JP5063267B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような加圧ベルトを用いた定着装置は、ニップ部における搬送方向のニップ幅を充分に確保できるとともに、加圧ベルトの熱容量を小さく設定することで定着部材から奪われる熱量を小さくすることができるために、加圧ローラを用いた装置と比べて、良好な定着性を得ることができる。
また、特許文献4等には、感光体ドラムの表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置であって、潤滑剤として25℃における粘度が50〜10000CSのものを用いる技術が開示されている。
これを解決するために、加圧ベルト(加圧フィルムも含むものとする。)を介して加圧パッドを加熱手段に圧接させてニップ部(定着ニップ部)を形成する方策が考えられる。しかし、その場合、加圧パッドに対して加圧ベルトが摺動する構成であることから、スティック・スリップによって異常音が生じてしまったり記録媒体の搬送性が低下してしまったりする可能性がある。
図1〜図4にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7はカット紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2は、定着装置20を示す構成図である。図3(A)は定着装置20の加圧手段31に設置される潤滑剤保持部材37を示す断面図であり、図3(B)は潤滑剤保持部材37のメッシュ層37aを拡大して示す上面図である。
加熱手段は、主として、加圧ベルト32(ベルト部材)を介して加圧パッド33に圧接する定着ローラ21と、定着ローラ21を輻射熱により加熱する熱源としてのヒータ25と、で構成されている。
加圧手段31は、図2の矢印方向に走行する無端状のベルト部材としての加圧ベルト32、加圧ベルト32を介して定着ローラ21(加熱手段)に圧接する加圧パッド33(加圧部材)、加圧パッド33を支持する支持部材34(支持板)、加圧パッド33を定着ローラ21に向けて付勢するスプリング35、加圧ベルト32の姿勢を保持するガイド部材36A〜36C、加圧ベルト32の内周面(摺動面)に潤滑剤を供給する潤滑剤保持部材37、等で構成されている。
定着ローラ21の芯金22上に弾性層23を設けることで、ニップ部を通過した後の記録媒体Pの分離性が向上するとともに、カラー画像を形成するときの出力画像の光沢性が向上する。上述の効果を確実なものにするため、弾性層23の層厚を0.5〜3mmに設定することが好ましい。
ここで、潤滑剤保持部材37に保持された潤滑剤は、25℃における粘度が70〜500CSのものである。これにより、上述した効果が確実なものになる。このような条件を満足する潤滑剤としては、フッ素グリースを用いることができる。
さらに、本実施の形態1では、図3(B)に示すように、メッシュ層37aにおけるメッシュの編み込み角度が、記録媒体Pの搬送方向(図中の白矢印方向である。)に対して45±15度になるように形成している。これにより、メッシュ層37aに含浸された潤滑剤が、加圧ベルト32の内周面に均一に供給されることになる。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、定着ローラ21の図2中の矢印方向の回転駆動が開始され、それに連動して加圧ベルト32の図2中の矢印方向の走行(回転)が開始される。
その後、給紙部7から記録媒体Pが給送されて、2次転写バイアスローラ18の位置で記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、図2の破線矢印の方向(−X方向)に搬送されて、圧接状態にある定着ローラ21及び加圧ベルト32のニップ部に送入される。そして、定着ローラ21による加熱と、定着ローラ21及び加圧ベルト32(加圧パッド33)の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、回転する定着ローラ21及び加圧ベルト32によってそのニップ部から送出された記録媒体Pは、破線矢印の方向(−X方向)に搬送される。
本実施の形態1における定着装置20は、部品点数が比較的少なく、定着装置20を複雑化・大型化することなく加圧ベルト32を配設していて、良好な定着性を得ることができる。さらに、本実施の形態1では、加圧ベルト32の内周面に、最適な粘度の潤滑剤を供給しているために、加圧ベルト32の走行中にスティック・スリップが生じにくくなり、異常音が生じてしまったり記録媒体Pの搬送性が低下してしまったりする不具合が抑止されるとともに、定着装置20(加圧手段31)の駆動トルクの上昇や変動も軽減することができる。
