JP5064608B2 - アルファ粒子放出構成物およびその使用方法 - Google Patents

アルファ粒子放出構成物およびその使用方法 Download PDF

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Description

発明の背景
関連出願の説明
本特許出願は、現在は放棄された、1998年5月26日に出願された米国仮特許出願第60/086,772号の恩恵を主張する。
発明の背景
本発明は、通常、放射免疫治療に関する。さらに特定すると、本発明は、高い比放射能を有するアルファ粒子放出構成物およびその使用方法であって、大型腫瘍またはヒトの病気状態に関連する他の細胞を殺すための方法に関する。
関連技術の説明
放射性同位元素標識された抗体による治療においては、大型の病気に対して最適化された抗体/放射性核種の組合せは、微小な病気のターゲッティングには最適ではない(O’Donoghue et al.1995)。例えば、長い飛程のベータ粒子を放出する放射性核種は、通常、その飛程により大型の病気に典型例である不均一な抗体分布が補われるので、大型の病気のターゲッティングに適切であると考えられている。しかしながら、これらの放射性核種は、単一の細胞のターゲッティングには不適切である(Willins et al.1994,Willins et al.1995)。
抗体は、親和性を犠牲にしてより早く固形腫瘍に浸透するフラグメントを形成する。より小さく、より浸透性のあるクラスターのターゲッティングにおいては、そのような物質には親和性の減少という不利益が残るだけである。このことは、大型の病気に対するより大きい効果が微小な病気にも適用できる化学療法と対照的である。放射性標識された抗体による治療は、作用機構において化学療法と根本的に異なる。化学療法では容認されているが、“固形腫瘍の障害物”は、放射免疫治療には適切ではない(Sgouros 1995)。
大型の病気をターゲッティングするために、静脈投与された抗体は、溢血し、間隙の液体空間に拡散しその後抗原陽性細胞中に分布しなければならない(図1A)。これらの段階のそれぞれは、運搬の障害と関連する(Gerlowski et al.1986,Dvorak et al.1988,Jain et al.1988,Clauss et al.1990,Fujimori et al.1990,Sgouros et al.1989,Sgouros 1992)。分布した単一の腫瘍細胞または腫瘍細胞のクラスターを血液学的にターゲッティングすることにより、抗体運搬の障害が減少する(図1B)。クラスターのサイズおよび腫瘍の重さへの明らかな治療の依存性は、抗体の浸透性のモデリング分析および実験的観察と矛盾しない(Saga et al.1995)。
播種性の腫瘍細胞または微小転移巣のターゲッティングにおいては、それぞれの腫瘍細胞は抗原を示さなければならない。この見かけは厳密な必要条件は、微小転移性のターゲッティングの特有の態様を利用することにより無効にされるかもしれない。静脈に投与された抗体は、血管系の上皮側の潜在的な交さ反応性細胞にすぐには接近できないであろう。したがって、抗体が溢血する前に崩壊するより寿命の短い放射性核種の使用により、ターゲッティングが血液学的に分布した病気にすぐに接近することが可能である場合に、抗体特異性の必要条件を緩和することが可能である。特異性の必要条件を緩和することにより、腫瘍細胞においてより高くより一様な発現を有する抗原が選択される(Riethmuller et al.1994)。
ビスマス−213(Bi-213)またはビスマス−212(Bi-212)結合アルファ粒子放出IgGリガンドは、ヒトにおいて単一の細胞だけを殺すのに有用であると考えられている。これらのリガンドは、細胞の固形腫瘍または小さい微小転移性コレクションを殺すことにおいて有用であるとは考えられていない。これらの単一の細胞または細胞のクラスターは、血液、骨髄、リンパ節、肝臓および脾臓中で、または例えば白血病および他の癌を有する患者の髄液、腹水または胸膜液中の小さい転移性の沈着物として局所蓄積物中で見られる(Langmuir,90;Greerlings,93,p474:“Bi-213については、特異的致死は観察されず、これは固形腫瘍の治療においてこの放射性核種の適用が制限されることを示す。”;Simonson,90;Huneke,92;Macklis,92;Kozak,86;Scheinberg,82)。この一般にいだかれているアルファ粒子放出体の単一の細胞への適用の信頼は、約2−4の細胞直径に等しいアルファ粒子の短い飛程(100マイクロメートル未満)および放射性核種の短い半減期(1時間未満)に基づく。アルファ粒子放出体は3−4時間以内に大体崩壊し、IgGが大型腫瘍中に拡散する時間はおよそ数日であるので、Bi-213またはBi-212を運搬するIgGが一つまたは二つ以上の細胞に浸透して細胞を殺すことができる可能性はほとんどないと考えられていた。したがって、血液、骨髄、肝臓または脾臓中の単一の細胞だけが適切な標的となる。その理由は、初期の研究は白血病、腹膜転移巣、髄液中の癌性髄膜炎、または骨髄中の微小転移巣の沈着に集中されていたからである。
標識されたリガンドにおいて少量(5-20 mCi)のBi-213を使用する方法により、癌細胞のような個々の細胞を殺すことが考えられてきた。この方法には、画一的な投与量のBi-213で標識された抗体または他のリガンドの使用が含まれる。しかしながら、これらの方法だけでは、特異的に細胞を殺すための高い比放射能を有するリガンドの必要条件を考慮に入れることができないので、アルファ粒子放出構成物を使用することはできない。この必要条件は、ヒトの治療において以前使用されていたベータまたはガンマ放出にはないアルファ粒子放出の特有の性質(高い直線的なエネルギー転移および非常に短い飛程)から生じる。その結果、放射線の場で殺すベータ放射治療抗体は任意の比放射能において有効であるのに対し、アルファ粒子放出抗体は、最低一つの原子が個々の細胞に運搬できる場合にのみ有効であり、少なくとも一つのアルファ粒子の飛跡が細胞を通る。
従来技術は、第一にアルファ粒子により細胞を殺す工程において高い比放射能が重要であること(および必要なこと)を理解する点で、および第二に少数以上の細胞により腫瘍を殺す方法を理解する点で不十分である。したがって、従来技術は、比放射能の高いアルファ粒子放出構成物を使用して大型腫瘍(直径が1mmより大きい)またはヒトあるいは動物の病気に関連する他の細胞を殺す効果的な方法がない点で不十分である。本発明は、当該技術におけるこの長年の必要および要求を満たす。
発明の概要
本発明は、大型腫瘍(直径が1mmより大きい)、または破壊の標的である、正常細胞を含む、ウィルス感染細胞、自己免疫細胞、または他の異常細胞のようなヒトまたは動物の病気に関連する他の細胞を殺して治療の成果を達成することができる、Bi-213で標識された、アルファ粒子を放出する放射性構成物を開示する。大型腫瘍を殺す方法(以前はアルファ粒子の短い飛程により不可能だと考えられていた)は、ヒト癌モデルに対してインビトロおよびインビボで記載され証明されている。高い比放射能を有する構成物が治療成果を可能にするための必要条件(リガンド分子毎の同位体原子の数)が示されている。さらに高い比放射能が癌の“治癒”(“腫瘍コントロール確率(TCP)”が1であるとしても知られる)を達成する必要条件も記載されている。これらの概念は、従来技術において以前に開示されていない、または従来技術から理解されず、したがって予期されていない。
本発明はまた、多数のアルファ粒子放出娘核種を有するより寿命の長いアルファ粒子放出核種(Ac-225)の可能な治療活性を研究する。Ac-225およびその娘核種を含有する新しいキレートを研究する。
アルファ粒子放出粒子に基づく薬は、髄外毒性なく安全におよび繰り返し調製および投与できる。Bi-213で標識された構成物から作製される薬は、適切な癌細胞部位にのみ対する早く、特異的で、安定したターゲッティングと矛盾しない薬物速度論を示す。重要な抗白血病活性は、最低レベルで示された。Ac-225で標識された構成物から作製される薬は、Bi-213構成物より効力が強いことが示される(mCi基準で約1000倍強い)。
本発明の一つの実施の形態においては、大型腫瘍を殺す方法であって、アルファ粒子放出構成物を腫瘍に繰り返し投与する工程を含む方法が提供される。厳密に言えば、腫瘍は直径が1mmより大きい。アルファ粒子放出構成物の代表例には、抗体、フラグメント、サイトカイン、レセプターリガンドおよび任意の他の種のリガンドが含まれる。好ましくは、アルファ粒子放出構成物は、ビスマス−213、ビスマス−212、アクチニウム−225、ラジウム−223、鉛−212、タービウム(turbium)−149、フェルミウム−155またはアスタチン−211により標識される。構成物は、約0.05mCi/mgから約100mCi/mgまでの高い比放射能を有していなければならない。さらに、アルファ粒子放出構成物は、約0.1mg/m2から約10mg/m2までの範囲の投与量で反復的に投与される。
本発明の別の実施の形態においては、ヒトの非悪性細胞を殺す方法であって、アルファ粒子放出構成物を該細胞に投与する工程を含む方法が提供される。アルファ粒子放出構成物の代表例には、抗体、フラグメント、サイトカイン、レセプターリガンドおよび任意の他の種のリガンドが含まれる。好ましくは、アルファ粒子放出構成物は、ビスマス−213、ビスマス−212、アクチニウム−225、ラジウム−223、鉛−212、タービウム−149、フェルミウム−155またはアスタチン−211により標識される。さらに好ましくは、構成物は約0.05mCi/mgから約100mCi/mgまで(特定の同位体に依存して)の高い比放射能を有し、約0.1mg/m2から約50mg/m2までの効果的な投与量で投与される。好ましくは、非悪性腫瘍は、ウィルス感染細胞、自己免疫細胞、リンパ系細胞、正常な骨髄細胞および過成長正常細胞からなる群より選択される。この方法を使用して治療される病気の代表例には、非腫瘍性の病気、ウィルス感染、自己免疫疾患、前立腺肥大症、冠疾患および他の血管閉鎖性疾患が含まれる。
