310及びPベクトル320は、それぞれほぼ60度の角度と30度の角度を有して描かれている。QRSベクトル310はQRS軸とも呼ばれてよく、QRSベクトルの方向の変化はQRS軸偏位と呼んでもよい。
QRSベクトル310は、心臓周期のQRS部分の間の脱分極波面の平均規模及び角度の極座標300上への投射を表わしている。Pベクトル320は心臓周期のP部分の間の脱分極波面の平均規模及び角度の、極座標300上への投射を表わしている。脱分極波面の任意の部分の投射は、極座標300上でベクトルとして表現されてもよい。
さらに、任意の数の心臓周期が、極座標300上への投射としてベクトルによって表現されてもよい統計サンプルを提供するために結合されてもよい。同様に、複数の心臓周期の間での前記心臓周期の部分も、例えば複数の心臓周期の間の前記心臓周期のP部分だけの加重総和を結合する等、結合されてもよい。
ここで図1から図3Aを参照すると、第一、第二、及び第三の心臓周期110、120及び130は、三個又は四個以上の心臓検知電極によって検知される信号に同時に適用されるウィンドウ140(図1)を使用して分析されてもよい。ウィンドウ140の間にすべての検知電極からのECG波形信号100は信号プロセッサに提供されてもよい。それから、信号プロセッサは心臓ベクトル240(図2)を提供する発生源分別を実行してもよい。したがって心臓ベクトル240は、三つすべての心臓周期110、120、及び130の間の事実上平均である心臓ベクトルの向き及び規模を表わす。
他のウィンドウも有用である。例えば、ウィンドウ150及びウィンドウ160は、それぞれ、図1に描かれている心臓周期120と心臓周期130のような、完全心臓周期を分析のためにコントローラに提供してもよい。ウィンドウ150、160は、有用な拍動ごとの分析に有用であり、分離された心臓ベクトル240からの角度、規模又は他の有用なパラメータが連続拍動の間で比較される、あるいは例えば傾向を示される。
他の有用なウィンドウの例は、図3Aに描かれているPベクトル320とQRSベクトル310を提供することによって等、拍動内(within−beat)分析能力を提供するPウィンドウ152、QRSウィンドウ154、及びSTウィンドウ155(図1)を含む。図1に描かれている連続心臓周期130に対して等、以後の拍動にPウィンドウ162及び/又はQRSウィンドウ164、及び/又はSTウィンドウ165を提供することは、心臓周期のウィンドウ化された部分の変更及び/又は傾向、あるいは1を超える拍動でのP波、QRS波又はT波の統計的なサンプルを追跡調査し、監視するための情報を提供してもよい以後の分離を提供する。
ここで図3Bを参照すると、心電図の選択された部分から得られる心臓ベクトルの極座標が描かれている。一般的には、所与の患者の心臓周期の特定のセグメントと関連する一つ又は複数の検出ウィンドウを定めることが望ましい可能性がある。検出ウィンドウは、P波特長、QRS波特長、ST波特長、及びT波特長等の心臓信号特長と関連してもよい。検出ウィンドウは、患者の心臓の病状の変化の結果として特徴が変化する心臓周期の他の部分と関連してもよい。このような検出ウィンドウは固定ウィンドウ又はトリガ可能ウィンドウとして定義されてもよい。
検出ウィンドウは前記ウィンドウを開始し、終了するためのユニットステップ関数を含んでもよい、あるいはバートレット(Bartlett)、ベッセル(Bessel)、バターワース(Butterworth)、ハンニング(Hanning)、ハミング(Hamming)、チェビシェフ(Chebyshev)、ウェルチ(Welch)、又は他の関数及び/又はフィルタ等の円滑化機能を使用して先細になる、あるいはそれ以外の場合、開始、終了してもよい。特定の心臓信号に結び付いた前記検出ウィンドウは正常な心臓の活動又は予想される心臓の活動に起因する心臓ベクトルを検知するのに十分な幅を有してもよい。異常な又は予想外の心臓活動は、正常な心臓挙動を示す範囲内に入るために所与の心臓ベクトルの不全を生じさせることがある。正常範囲を超える所与の心臓ベクトルの検出は、監視動作又は診断動作の増加、治療の送達、患者又は医師の警戒、警告及び/又は装置/生理学的データの外部システム(例えば、高度患者管理システム)への通信、あるいは他の反応動作を含む一つ又は複数の動作をトリガしてもよい。
ECG信号305は、縦座標上の信号振幅350対横座標上の時間として図3Bに描かれている。一つの心臓周期が描かれている。ECG信号305のP部分は、時間336で開き、時間337で閉じるPウィンドウ335を使用して定められてもよい。Pウィンドウ335内のECG信号305で実行される発生源分別は、極座標330に描かれているPベクトル310を生じさせる。Pベクトル310の角度は、ECG信号305のためのPウィンドウ335の時間中、脱分極波面のベクトル総和の角度を示す。
ECG信号305のST部分は、時間346で開き、時間347で閉じるSTウィンドウ345を使用して定められてもよい。STウィンドウ345内のECG信号305で実行される発生源分別は、極座標340で描かれているSTベクトル350を生じさせる。STベクトル350の角度はECG信号305のためのSTウィンドウ345の時間中、脱分極波面のベクトル総和の角度を示す。
Pベクトル310及びSTベクトル350は、将来の比較のためにベースラインとして獲得されてもよい。Pベクトル310及びSTベクトル350のベースラインがすでに確立されている場合、Pベクトル310及びSTベクトル350は、監視及び追跡調査の目的のためにそのベースラインと比べて比較されてもよい。前述されたように、所定の範囲を超えるPベクトル310又はSTベクトル350が検出されると、一つ又は複数の反応作用がトリガされてもよい。
前述されるように、変化及び/又は傾向を監視するための心臓活性化シーケンス監視及び追跡調査は、初期活性化シーケンスを決定し、活性化シーケンスの急性の、及び慢性的な変更を決定するために有用であってもよい。患者の活性化シーケンスは、伝導異常(例えば、AVブロック、脚ブロック、逆行性伝導)、及び心不整脈(例えば、上室性頻拍症対心室頻脈(VT)、再エントリー性上室性頻拍症対心房性細動を区別すること、又は他の望ましい区別)等の状態の識別、区別、及び傾向の表示(trending)にとって貴重である。ベースラインの確立に加えて、活性化シーケンス情報を監視し、追跡調査することは、例えば、自動捕捉(autocapture)/自動閾値化(autothreshold)アルゴリズムの、調整、最適化、又は心臓再同期療法の開始、及び抗不整脈療法ためのペース捕捉を決定するために役立つことがある。
図4は、脱分極波面と関連する心臓信号ベクトルを記述するための別の便宜的な基準を描いている。図4は、本発明に従って病気及び異常状態を診断するために有効な心臓ベクトルの基準の時間的なプロファイルのグラフ400である。グラフ400は、心臓ベクトルの第一の時間的なプロファイル430と、変化が発生した後の同じ信号ベクトルの第二の時間的なプロファイル440を含む。グラフ400の横座標420は時間に関連しており、グラフ400の縦座標410は心臓ベクトルの基準に関する。
縦座標410は、例えば心臓ベクトルの角度であってもよい。縦座標410にとって有効なベクトルの基準の限定されない網羅的ではないリストは、角度、大きさ、変動、パワースペクトル密度、角度変化速度、大きさ変化速度、変動の変化速度又は心臓活性化シーケンスにおける変化を示す他の基準を含む。一例として、図3Aに描かれているPベクトル320の角度を考える。この例では、縦座標410は度で示され、第一の時間的なプロファイル430は約30度から変化する。横座標420は、心臓周期で示される時間であって、心臓周期ごとにPベクトル320の測定が行われる。Pベクトル320の角度は、心臓周期の任意の間隔でグラフ400で描かれ、それによって多くの心臓周期の間にPベクトル320の角度の分散及び傾向を表示する。
患者の心臓の病理変化等の何らかの変化が発生した後、第二の時間的なプロファイル440が、変更の後に発生する心臓周期を使用して描かれてもよい。第二の時間的なプロファイル440対第一の時間的プロファイル430で明らかであるように、第二の時間的なプロファイル440の分散は第一の時間的なプロファイル430の分散より著しく大きくなる。このような変化が検出され、本発明に従って病気及び/又は心臓の状態を診断し、検証し、及び/又は監視するために使用されてもよい。
図5Aから図5Dは、患者の心臓500の心室の断面図上に重ね合わされた心臓ベクトルを描いている。図5Aを参照すると、心臓の隔壁によって区切られている右心室510と左心室520を有する患者の心臓の心室部分が描かれている。特殊伝導システムは、平均QRSベクトル525のように、心臓ベクトルのための起点として使用される房室結節550を含む。
右脚540は房室結節550から、右心室510の壁まで脱分極波面を伝導する。右心室510の壁の中に描かれているのは、一連のベクトル511から517が、それが右心室510に沿って移動するにつれた脱分極波面の規模及び角度を示す。
左脚530は房室結節550から、左心室520の壁まで脱分極波面を伝導する。左心室510の壁の中に描かれているのは、一連のベクトル501から507が、それが左心室520に沿って移動するにつれた脱分極波面の局所部分の規模及び角度を示す。
平均QRSベクトル525は、ベクトル511から517とベクトル501から507のベクトル総和である。平均QRSベクトル525は、図3Aの極座標を使用する場合にここでは約40度の角度で描かれている、健康的な心臓に特有である。平均QRSベクトル525は、例えば患者の姿勢、及び正常な解剖的偏位に応じて患者ごとに変わる。
ここで図5Bを参照すると、左心室520の壁が拡大されている、あるいは図5Aを基準にして肥大している。図5Bにおいて、点線560は肥大前の図5Aの左心室520の壁を表している。一連の局所的なベクトル561から567は、左心室ベクトル501から507の正常な連続を基準にして肥大関連ベクトル561から567からの平均QRSベクトル525に対するさらに大きな局所的な貢献を描いている。
図5Cは、正常な心臓からの平均QRSベクトル525が、肥大が発生した後に平均肥大済みQRSベクトル565にどのようにして変化してもよいのかを描いている。例えば、PIMDは患者に植え込まれてよく、初期分析は、左心室520の正常な状態を示す患者のための平均QRSベクトル525を提供する。ある期間の後、患者の心臓は肥大にさらされてもよい。肥大後に実施される分析は、平均肥大後QRSベクトル565を検出させる。この変化は、患者の左心室の肥大を診断し、検証し、及び/又は監視するために使用されてもよい。
本発明の実施形態を使用して診断されてもよい、及び/又は検証されてもよい病理変化の別の例は、例えば一過性の虚血又は心筋梗塞による心臓の一部に対する血液の供給の低下又は損失である。図5Dの断面は、心室壁の梗塞部分570を有する左心室520を描いている。梗塞部分570で明らかなように、脱分極が発生していないため、局所的な脱分極ベクトル571から574だけが左心室520からの平均心臓ベクトルに貢献している。梗塞の結果、例えば検出された平均QRSベクトル525の、梗塞平均QRSベクトル580への変化が生じる。STベクトルのような他のベクトルも変化を示してもよい。この変化は、心臓ベクトルの角度が梗塞前の第二の四分円から、梗塞後の第三の四分円に移動するので明らかである。
図5Dに描かれているような変化を検出するPIMDは、患者及び/又は医師に、恒久的な損傷が発生する前に心筋の一部への血液供給の低下又は損失を警告する可能性がある。早期検出は、これらの種類の事象からの死亡率の大幅な削減につながる可能性がある。
図6Aは、本発明による発生源分別に基づいて一つ又は複数の心臓活性化シーケンスのすべて又は一部と関連する一個又は複数の心臓信号ベクトルにおける変化を検出する方法600のブロック図である。ベースラインが確立され610、患者の電気生理学的な信号を基準にして監視されてもよい、あるいは追跡調査されてもよい情報を提供する。ベースライン610は、ベースラインとして初期の心臓信号情報を提供する、初期発生源分別から確立されてもよい。代わりに又は加えて、ベースライン610は臨床データからのPIMD製造メーカによって確立されてもよい、あるいは患者のベースライン610はPIMD埋め込み処置の前、間、又は後に臨床医によって確立されてもよい。前記ベースライン610は、例えば、従前の発生源分別からの最近の患者情報の周期的な(rolling)平均として確立されてもよい。
評価基準は、ベースライン610に対する比較のためのインデックスを提供するために確立される620。例えば、評価基準620は、患者の電気生理学情報から決定可能又は測定可能な任意のパラメータ又は特性であってもよい。評価基準620の網羅的ではない、限定されないリストは、一個又は複数の心臓信号ベクトルの角度変化、一個又は複数の心臓信号ベクトルの大きさ変化、一個又は複数の心臓信号ベクトルの分散変化、一個又は複数の心臓信号ベクトルの角度のパワースペクトル密度変化、一個又は複数の心臓信号ベクトルの大きさのパワースペクトル密度変化、一個又は複数の心臓信号ベクトルの軌跡の変化、一個又は複数の心臓信号ベクトルの時間的なプロファイル変化、一個又は複数の心臓信号ベクトルの角度の変化の速度、一個又は複数の心臓信号ベクトルの大きさの変化の速度、一個又は複数の心臓信号ベクトルの分散の変化の速度、一個又は複数の心臓信号ベクトルの時間的なプロファイルの変化の速度、一個又は複数の心臓信号ベクトルの角度の傾向、一個又は複数の心臓信号ベクトルの大きさの傾向、一個又は複数の心臓信号ベクトルの分散の傾向、及び一個又は複数の心臓信号ベクトルの時間的なプロファイルの傾向を含む。
例えば、初期発生源分別は、埋め込み後に患者でPIMDによって実行されてもよい。該分別は、図2に描かれている心臓ベクトル240等の患者の平均完全信号周期のベースライン610を生じさせてもよい。ベクトル240は、+45度として決定される角度等の特性を有してもよい。評価基準620は、例えば、患者の平均完全心臓周期ベクトルの角度が+40度から+50度でなければならない。
比較630は、ベースライン610を基準にした最新の患者情報を決定するために実行される。例えば、最新の発生源分別アルゴリズムの結果は、患者の最新の平均完全心臓周期ベクトルの角度を提供してもよい。前記例を続行すると、比較630は患者の平均完全心臓周期ベクトルの角度を、+40から+50度の基準に照合してもよい。
決定640は、比較630に基づいた結果を選択する。例えば最新角度が前記に概略されるように+40度から+50度の範囲内である場合等、前記基準が満たされている場合、パターンA650は患者の最新の状態であると見なされる。例えばパターンA650は、PIMDによって何らかの種類のアクションを必要とするには不十分な変化として定義されてもよい。基準620が決定640で満たされない場合には、パターンA補足660状態が患者の最新の状態であると見なされる。パターンA補足660状態は、状態を報告する、患者の心調律をさらに評価する、衝撃のために心細動除去装置を準備する等、又は他の所望されるアクションPIMDによる何らかの種類のアクションを必要とすると定義されてもよい。