図4における実験は、本実施の形態1における定着装置20を用いて、潤滑剤の粘度(25℃における粘度である。)と、潤滑剤保持部材37の摩擦係数と、を振って、それぞれの条件について、異常音の有無と装置トルクとを測定したものである。具体的に、比較例1では潤滑剤の粘度を65CSとして潤滑剤保持部材37の摩擦係数を0.1とし、実施例1では潤滑剤の粘度を200CSとして潤滑剤保持部材37の摩擦係数を0.1とし、実施例2では潤滑剤の粘度を200CSとして潤滑剤保持部材37の摩擦係数を0.05とし、比較例2では潤滑剤の粘度を600CSとして潤滑剤保持部材37の摩擦係数を0.05としている。なお、実施例2及び比較例2では、潤滑剤保持部材37のメッシュ層37a上にPFA繊維層(摺動部材)を設けて摩擦係数を調整した。
これに対して、比較例1では、装置トルクは低いものの、装置から目標値(50db)を超える70dbの異常音が生じてしまった。さらに、比較例2では、異常音の発生はないものの、装置トルクが目標値(1.5N・m)を超えて1.6N・mになり、トルク変動も大きくなってしまった。
以上のことから、加圧ベルト32の内周面に供給する潤滑剤の粘度は、25℃で70〜500CSの範囲が最適値であることがわかった。
図5及び図6にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図5(A)は実施の形態2における定着装置に設置される潤滑剤保持部材37を示す展開図であり、図5(B)はその潤滑剤保持部材37が加圧パッド33及び支持部材34に設置された状態を示す斜視図である。また、図6(A)は加圧パッド33及び支持部材34に潤滑剤保持部材37が設置された状態を示す上面図であり、図6(B)はそのA−A断面を示す断面図であり、図6(C)はそのB−B断面を示す断面図である。
このような構成により、潤滑剤保持部材37を矩形状に形成する場合に比べて、支持部材34の形状になじむため、支持部材34に設置(貼着)したときに潤滑剤保持部材37にシワ(よれ)が生じにくくなる。したがって、ニップ部を形成する加圧ベルト32の表面にもシワ(よれ)が生じにくくなって、ニップ部を搬送される記録媒体P上にシワが生じる不具合を抑止するとともに、記録媒体Pの搬送性を向上させることができる。
図7にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図7(A)は加圧パッド33及び支持部材34に潤滑剤保持部材37が設置された状態を示す上面図であり、図7(B)はそのA−A断面を示す断面図であり、図7(C)はそのB−B断面を示す断面図であって、それぞれ前記実施の形態2における図6に対応するものである。
本実施の形態3における定着装置は、潤滑剤保持部材37の一部が支持部材34と板状部材38とによって挟み込まれている点が、前記実施の形態2のものとは相違する。
さらに、本実施の形態3における潤滑剤保持部材37も、前記実施の形態2のものと同様に、その展開図が十字状になるように形成され、図7(A)〜(C)に示すように、断面がコの字状に形成された支持部材34の形状に合わせて、加圧パッド33と支持部材34とを覆うように十字状の部分を折り込んで配設されている。
このような構成により、前記実施の形態2のものと同様に、支持部材34に設置(貼着)したときに潤滑剤保持部材37にシワ(よれ)が生じにくくなり、ニップ部を搬送される記録媒体P上にシワが生じる不具合を抑止するとともに、記録媒体Pの搬送性を向上させることができる。
このような構成により、支持部材34上に潤滑剤保持部材37を張りをもって設置(貼着)することができるため、潤滑剤保持部材37にシワ(よれ)が生じにくくなる。したがって、ニップ部を搬送される記録媒体P上にシワが生じる不具合を確実に抑止するとともに、記録媒体Pの搬送性を確実に向上させることができる。
図8にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図8(A)は加圧パッド33及び支持部材34に潤滑剤保持部材37が設置された状態を示す上面図であり、図8(B)はそのA−A断面を示す断面図であり、図8(C)はそのB−B断面を示す断面図であって、それぞれ前記実施の形態2における図6に対応するものである。
本実施の形態4における定着装置は、潤滑剤保持部材37が支持部材34上で張架されている点が、前記実施の形態2のものとは相違する。
さらに、本実施の形態4における潤滑剤保持部材37も、前記実施の形態2のものと同様に、その展開図が十字状になるように形成され、図8(A)〜(C)に示すように、断面がコの字状に形成された支持部材34の形状に合わせて、加圧パッド33と支持部材34とを覆うように十字状の部分を折り込んで配設されている。
このような構成により、前記実施の形態2のものと同様に、支持部材34に設置(貼着)したときに潤滑剤保持部材37にシワ(よれ)が生じにくくなり、ニップ部を搬送される記録媒体P上にシワが生じる不具合を抑止するとともに、記録媒体Pの搬送性を向上させることができる。
このような構成により、支持部材34上にて潤滑剤保持部材37が4方向から張架されて設置(貼着)されるため、潤滑剤保持部材37にシワ(よれ)が生じにくくなる。したがって、ニップ部を搬送される記録媒体P上にシワが生じる不具合を確実に抑止するとともに、記録媒体Pの搬送性を確実に向上させることができる。
なお、本実施の形態4では、引張スプリング39を用いて潤滑剤保持部材37が支持部材34上で張架されるように構成したが、他の弾性部材を用いて潤滑剤保持部材37が支持部材34上で張架されるように構成することもできる。