本発明の別の実施の形態においては、そのような治療を必要とする個体の腫瘍血管系中の抗原をターゲッティングすることにより腫瘍を殺す方法であって、アルファ粒子放出同位体を含む構成物を薬理学的に効果的な投与量で前記個体に投与して前記腫瘍血管系の機能を効果的に抑制する工程を含む方法が提供される。
本発明の他のおよびさらなる態様、特徴、および利点は、開示の目的のために与えられた本発明の目下好ましい実施の形態の以下の記載から明らかとなるであろう。
図面の簡単な説明
上述された、並びにこれから明らかになるであろう本発明の特徴、利点および目的が達成され詳細に理解されるように、添付の図面に示されるある実施の形態を参照して上記で簡単に要約された本発明をより特定して記載する。これらの図面は明細書の一部を形成する。しかしながら、添付の図面は本発明の好ましい実施の形態を示し、したがって本発明の範囲において制限するものと考慮すべきではないことに留意すべきである。
図1は、腫瘍細胞の抗体ターゲッティングに対する障害を示す。図1Aは、固形腫瘍のターゲッティングを示す。抗体Yは、まず毛細血管(円柱)から溢血し、次に間質液の圧力勾配(矢印)と反対に拡散して腫瘍細胞(球)に達する。図1Bは、血液学的に分布した微小転移巣のターゲッティングを示す。抗体が溢血して間質液に拡散する必要はない。単一の腫瘍細胞に直接接近できる。
図2は、“タマネギの皮をむく”ように大型のスフェロイド(spheroid)を殺すことを示す。両方のスフェロイドの連続は、Bi-213で標識された抗体と一晩インキュベーションした後に得られた図を示す。上の連続は、PSMA特異的抗体による治療によって、それ以上成長しない芯のまわりの一層の細胞が殺されることを示す。治療をさらに行うと、芯は消滅する。対照的に、下の連続のスフェロイドは対照の非特異的構成物により治療され、成長しつづける。
図3は、(Bi-213)CHX-A-DTPA-HuM195および(Bi-212)CHX-A-DTPA-HuM195がインビトロで白血病細胞を殺す力を示す。細胞障害を、0.2mCi/mgから30mCi/mgまでの範囲の比放射能を使用し、HL60細胞(CD33+)(点線)およびRAJI細胞(CD33−)(実線)を使用して測定した。100ml中2×105細胞を96穴プレート中に配置した。ビスマスで標識された抗体を、ウェル中の最終濃度が0.02mCi/mlから20mCi/mlまでの範囲になるように階段希釈してウェルに加えた。プレートを、5%のCO2中37℃で24時間インキュベートした。生存率を3H−チミジンの取込みにより測定し、比放射能に対してプロットした。図3Aは、比放射能および投与量の関数としての(Bi-212)CHX-A-DTPA-HuM195による細胞障害を示す:0.2mCi/mg(HL60:点線、白い記号およびRAJI:実線、黒い記号)、0.2 mCi/mg(十字)、10 mCi/mg(円)、20 mCi/mg(菱形)および30 mCi/mg(四角形)。図3Bは、比放射能および投与量の関数としての(Bi-213)CHX-A-DTPA-HuM195の細胞障害を示す。RAJI:(黒い記号)2 mCi/mg(円)および8 mCi/mg(三角形);HL60:(白い記号)1 mCi/mg(三角形)、2 mCi/mg(円)、4 mCi/mg(菱形)および8 mCi/mg(四角形)。
図4は、細胞表面上に結合したBi-213原子(図4A)およびBi-212原子(図4B)の計算された平均数の関数としてHL60細胞の生存率を示す。直線は、約10mCi/mgの比放射能を生じたビスマス標識から得られた細胞障害データのポイントに最も適合する直線を示す。この比放射能は、HL60細胞を非常に選択的に殺す範囲にある。同様の傾きの曲線が、他の高い比放射能における細胞障害データから生じる(図示せず)。
図5は、比放射能の関数としてLnCaP細胞の生存率に対するBi-213−J591の力価を示す。比放射能が低くなると、同じ濃度の同位体が標的細胞を殺す能力は劇的に減少する。
発明の詳細な説明
標識されたリガンド上で少量(5-20 mCi)のBi-213を使用する方法は、癌細胞のような個々の細胞を殺すために使用することが考えられてきた。この方法には、画一的な投与量のBi-213で標識された抗体または他のリガンドの使用が含まれる。しかしながら、これらの方法だけでは、特異的に細胞を殺すための高い比放射能を有するリガンドの必要条件を考慮に入れることができないので、アルファ粒子放出構成物を使用することはできない。この必要条件は、ヒトの治療において使用されていたベータまたはガンマ放射にはないアルファ粒子放出の特有の性質(高い直線的なエネルギー転移および非常に短い飛程)から生じる。その結果、放射線の場で殺すベータ放射治療抗体は任意の比放射能において有効であるのに対し、アルファ粒子放出抗体は、最低一つの原子が個々の細胞に運搬できる場合にのみ有効である。必要な比放射能(リガンド分子毎の同位体の原子(またはmCi/mg))を計算するために、(1)標的部位の数および(2)リガンドの転形および薬理学を理解することが必要である。部位数だけで、異なるシステムの間で1000倍以上異なり得る。広範囲の標的部位およびリガンドの特性の実施例が表1に示される:
【表1】
Figure 0005064608
確実に細胞を殺すための最低必要条件は:(1)標的細胞上のレセプター標的(結合部位)の数;(2)一度標的にされた部位におけるリガンドの安定性;(3)リガンドが標的部位に達する速度;(4)標的に対するリガンドの親和性;および(5)宿主(患者)中の標的部位または非特異的結合部位の総数、に依存する。これらの特徴のそれぞれを概算することにより、それぞれの治療の施用において効果的な薬を作製するために必要な比放射能を判断することができる。例えば、一つのBi-213崩壊(46分間の半減期)が単一の細胞を殺すのに必要であり、放射性リガンドが少なくとも3時間細胞において安定であり、崩壊の50%が間違った方向であってエネルギーを細胞外で消費し、注入後リガンドが細胞に達するのに23分間必要であり製造投与量を調製し患者に投与するのに23分間必要であり、細胞毎に10,000の結合部位がある場合に、2500毎に最低一つのリガンドは反応時間の終わりにBi-213原子で標識されて、放射リガンドを産生しなければならない。(すなわち、0分ではそれぞれ2500のIgGについて一つのBi-原子が存在し;46分ではそれぞれ5000のIgGについて一つのビスマス原子が存在する。細胞毎に可能性のある部位が10,000存在するので、二つの原子が細胞に達し、3時間を越えると概して一つはアルファ粒子とともに細胞中に崩壊し、一つは細胞から離れる。)
これは、Bi-213で標識されたHuM195IgGにより白血病を治療するための条件の大体の推定である(以下の人において成功した使用の実施例参照)。したがって、最低約10mCi/mgの比放射能が必要である。病気の段階に依存して1−50 E10の範囲の可能な標的白血病細胞が存在し(すなわち細胞毎に10,000部位において0.1−5 E15結合部位)、最終的に抗体の約50%が親和性により標的細胞に結合するので、利用できる結合部位の全てを飽和させ適切な投与量を運搬するために0.05mgから2.50mgまでの範囲の投与量の抗体が必要である。対照的に、同様の薬理学および調製時間を有するが部位が10倍少ないリガンドについては(例えば通常の細胞表面レセプター)、250のリガンド毎にほぼ一つの原子の比放射能が必要とされる。これがIgGの場合、約100mCi/mgが必要である。このレベルの比放射能を使用できないと、ほとんどの細胞は放射性原子を受け取らず、したがって正常組織と比較して標的を適切に殺すことができない。したがって、放射性構成物の最低限の適切な比放射能は、記載した完全な特性である。この記載した特徴がなければ、当業者が有用な投与量を調製することはできない。この場合それぞれのIgGはトキシン分子で標識されているので、この概念は“免疫障害”の使用に必要であることに留意すべきである;さらに、この概念はベータ放出体(I−131またはY−90等)で標識されたリガンドでの使用には必要ではない、なぜならこれらの同位体は個々の細胞レベルにおけるよりも大きい場で殺すからである。したがって、この概念は独特であり、放射免疫治療について以前に記載されていない。
第二の重要な概念は、比放射能と腫瘍コントロール確率との間の関係である。微小転移巣の放射免疫治療に関連する放射線生物学の問題は、適切な治療の計画および臨床結果の解釈に重要である。測定可能な大型の病気の治療におけるよりも微小転移巣のターゲッティングにおいてのほうが、有効性についての第一の基準を満たすのはずっと難しい。大型の病気においては、有効性についての第一の基準は、完全な応答の達成である。患者中の検出可能な限界が1グラムまたは109細胞であると仮定すると、100グラムの病巣の完全な応答には102の細胞を殺すことが必要である。適切な細胞の致死が達成されると、寛解は根絶の時間に依存する。恒久性の寛解は達成するのがずっと困難である。微小転移巣の補助治療においては、寛解期間は効果の主な基準である。これは、放射免疫治療後に生存する細胞の分画に依存し、細胞の減少がごくわずかである場合には細胞の母集団が2倍になるのに必要な時間、すなわち潜在的な倍加時間にも依存する。ほとんどの腫瘍細胞の潜在的な倍加時間は、2日間から15日間の範囲である(Steel 1989)。初期治療で腫瘍の質量を100gm.から0.1gm.まで減少させる(103の細胞を殺す)ことにより完全な寛解が生じ、腫瘍細胞の潜在的な倍加時間が15日間である場合、約2ヶ月で腫瘍細胞は1グラムまで再成長し、再発の最初の証拠が明らかになる。初期に103の細胞を殺したのに続き、補助治療によりさらに103の細胞を殺す場合、105の腫瘍細胞が残存する。潜在的な倍加時間が15日間であると仮定すると、腫瘍が検出可能になるまでに約7ヶ月必要である。補助治療の後に単一の細胞だけが生存する場合、再発は15ヶ月以内であると思われる。