図6Bは、ベースラインシフトのための基準が二つの基準を含むときに、一つ又は複数の心臓活性化シーケンスのすべて又は一部と関連する一個又は複数の心臓信号ベクトルの変化を検出する方法605の別の実施形態のブロック図である。任意の数の基準が本発明に従って使用される、あるいは結合されてもよいことが意図される。図6Bに関して二つの基準を使用することは、本発明の方法を複数の基準に拡大する方法に関する説明のためであり、制限例として意図されていない。
ベースライン612が確立され、患者の電気生理学的信号から監視されてもよい、あるいは追跡調査されてもよい情報を提供する。このベースライン612は、ベースラインとして初期の心臓信号情報を提供する初期発生源分別から確立されてもよい。代わりに、又は加えて、ベースライン612は、臨床データからPIMD製造メーカによって確立されてもよい、あるいは患者のベースライン612がPIMD埋め込み手順の前、間、又は後に臨床医によって確立されてもよい。ベースライン612は、例えば従前の発生源分別から最近の患者情報の周期的な平均として確立されてもよい。
評価基準は、ベースライン612に対する比較のためのインデックスを提供するために確立される622。例えば、評価基準622は、患者の電気生理学情報から決定可能な又は測定可能な任意のパラメータ又は特性であってもよい。評価基準622の網羅的ではない限定されないリストは図6Aに関して前述されたものを含む。単一の基準が複数のベースラインに関して比較されてもよい、及び/又は複数の基準がそれぞれ特定の基準に関して確立される独自の一意のベースラインに関してそれぞれ比較されてもよいことがさらに意図される。
ベースラインは、例えば臨床データを使用してあらかじめ定義されてもよい、及び/又はベースラインは初期発生源分別を使用して確立されてもよい。例えば、さらに詳細に後述されるように、発生源分別は、一連の単位方向ベクトルに適合される一連の係数を使用してベクトルが説明される直交座標系を提供してもよい。一つ又は複数の角度は、座標系の他のベクトルを基準にしたベクトルの方向を示すために三角恒等式を使用して計算されてもよい。以後の発生源分別は係数の改訂された集合を提供し、ベクトル方向の変化は前記同じ三角恒等式を使用して求められてもよい。n次元空間においては(n−1)角度が解かれ、本発明による比較及び追跡調査のために使用されてもよい。
例えば、初期発生源分別は、植え込み後に患者でPIMDによって実行されてもよい。前記分別は、図3Aに描かれているQRS−ベクトル310及びPベクトル320等の患者の心臓周期のベースライン612を生成してもよい。QRS−ベクトル310は、+45度として決定される角度を有してもよい。Pベクトル320は+28度として決定される角度を有してもよい。評価基準622は、例えば患者のQRS−ベクトルの角度が+40度から+50度の範囲内でなければならないこと、及び患者のPベクトル角度が+25度から+30度の範囲内でなければならないということであってもよい。
比較632が、前記ベースライン612を基準にして最新の患者情報を決定するために実行される。例えば、最新の発生源分別アルゴリズムの結果は、QRSベクトル及びPベクトルの最新角度を患者に提供してもよい。前記例を続行すると、前記比較632は、患者のQRSベクトル及びPベクトルを、それぞれ+40度から+50度、及び+25度から+30度の基準に照合してもよい。
第一の決定642は、前記比較632に基づいて第一の結果を選択する。例えばQRSベクトルの最新角度が前記に概略されたように、+40から+50度の範囲内である場合等の第一の基準が満たされると、パターンA652は患者の最新の状態であると見なされる。例えば、パターンA652は、PIMDによる何らかの種類のアクションを必要とするには不十分な変化として定義されてもよい。基準622が決定642で満たされない場合には、パターンA補足662状態が患者の最新の状態であると見なされる。パターンA補足662状態は、状態を報告する、患者の心調律をさらに評価する、衝撃のために心細動除去装置を準備する等、又は他の所望されるアクションPIMDによる何らかの種類のアクションを必要とすると定義されてもよい。
第二の基準決定672は、第二の基準に基づいて第二の結果についてチェックするために実行される。例えば、Pベクトルの最新の角度が前記に概略されたように、+25度から+30度の範囲内にある場合等、第二の基準が満たされると、パターンB682が患者の最新の状態であると見なされる。例えば、パターンB682はPIMDによる何らかの種類の第二のアクションを必要とするには不十分な変化として定義されてもよい。前記基準622が決定672で満たされない場合には、パターンB補足692状態が患者の最新の状態であると見なされる。前記パターン補足692状態はPIMDによる何らかの種類の第二のアクションを必要とすると定義されてもよい。
以下の表1は、本発明に従って心臓活性化シーケンスを監視する、及び/又は追跡調査することによって検出されてもよい、限定されない網羅的ではない状態のリストを提供する。
図6Cは、本発明の実施形態による姿勢変化に起因するベクトル向きの変化を描くグラフである。姿勢の変化は胸郭内での心臓の位置の変化につながるため、心臓活性化シーケンス情報を監視する、及び/又は追跡するときに複数の皮下ECGから計算される優勢な向きの変化を生じさせる。図6Cは、持続心調律の間に姿勢変化が発生するときの姿勢と優勢な向きの関係性を描いている。第一の姿勢607は優勢活性化シーケンスベクトルの第一の向き637を生じさせる。姿勢の変化617は持続心調律の間に発生し、その結果あらゆる検出された変化は姿勢変化617の結果であり、心臓活性化シーケンスの変化に起因していない。第二の姿勢627は心臓シーケンスベクトルの第二の向き647を生じさせる。第一の向き637と第二の向き647の差異は患者の姿勢の変化の表示を提供する。
図6Dは、本発明の実施形態に従って、姿勢及び固有の又はペーシングされた電気物理学的信号の組み合わせに基づいて考えられるベクトル向きの表604である。表604は、50%の固有リズム及び50%のペーシングされたリズムを持つ患者等の優勢なリズムを有さない患者のための患者の姿勢を決定するために有用である。容易に特定可能な優勢なリズムを持たない患者の場合図6Dに描かれている表604のような表が確立されてもよい。表604は、固有の心臓活動に関連する行614、右心室ペーシング済み心臓活動と関連する行624、及び左心室ペーシング済み心臓活動と関連する行634を含む。表604は、それぞれ座っている姿勢、立っている姿勢、及び横になっている姿勢と関連する列644、654、及び664をさらに含む。図6Dに描かれている列及び行の数は例証的な目的のためだけであること、及び任意の数の行及び/又は列が確立されてもよいことが理解される。例えば、列は、前側、後側、右側、左側に横たわること等に拡大するために確立されてもよい。さらに、行は考えられる固有の心臓活動とペーシング心臓活動の任意の組み合わせのために確立されてもよい。向きテンプレートは、表604に描かれているもののように患者のために確立されてもよい。例えば、患者が横になっている位置で固有の心臓活動を経験している場合には、向き13は活性化シーケンスベクトルのための優勢な向きであってもよい。同様に、患者が左心室ペーシングの期間中座っている場合には、向き31が活性化シーケンスベクトルのための優勢な向きである。表604の中の任意の行と列の交差は患者の姿勢を示す向きテンプレートを提供する。
図6Eは、本発明に従って姿勢情報を記録し、記憶するための方法の実施形態のフローチャートである。例えば、図6Dに描かれている表604に描かれているもののような姿勢テンプレートは、PIMD装置の埋め込み時に、あるいは臨床医によるPIMDの更新中に臨床的に確立されてもよい。方法608は、連続的に、あるいはそれ以外の場合に所望されるように、患者の姿勢を決定する、及び/又は監視するために実行されてもよい。方法608は、姿勢情報を記憶するためのブロック618を含む。例えば、一つ又は複数の心臓活性化シーケンスベクトル特性の値は将来の参照のために記憶されてもよい。加えて、又は要すれば、テンプレートは将来のマッチングのために記録されてもよい、及び/又は現在の姿勢の決定はブロック618で記録されてもよい。決定628は、姿勢更新が所望されるかどうかを判断するために下される。姿勢情報は、規則正しい間隔で、連続的に、あるいはそれ以外の場合所望されるように、心臓事象の検出時に記録されてもよい。更新が所望される場合、心臓活性化シーケンスの優勢な向きはブロック638で決定されてもよい。決定648でシフトが検出され、患者がその優勢なリズムにあるかどうかを確かめるために決定658が下される場合。患者が優勢な心調律を経験している場合は、優勢な向き計算638からの情報はブロック618で記録されてもよい、及び/又は要すれば図6Dに関して説明されるもののような姿勢テンプレートに対して突合せ678が実行されてもよい。患者が優勢なリズムにない場合には、ブロック638からの優勢な向きの現在のサンプルがブロック668で廃棄されてもよい、あるいはブロック638からの優勢な向き計算からの情報が姿勢情報を決定するためにテンプレート678に比較するために使用されてもよい。
図6Fは、本発明に従って患者の姿勢を決定するための方法609の実施形態のフローチャートである。複数のコンポジット信号619が、複数の皮下非胸郭内心臓電極を使用して同時に検知される。発生源分別629は、前記検知された複数のコンポジット信号619を使用して実行される。発生源分別に基づいて一つ又は複数の心臓活性化シーケンスのすべて又は一部と関連する、一個又は複数の心臓信号ベクトル639が選択される。姿勢監視が所望される場合、ベクトル情報649は要すれば追跡調査目的のために記憶されてもよい。患者の姿勢659の変化は一個又は複数の心臓信号ベクトルを使用して検出されてもよい。
ここで図6Gを参照すると、グラフ2042は、固有の向き、心室から発する(ventricle originated)向き、及び心房から発する(atrium originated)向きの心臓活性化シーケンス向きのためのベクトル角度を描いており、心房から発する活性化シーケンスから、心室から発生する活性化シーケンスがかなり逸脱していることを明示している。グラフ2402は、図2及び図3Aと同じ軸規約に従っている。
固有の心房から発する活性化シーケンスベクトル2404及び心房ペーシング/心室検知活性化シーケンスベクトル2406はともに、心房検知/心室ペーシング活性化シーケンスベクトル2408からほぼ45度にある。固有の心房から発するシーケンスベクトル2404と、心房ペーシング/心室検知活性化シーケンスベクトル2406はグラフ2402の中でほぼ80度にある。心房検知/心室ペーシング活性シーケンスベクトル2408は、グラフ2402の中でほぼ35度にある。この差異は活性化シーケンス監視及び追跡調査を使用して容易に検出される。
心臓活性化シーケンスの監視及び追跡調査は、心臓を通る脱分極波面の進行についての情報、したがって心腔間の同期についての情報を提供する。図6Gのベクトル2404、2407及び2408等の脱分極波面の向きに対応するベクトルは心臓の収縮運動のずれを求めるために使用されてもよい。心臓の収縮運動のずれの情報は、CRT治療を滴定し、血行動態を最大限にするために有用である。本発明の閉ループ制御方法は、患者におけるCRT治療を更新し、最終的には患者の生活の質を改善するために有用である。
図6Hは、本発明による収縮運動ずれ測定値のグラフ2412である。このグラフ2412は、その横座標として時間を、その縦座標として信号振幅を有する。第一のトレース2414、第二のトレース2416、及び第三のトレース2418は、PIMDの電極から検知される心電図信号灯の心臓信号を描いている。トレース2414、2416及び2418は、本発明に従って収縮運動のずれを測定するために使用されてもよい。第一のトレース2414は、QRS群の幅2420が収縮運動のずれとして使用された状態で描かれている。収縮運動のずれが大きくなるにつれて、QRS群の幅2420は広がる。QRS群幅2420の測定は、例えば形態素性分析を使用して行われてもよい。
第二のトレース2416は、心臓周期全体と関連するベクトルの優勢な向きを決定するために使用される心臓周期ウィンドウ2422を描いている。心臓周期ウィンドウ2422の中にある、トレース2416の前記心電図信号の部分は本発明に従って心臓活性化シーケンス監視を使用して評価されてもよい。前記心臓周期ウィンドウ2422の中の前記心臓活性化シーケンスと関連する一個又は複数のベクトルの一つ又は複数の特徴の変化は、心臓収縮運動のずれのレベルを決定するために使用されてもよい。例えば、ベースラインは、心臓周期ウィンドウ2422の中の前記心臓信号の優勢なベクトル向きの角度について確立されてもよい。前記収縮運動のずれが大きくなるほど、以後のベクトルの角度は前記ベースラインからさらに異なるようになる。
優勢なベクトル(最大固有値を有するベクトル、つまりさらに詳しく後述されるように最大パワースペクトル密度のベクトル)は、通常、心臓収縮運動のずれの最善の評価を行うベクトルであるが、他のベクトルも使用されてもよい。例えば、前記第三のトレース2418はQRSウィンドウ2424を描いている。QRSウィンドウ2424は、心臓心室からの脱分極波面と関連するベクトルをさらに厳密に提供してもよい。QRSウィンドウ2424と関連する一個又は複数のベクトルの変化は、心臓収縮運動のずれの良好な測定値となってもよい。ベクトル角度等の経時的な特徴の変動は心臓収縮運動のずれに直接的に相互関連してもよい。
図6Iは、本発明によるCRT滴定の方法2421のフローチャートである。前記方法2421は、時期が選ばれた間隔で、臨床医の要求に応じて、心臓事象の検出時に、あるいはそれ以外の場合は所望されるように開始されてもよい。滴定期間は患者ごとに個別に決定されてもよい、あるいは臨床情報を使用して予定されてもよい。滴定2423が所望される場合、前述されたように患者の心室収縮運動のずれ2426の測定が行われる。
収縮運動のずれ2426が所定値つまり閾値2428を超えると測定される場合、現在の状態を考慮して、最適パラメータを決定するために再計算2432が実行される。その結果、最適パラメータは調整済みのCRT治療2434を送達するために使用される。
患者が前記調整済みのCRT治療2434に反応したかどうかを評価することが望ましい場合がある。結果の評価が所望される場合2436には、心室収縮運動のずれ2426の以後の測定は即座に、あるいは前記調整済みCRT治療が効果を発揮する機会の後に実行されてもよい。結果の評価が所望されない2436場合には、方法は滴定2423決定に戻る。