20 定着装置、
21 定着ローラ、
22 芯金、 23 弾性層、 24 離型層、
25 ヒータ(熱源)、
31 加圧手段、
32 加圧ベルト(ベルト部材)、
33 加圧パッド、
34 支持部材、
36A〜36C ガイド部材、
37 潤滑剤保持部材、
37a メッシュ層、 37b 保持層、
38 板状部材、 P 記録媒体。
Claims (17)
- トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
トナー像を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧手段と、
を備え、
前記加圧手段は、
所定方向に走行する無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を介して前記加熱手段に圧接する加圧パッドと、
前記ベルト部材の姿勢を保持するガイド部材と、
断面がコの字状又は矩形状に形成されるとともに前記加圧パッドをその面上に支持する支持部材と、
25℃における粘度が70〜500CSの潤滑剤を保持するとともに、前記ベルト部材と前記加圧パッドとの間に設置されて、前記ベルト部材の内周面に前記潤滑剤を供給する潤滑剤保持部材と、
を具備し、
前記潤滑剤保持部材は、その展開図が十字状になるように形成され、前記支持部材の形状に合わせて前記加圧パッド及び前記支持部材を覆うように十字状の部分を折り込んで配設されたことを特徴とする定着装置。 - 前記潤滑剤保持部材は、アラミド系繊維にてメッシュ状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤保持部材は、メッシュの編み込み角度が記録媒体の搬送方向に対して45±15度になるように形成されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤保持部材は、アラミド系繊維にてメッシュ状に形成されたメッシュ層と、前記加圧パッドに当接する保持層と、を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記潤滑剤保持部材は、少なくともその一部が前記支持部材と板状部材とによって挟み込まれたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記潤滑剤保持部材は、少なくともその一部が前記支持部材に溶着されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記潤滑剤保持部材は、前記支持部材上で張架されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記加圧手段は、前記潤滑剤保持部材と前記ベルト部材との間に、低摩擦材料で形成された摺動部材を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記摺動部材は、4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂からなる繊維材料で形成されたことを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
- 前記潤滑剤は、フッ素グリースであることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト部材は、ポリイミドからなるベース層を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト部材は、4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂からなる表面層を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置。
- 前記加圧パッドは、層厚が0.5〜3mmのゴム層を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の定着装置。
- 前記加圧パッドは、ゴム硬度が5〜50Hsのゴム層を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の定着装置。
- 前記加熱手段は、
弾性層を有するとともに、前記ベルト部材を介して前記加圧パッドに圧接する定着ローラと、
前記定着ローラを加熱する熱源と、
を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の定着装置。 - 前記弾性層は、層厚が0.5〜3mmになるように形成されたことを特徴とする請求項15に記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項16のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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