治癒(5年間病気のない生存)を達成するために、全ての腫瘍細胞を殺す確率は1に近づかなければならない。この確率は、腫瘍コントロール確率(TCP)と等しく、TCP=e-n*SFから計算され、nは最初の腫瘍細胞の数であり、SFは治療後に生存する分画であり、eはオイラーの数(2.71828…)である。例えば、手術または放射線治療後に105の腫瘍細胞が残存しこれらが単一の細胞にまで減少される場合(n=105;SF=10−5)、腫瘍コントロール確率は0.37である。さらに10の細胞を殺すと、コントロール確率は90%まで増加する;107の細胞を殺した後、99%の確率が達成される。腫瘍細胞の数を105細胞から10細胞まで減少させて、104の細胞を殺すと、0.005%の腫瘍コントロール確率しか生じない。臨床用語においては、治療の効力が105の腫瘍細胞を1の腫瘍細胞に減少させるものである場合、105の腫瘍細胞を有する患者の37%が5年間病気なく生存することが達成される。治療の効力が107の細胞を単一の細胞に減少させるのに十分なものである場合は、105の細胞を有する患者の99%が5年後病気がない。同じ患者母集団において、治療により細胞の総数が105から10にまで減少する場合には、100,000人の患者につき5人だけが治癒する。上述の分析は、再発の時間および治癒の確率の決定に影響を及ぼす多くの因子を無視する単純化したものであるが、これにより測定可能な病態と微小転移性病態とに対する薬の評価に使用される基準の根本的な相違および寛解と恒久性の寛解/治癒との根本的な相違が強調される。この分析から明らかなように、一次のまたは観察可能な転移の治療後に患者中に残存する腫瘍細胞の数は、効力の重要な決定因子である。
全ての以前に記載されたアルファ粒子放出構成物は比放射能が低いので、特定のリガンドの構造により、効果のない薬またはヒトに注入された場合に治癒を誘発できない薬が生じていた。さらに、この分野はベータおよびガンマ放出体の使用をもっぱら信用し、標的化アルファ粒子放出体をヒトに使用するために良好に拡張した者はこれまでいなかったので、ここに記載されるまでこの低い比放射能の重大性は認識されていなかった。
Bi-213のほかに、寿命の長い(t1/2=10日間)アルファ粒子放出放射性核種Ac-225も研究された。3つのアルファ粒子放出娘核種を有するAc-225は、細胞内または細胞上に維持される場合には個々の細胞を、時間をかけてスフェロイドに浸透できる場合には多細胞スフェロイドの致死において、寿命の短い(t1/2=46分間)アルファ粒子放出Bi-213よりもずっと強力である。Ac-225のこれらの特徴により、固形腫瘍のアルファ治療を考慮に入れてもよい;Bi-213は、腫瘍細胞の層をゆっくりと“むく”ために多投与量の薬を使用できなければ、固形腫瘍の治療に有用ではない。Ac-225およびBi-213の使用についてのそれぞれのプロ(pro)およびコン(con)が表2に示されている。
【表2】
Figure 0005064608
Ac-225で標識された関連するおよび対照のmAbのIgG−キレート構成物を使用して、Ac-225で標識された構成物が、インビトロで腫瘍細胞およびスフェロイドを殺す効力および特異性を研究した。細胞の内在化と異化、および細胞内における核種の停留におけるこの構成物の役割もまた評価される。
細胞質画分への転形により標的細胞内で結合し保持される、4つのアルファ粒子によって崩壊する寿命の長い同位体のターゲッティングによる、標的部位における、インビボのアルファ粒子の産生により、Bi-213構成物よりもさらに強力な(mCi基準で約1000倍)薬が産生されると推定される。さらに、長い半減期により、固形腫瘍および寿命の短いBi-213によるよりも大きい微小転移性病巣のターゲッティングが可能となる。研究下で可能なターゲットシステムには、胸部および前立腺モデルが含まれる。全投与量は、1mCi未満であると考えられる。
本発明においては、高い比放射能を有するアルファ粒子放出構成物が開示される。さらに、アルファ粒子放出構成物を使用して大型腫瘍またはヒトおよび動物の病気に関連する他の細胞を殺す方法も開示される。
本発明の目的は、大型腫瘍を殺す方法であって、多投与量のアルファ粒子放出構成物を腫瘍に投与する工程を含む方法にある。厳密に言えば、腫瘍は直径が1mmより大きい。好ましくは、アルファ粒子放出構成物には、抗体、フラグメント、サイトカイン、レセプターリガンドおよび他のリガンドが含まれる。アルファ粒子放出同位体の代表例には、ビスマス−213、ビスマス−212、アクチニウム−225、ラジウム−223、鉛−212、タービウム−149、フェルミウム−155およびアスタチン−211が含まれる。通常、構成物は、約0.1mCi/mgから約50mCi/mgまでの高い比放射能を有していなければならない。すなわち、構成物は、細胞毎に最低1原子を運搬するのに適切な投与量で投与される。好ましくは、アルファ粒子放出構成物は、約0.1mg/m2から約10mg/m2までの範囲の投与量で反復的に投与される。
本発明の目的はまた、ヒトまたは動物の病気に関連する非悪性細胞を殺す方法であって、アルファ粒子放出構成物を該細胞に投与する工程を含む方法にある。アルファ粒子放出構成物の代表例には、抗体またはそのフラグメント、サイトカイン、レセプターリガンドおよび他のリガンドが含まれる。アルファ粒子放出同位体の代表例には、ビスマス−213、ビスマス−212、アクチニウム−225、ラジウム−223、鉛−212、タービウム−149、フェルミウム−155およびアスタチン−211が含まれる。構成物は、約0.1 mCi/mgから約50mCi/mgまでの高い比放射能を有し、約0.1mg/m2から約10mg/m2までの効果的な投与量で投与される。すなわち、構成物は、細胞毎に最低1原子を運搬するのに適切な投与量で投与される。この技術を使用して治療できる非悪性腫瘍の代表例には、ウィルス感染細胞、自己免疫細胞、リンパ系細胞、正常な骨髄細胞および異常に増殖した正常細胞が含まれる。個体は、非腫瘍性の病気、ウィルス感染、自己免疫疾患、前立腺肥大症、冠疾患および他の血管閉鎖性疾患を有していてもよい。
本発明の目的はまた、そのような治療を必要とする個体の腫瘍血管系中の抗原をターゲッティングすることにより腫瘍を殺す方法であって、アルファ粒子放出同位体を含む構成物を薬理学的に効果的な投与量で前記個体に投与して前記腫瘍血管系の機能を効果的に抑制する工程を含む方法にある。アルファ粒子放出構成物の代表例には、抗体またはそのフラグメント、サイトカイン、レセプターリガンドおよび他のリガンドが含まれる。好ましくは、アルファ粒子放出構成物は、ビスマス−213、ビスマス−212、アクチニウム−225、ラジウム−223、鉛−212、タービウム−149、フェルミウム−155またはアスタチン−211により標識される。該構成物は約0.1 mCi/mgから約50mCi/mgまでの高い比放射能を有し、約0.1mg/m2から約10mg/m2までの効果的な投与量で投与される。すなわち、構成物は、細胞毎に最低1原子を運搬するのに適切な投与量で投与される。
ここで用いたように、“(アルファ粒子放出構成物の)比放射能”とは、リガンド分子毎の放射性原子の数を称する。ここで用いたように、“腫瘍コントロール確率(TCP)”とは、腫瘍が再発できないサイズ以下まで縮小される確率を称する。ここで用いたように、“寛解期間”とは、治療後腫瘍が再発するまでの時間を称する。ここで用いたように、“倍化時間”とは、癌細胞または腫瘍のサイズが2倍になるのにかかる時間を称する。
以下の実施例は、本発明の様々の実施の形態を説明するために与えられたものであり、決して本発明を制限することを意図するものではない。
実施例1−材料および方法
Ac - 225は、ドイツのカールスルーエにある超ウラン研究に関するヨーロッパ研究所( European Institute for Transuranic Research )またはアメリカ合衆国エネルギー省( United States Department of Energy )(テネシー州オークリッジまたはワシントン州ハンフォード)から入手した。ガラスアンプルの内表面に約20〜25 mCiのAc - 225 残渣が乾燥状態で付着していた。このガラスアンプルには、内径0.07cmのチューブを介し、有鈎減圧栓(barbed reducing fittings )、焼結ポリエチレンプラグおよび酸洗浄したグラスウール(約200mg の乾燥AG MP - 50 樹脂、100〜200メッシュ、H+ 型を含む)(バイオラド・ラボラトリーズ( BioRad Laboratories )、カリフォルニア州ハーキュレス)の適量を有する5cm×0.5cmのポリエチレンチューブをつないだ。アンプルとカラムをはずし、アンプルに2個の三方コックをつけた。三方コックの一つから3mlシリンジを用いて3Mの特級塩酸(フィッシャー・サイエンティフィク( Fisher Scientific ))0.5mlを加えることにより、ガラスアンプル内の残渣を酸と反応させた。Ac - 225の酸溶液が入ったガラスアンプルのもう一方の端は、0.22 mmのフィルター(コーニング(Corning))を取り付けて通気し、加熱または気体の発生によって増加した圧力を放出できるようにした。3Mの酸は、緩やかに撹拌しながら1時間ガラスアンプル内の残渣と混合し、全てのAc - 225 を完全に溶解した。1時間後、0.5mlの金属不含水を入れた2本目のシリンジをコックを介して取り付け、酸性塩化アクチニウム溶液を注意深く希釈した。得られた1.5Mのアクチニウム酸性溶液をシリンジに抜き取り、アンプルを注意深くはずし、Ac - 225溶液が入ったシリンジをアンプルに取り付けた。