上記方法2421は、必要とされるときにCRT治療を自動的に滴定するためにPIMDを提供する。心房−心室(AV)遅延及び心室間(VV)遅延等の遅延だけではなく治療のレベルも、患者のために改善された血行動態を維持するために調整されてもよい。図6Iに描かれているような自動滴定は、効き目を改善する適応システムを患者に提供するために、自動捕捉及び自動閾値技法と結合されてもよい。
ここで図6Jを参照すると、固有の向き、心室から発する向き、及び心房から発する向きの心臓活性化シーケンス向きのためのベクトル角度を描くグラフ3402は、心室から発する活性化シーケンスと心房から発する活性化シーケンス間の大きな違いをはっきり示す。グラフ3402は図2及び図3Aと同じ軸規約に従う。
固有の心房から発する活性化シーケンスベクトル3404、及び心房ペーシング/心室検知された活性化シーケンスベクトル3406はともに、心房検知/心室ペーシング活性化シーケンスベクトル3408から約45度にある。固有の心房から発する活性化シーケンスベクトル3404及び心房ペーシング/心室検知活性化シーケンスベクトル3406は、グラフ3402のほぼ80度にある。心房検知/心室ペーシング活性化シーケンスベクトル3408はグラフ3402の約35度にある。角度方向のこの差異は活性化シーケンス監視及び追跡調査を使用して容易に検出される。
図6Kは、本発明に従った捕捉検証の方法3412のフローチャートである。方法3412は、固有の心臓活性化シーケンスベクトル情報に関してベースライン情報3414を確立することを含む。例えば、ベースラインは臨床試験を使用して確立されてよく、その結果代表的なベースラインとして使用されてもよい調査対象集団の一連の正常な変動を提供する。別の例では、PIMDの埋め込み中、臨床医は個々の患者に個々のベースラインを確立してもよい。さらに別の例では、表面ECG情報が、PIMDの埋め込みの前に患者のための個々のベースラインを確立するために使用されてもよい。
上記方法3412は、心臓捕捉のための向きの範囲3416を確立することをさらに含む。例えば、臨床試験からの確立された正常な変動の範囲外の向きは、非捕捉から捕捉を区別するために役立ってもよい。例えば、心室ペーシング心臓捕捉の検出は、非捕捉を基準にした心臓捕捉を表わす心臓信号ベクトルの約45度の相変化を検出することにより達成されてもよい。
上記方法3412を実現するPIMDは、ペーシング中に新しい心臓活性化シーケンスデータを収集し、ベクトル向き3418を計算してもよい。軸のシフトが向きの前記確立された捕捉範囲3422内にあると判断される場合には、心臓捕捉3424条件が存在する。軸シフトが向きの前記確立された捕捉範囲内3422にないと判断される場合には、非捕捉状態3426が存在する。
図6Lは、本発明による捕捉閾値調整の方法3432のフローチャートである。方法3432は、臨床データを使用する、又は前述されたように患者に特殊なベースラインを使用することによって等、固有の心臓活性化シーケンスベクトル情報に関するベースライン情報3434を確立することを含む。
上記方法3432は、前述されたように心臓捕捉のために向きの範囲3436を確立することもさらに含む。方法3432を活用するPIMDは、ペーシング閾値調整の間新しい心臓活性化シーケンスデータを収集し、ベクトル向き3438を計算してもよい。軸シフトが向きの確立された捕捉範囲3442内にあると判断される場合には、心臓捕捉3444状態が存在し、ペーシング閾値が引き下げられる。
次に、閾値試験は上記引き下げられたペーシングレベルで続行してよく、新しいデータが収集され、上記ベクトル向き3438が前記新しいペーシングレベルについて計算される。前記軸シフトが向きの確立された捕捉範囲3422内にはないと判断される場合、非捕捉状態3446が存在し、前記試験からの前記ペーシング閾値情報は、前記患者のために新しいペーシングレベルを設定するために前記PIMDによって使用される。
図6Mは、本発明による左心室(LV)、右心室(RV)、及び両心室(BiV)捕捉を検証する方法3452のフローチャートである。方法3452は、前述されたように臨床データを使用する又は患者に特殊なベースライン化(baselining)を使用することによって等、固有の心臓活性化シーケンスベクトル情報に関してベースライン情報3454を確立することを含む。
この例では、ベースライン情報は、多数の心臓捕捉シナリオのために確立される。特に図6Mは、本発明に従ってLV捕捉、RV捕捉、及びBiV捕捉を検証することを描いている。方法3452は、RV捕捉、LV捕捉及びBiV捕捉の間に向きの範囲3456を確立することを含む。方法3452を活用するPIMDは、ペーシング中に新しい心臓活性化シーケンスデータを収集し、向きの確立されたRV捕捉範囲3462を計算してもよい。軸シフトが向きの前記確立されたRV捕捉範囲3462内にあると判断される場合には、RV心臓捕捉3464状態が存在する。軸シフトが向きの前記確立されたRV捕捉範囲3462内にないと判断される場合には、RV非捕捉状態3466が存在する。
方法3252は、次に他の捕捉状態の評価を続行する。前記軸シフトが向きの確立されたLV捕捉範囲内3472にあると判断される場合には、LV心臓捕捉3474状態が存在する。軸シフトが向きの確立されたLV捕捉範囲3472内にないと判断される場合には、LV非捕捉状態3476が存在する。
次に方法3452は、別の捕捉状態の評価を続行する。軸シフトが向きの確立されたBiV捕捉範囲内3482にあると判断される場合には、BiV心臓捕捉3484状態が存在する。軸シフトが向きの確立されたBiV捕捉範囲3482内にないと判断される場合には、BiV非捕捉状態3486が存在する。
図6Nは、本発明に従って心室頻脈(VT)から上室性頻拍症(SVT)を区別する方法4402のフローチャートである。方法4402は、心臓活性化シーケンスベクトル情報に関するベースライン情報4404を確立する。例えば、ベースラインは、臨床試験を使用して確立されてよく、その結果代表的なベースラインとして使用されてもよい、調査対象集団に正常な変動の範囲を提供する。別の例では、PIMDの埋め込み中に、臨床医は個々の患者のために個々のベースラインを確立してもよい。さらに別の例では、表面ECG情報が、PIMDの埋め込みの前に患者のための個々のベースラインを確立するために使用されてもよい。
方法4402は、次にSVT事象の間に向きの範囲4406を確立する。例えば、臨床試験からの、正常な変動の前記確立された範囲外の向きがVTからSVTを区別するために役立ってもよい。例えば、上室性頻拍症と心室頻脈を区別することは、上室性頻拍症を表わす心臓信号ベクトルを基準にして、心室頻脈を表わす心臓信号ベクトルの約45度の相変化を検出することによって達成されてもよい。
方法4402を活用するPIMDは、頻拍4408を検出してもよい。頻拍4408が検出されると、ベクトル向き決定4412が実行され、ベースライン4404を基準にした心臓活性化シーケンス軸の角度の変化等の軸シフトの変化が検出されてもよい。前記軸シフトが、前記確立された向きのSVT範囲4406内にあると判断される場合、SVT状態4416が存在する。前記軸シフトが確立された向きのSVT範囲内4406にないと判断される場合には、VT状態4418が存在する。
ここで図6Oを参照すると、固有の向き、心室から発する向き、及び心房から発する向きの心臓活性化シーケンス向きのためのベクトル角度を描いているグラフ4422が、心房から発する活性化シーケンスから、心室から発する活性化シーケンスがかなり逸脱していることを明示している。グラフ4422は、図2及び図3Aと同じ軸規約に従う。
固有の心房から発する活性化シーケンスベクトル4424、及び心房ペーシング/心室検知活性化シーケンスベクトル4426はともに、心房検知/心室ペーシング活性化シーケンスベクトル4428から約45度にある。この固有の心房から発する活性化シーケンスベクトル4424、及び心房ペーシング/心室検知活性化シーケンスベクトル4426はグラフ4422内で約80度にある。心房検知/心室ペーシング活性化シーケンスベクトル4428は、グラフ4422で約35度にある。この差異は、活性化シーケンス監視及び追跡調査を使用して容易に検出される。
図6Pは、単源性心室頻拍(MVT)と多源性心室頻拍(PVT)の間の活性化シーケンスベクトル角度の分散を描くグラフ4432である。グラフ4432は、その横軸に示されている20個の連続心拍を、及びその縦軸に度単位の活性化シーケンスベクトルの向きを有する。グラフ4432で描かれているデータは例示目的で無作為に生成された。前記グラフ上の各点は、仮説的なMVT状態4434又は仮説的なPVT状態4436の20個の連続拍動のための優勢な向きのベクトル角度を示している。MVT状態4434のためのデータは、分散範囲4438内にあることが分かる。PVT状態は、図6Pのグラフに描かれているように、分散範囲4438より著しく大きい配向角の範囲で分散を生じさせてもよい。
図6Qは、本発明に従ってPVTからMVTを区別する方法4442のフローチャートである。方法4442は、前述されたように臨床データを使用する、あるいはベースラインを使用することによってMVTに一つ又は複数の所定の値を確立する。VTが検出ブロック4446で検出されると、分散が決定されるまで、ベクトル向き計算4448が、複数の連続拍動のために実行される。比較4452は、前記分散が所定の値(複数の場合がある)4444より大きいかどうかを判断する。前記分散が所定の値(複数の場合がある)4444より大きい場合、PVT状態4454が存在する。前記分散が所定の値(複数の場合がある)4444未満である場合、MVT状態4456が存在する。
図6Rは、本発明に従って左心室頻拍症(LVT)を右心室頻拍症(RVT)から区別する方法4458のフローチャートである。方法4458は、心臓活性化シーケンスベクトル情報に関してLVT及びRVTのための方向及びシフトの範囲4462を確立する。例えば、LVT及びRVTのための前記方向及びシフトの範囲4462は臨床試験を使用して確立され、その結果代表的なベースラインとして使用されてもよい、調査対象集団のための正常な変動の範囲を提供する。別の例では、PIMDの埋め込みの間、臨床医は個々の患者のためにLVTとRVTの個々の方向及びシフトの範囲4462を確立してもよい。さらに別の例では、表面ECG情報が、PIMDの埋め込みの前に患者のために個々のベースラインを確立するために使用されてもよい。
方法4458を活用するPIMDは、心室頻脈4464を検出してもよい。心室頻脈4464が検出されると、新しいベクトルの向きが計算される4466。LVTの前記方向及びシフトの範囲4462に似対する比較4468が行われ、軸シフトが前記LVT方向にあると判断される場合には、LVT状態4472が存在する。RVTの前記方向及びシフトの範囲4462に対する比較4474が行われ、軸シフトが前記RVT方向にあると判断される場合、RVT状態4476が存在する。LVT方向又はRVT方向のシフトが観察されない場合には、本発明の他の区別方法等の、他の区別アルゴリズム4478が不整脈を区別するために使用されてもよい。
以下の図6Sから図6APは、本発明の虚血検出技法と関連して臨床前実験の間に検知される心臓周期のウィンドウ化された部分から決定される優勢なベクトルのための活性化シーケンスベクトルのグラフである。porcine被験者からのECGが、1.5インチ離間された三つの曲面パッチ電極を使用して記録された。図6Sから図6APに描かれた活性化シーケンスベクトルは、その構成が本書の他の個所に説明されている、二つ又は三つ以上の埋め込み型電極を使用することによって取得されてもよいことが理解される。さらに、図6Sから図6APで描かれている前記活性化シーケンスベクトルを作成するために獲得されるデータは、その構成が本書の他の個所に説明されている埋め込み型心臓装置の使用によって取得されてもよい。
LVペーシング心臓機能だけではなく、固有の心臓機能の記録が行われた。心臓の一部に対する血流は、左冠動脈前下行枝(LAD)の閉塞を使用して変更され、流量は流量計を使用して測定された。流量は100%開放状態、75%閉塞状態、及び100%閉塞状態の間で変化した。結果として生じるデータセットは、次に、図14から図16の説明に関してさらに後述されるように、発生源分別方法論を使用して分析された。
図6S、図6T及び図6Uは、本発明に従って、それぞれベースラインでの生きたporcine被験者、部分的なLAD閉塞、及び完全なLAD閉塞から作成された、所定の基準から0.001秒で開始する心臓信号の矩形ウィンドウ化部分のための活性化シーケンスベクトル角度を描くグラフである。図6S、図6T及び図6Uでは、P−QRSセグメントベクトル401のグループが、点で終了するベクトルによって特定され、ST−Tセグメントベクトル402のグループが星で終了するベクトルによって特定される。図6Sは、ゼロ閉塞(100%流量)のベースライン状態の場合、0.001秒の遅延で開始する矩形ウィンドウを使用して決定されるベクトル401、402を描いている。
図6Tは、他のパラメータが図6Sに描かれているパラメータに等しい、部分的な閉塞(74%閉塞、25%流量)の間に決定されるベクトル401、402を描いている。図6Uは、他のパラメータが図6Sのパラメータに等しい、完全な閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル401、402を描いている。ST−Tセグメントベクトル402の近似角度がベースラインでの約155度から75%閉塞での約145度に、及び完全閉塞での約130度に変化するため、閉塞が急性で検出されることがあることは、ST−Tセグメントベクトル402の進行で明らかである。閉塞の別の基準は、ST−Tセグメントベクトル402を基準にしたP−QRSセグメントベクトル401の角度間の関係性であってもよい。ベースラインでは、ST−Tセグメントベクトル402は、P−QRSセグメントベクトル401より大きな角度にあるが、100%閉塞状態の場合、ST−Tセグメントベクトル402はP−QRSセグメントベクトル401未満の角度にある。
図6V、図6W、及び図6Xは、本発明に従って、それぞれベースラインでの生きたporcine被験者、部分的なLAD閉塞及び完全なLAD閉塞から0.07秒で開始する心臓信号の矩形ウィンドウ化部分のための活性シーケンスベクトル角度を描くグラフである。図6V、図6W、及び図6Xでは、P−QRSセグメントベクトル403のグループが、点で終了するベクトルによって特定され、ST−Tセグメントベクトル404のグループが星で終了するベクトルによって特定されている。図6Vは、ゼロ閉塞(100%流量)のベースライン状態の場合、0.07秒の遅延で開始する矩形ウィンドウを使用して決定されるベクトル403、404を描いている。P−QRSベクトル405は、この説明では無視される。
図6Wは、他のパラメータが図6Vに描かれているパラメータに等しい、部分的な閉塞(75%閉塞、25%流量)の間に決定されるベクトル403、404を描いている。図6Xは、他のパラメータが図6Vに描かれているパラメータに等しい、完全閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル403、404を描いている。0.07秒で開始する矩形ウィンドウのためのベクトル403、404の進行は、図6S、図6T、及び図6Uに関して明らかであったほど詳細に虚血を区別しているように見えない。
図6Y、図6Z及び図6AAは、本発明に従って、それぞれベースラインでの生きたporcine被験者、部分的なLAD閉塞、及び完全なLAD閉塞から0.14秒で開始する心臓信号の矩形ウィンドウ化部分のための活性化シーケンスベクトル角度を描くグラフである。図6Y、図6Z及び図6AAでは、P−QRSセグメントベクトル 406のグループは、点で終了するベクトルによって特定され、ST−Tセグメントベクトル407のグループは星で終了するベクトルによって特定されている。図6Yは、ゼロ閉塞(100%流量)のベースライン状態の場合、0.14秒の遅延で開始する矩形ウィンドウを使用して決定されるベクトル406、407を描いている。P−QRSベクトル408は、この説明のために無視される。
図6Zは、他のパラメータが図6Yに描かれているパラメータに等しい部分的な閉塞(75%閉塞、25%流量)の間に決定されたベクトル406、407を描いている。図6AAは、他のパラメータが図6Yに描かれているパラメータに等しい、完全閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル406、407を描いている。ST−Tセグメントベクトル407の近似角度がベースラインでの約155度から、75%閉塞及び完全閉塞での約125度に変化するため、閉塞が急性で検出される可能性があることがST−Tセグメントベクトル407の進行で明らかである。閉塞の別の基準は、ST−Tセグメントベクトル407を基準にしたP−QRSセグメントベクトル406の角度間の関係性であってもよい。ベースラインでは、ST−Tセグメントベクトル407は、P−QRSセグメントベクトル406より大きな角度にあるが、75%及び100%の閉塞状態の場合、ST−Tセグメントベクトル407は、P−QRSセグメントベクトル406未満の角度である。
図6AB、図6AC及び図6ADは、本発明に従って、それぞれベースラインでの生きているporcine被験者、部分的なLAD閉塞、及び完全なLAD閉塞から0.21秒で開始する心臓信号の矩形ウィンドウ化部分のための活性化シーケンスベクトル角度を描いているグラフである。図6AB、図6AC、及び図6ADでは、P−QRSセグメントベクトル408のグループは点で終了するベクトルで特定され、ST−Tセグメントベクトル409のグループは星で終了するベクトルによって特定されている。図6ABは、ゼロ閉塞(100%流量)のベースライン状態の場合、0.21秒の遅延で開始する矩形ウィンドウを使用して決定されるベクトル408、409を描いている。P−QRSベクトル411は、この説明では無視される。
図6ACは、他のパラメータが図6ABに描かれているパラメータに等しい、部分的な閉塞(75%閉塞、25%流量)の間に決定されるベクトル408、409を描いている。図6ADは、他のパラメータが図6ABに描かれているパラメータに等しい、完全閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル408、409を描いている。ST−Tセグメントベクトル409の近似角度がベースラインでの約155度、から、75%閉塞及び完全閉塞での約125度に変化するため、閉塞が急性で検出されることがあることがST−Tセグメントベクトル409の進行で明らかである。閉塞の別の基準は、ST−Tセグメントベクトル409を基準にしたP−QRSセグメントベクトル408の角度間の関係性であってもよい。ベースラインでは、ST−Tセグメントベクトル409は、P−QRSセグメントベクトル408より大きな角度にあるが、75%閉塞状態の場合、ST−Tセグメントベクトル409は、通常、P−QRSセグメントベクトル408未満の角度にある。
図6AE、図6AF、及び図6AGは、本発明に従ってそれぞれベースラインでの生きたporcine被験者、部分的なLAD閉塞、及び完全なLAD閉塞から0.001秒で開始する心臓信号のHanningウィンドウ化部分のための活性化シーケンスベクトル角度を描くグラフである。図6AE、図6AF、及び図6AGでは、P−QRSセグメントベクトル412は、点で終了するベクトルで特定され、ST−Tセグメントベクトル413は星で終了するベクトルで特定されている。図6AEは、ゼロ閉塞(100%流量)のベースライン状態の場合に、0.001秒の遅延で開始するHanningウィンドウを使用して決定されるベクトル412、413を描いている。
図6AFは、他のパラメータが図6AEに描かれているパラメータに等しい、部分的な閉塞(75%閉塞、25%流量)の間に決定されるベクトル412、413を描いている。図6AGは、他のパラメータが図6AEに描かれているパラメータに等しい、完全閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル412、413を描いている。ST−Tセグメントベクトル413の近似角度がベースラインでの約155度から、75%閉塞での約125度、及び完全閉塞での約135度に変化するため、閉塞が急性で検出されることがあることはST−Tセグメントベクトル413の進行で明らかである。閉塞の別の基準は、ST−Tセグメントベクトル413を基準にしたP−QRSセグメントベクトル412の角度間の関係性であってもよい。ベースラインでは、ST−Tセグメントベクトル413は、P−QRSセグメントベクトル401より大きい角度にあるが、75%閉塞状態の場合、ST−Tセグメントベクトル413はP−QRSセグメントベクトル412未満の角度にある。
図6AH、図6AI及び図6AJは、本発明に従って、それぞれベースラインでの生きたporcine被験者、部分的なLAD閉塞及び完全なLAD閉塞から0.07秒で開始する心臓信号のHanningウィンドウ化部分のための活性化シーケンスベクトル角度を描くグラフである。図6AH、図6AI及び図6AJでは、P−QRSセグメントベクトル414のグループは、点で終了するベクトルによって特定され、ST−Tセグメントベクトル415のグループは星で終了するベクトルによって特定されている。図6AHは、ゼロ閉塞(100%流量)のベースライン状態の場合、0.07秒遅延で開始するHanningウィンドウを使用して決定されるベクトル414、415を描いている。
図6AIは、他のパラメータが図6AHに描かれているパラメータに等しい、部分的な閉塞(75%閉塞、25%流量)の間に決定されるベクトル414、415を描いている。図6AJは、他のパラメータが図6AHに描かれているパラメータに等しい、完全閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル414、415を描いている。ST−Tセグメントベクトル415の近似角度がベースラインでの約170度から185度から、75%閉塞での約125度から135度に、及び完全閉塞での約130度から140度に変化するため、閉塞が急性で検出されることがあることがST−Tセグメントベクトル415の進行で明らかである。閉塞の別の基準は、ST−Tセグメントベクトル415を基準にしたP−QRSセグメントベクトル414の角度間の関係性であってもよい。ベースラインでは、ST−Tセグメントベクトル415は、P−QRSセグメントベクトル414より大きい角度にあるが、75%閉塞状態の場合、ST−Tセグメントベクトル415はP−QRSセグメントベクトル414未満の角度にある。
図6AK、図6AL、及び図6AMは、本発明に従って、それぞれベースラインでの生きたporcine被験者、部分的なLAD閉塞、及び完全なLAD閉塞から0.14秒で開始する心臓信号のHannningウィンドウ化部分のための活性化シーケンスベクトル角度を描くグラフである。図6AK、図6AL、及び図6AMでは、P−QRSセグメントベクトル416のグループは点で終了するベクトルによって特定され、ST−Tセグメントベクトル417のグループは星で終了するベクトルによって特定されている。図6AKは、ゼロ閉塞(100%流量)のベースライン状態の場合、0.14秒の遅延で開始するHanningウィンドウを使用して決定されるベクトル416、417を描いている。P−QRSベクトル418、P−QRSベクトル419、及びST−Tベクトル421は、この説明のために無視される。
図6ALは、他のパラメータが図6AKに描かれているパラメータに等しい、部分的な閉塞(75%閉塞、25%流量)の間に決定されるベクトル416、417を描いている。図6ALでは、P−QRSベクトル422及びP−QRSベクトル423はこの説明のために無視される。図6AMは、他のパラメータが図6AKに描かれているパラメータに等しい、完全閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル416、417を描いている。ST−Tセグメントベクトル417の近似角度がベースラインでの約150から165度から、75%閉塞での約120から140度に、及び完全閉塞での約130から145度に変化するため、閉塞は急性で検出されてもよいことがST−Tセグメントベクトル417の進行で明らかである。閉塞の別の基準は、ST−Tセグメントベクトル417を基準にしたP−QRSセグメントベクトル416の角度間の関係性であってもよい。ベースラインでは、ST−Tセグメントベクトル417は、P−QRSセグメントベクトル416より大きい角度にあるが、75%閉塞状態の場合、ST−Tセグメントベクトル417はP−QRSセグメントベクトル416未満の角度にある。
図6AN、図6AO、及び図6APは、本発明に従って、それぞれベースラインでの生きたporcine被験者、部分的なLAD閉塞及び完全なLAD閉塞から0.21秒で開始する、心臓信号のHanningウィンドウ化部分のための活性化シーケンスベクトル角度を描くグラフである。図6AN、図6AO、及び図6APでは、P−QRSセグメントベクトル424のグループは点で終了するベクトルによって特定され、ST−Tセグメントベクトル425のグループは星で終了するベクトルで特定されている。図6ANは、ゼロ閉塞(100%閉塞)のベースライン状況の場合、0.21秒の遅延で開始するHanningウィンドウを使用して決定されるベクトル424、245を描いている。P−QRSベクトル426及びP−QRSベクトル427は、この説明のために無視される。
図6AOは、他のパラメータが図6ANに描かれているパラメータに等しい、部分的な閉塞(75%閉塞、25%流量)の間に決定されるベクトル424、425を描いている。図6APは、他のパラメータが図6ANに描かれているパラメータに等しい、完全閉塞(100%閉塞、0%流量)の間に決定されるベクトル424、425を描いている。ST−Tセグメントベクトル425の近似角度がベースラインでの約150から165度から、75%閉塞での約105から140度に、及び完全閉塞での約120から125度に変化するため、閉塞が急性で検出されることがあることがST−Tセグメントベクトル425の進行で明らかである。閉塞の別の基準は、ST−Tセグメントベクトル425を基準にしたP−QRSセグメントベクトル424の角度間の関係性であってもよい。ベースラインでは、ST−Tセグメントベクトル425が、P−QRSセグメントベクトル424より大きい角度にあるが、100%の閉塞状態の場合、ST−Tセグメントベクトル425はP−QRSセグメントベクトル424未満の角度にある。
図7は、少なくとも三個の電極を有する本発明によるPIMD782の平面図である。図7には缶の上に位置するとして複数の電極が描かれているが、通常、缶は一個の電極を含み、他の電極はリード線を使用して前記缶に結合される。図7に描かれている実施形態に示されるPIMD782は、缶703上に設けられている第一の電極781a、第二の電極781b、及び第三の電極781cを含んでいる。PIMD782は、心臓活動を検出し、記録する。缶703は、一本又は複数のリード線と缶703の間での取り外し自在の取り付けを容易にするように構成されてもよいヘッダ789を組み込むとして描かれている。缶703は、オプションの電極781d、781e、781f及び781g等の、缶703の中又は上のどこかに配置される任意の数の電極を含んでもよい。各電極組は、ECG信号の検知のために使用可能な一個のベクトルを提供する。
図8は、本発明による心臓活性化シーケンス監視及び追跡調査のためのベクトル情報を抽出するために有用なプロセス850のブロック図である。プロセス850は、少なくとも三個の電極から選ばれる、複数のそれぞれの電極組の間で複数の同時測定値が取得されるブロック851で開始する。ブロック852は、インコヒーレントな雑音を幅広く抑制し、信号対雑音比を一般的に最大限にするために、例えば線形位相フィルタを用いて収集された信号を前置フィルタリングすることに備える。
ブロック853は、約1秒等の相対的に短い時間間隔で平均されてもよい相互相関行列の計算を示す。このブロックは、相互に相関する成分を強化する。ブロック854は次に相互相関行列の固有値の計算のために提供される。通常雑音に結び付けられるさらに小さな固有値は、それらの固有値に関連するコンポジット信号の雑音成分を除去することによって雑音を排除するためにブロック855で使用されてもよい。
ブロック856では、信号は前記固有値を使用してコンポジット信号から分離されてもよい。分離された源は、より大きな固有値に対応する固有ベクトルに指定されるように、記録された信号の一次結合を取ることによって取得されてもよい。要すれば、ブロック857は、心臓信号又は他の関心のある信号がブロック856で分離された信号の中で検出されない場合には、高次統計に基づいて追加の分離を実行することに備える。
ブロック858では、心臓信号は、分離された信号の間でその関連ベクトルとともに選択基準に基づいて特定されてもよい。通常、心臓信号は最大固有値に結び付いた信号の間で検出される。ベクトル選択システム及びベクトル更新システムは、参照することにより本書に組み込まれている、2004年6月24日に出願され、「複数電極を使用する、ECG測定用の自動向き決定(Automatic Orientation Determination for ECG Meausrements Using Multiple Electrodes)」と題される同一出願人による同時係属米国特許出願第10/876,008号にさらに説明されている[代理人整理番号GUID149PA号]。