カラム内の樹脂は、10mlの1.5M特級塩酸を用いて洗浄し、逆流によって樹脂を除去し、2mlの1.5M特級塩酸が入った清浄な10mlシリンジに100mgを入れた。洗浄した樹脂の残りの100mgについては、50mgをカラムに戻し、少量の酸で洗浄した石英グラスウールを加えて樹脂がきちんと収まるようにした。この50mgの樹脂は、溶出を繰り返す間に突出してくるAc - 225 を捕獲するための捕獲プラグとしての役割を果たす。カラム、Ac - 225 溶液の入ったシリンジおよび10mlシリンジの三種をプラスチックの三方コックを介してつないだ。カラムの出口には60mlシリンジを取り付けたが、これは、カラムを充填している間にカラム内を陰圧にするためである。
三方コックを操作することより、AG MP - 50 樹脂のスラリーが入ったシリンジにAc - 225 溶液が入る。時折緩やかに振とうしながら、このAc - 225 溶液と樹脂のスラリーとを30分間接触させた。Ac - 225 を樹脂支持体に加えた後、再度三方コックを操作してAc - 225 /樹脂をカラムに入れた。装置は、カラムが垂直になるように固定し、Ac - 225 /樹脂が下方に流れるようにした。樹脂は緩やかに混合した後、カラム充填のためにわずかに陰圧になっている10mlシリンジから押し出した。三方コックの中で、最初にAc - 225 溶液の入ったシリンジ用に使用していた位置に、次に、洗浄用の10mlの1.5M特級塩酸の入った清浄なシリンジを取り付けた。樹脂の入った10mlシリンジにこの洗浄液を入れ、緩やかに振とうしてシリンジをすすぎ、次にこれを用いてジェネレーターカラムを洗浄した。60mlシリンジを用い、洗浄液をカラムに流し入れた。カラムを三方コックから外し、洗浄石英ガラスウールの小さな栓をはめ、樹脂が保持されるようにした。さらに50mgの樹脂をその上に加えて第二捕獲栓としたが、これは、カラムが逆流した場合に役立つものである。再度、洗浄石英ガラスウールの小さな栓をはめ、さらに、有鈎減圧栓を取り付けることによってカラムが完成した。これでジェネレーターは使用可能な状態になった。溶出に際しては、ジェネレーターが垂直になっていることが好ましいが、これは捕獲樹脂部分が常に上部に位置していることにより、生成する如何なる微粒子も樹脂から放出され、樹脂を詰まらせないためである。 0.1MのHCl/0.1MのNaI 緩衝液は用時調製し、これを用いて樹脂からBi - 213 を溶出させた。約138〜300分(Bi - 213 の半減期の6.5倍)後にBi - 213 はAc - 225と持続的な平衡に達する。0.1MのHCl/0.1MのNaI 溶出緩衝液を2.5ml用いることにより、回収可能なビスマスのうちの98%が溶出し、3.6ml用いることにより、回収可能なビスマスが全て溶出した。調製時の0.1MのHCl/0.1MのNaI 溶液は無色であるが、ジェネレーター樹脂を通過後は、ごく薄い黄色溶液として溶出する。0.20mlの3Mのアンモニウムアセテートを添加することにより、3.6mlの 0.1MのHCl/0.1MのNaI 溶液のpHを4〜5に調整した。金属不含水を用い、150 mg/ml のl−アスコルビン酸溶液を調製し、これをチェレックス−100(Chelex - 100 )樹脂と20分間反応させた。20分後、0.45mmのフィルターを用いてl−アスコルビン酸/チェレックス−100(Chelex - 100 )スラリーをろ過し、金属不含l−アスコルビン酸溶出液を回収した。この溶出液の一部を緩衝Bi - 213 混合物に加えて、l−アスコルビン酸の最終濃度を5mg/mlとした。つぎに、抗体構成物CHX - A - DTPA - HuM195 を緩衝Bi - 213 溶液に加え、室温で最長20分間インキュベートした。反応を4分以上延長すると、長く反応を進行させることによって収量が増すわけではなく、通常は、崩壊により、Bi - 213 生成物が大幅に消失する。インキュベーション後、0.020mlの10 mM EDTA溶液を添加することによって反応混合物を抑制し、遊離の反応性放射金属イオンとキレートを生成させた。所望するキャリヤを用いた反応において所望する生成物を産生する反応が定量的に進行するとは限らないため、抑制は必須である(Bi - 213 の取り込み率は98%以上)。さらに、反応物質および副生成物から生成物を分離する手段も必要である。分子ふるいクロマトグラフィーを用いることにより、低分子量の不純物から放射標識した抗体を迅速に精製した。
実施例2−IgG
HuM195(プロテイン・デザイン・ラブズ(Protein Design Labs)、カリフォルニア州マウンテンビュー)は、組換えIgG1 mAb であり、マウスM195のCDR領域をヒトの骨格領域および定常領域と組み合わせることによって構成したものである。M195 mAb はどちらも高い親和性をもってCD33抗原(シェインバーグ(Scheinberg)、89;キャロン(Caron)、92、94;シュワルツ(Schwartz)、93;コー(Co)、92)に結合する。J591抗体(前立腺癌細胞上の前立腺特異的膜抗原と反応する)は、ニューヨーク病院(New York Hospital)のネイル・バンダー(Neil Bander)博士から供与された。
実施例3−キレートのIgGへのコンジュゲート
単容器法(single vessel method )(ニクラ(Nikula)、95a)または従来法(ミルザデ( Mirzadeh )、90)を用い、HuM195を2−(p−SCN−Bz)−シクロヘキシル−DTPA(CHX - A - DTPA)にコンジュゲートした。このCHX - A - DTPA は、DTPA24の骨格置換体として最近開発されたものである。抗体1個あたりの平均キレート数は5〜10であった。
実施例4−放射ラベリング
Bi - 213 :放射能レベルの低いBi - 213 を生成するための放射核ジェネレーターについては別の文献に記載されている(ゲーリングス(Geerlings)、93;ケスパーセン(Kespersen)、95)。10〜25mCi のBi - 213 を産生することができるジェネレーターの構成にあたっては、数カ所の変更を要する。0.001MのHClを用いてジェネレーターを洗浄し、次に、0.5〜1mlの0.1MのHCl、0.1MのNaIを流してBi - 213を溶出させる。タンパク質を放射ラベリングするためには、3Mのアンモニウムアセテートを用いて溶出液のpHを4〜4.5の範囲に調整し、Bi - 206に関する記載と同様に、すぐに使用した。Bi - 212:ビスマス−212は、Ra - 224 / Bi-212 ジェネレーター14から溶出し、Bi - 213 に関する記載と同様の条件下においてHuM195を標識した。
実施例5−Bi - 213のカウンティング
Bi - 213の放射活性(光子エネルギー 440KeV、存在量 28%)は、スクイブ CRC-17 放射性同位体キャリブレーター(Squibb CRC-17 Radioisotope Calibrator )を用いて定量した。この装置は、キャンベラ(Canberra)マルチチャンネルパルス高分析器を用いて標準化し、固定セッティングで使用した。パッカード コブラ(Packard Cobra)ガンマーカウンター(340〜540 KeV ウィンドウ)を用い、ITLC、ATLC、HPLC、プロテインAおよび細胞サンプル内のBi - 213カウントの相対数を求めた。標準的な方法を用いて他の核種についてもカウントした。
実施例6−放射金属キレートにコンジュゲートしたIgGの精製
バイオシル−250(Bio - Sil - 250 )分子ふるいカラム(600×7.5mm )に移動相として20mMの酢酸ナトリウム/150mMの塩化ナトリウム、 pH 6.5を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、または10 DC分子ふるいカラム(バイオラド・ラボラトリーズ( BioRad Laboratories )、カリフォルニア州ハーキュレス)に移動相として1%のヒト血清アルブミン/0.9%の塩化ナトリウムを用いた低圧クロマトグラフィーのいずれかにより、放射標識したCHX - A - DTPA - HuM195 構成物を精製した。
標識効率ならびに反応混合物および最終生成物の純度を求めるため、5mlのサンプルを32枚の簡易薄層クロマトグラフィー(ITLC)(ゲルマン・サイエンス(Gelman Science)社、ミシガン州アナーバー)にのせた。これらの薄層を10mM のEDTAを用いて展開した。この条件下においては、mAbは開始点に残り、遊離の金属は溶媒先端まで移動する。薄層をrf=0.5の位置で切断し、ガンマーカウンターでカウントした。
実施例7−M195のCHX - A DTPAへのコンジュゲート
Bi - 213を用いたHuM195 CHX - A - DTPAの標識効率は、比放射能が20 mCi/mg までであれば、通常、90%以上であったが、所望する比放射能が上がるにつれて効率が低下した。比放射能が50 mCi/mg の場合、効率は50〜70%であった。この低下は、少量の抗体を使用してより高い比放射能を得ようとしたためと考えられる。キレート反応は6分でほぼ完了(85%)したが、15〜20分間反応を続け、最大限に標識されるようにした。しかしながら、Bi - 213 の半減期が短いため、崩壊によって生成物が消失するため、5分以上反応を続けても、標識された生成物の最終収量は増加しなかった。これらの標識効率は、CHX - A - DTPA - HuM195構成物に使用したIn - 111 、Bi - 206 およびBi - 212 において観察された現象と類似していた。