図解のために、及び制限のためではなく、本発明による心臓活性化シーケンス監視及び追跡調査を使用してもよい装置の多様な実施形態が、患者の胸郭部位の皮膚の下に埋め込まれてもよいPIMDの関連で本書に説明されている。PIMDは、例えば、装置のすべての、又は選択された要素が、心臓活動を監視する、及び/又は心刺激治療を送達するために適切な患者の前部、後部、側部、又は他の体の位置に配置されるように皮下に埋め込まれてもよい。PIMDの要素は、胸郭部位、腹部、又は鎖骨下動脈領域等の複数の異なる体の位置に設置されてよく、電極要素が心臓の近くの、心臓の回りの、心臓の中の、あるいは心臓の上のそれぞれ異なった部位に配置されることを理解されたい。
例えばPIMDの一次筺体(例えば、活性缶又は非活性缶)は、肋間の位置又は肋骨下位置の侠客の外部に、腹部の中に、あるいは上部胸郭部位内に(例えば第三の肋骨の上等の鎖骨下動脈位置等)配置するために構成されてもよい。一つの実現では、電極を組み込む一本又は複数のリード線が、従来の経静脈法送達手法を使用することによって埋め込まれている一本又は複数のリード線を介して等、心臓、大血管、又は冠状動脈の脈管構造と直に接触して配置されてもよい。別の実施では、一個又は複数の電極が一次筺体の上に及び/又は心臓、大血管又は動脈脈管構造と直に接触しないが心臓、大血管、又は動脈脈管構造の回りの他の場所に配置されてもよい。
追加の実施では、例えば、一個又は複数の電極サブシステム又は電極アレイが、活性缶を利用するPIMD構成、あるいは非活性缶を利用する構成において心臓活動を検知するために、及び/又は心刺激エネルギーを送達するために使用されてもよい。電極は、心臓を基準にして前方位置及び/又は後方位置に位置してもよい。本発明の多様な実施形態に組み込まれてもよい有用な電極位置及び特長の例は、参照することにより本書に組み込まれている、同一出願人による同時係属の、「心臓を基準にした皮下電極位置決めを含む方法及びシステム(Methods and Systems Involving Subcutaneous Electrode Positioning Relative to Heart)」と題され、2003年6月19日に出願された米国特許出願番号第10/465,520号、「埋め込み型装置内の無線ECG(Wireless ECG In Implantable Devices)」と題され、2004年3月5日に出願された第10/795,126号、及び「雑音防止心臓電極(Noise Canceling Cardiac Electrodes)」と題され、2003年12月17日に出願された第10/738,608号に記載されている。
本書に描かれている特定の構成は、一般的に、埋め込み可能電気的除細動器/心細動除去装置(ICD)によって従来実行される多様な機能を実現できるとして説明されており、技術で公知であるような多数の電気的除細動モード/除細動モードで動作してもよい。その態様が心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査から恩恵を受けることができるタイプのPIMDに組み込まれてもよいICD回路網、構造及び機能性の例は、参照することにより本書に組み込まれる、同一出願人の米国特許番号第5,133,353号、第5,179,945号、第5,314,459号、第5,318,597号、第5,620,466号、及び第5,662,688号に開示されている。
特定の構成では、システム及び方法は、電気的除細動/除細動療法に加えて、技術で公知であるような多様なペーシング療法を提供すること等の、ペースメーカによって従来実行されていた機能を実行してもよい。その態様が心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査の方法及び実現から恩恵を受けることができるタイプのPIMDに組み込まれてもよい、ペースメーカ回路網、構造及び機能性の例は、参照することにより本書に組み込まれる、同一出願人の米国特許番号第4,562,841号、第5,284,136号、第5,376,106号、第5,036,849号、第5,540,727号、第5,836,987号、第6,044,298号、及び第6,055,454号で開示される。PIMD構成は、徐脈療法及び/又は抗頻脈ペーシング療法に加えて、あるいは徐脈療法及び/又は抗頻脈ペーシング療法を除いて、非生理的なペーシング支援を提供してもよいことを理解されたい。
本発明に従って心臓活性化シーケンス監視及び追跡調査のためのベクトル情報を抽出することに有効なPIMDは、心刺激療法だけではなく診断機能及び/又は監視機能をも実現しうる。その態様が、心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査の方法及び実現から恩恵を受けることができるタイプのPIMDに組み込まれてもよい、心臓監視回路網、構造、及び機能性の例は、参照することにより本書に組み込まれる、同一出願人の米国特許第5,313,953号、第5,388,578号及び第5,411,031号に開示されている。
本書に説明されている多様な実施形態は、うっ血性心不全(CHF)の監視、診断及び/又は治療と関連して使用されてもよい。本発明のPIMDは、二腔ペーシング療法又は両心室ペーシング療法、心臓再同期療法、心臓機能最適化を含むCHF特長、又は他のCHF関連方法論を備えてもよい。例えば、本発明の任意のPIMDは、以下の参考資料つまり、それぞれが参照することにより本書に組み込まれている「同期された多点心臓ペーシングのためのタイミングサイクル(Timing Cycles for Synchronized Multisite Cardiac Pacing)」と題される、同一出願人の米国特許出願、2002年10月11日に出願された出願番号第10/270,035号、及び米国特許番号第6,411,848号、第6,285,907号、第4,928,688号、第6,459,929号、第5,334,222号、第6,026,320号、第6,371,922号、第6,597,951号、第6,424,865号、及び第6,542,775号の内の一つ又は複数の特長を組み込んでもよい。
PIMDは、速度をベースにしたパターン、及び速度をベースにした、及び/又は形態学的な頻脈性不整脈区別分析を実行することを含んでもよい多様な診断機能を実現するために使用されてもよい。皮下センサ、皮膚センサ及び/又は外部センサは、頻脈性不整脈の検出及び終了を強化するために生理学的な情報及び非生理学的な情報を獲得するために利用されてもよい。構成、特長及び本開示に説明されている特長の組み合わせが、広範囲の埋め込み型医療装置で実現されてもよいこと、及びこのような実施形態及び特長が本書に説明されている特定の装置に限定されないことが理解される。
ここで図9を参照すると、図9に描かれている埋め込み型装置は、本発明による心臓シーケンス監視及び追跡調査から恩恵を受けることができるPIMDの実施形態である。この例では、埋め込み型装置は、心内誘導システム910に電気的に且つ物理的に結合されている埋め込み型パルス発生器905を含む心調律管理装置(CRM)900を含む。
心内誘導システム910の部分は、患者の心臓990の中に差し込まれている。心内誘導システム910は、心臓の電気的な心臓活動を検知し、心臓に電気的な刺激を送達し、患者の経胸腔的インピーダンスを検知し、及び/又は心室圧力又は温度等の生理学的なパラメータを検知するように構成されている一個又は複数の電極を含む。パルス発生器905の筺体901の部分は、要すれば缶電極として働いてもよい。
通信回路網は、パルス発生器905と、例えば携帯又は臨床の通信ステーション、患者運搬/着用通信ステーション、又は外部プログラマ等の外部通信装置の間の通信を容易にするために筺体901の中に配置される。通信回路網は、一つ又は複数の埋め込まれた、外部の、皮膚の、又は皮下の生理学的な、又は非生理的なセンサ、患者入力装置及び/又は情報システムとの単一指向又は双方向の通信を容易にしてもよい。
パルス発生器905は、要すれば、多様な呼吸状態及び心臓関連の状態だけではなく患者活動を検知するために使用されてもよい、運動検出器920を組み込んでもよい。例えば運動検出器920は、要すれば、いびき、活動レベル及び/又は例えば呼吸努力に関連する胸壁の動きを検知するように構成されてもよい。運動検出器920は、パルス発生器905の筺体901の中に、又は上に配置される加速度計として実現されてもよい。運動センサが加速度計として実現される場合、運動センサは、例えば水泡音、咳等の呼吸器、及び心臓の、例えばS1からS4の心音、心雑音、及び他の音響情報等を含んでもよい。
CRM900の誘導システム910及びパルス発生器905は、患者の呼吸波形、又は他の呼吸関連情報を獲得するために使用されてもよい一台又は複数の経胸腔的インピーダンスセンサを組み込んでもよい。経胸腔的インピーダンスセンサは、心臓990の一つ又は複数の腔の中に配置される、例えば一個又は複数の心臓内電極941、942、951から955、963を含んでもよい。心臓内電極941、942、951から955、963は、パルス発生器905の筺体内に配置されるインピーダンス駆動/検知回路網930に結合されてもよい。
一実現では、インピーダンス駆動/検知回路網930は、インピーダンス駆動電極951とパルス発生器905の筺体901の上の缶電極の間の組織を通って流れる電流を生じさせる。前記缶電極を基準にしたインピーダンス検知電極952での電圧は、患者の経胸郭インピーダンスが変化するにつれて変化する。インピーダンス検知電極952と缶電極間で作成される電圧信号は、インピーダンス検知回路網930によって検出される。インピーダンス検知及び駆動電極の他の場所及び/又は組み合わせも考えられる。
誘導システム910は、患者の心臓990から電気信号を検知する、及び/又は心臓990にペーシングパルスを送達するための一つ又は複数の心腔の中で、上で、又は回りに配置される。一つ又は複数の心臓内検知/ペーシング電極951から955を含んでもよい。図9に描かれている電極のような心臓内検知/ペーシング電極951から955は、左心室、右心室、左心房及び/又は右心房を含む一つ又は複数の心腔を検知する、及び/又はペーシングするために使用されてもよい。誘導システム910は、心臓に除細動/電気的除細動の衝撃を送達するための一つ又は複数の除細動電極941、942を含んでもよい。
パルス発生器905は、心不整脈を検出するため、及び/又は誘導システム910を通して心臓に送達される電気的な刺激パルス又は衝撃の形を取るペーシング又は除細動の療法を制御するための回路網を含んでもよい。パルス発生器905は、同一出願人の米国特許番号第5,203,348号、第5,230,337号、第5,360,442号、第5,366,496号、第5,397,342号、第5,391,200号、第5,545,202号、第5,603,732号、及び第5,916,243号、第6,369,127号、第6,597,951号、及び参照することにより本書に組み込まれている米国特許公開第2002/0143264号に開示されている埋め込み型医療装置の回路網、構造、及び機能性も組み込んでもよい。
図10は、少なくとも三個の電極を有する、本発明によるPIMD1082の平面図である。一個の電極は、無線周波数(RF)通信のために使用されてもよいPIMDのアンテナ1005として描かれている。図10に描かれている実施形態に示されるPIMD1082は、第一の電極1098と、電極モジュール1096を介して、ヘッダ1089を通して缶1003に結合される第二の電極1099とを含んでいる。第一の電極1098及び第二の電極1099は、リード線1083(単一又は複数のリード線、電極アレイ)上に位置してもよい、あるいは電極モジュール1096の中に又は上に直に位置してもよい。
PIMD1082は、心臓活動を検出し、記録する。缶1003はヘッダ1089を組み込むとして描かれている。ヘッダ1089は、図10に描かれている実施形態に示されるように、電極モジュール1096と缶1003の間での取り外し自在の取り付けを容易にするように構成されてもよい。ヘッダ1089は、電極モジュール1096からオスカプラ1093を受け入れるように構成されたメスカプラ1092を含んでいる。缶1003に電極モジュール1096を通して一個又は複数の電極1098、1099を結合するための二つの電極接点1094、1095を有するオスカプラ1093が示されている。電極1081h及び電極1081kは、缶1003のヘッダ1089の上に描かれ、缶1003に電極モジュール1096を通して結合されてもよい。缶1003は、ヘッダ電極1081h、1081k及び第一電極と第二電極1098、1099の代わりに又はそれらに加えて一個又は複数の缶電極1081a、1081b、1081cを含んでもよい。
本発明による心臓活性化シーケンス監視及び追跡調査から恩恵を受けうる記録及び監視システム及び方法は、参照することにより本書に組み込まれている、「再構成可能埋め込み型心臓監視及び治療送達装置(Reconfigurable Implantable Cardiac Monitoring And Therapy Delivery Device)」と題される2004年2月24日に提出された同一出願にの同時係属米国特許出願番号第10/785,431号にさらに説明されている。
電極は、通常は埋め込み後、患者を基準にして外を向く側である、缶1003の裏側に設けられてもよい。例えば、電極1081m、1081p、及び1081rは、缶1003の後部の中又は上に配置されるとして描かれている。缶1003の両方の前面と背面の両方に電極を設けると、電極の三次元空間分散が提供され、本発明による心臓活性化シーケンス監視及び追跡調査のための追加の区別機能を提供してもよい。三次元構成の追加の説明は、参照することにより前記に組み込まれた「埋め込み装置内の無線ECG(Wireless ECG In Implantable Devices)」と題される、2004年3月5日に提出された米国特許出願番号第10/795,126号に説明されている。
この構成及び他の構成では、ヘッダ1089が、一本又は複数のリード線及び/又はセンサシステム、リード線及び/又はセンサモジュール、及び電極との電気接続性を容易にするインタフェース特長(例えば、電気コネクタ、ポート、係合特長等)を組み込む。ヘッダ1089は、PIMDにさらに多くの使用できるベクトルを与えるために、電極1081hと1081kのような、リード線1083によって提供される電極に加えて、又はその代わりに一つ又は複数の電極も組み込んでもよい。ヘッダ1089のインタフェース特長は、公知の技法を使用して体液から保護されてもよい。
PIMD1082は、缶1003、ヘッダ1089、電極モジュール1096、又はヘッダ1089又は電極モジュール1096に結合するリード線(複数の場合がある)の中に、又は上に一台又は複数のセンサをさらに備える。有用なセンサは、音響センサ、インピーダンスセンサのような電気生理学的なセンサ及び非電気生理学的なセンサ、酸素飽和センサ(オキシメータ又はプレチモグラフ(plethymographic)センサ)のような血液センサ、血圧センサ、微細換気センサ、又は本書に説明されているあるいは組み込まれている他のセンサを含んでもよい。
一構成では、図11に描かれているように、PIMDシステムの電極サブシステムが患者の心臓1110の回りに配列されている。PIMDシステムは缶電極1102を含む第一の電極サブシステムと、少なくとも二個の電極又は少なくとも一個の多要素電極を含む第二の電極サブシステムを含む第二の電極サブシステム1104を含む。第二の電極サブシステム1104は、検知及び/又は電気刺激のために使用される多くの電極を含んでよく、リード線1106を介してパルス生成器905に接続されている。
多様な構成では、第二の電極サブシステム1104は電極の組み合わせを含んでもよい。第二の電極サブシステム1104の電極の組み合わせは、コイル電極、先端電極、リング電極、多要素コイル、らせんコイル、非導電性裏当ての上に取り付けられるらせんコイル、スクリーンパッチ電極、及び後述されるように他の電極構成を含んでもよい。適切な非導電性裏当て材料は、例えばシリコーンゴムである。
缶電極1102は、PIMD電極を入れる筺体1101の上に配置される。一実施形態では、缶電極1102は、筺体1101の外面全体を含む。他の実施形態では、筺体1101の多様な部分が缶電極1102から、あるいは組織から電気的に隔離されてもよい。例えば、缶電極1102上の活性領域は、心臓の検知及び/又は刺激に有利なやり方で電流の流れを導くために筺体1101の前面又は後面のどちらかのすべて又は一部を含んでもよい。
前記筺体の部分は、電流の流れを最適に導くために組織から電気的に隔離されてもよい。例えば、筺体1101の部分は、電流の流れを導くために、非導電材料で覆われてもよい、あるいはそれ以外の場合電気的に抵抗性の材料で覆われてもよい。適切な非導電材料コーティングは、シリコーンゴム、ポリウレタン又はパリレンから形成されるものを含む。
図12は、本発明の実施形態によるPIMDのさまざまな配置の多様な構成部品を描くブロック図である。図12に描かれている構成要素、機能性及び設定はPIMDの中に組み込まれてもよい多様な特長及び特長の組み合わせの理解を提供することを目的としている。相対当て器に洗練された設計から相対的に単純な設計に及ぶ多種多様な構成要素が考えられることが理解される。このようにして、特定のPIMD構成は、図12に描かれている他の構成要素を排除する一方、図12に描かれているいくつかの構成要素を含んでもよい。
図12に描かれているのは、適切なメモリ(揮発性及び/又は不揮発性)1209に結合されているマイクロプロセッサ1206を含むプロセッサベースの制御システム1205であり、任意の論理に基づいた制御アーキテクチャが使用されてもよいことが理解される。制御システム1205は、心臓によって生じる電気信号を検知し、検出し、分析し、不整脈及び/又は心臓疾患を治療するために、所定の条件下で心臓に電気的な刺激エネルギーを送達するために回路網及び構成要素に結合されている。制御システム1205及び関連構成要素は、心臓にペーシング療法も提供する。PIMDによって送達される電気エネルギーは、低エネルギーペーシングパルス、あるいは電気的除細動又は除細動のための高エネルギーパルスの形を取ってもよい。
心臓信号は、電極(複数の場合がある)1214及びPIMD筺体上に設けられる缶又は不関電極1207を使用して検知される。心臓信号は非活性缶構成においてのように、電極(複数の場合がある)1214だけを使用して検知されてもよい。このようにして、多要素電極及び雑音防止電極と標準的な電極の組み合わせだけではなく、単極電極、双極電極、又は組み合わせられた単極/双極電極の構成も利用されてもよい。検知された心臓信号は、検知増幅回路網を含み、フィルタリング回路網及びアナログ/デジタル(A/D)変換器も含んでもよい検知回路網1204によって受信される。検知回路網1204によって処理される前記検知された心臓信号は、信号が検出回路網1202に送信される前に雑音をさらに削減できる雑音削減回路網1203によって受信されてもよい。
高出力雑音削減アルゴリズム又は計算機的に集約した雑音削減アルゴリズムが必要とされる場合、雑音削減回路網1203が検知回路網1204の後に組み込まれてもよい。雑音削減回路網1203は、電極信号を用いて動作を実行するために使用される増幅器を介して、検知回路網1204の機能を実行してもよい。検知回路網1204と雑音削減回路網1203の機能を結合することは必要な構成要素を最小限に抑え、システムの電力要件を引き下げるために有用であってもよい。
図12に示されている例証的な構成では、検出回路網1202は雑音削減回路網1203に結合される、あるいはそれ以外の場合、雑音削減回路網1203を組み込む。雑音削減回路網1203は、多様な源から導入される前記検知された心臓信号の雑音コンテンツを削減することによって検知された心臓信号のSNRを改善するために動作する。典型的なタイプの心臓信号雑音は、電気的な雑音及び例えば、骨格筋から生じる雑音を含む。電極と多要素電極の組み合わせを組み込む信号分離技法を含む、骨格筋によって誘発される信号が存在する場合に、検知された心臓信号のSNRを改善するための多くの方法論が後述される。
検出回路網1202は、特に頻脈性不整脈等の心不整脈を検出するために検知された心臓信号及び/又は他のセンサ入力を調整する信号プロセッサを含んでもよい。速度をベースにした、及び/又は形態学的な区別アルゴリズムが、不整脈発作の存在及び重特性を検出し、検証するために検出回路網1202の信号プロセッサによって実現されてもよい。その態様が心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査方法及び実現から恩恵を受けてもよいタイプのPIMDによって実現されてもよい、不整脈検出及び区別回路網、構造及び技法の例は、参照することにより本書に組み込まれている、同一出願人の米国特許番号第5,301,677号、第6,438,410号、及び第6,708,058号に開示されている。心臓監視及び/又は刺激システムでの実現に特によく適した不整脈検出方法論が後述される。
検出回路網1202は、心臓信号情報を制御システム1205に伝達する。制御システム1205のメモリ回路網1209は、多様な監視モード、除細動モード、及び該当当する場合はペーシングモードで動作するためのパラメータを含み、検出回路網1202によって受信される心臓信号を示すデータを記憶する。メモリ回路網1209は、多様な目的のために使用され、必要に応じて又は所望されるように外部受信装置に送信されてもよい履歴ECG及び療法データを記憶するように構成されてもよい。
特定の構成では、PIMDは診断回路網1210を含んでもよい。診断回路網1210は、通常、検出回路網1202及び検出回路網1204から入力信号を受信する。診断回路網1210は、制御システム1205に診断データを提供し、制御システム1205が診断回路網1210のすべて又は部分、あるいはその機能性を組み込んでもよいことが理解される。制御システム1205は、種々の診断目的のために診断回路網1210によって提供される情報を記憶し、使用してもよい。診断情報は、例えば、トリガイベントに続き、あるいは所定の間隔で記憶されてよく、電源ステータス、療法送達履歴、及び/又は患者診断等のシステム診断を含んでもよい。診断情報は、治療送達の直前に獲得される電気信号又は他のセンサデータの形を取ってもよい。
電気的除細動療法及び除細動療法を提供する構成に従って、制御システム1205は検出回路網1202から受信される心臓信号データを処理し、心不整脈発作を終了し、心臓を正常な洞調律に戻すために適切な頻脈性不整脈治療を開始する。制御システム1205は衝撃療法回路網1216に結合されている。衝撃療法回路網1216は、電極(複数の場合がある)1214及びPIMD筺体の缶又は不関電極1207に結合される。
命令時、衝撃療法回路網1216は、選択された電気的除細動療法又は除細動療法に従って、電気的除細動及び除細動刺激エネルギーを心臓に送達する。あまり精密ではない構成では、衝撃療法回路網1216は、電気的除細動療法と除細動療法の療法の送達に備える構成とは対照的に除細動療法を送達するように制御される。その態様が本発明の態様から恩恵を受けることができるタイプのPIMDに組み込まれているPIMD高エネルギー送達回路網、構造及び機能性の例は、参照することによって本書に組み込まれている、同一出願人の米国特許番号第5,372,606号、第5,411,525号、第5,468,254号及び第5,634,938号に開示されている。
不整脈発作も、技術で公知であるように、検知された心臓信号の形態学をベースにした分析によって検出され、検証されてもよい。段階的な不整脈区別アルゴリズム又は並列不整脈区別アルゴリズムは、速度をベースにした手法と形態学をベースにした手法の両方を使用して実現されてもよい。さらに、不整脈発作を検出する、及び/又は検証するためには、参照することにより本書に組み込まれている、米国特許番号第6,487,443号、第6,259,947号、第6,141,581号、第5,855,593号及び第5,545,186号に開示されている手法等の速度をベースにした、及びパターンをベースにした不整脈検出及び区別手法が利用されてもよい。
別の構成に従って、PIMDは、電気的除細動機能及び/又は除細動機能に加えて、あるいはそれらを除外して、心臓ペーシング機能を組み込んでもよい。図12に示されているように、PIMDは制御システム1205及び電極(複数の場合がある)1214及び缶/不関電極1207に結合されているペーシング治療回路網1230を含む。命令時、ペーシング療法回路網1230は、選択されたペーシング療法に従って心臓にペーシングパルスを送達する。
制御システム1205内のペースメーカ回路網によるペーシングレジメ(regimen)に従って作成される制御信号は、ペーシングパルスが発生するペーシング療法回路網1230に送信される。本書に説明され、組み込まれている処方計画のようなペーシング処方計画は、制御システム1205によって修正されてもよい。一つの特定の応用例では、本発明の検知ベクトル最適化手法が、捕捉ペーシング刺激の適用に起因する、呼び起こされた応答を検知するための最適ベクトルを選択することによって等、捕捉検出及び/又は捕捉閾値決定を強化するために実現されてもよい。
図12に示されているPIMDは、一台又は複数の生理学的センサ及び/又は非生理学的センサから信号を受信するように構成されてもよい。利用されているセンサの種類に応じて、このセンサによって発声する信号は検出回路網1202に直接的に結合されているトランスデューサ回路網に、あるいは検知回路網1204を介して間接的に通信されてもよい。特定のセンサが、検出回路網1202による処理なしに制御システム1205に検知データを送信してもよいことに留意されたい。
通信回路網1218は、制御システム1205のマイクロプロセッサ1206に結合される。通信回路網1218によりPIMDは、PIMDの外部に位置する一台又は複数の受信装置又はシステムと通信できる。一例として、PIMDは、通信回路網1218を介して患者が着用する通信システム、携帯用通信システム、あるいは臨床通信システムと通信してもよい。一つの構成では、一台又は複数の生理学的なセンサ又は非生理学的なセンサ(患者の皮下、皮膚、又は外部)が、ブルーツース規格又はIEEE 802規格等の公知の通信規格に準拠するインタフェース等の短距離無線通信インタフェースを備えてもよい。このようなセンサによって獲得されるデータは、通信回路網1218を介してPIMDに通信されてもよい。無線送信機又はトランシーバを備える生理学的なセンサ又は非生理学的なセンサは、患者の外部の受信システムと通信してもよいことが留意される。
通信回路網1218により、PIMDは外部プログラマと通信できる。一つの構成では、通信回路網1218及びプログラマ装置(不図示)が、プログラマ装置と通信回路1218の間で信号及びデータを受信し、送信するために、技術で公知であるように、ワイヤループアンテナ及び無線周波数遠隔測定リンクを使用する。このようにして、プログラミングコマンド及びデータは、埋め込みの間、及び埋め込みの後にPIMDとプログラマ装置の間で転送される。プログラマを使用すると、医師はPIMDにより使用される多様なパラメータを設定又は修正できる。例えば、医師は、ペーシング療法モード及び電気的除細動療法モード/除細動療法モードを含むPIMDの監視機能、検出機能、ペーシング機能及び除細動機能に影響を及ぼすパラメータを設定又は修正してもよい。
通常、PIMDは、技術で公知であるように人体での埋め込みのために適切な筺体内に入れられ、密封されている。PIMDに対する電力は、PIMD内に収容されている電気化学電源1220によって供給される。一つの構成では、電源1220は充電式バッテリーを含む。本構成に従って、充電回路網が電源1220の繰り返される非侵襲性充電を容易にするために電源1220に結合されている。通信回路網1218、つまり別個の受信機回路網は、外部RFエネルギー送信機によって送信されるRFエネルギーを受信するように構成される。PIMDは、充電式電源に加えて、非充電式バッテリーを含んでもよい。充電式電源が使用される必要がなく、その場合寿命の長い非充電式バッテリーが利用されることが理解される。
マイクロプロセッサ1206に結合される検出回路網1202は、心臓検知及び/又は刺激装置で特に有用な方法で検知された心臓信号を処理するための特殊回路網を組み込む、あるいは特殊回路網と通信するように構成されてもよい。図12に一例として示されているように、検出回路網1202は、複数の生理学的なセンサ及び非生理学的なセンサから情報を受信してもよい。
検出回路網1202は、骨格筋活動を監視する一台又は複数のセンサから情報を受信してもよい。心臓活動信号に加えて、電極は容易に骨格筋信号を検出する。このような骨格筋信号は患者の活動レベルを決定するために使用されてもよい。心臓信号検出の関連では、このような骨格筋信号は、雑音として見られてもよい心臓活動信号のアーチファクトと見なされる。
本書に描かれている構成要素、機能性及び構造上の構成はPIMDに組み込まれてもよい多様な特長及び特長の組み合わせの理解を提供することを目的としている。相対的に精密な設計から相対的に簡略な設計まで、多種多様なPIMD及び他の埋め込み可能な心臓監視及び/又は刺激装置の構成が意図されることが理解される。このようにして、他のこのような装置構成は本書に説明されている特定の特長を除外してもよいが、特定のPIMD又は心臓監視及び/又は刺激装置の構成は、本書に説明されているような特定の特長を含んでもよい。
PIMDは、多様な診断実現、治療実現又は監視実現と関連して使用されてもよい種々の生理学的信号を検出してもよい。例えば、PIMDは、呼吸器系信号、心臓系信号、及び患者活動に関連する信号を検出するためのセンサ又は回路網を含んでもよい。一実施形態では、PIMDは、例えば一回呼吸量、及びわずかな換気等を含む多様な呼吸パラメータが引き出されてもよい胸郭内インピーダンスを検知する。センサ及び関連する回路網は、一つ又は複数の体の動き又は体の姿勢又は位置に関連する信号のために、PIMDと関連して組み込まれてもよい。例えば、加速度計及びGPS装置は、患者活動、患者の場所、体の向き、又は胴体の位置を検出するために利用されてもよい。