HuM195 のCHX - A - DTPAへのコンジュゲートにおいては、抗体1個あたり10個以内のリガンド分子を結合させることができた。タンパク質あたりのキレート比の高さは免疫反応性にほとんど影響を与えなかった。金属標識したCHX - A - DTPA - HuM195 の免疫反応性は80〜95%であり、比放射能とは無関係であった。このことは、HuM195のCDR領域のアミノ酸配列と一致している(ニクラ(Nikula)、95b)。
実施例8−免疫反応性
ビスマスで標識したCHX - A - DTPA - HuM195 構成物の免疫反応性は、総量を30mlとした中で放射標識した2ngのmAbを20〜30倍過量の抗原(10×10 個または15×10個のCD33(+)HL60細胞)と共にインキュベートするという記載に従って測定した。これらの細胞は、細胞1個あたりに約10,000〜20,000のCD33(+)結合部位を有しており、添加したHuM195の90%までを結合する能力を有している。インキュベーション後、遠心分離によって細胞を回収し、未結合のIgGを次の細胞群に移し、最初のインキュベーションと同様に同程度の過量抗原を用い、0℃、90分間再度インキュベートした。少容量において大過量の抗原を用いる本条件下においては、60分で反応はほぼ完了する。免疫反応性の%は、(1回目の細胞群+2回目の細胞群に結合したBi - 206 - IgG )/(Bi - 206 - IgGの総結合量 +未結合Bi - 206 - IgG)×100として計算した。これらの放射結合アッセイにおける特異的結合は、放射標識mAbがCD33(−)RAJI細胞に結合しないことによって確認した。非特異結合およびFcレセプター結合を排除するため、アッセイは2%のヒト血清を添加して行った。
迅速アフィニティー薄層クロマトグラフィー(ATLC)アッセイを行い、寿命の短いBi - 213 構成物の免疫反応性を測定した(ザモラ(Zamora)、95)。免疫反応性は、標的抗原を含む紙片部分に結合した放射標識構成物の割合として表わし、この標的抗原はAL67細胞(CD33トランスフェクト体)の抽出物から調製した。
実施例9−細胞表面の抗体:抗原コンプレックスの改変
細胞表面の抗体−抗原コンプレックスのインターナリゼーションは、0.5mg/mlの放射標識mAbを5×10個の細胞と37℃、長時間インキュベートすることによって測定した。細胞ペレットをRPMIで2回洗浄し、1mlの50mMグリシン/150mM NaCl(pH 2.8)を用い、24℃、10分間かけて表面に結合した(Bi - 206)CHX - A - DTPA - HuM195を除去した。細胞関連性の放射活性および酸抵抗性(インターナリゼーションした)放射活性の総計を測定した。 非特異結合およびFcレセプター結合を排除するため、アッセイは2%のヒト血清を添加して行った。
実施例10−細胞致死作用
(Bi - 213)CHX - A - DTPA - HuM195および(Bi - 212)CHX - A - DTPA - HuM195の白血病細胞致死能力は、100mlあたり2×10個の細胞を含むHL60細胞(CD33(+))またはRAJI細胞(CD33(−))を用い、96穴プレート内で測定した。連続希釈したビスマス標識抗体をウェルに加えたところ、ウェル内の最終活性は0.02〜20 mCi/ml の範囲であった。比放射能の異なるビスマス標識抗体についても実験を行った(3〜20 mCi/mg)。プレートは、5%CO 2 雰囲気下、37℃、24時間インキュベートした。インキュベーション後、H−チミジンの取り込みによって細胞の生存率を測定した。非特異結合およびFcレセプター結合を排除するため、アッセイは2%のヒト血清を添加して行った。
さらに、標識した比放射能の高い二作用キレートをアルファ粒子放出同位元素とコンジュゲートした。インターナリゼーション、高免疫反応性、イン・ビトロ(in vitro)における腫瘍細胞致死作用に関し、以下の5種類の異なるモノクローナル抗体を用いて細胞致死能力と比放射能との間の関係を調べた:骨髄性白血病に対するHuM195ヒト型化抗CD33、リンパ腫に対するC2B8キメラ抗CD20、前立腺癌に対するJ591マウス抗PSMA、ならびにB細胞白血病およびリンパ腫に対するマウスSJ25C1およびマウスB4抗CD19。従って、複数の腫瘍抗原系におけるマウス、ヒトおよびキメラ抗体を用いた複数の実施例について報告する。
実施例11−特異的細胞毒性−イン・ビトロ(in vitro)における大型腫瘍クラスターの致死
図2は、スフェロイドモデルにおいて、繰り返し投与による大型腫瘍の致死の可能性を示す。図から明らかなように、単回投与により、細胞の5〜6層が除去されて、未接触細胞からなる「中心部(コア)」が残され、これが次の投与の標的となる。対照的に、Bi -213で標識した無関係な抗体を接触させた場合には、同じ細胞系のスフェロイドは対数増殖し続けた。これらの結果は、大型スフェロイドを標的としたBi - 212標識抗体に関して研究したラングミュア(Langmuir)らの見解(1990)に反する。ラングミュア(Langmuir)らは、Bi - 212の半減期が短いことおよびアルファ粒子の有効範囲から、抗体の侵入に時間がかかるという理由で、大型腫瘍に対してはアルファ粒子放出体は有効ではないと結論づけた。図2は、繰り返し投与を行った場合には、上述のことが制限因子とはならないことを示している。
Bi - 212 またはBi - 213で標識したCHX - A - DTPA - HuM195 の別異の比放射能を利用した細胞致死実験においては、CD33(+)HL60細胞に対して投与量依存性および比放射能依存性の致死作用を示した。(Bi - 212 )CHX - A - DTPA - HuM195の致死作用は、イン・ビトロ(in vitro)での24時間アッセイにおいてCD33(−)RAJI細胞に対する作用と比較すると、CD33(+)HL60細胞に対する作用の方が少なくとも10倍は強かった(図3A)。特異的標的であるHL60細胞に対する力価は、標識した抗体の比放射能(IgG1分子あたりのBi - 212数)に直接関係しており、最も比放射能が高い場合(30 mCi/mg )に最も高い力価を示した。比放射能が減少すると選択的細胞致死が消失した。比放射能0.2mCi/mg におけるHL60細胞に対する致死能力は、対照であるRAJI細胞に対する致死能力とほぼ等しかった。
比放射能が選択性に影響を与えていることについては、各HL60細胞表面のCD33標的部位数、およびHuM195 IgG 1分子あたりのビスマス原子による標識数を調べることによって説明することができる。0.2mCi/mg においては、IgG 100,000個につき約1個がBi - 212を有しているのみであった。細胞1個あたりにはわずか10,000個のCD33認識部位があるだけであることから、特異的細胞致死は起こり得ない。培地からのアルファ粒子照射に由来する、または細胞に非特異的に結合している抗体構成物に由来する非特異的細胞毒性が優先的に発現して細胞溶解活性を示す。従って、標識した構成物の比放射能が低い場合のHL60細胞に対する致死能力はRAJI細胞に対するそれと同等であった。逆に、比放射能が20mCi/mg (これは、HuM195 IgG 1000個につき約1個が標識されている状態である)の場合には、飽和状態において平均10個のBi - 212原子が各HL60細胞に輸送される。故に、比放射能が高い場合には、細胞毒性はHuM195のHL60細胞に対する結合特性に直接影響される。結合曲線は、10〜1000ng/ml の間においては結合が対数増加することを示している。高い濃度から開始すると、非特異結合が直線増加を示す。
(Bi - 213 )CHX - A - DTPA - HuM195についても、HL60細胞に対する同様な特異的致死作用が観察された(図3B)。比放射能が8〜10mCi/mgの場合、HL60細胞に対する能力はRAJI細胞に対するそれの10倍以上高かった。予測していたように、(Bi - 212)CHX - A - DTPA - HuM195の方が(Bi - 213 )CHX - A - DTPA - HuM195よりわずかに強力であった:これは、比放射能が同等の場合、Bi - 212 の方が物理的半減期が長いためにHuM195 IgG1個あたりのコンジュゲート数が多いためである。故に、各細胞へのHuM195の結合が等しい場合には、Bi - 212 構成物によってより多くのアルファ粒子が放出されることになる。Bi - 212を用いた場合には、細胞致死能力は、総投与量だけでなく、IgG1分子あたりのビスマス原子の比放射能にも直接影響を受けた。
HL60細胞の特異的致死に必要なビスマス原子の数を求める目的で、細胞1個あたりに関するビスマス原子の関数として細胞毒性データを再度プロットした(図4)。比放射能が10mCi/mgの場合の致死データを示す。HL60細胞の生存率は、細胞表面に結合したBi - 212原子およびBi - 213原子に対する関数であった。細胞表面に結合したビスマス原子の初期量を計算するため、比放射能およびスキャッチャード(Scatchard)分析を用い、HuM195が結合している結合部位の割合を求めた。図4に示す直線は、特異的致死作用を示す領域におけるデータポイントを最適化したものを表している。この直線は、Bi - 213については、Y=111.24×e−ln2×0.419Xという式で表され、ここで、Yは生存率、Xは初期のビスマス原子数である。Bi - 212で標識した抗体構成物については、Y=87.42×e−ln2×0.429Xという式で表される。これらのデータからBi - 213 およびBi - 212のLD50量が求められ、この値は細胞1個あたりの初期原子数が2〜2.5の範囲である。