ここで図13を参照すると、本発明のPIMDは高度患者管理(APM)システム1300の構造の中で使用されてもよい。高度患者管理システム1300によって、医師は、他の患者の状態だけではなく、心臓機能及び呼吸機能を遠隔で且つ自動的に監視できる。一例では、心臓ペースメーカ、心細動除去装置、又は再同期装置として実現されているPIMDは、患者のリアルタイムデータ収集、診断及び治療を可能にする多様な電気通信技術及び情報技術を備えてもよい。本書に説明されている多様なPIMD実施形態は、高度患者管理と関連して使用されてもよい。遠隔患者/装置監視、診断、治療又は他のAPM関連方法論に備えるように適応されてもよい、本書に説明されている方法、構造及び/又は技法は、参照することにより本書に組み込まれている、以下の参考資料、つまり米国特許番号第6,221,011号、第6,270,457号、第6,277,072号、第6,280,380号、第6,312,378号、第6,336,903号、第6,358,203号、第6,368,284号、第6,398,728号、及び第6,440,066号の一つ又は複数の特長を組み込んでもよい。
図13に描かれているように、医療システム1300が、本発明の実施形態による協調患者測定及び/又は監視、診断及び/又は治療を実現するために利用されてもよい。医療システム1300は、例えば、PIMD等の一台又は複数の患者内部の医療装置1310、及びモニタ又は信号表示装置等の一台又は複数の患者外部医療装置1320を含んでもよい。患者内部1310医療装置及び患者外部1320治療装置は、患者監視装置1312、1322、診断装置1314、1324及び/又は療法装置1316、1326の一台又は複数台を含んでもよい。
患者外部医療装置1320は、患者にとって外部である(つまり、患者の体の中に侵襲的に埋め込まれるのではなく)監視機能及び/又は診断機能及び/又は治療機能を実行する。患者外部医療装置1320は、患者の上に、患者の近くに、又は患者に外部の任意の場所に配置されてもよい。
患者内部医療装置と患者外部医療装置1310、1320は、一台又は複数のセンサ1341、1342、1345、1346、患者入力/トリガ装置1343、1347、及び/又は他の情報獲得装置1344、1348に結合されてもよい。センサ1341、1342、1345、1346、患者入力/トリガ装置1343、1347、及び/又は他の情報獲得装置1344、1348は、患者内部医療装置、及び患者外部医療装置1310、1320の監視機能、診断機能、及び/又は治療機能に関連して状態を検出するために利用されてもよい。
医療装置1310、1320は、患者の中に完全に又は部分的にそれぞれ埋め込むことができる一台又は複数の患者内部センサ1341、1345にそれぞれ結合されてもよい。医療装置1310、1320は、患者に関する遠隔位置の上で、遠隔位置の近くに、あるいは遠隔位置内に配置される患者外部センサに結合されてもよい。患者内部センサ及び患者外部センサは、患者に影響を及ぼす生理学的な状態又は環境状態等の状態を検知するために使用される。
患者内部センサ1341は、一本又は複数の内部リード線1353を通して患者内部医療装置1310に結合されてもよい。依然として図13を参照すると、一台又は複数台の患者内部センサ1341は、一台又は複数の患者内部センサ1341と患者内部医療装置1310及び/又は患者外部医療装置1320の間の無線通信をサポートするためにトランシーバ回路網を備えてもよい。
患者外部センサ1342は、1本又は複数の内部リード線1355を通して、又は無線接続を通して、患者内部医療装置1310及び/又は患者外部医療装置1320に結合されてもよい。患者外部センサ1342は、無線で患者内部医療装置1310と通信してもよい。患者外部センサ1342は、1本又は複数の内部リード線1357を通して、あるいは無線リンクを通して患者外部医療装置1320に結合されてもよい。
本発明の実施形態では、患者外部医療装置1320は、非電気生理学的信号及びECG信号を同時に表示するように構成されたビジュアルディスプレイを含む。例えば、このディスプレイは、情報を視覚的に提示してもよい。患者外部医療装置1320は、また、あるいは代わりに、患者にとって局所的であるのか、あるいは患者にとって遠隔であるのかに関係なく、臨床医に対する提示のために医療システム1300の他の構成要素に信号を提供してもよい。
依然として図13を参照すると、医療装置1310、1320は、医療装置1310、1320の監視機能、診断機能又は治療機能と関連して有用な情報を記憶するデータベース等の一台又は複数の情報獲得装置1344、1348に接続されてもよい。
例えば、医療装置1310、1320の一台又は複数は、患者情報サーバ1330にネットワークを介して結合されてもよい。
入力/トリガ装置1343、1347により、医師、臨床医、及び/又は患者は情報を手動でトリガする、及び/又は医療装置1310、1320に転送できる。入力/トリガ装置1343、1347は、知覚された心臓事象、患者がどれほど体調がいいのか等の患者の知覚に関する情報、及び医療装置1310、1320によって自動的に検知又は検出されない他の情報を入力するために特に有用である場合がある。例えば、患者は、心臓事象を知覚すると、入力/トリガ装置1343をトリガしてもよい。次に、トリガは患者内部装置1310内での心臓信号及び/又は他のセンサ信号の記録を開始してもよい。後に、臨床医は入力/トリガ装置1347をトリガしてよく、表示及び診断のために、記録されている心臓信号及び/又は他の信号の患者内部装置1310から患者外部装置1320への転送を開始する。入力/トリガ装置1347は、患者、臨床医及び/又は医師によってベクトルを更新する、及び/又は選択するためのPIMDに対する活性化刺激として使用されてもよい。
一実施形態では、患者内部医療装置1310及び患者外部医療装置1320は、医療装置1310、1320の間で無線リンクを通して通信してもよい。例えば、患者内部装置及び患者外部装置1310、1320は、ブルーツース、IEEE 802.11等の短距離無線リンク、及び/又は独自仕様の無線プロトコルを通して結合されてもよい。通信リンクは患者内部1310医療装置と患者外部1320医療装置の間の一方向通信又は双方向通信を容易にしてもよい。データ信号及び/又は制御信号は、医療装置1310、1320の機能を調整するために患者内部1310医療装置と患者外部1320医療装置間で送信されてもよい。
別の実施形態では、患者データは医療装置の一台又は複数から周期的に又は命令時にダウンロードされ、患者情報サーバ1330に記憶されてもよい。医師及び/又は患者は、例えば患者データを獲得するため、あるいは記録及び/又は治療を開始する、終了する、又は修正するために医療装置及び患者情報サーバ1330と通信してもよい。
患者情報サーバ1330に記憶されているデータは、患者、及び患者の医師によって、例えば患者の家又は医師のオフィス内に位置する遠隔コンピュータ等の一台又は複数の端末1350を通してアクセス可能であってもよい。患者情報サーバ1330は、医療装置1310、1320の監視機能、診断機能及び/又は治療機能の遠隔制御を提供するために患者内部医療装置及び患者外部医療装置1310、1320の一台又は複数に通信するために使用されてもよい。
一実施形態では、患者の医師は医療装置1310、1320から患者情報サーバ1330に送信される患者データにアクセスしてもよい。患者データの評価後、患者の医師は、患者内部医療システム及び/又は患者外部医療システム1310、1320の監視機能、診断機能、及び/又は治療機能を開始する、終了する、修正するためにAPMシステム1340を通して患者内部装置又は患者外部装置1310、1320の一台又は複数台と通信してもよい。
別の実施形態では、患者内部医療装置及び患者外部医療装置1310、1320は直接的に通信できないが、APMシステム1340を通して間接的に通信できる。この実施形態では、APMシステム1340は、医療装置1310、1320の二台又は三台以上の間で中間物として動作してもよい。例えば、データ及び/又は制御情報は、医療装置1310、1320の一台からAPMシステム1340に転送されてもよい。APMシステム1340は、医療装置1310、1320の別の装置にデータ及び/又は制御情報を転送してもよい。
一実施形態では、APMシステム1340は、患者内部医療装置及び/又は患者外部医療装置1310、1320と直接的に通信してもよい。別の実施形態では、APMシステム1340は、それぞれ各医療装置1310、1320と関連する医療装置プログラマ1360、1370を通して患者内部医療装置及び/又は患者外部医療装置1310、1320と通信してもよい。前述されたように、患者内部医療装置1310は埋め込み型PIMDの形を取ってもよい。
本発明の一つの手法に従って、PIMDはブラインド音源分離(BSS)技法を使用して堅牢にベクトルの選択及び監視のために心臓信号を分離するように実現されてもよい。後述されるBSS技法のすべての態様又は特定の態様が、PIMD以外の装置又はシステム(埋め込み型、又は非埋め込み型)で実現されてもよいこと、及びPIMD内で実現されるBSS技法の説明が、制限のためではなく、図解のために提供されることが理解される。例えば、後述されるようなBSS技法を実現するアルゴリズムは、PIMDに通信で結合される患者外部装置のプログラマ又はコンピュータのプロセッサ等の、埋め込まれたプロセッサ又は埋め込まれていないプロセッサによって使用するために埋め込まれてもよい。
ここで図14から図16を参照すると、心臓信号分離を利用する心臓監視及び/又は刺激装置及び方法が本発明に従って説明される。PIMDはそれらのソース(源)に従って信号成分を分離し、前記ソース分離に基づいて一つ又は複数の心臓活性化シーケンスのすべて又は一部と関連する一個又は複数の信号ベクトルを生成してもよい。これを達成するために、図14から図16に描かれている方法及びアルゴリズムは実現されてもよい。
図14は、本発明に従って心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査システム1425の一部を描いている。プロセス1414が実行され、例えば大きさ、角度、変化の速度、傾向情報及び他の統計を含むベクトル情報とともに選択されたベクトル1419を提供する。選択されたベクトル1419(及び関連する信号及び他のベクトル情報)は、例えば不整脈区別、療法滴定、姿勢検出/監視、虚血検出/監視、捕捉検証、疾患診断及び/又は心腔情報等の種々の用途1420、あるいは他の用途のために使用できる。本発明に従って、プロセスは、心臓活性化シーケンスを監視するため、患者病状の進行の変化を追跡調査するため、及び例えば心臓検知及び/又は刺激に有用な検知ベクトルを更新するために使用され、繰り返されてもよい。
図15は、本発明による心臓活性化シーケンス監視及び/又は追跡調査のために有用な信号源分離/更新プロセス1500の実施形態を描いている。少なくとも2個、及び最高n個の信号を含むコンポジット信号の集合が分離のために選択され、この場合nは整数である。各電極は未知数の源と関連するコンポジット信号を提供する。前処理及び/又は前置フィルタリング1612が前記コンポジット信号のそれぞれで実行されてもよい。同じフィルタリング機能を使用して各コンポジット信号をフィルタリングすることが有利であってもよい。発生源分別1614が実行され、少なくとも一つの分離された信号を提供する。処理が所望される場合、適切な処理又は療法1618が実行される。発生源分別の継続が所望される場合、プロセスはこのような発生源分別1614を実行するために戻り、所望される信号が検出される、あるいはすべての信号が分離されるまでさらに多くの信号を繰り返し分離してもよい1616。
分離された一つ又は複数の信号は、次に、例えば正常な洞調律を確認し、心臓疾患を確認し、雑音信号を定め、心臓活性化シーケンスを監視し、患者姿勢を決定し、疾患の状態を診断する、又は監視するため等の何らかの指定された目的、あるいは他の所望される用途に使用されてもよい1620。電極アレイ及び/又は複数の電極の使用は、心臓活動を検知するために有用な多くの考えられるベクトルを提供する。
変更を監視する、及び/又は追跡調査するためにベクトルを更新することは、周期的に、要求に応じて、所定の時刻に、所定の事象の発生時に、連続して、あるいはそれ以外の場合所望されるように、実行されてもよい。例えばPIMDは、PIMDが改善した及び/又は調整した及び/又は最適化した性能を保つために、及び/又は変化の進行を追跡調査する又は監視するために、心臓区別のために使用される検知ベクトルの更新を定期的に実行してもよい。更新は、例えば、病状、治療、姿勢、又は他のシステム又は患者の変化がベクトルの変化を示唆し、検出されてもよい、及び又は有用であってもよいときに有用であってもよい。
例えば、前述されたようなAPM環境では、本発明によるPIMDは、患者が寝ているときに臨床信号プロセッサにその心臓コンポジット信号を送信するコントローラ及び通信回路網を有してもよい。信号プロセッサは、患者の睡眠サイクルの間にコンポジット信号のブラインド音源分離及び分析を実行してもよい。信号プロセッサは次にPIMDのための適切な一個の又は複数のベクトルを決定し、患者が目覚める前にPIMDをプログラミングし直してもよい。それから、PIMDは次の更新まで最新のプログラミングで動作できる。
図16は、いくつかのオプションの要素を含む、信号源分離プロセスの追加の実施形態をさらに詳しく描いている。ブロック1622でプロセスに入ると、ここでは共分散行列計算ブロック1624及び/又は例えば帯域通過フィルタリングブロック等の前置きフィルタリングブロック1626を含むとして描かれている前処理機構1612へのアクセスが提供される。前処理ブロック1612で処理されるコンポジット信号は、図15に示されている発生源分別ブロック1614及び反復発生源分別ブロック1616の機能性を含んでもよい信号源分離ブロック1615に提供される。
信号源分離ブロック1615は、前処理ブロック1612によって提供される共分散行列又はコンポジット信号を使用して固有ベクトル及び固有値の関連集合を生じさせる、主要成分分析ブロック1628を含む。一つの固有値が前記集合の中のあらゆる他より大幅に大きいかどうかに関する決定1630が下され、この固有値と関連する次元を信号の電力が最大限にされる方向との関連のための有望な候補にする。このような候補がブロック1630で特定されると、前記信号源分離プロセスを呼び出したマスタPIMDルーチンに戻る1644前に、前記候補信号が即座に分離され1631、前記候補信号が心臓信号であるかどうかを確認するために決定1633が下される。