特異的致死を示すことは白血病系に特徴的な現象ではなく、Bi - 213 で標識したJ591抗体(リウ(Liu)、1997)およびヒトの前立腺癌細胞(LnCap 細胞)でも同様の実験が行われている。この系においても、比放射能に対する同様な影響が観察された(図5)。
実施例12−肉眼視できる大きさの動物の腫瘍の治療
イン・ビボ(in vivo)において、アルファ粒子放出リガンドが肉眼で見える大きさの腫瘍に対して効果を発揮することを示すために、1500万個のLnCaP前立腺癌細胞を大腿に注入したヌードマウスを用いて動物治療実験を行った。腫瘍は目に見える大きさまで増殖させ、その直径は3〜5mmであった。一つの群のマウスは、前立腺癌に特異的であるJ591抗体をBi - 213で標識したものを用いて治療し、もう一つの群については、若干多量の対照抗体(Bi - 213 -HuM195 )を用いた。抗腫瘍活性を定量測定したところ、治療前後においてマウスの血清中に前立腺特異的抗原(PSA)が検出された。治療1週間後、対照抗体を投与したマウスにおいては平均26%のPSAの上昇を示したが(n=4)、特異的J591抗体を用いて治療したマウスにおいては平均6%の上昇を示したにとどまった(n=4)。
2番目の実験においては、600万個の前立腺癌細胞をマウスに注入した。Bi - 213で放射標識した対照抗体、抗体なし、またはBi - 213で標識した放射活性J591前立腺癌特異抗体を用いてマウスを治療した。28〜31日後、2つの対照群においては50%のマウスが発癌していた。これとは対照的に、治療群においては50%のマウスが癌を呈するまでに46日を要した。故に、アルファ粒子放出前立腺抗体は肉眼で観察できる大きさの腫瘍の増殖を抑制することができた。その他の腫瘍についてもそのような方法で治療を行うことができると考えられる。そのような腫瘍としては、前立腺の腫瘍(悪性腫瘍ではない)の過増殖によって起こる「良性前立腺肥大」などの「良性」腫瘍が挙げられ、この疾患によって全世界で多数の人が苦しんでいる。
実施例13−アルファ粒子が脈管構造を致死させることによる大型腫瘍の致死 アルファ粒子放出同位体を有するリガンドは、同位体の半減期が短いことから、同位体が放射活性である間に大型腫瘍に拡散することが困難であるため、これらの構成物を用いる致死の別の方法とは、拡散を要せずに致死させることである。例えば、脈管構造が発達している組織および臓器においては、血液にアルファ粒子放出リガンドを迅速に(数分以内に)輸送することが可能である(実施例14参照)。腫瘍細胞よりも腫瘍脈管構造自身を標的にする場合には、この方法によって選択的に腫瘍を致死させることができる。このような方法は、天然のもしくは化学療法剤のコンジュゲートリガンドまたは抗体について示されている(アラップ(Arap)ら、Science、1998)。この従来技術においては、アルファ粒子を放出する構成物を用いることについては全く示唆されていない。しかしながら、本明細書に記載しているデータに基づけば、そのような方法によっても良い結果が得られることが推察される。脈管構造を標的とすることができるそのようなリガンドの一つとしてJ591抗体がある(リウ(Liu)、1997)(図5参照)。この抗体は、前立腺癌細胞と同様に、腫瘍脈管構造上において選択的に認識したPSM抗原を標的にする。
従来技術の教示とは反対に、アルファ粒子放出構成物をコンジュゲートしたリガンドを用いて充実性腫瘍を治療することは可能であり、また、半減期の短いアルファ粒子放出リガンドを用いて大型腫瘍を致死させることが可能である。本発明は、多数の細胞からなる腫瘍クラスターである「スフェロイド」を用いたインビトロ(in vitro)モデルを提供するものであり、これは、まずはじめに腫瘍の外層(厚さは細胞2〜4個分)を選択的に致死させ、従ってその内側の層がむき出しになる。このようにして、繰り返し投与を行い、外側の層を死に至らせる時間を区別することにより、大型腫瘍を致死させることが可能である。この方法は「タマネギの皮をむく」ことにたとえることができ、本発明においてインビトロ(in vitro)およびイン・ビボ(in vivo)で実験を行うことによって初めて明らかになった。最終的には、肉眼で認められる大きさの腫瘍を有する生きた動物モデルにおいて正しいことが示された。
細胞致死実験においては、(Bi - 213)CHX - A - DTPA - HuM195構成物、(Bi - 212 )CHX - A - DTPA - HuM195構成物および(Bi - 213 )CHX - A - DTPA - J591構成物を用いることにより特異的細胞致死作用を示したが、この作用は投与量および標識した比放射能に影響を受けていた。2種類のビスマス原子が最初に標的細胞表面に結合した場合には、いずれのビスマス同位体も約50%の致死率を示した。細胞1個あたりには約10,000のCD33部位が存在することから、細胞致死レベルを高めるためには数千に1個の割合でmAbを標識すればよいことを意味している。標的細胞によって満たされている立体角は、溶液中のIgGに比例して急速に消失することから、標的細胞表面から離れたところにある放出点から放出されるアルファ粒子が細胞核を攻撃する可能性は、細胞からの距離が近い場合には無視できる。同様に、インターナライゼーションしたビスマスから生じる放出が最も効果的な細胞致死を引き起こす。表面に結合したIgGからの放出は、害を与えることなく細胞を通過してしまうと考えられる。60分で放射標識したCHX - A - DTPA - HuM195の約50%が細胞内にインターナリゼーションすることから、これらのデータは、細胞内の1個の原子から1個のアルファ粒子を放出することによって該細胞を致死させることができると示唆される。初期の細胞1個あたりの結合ビスマス原子数が2〜2.5個であり、平均のインターナリゼーション時間が60分である場合、ポアソン(Poisson)分布およびビスマス原子がインターナリゼーションする確率に基づくと、ビスマス原子が細胞内に存在していない細胞は約60%である。比放射能が高い場合には、IgG濃度が3.3〜25ng/ml(20〜160pM)のアルファ粒子放出構成物を用いることにより、24時間で50%のHL60細胞の致死が観察された。ビスマスで標識したIgGの実際量に換算すると、50%有効投与量に必要な放射免疫コンジュゲートの量はわずか5〜10 pg/ml (30〜60fM)であった。
アルファ粒子放出体による細胞致死を表す曲線における重要な特徴は、放射コンジュゲートの比放射能に顕著に影響を受けていることである。このことは、2種の異なるアルファ粒子放出同位体を用い、白血病および充実性腫瘍の両方について行った3つの実験によって示された。致死には細胞表面または細胞内部へのビスマスの特異的輸送を要することから、HuM195あたりのビスマス原子数がIgG分子10,000個あたり約1個のレベルまで低下すると、標的致死能力は非特異的標的細胞を用いた場合に観察されるそれとほぼ同等である。この場合においては、標識していないHuM195がビスマスで標識したCHX - A - DTPA - HuM195 と結合部位において競合する。HL60細胞上およびLnCaP細胞上には標的結合部位数が少ない(約1〜4×104)ため、この系においてはこの効果がきわめて顕著に現れる。
実施例14−患者の癌の治療を目的とした比放射能の高いリガンドの臨床有用性調査
次に、アルファ粒子放出構成物の使用のひとつの可能性を探るための臨床実験(プロトコール)を作成した。本実験は、HuM195 IgG1を用いて白血病細胞をBi - 213の標的とすることについて記載しており、また、構成物は安定であり、同位体はヒトの細胞に輸送され、および非標的組織に対しては特に毒性を与えることなく白血病細胞を致死させ得ることが示されている。そのようなスキームは、例えばBi - 212などのように、該リガンドまたはその他のリガンドに安定に結合しているその他のアルファ粒子放出体にも用いることができ、ここで、その他のリガンドとしては、抗体もしくはその断片、サイトカインまたはレセプターリガンドなどが挙げられ、これらはいずれも特異的に高い親和性を持って標的細胞または標的組織に結合することができる。さらに、そのようなリガンドを用いて悪性腫瘍以外の標的を選択的に致死させることもでき、このような標的としては、炎症もしくは自己免疫などの病理学的過程に存在するリンパ様細胞、骨髄移植片として使用可能な正常骨髄細胞もしくはその他の臓器あるいは組織の移植片、または致死を要する過増殖した正常細胞(これらの細胞は、冠動脈疾患もしくはその他の血管閉塞性疾患などの病理学的過程に存在する)などがあげられる。
臨床プロトコールの目的は、骨髄腫瘍の患者のうちで再発したまたは治療不応性の患者についてBi - 213標識したHuM195の安全性および毒性を確認すること、Bi - 213標識したHuM195の薬理学的作用および投与量を確認すること、ならびに、ヒト抗ヒト抗体(HAHA)応答および抗白血病応答を誘起することができるか否かについての研究を含む、Bi - 213標識したHuM195 の生物学的効果を研究することである。
急性骨髄性白血病(AML)は成人の急性白血病において多く見られる病型である。ほとんどの患者はシトシンアラビノシドおよびアントラサイクリンを組み合わせた化学療法によって完全寛解に至ることができるが、非罹患生存期間の延長率は20%以下である。再誘導傾向があるため、二回目の寛解に至る患者はわずか20〜25%であり、その期間は6ヶ月以下であることが多い。1年以上生存できるのは再発患者のうちの5%以下である。