明確な候補固有値がない場合、あるいは最大値固有値が関心のある信号を提供しなかった場合、反復プロセスが分離し1632、関心のある信号(例えば心臓信号)を検索する1636ために使用されてもよい。このプロセス1632、1636、1634は、このような信号が検出されるまで、あるいは所定数の反復Nmaxを超えることによって、あるいは他の何らかの終了基準によって決定されるようにこれ以上信号が分離できなくなる1634まで繰り返されてもよい。このような基準の例は何らかの所定量、最大固有値より比例して小さくなる現在の反復で考えられる固有値である。
反復1643が完了され、心臓信号が1636で検出されない場合には、心臓信号を検出しようとして信号をさらに処理するために独立成分分析1635が試みられてもよい。すべての可能性を使い果たした後にも心臓信号が決定1637で検出されない場合には、デフォルト設定値1639の集合が使用されてもよい、あるいはエラールーチンが起動されてもよい。
本発明の別の実施形態では、信号分離の方法が、三個又は四個以上の心臓電極又は電極アレイ要素を使用して二個又は複数のコンポジット信号を、少なくとも部分的に埋め込み可能で検知することを含む。上記方法は、検出されたコンポジット信号を使用して発生源分別を実行することをさらに含んでよく、発生源分別は二個又は三個以上のベクトルを生じさせる。第一のベクトル及び第二のベクトルはベクトルの集合から選択されてもよい。
用語、第一のベクトル及び第二のベクトルの使用は、このベクトルがコンポジット信号から分離された第一のベクトルと第二のベクトルであるが、第一のベクトルと第二のベクトルが所与のコンポジット信号について使用可能なあらゆるベクトルの中から選択されることを暗示することを目的としていない。第一の信号と第二の信号は、それぞれ前記第一のベクトルと第二のベクトルを使用して前記検出された二個又は三個以上のコンポジット信号から特定されてもよい。したがって、上記方法は、前記第一のベクトル又は前記第二のベクトルのどちらかを、選択基準に基づいて選択されたベクトルとして選択することを含む。
選択基準は、候補信号特定のために最適ベクトルを検出すること、最大規模候補信号を提供するベクトルを検出すること、あるいは関心のある別の特定の信号を検出することを含んでもよい。例えば、前記第一のベクトルは心臓活動監視のために選択され、使用されてよく、前記第二のベクトルは骨格筋活動監視のために選択され、使用されてもよい。骨格筋信号は、次に、参照することにより本書に組み込まれる、2004年4月1日に出願された「患者活動検知を用いる皮下心刺激システム(Subcutaneous Cardiac Stimulation System with Patient Activity Sensing)」と題される、同一出願人の米国特許出願、出願番号第10/816,464号にさらに説明されるような、雑音から不整脈をさらに区別するために使用されてもよい。
引き続き図14から図16を参照すると、本発明で有用な一つの例証的な信号源分離方法論が後述される。このような手法はPIMDシステムでの使用に特によく適している。後述される例は、限定されない例証目的だけに提供されることが理解されるべきである。さらに、本発明の関連での信号源分離が、後述される特殊なプロセス、あるいは後述されるそれぞれの、及びあらゆるプロセスを使用して実現されなくてもよいことが理解される。
収集された信号は、インコヒーレントな雑音を幅広く抑制するため、及び信号対雑音比(SNR)を概して最適化するために前置フィルタリングされてもよい。このステップでの雑音の抑制は、分離される必要がある音源信号の有効数の削減にさらなる恩恵をもたらす。主成分分析(PCA)は、収集された、及び/又は前置フィルタリングされた信号に対して実行されてよく、さまざまな源から生じる成分を互いに直交にする、記録されている信号の最適線形組み合わせを最小二乗の向きで記述する固有ベクトルと関連する固有値の集合を生じさせる。PCAの実行に対する中間ステップとして、空間共分散行列の推定値が、相互に相互関連しているこれらの成分を強化するために、計算され、相対的に短期間の間隔(約2拍動から3拍動)で、あるいは前述されたようにウィンドウ化された信号で平均化されてもよい。
各固有値は、各関連固有ベクトルの方向に沿って投射される信号の電力に一致する。心臓信号成分は、通常、最大固有値の内の一つによって特定される。PCAが源独立性の実質的に十分なレベルを達成しないこともある。このようなケースでは、独立成分分析(ICA)が、信号のPCA変形時に、あるいはそのまま信号収集時のどちらかに実際の源方向を決定するために実行されてもよい。ICAは高位統計分析に基づき、ユニタリー変換からなる。
例えば、二個の混合源の分離は、その確率分布を基底ベクトルに位置合わせする角度に関して前記信号から形成される複素変数を回転することによって達成されてもよい。別の手法では、ICAの分野で一般的に公知の他の手法だけではなく、成分間の相互情報の最小化に基づいたアルゴリズムも、再構築された源独立性を達成するために使用されてもよい。
PIMDは、例えば、ターゲットベクトルが変化してもよい条件の検出時にブラインド音源分離アルゴリズムを開始する階層意思決定手順を利用してもよい。一例として、局所ピーク密度アルゴリズム又は曲率をベースにした特異点方法論が、高水準検出ルーチンとして使用されてもよい。他のセンサ/PIMDが使用できる情報もブラインド音源分離アルゴリズムの開始をトリガしてもよい。
PIMDは、共分散行列の推定値を計算してもよい。短期間だけ前記共分散行列を計算することで十分である可能性がある。PCAに必要とされる固有値及び固有ベクトルの計算も効率的な更新アルゴリズムを通して適応して実行されてもよい。
心臓信号は、いくつかの(例えば、二個又は三個の)最大分離信号の間で特定されてもよい。複数の公知のアルゴリズムの一つが使用されてもよい。例えば、局所ピーク密度(LPD)又は拍動検出(BD)アルゴリズムが使用されてもよい。LPDアルゴリズムは、このLPDを許容できることが知られている所定の範囲のピーク密度に比較することによって局所ピーク密度の許容できる生理学的な範囲を有する信号を検出することによって前記心臓信号を特定するために使用されてもよい。BDアルゴリズムは、拍動速度の生理学的な範囲を有する信号を検出する。二つの信号が同様に見えるケースでは、形態学アルゴリズムが追加区別のために使用されてもよい。同じアルゴリズムを異なる階層レベルで、つまり1)ブラインド音源分離アルゴリズムの開始、2)心臓信号の反復識別で使用することが有利である場合がある。
本発明によるブラインド音源分離アルゴリズムの例の数学的な進展は、以下のように提供される。所望される心臓信号及び例えば、筋電位雑音、電気焼杓器応答を含んでもよい他の何らかの独立的なノイズを含む、体の内部で検出されるm個の音源信号s1(t),...,sm(t)があると仮定する。これらの信号は皮下検知電極から引き出されるk個の検知ベクトルから同時に記録され、m個すべての信号がk>mの場合に解決されてもよい。定義によって、信号は電極アレイ全体で検知された総合電圧傾きに混合される。加えて、通常、例えば環境雑音源に帰することができる付加雑音がある。音源信号s(t)と記録信号x(t)の関係性が後述される。
ここでは、x(t)は、音源信号と付加雑音の瞬時線形混合物であり、y(t)は付加雑音のない同じ線形混合物であり、n(t)はガウス雑音としてモデル化される環境雑音であり、Aは未知の混合行列であり、s(t)は、所望される心臓信号と他の生物学的なアーチファクトを含むためにここで考えられる未知の音源信号である。その空間統計独立性を除き、混合行列及び音源信号の根本的な構造についてなされる仮定はない。目的は、記録されている信号x(t)から音源信号s(t)を再構築することである。
音源信号s(t)の記録されている信号x(t)からの再構築は、SNRを最適化する(つまりn(t)の電力に対してs(t)の電力を最大限にする)ために前置フィルタリングx(t)を含んでもよい。ここでは、線形位相フィルタが、時間領域分散(尾部及び共鳴)を最小限に抑え、基礎となる心臓信号形態学を最もよく保つために使用されてもよい。標記x(t)が、x(t)の前置フィルタリングされたバージョンに代入されることが留意される。
空間共分散行列Rの推定値は、すぐ下に示されるように形成される。このステップは、相互に関連し、インコヒーレント雑音を重要視しない信号の成分を強化するのに役立つ。
共分散行列Rの固有値と固有ベクトルは、特異値分解(SVD)を使用して求められてもよい。定義によって、三個の行列のSVD因数RはR=USVTであり、この場合UとVは回転を保つ振幅を記述する直交行列であり、Sは単調減少順序で対角線上に二乗された固有値σ1...σkを有する対角行列である。要素の中に拡大され、このSVDは以下のように表現されてもよい。
行列Vの列は、新しい座標系に及ぶ固有ベクトルからなり、さまざまな源から生じる成分は互いに直交している。固有値σ1...σkは、Vの列1...kにそれぞれ対応する。各固有値は、その対応する固有ベクトルの方向に沿った信号「電力」を定義する。行列Vは、このようにして、xの各別個の成分が、その空間の基底ベクトルと最小二乗の向きで最適に位置合わせされている空間内へのx(t)の回転変換を提供する。
最大固有値は、通常は混合音源信号y1(t),...,ym(t)を表わす最高電力成分に一致する。さらに低い固有値は、通常、付加雑音n1(t),...,nk-m(t)と関連付けられる。各固有ベクトルは次に、対応する独立信号成分の電力を最大限にするxでの最適一次演算子として見られてもよい。その結果、前記変換済み信号は、以下のように検出される。
代替実現では、共分散行列Rの固有値及び固有ベクトルは固有値分解(ED)を使用して求められてもよい。定義によって、EDは、Sが単調減少順で、対角線上に固有値σ1...σkを有する対角線行列となるように、及び行列Vがその列に沿って対応する固有ベクトルを含むように行列方程式RV=SVを解く。結果として生じる固有値及び関連固有ベクトルは、共分散行列RのSVDから起因するものと同様に適用されてもよい。
代替実現では、固有値及び固有ベクトルは関心のある時間sECGentの間に収集されるk個のセンサ信号の矩形行列Xを形成し、X上で直接的にSVDを実行することによってx(t)から直接的に計算される。行列X及びその分解は以下のように表現されてもよい。
T>kのケースでは、いわゆる「エコノミーサイズの」SVDが、固有値と固有ベクトルを効率的に求めるために使用されてもよい。このようなSVDは以下のように表されてよく、要素に拡大される。
同様のエコノミーサイズのSVDは、k>Tのあまり典型的ではないケースでも使用されてもよい。データ行列XのSVDを実行した結果生じた行列SとVは、共分散行列RでSVDを実行した結果生じた行列SとVと同一に本発明の関連で適用されてもよい。
ICAは、音源信号の推定値を回復しようとして混合行列Aを反転する線形変換行列Wを求めようとする。演算は以下のように説明されてもよい。
KLDは対称ではないため、二個の代替測度が関連付けられるが、正確に等しくはない。例えば、特定の根本的なデータ分布がその測度での収束を好む場合には、一つの測度を選ぶことができるであろう。
複数の代替手法が、sの成分の相互独立性を測定するために使用されてもよい。これらは、最大尤度方法、負のエントロピーの最大化、又はその近似、及び相互情報の最小化を含んでもよい。
最大尤度方法では、所望される行列Wは、以下の最適化問題の解として求められ、
wiは行列Wの列である。負のエントロピー方法では、費用関数がsと対応するガウス確率変数の間のエントロピーの差異という点で定められ、以下の最適化問題を生じさせ、
この場合H(s)は、ランダムベクトルsのエントロピーであり、sgaussはsのそれと実質的に同じ共分散行列を有するために選ばれるガウスランダムベクトルである。
相互情報方法の最小化では、費用関数はsのエントロピーと、sの成分の個々のエントロピーの合計の間の差異という点で定められ、以下の最適化の問題を生じさせる。
整形式を有するすべての前記費用関数最適化は、例えば、周知のヒストグラム法を使用してpdfを推定した結果として離散pdfで基礎を成すpdfを近似することによって総和を使用して実現されてもよい。我々は、pdf、つまりpdfの推定値も知っていることが、計算の複雑さ、使用可能なデータの希薄さのどちらか、又は両方に起因して実質的に実現するのが困難であることに留意する。これらの困難は、カートシス、つまりpdfを必要としない統計的なパラメータに基づいて費用関数最適化法を使用して対処されてもよい。
代替方法では、独立の基準は、sのi番目の成分について以下のように定義される四次統計に同等なカートシスを介して表現できるであろう。
このケースでは、Wは(yがy(t)の成分に一致する確率変数のベクトルであると理解して)sの全成分でs=Wyというカートシスを最大化する行列として求められる。ICA最適化のすべての前記の例では、解Wは、技術で周知の確立された最急降下、ニュートン反復等の数値方法を介して求めることができるであろう。これらの方法は、特に、sの統計の多くの推定値がW内の反復ごとに計算されなければならない場合、実際面で実現するのが数値的に集約的であることが判明するであろう。
一例では、簡略な二次元ICAがPCA分離信号で実行されてもよい。このケースでは、ユニタリー変換は回転角度θのGivens回転速度として求めることができ、
この場合、s(t)=W(θ)y(t)である。W(θ)は、基底ベクトルに沿って各成分の確率分散を最大化にし、その結果以下が満たされる。
要約すると、回転角度は以下のように推定されてよく、
この場合
前処理ステップの後、候補信号は通常第一の最も強力な信号又は第二に最も強力な信号である。加えて、通常、実際には、一時的に白である唯一つの音源信号がある。このケースでは、二次元ベクトルy=y1+iy2=ρeiψの回転が必要とされるすべてである。三つ以上の信号が分離される必要がある場合、独立成分分析プロセスが、収束に達するまでm(m−1)/2信号組で組様式で繰り返されてよく、通常は約(1+√m)反復を要する。
前述されたプロセスを実現するPIMDは、心臓信号を、埋め込み型装置から記録される低SNR信号から堅牢に分離してもよい。このようなPIMDは心調律及び不整脈の検知の改善を可能とするために、雑音から心臓信号を堅牢に分離する。
システムは、心臓信号及び雑音を互いに直交(独立)させる空間的に収集された低SNR信号の組み合わせを求めることによって動作する。この組み合わせは、負のSNR状態からも心臓信号の相対的にきれいな抽出を達成する。
PIMDは、バッチモードで、あるいは適応で動作してよく、オンライン又はオフラインの実現を可能にする。電力を節約するために、システムは収集された信号の中の不整脈又は雑音の存在を特定し、本発明の方法を開始するために技術で公知のアルゴリズムを使用する階層意思決定ルーチンのオプションを含んでもよい。
多様な変形及び追加を、本発明の範囲から逸脱することなく前述された好適実施形態に加えることができる。その結果、本発明の範囲は前述された特定の実施形態に制限されてはならず、以下に述べられる請求項及びその同等物によってのみ定められなければならない。