慢性骨髄性白血病(CML)は初期の造血幹細胞における二相性疾患である。慢性相(平均罹患期間は4年)は、成熟白血球および成熟中の白血球の顕著な上昇を伴い、必ず急性白血病のような増悪相に移行する。少数の患者において行った細胞遺伝学的分析により、α−インターフェロンを用いた治療がフィラデルフィア染色体を撲滅したことが示された。しかしながら、従来から実施されている化学療法による治療では、この疾患の自然進行に何ら影響を与えなかった。遺伝子組成の異なる同種からの骨髄移植は、患者に一時的な治癒をもたらすだけである。一般的に、疾患の進行が加速したり、CMLの増悪相にある患者は、移植によって利益を得ることはないため、これらの患者が初期慢性相にある間に移植の努力をしておくべきである。
骨髄異形成症候群として分類される慢性骨髄性単球性白血病(CMMOL)は、単球数が1H109/Lより多いこと、骨髄の単球増加症、貧血および血小板減少症によって定義される。生存期間は数週間〜数年の範囲であり、平均生存期間は30〜41ヶ月である。治療は症状緩和が主目的であり、ヒドロキシウレアを用いて末梢血の白血球数の上昇を制御することができる。
CD33抗原は、その分布範囲が限定されていることから、造血抗原の中では特徴的であり、M195(抗CD33)は、イン・ビトロ(in vitro)において白血病細胞を標的とする際に有用である。M195は、ヒトの白血病性骨髄芽球を生きたまま用いて免疫したマウス由来のモノクローナルIgG2a抗体である。M195の結合特異性は、骨髄性白血病細胞系および単球性白血病細胞系、ならびに成熟癒着性単球フラクションに限定されている。骨髄性白血病細胞系および単球性白血病細胞系では細胞1個あたり約10,000の抗体結合部位が存在しており、ならびに成熟癒着性単球では細胞1個あたり約5,000の部位が存在している。
M195はヒトの白血病細胞を標的とする。骨髄性白血病の10人の患者について、マウスM195の投与量を増やしながら第1相臨床試験において治療を行った。M195は131Iを用いて極微量標識し、血液と骨髄の連続サンプリングおよびガンマカメラによる全身画像によって、薬物動態学的および投与量に関する詳細な研究を行うことができるようにした。総投与量として76mg(40mg/m2)までは急性の副作用を起こすことなく安全に投与できた。イン・ビボ(in vivo)における白血病細胞へのM195の吸着については、生検(バイオプシー)、薬理学、フローサイトメトリーおよび画像によって明らかにした。結合可能な結合部位の飽和は投与量が5mg/m2以上の場合に生じた。投与後から数時間以内では、全骨髄が特異的かつ鮮明に画像としてとらえられた。M195は標的細胞に結合後に迅速にインターナリゼーションした。推定投与量として34 rad/mCi が骨髄に輸送されていたことから、全骨髄に必要な量の131I をM195によって運搬することができることが示唆された。
ヒト型化したM195(HuM195)は、全てをヒト型に変更したM195構成物であり、生化学的活性および免疫学的活性が向上している。相補性決定領域(CDR)を移植してヒト型化したM195は、ヒトIgG1骨格構造を利用して構成したものであり、マウスM195由来の部分としてはCDRと立体構造上重要なその他のアミノ酸のみを有している。ヒト型化したM195を分泌するSp2/0マウス骨髄腫細胞系をイン・ビトロ(in vitro)で増殖させ、次に、溶出液のpHを段階的に変化させるアフィニティークロマトグラフィー法により、PA−セファロース(PA - Sepharose)を用いて抗体を精製した。クーマジー・ブリリアントブルー(Coomassie brilliant blue )を用いて染色したSDS−ポリアクリルアミドゲル上で抗体の純度を確認した。HuM195構成物は、放射免疫アッセイにより、一連のCD33(+)細胞系およびCD33(−)細胞系に対して確認されている結合特性を保持していた。
イン・ビボ(in vivo)においては、免疫原性がない場合でもHuM195は白血病細胞を特異的標的とする。HuM195の毒性、薬理学、投与量、ヒト抗ヒト抗体(HAHA)応答の発達および抗白血病作用に関して、骨髄性白血病が再発したまたは治療不応性の患者について調査した。0.5〜10mg/m2 の範囲の4段階の投与量で週2回3週間の投与を行って13人の患者を治療した。ここで、アルファ粒子粒子放出体は、二作用性キレート(CHX - A - DTPA)を介してHuM195 にコンジュゲートしたが、これは効率よく得られ(90%以上)、比放射能も高かった(最高20 mCi/mg )。
実施例15−抗体の産生およびラベリング
HuM195はプロテイン・デザイン・ラブズ(Protein Design Labs)社(カリフォルニア州マウンテンビュー)において産生されたものである。HuM195を分泌するSp2/0ハイブリドーマ細胞系は血清不含培地で増殖させた。アフィニティークロマトグラフィーおよびそれに続くさらなる精製段階を経て、濃縮した上清からHuM195を精製した。HuM195 - CHX - A - DTPA は、契約により、TSIワシントン(TSI Washington )(メリーランド州ロックヴィル)が調製した。HuM195 - CHX - A - DTPA は10.6 mg/ml 溶液として供給され、−70℃で保存した。
25〜50 mCi を産生することができる臨床使用可能なBi - 213 ジェネレーターは、スローン−ケタリング研究所(Sloan - Kettering Institute)において調製した。アクチニウムは、超ウラン元素研究所(Transuranium Elements Institute )(ドイツ、カールスルーエ)ガラスアンプル内で乾燥した状態で供給された。Bi - 213 はジェネレーターから溶出させ、HuM195 - CHX - A - DTPA にキレートさせ、続いて分子ふるいクロマトグラフィーによってBi - 213 - HuM195 を分離した。OD280およびガンマ放出を検出するセンサーを用いて収率および比放射能を測定した。必要に応じて標識していないHuM195を添加して投与量を調整することができる。これは、スローン−ケタリング研究所(Sloan - Kettering Institute)において、患者への投与直前に実施した。投与用としては、1%のヒト血清アルブミン(HSA)を加えた通常の生理食塩水を用いてBi - 213 - HuM195を希釈して総容量を10mlとした。Bi - 213 - HuM195 - CHX - A - DTPAは、FDAによって承認されているINDに従って製造し、試験を行った。
患者の適格としては次の項目が要求される:(1)AML(再発または標準的な化学療法を少なくとも2コース行ったにもかかわらず治療不応性の場合)、CMLの進行加速相もしくは増悪相、またはCMMOLであるという病理学的診断が確定していること;(2)骨髄芽細胞の25%以上がCD33(+)であること;(3)患者の余命が少なくとも6週間以上であり、カルノフスキー動作状態(Karnofsky performance status )が60%以上であること;(4)治療開始前の少なくとも3週間は化学療法または放射線治療を受けていないこと、ただし、ヒドロキシウレアは例外であり、これは治療開始2日前に中止する。患者はこれまでの治療の影響が消失した状態でなければならず、急性白血病の明白な兆候を呈していること。患者は、骨髄芽細胞数が急激に増加しておらず、または臨床的に不安定な疾患を有していないこと;(5)患者の血清クレアチニンは正常値上限の1.5倍未満であり、ビリルビン値は約1.0 mg/dl 、ならびにアルカリホスファターゼおよびSGOTは正常値上限の約2.5倍であること(このような状態は、NCIの一般的毒性判断基準による毒性段階の0〜1に相当する);(6)患者がインフォームドコンセントにサインしていること。
患者は外来または入院のいずれかで治療を受ける。半減期の短いBi - 213を投与するため、病院職員の放射線暴露は最小限であり、患者の放射線に関する隔離は必要ない。放射線安全管理者(Radiation Safety Officer )が患者をモニターし、***物の適切な処理に関して指導する。さらに、患者は投与の2〜3時間後に病院から帰宅するが、この時点で残留しているガンマ線はごく微量である。Bi - 213 - HuM195 は1日分の投与量を分割し、3〜4時間間隔で1日に1〜4回、IV投与する。次のような投与量増加スキームを採用した:投与量レベル1(0.28 mCi/kg );投与量レベル2(0.42 mCi/kg ); 投与量レベル3(0.56 mCi/kg );投与量レベル4(0.7 mCi/kg )、さらに、必要に応じて同様に投与量を増やした。
治療前、ならびに投与30分後および60分後さらにその後1時間おきに4時間後まで生徴候(脈拍、血圧、呼吸数、体温)をモニターし、記録した。次のような試験を行った:CBC鑑別、血小板数計数については、治療期間中は1日2回、その後は週4回、さらにその後は月3回実施。電解質、BUN、クレアチニン、生化学的値については、治療期間中は1日1回、その後は週4回、さらにその後は月3回実施。ヒト抗ヒト抗体については、治療前、および治療後に月4回測定。ガンマカメラによる画像については、初回投与後および最終回投与後にそれぞれ60分間連続して撮影し、さらに、初回投与および最終回投与の90分後にそれぞれ撮影した。骨髄および生検(免疫表現型の決定を含む)については、治療後7〜10日後および4週間後に実施した。薬物動態については、初回投与および最終回投与の5分後、10分後、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後および180分後にそれぞれ調べた。
4段階の投与レベルに対して12人の患者が登録した。明細書の記載に従って50投与分以上の薬物を合成し、患者に投与した。少なくとも3〜4時間毎に、投与に必要な量をジェネレーターから調製することができた。明細書の記載に合致した薬物について、少なくとも9日間の治療が可能な量をジェネレーターから産生した。ガンマ画像および一連の血液検査により、即時に薬物動態を求めた。最初に薬物は白血病部位ならびに肝臓および脾臓内の単球/マクロファージ細胞を標的にした。次に骨髄が標的になった。投与後十分経過した後には、部位の飽和によって肝臓への取り込みは50%まで減少し、より多くの薬物が利用できるようになることから、骨髄への取り込みは100%にまで増加した。概算の放射線量(単位はREM)は、全身、腎臓またはその他の非標的臓器においては0.03、血液においては125、肝臓においては600、脾臓においては1400、ならびに赤色骨髄においては1100であった。故に、標的における量と非標的における量との比は25,000〜50,000:1であった。いずれの患者においても急性毒性は発現しなかった。いずれの患者においても骨髄外での毒性は発現しなかった。大多数の患者において、末梢血細胞数(白血病芽細胞数および白血球数)は治療開始後48時間以内に下がりはじめ、最大90%減少した。細胞数は2週間以内に元に戻った。1週間後には、大多数の患者において、骨髄中の細胞充実性が低下し、白血病芽細胞の割合が減少した(最大70%減少した)。
実施例16−Ac - 225標識した構成物
プロテインA ビーズアッセイ(Protein A Bead assay)を用い、イン・ビトロ(in vitro)、37℃におけるAc - 225標識した構成物の安定性を調べた。このアッセイは、遊離のAc - 225 およびIgに結合したAc - 225を調べるものである(ニクラ(Nikula)ら、1999)。放射性核種の検出は、ガスイオン化検出器(GID)または高純度Ge検出器(HPGe)を備えたマルチチャンネルパルス高分析器(MCA)を用いて行った。
イン・ビトロ(in vitro)において、1個の細胞および多細胞から構成されるスフェロイドの致死に関し、Ac - 225標識した対照構成物の力価および特異性に対するAc - 225標識した該構成物のそれらを比放射能放射能濃度との関数として評価した。3H−チミジンの取り込みアッセイを行い、Ac - 225の標的となった細胞の照射後の生存数を確認した(Nikula)ら、1999)。Ac - 225標識したIgG構成物の標的細胞へのインターナリゼーション能力(インターナリゼーション率として求めることができる)は、Bi - 213標識したHuM195構成物に関する上述の記載に基づいて調査した。
個々の細胞内および多細胞から構成されるスフェロイドにおけるAc - 225の保持時間は、過量のAc - 225標識したIgG構成物に細胞抗原を接触させ、適切な時間インキュベートし、洗浄し、新鮮培地に再懸濁することにより、時間の関数として評価した。次に、細胞に残存している反応性、ならびに上清および洗浄液中の放射能を定量した。接触を受けた細胞およびスフェロイドは10日間(Ac -225の1半減期)維持し、毎日細胞を遠心分離し、Ac - 225の相対レベルおよび各構成成分の放射性核種組成を調べるために一定量の上清および一定量の濃縮細胞をサンプルとして採取した。上述に従い、放射性核種の定量および特定を行った。
イン・ビボ(in vivo)において[Ac - 225]CHX - A - DTPA部位よりも安定である可能性がある多様な新規キレート剤を用いることができる。最初に、キレートの可能性を調べ、アクチニウムキレートの相対速度および熱力学を求めた。キレートへのAc - 225の取り込み率は、シリカゲルを塗布した紙、塩基性pHの水性移動相を用いた簡易薄層クロマトグラフィー技術によって評価した。熱力学的安定性は、EDTAチャレンジに対する相対的基準として評価し、血清または培地中、37℃で数日間インキュベートして行った。キレート剤はこのようにして評価し、迅速に反応を開始し、kdが高く、イン・ビボ(in vivo)での使用に耐える適切な安定性を有するものを見出した。研究されているmAbを用いて構成物を調製することにより、候補となるキレート剤をさらに開発することができる。
実施例17−Ac - 225構成物に関する予備試験の結果
Ac - 225を標識するためのいくつかの条件について評価を行い、迅速標識のための条件を決定した。室温では10分後の[Ac - 225]CHX - A - HuM195の収率は30〜40%であった。イン・ビトロ(in vitro)において、1時間、3時間、24時間および96時間後のCHX - A - DTPAキレート部位の安定性を調べたところ、HuM195に結合していたAc - 225の割合はそれぞれ、100±0%、100±0%、84±2%および44±13%であった(それぞれについて2回測定した)。
0.12Ci/g および0.0012Ci/gの比放射能を示す[Ac - 225]HuM195を用い、HL60細胞およびRAJI細胞の致死を行ったところ、48時間の接触アッセイにおいて特異的かつ強力な細胞致死が観察された。LD95はそれぞれ、0.12Ci/g で処理したHL60細胞では約0.5 nCi/ml 、0.0012Ci/gで処理した場合のHL60細胞では約50 nCi/ml、0.12Ci/g で処理したRAJI細胞では約50 nCi/ml、0.0012Ci/g で処理したRAJI細胞では約50 nCi/mlであった。これとは対照的に、8Ci/gの比放射能を示す[Bi - 213]HuM195構成物を用いた場合には、LD95はそれぞれ、HL60細胞では約3μCi/ml 、RAJI細胞では約10μCi/ml であった。このことは、Bi - 213と比べて、Ac - 225の比放射能は67分の1であり、95%の細胞を致死させるのに必要な放射能量としては6000分の1であることを表している。
0.02 mCi/ml 〜8mCi/ml の範囲でAL67スフェロイド細胞およびLNCaPFGCスフェロイド細胞について実験を行い、HuM195抗体構成物およびJ591抗体構成物を用いることにより、それぞれのスフェロイド細胞が特異的に致死することを示した。
実施例18−Ac - 225標識したmAbに関する第1相臨床試験
投与量を増加することについての第1相試験として臨床試験を計画したが、基本的にはビスマス - 213 - HuM195を用いた第1相試験に従った。抗体系としては、HuM195 - AML 、またはS193(ヒト型化抗ルイス(lewis)Y)もしくはハーセプチン(Herceptin)(ヒト型化抗her - 2 - neu)を用いた乳癌充実性腫瘍系を使用することができる。
以下の参考文献を本明細書中に引用しておく。
【表3】
Figure 0005064608
本明細書において言及している特許および文献はいずれも、本発明の属する分野の当業者のレベルの指標となる。これらの特許および文献は、それらの各々が特別かつ個別に参照として取り入れられているかのように参照として本明細書中に取り入れられている。
当業者であれば、目的の実施のために本発明を首尾良く適合させることは容易であり、本明細書中に記載しておりかつ特徴的である結果および利益を得ることができるはずである。本明細書に記載している方法、手順、操作、分子および特定の化合物に関する本実施例は、好ましい実施態様のうちの代表的なものであり、例示であり、本発明の範囲を制限するためのものではない。当業者であればそれらの変更およびその他の使用が可能であり、そのようなものも請求の範囲によって定義される本発明の範ちゅうに包含される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 固形腫瘍のターゲッティングを示す図
【図1B】 血液学的に分布した微小転移巣のターゲッティングを示す図
【図2】 “タマネギの皮をむく”ように大型のスフェロイドを殺すことを示す図
【図3A】 比放射能および投与量の関数としての(Bi-212)CHX-A-DTPA-HuM195による細胞障害を示すグラフ
【図3B】 比放射能および投与量の関数としての(Bi-213)CHX-A-DTPA-HuM195の細胞障害を示すグラフ
【図4A】 細胞表面上に結合したBi-213原子の計算された平均数の関数としてHL60細胞の生存率を示すグラフ
【図4B】 細胞表面上に結合したBi-212原子の計算された平均数の関数としてHL60細胞の生存率を示すグラフ
【図5】 比放射能の関数としてLnCaP細胞の生存率に対するBi-213-J591の力価を示すグラフ

Claims (2)

  1. 繰り返し投与により個体においてサイズが1mmより大きい固形腫瘍を治療するための医薬組成物であって、キレート化されたビスマス-213を有する抗体を含む構成物を薬学的効果量で含有し、該構成物が20mCi/mgから30mCi/mgの比放射能を有し、該構成物の用量が繰り返し投与によって腫瘍細胞毎に最低2つのアルファ粒子の飛跡を運搬し、前記固形腫瘍の腫瘍細胞上の部位を標的にして1以上の外層の腫瘍細胞を連続的に除去して腫瘍のサイズを縮小することを特徴とする医薬組成物。
  2. 繰り返し投与により個体においてサイズが1mmより大きい固形腫瘍を治療するための医薬組成物であって、キレート化されたアクチニウム-225を有する抗体を含む構成物を薬学的効果量で含有し、該構成物が0.0012mCi/mgから0.12mCi/mgの比放射能を有し、該構成物の用量が繰り返し投与によって腫瘍細胞毎に最低1つのアルファ粒子の飛跡を運搬し、前記固形腫瘍の腫瘍細胞上の部位を標的にして1以上の外層の腫瘍細胞を連続的に除去して腫瘍のサイズを縮小することを特徴とする医薬組成物。
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